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JP5395601B2 - 半導体集積回路 - Google Patents

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JP5395601B2
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Description

本発明は、電界効果トランジスタを用いた半導体集積回路に関する。
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた回路において、NチャンネルMOSFETのゲートソース間しきい値電圧VthnとPチャンネルMOSFETのゲートソース間しきい値電圧Vthpが一致することはまれであり、半導体製造プロセスのばらつき(以下プロセスばらつきという)によって、VthnとVthpは、デバイス個体ごと、ウエハごと、ロットごとに異なる場合が多い。かかるしきい値電圧Vthn、Vthpのアンバランスは、電源電圧Vddが低下した状態(減電圧状態)において、回路動作に影響を及ぼす。
この問題を、図1を参照して説明する。図1(a)、(b)は、フィードフォワードAB級出力回路の構成を示す回路図およびその動作特性を示す図である。出力回路200は、プッシュプル形式で接続された出力トランジスタMO1、MO2と、バイアス回路202を備える。出力回路200の前段には、入力段として差動増幅器(不図示)が接続されるが、説明の簡素化および理解の容易化のために省略されている。バイアス回路202は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(以下、単にトランジスタという)M11〜M16、上側電流源204、206、下側電流源208、210を含む。
上側電流源204は、電源端子側に設けられ、上側バイアス電流Ip1を生成する。上側バイアス電流Ip1は、理想状態において単位電流Iである。トランジスタM11、M16はカレントミラー回路を形成しており、トランジスタM16は、上側電流源204が生成した単位電流Iが流れるようにバイアスされる。トランジスタM13は、トランジスタM11のソース電位と、トランジスタM16のソース電位をバランスさせるために、出力トランジスタMO2に対応づけて設けられている。
下側電流源208は、接地端子側に設けられ、下側バイアス電流In1を生成する。下側バイアス電流In1も、理想状態において単位電流Iである。トランジスタM12、M15はカレントミラー回路を形成しており、トランジスタM15は、下側電流源208が生成した単位電流Iが流れるようにバイアスされる。トランジスタM14は、トランジスタM12のソース電位と、トランジスタM15のソース電位をバランスさせるために、出力トランジスタMO1に対応づけて設けられている。
上側電流源206が生成した上側バイアス電流Ip2および下側電流源210が生成した下側バイアス電流In2は、いずれも理想状態において単位電流Iの2倍(2I)であり、トランジスタM15、M16に単位電流Iずつ分配される。以上が出力回路200の構成である。この出力回路200は、
Ip1:In1:Ip2:In2=1:1:2:2
が成立するときに、正常に動作する。なお一般的には上側電流源204と206は、カレントミラー回路を用いて形成されるため、Ip1:Ip2=1:2は無条件に成立し、同様の理由からIn1:In2=1:2は無条件に成立するものと考えてもよい。
特開平9−130166号公報
図1(a)の出力回路200の動作電圧範囲を検討する。上側電流源204、トランジスタM11、M12は、
2×Vthn+VdsSAT<Vdd …(1)
なる領域で正常動作する。VdsSATは、上側電流源204が単位電流Iを生成することができる両端間電圧の下限値(飽和電圧)である。同様に、下側電流源208、トランジスタM13、M14は、
2×Vthp+VdsSAT<Vdd …(2)
なる領域で正常動作する。ここでのVdsSATは、下側電流源208が単位電流Iを生成することができる両端間電圧の下限値(飽和電圧)である。
ここで、プロセスばらつき等によってVthn<Vthpなる状況を考える。電源電圧Vddが十分に高い領域(I)では、バイアス電流Ip1、In1はいずれも単位電流Iに保たれる。電源電圧Vddが低下すると(領域(II))、式(1)は成立するが、式(2)が成立しなくなるため、バイアス電流In1のみが単位電流Iに保たれ、バイアス電流Ipは目標値の単位電流Iより小さくなる。さらに電源電圧が低下すると(領域(III))、式(1)が成り立たなくなり、バイアス電流Inも単位電流Iより小さくなる。
