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JP5384888B2 - 面ファスナ雌材 - Google Patents

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JP5384888B2 JP2008232543A JP2008232543A JP5384888B2 JP 5384888 B2 JP5384888 B2 JP 5384888B2 JP 2008232543 A JP2008232543 A JP 2008232543A JP 2008232543 A JP2008232543 A JP 2008232543A JP 5384888 B2 JP5384888 B2 JP 5384888B2
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Description

本発明は、面ファスナ雌材、該面ファスナ雌材を有する面ファスナ、及び該面ファスナを有する吸収性物品に関する。
面ファスナは、フローリング床材の固定、衣類の開閉用途などに広く用いられており、また、着脱が簡便なことから、オムツ等の吸収性物品の係合にも使用されている。面ファスナは、雄材、及びそれと係合する雌材で構成されており、具体的には、雌材のループが雄材のフックと係合することによって係止される。従来から、雄材と充分な係合力を有する雌材の開発が行われている。
特許文献1には、長さの異なる立毛によって形成された柄、特に立毛リブを有する経編地の製法であって、立毛を形成する糸を地編地の編目にからみ込み、次いでからみ込み個所の間で切り離す形式の経編地の製法が記載されている。
特許文献2には、互いに平行なウェールの網目をステッチにより形成する経糸ウェールと前記経糸ウェールとの結合により下地を形成する横糸とで構成される下地と、前記下地に編付けられた2つの脚を備えた編みループ付織物が記載されており、前記織物において、前記横糸と前記ウェールとの前記結合が、第二ウェールと第四ウェールはウェールの網目において第一ウェールと第三ウェールの間に配され、かつ、ループの2つの脚はそれぞれ、第二及び第四ステッチに編付けられることが記載されている。
特許文献3には、フックを受け入れるループを形成した経編地を介して基材面に接合した構造を有し、経編地が後筬に筬通しした糸で振り組織、中筬に筬通しした糸で振り組織と係合しかつ編み方向に隣接するループパイルの向きが左右互い違いで形成されるループパイル編組織、及び前筬に筬通しした糸で振り組織乃至ループパイル形成組織と係合する地組織でそれぞれ編まれている経編地で構成されることを特徴とするフック・アンド・ループタイプの面ファスナ雌材片が記載されている。
特開昭55−107561号公報 特開2000−303330号公報 特開2004−236960号公報
雄材との係合力に優れ、またその係合力の左右差が少なく、更に、簡便に生産可能な面ファスナ雌材が求められている。
本発明は、経糸、緯糸及びループ糸から構成される編地、並びに基材を含む面ファスナ雌材であって、経糸は、開き目と閉じ目を交互に繰り返す鎖編糸からなり、ループ糸は、ループ糸の開き目のみに経糸の閉じ目のみが係合して、経糸と固定されており、ループ糸は編地の一方の表面からのみ、経糸に対して左右交互に突出している。
本発明の面ファスナ雌材は、雄材との係合力に優れ、またその係合力の左右差が少ない。また、本発明の面ファスナ雌材は、簡便に生産することができ、紙おむつ等の吸収性物品における面ファスナ用雌材として好適に使用される。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら、より詳細な説明を行う。なお、本発明の面ファスナ雌材は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の面ファスナ雌材10は、図1に模式的に示されるように、経糸21(図示せず)、緯糸22(図示せず)、及びループ糸23から構成される編地20、並びに基材30を含む。編地20において、ループ糸23が編地20のパイルを形成し、経糸21と緯糸22が編地20の地組織24を形成しており、ループ糸23は、編地20の一方の表面からのみ、経糸21に対して左右交互に突出している。
