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JP5325244B2 - ブーツ、光コネクタ及び治具 - Google Patents

ブーツ、光コネクタ及び治具 Download PDF

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JP5325244B2 JP2011040227A JP2011040227A JP5325244B2 JP 5325244 B2 JP5325244 B2 JP 5325244B2 JP 2011040227 A JP2011040227 A JP 2011040227A JP 2011040227 A JP2011040227 A JP 2011040227A JP 5325244 B2 JP5325244 B2 JP 5325244B2
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Description

本発明は、ブーツ、光コネクタ及び治具に関する。
従来、光コネクタの後端側(接合端面が配置される前端部とは反対側)には、可撓性の筒状部材であるブーツが取り付けられている。例えばMPO形光コネクタ(JIS C 5982に制定されるF13形光コネクタ。MPO:Multi-fiber Push On)の後端側には、合成ゴム製の筒状のブーツが取り付けられている(非特許文献1参照)。
光コネクタの後端側にブーツを取り付けることによって、光ファイバ(光ファイバテープ心線や光ファイバコードや光ファイバチューブなどに含まれている光ファイバを含む)の曲がりが緩やかになり、光の伝送損失が低減され、若しくは光ファイバ自体が保護される。
日本規格協会、「F13形多心光ファイバコネクタ C 5982:1997」、JISハンドブック 電子 試験方法・オプトエレクトロニクス編、発行所:財団法人日本規格協会、1998年4月24日。
従来、ブーツは、光コネクタ本体(光コネクタからブーツを除いた部分)から後側に長く延び出た構造になっていた。従来のブーツの構造は、光コネクタの全長が長くなる原因となっていた。
本発明は、光コネクタの全長を短縮できるブーツを提供することを目的とする。また、このようなブーツを用いた光コネクタや、このようなブーツを用いた光コネクタに適した治具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、光コネクタの後側から延出する光ファイバを保護するためのブーツであって、光コネクタ本体にあるブーツ取付部材に固定するための固定部と、前記光ファイバを挟むように配置され、前記光ファイバの湾曲に応じて変形する一対の可撓部と、を備え、前記可撓部の前側の一端は前記固定部に支持された固定端になっており、後側の他端は自由端になっており、前記固定端は、前記固定部の最後部よりも前側になるように、配置されていることを特徴とする。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、光コネクタの全長を短縮できる。
図1は、第1実施形態の光コネクタ10の斜視図である。 図2は、第1実施形態の光コネクタ10の分解図である。 図3Aは、第1実施形態のブーツ60を斜め前から見た斜視図である。図3Bは、ブーツ60を斜め後から見た斜視図である。 図4は、ブーツ60をスプリング押し40に取り付けるときの様子の説明図である。 図5は、可撓部65の変形の説明図である。 図6Aは、第1実施形態の光コネクタ10に対して用いられる治具80を斜め前から見た斜視図である。図6Bは、治具80を斜め後から見た斜視図である。 図7A及び図7Bは、治具80を用いた光コネクタ10の接続作業時の様子の説明図である。 図8は、第2実施形態の光コネクタ210を受け側光コネクタ310に接続する様子の説明図である。 図9は、第2実施形態の光コネクタ210を受け側光コネクタ310に接続した様子の説明図である。 図10は、第2実施形態の光コネクタ210を斜め後から見た斜視図である。 図11は、第2実施形態の光コネクタの分解図である。 図12Aは、光コネクタ210の断面図である。図12Bは、接触部246bの付近の拡大図である。 図13A〜図13Cは、接続時の光コネクタ210の内部の状況の説明図である。 図14Aは、第2実施形態のブーツ260を斜め前から見た斜視図である。図14Bは、ブーツ260を斜め後から見た斜視図である。 図15は、ブーツ260を係合部材240に取り付けるときの様子の説明図である。 図16は、第1変形例のブーツの説明図である。 図17は、第2変形例のブーツの説明図である。 図18は、第3変形例の可撓部の説明図である。 図19は、比較例の光コネクタの説明図である。
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
光コネクタの後側から延出する光ファイバを保護するためのブーツであって、光コネクタ本体にあるブーツ取付部材に固定するための固定部と、前記光ファイバを挟むように配置され、前記光ファイバの湾曲に応じて変形する一対の可撓部と、を備え、前記可撓部の前側の一端は前記固定部に支持された固定端になっており、後側の他端は自由端になっており、前記固定端は、前記固定部の最後部よりも前側になるように、配置されていることを特徴とするブーツが明らかとなる。
このようなブーツによれば、光ファイバ(光ファイバテープ心線や光ファイバコードや光ファイバチューブなどに含まれている光ファイバを含む)の先端に取り付けられる光コネクタの全長を短縮できる。
前記他端が、前記光コネクタ本体の前記最後部と前後方向に同じ位置若しくは前記最後部よりも前側の位置になるように、配置されていることが望ましい。また、前記固定部に凹状空間が形成されており、前記凹状空間の前後方向の長さが、前記可撓部の前後方向の長さ以上であることが望ましい。これにより、可撓部の全ての部分を光コネクタ本体の内部に配置できる。
前記可撓部の内面同士の間隔が後側ほど広がるように、前記可撓部の前記内面が傾斜していることが望ましい。これにより、光ファイバと可撓部との接触角を小さくでき、光ファイバの過度な湾曲を抑制しやすくなる。
前記可撓部の後側ほど、前記可撓部の厚さが減少していることが望ましい。これにより、光ファイバと可撓部との接触部分を増やすことができ、光ファイバの過度な湾曲を抑制しやすくなる。
前記光ファイバは、光ファイバテープ心線に含まれており、前記光ファイバテープ心線の光ファイバ配列面の法線方向から前記光ファイバを挟むように、一対の前記可撓部が配置されていることが望ましい。これにより、光ファイバの曲がり易い方向に可撓部を配置できる。
光コネクタ本体と、ブーツとを備え、後側から延出する光ファイバを前記ブーツが保護する光コネクタであって、前記ブーツは、光コネクタ本体にあるブーツ取付部材に固定するための固定部と、前記光ファイバを挟むように配置され、前記光ファイバの湾曲に応じて変形する一対の可撓部と、を備え、前記可撓部の前側の一端は前記固定部に支持された固定端になっており、後側の他端は自由端になっており、前記固定端は、前記光コネクタ本体の内部に配置されていることを特徴とする光コネクタが明らかとなる。これにより、全長の短い光コネクタを提供できる。
