JP5326775B2 - 同軸電線及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、同軸電線の中心導体は、その導電率と引張強度とが、通常、相反する傾向にあり、引張強度を高めると導電率が低下して伝送損失が増加してしまう。
このとき、外被がPFAで形成されている場合では、外被の引き千切った箇所が変形し、捲れあがったり、または損傷したりするなどの不具合を生じることがある。
前記中心導体は、1重量%以上3重量%以下の銀を含有した線径0.010mm以上0.025mm以下の銅合金線を撚り合わせることにより、引張強度が950MPa以上、導電率が70%IACS以上80%IACS以下とされ、
前記外被は、メルトフローレートが25以上45以下であるETFEからなり、厚さ10μm以上30μm以下とされ、外径が0.35mm以下とされていることを特徴とする。
1重量%以上3重量%以下の銀を含有した線径0.010mm以上0.025mm以下の銅合金線を撚り合わせて中心導体を構成し、
前記中心導体の外周に絶縁体を被覆し、
前記絶縁体の外周に外部導体を巻き、
さらに、前記外部導体の外周をメルトフローレートが25以上45以下であるETFEからなる樹脂で厚さ10μm以上30μm以下で押出被覆した外被によって覆い、外径を0.35mm以下とすることを特徴とする。
また、外被をETFEから形成したので、端末処理のために端部で外被を除去する際にも、外被の端部における捲れあがりや損傷を防止することができる。
また、本発明の同軸電線の製造方法によれば、端末処理時における不具合を生じさせることなく、良好な屈曲性を確保しつつ細径化された同軸電線を円滑に製造することができる。
図1は同軸電線の各部材を段階的に露出させた端部の斜視図、図2は同軸電線の断面図である。
銅合金線3は、1重量%以上3重量%以下の銀を含有した銅合金から形成されたもので、その線径は0.010mm以上0.025mm以下とされている。そして、この銅合金線3は、その表面に、錫、銀またはニッケルのめっき層が形成されている。
この銅合金線3を撚り合わせた中心導体2は、その引張強度が950MPa以上で、導電率が70%IACS以上80%IACS以下となっている。
なお、外部導体6としては、例えば、金属テープを絶縁体4の外周に縦巻きまたは螺旋巻きしたものでも良い。金属テープは、PETなどの樹脂テープに金属箔を貼ったものを使用できる。樹脂テープの厚さは2〜10μm、金属箔の厚さは0.1〜3μmのものがある。
そして、この外被7は、その樹脂のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)が25(g/10分)以上45(g/10分)以下(温度297℃、荷重5kg)である。
その後、外部導体6を外被7の切断位置より所定長さ端部に寄った位置で切断し、端部側の外部導体6を引き抜いて除去する。
その後、絶縁体4をさらに端部寄りの位置で切断し、端部側の絶縁体4を引き抜いて除去する。
例えば、100セットの製品に電線を実装した際に電線に傷がついて外傷不良となる不良回数は、PFAで外被7を形成した場合では3回発生したが、ETFEで外被7を形成した場合では0回であった。ETFEはPFAに比べて引張破断強度が1.3倍程度、伸度が1.2倍程度であり、端末加工時に傷が付きにくいと考えられる。
また、上記実施形態の同軸電線1は、中心導体2の外周側に隣接する絶縁体4がPFAから形成されているので絶縁体の誘電率が低く、極細径でありながら低容量の電線を得ることができる。また、絶縁体をPFAから形成して外被をETFEから形成する場合、絶縁体(PFA)の方が融点が高く、外被を押出被覆するときに、絶縁体が熱のダメージを受けることがなく好ましい。
まず、1重量%以上3重量%以下(好ましくは2重量%)の銀を含有した銅合金からなる極細径の7本の銅合金線3を撚り合わせて中心導体2とする。
そして、この中心導体2の外周に、絶縁体4となるPFAを押し出し被覆する。
なお、絶縁体4は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂テープを巻き付けて構成しても良い。
例えば、銀を1〜3重量%含む直径0.025mmの導体(銀銅合金線)を7本撚り合わせて、直径0.075mmの中心導体2とする。それに厚さ0.050mmの発泡PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)テープを螺旋巻きする。その上に、厚さ0.004mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)テープを螺旋巻きする。導体の寸法や絶縁体の厚さをより小さくしてより細径にしたものでもよい。
なお、外部導体6の外周に、PETなどの樹脂テープを押さえ巻きとして巻き付けてから外被7を形成しても良い。
引き落としによる外被の押出成形の様子を、図4に示す。
