以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、可撓性を有し、且つ外部からの押圧や曲げによって破壊されにくく、また信頼性の高い液晶表示装置について、図1を用いて説明する。
本実施の形態に示す液晶表示装置は、液晶層136と、液晶層136を間に挟んで対向する第1の構造体132及び第2の構造体138と、液晶層136を封入するシール材134と、画素電極、半導体素子、容量素子、配線等を含む素子形成層124とを有する。また、第1の構造体132及び第2の構造体138は、破線160で示すように、シール材134の外側において接して固着されていることを特徴とする(図1(A)参照)。なお、図1(A)においては、第1の構造体132及び第2の構造体138が接し密着する領域を示す破線160は、液晶表示装置の概略中央であるが、図1(B)の破線162で示すように、第1の構造体132または第2の構造体138の一方側に偏ってもよい。
第1の構造体132、第2の構造体138は、それぞれ繊維体132a、138aに有機樹脂132b、138bが含浸されており、このような構造体132、138は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化または硬化させたものである。第1の構造体132及び第2の構造体138の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上60μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な液晶表示装置を作製することができる。
有機樹脂132b、138bとして、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂又はシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂又はフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子形成層またはシール材に固着することができる。なお、有機樹脂132b、138bはガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
有機樹脂132b、138bまたは繊維体132a、138aの糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または糸束内に含まれることにより液晶表示装置で生じる発熱を外部に放出しやすくなるため、液晶表示装置の蓄熱を低減することが可能であり、液晶表示装置の破壊を低減することができる。
繊維体132a、138aは、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、繊維体132a、138aが部分的に重なるように配置する。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体132a、138aは、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
また、繊維体132a、138aは、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等を適宜用いることができる。
糸束の断面形状は、円形でも楕円形でもよい。糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした糸束を用いてもよい。開繊加工をした糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体132a、138aを薄くすることが可能である。このため、第1の構造体132及び第2の構造体138を薄くすることが可能であり、薄型の液晶表示装置を作製することができる。
繊維体132a、138aは、一定間隔をあけた経糸及び一定間隔をあけた緯糸が織られている。このような繊維体には、経糸及び緯糸が存在しない領域を有する。このような繊維体は、有機樹脂が繊維体に含浸される割合が高まり、繊維体及び素子層の密着性を高めることができる。
また、糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、糸束に表面処理が施されても良い。例えば、糸束表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
図29、図30に、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を設ける場合の一例を示す。なお、図29(A)は、実際に作製したサンプルの断面SEM像(1000倍)を示し、図29(B)は図29(A)の模式図を示している。また、図30に、実際に作製したサンプルの断面を光学顕微鏡で観察した像(20倍)を示す。
図29は、トランジスタ部50を挟むように、繊維体71aに有機樹脂71bが含浸された第1の構造体51と、繊維体72aに有機樹脂72bが含浸された第2の構造体52とを設ける場合を示している。図29の断面図では、繊維体71a、繊維体72aとして経糸と緯糸の一方のみが示されているが、観察する断面方向によっては経糸と緯糸の一方と交差する他方の繊維体が存在している。
図30の断面では、繊維糸束から構成される経糸と緯糸が交差して設けられていることが示されている。
このように、繊維体を経糸と緯糸が互いにクロスするように布状に編み、これに有機樹脂を含浸させることにより、布状の面方向への伸び縮みを繊維体が抑え、且つ垂直方向に可撓性を有する構造体とすることができる。