領域(II)では、出力回路200のバイアス状態が完全にアンバランスとなり、回路動作に問題が生ずる。
このような問題は、図1(a)の出力回路200のみでなく、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inの対称性が要求されるさまざまな回路において生じうる。
本発明はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、減電圧状態の動作を改善した半導体集積回路の提供にある。
本発明のある態様は、半導体集積回路に関する。この半導体集積回路は、上側バイアス電流と下側バイアス電流を受け、それらがバランスした状態において所定の信号処理を行うよう構成されたメイン回路と、第1基準電流を受け、調節された第2基準電流を生成する基準電流調節部と、メイン回路の電源端子側に設けられ、第2基準電流に応じた上側バイアス電流をメイン回路に供給する上側電流源と、メイン回路の接地端子側に設けられ、第2基準電流に応じた下側バイアス電流をメイン回路に供給する下側電流源と、を備える。基準電流調節部は、上側バイアス電流と下側バイアス電流が等しくなるように、第2基準電流を生成する。
この態様によると、減電圧状態においても、上側バイアス電流と下側バイアス電流のバランスを保つことができ、メイン回路を安定に動作させることができる。
本発明の別の態様もまた、半導体集積回路である。この半導体集積回路は、上側バイアス電流および下側バイアス電流を受け、それらがバランスした状態において所定の信号処理を行うように構成されたメイン回路であって、少なくとも、上側バイアス電流が供給される経路上に設けられ、ゲートソース間が接続されたM個(Mは自然数)のNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、下側バイアス電流が供給される経路上に設けられ、ゲートソース間が接続されたM個のPチャンネルMOSFETを含むメイン回路と、第1の導電性のMOSFETのペアを含み、所定の電流値を有する第1基準電流をコピーする第1カレントミラー回路と、第2の導電性のMOSFETのペアを含み、第1カレントミラー回路の出力電流をコピーし、第2基準電流を出力する第2カレントミラー回路と、第1カレントミラー回路の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第1の導電性のMOSFETと、第2カレントミラー回路の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第2の導電性のMOSFETと、メイン回路の電源端子側に設けられ、メイン回路に第2基準電流に応じた上側バイアス電流を供給する上側電流源と、メイン回路の接地端子側に設けられ、メイン回路に第2基準電流に応じた下側バイアス電流を供給する下側電流源と、を備える。
この態様によると、減電圧状態においても、上側バイアス電流と下側バイアス電流のバランスを保つことができ、メイン回路を安定に動作させることができる。
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、減電圧状態の動作を改善できる。
図1(a)、(b)は、フィードフォワードAB級出力回路の構成を示す回路図およびその動作特性を示す図である。 実施の形態に係る半導体集積回路の構成を示すブロック図である。 図3(a)、(b)は、図2の半導体集積回路の第2基準電流の電源電圧依存性を示す図である。 図4(a)、(b)は、基準電流調節部の構成例を示す回路図である。 図5(a)、(b)は、上側電流源、下側電流源の具体的な構成例を示す回路図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図2は、実施の形態に係る半導体集積回路100の構成を示すブロック図である。半導体集積回路100は、メイン回路10、上側電流源20H、下側電流源20L、基準電流調節部30を備える。
メイン回路10は、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inを受け、それらがバランスした状態において所定の信号処理を行うよう構成される。バイアス電流Ip、Inにアンバランスが生ずると、メイン回路10は動作不能となり、あるいはその特性が悪化する。たとえばメイン回路10は演算増幅器であり、バイアス電流のアンバランスにより、線形性、歪み特性などが悪化する。メイン回路10の構成は特に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、たとえば図1のフィードフォワードAB級出力回路や、レイル−レイルアンプが例示される。
