JP5311282B2 - 静電荷像現像用トナー及びそれを用いた画像形成装置、トナー入り容器、プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
静電荷像を現像する方式には、大別して、絶縁性有機液体中に各種の顔料や染料が分散されている液体現像剤を用いる液体現像方式と、カスケード法、磁気ブラシ法、パウダークラウド法等のように、天然又は合成樹脂にカーボンブラック等の着色剤が分散されている乾式現像剤(以下、トナーと称する)を用いる乾式現像方式があり、近年、乾式現像方式が広く使用されている。
また、低温定着性を改善するために、結着樹脂として、特定の非オレフィン系結晶性重合体を添加する方法、結晶性ポリエステルを用いる方法が知られているが、分子構造、分子量について最適化されているとは言えない。また、これらの方法を適用してもDSM(Demand−side Management)プログラムの仕様を達成することは不可能である。
しかしながら、これらの製造方法では、ポリエステル樹脂をトナーにすることはできない。そこで、これらの問題を解決するために、ポリエステル系樹脂からなるトナーを水中で有機溶媒を用いて球形化したトナー(特許文献2参照)、イソシアネート基を有するプレポリマーとアミン類を反応させることにより得られるトナー(特許文献3参照)が開示されている。しかしながら、これらは低温定着性が不十分であり、定着に必要なエネルギーが多くなる問題点がある。特にフルカラー用のトナーではこの問題が顕著である。
しかし、カラープリンタは小型化が進んでおり、このトナーを用いても、印刷スピードを上げることによる熱やストレスにより、WAX成分や樹脂の不純物の染み出しが起こり、固着が発生するという問題があった。この問題は表面WAX量の少ないトナーにも発生しており、WAX以外の固着物を取り除く必要があった。
例えば、ポリエステル樹脂由来の低分子量成分の含有量を少なくしたトナー(特許文献4参照)が開示されているが、これも固着物を取り除くには不十分であった。
(1)少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤からなるトナーであって、該トナーは少なくとも有機溶媒中に、ポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、活性水素基を有する化合物、離型剤、着色剤を溶解又は分散させ、該溶液または分散液を水系媒体中で分散させ、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を活性水素基を有する化合物と架橋又は伸長反応させて得られたトナー粒子を水系媒体から分離し、分離したトナー粒子を水系媒体に再分散させてトナーのガラス転移温度以上に加熱したのち分離することによって得られたものであり、該トナーのGPCによるTHF可溶成分の分子量分布が、Mw4000〜11000であり、分子量200〜500の低分子量成分のピーク面積が全体の3.2%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。(2)前記トナーのガラス転移温度は、40℃以上であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)前記トナーの体積平均粒径は、4.5μm以上8μm以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の静電荷像現像用トナー。
(4)前記離型剤がポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスから選択される単独または2種以上含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(6)前記活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体が、末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステルプレポリマーであり、活性水素基を有する化合物がアミン類であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(7)前記トナーが非磁性一成分現像用トナーであることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを充填したことを特徴とするトナー容器。
(10)潜像担持体と、少なくとも潜像担持体上の潜像をトナーで現像する現像装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、前記トナーとして、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
本発明のトナーは、GPCによるTHF可溶成分の分子量分布が、Mw4000〜11000であり、分子量200〜500の低分子量成分のピーク面積が全体の3.2%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーであって、好ましくは少なくとも、有機溶媒中に、ポリエステル樹脂、活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体、活性水素基を有する化合物、離型剤、着色剤を溶解又は分散させることにより得られる溶液又は分散液を水系媒体中で分散させた後に、該活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体を、活性水素基を有する化合物と反応させることにより得られる静電荷像現像用トナーである。
前記分子量200〜500の成分のピーク面積は、全体の3.0%以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナーの製造方法は、上記の水系媒体中でトナー粒子を作製する方法に限らず、粉砕法等により造粒したトナーであっても良く、その場合は、着色剤、結着樹脂、離型剤を含むトナー母体粒子を造粒した後、上記と同様にトナー母体粒子を水系媒体に分散させ、得られるトナーのガラス転移温度以上に加熱することにより、前記低分量成分を取り除くことができ、前記ピーク面積が全体の3.2%以下とすることができる。