前記光ファイバを通すための開口を有するC字形状をしており、前記光コネクタと接触する前側端面に、前記可撓部の外側に設けられている隙間に挿入するための一対の位置決め突部が形成されていることを特徴とする治具が明らかとなる。これにより、前述の光コネクタの接続に適した治具を提供できる。
===比較例===
図19は、比較例の光コネクタの説明図である。光コネクタの後端部には、光ファイバの曲がりを緩やかにするためのブーツが設けられている。この比較例では、ブーツが光コネクタ本体から後側に長く延び出た構造になっている。つまり、比較例では、ブーツの可撓部(光ファイバとともに撓むことによって、光ファイバの曲がりを緩やかにする部分)が光コネクタ本体の後側から外に配置された構造になっている。この結果、比較例では、光コネクタの全長が長くなっている。
これに対し、以下に説明する実施形態では、光コネクタ本体(光コネクタからブーツを除いた部分)の内部にブーツの可撓部を配置している。これにより、光コネクタの全長の短縮を図っている。
===第1実施形態===
<全体構成>
図1は、第1実施形態の光コネクタ10の斜視図である。図2は、第1実施形態の光コネクタ10の分解図である。図に示す通り、第1実施形態の光コネクタ10では、光コネクタ本体の内部にブーツ60の可撓部65が配置されている点で比較例のブーツと異なる。
以下の説明では、図に示すように、前後、上下、左右を定義する。すなわち、光ファイバ1の光軸に沿って「前後方向」を定義し、光ファイバ1から見て端面の側を「前」、逆側を「後」とする。また、光ファイバテープ心線の複数の光ファイバ1の並ぶ方向を「左右方向」と定義し、前側から見て「右」と「左」を定義する。また、前後方向及び左右方向と垂直な方向を「上下方向」とし、図に示すように「上」と「下」を定義する。
光コネクタ10は、光ファイバ1の先端に組み立てられている。光ファイバ1は、具体的には光ファイバテープ心線である。ここでは12心の光ファイバテープ心線が採用されているが、光ファイバテープ心線の心数は12に限られるものではない。また、ここでは4枚の光ファイバテープ心線(計48本の光ファイバ)が用いられているが、光ファイバテープ心線の数は4に限られるものではない。
光コネクタ10は、主に、フェルール20と、コイルスプリング33と、スプリング押し40と、ハウジング50と、ブーツ60とを有している。また、光コネクタ10は、他にも、ガイドピン31やピンクランプ32なども有している。
フェルール20は、光ファイバ1の先端に取り付けられており、光ファイバ1の先端を保持している。ここでは、フェルール20は、MT形光コネクタ(JIS C5981に制定されるF12形光コネクタ。MT:Mechanically Transferable)である。フェルール20は、前側に突き合わせ接合用の先端面を有している。先端面では、光ファイバテープ心線の複数の光ファイバ1が左右方向に配列されており、各光ファイバ1の口出しされた裸光ファイバの端面が露出している。先端面で左右方向に配列された複数の光ファイバ1を挟むように、一対のガイドピン31がフェルール20のガイドピン穴に挿入されており、ガイドピン31の先端がフェルール20の先端面から突出している。ガイドピン31のフランジがフェルール20の後側端面とピンクランプ32の前側端面との間に挟まれて配置されており、ガイドピン31が前後方向に抜けることが防止されている。
フェルール20は、コイルスプリング33の反発力によって、ピンクランプ32を介して前側に力が付勢されている。フェルール20の後側には、外周を突出させたフランジ部が形成されており、フランジ部の前側端面がハウジング50の内面に形成された突設部(不図示)に接触することによって、それ以上のフェルール20の前側への移動が規制されている(フェルール20の前抜けが規制されている)。
スプリング押し40は、コイルスプリング33を弾性変形(圧縮)させた状態でハウジング50に収容するための部材である。これにより、フェルール20は、コイルスプリング33の反発力で前側に力を付勢されつつ、後側に移動可能にハウジング50内に収容される。このようにフェルール20を収容することによって、光コネクタ10を接続したときに、光ファイバの端面同士を所定の力で物理的に突き当てた状態を保持できる。
スプリング押し40は、枠状本体41と、一対の嵌合用突壁部42とを備えている。枠状本体41には、光ファイバを挿通するためのファイバ挿通孔が形成されている。一対の嵌合用突壁部42は、枠状本体41の左右両側から前側に向かって突出して形成されている部位である。嵌合用突壁部42には、外側に突出した係止爪42aが形成されており、ハウジング50の内面に形成された係止穴(不図示)に係止爪42aを嵌め込むことによって、スプリング押し40がハウジング50に固定される。このとき、コイルスプリング22は、ピンクランプ32とスプリング押し40の間で圧縮変形した状態で収容されているが、係止爪42aがハウジング50の係止穴に嵌め込まれることによって、スプリング押し40がハウジング50の後側から抜けることが防止されている。
また、スプリング押し40は、ブーツ60を取り付けるための取付部材としても機能する。スプリング押し40の後側には、ブーツ60が取り付けられている。ブーツ60の取り付け方については、後述する。
ハウジング50は、筒状の部材であり、他の部材(フェルール20、ピンクランプ32、コイルスプリング33、スプリング押し40、ブーツ60)を収容するための部材である。ハウジング50には、前後に移動可能なカップリング51が装着されている。ハウジング50の前側からは、フェルール20の前側の一部やガイドピン31などが突出している。ハウジング50の内面には、スプリング押し40の係止爪42aを嵌め込むための係止穴(不図示)や、フェルール20の前側への移動を規制するための突設部(不図示)が形成されている。
ブーツ60は、光ファイバ1の曲がりを緩やかにするための部材である。ブーツ60によって、光の伝送損失が低減され、若しくは光ファイバ自体が保護される。第1実施形態のブーツ60は、光ファイバ1の接触に伴って撓み変形する可撓部65を有している。ブーツ60は、可撓部65が変形できるように、例えばゴム等によって一体成形されている。ブーツ60の構成や、ブーツ60の取り付け方については、後述する。
上記の光コネクタ10は、プラグ−アダプタ−プラグ結合方式により、アダプタを介して別の光コネクタに光接続されることになる。
<ブーツ60の取付構造>
図3Aは、第1実施形態のブーツ60を斜め前から見た斜視図である。図3Bは、ブーツ60を斜め後から見た斜視図である。
ブーツ60は、主に、固定部61と、一対の可撓部65とから構成されている。ここでは固定部61について説明し、可撓部65の構成や機能については、後述する。