基準電流調節部30は、第1基準電流IBOを受け、調節された第2基準電流Iを生成する。
上側電流源20Hは、メイン回路10の電源端子側に設けられ、第2基準電流Iに応じた上側バイアス電流Ipをメイン回路10に供給する。下側電流源20Lは、メイン回路10の接地端子側に設けられ、第2基準電流Iに応じた下側バイアス電流Inをメイン回路10に供給する。
たとえばメイン回路10は、上側バイアス電流Ipの供給先に設けられた第1回路10_1と、下側バイアス電流Inの供給先に設けられた第2回路10_2を含む。
上側電流源20Hが所定の上側バイアス電流Ipを生成するためには、その両端間の電圧が、飽和電圧VSATHより大きくなければならない。第1回路10_1の両端間の電圧(第1しきい値電圧という)をVth1と書くとき、上側バイアス電流Ipは、
Vdd>Vth1+VSATH …(3)
が成り立つときに、正常に生成される。電源電圧Vddがそれよりも小さくなると、上側バイアス電流Ipは基準電流Iに応じた目標値よりも小さくなる。
同様に下側電流源20Lが所定の下側バイアス電流Inを生成するためには、その両端間の電圧が、飽和電圧VSATLより大きくなければならない。第2回路10_2の両端間の電圧(第2しきい値電圧という)をVth2と書くとき、下側バイアス電流Inは、
Vdd>Vth2+VSATL …(4)
が成り立つときに、正常に生成される。電源電圧Vddがそれよりも小さくなると、下側バイアス電流Inは基準電流Iに応じた目標値よりも小さくなる。以下では、説明の簡易化および理解の容易化のため、VSATH≒VSATLが成り立つものとする。
基準電流調節部30は、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inが等しくなるように、第2基準電流Iを生成する。具体的には、第2基準電流Iは以下の性質を有する。図3(a)、(b)は、図2の半導体集積回路100の第2基準電流Iの電源電圧依存性を示す図である。図3(a)は、Vth1>Vth2のときの特性を、図3(b)はVth1<Vth2のときの特性を示す。
(1)Vth1>Vth2のとき
図3(a)を参照する。仮に第2基準電流Iを固定した状態にて電源電圧Vddを変化させると、電源電圧Vddが十分に高い第1領域(I)では、上側バイアス電流Ip、下側バイアス電流Inともに目標値に保たれる。
電源電圧Vddを低下させていき、その値がVth1+VSATHより低くなると、上側バイアス電流Ipが減少し始める(第2領域(II))。さらに電源電圧Vddの値がVth2+VSATLより低くなると、下側バイアス電流Inが減少し始める。
この場合、基準電流調節部30は、第2基準電流Iの電源電圧Vddに対する依存性が、上側バイアス電流Ipの電源電圧Vddに対する依存性と等しくなるように、第2基準電流Iを生成する。図3(a)に示すように、第2基準電流Iは、第2基準電流Iを固定した場合の上側バイアス電流Ipよりもわずかに小さいことが好ましい。この場合、後述の上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのバランスを最も改善することができる。ただし第2基準電流Iは、第2基準電流Iを固定した場合の上側バイアス電流Ipと完全に一致しても良いし、上側バイアス電流Ipよりわずかに大きくてもよい。
(2)Vth1<Vth2のとき
図3(b)を参照する。バイアス電流Iを固定した状態にて電源電圧Vddを低下させていき、その値がVth2+VSATLより低くなると、下側バイアス電流Inが減少し始める(第3領域(III))。さらに電源電圧Vddの値がVth1+VSATHより低くなると、上側バイアス電流Ipが減少し始める。
この場合、基準電流調節部30は、第2基準電流Iの電源電圧Vddに対する依存性が、下側バイアス電流Inの電源電圧Vddに対する依存性と等しくなるように、第2基準電流Iを生成する。
Vth1とVth2の大小関係は、プロセスばらつきや温度変動によって変化する場合がある。基準電流調節部30は、Vth1>Vth2、Vth1<Vth2のいずれの状況においても、適切な第2基準電流Iを発生させる。ある観点から見ると、基準電流調節部30は、図3(a)、(b)に示される上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのうち小さい方を第2基準電流Iに設定する最小値選択回路と把握することもできる。
以上が半導体集積回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
(1)Vth1>Vth2のとき