ここで、第1の構造体132及び第2の構造体138は透明であることが好ましいため、繊維体132a、138aと、有機樹脂132b、138bとは、可視光に対する透過率が高く、互いの屈折率が概略等しく、複屈折を有しない材料であることが好ましい。
また、第1の構造体132の厚さd1は、素子形成層124及び液晶層136と重なる第1の構造体132の領域における厚さとする。また、第2の構造体138の厚さd2も同様に、素子形成層124及び液晶層136と重なる第2の構造体138の領域における厚さとする。
本実施の形態に示す液晶表示装置は、繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体132及び第2の構造体138を有し、且つシール材134の外側で第1の構造体132及び第2の構造体138が直接接して密着している。これは、第1の構造体132及び第2の構造体138に含まれる有機樹脂同士が融着の後固着しているためであり、密着性が高く、液晶表示装置における第1の構造体及び第2の構造体の剥れや、外部からの水分等の浸入等による液晶表示装置の不良などを低減することができる。また、第1の構造体132及び第2の構造体138には、繊維体が含まれるため、外部からの押圧や曲げによる力を液晶表示装置全体に分散することが可能であり、液晶表示装置の不良を低減することができる。
素子形成層124としては、画素電極、半導体素子、容量素子、配線等の液晶層136に含まれる液晶の配向を制御するための素子が形成されている。なお、素子形成層124は、画素部のみ形成されていてもよい。また、画素部及び画素部に含まれる液晶素子を駆動するための駆動回路が形成されていてもよい。また、液晶表示装置の外部に設けられている情報発振機から表示情報を受信するためのアンテナ及び送受信回路を素子形成層124に設けてもよい。このような構造により、情報発振機と液晶表示装置との間で無線で表示情報を送受信することが可能であり、液晶表示装置の周辺部を完全に第1の構造体及び第2の構造体で封止することができる。
また、素子形成層124及び液晶層136には液晶素子が含まれる。液晶素子とは、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子であり、一対の電極、及び液晶材料により構成される。また、一対の画素電極の間に生じる電圧により液晶材料が配向することで、光の透過または非透過を制御する。
液晶材料としては、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、ディスコチック液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶等を用いる。また、上記液晶材料は、条件により、ネマチック相、コレステリック相、コレステリックブルー相、スメクチック相、スメクチックブルー相、キュービック相、スクメチックD相、カイラル・ネマチック相、等方相等を示す。コレステリックブルー相及びスメクチックブルー相は、螺旋ピッチが500nm以下で比較的短いコレステリック相またはスメクチック相を有する液晶材料にみられる。液晶材料の配向は二重ねじれ構造を有する。光学波長以下の秩序を有しているため、透明であり、電圧印加によって配向秩序が変化して光学的変調作用が生じる。ブルー相は光学的に等方であるため視野角依存性がなく、配向膜を形成しなくとも良いため、表示画像の質の向上及びコスト削減が可能である。
画素電極は、透過型の液晶表示装置を作製する場合には、酸化インジウムに酸化スズを混合したインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムスズ酸化物(ITO)に酸化珪素を混合したインジウムスズ珪素酸化物(ITSO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合したインジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化スズ(SnO2)等を用いることができる。反射型の液晶表示装置を作製する場合には、画素電極として反射性を有する金属(例えば、アルミニウムまたは銀を主成分とする材料層、又はそれらの積層層等)を用いることができる。半透過型の液晶表示装置を作製する場合、反射領域には反射性を有する金属を画素電極に用い、透過領域には透光性を有する材料を用いることができる。
なお、対向する画素電極は、液晶表示装置の表示モードにあわせて、素子形成層124または/及び第2の構造体に形成すればよい。例えば、液晶の駆動方式が、TN(Twisted Nematic)モード、ゲストホストモード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Bend)モード等の場合は、素子形成層124に画素電極を形成し、第2の構造体に対向電極を形成して、対応する画素電極を形成すればよい。また、IPS(In−Plane Switching)モードの場合は、素子形成層124に画素電極及び共通電極を形成して、対応する画素電極を形成すればよい。
ただし、上記液晶表示装置の駆動方法及び液晶材料に限定されず、液晶材料及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