固定部61は、ブーツ取付部材であるスプリング押し40に対してブーツ60を固定するための部位である。このため、固定部61は、光ファイバ1が湾曲しても変形しない部位である。固定部61は、前側に形成された突部62と、後側に形成された後端部63とを有している。
突部62は、頭部62a、首部62b及び一対の突出部62cを有するとともに、光ファイバを挿通させるための挿通穴62dが形成されている。頭部62aは、首部62bの前側に配置されている。頭部62aは、光コネクタ10の後側からブーツ60が抜けないようにするため、首部62bよりも左右両側に張り出すように形成されている。頭部62aと首部62bの上下両側には、突出部62cが配置されている。突出部62cは、上下に突出する部位である。突出部62cがハウジング50の押さえ面52(図2参照)と接することによって、ブーツ60やスプリング押し40がハウジング50に対して位置決めされる。
後端部63は、ハウジング50の後側の開口を塞ぐ部位である。後端部63の周面がハウジング50の内面と接することによって、ブーツ60やスプリング押し40がハウジング50に対して位置決めされる。後端部63は、首部62bよりも左右両側に張り出すように形成されている。後端部63の前側端面には、位置決め突部63aが形成されている。後端部63の後側端面は、光コネクタ10の組み立て後、ハウジング50の後側端面と同じ位置になる(図1参照)。
図4は、ブーツ60をスプリング押し40に取り付けるときの様子の説明図である。
スプリング押し40の後側には、一対の後部側壁部43と、一対の後壁部44とが設けられている。一対の後部側壁部43は、枠状本体41の左右両側から後側に向かって形成されている。また、後壁部44は、それぞれの後部側壁部43の後側から内側に向かって突出した壁部である。一対の後壁部44は、左右方向に互いに離れて設けられており、その間には光ファイバが配置される。また、後壁部44は、枠状本体41に対して、前後方向に離れた位置に設けられている。そして、枠状本体41、一対の後部側壁部43及び一対の後壁部44によって、ブーツ60の前側に設けられた突部62を収納するための突部収納部46が形成されている。また、後壁部44には、ブーツ60の位置決め突部63aと嵌合する嵌合穴44aが形成されている。このような構成を有することにより、スプリング押し40はブーツを取り付けるための取付部材として機能する。
ブーツ60は、スプリング押し40の突部収納部46に突部62が収納されるように、スプリング押し40に対して上下方向から取り付けられる。そして、ブーツ60の位置決め突部63aがスプリング押し40の嵌合穴44aに勘合することによって、ブーツ60がスプリング押し40から上下方向に抜けることが防止される。また、ブーツ60の頭部62aの後側端面はスプリング押し40の後壁部44の前側端面と接しており、ブーツ60がスプリング押し40から後側に抜けることが防止される。
光コネクタ10を組み立てる作業者は、ブーツ60を上下方向からスプリング押し40に取り付けて一体的なユニットにした後、そのユニットと、スプリング押し40と、コイルスプリング33と、ピンクランプ32とを光ファイバに挿入する。その後、光ファイバの先端を処理してフェルール20を取り付けて、図2に示すようにハウジング50の後側から他の部材を収容し、光コネクタ10を組み立てる。つまり、上下方向からブーツ60がスプリング押し40に取り付けられてユニット化された後に、前後方向からそのユニットがハウジング50に収容されるため、ハウジング50に収容後のブーツは、光コネクタ本体から抜けなくなるようになっている。
<ブーツ60の可撓部65>
次に、図3Bを用いてブーツ60の可撓部65について説明する。
可撓部65は、光ファイバ1の湾曲に応じて撓み変形する部位である。可撓部65は板状に形成されており、一対の可撓部65は上下方向に対向するように配置されている。一対の可撓部65の間には、光ファイバ1が配置される。ここでは、光ファイバテープ心線が採用されている。板状の可撓部65は、光ファイバテープ心線と対面するように配置されており、一対の可撓部65は、光ファイバテープ心線の光ファイバ配列面の法線方向(上下方向)から光ファイバを挟むように配置されている。一対の可撓部65の上下方向の間隔は、ブーツ60の挿通穴62dの上下方向の内寸とほぼ同じである。
可撓部65は、前端に位置する固定端65aにて固定部61から支持されている。固定端65a以外の他の端(左右端や後端)は、他の部材や部位(例えば側面64bなど)には接しておらず、自由端になっている。つまり、可撓部65は、片持ち梁のような状態で、固定部61から支持されている。このため、可撓部65は上下方向に撓みやすい構造である。また、自由端となる可撓部65の後端は、上下方向に変位しやすい構造である。
固定部61の後側には、凹状空間64が形成されており、この凹状空間64に可撓部65が配置されている。更に詳しく言うと、凹状空間64は、最深面64aと一対の側面64bとによって囲まれた空間であり、最深面64aに可撓部65の固定端65aが支持されている。つまり、可撓部65は、凹状空間64を形成する最深面64aから後側に突出した板状の部位(舌状の部位)になっている。
凹状空間64を形成する最深面64aは、ブーツ60の固定部61の最後部(後端部63の後側端面)や光コネクタ本体の最後部(ハウジング50の後側端面)よりも前側に位置している。このため、可撓部65の固定端65aは、ブーツ60の固定部61の最後部や光コネクタ本体の最後部よりも前側に位置していることになる。この結果、ブーツ60の固定部61の最後部や光コネクタ本体の最後部よりも前側において、可撓部65が変形する。言い換えると、可撓部65は、コネクタ本体の内部で変形することになる。これにより、ブーツの機能を確保しつつ、光コネクタ10の全長を短縮できる。
本実施形態では、可撓部65の後端(自由端)は、ブーツ60の固定部61の最後部(後端部63の後側端面)や光コネクタ本体の最後部(ハウジング50の後側端部)と前後方向に同じ位置若しくはそれよりも前側に位置している。このため、可撓部65の全ての部分が、コネクタ本体の内部に収容される。つまり、ブーツ60が光コネクタ10の後側から突出しない構造にできる。
本実施形態では、凹状空間64の前後方向の長さ(側面64bの前後方向の寸法)が、可撓部65の前後方向の長さ以上である。つまり、凹状空間64の前後方向の長さは、可撓部65の前後方向の長さよりも大きくても良いし、一致していても良い。このように凹状空間64を形成することによって、可撓部65の全ての部分がコネクタ本体の内部に収容される構造にできる。
図5は、可撓部65の変形の説明図である。ここでは、光ファイバ1が上側に湾曲したときの状態を点線で示している。
光ファイバ1が湾曲すると、可撓部65の内面65bに接触し、可撓部65が変形することになる。可撓部65が光ファイバ1とともに変形することによって、光ファイバ1の湾曲半径が確保され、光ファイバ1の過度な湾曲が抑制される。これにより、光ファイバの曲がりが緩やかになり、光ファイバ1の光の伝送損失が低減され、若しくは光ファイバ自体が保護される。