第1領域(I)では、上側電流源20H、下側電流源20Lがいずれも正常に動作し、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのバランスが保たれる。
第2領域(II)では、上側電流源20Hが正常に動作せず、目標値より小さな上側バイアス電流Ipが生成される。一方、下側電流源20Lは正常に動作するが、第2基準電流Iが減少するため、上側バイアス電流Ipと同程度の、目標値より小さな下側バイアス電流Inが生成される。その結果、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのバランスが保たれる。
(2)Vth1<Vth2のとき
第1領域(I)では、上側電流源20H、下側電流源20Lがいずれも正常に動作し、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのバランスが保たれる。
第3領域(III)では、下側電流源20Lが正常に動作せず、目標値より小さな下側バイアス電流Inが生成される。一方、上側電流源20Hは正常に動作するが、第2基準電流Iが減少するため、下側バイアス電流Inと同程度の、目標値より小さな上側バイアス電流Ipが生成される。その結果、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのバランスが保たれる。
このように図2の半導体集積回路100によれば、第1領域(I)はもちろんのこと、減電圧状態である第2領域(II)、第3領域(III)においても、上側バイアス電流Ipと下側バイアス電流Inのバランスを保つことができ、メイン回路10の回路動作を安定化することができる。
図4(a)、(b)は、基準電流調節部30の構成例を示す回路図である。
図4(a)を参照する。メイン回路10aの第1回路10_1は、ソースが接地され、ゲートドレイン間が接続されたひとつのNチャンネルMOSFET(M21)を含む。このときの第1しきい値電圧Vth1は、
Vth1=Vthn
である。Vthnは、トランジスタM21のゲートソース間しきい値電圧である。
第2回路10_2は、ソースが接地され、ゲートドレイン間が接続されたひとつのPチャンネルMOSFET(M22)を含む。このときの第2しきい値電圧Vth2は、
Vth2=Vthp
である。Vthpは、トランジスタM22のゲートソース間しきい値電圧である。
たとえばトランジスタM21、M22はバイアス電流Ip、Inをコピーするカレントミラー回路の入力側トランジスタであってもよい。
メイン回路10aに対応する基準電流調節部30aは、第1カレントミラー回路32、第2カレントミラー回路34を含む。第1カレントミラー回路32は、第1基準電流IBOをコピーする。第2カレントミラー回路34は、第1カレントミラー回路32の出力電流をコピーし、第2基準電流Iを出力する。
第1カレントミラー回路32と第2カレントミラー回路34の一方(ここでは第1カレントミラー回路32)は、NチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のペアM41、M42を含む。他方(ここでは第2カレントミラー回路34)はPチャンネルMOSFETのペアM43、M44を含む。
基準電流調節部30aを構成するMOSFETのW/Lは、メイン回路10aの中のカレントミラー回路(不図示)のW/Lよりも小さく設計される。Wはゲート幅、Lはゲート長である。つまり基準電流調節部30aの電流駆動能力はメイン回路10a内部のカレントミラー回路の電流駆動能力よりも意図的に低く設計される。
基準電流調節部30aの動作原理を説明する。
(1)Vth1>Vth2(つまりVthn>Vthp)のとき
基準電流調節部30aは、
Vthn+VSATH<Vdd
かつ
Vthp+VSATL<Vdd
を満たすとき、第1基準電流IBOに比例した第2基準電流Iを出力することができる。
電源電圧Vddが
Vthp+VSATL<Vdd<Vthn+VSAT
となる領域まで低下すると、第2カレントミラー回路34は正常に動作するが、第1カレントミラー回路32が正常に動作せず、第1基準電流IBOより小さな第2基準電流Iが生成される。このときの第2基準電流Iの電源電圧Vdd依存性は、上側バイアス電流Ipの電源電圧Vddに対する依存性と等しくなる。
(2)Vth1<Vth2(つまりVthn<Vthp)のとき
基準電流調節部30aは、
Vthn+VSATH<Vdd
かつ
Vthp+VSATL<Vdd
を満たすとき、第1基準電流IBOに比例した第2基準電流Iを出力することができる。
電源電圧Vddが
Vthn+VSATH<Vdd<Vthp+VSAT