トナーのGPCによるTHF可溶成分の分子量分布は使用する結着樹脂の分子量や、組成により調整することができる。有機溶媒中に、ポリエステル樹脂、活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体、活性水素基を有する化合物、離型剤、着色剤を溶解又は分散させることにより得られる溶液又は分散液を水系媒体中で分散させた後に、該活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体を、活性水素基を有する化合物と反応させることにより得られる静電荷像現像用トナーにおいては、ポリエステル樹脂と、活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体との比率により調整することができる。
また、本発明においては、トナー耐熱保存性を確保するため、ガラス転移点を40℃以上に設計することが好ましい。
トナーは着色粒子(トナー母体)に必要に応じて外添剤を外添することによって得られる。
着色粒子を得る方法としては、公知の方法が挙げられ、具体的には混練粉砕法、溶解懸濁法、エステル伸長法などがあるが、特にエステル伸長法、混練粉砕法が好ましい。
以下に、粉砕法及びエステル伸長法について述べる。
粉砕法を用いてトナーを製造する方法としては、従来公知の手段に従い、少なくとも、結着樹脂、本発明の荷電制御剤及び着色剤からなるトナー組成物を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程を有するトナーの製造方法が挙げられる。なお、機械的に混合する工程や溶融混練する工程において、粉砕又は分級する工程で得られる製品となるトナー以外のものを再利用してもよい。
機械的に混合する工程は、攪拌羽根を有する混合機等を用いて通常の条件で行えばよく、特に制限されない。この工程が終了したら、混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機やロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。具体的には、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型押出機(東芝機械社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、PCM型2軸押出機(池貝鉄工所社製)、コニーダー(ブス社製)等が挙げられる。溶融混練は、結着樹脂の分子鎖を切断しないような条件で行う必要がある。溶融混練温度が結着樹脂の軟化点より低過ぎると、分子鎖の切断が起こり、高過ぎると、本発明の荷電制御剤、着色剤等の分散が進まないため、溶融混練温度は、樹脂の軟化点に応じて適宜設定されることが好ましい。
溶融混練する工程が終了したら、混練物を粉砕する。粉砕する工程においては、粗粉砕した後に、微粉砕することが好ましい。このような粉砕方法としては、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕する方法、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕する方法、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方法が挙げられる。この工程が終了した後に、遠心力等を用いて粉砕物を気流中で分級することにより、所定の粒子径を有するトナーを得ることができる。
加熱処理は40℃程度のイオン交換水に分散させて行う。分散させる際に、トナーのガラス転移温度以上に加熱することが望ましい。加熱処理の際にトナーを分散させるために界面活性剤を添加してもよい。あとは、[エステル伸長法]の加熱処理、乾燥と同様に行い、トナー粒子を得る。
結着樹脂の種類は特に制限されず、フルカラートナーの分野で公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、COC(環状オレフィン樹脂(例えば、TOPAS−COC(Ticona社製)))等であってよいが、オイルレス定着の観点から結着樹脂はポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
本発明において好ましく使用されるポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸,1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
より好ましい第1の結着樹脂は、上述した多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂、特に多価アルコール成分としてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を用い、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸およびフマル酸を用いて得られたポリエステル樹脂である。
より好ましい第2の結着樹脂はビニル系ポリエステル樹脂、特にポリエステル樹脂の原料モノマーとしてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸およびコハク酸を用い、ビニル系樹脂の原料モノマーとしてスチレンおよびブチルアクリレートを用い、両反応性モノマーとしてフマル酸を用いて得られたビニル系ポリエステル樹脂である。
本発明のトナーは、有機溶媒中に少なくともポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤および離型剤を溶解又は分散させた後、該溶解物又は分散物を水系媒体中に分散させ造粒する工程を少なくとも含む方法(エステル伸長法)によっても得ることができる。
まずエステル伸長法において用いる原料について述べる。
本発明のトナーは、前記有機溶媒中に、さらに層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を溶解又は分散させることが好ましい。
層状無機鉱物は厚さ数nmの層が重ね合わさってできている無機鉱物の事を言い、有機物イオンで変性するとはその層間に存在するイオンに有機物イオンを導入することを言う。
層状無機鉱物としては、スメクタイト族(モンモリロナイト、サポナイトなど)、カオリン族(カオリナイトなど)、マガディアイト、カネマイトが知られている。変性層状無機鉱物はその変性された層状構造により親水性が高い。その為、層状無機鉱物を変性すること無しに水系媒体中に分散して造粒するトナーに用いるvと、水系媒体中に層状無機鉱物が移行し、トナーを異形化することが出来ないが、変性することにより、親水性が高くなって、造粒時に容易に表面に存在し、分散して微細化し、異形化することができ、さらに電荷調整機能を十分に発揮する。このとき、トナー材料中の変性層状無機鉱物の含有量は、0.05〜2質量%であることが好ましい。