本実施形態では、可撓部65の内面65b同士の上下方向の間隔が後側ほど広がるように、内面65bが若干傾斜している。これにより、光ファイバ1と可撓部65との接触角を小さく設定でき、光ファイバの過度な湾曲を抑制しやすくなる。
更に本実施形態では、可撓部65の厚さが後側ほど減少するように、可撓部65が構成されている。言い換えると、可撓部65にテーパーが形成されている。これにより、可撓部65の後側ほど大きく変位するようになるため、可撓部65の変形量が小さくても光ファイバ1が可撓部65と面接触若しくは複数個所で点接触するようになり、光ファイバの過度な湾曲を抑制しやすくなる。
また、本実施形態では、可撓部65の外面65cは可撓部65の最深面64aの上下方向の最外部よりも内側に位置しているため、可撓部65の外面65cとハウジング50の内面との間に隙間65dができる。可撓部65の外側に隙間65dがあるため、可撓部65の外側への変形が許容されている。そして、この隙間65dに、後述する治具80の位置合わせ突部85が入り込むことになる。
本実施形態では、左右方向に複数の光ファイバが並ぶ光ファイバテープ心線が採用されているため、光ファイバは、主に上下方向に向かって湾曲することになる。そこで、本実施形態では、光ファイバテープ心線の光ファイバ配列面の法線方向(上下方向)から光ファイバを挟むように、一対の可撓部65が配置されている。言い換えると、本実施形態では、光ファイバテープ心線と対面するように、一対の可撓部65が上下方向に対向して設けられている。これにより、光ファイバ1の過度な湾曲を抑制することができる。つまり、左右方向に複数の光ファイバが並ぶ光ファイバテープ心線が採用されている場合には、光ファイバは左右方向に湾曲しにくいため、左右方向に対向するような一対の可撓部は設けなくても良い。
<治具>
図6Aは、第1実施形態の光コネクタ10に対して用いられる治具80を斜め前から見た斜視図である。図6Bは、治具80を斜め後から見た斜視図である。
以下の説明では、図に示すように、治具の前後、上下、左右を定義する。この方向の定義は、光コネクタ10の説明時に定義した前後・上下、左右の方向に従っている。光コネクタ10の接続作業時に、前述の光コネクタ10の方向が、図に示した治具の方向と一致する。
治具80は、光コネクタ10の接続作業時に光コネクタ10をアダプタに向かって押すための器具である。治具80は、上面把持部81と、下面把持部82と、連結部83とを有し、C字形状の部材である。作業者は、上面把持部81と下面把持部82を指で摘んで治具80を操作する。
上面把持部81と下面把持部82との内面同士の上下方向の間隔は、少なくともブーツ60の挿通穴62dの上下方向の内寸よりも大きく設定されており、本実施形態ではブーツ60の可撓部65の外面65c同士の上下方向の外寸よりも大きく設定されている。これにより、ブーツ60の挿通穴62dから延出する光ファイバを上面把持部81と下面把持部82との間に配置することが可能である。
治具80の右側(連結部83の反対側)には、開口84が設けられている。光コネクタ10の接続作業時には、光コネクタ10の後側から延出する光ファイバ1を開口84に通過させて、上面把持部81と下面把持部82との間に位置させることになる。
上面把持部81、下面把持部82及び連結部83の前側端面(C字形状の前側端面)は、光コネクタ10の接続作業時にブーツ60及びハウジング50の後側端面と接触するため、同一平面になっている。但し、上面把持部81と下面把持部82には、それぞれ前側に向かって突出した位置合わせ突部85が形成されている。一対の位置合わせ突部85の上下方向の間隔は、可撓部65の外側の上下一対の隙間65d(図5参照)の間隔に相当している。
図7A及び図7Bは、治具80を用いた光コネクタ10の接続作業時の様子の説明図である。
まず、作業者は、上面把持部81と下面把持部82を指で摘みながら、光コネクタ10の後側から延出する光ファイバ1を開口84に通過させて、上面把持部81と下面把持部82との間に位置させる(図7A参照)。その後、作業者は、上面把持部81と下面把持部82との間に光ファイバ1を配置させた状態を保ちながら、治具80を前側に移動させ、上面把持部81、下面把持部82及び連結部83の前側端面(C字形状の前側端面)を光コネクタ10のブーツ60及びハウジング50の後側端面(図1参照)に接触させる(図7B参照)。このとき、治具80の一対の位置合わせ突部85は、可撓部65の外側の上下一対の隙間65dに挿入される。これにより、治具80が光コネクタ10に対して位置決めされる。そして、作業者は、図7Bに示すように治具80で光コネクタ10を前側に押しながら、光コネクタ10をアダプタに接続する。
治具80の位置合わせ突部85が可撓部65の外側の隙間65dに挿入された状態では(図7B参照)、治具80の前側(上面把持部81、下面把持部82及び連結部83の前側)は光ファイバ1に接していないので、光ファイバ1はほとんど湾曲していない。このような状態のため、作業者が治具80を介して光コネクタ10をアダプタに向かって前側に押したときに、光ファイバ1に過度な湾曲負荷を与えずに済む。これに対し、治具80を用いずに作業者がブーツ60やハウジング50の後側端面を手で押して光コネクタ10の接続作業を行った場合には、光コネクタ10の後側から延出している光ファイバ1に作業者の手が触れてしまい、光ファイバ1に過度な湾曲負荷を与えるおそれがある。
===第2実施形態===
<光コネクタの概要>
図8及び図9は、第2実施形態の光コネクタの接続時の説明図である。図8は、光コネクタ210を受け側光コネクタ310に接続する様子の説明図である。図9は、光コネクタ210を受け側光コネクタ310に接続した様子の説明図である。
以下の説明では、図に示すように、前後、上下、左右を定義する。すなわち、光ファイバ1の光軸に沿って「前後方向」を定義し、光ファイバ1から見て端面の側を「前」、逆側を「後」とする。また、光ファイバテープ心線の複数の光ファイバ1の並ぶ方向を「左右方向」と定義し、前側から見て「右」と「左」を定義する。また、前後方向及び左右方向と垂直な方向を「上下方向」とし、ハウジング250から見て操作用凸部254が設けられている側を「上」、逆側を「下」とする。
また、以下の説明では、図8のハウジング250の位置のことを「解除位置」と呼ぶことがある。また、ハウジング250が解除位置にある状態のことを「解除状態」と呼ぶことがある。また、図9のハウジング250の位置のことを「拘束位置」と呼ぶことがある。また、ハウジング250が拘束位置にある状態のことを「拘束状態」と呼ぶことがある。
受け側光コネクタ310の側面314には、凹状に形成された係止部315が設けられている。光コネクタ210の爪部245が係止部315に位置した状態で、ハウジング250が係合部材240に対して最も前側に位置する「拘束位置」になることによって、爪部245が係止部315に食い込み(爪部245と係止部315とが係合し)、光コネクタ210と受け側光コネクタ310とが締結される。拘束状態では、ハウジング250の内面が爪部245の外側を拘束した状態になる。