となる領域まで低下すると、第1カレントミラー回路32は正常に動作するが、第2カレントミラー回路34が正常に動作せず、第1基準電流IBOより小さな第2基準電流Iが生成される。このときの第2基準電流Iの電源電圧Vdd依存性は、下側バイアス電流Inの電源電圧Vddに対する依存性と等しくなる。
その結果、図4(a)の基準電流調節部30aによれば、Vth1>Vth2、Vth1<Vth2のいずれの状況においても、図3(a)、(b)に示される適切な第2基準電流Iを生成することができる。
補足すると、トランジスタM41はM21と対応づけられ、電源端子と接地端子の間のトランジスタM41を含む経路は、上側電流源20HとトランジスタM21を含む経路の特性を模擬しているといえる。同様にトランジスタM43はM22に対応づけられ、電源端子と接地端子の間のトランジスタM43を含む経路は、下側電流源20LとトランジスタM22を含む経路の特性を模擬しているといえる。
図4(b)を参照する。メイン回路10bの第1回路10_1は、ソースが接地され、ゲートドレイン間が接続されたふたつのNチャンネルMOSFET(M21、M23)を含む。このときの第1しきい値電圧Vth1は、
Vth1=2×Vthn
である。
第2回路10_2は、ソースが接地され、ゲートドレイン間が接続されたふたつのPチャンネルMOSFET(M22、M24)を含む。このときの第2しきい値電圧Vth2は、
Vth2=2×Vthp
である。
たとえばトランジスタM21、M22はバイアス電流Ip、Inをコピーするカレントミラー回路の入力側トランジスタであってもよい。
図4(a)のメイン回路10bは、図1の出力回路200であってもよい。この場合、図4(b)のトランジスタM21〜M24はそれぞれ、図1のトランジスタM11〜M14に対応する。
メイン回路10bに対応する基準電流調節部30bは、第1カレントミラー回路32、第2カレントミラー回路34を含む。第1カレントミラー回路32は、第1基準電流IBOをコピーする。第2カレントミラー回路34は、第1カレントミラー回路32の出力電流をコピーし、第2基準電流Iを出力する。
トランジスタM45は、第1カレントミラー回路32の入力側のMOSFET(M41)と同じ経路上に設けられ、そのゲートソース間が接続されている。トランジスタM45は、第1回路10_1を構成するトランジスタM23およびM21と同じ導電型である。
同様にトランジスタM46は、第2カレントミラー回路34の入力側のMOSFET(M43)と同じ経路上に設けられ、そのゲートソース間が接続されている。トランジスタM46は、第2回路10_2を構成するトランジスタM24およびM22と同じ導電型である。
すなわちトランジスタM41およびM45は、トランジスタM21およびM23と対応づけられ、電源端子と接地端子の間のトランジスタM41、M45を含む経路は、上側電流源20HとトランジスタM21、M23を含む経路の特性を模擬しているといえる。同様にトランジスタM43およびM46は、トランジスタM22およびM24と対応づけられ、電源端子と接地端子の間のトランジスタM43、M46を含む経路は、下側電流源20LとトランジスタM22、M24を含む経路の特性を模擬しているといえる。
基準電流調節部30bを構成するMOSFETのW/Lは、メイン回路10bの中のカレントミラー回路(不図示)のW/Lよりも小さく設計される。つまり基準電流調節部30bの電流駆動能力はメイン回路10b内部のカレントミラー回路の電流駆動能力よりも意図的に低く設計される。
(1)Vth1>Vth2(つまりVthn>Vthp)のとき
基準電流調節部30bは、
2×Vthn+VSATH<Vdd
かつ
2×Vthp+VSATL<Vdd
を満たすとき、第1基準電流IBOに比例した第2基準電流Iを出力することができる。
電源電圧Vddが
2×Vthp+VSATL<Vdd<2×Vthn+VSAT
となる領域まで低下すると、第2カレントミラー回路34は正常に動作するが、第1カレントミラー回路32が正常に動作せず、第1基準電流IBOより小さな第2基準電流Iが生成される。このときの第2基準電流Iの電源電圧Vdd依存性は、上側バイアス電流Ipの電源電圧Vddに対する依存性と等しくなる。
(2)Vth1<Vth2(つまりVthn<Vthp)のとき
基準電流調節部30bは、
2×Vthn+VSATH<Vdd
かつ
2×Vthp+VSATL<Vdd
を満たすとき、第1基準電流IBOに比例した第2基準電流Iを出力することができる。
電源電圧Vddが
2×Vthn+VSATH<Vdd<2×Vthp+VSAT
となる領域まで低下すると、第1カレントミラー回路32は正常に動作するが、第2カレントミラー回路34が正常に動作せず、第1基準電流IBOより小さな第2基準電流Iが生成される。このときの第2基準電流Iの電源電圧Vdd依存性は、下側バイアス電流Inの電源電圧Vddに対する依存性と等しくなる。