ダイス11とポイント12の間の樹脂流路13にETFE樹脂を供給する。ポイント12の中心を通貫通孔に外部導体が巻かれた電線(被覆前コア)8を通過させる。ダイス11とポイント12の間の出口から押し出された樹脂7は、すぐには被覆前コア(外部導体)8には接触せず、だんだん細くなって出口から離れた地点で被覆前コア8に接触して被覆される。
これにより、外部導体6の外周に、厚さ10μm以上30μm以下の外被7を形成することができる。
本発明の同軸電線2は、複数本束ねられた多心ケーブルとして使用されることもある。例えば、20〜50本の同軸電線を並列させてフラットな形状としてコネクタに接続した多心ケーブルが携帯電話などに使用される。この多心ケーブルは両端はフラットな形状であるが中間部分が丸く束ねられていることもある。コネクタの代わりにFPC(フレキシブル基板)やPWB(プリント基板)に接続されることもある。あるいは、複数本のテープを集合してテープで巻いたりチューブで覆うなどしてユニットとし、そのユニットをさらに複数集合して外被で覆った多心ケーブルが医療用機器などに使用される。ユニット中の同軸電線、あるいはユニットが撚られることもある。多心ケーブルの外被の内側に複数のユニットを一括してシールドするシールド層が設けられることもある。
図3に示すように、40本の同軸電線にPTFEテープを螺旋状に巻き付けることにより束ねたバンドルBを一対のマンドレル21の間に通し、バンドルBの下端に錘22を取り付け、バンドルBの上端を把持し、それぞれのマンドレル21側へ屈曲させ、同軸電線の断線の有無を調べた。なお、同軸電線は揃えずに束ね、PTFEテープは、バンドルBの両端で接着テープによって固着した。
中心導体の周囲に、絶縁体、外部導体及び外被を同軸状に順次積層して以下に示す構成の実施例及び比較例の同軸電線(AWG#46)を用意する。
中心導体:2重量%の銀を含有した線径0.016mmの銅合金線を7本撚り合わせる
中心導体径:0.048mm
絶縁体:PFA
絶縁体厚さ:0.035mm
絶縁体径:0.118mm
外部導体:線径0.025mmの錫めっき錫銅合金
電線の外部導体部分の径:0.168mm
外被:ETFE
外被厚さ:0.025mm
外被径:0.220mm
中心導体:0.6重量%の銀を含有した線径0.016mmの銅合金線を7本撚り合わせる
中心導体径:0.048mm
絶縁体:PFA
絶縁体厚さ:0.035mm
絶縁体径:0.118mm
外部導体:線径0.025mmの錫めっき錫銅合金
外部導体径:0.168mm
外被:PFA
外被厚さ:0.025mm
外被径:0.220mm
(3−1)
屈曲角度:±90度
速度:30(往復回/分)
マンドレル径:6mm
錘による荷重:1.96(N)(200(gf))
(3−2)
屈曲角度:±90度
速度:30(往復回/分)
マンドレル径:2mm
錘による荷重:2(N)
(4−1)試験条件(3−1)での屈曲試験結果
実施例、比較例とも三つの試料について屈曲試験を行い評価した。
実施例では、30万回の屈曲においても同軸電線の断線がなかった。これに対して、比較例では、十数万回で束ねた同軸電線のいずれかが断線した。
(4−2)試験条件(3−2)での屈曲試験結果
実施例、比較例とも三つの試料について屈曲試験を行い評価した。実施例では、平均37000回の屈曲で同軸電線が断線した。これに対して、比較例1では、平均26000回の屈曲で同軸電線が断線した。この結果、実施例が比較例よりも耐屈曲性に優れることがわかった。
Claims (4)
- 中心導体の周囲に、絶縁体、外部導体及び外被が同軸状に順次積層された同軸電線であって、
前記中心導体は、1重量%以上3重量%以下の銀を含有した線径0.010mm以上0.025mm以下の銅合金線を撚り合わせることにより、引張強度が950MPa以上、導電率が70%IACS以上80%IACS以下とされ、
前記外被は、メルトフローレートが25以上45以下であるETFEからなり、厚さ10μm以上30μm以下とされ、外径が0.35mm以下とされていることを特徴とする同軸電線。 - 請求項1に記載の電線であって、
前記中心導体の外周側に隣接する前記絶縁体がPFAから形成されていることを特徴とする同軸電線。 - 請求項1または2に記載の同軸電線を複数本束ねた多心ケーブル。
- 中心導体の周囲に、絶縁体、外部導体及び外被が同軸状に順次積層された同軸電線の製造方法であって、
1重量%以上3重量%以下の銀を含有した線径0.010mm以上0.025mm以下の銅合金線を撚り合わせて中心導体を構成し、
前記中心導体の外周に絶縁体を被覆し、
前記絶縁体の外周に外部導体を巻き、
さらに、前記外部導体の外周をメルトフローレートが25以上45以下であるETFEからなる樹脂で厚さ10μm以上30μm以下で押出被覆した外被によって覆い、外径を0.35mm以下とすることを特徴とする同軸電線の製造方法。
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