図2Aは、図1の構造を有する編地20の編組織を模式的に示す図であり、図3Aはこの編組織のパターンを模式的に示した図、図3Bは、図3Aの編組織のパターンを、経糸21、緯糸22及びループ糸23に分解して示した図である。図3A及び図3Bに示されるように、編地20において、経糸21は、開き目21aと閉じ目21bを交互に繰り返す鎖編糸からなっており、また、ループ糸23は、ループ糸23の開き目23aのみに経糸21の閉じ目21bのみが係合して、経糸21と固定されている。緯糸22は、経糸21の開き目21a及び閉じ目21bで経糸21に固定されている。このような編み組織を有することにより、ループ糸23は、編地20の一方の表面からのみ、経糸21に対して左右交互に突出する構造となる。
以下、図3A及び図3Bを参照しながら、編地20の編組織を説明する。
経糸21は、1−0/0−1/0−1/1−0のパターンが繰り返された鎖編みにより形成され、このパターンの繰り返しにより、上述の通り、開き目21aと閉じ目21bとが交互に繰り返される鎖編糸を構成している。経糸21は、編地20の地組織24(中筬)となる。
ループ糸23は、経糸21に対して、左右に繰り出されることで編地20のパイル(前筬)となる。すなわち、ループ糸23は、まず、編地20の所定の針位置において左から右へ閉じ目又は開き目(図3A及び図3Bにおいては閉じ目)によりラップされ右方向に繰り出される。そして、右に繰り出されたループ糸23は開き目23aの状態で経糸21の閉じ目21bに係合され、更に編地20の右方向に繰り出される。次いで、編地20の所定の針位置で右から左へ閉じ目又は開き目(図3A及び図3Bにおいては閉じ目)によりラップされ左方向に繰り出される。そして、左に繰り出されたループ糸23は開き目23aの状態で経糸21の閉じ目21bに係合され、更に編地20の左方向に繰り出される。この繰り返しにより、ループ糸23は、編地20の一方の表面からのみ、経糸21に対して左右交互に突出するようになり、パイルを形成する。
ここで、「ループ糸が編地の一方の表面からのみ、経糸に対して左右交互に突出している」とは、編地20において、経糸21方向と垂直方向の断面を見た際に、ループ糸23が地組織24表面に対し、経糸部との係合部を起点として一定の角度を保って左右方向に交互に形成されていることを意味する。したがって、ループ糸が経糸に対して左右に形成されているものの、ループ糸が地組織表面に対してほぼ平行方向に形成されている(ループ糸が寝ている状態)ものは含まれない。
ループ糸23のパターンとしては、例えば、1−0/3−4/6−7/4−3(図3Aに示される態様、左右端が閉じ目の場合)、0−1/3−4/7−6/4−3(左右端が開き目の場合)、1−0/4−5/8−9/5−4(左右端が閉じ目の場合)、0−1/4−5/9−8/5−4(左右端が開き目の場合)の繰り返しで表すことができる。
緯糸22は、経糸21と共に、編地21の地組織24(後筬)を形成している。緯糸22は、経糸21の鎖編に、例えばパターンが0−0/3−3(図3Aに示される態様)又は0−0/4−4のステッチで、挿入されており、緯糸22の左右方向が変わる部分で、経糸21の開き目21a及び閉じ目21bと係合している。
面ファスナ雌材10において、ループ糸23は、上述のように、編地20の一方の表面からのみ、経糸21に対して左右交互に突出している。係合力及び係合力の左右差を少なくするという点から、編地20に対するループ糸23の突出角度は、編地表面に対して30度以上であることが好ましく、ある態様においては45度以上とすることができる。なお、突出角度の上限は特に制限はなく、編地20に対するループ糸23の突出角度は80度、更には90度であってもよい。また、編地20に対するループ糸23の突出角度は左右で異なる角度であってもよいが、係合力の左右差をより少なくするとの観点から、編地20に対するループ糸23の突出角度は、左右ともほぼ同じ角度であることが好ましい。