前記有機物イオン変性剤としては分岐、非分岐または環状アルキル(C1〜C44)、アルケニル(C1〜C22)、アルコキシ(C8〜C32)、ヒドロキシアルキル(C2〜C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を有する硫酸塩、スルフォン酸塩、カルボン酸塩、またはリン酸塩が上げられる。エチレンオキサイド骨格を持ったカルボン酸が望ましい。
一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物は、適宜選択することができるが、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト及びこれらの混合物等が挙げられる。中でも、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができ、添加量を少量とすることができることから有機変性モンモリロナイト又はベントナイトが好ましい。
一般式(1) R1(OR2)nOSO3M
[式中、R1は炭素数13を有するアルキル基、R2は炭素数2から6を有するアルキレン基を表す。nは2から10の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す]
変性層状無機鉱物を用いることにより、適度な疎水性を持つため、液滴界面に存在しやすくなることより、表面偏在し、帯電性を発揮出来る。
本発明で使用されるポリエステル樹脂の種類としては特に制限なく、いかなるものでも使用することができ、また数種のポリエステル樹脂を混合して使用しても良い。ポリエステル樹脂としては例えば、以下のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物が挙げられる。好ましくは、ポリカルボン酸として芳香族ポリカルボン酸を用いた芳香族基含有ポリエステル骨格を有する未変性のポリエステル樹脂である。
ポリオール(1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、等の4,4′−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類など);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
尚、上記ポリオールは1種類単独または2種以上の併用が可能で、上記に限定されるものではない。
ポリカルボン酸(2)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物など)などが挙げられる。
尚、上記ポリカルボン酸は1種類単独または2種以上の併用が可能で、上記に限定されるものではない。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると低温定着性が悪化する。
重量平均分子量は、通常2000〜25000、好ましくは2500〜15000、さらに好ましくは3000〜8000である。
本発明のトナーは、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を、活性水素基を有する化合物と架橋又は伸長反応させることにより得られる樹脂を結着樹脂として含有することが好ましい。オフセット防止などの目的で粘弾性調整のために、該活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体が、末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステルプレポリマーであり、活性水素基を有する化合物がアミン類であり、トナーは、ウレア変性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。水系媒体中でトナーを造粒する際に、架橋又は伸長反応させてウレア変性ポリエステル樹脂とすることにより、粘弾性調整のための比較的高分子量の変性ポリエステル樹脂をトナーの芯部分に含有させることが容易となる。該ウレア変性ポリエステル樹脂の含有割合は、結着樹脂中、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。含有割合が20質量%より多くなると低温定着性が悪化する。
前記イソシアネート基を有するプレポリマーとしては、前記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐オフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。0.5質量%未満では、耐オフセット性が悪化する。また、40質量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、鎖伸長及び/又は架橋後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐オフセット性が悪化する。
本発明において、鎖伸長及び/又は架橋剤として、アミン類を用いることができる。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミンなど);
脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);
および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミンなど)など
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
さらに、必要により鎖伸長及び/又は架橋反応は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2より大きかったり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得る事ができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
また、本発明に使用する離型剤としては、公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
(無機微粒子)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ケイ素/酸化マグネシウムや酸化ケイ素/酸化アルミニウムなどの複合酸化物、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
エステル伸長法は、有機溶媒中に少なくともポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤および離型剤を溶解又は分散させた後、該溶解物又は分散物を水系媒体中に分散させ造粒する工程を少なくとも含むことからなる。