素子形成層124に含まれる半導体素子としては、画素電極に印加する電圧を制御するためのスイッチング素子として機能する。半導体素子の代表例としては、薄膜トランジスタ、ダイオード、MIM(Metal−Insulator−Metal)、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等がある。薄膜トランジスタとしては、結晶性半導体、微結晶半導体、非晶質半導体をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ、有機半導体をチャネル形成領域に用いた有機半導体薄膜トランジスタ、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ等がある。
シール材134は、可視光硬化性、紫外線硬化性、または熱硬化性の樹脂を含む材料を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材134には、フィラーが散布されることにより、第1の構造体132及び第2の構造体138の間隔を一定に保つことができる。
液晶層136の間隔を一定に保つために、液晶層136にスペーサを設けてもよい。スペーサとしては、柱状スペーサまた球状スペーサがある。なお、柱状スペーサはフォトリソスペーサー、ポストスペーサー、貝柱スペーサ、カラムスペーサーとも呼ばれている。
なお、図1では示さないが、第1の構造体、または/及び第2の構造体の表面に偏光フィルムが、設けられている。偏光フィルムを設けることで、コントラストを高めることができる。なお、液晶表示装置が反射型の液晶表示装置の場合には、第1の構造体、または第2の構造体に偏光フィルムが設けられていればよい。なお、偏光フィルム第1の構造体または/及び第2の構造体に設ける場合は、偏光軸と第1の構造体または/及び第2の構造体の繊維体の軸とを平行または垂直にすることで、光漏れを低減することができる。なお、ここでは、繊維体の軸とは、繊維体の長軸と平行な方向のことをいう。
さらには、偏光フィルムのほかに、カラーフィルター、位相差フィルム、反射防止フィルム、広視野角フィルム等が適宜設けられていてもよい。
ここで、本実施の形態で示す液晶表示装置が有する効果について、以下に示す。
従来の可撓性を有する基板を用いた液晶表示装置に局所的な押圧を加えると、可撓性を有する基板及び素子形成層それぞれが延伸してしまい、押圧部において曲率半径の小さな湾曲が生じてしまう。この結果、素子形成層に含まれる半導体素子、配線等に亀裂が生じてしまい、液晶表示装置が破壊されてしまう。
しかしながら、本実施の形態で示す液晶表示装置は、有機樹脂を含有する繊維体からなる構造体が設けられる。繊維体は高強度繊維で形成されており、高強度繊維は、引張弾性率が高い、またはヤング率が高い。このため、点圧や線圧等の局所的な押圧がかかっても高強度繊維は延伸せず、押圧された力が繊維体全体に分散され、液晶表示装置全体で湾曲するようになる。この結果、局所的な押圧が加えられても、液晶表示装置で生じる湾曲は曲率半径の大きなものとなり、素子形成層に含まれる半導体素子、配線等に亀裂が生じず、液晶表示装置の破壊を低減することができる。
本実施の形態に示す液晶表示装置は、繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体及び第2の構造体を有し、且つシール材の外側で第1の構造体及び第2の構造体が直接接して密着している。このため、第1の構造体及び第2の構造体の密着性が高く、液晶表示装置の剥れや不良などの低減及び信頼性の向上と共に、外部からの押圧や曲げによる力を液晶表示装置全体に分散することが可能であり、製品の不良を低減することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、面圧や線圧がかかっても破壊されにくい液晶表示装置を提供することを目的とし、詳細を以下に示す。
本実施の形態に示す液晶表示装置は、液晶層136と、液晶層136を間に挟んで対向する第1の構造体132及び第2の構造体138と、液晶層136を封入するシール材134と、画素電極、半導体素子、容量素子、配線等を含む素子形成層124とを有し、第1の構造体132の外側に第1の衝撃緩和層151を有し、第2の構造体138の外側に第2の衝撃緩和層153を有することを特徴とする。
第1の衝撃緩和層151及び第2の衝撃緩和層153は、外部から液晶層136や素子形成層124にかかる力を拡散し、低減する効果がある。さらには、面圧や線圧等の面積の広い押圧により液晶表示装置が破壊するのを低減すると共に、特性不良などを防止することが可能となる。
第1の衝撃緩和層151及び第2の衝撃緩和層153は、第1の構造体132及び第2の構造体138より弾性率が低く、かつ破断強度が高い方が好ましい。
第1の衝撃緩和層151及び第2の衝撃緩和層153として、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いるのが好ましい。例えば、第1の衝撃緩和層151及び第2の衝撃緩和層153は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上のゴム弾性を有する層を用いることができる。
第1の衝撃緩和層151及び第2の衝撃緩和層153は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アラミド樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。
より具体的には、第1の衝撃緩和層151及び第2の衝撃緩和層153として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などを用いることができる。本実施の形態では、第2の衝撃緩和層153としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いる。