編地表面に対するループ糸の突出角度θの測定は、以下の方法による。なお、図4に示すように、地組織24表面の接線と、ループ糸23の経糸21との係合部(つまり、経糸の閉じ目21b)とループ糸先端部23bとを結んだ線分とのなす角度を「編地表面に対するループ糸の突出角度θ」と定義する。まず、編地20を、経糸21方向に対して垂直方向に切断し、地組織24面を平面に固定する。次いで、電子顕微鏡を用いて編地20の切断面の写真を撮影し、得られた写真から編地表面に対するループ糸の突出角度θを求める。
編地20の編成に使用される編機としては、特に制限はなく、例えば、従来から広く用いられている3本筬や4本筬の編機をそのまま使用できる。したがって、本発明の面ファスナ雌材は、簡便且つ安価に生産することができる。
編地20を構成する経糸21、緯糸22、及びループ糸23の材質についても、特に制限はなく、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、レーヨン、これらのコポリマー若しくは混合物、又は天然繊維等が挙げられる。ある態様においては、雄材との係合による雌材破壊を防ぐという観点から、高強度であるポリアミドが使用される。また、材料コストや環境安定性を考慮すれば、ポリエステルを使用することもできる。なお、ループ糸は、雄材との係合確率を高めるという点から、モノフィラメントよりマルチフィラメントのものを使用することが好ましい。この場合、ループ糸のフィラメントが細いと雄材との係合中に切れたりする場合があるので、面ファスナの形状等に基づき、適度な太さのものが選択される。経糸及び緯糸に関しては、モノフィラメントであっても、マルチフィラメントであってもよい。一般的には、フィラメント糸の繊度は、20〜220dtex、好ましくは20〜100dtexである。
ある態様において、編地20は、1平方メートル当たり10〜100gの坪量を有することができる。坪量が10g/m2以下では編み立て時に編地としての形態保持が難しい場合があり、また100g/m2以上では剛性が増すことで、吸収性物品に取り付けられた時にその部分の柔軟性が損なわれる場合がある。また、編地が密となるため、基材上にデザインを施す場合には、その視認性が損なわれる場合がある。本発明の面ファスナ雌材10は、雄材との係合力に優れ、またその係合力の左右差が少ないため、従来品に比べて、坪量を小さくすることができる。そのため、視認性に優れた面ファスナ雌材を、安価に製造することが可能となる。
面ファスナ雌材10には、適宜、起毛、エンボス、印刷、染色、着色等の付加的加工を適用することができる。また、編地20は全体又は部分的に染められていてもよい。特に、おむつ等の吸収性物品の部材として使用する場合、艶、テカリといった光沢を無くすことができ、審美性に優れた外観を得ることができる。
基材30については、特に制限はなく、樹脂フィルム、不織布、紙、又はこれらの積層体等が使用できる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂フィルム、又はこれらの合成樹脂フィルムの積層フィルム等が挙げられる。また、ある態様においては、基材面に、雄材との係合面の位置指標や各種記号又はデザイン等を設けてもよい。
基材30は、表面からループ糸23が左右交互に突出している面と反対側の面で、編地20と接合している。基材30と編地20との接合方法については、特に制限はない。ドライラミネート、押し出しラミネート、ウェットラミネート、熱ラミネート、超音波等従来公知の方法を使用できる。中でも、生産性、柔軟性、基材層に設けられた位置指標等の視認性を考慮すると、ドライラミネート法が好適である。ドライラミネート用接着剤にはウレタン系、EVA系、アクリル系、酢酸ビニル系等、ウェットラミネート用接着剤には澱粉、カゼイン、酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等の接着剤を使用でき、また押し出しラミネートにはポリエチレン、ポリプロピレン、あるいは変性ポリオレフィン等の樹脂を適宜使用することができる。ただし、これらの接着剤及び樹脂に限定されるものではない。