より具体的には、以下の通りである。
(有機溶媒)
ポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤および離型剤を溶解又は分散させる有機溶媒としては、「POLYMER HANDBOOK」4th Edition,WILEY−INTERSCIENCEのVolume 2,Section VII記載のHansen溶解度パラメーターが19.5以下となるものが好ましく、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。ポリエステル樹脂、着色剤および離型剤は同時に溶解又は分散させても良いが、通常それぞれ単独で溶解又は分散され、その際使用する有機溶媒はそれぞれ異なっていても同じでも良いが、後の溶媒処理を考慮すると同じ方が好ましい。
ポリエステル樹脂の溶解又は分散液は、樹脂濃度が40%〜80%程度であることが好ましい。濃度が高すぎると溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらい。また、濃度が低すぎるとトナーの製造量が少なくなる。芳香族基含有ポリエステル骨格を有する結着樹脂に前記末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル樹脂を混合する場合は、同じ溶解又は分散液に混合しても良いし、別々に溶解又は分散液を作製しても良いが、それぞれの溶解度と粘度を考慮すると、別々の溶解又は分散液を作製する方が好ましい。
着色剤は単独で溶解又は分散しても良いし、前記ポリエステル樹脂の溶解又は分散液に混合しても良い。また必要に応じて、分散助剤やポリエステル樹脂を添加しても良いし、前記マスターバッチを用いても良い。
離型剤としてワックスを溶解又は分散する場合、ワックスが溶解しない有機溶媒を使用する場合は分散液として使用することになるが、分散液は一般的な方法で作製される。即ち、有機溶媒とワックスを混合し、ビーズミルの如き分散機で分散すれば良い。また、有機溶媒とワックスを混合した後、一度ワックスの融点まで加熱し、攪拌しながら冷却した後、ビーズミルの如き分散機で分散した方が、分散時間が短くて済むこともある。また、ワックスは複数種を混合して使用しても良いし、分散助剤やポリエステル樹脂を添加しても良い。
用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。更には、上記油相で使用したHansen溶解度パラメーターが19.5以下の有機溶媒を混合してもよく、好ましくは水に対する飽和量付近の添加量が油相の乳化または分散安定性を高めることができる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。トナー組成物100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。また、2000質量部を超えると経済的でない。
上記水系媒体中に、前記トナー組成物の溶解物または分散物を分散させる際、無機分散剤または有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させておくことにより、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えはビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用である。
樹脂を有機樹脂微粒子の水性分散液にする方法は、特に限定されないが、以下の(a)〜(h)が挙げられる。
(a)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
(e)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(f)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(h)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
また、トナー組成物が含まれる油性相を水系媒体中に乳化、分散させるために、必要に応じて、界面活性剤等を用いることもできる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
得られた乳化分散体から有機溶剤を除去するために、公知の方法を使用することができる。例えば、常圧または減圧下で系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
ウレア変性ポリエステル樹脂を導入する目的で、末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル樹脂およびこれと反応可能なアミン類を添加する場合は、水系媒体中にトナー組成物を分散する前に油相中でアミン類を混合しても良いし、水系媒体中にアミン類を加えても良い。上記反応に要する時間は、ポリエステルプレポリマーの有するイソシアネート基構造と、加えたアミン類との反応性により選択されるが、通常1分〜40時間、好ましくは1〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜98℃である。この反応は、前記微粒子付着工程の前に行っても良いし、微粒子付着工程中に同時進行させても良い。また、微粒子付着工程が終了してからでも良い。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。
水系媒体に分散されたトナー粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。
即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良いし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
<加熱処理>
加熱処理工程は、前述の洗浄乾燥工程中に挿入されることが好ましく、少なくとも一度の固液分離をしたあとのトナー粒子を再分散させる際に、トナーのガラス転移温度以上に加熱することが望ましい。加熱処理の際にトナーを分散させるために界面活性剤を添加してもよい。
乾燥工程後に加熱処理を行う場合には、トナーを充分水系に分散させるために、界面活性剤を媒体に添加することが特に好ましい。