本実施の形態のように素子形成層124及び液晶層136に対して、一対の繊維体を含む構造体、及び一対の衝撃緩和層を対称に設けると、液晶表示装置にかかる力をより均一に拡散できるため、曲げや反りなどに起因する素子形成層124及び液晶層136の破損をより防止できる。これは、一対の繊維体を含む構造体、一対の衝撃緩和層それぞれを同じ材料及び同じ厚さで作製すると、素子形成層124及び液晶層136が液晶表示装置の中央に配置され、曲げストレスに強くなるためである。さらに、素子形成層124及び液晶層136の厚さの総和に対して、第1の構造体132及び第1の衝撃緩和層151の厚さの総和、第2の構造体138及び第2の衝撃緩和層153の厚さの総和それぞれが厚いと、第1の構造体132、第1の衝撃緩和層151、第2の構造体138、及び第2の衝撃緩和層153が、曲げによるストレスを緩和するため、素子形成層124及び液晶層136が破壊されにくい。
なお、図2においては、液晶表示装置の外側に一対の衝撃緩和層を設けた形態を示したが、液晶表示装置の一方面においては、構造体の外側に衝撃緩和層を設け、他方面においては、衝撃緩和層の外側に構造体を設けてもよい。この場合、構造体と衝撃緩和層が直接接して固着される形態となる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、静電気等の電気的ストレスによる破壊を低減し、高い信頼性を有する液晶表示装置を提供することを目的とし、詳細の説明を以下に示す。
本実施の形態では、液晶表示装置の最表面に導電層が形成されることを特徴とする。
導電層170が、第1の構造体132または第2の構造体138の外側(ここでは、素子形成層124側に設けられた第1の構造体132)の表面に形成される。なお、実施の形態2で示すように第1の構造体132及び第2の構造体138それぞれの外側に衝撃緩和層が設けられる場合は、衝撃緩和層の外側の表面に導電層が形成される。
導電層170は、静電気放電により液晶表示装置に印加される静電気を拡散する、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、液晶表示装置の静電気破壊を防ぐことができる。
また、第1の構造体132及び第2の構造体138の外側それぞれに、導電層170a、170bが形成される形態を示す(図3(B)参照)。なお、図3(B)においては、導電層170a、170bは電気的に接続しない。
また、第1の構造体132の表面と第2の構造体138の表面にそれぞれ導電層が形成される場合、その導電層同士が電気的に接続し、等電位であってもよい。電気的接続は、液晶表示装置の側面の一部で行われてもよいし、液晶表示装置内部を貫通する電極層で形成してもよい。なお、液晶表示装置において側面とは、同一素子形成層を、個々の素子形成層に切断(分断)した際に生じる切断面(分断面)である。上記切断面の全面が導電層によって覆われていてもよいし、切断面の一部が導電層によって覆われていてもよい。具体的形態について、以下に示す。
導電層170が、液晶表示装置の周囲(上面、下面、側面)全部を覆うように(即ち、液晶表示装置を包むように)形成される形態を示す(図4(A)参照)。
また、導電層170が、液晶表示装置の上面、下面、及び少なくとも一つの側面に形成される形態を示す(図4(B)参照)。
また、第1の構造体132の表面に形成される導電層170aと、第2の構造体138の表面に形成される導電層170bとが、液晶表示装置の内部を貫通する電極層172aで接続される形態を示す(図5(A)参照)。
また、第1の構造体132の表面に形成される導電層170aと、第2の構造体138の表面に形成される導電層170bとが、液晶表示装置の内部を貫通する電極層172a、172bで電気的に接続する形態を示す(図5(B)参照)。
電極層172a、172bを形成する貫通孔は、針や錐などの物理的処理によって加工してもよいし、エッチングなどで化学的処理によって加工してもよい。また、レーザービームを用いて加工してもよい。
図4及び図5において、素子形成層124は、上面及び下面に電気的に接続されている導電層が設けられているので、外部からの静電気に対して広い領域にわたって保護されている。このため、静電気により生じた電流が液晶表示装置に流れて、液晶表示装置が破壊される前に、電気的に接続され等電位である上面に形成された導電層及び下面に形成された導電層に当該電流を流すことが可能であるため、より高い静電気破壊防止効果を得ることができる。
導電層170、170a、170bは、導電性を有していればよい。このため、導電層170、170a、170bは、金属、金属窒化物、または金属酸化物で形成される層、及びそれらの積層を用いることができる。代表的には、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
また、窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
また、導電層170、170a、170bとして、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体層などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン層などを用いることができる。
さらに、導電層170、170a、170bとして、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