ドライラミネートの場合、接着剤層は、基材における一方の表面の全面に設けられてもよいし、また、部分的に設けられてもよい。接着剤層を部分的に設ける場合、その方法については特に制限はない。一般的には、接着剤のパターン塗布が用いられる。塗布のパターン、形状、サイズ等は、特に限定されず、円、楕円、四辺形、多角形など任意のパターン、形状、サイズを採用することができる。接着剤層を基材表面に部分的に設ける場合、編地を通して滲み出した接着剤によりループ糸の倒れる本数を少なくすることができ、それにより、雄材のフックとの係合力の低下を防止できる。さらに、パターンの形状や接着剤量を適切に設定することによって、係合力を変化させることが可能である。
本発明の面ファスナ雌材10は、図5に示すように、雄材40と組み合わせることで面ファスナ50として使用される、ここで、面ファスナ雌材10の編地20に設けられたループ糸23(パイル)が、雄材40のフック41を受け入れることで、面ファスナ雌材10と雄材40とが係合し、固着される。本発明の面ファスナ雌材10を有する面ファスナ50においては、ループ糸23が編地20の一方の表面からのみ経糸21に対して左右交互に突出している構造を雌材が有しているため、雄材と係合した際、雄材との係合力の左右差が少ない。
ここで、係合力の左右差は、面ファスナ雌材を雄材に係合させ、幅方向(すなわち、CD方向、経糸方向に対して垂直方向)に対して、両者を右から左に剥離した際の係合力(右係合力)と左から右に剥離した際の係合力(左係合力)を複数点測定し、
{(測定された右係合力の平均値)−(測定された左係合力の平均値)}/(右係合力及び左係合力の全測定値の平均値)
を絶対値で表した数値を求めることで評価することができる。得られる数値が0に近いほど係合力の左右差が少ないことになる。
雄材としては、係合力を満足できるものであれば種類を問わないが、例えば、キノコ状、鍵状、J字状のフックを有する雄材を使用できる。雄材におけるピン密度は、特に指定はないが、1平方インチあたり500本から5000本程度が一般的であり、ある態様においては、1平方インチあたり1600本のピン密度のものが使用される。雄材の材料についても、雌材を構成する糸同様、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、これらのコポリマー又は混合物等から選択できる。雄材の基材部分の厚さについても適宜設定可能である。具体的には、住友スリーエム社で市販されるフックテープ(CS−600)等が挙げられる。
本発明の面ファスナは、床材や壁材の固定具、衣料の固定具、清掃用部材固定具、自動車内装材固定具等に使用できる。また、紙おむつ、生理用ナプキン、母乳パッド等の吸収性物品の固定具としても使用可能である。ここで、吸収性物品、特に紙おむつに面ファスナが用いられる場合、雌材と雄材との係合特性、特に雌材の性能に配慮する必要がある。通常の紙おむつにおいては、着用者の背側両側部に左右一対の雄材が設けられ、また、左右一対の雌材が前身ごろ腹部に設けられる。したがって、紙おむつの左右2箇所において雄材と雌材とがそれぞれ係合することになるが、この場合の係合力の左右差、すなわち左方向に剥離する力と右方向に剥離する力との差が大きくなると、着用者が面ファスナよる紙おむつの確実な固定機能に不安を感ずる場合がある。上述のとおり、本発明の雌材は、ループ糸が経糸に対して左右交互に突出している構造となっているため、雄材との係合力の左右差が少なく、好適である。
なお、本発明の面ファスナ雌材を吸収性物品の面ファスナに使用する場合、かかる吸収性物品への固定手段としては、例えばグルー、熱融着、超音波加工等による接着、一体成形、縫製、ステープラーによる機械的固定などを挙げることができる。グルーによる固定においてはSIS、SBS等のゴム系、アクリル系、シリコン系、EVA系等の公知の粘着剤が必要に応じて適宜選択されるが、これらの樹脂に限定されるものではない。
以下、本発明の実施例について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
3本筬編機(カールマイヤー社製)を用いて、トリコットパイル編みで、ループ糸1-0/3-4/6-7/4-3、縦糸1-0/0-1/0-1/1-0、緯糸0-0/3-3の編組織を有する編地を編成した。また、ループ糸、経糸、緯糸の材料としては、ループ糸:ポリアミド(78 Dtex、24本(東レ社製))、縦糸及び緯糸:ポリエステル(22 Dtex、1本(帝人社製))を使用した。編み条件としては、1 in 1 out(2針位置がWalesに対応)、Course 9.6/cm、Wales 5.5/cmとし、編地の坪量は21.8g/m2であった。