このように、図4(a)の基準電流調節部30aによれば、Vth1>Vth2、Vth1<Vth2のいずれの状況においても、適切な第2基準電流Iを生成することができる。
図4(a)、(b)の基準電流調節部30a、30bを一般化すると、以下のように把握することができる。
メイン回路10は、電源端子と接地端子の間に上側電流源20Hと直列に設けられた第1回路10_1と、電源端子と接地端子の間に下側電流源20Lと直列に設けられた第2回路10_2を含む。第1回路10_1は、ソースドレイン間が接続されたM個(Mは自然数)のNチャンネルMOSFETを含む。同様に第2回路10_2は、ソースドレイン間が接続されたM個のPチャンネルMOSFETを含む。
基準電流調節部30は、第1の導電性のMOSFETのペアを含み、第1基準電流IBOをコピーする第1カレントミラー回路32と、第2の導電性のMOSFETのペアを含み、第1カレントミラー回路32の出力電流をコピーし、第2基準電流Iを出力する第2カレントミラー回路34と、第1カレントミラー回路32の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第1の導電性のMOSFETと、第2カレントミラー回路34の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第2の導電性のMOSFETと、を含む。
基準電流調節部30とメイン回路10をこのように対応づけて構成することにより、適切な第2基準電流Iを生成することができる。
図5(a)、(b)は、上側電流源20H、下側電流源20Lの具体的な構成例を示す回路図である。図5(a)の上側電流源20H、下側電流源20Lは、カスコード型のカレントミラー回路で構成される。図5(b)の上側電流源20H、下側電流源20Lは、1段のカレントミラー回路で構成される。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
100…半導体集積回路、10…メイン回路、20H…上側電流源、20L…下側電流源、30…基準電流調節部、Ip…上側バイアス電流、In…下側バイアス電流、32…第1カレントミラー回路、34…第2カレントミラー回路。

Claims (9)

  1. 上側バイアス電流と下側バイアス電流を受け、それらがバランスした状態において所定の信号処理を行うよう構成されたメイン回路と、
    第1基準電流を受け、調節された第2基準電流を生成する基準電流調節部と、
    前記メイン回路の電源端子側に設けられ、前記第2基準電流に応じた量を目標値とする前記上側バイアス電流を前記メイン回路に供給する上側電流源と、
    前記メイン回路の接地端子側に設けられ、前記第2基準電流に応じた量を目標値とする前記下側バイアス電流を前記メイン回路に供給する下側電流源と、
    を備え、
    前記基準電流調節部は、(i)前記上側電流源が、前記目標値の前記上側バイアス電流を生成できなくなる状態において、前記第2基準電流の電源電圧に対する依存性が、前記上側バイアス電流の電源電圧に対する依存性と等しくなるように、第2基準電流を生成し、(ii)前記下側電流源が、前記目標値の前記下側バイアス電流を生成できなくなる状態において、前記第2基準電流の電源電圧に対する依存性が、前記下側バイアス電流の電源電圧に対する依存性と等しくなるように、第2基準電流を生成するよう構成されることを特徴とする半導体集積回路。
  2. 上側バイアス電流と下側バイアス電流を受け、それらがバランスした状態において所定の信号処理を行うよう構成されたメイン回路と、
    第1基準電流を受け、調節された第2基準電流を生成する基準電流調節部と、
    前記メイン回路の電源端子側に設けられ、前記第2基準電流に応じた量を目標値とする前記上側バイアス電流を前記メイン回路に供給する上側電流源と、
    前記メイン回路の接地端子側に設けられ、前記第2基準電流に応じた量を目標値とする前記下側バイアス電流を前記メイン回路に供給する下側電流源と、
    を備え、
    前記基準電流調節部は、(i)前記上側電流源が、前記目標値の前記上側バイアス電流を生成できなくなる状態において、前記下側電流源が生成する前記下側バイアス電流が、減少後の前記上側バイアス電流の電流量と等しくなるように、前記第2基準電流を減少させ、(ii)前記下側電流源が、前記目標値の前記下側バイアス電流を生成できなくなる状態において、前記上側電流源が生成する前記上側バイアス電流が、減少後の前記下側バイアス電流の電流量と等しくなるように、前記第2基準電流を減少させ、それにより、前記上側バイアス電流と前記下側バイアス電流を等しく保つよう構成されることを特徴とする半導体集積回路。