液晶表示装置が透過型及び半透過型の場合、導電層170、170a、170bは、透光性を有し、且つ導電性を有する材料または膜厚で形成する。導電層170、170a、170bが、金属、金属窒化物、または金属酸化物で形成される場合、膜厚を薄くすることで、透光性を付与することができる。
また、液晶表示装置が、反射型の場合、表示面側に設けられる導電層170、170a、170bは、透光性を有し且つ導電性を有することが好ましい。一方、液晶表示装置の表示面以外に形成される導電層は、導電性を有していればよく、遮光性でもよい。
また、導電層上に保護層を積層してもよい。例えば、導電層としてチタン層を形成し、チタン層上に保護層として酸化チタン層を積層するとよい。保護層により液晶表示装置の表面に導電層を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。
液晶表示装置を覆う導電層により、液晶表示装置の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また、液晶表示装置を封止する一対の構造体によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレス、又は静電気放電に起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1に示す液晶表示装置を歩留まり高く作製する方法を提供することを目的とする。
基板100の一表面に剥離層102を形成し、続けて絶縁層104を形成する(図6(A)参照)。剥離層102、絶縁層104は、連続して形成することができる。連続して形成することにより、大気に曝されないため不純物の混入を防ぐことができる。
基板100は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板等を用いるとよい。例えば、1辺が1メートル以上の矩形状のガラス基板を用いることにより、生産性を格段に向上させることができる。
なお、本工程では、剥離層102を基板100の全面に設ける場合を示しているが、必要に応じて、基板100の全面に剥離層102を設けた後に当該剥離層102を選択的に除去し、所望の領域にのみ剥離層を設けてもよい。また、基板100に接して剥離層102を形成しているが、必要に応じて、基板100に接するように酸化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化珪素層、窒化酸化珪素層等の絶縁層を形成し、当該絶縁層に接するように剥離層102を形成してもよい。
剥離層102は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、厚さ30nm〜200nmのタングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及び珪素(Si)の中から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層または複数の層を積層させて形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。ここでは、なお、塗布法は、溶液を被処理物上に吐出させて成膜する方法であり、例えばスピンコーティング法や液滴吐出法を含む。また、液滴吐出法とは微粒子を含む組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法である。
剥離層102が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
剥離層102が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には、1層目の金属層として、タングステン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化物、タングステン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、又はタングステン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物を含む層を形成する。
剥離層102として、1層目として金属層、2層目として金属酸化物層の積層構造を形成する場合、金属層としてタングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステンを含む層と絶縁層との界面に、金属酸化物層としてタングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、金属層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行って金属酸化物層を形成してもよい。
絶縁層104は、バッファ層として機能し、後の剥離工程において剥離層102との界面での剥離が容易となるように、又は後の剥離工程において半導体素子や配線に亀裂やダメージが入るのを防ぐために設ける。例えば、絶縁層104として、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は多層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等がある。なお、絶縁層104として、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素等を用いることにより、外部から後に形成される素子層へ水分や、酸素等の気体が侵入することを防止することができる。バッファ層として機能する絶縁層の厚さは10nm以上1000nm以下、さらには100nm以上700nm以下が好ましい。