得られた編地を、12μm厚の二軸延伸ポリプロピレン基材(商品名:FOR2、フタムラ化学製(両面コロナ処理))に、ポリウレタン接着剤によりドライラミネートし、面ファスナ雌材を得た。得られた面ファスナ雌材の編地における編組織の模式図を図2Aに示す。また、図2Bは、図2AのA−A線に沿って(経糸方向に対して垂直方向)編地を切断した際に観察される、編地に形成されたループ糸の状態(左右1ループずつ)を示す模式図である。なお、接着剤の配合は、ポリウレタン主剤(商品名:タケラックA969v、三井化学ポリウレタン社製)、及びイソシアネート硬化剤(商品名:タケネートA5、三井化学ポリウレタン社製)に、シリカ(商品名:トクシールUSA、トクヤマ社製)を混合したものであり、シリカの量は、固形分比で、接着剤全量に対して8質量%である。具体的には、シリカを攪拌した溶剤に、ポリウレタン主剤及びイソシアネート硬化剤を加えて、更に攪拌した後、FUJISEIKI社製のドライラミネーターで150m/分でラミネートした。接着剤の塗布量は約5g/m2とした。
(実施例2)
実施例1同様、3本筬編機(カールマイヤー社製)を用いて、トリコットパイル編みで、ループ糸1-0/3-4/6-7/4-3、縦糸1-0/0-1/0-1/1-0、緯糸0-0/3-3の編組織を有する編地を編成した。なお、ループ糸、経糸、緯糸の材料としては、ループ糸:ポリエステル(84 Dtex、36本(東レ社製))、縦糸及び緯糸:ポリエステル(22 Dtex、1本(帝人社製))を使用した。編み条件としては、1 in 1 out(2針位置がWalesに対応)、Course 10.4/cm、Wales 5.5/cmとし、編地の坪量は24.2g/m2であった。得られた編地を用い、実施例1と同様にして、面ファスナ雌材を得た。得られた面ファスナ雌材の編地における編組織の構造、及び編地に形成されたループ糸の状態は、実施例1と同様であった。
(実施例3)
3本筬編機(カールマイヤー社製)を用いて、トリコットパイル編みで、ループ糸1-0/4-5/8-9/5-4、縦糸1-0/0-1/0-1/1-0、緯糸0-0/4-4の編組織を有する編地を編成した。また、ループ糸、経糸、緯糸の材料としては、ループ糸:ポリエステル(84 Dtex、36本(東レ社製))、縦糸及び緯糸:ポリエステル(22 Dtex、1本(帝人社製))を使用した。編み条件としては、1 in 2 out(3針位置がWalesに対応)、Course 10.4/cm、Wales 3.7/cmとし、編地の坪量は17.9g/m2であった。得られた編地を用い、実施例1と同様にして、面ファスナ雌材を得た。得られた面ファスナ雌材の編地における編組織の模式図を図6Aに、この編組織のパターンの模式図を図7に、それぞれ示す。また、図6Bは、図6AのB−B線に沿って(経糸方向に対して垂直方向)編地を切断した際に観察される、編地に形成されたループ糸の状態(左右1ループずつ)を示す模式図である。
(比較例1)
ポリアミド製で、編地の坪量が22g/m2である編地を用い、実施例1と同様にして、面ファスナ雌材を得た。図8は、得られた面ファスナにおいて、編地の経糸方向に対して垂直方向に編地を切断した際に観察される、編地に形成されたループ糸の状態(左右1ループずつ)を示す模式図である。
(比較例2)
ポリエステル製で、編地の坪量が26.5g/m2である編地を用い、実施例1と同様にして、面ファスナ雌材を得た。図9は、得られた面ファスナにおいて、編地の経糸方向に対して垂直方向に編地を切断した際に観察される、編地に形成されたループ糸の状態を示す模式図である。図9から理解されるように、比較例2の面ファスナにおいては、ループ糸は左右両方向ではなく片方向にのみ形成されている。
(面ファスナ雌材の評価)
(係合力)
上記実施例及び比較例で得られた面ファスナ雌材の上に、25mm幅の雄材(CS−600、住友スリーエム社製)を乗せて、2kgのローラで圧着した。次いで、雌材と雄材とを水平に1kgの力で引っ張り、両者を係合させた。係合した面ファスナ雌材と雄材とを、垂直方向に引張り速度300mm/分で引っ張って、剥離するときの剥離力を測定して、係合力(N/25mm)を求めた。なお、係合力は、係合した雌材及び雄材を、幅方向(すなわち、CD方向、経糸方向に対して垂直方向)に対して、右から左に剥離した際の係合力(右係合力)、及び左から右に剥離した際の係合力(左係合力)を各6点ずつ測定し、この全12点の平均値として求めた。結果を表1に示す。