この処理によりトナー表面に露出している低分子量成分が溶融して水系媒体中に遊離する。加熱温度はトナーのガラス転移温度以上であれば良いが、あまり高すぎるとトナー同士が凝集する場合があるので注意を要する。加熱時間は1時間〜24時間であることが好ましく、特に8時間〜16時間であることが好ましい。加熱時間が短いと低分子量成分が十分に溶融せず、また、過熱時間が24時間で低分子量成分の溶融量がほぼ飽和するため24時間以上加熱する必要はない。
その後、必要に応じて洗浄・固液分離を行い最終的に乾燥してトナー粒子を得る。
得られた乾燥後のトナー粉体と前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
本発明のトナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
図1は本発明にかかる画像形成装置の一例を示す概略図である。潜像担持体1は、帯電装置2で帯電され、潜像担持体1上へ潜像が書き込まれる。現像ローラ40と像担持体1にはバイアスが印加されており、書き込まれた潜像は、供給ローラ41により供給され現像ローラ40上で規制ブレード43により薄層化された現像剤44との接触部で潜像に従って現像、可視化される。潜像上に現像可視化された現像剤44は、中間転写材8に一旦転写され、紙などの記録媒体9に転写され、定着装置で記録媒体9上に固定化される。一方、潜像上の現像剤は、中間転写材通過後もわずかではあるが潜像担持体上に残存する。この現像剤はブレード状のクリーニング部材7で回収、廃棄される。
図2は現像装置(プロセスカートリッジ)の概略図である。容器内部のトナー補給部の現像剤(トナー)44は、供給ローラ41で攪拌されながら、現像ローラ40のニップ部分に運ばれる。さらに、規制ブレード43で現像ローラ上のトナー量が規制され、現像ローラ上のトナー薄層が形成される。また、トナーは、供給ローラと現像ローラのニップ部と規制部材と現像ローラの間で摺擦され、適正な帯電量に制御される。特にクリーナレスプロセスでは、転写トナーを回収するため、帯電性が適正値から大きくずれる。そのため、現像ローラで回収したトナーは、供給ローラで十分に掻き取り除去できなければならない。
本発明の現像剤は、例えば図3に示すようなプロセスカートリッジを備えた画像形成装置に於いて使用することもできる。
本発明においては、潜像担持体、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
<測定方法>
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)の測定としては、例えば示差走査熱量計(例えばDSC−6220R:セイコーインスツル社)を用いて、まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して、ガラス転移点以下のベースラインと、ガラス転移を示す曲線部分の接線との交点で求めることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を固形分にして2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dp)を求めることができる。
(1)(分子量)
トナーや使用するポリエステル樹脂などの分子量は、通常のGPC(gel permeation chromatography)によって以下の条件で測定した。
・装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
・カラム:TSKgel SuperHZM−M x 3
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:0.35ml/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.01ml注入
・検出器:UV(230nm)
以上の条件で測定したトナー樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出した。単分散ポリスチレン標準試料としては、5.8×100〜7.5×1000000の範囲のものを10点使用した。
(2)ピーク面積の割合
得られたクロマトグラムから、全体のピーク面積と分子量200〜500のピーク面積を求め、ピーク面積の割合を算出した。
分子量200〜500のピーク面積の割合(%)
=(分子量200〜500のピーク面積/全体のピーク面積)×100
(ポリエステル1)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物553部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物196部、テレフタル酸220部、アジピン酸45部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸46部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル1]を得た。[ポリエステル1]は、数平均分子量2200、重量平均分子量5600、Tg43℃、酸価13であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物519部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物233部、テレフタル酸127部、イソフタル酸137部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で5時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で、4時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸51部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[ポリエステル2]を合成した。得られた[ポリエステル2]は、数平均分子量が1700、重量平均分子量が4400、ガラス転移温度が40℃であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物1230g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物290g、イソドデセニル無水コハク酸250g、テレフタル酸310g、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸180g及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド7gを、常圧下、230℃に昇温して縮重合反応を行わせた。