  3. 前記基準電流調節部は、
    前記第1基準電流をコピーする第1カレントミラー回路と、
    前記第1カレントミラー回路の出力電流をコピーし、前記第2基準電流を出力する第2カレントミラー回路と、
    を含み、
    前記第1、第2カレントミラー回路の一方は、NチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のペアを含み、他方はPチャンネルMOSFETのペアを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路。
  4. 前記メイン回路は、
    前記電源端子と前記接地端子の間に前記上側電流源と直列に設けられ、かつソースドレイン間が接続されたM個(Mは自然数)のNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、
    前記電源端子と前記接地端子の間に前記下側電流源と直列に設けられ、かつソースドレイン間が接続されたM個(Mは自然数)のPチャンネルMOSFETと、
    を含み、
    前記基準電流調節部は、
    第1の導電性のMOSFETのペアを含み、前記第1基準電流をコピーする第1カレントミラー回路と、
    第2の導電性のMOSFETのペアを含み、前記第1カレントミラー回路の出力電流をコピーし、前記第2基準電流を出力する第2カレントミラー回路と、
    前記第1カレントミラー回路の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第1の導電性のMOSFETと、
    前記第2カレントミラー回路の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第2の導電性のMOSFETと、
    を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路。
  5. 前記第1、第2カレントミラー回路を構成するMOSFETのW/L(ゲート幅/ゲート長)は、前記メイン回路内のカレントミラー回路を構成するMOSFETのW/Lよりも小さいことを特徴とする請求項3または4に記載の半導体集積回路。
  6. 前記メイン回路は、フィードフォワードAB級出力回路であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の半導体集積回路。
  7. 上側バイアス電流および下側バイアス電流を受け、それらがバランスした状態において所定の信号処理を行うように構成されたメイン回路であって、少なくとも、前記上側バイアス電流が供給される経路上に設けられ、ゲートソース間が接続されたM個(Mは自然数)のNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、前記下側バイアス電流が供給される経路上に設けられ、ゲートソース間が接続されたM個のPチャンネルMOSFETを含むメイン回路と、
    第1の導電性のMOSFETのペアを含み、所定の電流値を有する第1基準電流をコピーする第1カレントミラー回路と、
    第2の導電性のMOSFETのペアを含み、前記第1カレントミラー回路の出力電流をコピーし、第2基準電流を出力する第2カレントミラー回路と、
    前記第1カレントミラー回路の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第1の導電性のMOSFETと、
    前記第2カレントミラー回路の入力側のMOSFETと同じ経路上に設けられ、ゲートソース間が接続された(M−1)個の第2の導電性のMOSFETと、
    前記メイン回路の電源端子側に設けられ、前記メイン回路に前記第2基準電流に応じた前記上側バイアス電流を供給する上側電流源と、
    前記メイン回路の接地端子側に設けられ、前記メイン回路に前記第2基準電流に応じた前記下側バイアス電流を供給する下側電流源と、
    を備えることを特徴とする半導体集積回路。
  8. 前記第1、第2カレントミラー回路を構成するMOSFETのW/L(ゲート幅/ゲート長)は、前記メイン回路内のカレントミラー回路を構成するMOSFETのW/Lよりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路。
  9. 前記メイン回路は、フィードフォワードAB級出力回路であることを特徴とする請求項7または8に記載の半導体集積回路。
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