(係合力方向性)
上記のように測定された右係合力及び左係合力の各測定値から、下記式に従い、
{(6点測定された右係合力の平均値)−(6点測定された左係合力の平均値)}/(右係合力と左係合力との全測定値(12点)の平均値)
を絶対値で表した数値を求め、係合力方向性とした。得られた数値が0に近いほど係合力の左右差が少ないことになる。結果を表1に示す。
(ループ糸突出角度)
図4に示すように、地組織表面の接線と、ループ糸の経糸との係合部とループ糸先端部とを結んだ線分とのなす角度を「編地表面に対するループ糸の突出角度θ」と定義した。まず、編地を、経糸方向に対して垂直方向に切断し、地組織24面を平面に固定した。次いで、電子顕微鏡を用いて編地切断面の写真を撮影し、得られた写真から編地表面に対するループ糸の突出角度を左右各5点ずつ(合わせて10点)(比較例2は片方向のみ5点)測定した。実施例1〜3においては、ループ糸の突出角度における左右差がなかったため、全測定値(10点)の平均値を求めた。比較例1についてはループ糸突出角度の左右それぞれの測定値の平均値を、比較例2は片方向のみのループ糸突出角度の平均値を、それぞれ求めた。結果を表1に示す。
(層間強度)
接着剤で接着された面ファスナ雌材の編地と基材を、チャック間25mmにセットし、垂直方向に引張り速度300mm/分で引っ張って、編地と基材とが剥離するときの力を、テンシロン引張試験機を用いて測定し、層間強度(N/25mm)とした。結果を表1に示す。
Figure 0005384888
本発明の一実施形態の面ファスナ雌材における断面構造を示す模式図である。 本発明の一実施形態(実施例1及び2)の面ファスナ雌材における編地の編組織を示す模式図である。 図2AのA−A線に沿って(経糸方向に対して垂直方向)編地を切断した際に観察される、編地に形成されたループ糸の状態(左右1ループずつ)を示す模式図である。 図2Aに示される編地の編組織のパターンを模式的に示した図である。 図3Aで示される編地の編組織のパターンを経糸、緯糸及びループ糸ごとに分解して示した模式図であり、(a)はループ糸、(b)は経糸、(c)は緯糸である。 編地の表面に対するループ糸の突出角度θを説明する図である。 本発明の一実施形態の面ファスナにおける断面構造を示す模式図である。 本発明の一実施形態(実施例3)の面ファスナ雌材における編地の編組織を示す模式図である。 図6AのB−B線に沿って(経糸方向に対して垂直方向)編地を切断した際に観察される、編地に形成されたループ糸の状態(左右1ループずつ)を示す模式図である。 図6Aに示される編地の編組織のパターンを模式的に示した図である。 比較例1の面ファスナ雌材の編地表面に形成されたループ糸の状態を示す模式図である。 比較例2の面ファスナ雌材の編地表面に形成されたループ糸の状態を示す模式図である。
符号の説明
10 面ファスナ雌材
20 編地
21 経糸
21a 経糸における開き目
21b 経糸における閉じ目
22 緯糸
23 ループ糸
23a ループ糸における開き目
23b ループ糸先端部
24 地組織
30 基材
40 雄材
41 フック
50 面ファスナ

Claims (4)

  1. 経糸、緯糸、及びループ糸から構成される編地、並びに基材を含む面ファスナ雌材であって、
    経糸は、開き目と閉じ目を交互に繰り返す鎖編糸からなり、
    ループ糸は、ループ糸の開き目のみに経糸の閉じ目のみが係合して、経糸と固定されており、
    ループ糸は編地の一方の表面からのみ、経糸に対して左右交互に突出している、
    面ファスナ雌材。
  2. ループ糸の突出角度が、編地表面に対して30度以上である、請求項1記載の面ファスナ雌材。
  3. 請求項1又は2記載の面ファスナ雌材、及び雄材を有する面ファスナ。
  4. 請求項3の面ファスナを有する吸収性物品。
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