重合度は、定荷重押出し形細管式レオメータを用いて測定した軟化温度により追跡を行い、所望の軟化温度に達したときに反応を終了させ、[ポリエステル3]を得た。数平均分子量が2600、重量平均分子量が32000、ガラス転移温度は62℃であった。
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル400R):40部、結着樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成RS−801 酸価10、Mw20000、Tg64℃):60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
<顔料・WAX分散液(油相)の作製>
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]378部、パラフィンワックス(HNP9)120部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液655部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)が50%となるように酢酸エチルを加えて調整した。
イオン交換水953部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液88部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)90部、酢酸エチル113部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
[顔料・WAX分散液1]967部、変性層状無機鉱物クレイトンAPA(Southern Clay Products社製)を2%(トナー固形分換算)添加し、アミン類としてイソホロンジアミン6部、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[プレポリマー1]137部を加えTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液にイオン交換水200部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)90部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数2500rpmで5分間)した後、反応容器にいれて、60℃に加熱しながら16時間攪拌して[加熱後スラリー1]を得た。
(4):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(5):(4)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(6):(5)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(7):(6)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合
(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
(定着分離評価)
外添処理を行ったトナー(現像剤)をリコー製ipsio CX2500を用いて、A4縦通紙で先端3mmに幅36mmのべた帯画像(付着量9g/m2)を印字した未定着画像を作製した。この未定着画像を以下の定着装置を用いて、130℃〜190℃の範囲で10℃刻みの定着温度で定着させ、分離可能/非オフセット温度域を求めた。当該温度域は、加熱ローラからの紙の分離が良好に行われ、オフセット現象が発生せず、かつ容易に画像はがれが起きない定着温度範囲をいう。使用ペーパー及び通紙方向は、分離性に不利な45g/m2紙のY目の縦通紙で行った。定着装置周速は120mm/secであった。
定着装置は、図6に示すようなフッ素系表層剤構成のソフトローラタイプのものである。詳しくは、加熱ローラ11は、外径40mmで、アルミ芯金13上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層14及びPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)表層15を有しており、アルミ芯金内部にヒーター16を備えている。加圧ローラ12は、外径40mmで、アルミ芯金17上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層18及びPFA表層19を有している。なお、未定着画像20が印字されたペーパー21は図のように通紙される。
○:分離可能/非オフセット温度域が50℃以上であった;
△:分離可能/非オフセット温度域が30℃以上50℃未満であった;
×:分離可能/非オフセット温度域が30℃未満であった。
図7に示す構成の定着器(面圧:0.7×105Pa.S)をリコー社製複写機imagio MF6550に装着し、ヒーター温度を振って(変化させて)コピーを行い定着画像を得た。定着後の画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、ゆっくり引き剥がした。テープを貼る前と引き剥がし後の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、次の式により定着率を算出した。
定着率(%)
=テープ引き剥がし後の画像濃度/テープを貼る前の画像濃度×100
定着ローラの温度を段階的に下げて、定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とした。
評価結果を次の3段階でランク付けした。
○:定着温度135℃未満、
△:135℃以上145℃未満、
×:145℃以上
得られたトナーをリコー製ipsio CX2500のプロセスカートリッジに入れ、加速耐久として現像ローラを400rpmで40分間回転させた。加速耐久後の現像ローラ上の搬送面を観察したところ、均一な搬送面が形成されていた。さらに規制ブレードを取り出し、エアーガンで付着しているトナーを吹き飛ばしたところ、規制ブレードには付着物は見られず、規制ブレード固着は全く発生していなかった。
なお、各評価結果の判断基準は次のとおりである。
◎ ブレードに固着物は全く無い
○ ブレードにごく僅かに固着物があるものの、印字画像には影響が無く実使用上問題
が無い
△ ブレードに指でこすると離脱する固着物があり、印字画像に白い筋ノイズが現われ
実使用上問題がある
× ブレードに指でこすっても離脱しない固着物があり、印字画像に白い筋ノイズが現
われ実使用上問題がある