<全体構成>
図10は、第2実施形態の光コネクタ210を斜め後から見た斜視図である。図11は、第2実施形態の光コネクタの分解図である。
光コネクタ210は、光ファイバ1の先端に組み立てられている。光ファイバ1は、具体的には光ファイバテープ心線である。ここでは12心の光ファイバテープ心線が採用されているが、光ファイバテープ心線の心数は12に限られるものではない。
光コネクタ210は、主に、フェルール220と、コイルスプリング233と、係合部材240と、ハウジング250と、ブーツ260とを有している。また、光コネクタ210は、他にも、ガイドピン231やピンクランプ232等も有している。
フェルール220は、光ファイバ1の先端に取り付けられており、光ファイバ1の先端を保持している。先端面で左右方向に配列された複数の光ファイバ1を挟むように、一対のガイドピン231がフェルール220のガイドピン穴に挿入されており、ガイドピン231の先端がフェルール220の先端面から突出している。ガイドピン231のフランジがフェルール220の後側端面とピンクランプ232の前側端面との間に挟まれて配置されており、ガイドピン231が前後方向に抜けることが防止されている。
係合部材240は、受け部241と、受け部241の左右両側から前側に延出した一対の弾性片242とを有するU字状の部材である。係合部材240は、フェルール220をコイルスプリング233の反発力で前側に力を付勢しつつ、フェルール220を後側に移動可能に収容している。このように係合部材240がフェルール220を収容することによって、光コネクタ210が受け側光コネクタ310に接続されたときに、光ファイバの端面同士を所定の力で物理的に突き当てた接触状態を保持できる。係合部材240の後側にはブーツ260が取り付けられている。このため、係合部材240は、ブーツ260を取り付けるための取付部材になっている。
弾性片242は、受け部241から前側に延出した部位であり、左右方向に弾性変形する部位である。弾性片242の先端部(前側の端部)には、爪部245が内側に突出するように設けられている。なお、フェルール220は、爪部245よりも後側に配置される。この爪部245は、光コネクタ210と接続される受け側光コネクタ310の係止部315に係合する部位である。弾性片242の外面には、凹部246が設けられている。凹部246の後縁には段差部246aが形成されており、凹部246の前縁には接触部246bが形成されている。段差部246aや接触部246bの機能については、後述する。
ハウジング250は、扁平な角筒状の部材であり、係合部材240に対して前後方向に移動可能な部材である。ハウジング250は、係合部材240に対して前側に移動することによって、弾性片242の外側を内面によって拘束した拘束状態にするための部材である。ハウジング250はフェルール220等を内部に収容する。但し、ハウジング250の前側からは、爪部245を含む弾性片242の先端部が突出している。ハウジング250の側壁内面には、後述するようにストッパ256が形成されている。
ハウジング250の上面と側壁の上側外周には、U字状の操作用凸部254が外側に突出して設けられている。操作用凸部254を設けることにより、操作者が作業しやすくなる。
ブーツ260は、光ファイバ1の曲がりを緩やかにするための部材である。ブーツ260によって、光の伝送損失が低減され、若しくは光ファイバ自体が保護される。第2実施形態のブーツ260も、光ファイバ1の湾曲に応じて撓み変形する一対の可撓部265(後述)を有している。ブーツ260は、可撓部265が変形できるように、例えばゴム等によって一体成形されている。ブーツ260の構成や、ブーツ260の取り付け方については、後述する。
図12Aは、光コネクタ210の断面図である。この図では、ハウジング250は解除位置にある(光コネクタ210は解除状態である)。
図に示すように、U字形状の係合部材240の内部空間に、フェルール220のフランジ部と、ピンクランプ232と、コイルスプリング233が収容されている。コイルスプリング233は弾性変形させた状態で収容され、係合部材240に対してフェルール220を反発力によって前側に付勢している。なお、光コネクタ210の接続時にフェルール220の先端面が後側に押されると、コイルスプリング233が若干縮み、フェルール220が係合部材240に対して相対的に後側に移動することになる。
ハウジング250の内面には、ストッパ256が内側に突出して形成されている。ストッパ256は、係合部材240の凹部246に入り込む位置に配置される。図に示すようにハウジング250が解除位置にあるとき、ストッパ256は、凹部246の後縁である段差部246aと接触している。これにより、係合部材240に対するハウジング250の後側への移動が制限され、ハウジング250の後抜けが防止される。なお、ハウジング250が拘束位置にあるときには、ストッパ256は、凹部246の前縁である接触部246bと接触する。これにより、係合部材240に対するハウジング250の前側への移動が制限され、ハウジング250の前抜けが防止される。このように、係合部材240の凹部246は、ハウジング250の前後方向の移動を規制している。また、凹部246の前後方向の寸法によって、係合部材240に対するハウジング250の可動範囲が設定される。
ハウジング250が解除位置にあるとき、接触部246bよりも前側の部位が、ハウジング250の前側から突出して露出している。特に、爪部245は凹部246よりも前側にあるため、ハウジング250が解除位置にあるとき、爪部245の全ての部分が、ハウジング250の前側から突出して露出している。
左右の爪部245の前側傾斜面245aの先端部の間隔は、受け側光コネクタ310の左右の幅よりも広くなるように、設定されている。仮に前側傾斜面245aの先端部の間隔が受け側光コネクタの左右の幅よりも狭くなっていると、左右の爪部245の間に受け側光コネクタを挿入できなくなるためである。左右の爪部245の頂部245b同士の間隔は、受け側光コネクタ310の左右の幅とほぼ同じに設定されている。但し、左右の爪部245の頂部245b同士の間隔は、受け側光コネクタ310の左右の幅よりも、若干広く設定されていても、逆に若干狭く設定されていても良い。
図12Bは、接触部246bの付近の拡大図である。
ハウジング250が解除位置にあるときに、係合部材240の接触部246bが、ハウジング250の内面の前縁253c(側壁の前側の角)と接触している。そして、接触部246bよりも前側に位置する弾性片42(爪部245)の外側が、ハウジング250の内壁よりも外側に位置している。すなわち、左右の係合部材240の弾性片242が、ハウジング250の開口から外側に開いている(はみ出ている)。これにより、ハウジング250が解除位置にあるときに、操作者が光コネクタ210を摘んでも、ハウジング250が係合部材240に対して前側に相対移動することなく、解除状態を保持できる。
次に、光コネクタ210の接続時(図8に示す状態から図9に示す状態まで)の光コネクタ210の状況について説明する。ここでは、光コネクタ210のハウジング250の操作用凸部254を操作者が指で摘みながら、光コネクタ210の接続作業が行われるものとする。
図13A〜図13Cは、接続時の光コネクタ210の内部の状況の説明図である。図13Aは、爪部245の間に受け側光コネクタ310を挿入したときの様子の説明図である。図13Bは、光コネクタ210のフェルール220が受け側光コネクタ310の端面と接触したときの様子の説明図である。図13Cは、爪部245が係止部315の位置に達してハウジング250が拘束位置へ移動した様子の説明図である。
図13Aに示すように、操作者は、解除状態の光コネクタ210のハウジング250の操作用凸部254を指で摘み、光コネクタ210を受け側光コネクタ310に向かって前進させ、左右の爪部245の間に受け側光コネクタ310を挿入させる。挿入時に光コネクタ210の位置が受け側光コネクタ310に対して左右方向に多少ずれていても、爪部245の前側傾斜面245aによって受け側光コネクタ310は左右の頂部245bの間に向かって誘導される。
受け側光コネクタ310が爪部245の先端部や前側傾斜面245aに接触すると、係合部材240は、受け側光コネクタ310から後側に向かう力を受けることになる。このとき操作者はハウジング250の操作用凸部254を把持しているため、係合部材240は、ハウジング250に対して後側に向かう力を受けることになる。但し、係合部材240の接触部246bがハウジング250の前縁253cと接触しているため、爪部245の先端部や前側傾斜面245aが受け側光コネクタ310と接触しても、ハウジング250が係合部材240に対して前側に相対移動しない。
更に操作者が光コネクタ210を受け側光コネクタ310に向かって前進させると、光コネクタ210のガイドピン231が受け側光コネクタ310のガイドピン穴に挿入され、図13Bに示すように、光コネクタ210のフェルール220が受け側光コネクタ310に対して高精度に位置決めされて突き合わせ接続される。
図13Bに示す状態から更に、操作者は、光コネクタ210を受け側光コネクタ310に向かって前進させる。このとき、係合部材240の接触部246bがハウジング250の前縁253cと接触しているため、操作者の把持するハウジング250とともに、係合部材240も前側に移動する。但し、フェルール220は受け側光コネクタ310に接触しているため、前側に移動できない。このため、フェルール220の位置は固定された状態で、コイルスプリング233を縮ませながら、係合部材240及びハウジング250が前側に移動する(作業者が、コイルスプリング233の反発力に抗しながら、係合部材240及びハウジング250を前側に移動させる)。言い換えると、フェルール220は、コイルスプリング233を縮ませながら、係合部材240及びハウジング250に対して相対的に後側に移動する。そして、図13Bに示す状態から更に操作者が光コネクタ210を受け側光コネクタ310に向かって前進させると、爪部245が受け側光コネクタ310の係止部115の位置に達する。
爪部245が受け側光コネクタ310の係止部315の位置に達すると、係合部材240の接触部246bがハウジング250の前縁253cと接触しているため、爪部245が係止部315に入り込む。爪部245が係止部315に入り込むと、接触部246bと前縁253cとの接触が解除され、ハウジング250が係合部材240に対して相対的に前側に移動可能になる。一方、係合部材240は、爪部245が係止部315に係合することによって、前後方向に移動できなくなる。このため、操作者が光コネクタ210を受け側光コネクタ310に向かって前進させると、図13Cに示すようにハウジング250だけが前側に移動する。
ハウジング250が前側に移動すると、図13Cに示すように、ハウジング250のストッパ256が係合部材240の接触部246bと接触し、係合部材240に対するハウジング250の前側への移動ができなくなる。操作者がハウジング250を前進させる操作は、ハウジング250が「拘束位置」に達した段階で終了する。
図13Cに示すようにハウジング250が「拘束位置」に達すると、係合部材240の爪部245が受け側光コネクタ310の係止部315に係合した状態で、係合部材240の弾性片242(爪部245)の外側が、ハウジング250の内面によって拘束される。この結果、フェルール220と係合部材240との間でコイルスプリング233の反発力が生じていても、爪部245が係止部315から外れることがなく、係合部材240が後側に抜けることもない。また、ハウジング250が係合部材240から前後方向の力を受けることもないので、作業者がハウジング250から手を離しても、ハウジング250は「拘束位置」から移動しない。つまり、爪部245が受け側光コネクタ310の係止部315に係合した拘束状態が保持され、光コネクタ210が受け側光コネクタ310と接続した状態が保持される。
光コネクタ210を受け側光コネクタ310から抜き取るときには、操作者は、図13Cに示す状態(拘束状態)から、光コネクタ210のハウジング250の操作用凸部254を指で摘み、ハウジング250を後側に移動させる(ハウジング250を後側に引っ張る)。これにより、接続時とは逆の手順をたどってハウジング250が拘束位置から解除位置に移動し、係合部材240の爪部245と受け側光コネクタ310の係止部315との係合が外れて、光コネクタ210が受け側光コネクタ310から抜き取られる。
以上説明した通り、第2実施形態の光コネクタ210によれば、受け側光コネクタ310に対してプッシュプル方式で簡単に着脱できる。
<ブーツ260>
図14Aは、第2実施形態のブーツ260を斜め前から見た斜視図である。図14Bは、ブーツ260を斜め後から見た斜視図である。
ブーツ260は、主に、固定部261と、一対の可撓部265とから構成されている。
固定部261は、ブーツ取付部材である係合部材240に対してブーツ260を固定するための部位である。固定部261は、前側に形成された前側固定部262と、後側に形成された一対の後側固定部263とを有している。前側固定部262は、光ファイバを挿通させるための挿通穴が形成されたブロック状の部位である。後側固定部263は、前側固定部262の後側端面に固定されており、光ファイバを左右方向から挟むように配置されている。
可撓部265は、光ファイバ1の湾曲に応じて撓み変形する部位である。可撓部265は板状に形成されており、一対の可撓部265は上下方向に対向するように配置されている。一対の可撓部265の間には、光ファイバ1が配置される。ここでは、光ファイバテープ心線が採用されている。可撓部265は、光ファイバテープ心線と対面するように配置されており、一対の可撓部265は、光ファイバテープ心線の光ファイバ配列面の法線方向(上下方向)から光ファイバを挟むように配置されている。一対の可撓部265の上下方向の間隔は、ブーツ260の挿通穴の上下方向の内寸とほぼ同じである。