実施例1の洗浄工程(3)の加熱温度と攪拌時間を表1に示されているように変更した以外は、実施例1と同様に行い実施例2〜5、比較例1,2のトナーを得、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。また、比較例1に示す製造方法によって得られたトナーのGPCチャートを図5に示した。
実施例1の(ポリエステル1)を(ポリエステル2)に変更し、<乳化工程>のイソホロンジアミンを0.7部、[プレポリマー1]16部に変更した以外は実施例1と同様に行い、実施例6のトナーを得、実施例1と同様に評価を行った。
実施例6の洗浄工程(3)の加熱温度と攪拌時間を表1に示されているように変更した以外は、実施例6と同様に行い実施例7と比較例3〜5のトナーを得、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
(トナー粒子の作成)
(1−前混合)
ポリエステル1を80部、ポリエステル3を20部、離型剤としてHNP−9(日本精鑞社製)を2.5重量部、C.I.Pigment Red 57−1を4質量部含有相当のマスターバッチを加えヘンシェルミキサーで十分混合した。
(2−混練)
臼式混練機(コロクドミル)を、供給量95Kg/h、スクリュ回転数85rpm、制御温度は、供給部(F)を10℃、バレル部(K1〜K4)を125℃、ベント部(V)、ダイス部(D)を100℃にそれぞれ設定して溶融混練を行った。得られた混練物を冷却プレスローラーで2mm厚に圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。
(3−粉砕分級、外添)
その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径9〜11μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチックエ業社製)で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ:100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して分級を行い、体積平均粒径8.0umのトナー母体を得た。
得られた濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
その後、リスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
この濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し濾過ケーキを得た。
実施例1の<乳化工程>のイソホロンジアミンを9部、[プレポリマー1]206部に変更し、洗浄工程(3)を行わなかった以外は実施例1と同様に行い、比較例7のトナーを得、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
(図6について)
11 加熱ローラ
12 加圧ローラ
13 アルミ芯金
14 弾性体層
15 PFA表層
16 ヒーター
17 アルミ芯金
18 弾性体層
19 PFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)表層
20 未定着画像
21 印字されたペーパー
22 ヒーター
23 PFA層(図7について)
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 金属シリンダー
4 オフセット防止層
5 加熱ランプ
6 金属シリンダー
7 オフセット防止層
8 加熱ランプ
T トナー像
S 付着支持体
Claims (10)
- 少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤からなるトナーであって、該トナーは少なくとも有機溶媒中に、ポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、活性水素基を有する化合物、離型剤、着色剤を溶解又は分散させ、該溶液または分散液を水系媒体中で分散させ、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を活性水素基を有する化合物と架橋又は伸長反応させて得られたトナー粒子を水系媒体から分離し、分離したトナー粒子を水系媒体に再分散させてトナーのガラス転移温度以上に加熱したのち分離することによって得られたものであり、該トナーのGPCによるTHF可溶成分の分子量分布が、Mw4000〜11000であり、分子量200〜500の低分子量成分のピーク面積が全体の3.2%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記トナーのガラス転移温度は、40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナーの体積平均粒径は、4.5μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤がポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスから選択される単独または2種以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記有機溶媒中に、さらに層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を溶解又は分散させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体が、末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステルプレポリマーであり、活性水素基を有する化合物がアミン類であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナーが非磁性一成分現像用トナーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを充填したことを特徴とするトナー容器。
- 潜像担持体と、少なくとも潜像担持体上の潜像をトナーで現像する現像装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、前記トナーとして、請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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