可撓部265の前側は、前側固定部262の後側端面に支持された固定端になっている。固定端以外の他の端(左右端や後端)は、他の部材や部位(例えば後側固定部263など)には接しておらず、自由端になっている。つまり、可撓部265は、片持ち梁のような状態で、前側固定部262から支持されている。このため、可撓部265は、上下方向に撓みやすい構造である。
なお、上側の可撓部265は、前側固定部262に対して、若干上側に突出している。この突出量は、係合部材240の後部上壁部247a(後述)の上下方向の厚さよりも、小さく設定されている。これにより、第1実施形態と同様に、光コネクタ210が組み立てられたときに、可撓部265の外側とハウジング250との間に隙間が形成されるようになっている(可撓部265の外側には隙間が形成されるようになっている)。これにより、可撓部265は、光ファイバの湾曲に応じて外側に変形可能である。
但し、仮に解除状態において可撓部265とハウジング250との間に隙間がなくても、第2実施形態の光コネクタ210によれば、拘束状態においてハウジング250が前側の拘束位置に位置するため、拘束状態では可撓部265の外側が開放されて可撓部265が変形可能になる。
図15は、ブーツ260を係合部材240に取り付けるときの様子の説明図である。
係合部材240の後側には、後部上壁部247aと、一対の後部側壁部247bと、一対の後壁部248とが設けられており、これらの部位の内面によって前側固定部262を収納するための収納部249が形成されている。後部上壁部247aは、収納部249の上側に位置している。一対の後部側壁部247bは、収納部249の左右両側に位置している。一対の後部側壁部247bの対向する内面同士の間隔(左右方向の内寸)は、ブーツ260の前側固定部262の左右方向の外寸とほぼ同じである。
一対の後壁部248の対向する内面同士の間隔(左右方向の内寸)は、ブーツ260の後側固定部263の左右方向の外寸とほぼ同じである。ブーツ260が係合部材240に取り付けられると、一対の後壁部248の間に、ブーツ260の後側固定部263が配置されることになる。後壁部248の前後方向の厚さは、ブーツ260の後側固定部263の前後方向の寸法とほぼ同じである。このため、ブーツ260が係合部材240に取り付けられると、係合部材240の後側端面(後壁部248の後側端面)は、ブーツ260の後側固定部263の後側端面と、前後方向の位置がほぼ同じになる。
後壁部248の下側には、内側に向かって突出した保持用突起248aが形成されている。一対の保持用突起248a同士の左右方向の間隔は、ブーツ260の後側固定部263の左右方向の外寸よりも狭く設定されている。このため、ブーツ260が係合部材240に取り付けられると、保持用突起248aが下側からブーツ260の後側固定部263の下面を保持する。
ブーツ260が係合部材240の収納部249に収納されると、ブーツ260の前側固定部262の上面と係合部材240の後部上壁部247aの下面とが接触することによって、ブーツ260の上側への移動が規制される。また、ブーツ260の後側固定部263の外側の面と係合部材240の後壁部248の内面とが接触することによって、ブーツ260の左右方向への移動が規制される。また、ブーツ260の後側固定部263の下面と係合部材240の保持用突起248aとが接触することによって、ブーツ260の下側への移動が規制される(これにより、ブーツ260の下抜けが防止される)。また、ブーツ260の前側固定部262の後側端面と係合部材240の後壁部248の前側端面とが接触することによって、ブーツ260の後側への移動が規制される(これにより、ブーツ260の後抜けが防止される)。係合部材240が上記のような構成を有することにより、係合部材240はブーツを取り付けるための取付部材として機能する。
第2実施形態においても、可撓部265の固定端が、ブーツ260の固定部261の最後部(後側固定部263の後側端面)や光コネクタ本体の最後部(係合部材240の後側端面)よりも前側に位置していることになる。この結果、ブーツ260の固定部261の最後部や光コネクタ本体の最後部よりも前側において、可撓部265が変形する。言い換えると、可撓部265は、コネクタ本体の内部で変形することになる。これにより、ブーツの機能を確保しつつ、光コネクタ210の全長を短縮できる。
第2実施形態においても、可撓部265の後端(自由端)が、ブーツ260の固定部261の最後部(後側固定部263の後側端面)や光コネクタ本体の最後部(係合部材240の後側端面)よりも前側に位置していることが望ましい。これにより、可撓部265の全ての部分が、コネクタ本体の内部に収容される。つまり、ブーツ260が光コネクタ210の後側から突出しない構造にできる。
第2実施形態では、可撓部265の内面の後側(自由端の側)に丸みがつくように面取りが施されている。この結果、可撓部265の後側では、内面同士の上下方向の間隔が後側ほど広がるように内面が傾斜することになる。これにより、光ファイバ1と可撓部265との接触角を小さく設定でき、光ファイバの過度な湾曲を抑制しやすくなる。
更に第2実施形態では、可撓部265の上下面とも後側に丸みがつくように面取りが施されているため、可撓部265の厚さが後側ほど減少している。これにより、可撓部265の後側ほど大きく変形するようになるため、可撓部265の変形量が小さくても光ファイバ1が可撓部265と面接触若しくは複数個所で点接触するようになり、光ファイバの過度な湾曲を抑制しやすくなる。
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、例えば以下のように変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
<ブーツの取り付け方について>
第1実施形態によれば、スプリング押し40の後側にブーツ60を取り付けるための構造が形成されていた(図4参照)。また、第2実施形態によれば、係合部材240の後側にブーツ260を取り付けるための構造が形成されていた(図15参照)。これらの実施形態によれば、接着剤を用いることなく、ブーツを取り付けることが可能であった。但し、ブーツの取り付け方は、これに限られるものではない。
図16は、第1変形例のブーツの説明図である。第1変形例のブーツは、第1実施形態のブーツ60の固定部とは異なる固定部の形状をしており、このため、取り付け方法も異なっている。
第1変形例のブーツは、光ファイバを挿通させるための挿通穴が形成された筒状の部材である。後側には、第1実施形態と同様に凹状空間が形成されており、第1実施形態と同様に可撓部が形成されている。
第1変形例では、ブーツの外周部が、第1実施形態のハウジングの内周面に接着固定されることになる。このため、第1変形例のブーツの外周部は、ブーツを固定するための固定部に相当する。また、第1変形例では、ハウジングが光コネクタ本体のブーツ取付部材に相当することになる。この第1変形例の場合、前述のスプリング押し40には、ブーツを取り付けるための構造は不要である。
このような第1変形例のブーツであっても、可撓部の固定端がブーツの最後部よりも前側に配置されている。このため、光コネクタの全長の短縮を図ることができる。但し、接着剤を用いてブーツを取り付ける必要がある。
<可撓部について1>
第1実施形態及び第2実施形態によれば、上下方向に一対の可撓部が配置されていた。但し、左右方向にも一対の可撓部を配置しても良い。
図17は、第2変形例のブーツの説明図である。第2変形例のブーツは、上下方向に配置された一対の可撓部を有するだけでなく、左右方向に配置された一対の可撓部も有している。
特に、光ファイバテープ心線を用いない場合や、光ファイバが左右方向にも湾曲するおそれがある場合などには、左右方向にも一対の可撓部を配置することは有効である。例えば、単心の丸型の光ファイバコードや、素線が複数本収納された丸型の光ファイバチューブ等に含まれている光ファイバの先端に光コネクタを取り付けるような場合には、光ファイバが左右方向にも湾曲するおそれがあるので、左右方向にも一対の可撓部を配置することが有効になる。このように、可撓部は、別の方向に配置されていても良く、また、2対以上設けられていても良い。
<可撓部について2>
第1実施形態及び第2実施形態によれば、可撓部の全ての部分が光コネクタ本体の内部に収容されていた。但し、可撓部の後端が光コネクタ本体の最後部よりも後側に突出していても良い。
図18は、第3変形例の可撓部の説明図である。第3変形例では、可撓部の後端(自由端)が、ブーツの最後部よりも後側に若干突出している。このようなブーツであっても、可撓部の固定端がブーツの最後部よりも前側に配置されているため、光コネクタ本体の後側から突出する可撓部の長さを短縮でき、光コネクタの全長の短縮を図ることができる。
<光ファイバについて>
前述の実施形態では、12心の光ファイバテープ心線が採用されていた。但し、光ファイバテープ心線の心数は、他の数でも良い。また、光ファイバテープ心線が複数枚であっても良いし、1枚であっても良い。また、光ファイバが複数本ではなく、1本であっても良い。また、本実施形態のブーツが保護すべき光ファイバは、光ファイバテープ心線に含まれている光ファイバに限られるものではなく、単心の丸型の光ファイバコードや、素線が複数本収納された丸型の光ファイバチューブ等に含まれている光ファイバであっても良い。
1 光ファイバ、10 光コネクタ、20 フェルール、
31 ガイドピン、32 ピンクランプ、33 コイルスプリング、
40 スプリング押し(ブーツ取付部材)、
41 枠状本体、42 嵌合用突壁部、42a 係止爪、
43 後部側壁部、44 後壁部、44a 嵌合穴、46 突部収納部、
50 ハウジング、51 カップリング、52 押さえ面、
60 ブーツ、61 固定部、
62 突部、62a 頭部、62b 首部、62c 突出部、62d 挿通穴、
63 後端部、63a 位置決め突部、
64 凹状空間、64a 最深面、64b 側面、
65 可撓部、65a 固定端、65b 内面、65c 外面、65d 隙間、
80 治具、81 上面把持部、82 下面把持部、
83 連結部、84 開口、85 位置合わせ突部、
210 光コネクタ、220 フェルール、
231 ガイドピン、232 ピンクランプ、233 コイルスプリング、
240 係合部材(ブーツ取付部材)、241 受け部、242 弾性片、
245 爪部、245a 前側傾斜面、245b 頂部、
246 凹部、246a 段差部、246b 接触部、
247a 後部上壁部、247b 後部側壁部、
248 後壁部、248a 保持用突起、249 収納部、
250 ハウジング、253c 前縁、
254 操作用凸部、256 ストッパ、
260 ブーツ、261 固定部、
262 前側固定部、263 後側固定部、265 可撓部、
310 受け側光コネクタ、314 側面、315 係止部

Claims (8)

  1. 光コネクタの後側から延出する光ファイバを保護するためのブーツであって、
    光コネクタ本体にあるブーツ取付部材に固定するための固定部と、
    前記光ファイバを挟むように配置され、前記光ファイバの湾曲に応じて変形する一対の可撓部と、
    を備え、
    前記可撓部の前側の一端は前記固定部に支持された固定端になっており、後側の他端は自由端になっており、
    前記固定端は、前記固定部の最後部よりも前側になるように、配置されている
    ことを特徴とするブーツ。
  2. 請求項1に記載のブーツであって、
    前記他端が、前記光コネクタ本体の前記最後部と前後方向に同じ位置若しくは前記最後部よりも前側の位置になるように、配置されていることを特徴とするブーツ。
  3. 請求項2に記載のブーツであって、
    前記固定部に凹状空間が形成されており、
    前記凹状空間の前後方向の長さが、前記可撓部の前後方向の長さ以上である
    ことを特徴とするブーツ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のブーツであって、
    前記可撓部の内面同士の間隔が後側ほど広がるように、前記可撓部の前記内面が傾斜していることを特徴とするブーツ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のブーツであって、
    前記可撓部の後側ほど、前記可撓部の厚さが減少していることを特徴とするブーツ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のブーツであって、
    前記光ファイバは、光ファイバテープ心線に含まれており、
    前記光ファイバテープ心線の光ファイバ配列面の法線方向から前記光ファイバを挟むように、一対の前記可撓部が配置されている
    ことを特徴とするブーツ。
  7. 光コネクタ本体と、ブーツとを備え、後側から延出する光ファイバを前記ブーツが保護する光コネクタであって、
    前記ブーツは、
    光コネクタ本体にあるブーツ取付部材に固定するための固定部と、
    前記光ファイバを挟むように配置され、前記光ファイバの湾曲に応じて変形する一対の可撓部と、
    を備え、
    前記可撓部の前側の一端は前記固定部に支持された固定端になっており、後側の他端は自由端になっており、
    前記固定端は、前記光コネクタ本体の内部に配置されている
    ことを特徴とする光コネクタ。
  8. 請求項7に記載の光コネクタの接続に用いられる治具であって、
    前記光ファイバを通すための開口を有するC字形状をしており、
    前記光コネクタと接触する前側端面に、前記可撓部の外側に設けられている隙間に挿入するための一対の位置決め突部が形成されている
    ことを特徴とする治具。
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