次に、絶縁層104上に薄膜トランジスタ106を形成する(図6(B)参照)。薄膜トランジスタ106は、少なくともソース領域、ドレイン領域及びチャネル形成領域を有する半導体層108、ゲート絶縁層110、ゲート電極112で構成される。
半導体層108は、厚さ10nm以上100nm以下、さらには20nm以上70nm以下の非単結晶半導体で形成される層であり、非単結晶半導体層としては、結晶性半導体層、非晶質半導体層、微結晶半導体層等がある。また、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等がある。特に、レーザービームの照射、瞬間熱アニール(RTA)やファーネスアニール炉を用いた熱処理、又はこれらの方法を組み合わせた方法により結晶化させた結晶質半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。
ゲート絶縁層110は、厚さ5nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下の酸化珪素及び酸化窒化珪素などの無機絶縁物で形成する。
ゲート電極112は、金属または一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、ゲート絶縁層やその下層の半導体層に拡散することを防ぐことができる。また、積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。
半導体層108、ゲート絶縁層110、ゲート電極112等を組み合わせて構成される薄膜トランジスタ106は、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、ゲート電極112の側面に接する絶縁層(「サイドウォール」ともよばれる)を用いて低濃度不純物領域が設けられたLDD構造の薄膜トランジスタを示している。さらには、等価的には同電位のゲート電圧が印加されるトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層の上下をゲート電極で挟むデュアルゲート構造等で形成される薄膜トランジスタ等を適用することができる。
また、薄膜トランジスタとして金属酸化物や有機半導体材料を半導体層に用いた薄膜トランジスタを用いることが可能である。金属酸化物の代表的には酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等がある。
次に、薄膜トランジスタ106のソース領域、ドレイン領域に電気的に接続する配線118を形成し、当該配線118に電気的に接続する画素電極122a、共通電極122bを形成する(図6(C)参照)。
ここでは、薄膜トランジスタ106を覆うように絶縁層114、116を形成し、絶縁層116上にソース電極、ドレイン電極としても機能しうる配線118を形成する。その後、配線118上に絶縁層120を形成し、当該絶縁層120上に画素電極、共通電極を形成する。
絶縁層114、116は、層間絶縁層として機能する。絶縁層114、116は、CVD法、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。ここでは、1層目の絶縁層114として窒化酸化珪素層で形成し、2層目の絶縁層116として酸化窒化珪素層で形成することができる。
配線118は、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
絶縁層120は、CVD法、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。ここでは、絶縁層120として、スクリーン印刷法を用いてエポキシで設ける。
画素電極122a、共通電極122bとして、透過型の液晶表示装置を作製する場合には、酸化インジウムに酸化スズを混合したインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムスズ酸化物(ITO)に酸化珪素を混合したインジウムスズ珪素酸化物(ITSO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合したインジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化スズ(SnO2)等の透光性を有する材料を用いることができる。反射型の液晶表示装置を作製する場合には、画素電極122a、共通電極122bとして反射性を有する金属(例えば、アルミニウムまたは銀を主成分とする材料層、又はそれらの積層層等)を用いることができる。半透過型の液晶表示装置を作製する場合、反射領域には反射性を有する金属を画素電極に用い、透過領域には透光性を有する材料を用いることができる。
ここでは、液晶表示装置として、IPSモードの液晶表示装置を形成するため、絶縁層120上に対となる画素電極122a、共通電極122bを形成する。なお、縦電界駆動方式の液晶表示装置を作製する場合は、画素電極122aを絶縁層120上に形成し、共通電極122bを第2の構造体上に形成すればよい。
次に、基板100の端部に設けられた絶縁層をエッチング等により除去する。ここでは、少なくとも絶縁層114、116、120を除去して、絶縁層104を露出させる。なお、1枚の基板から複数の液晶表示装置を形成する(多面取りする)場合には、パネルを形成する各々の領域の端部において絶縁層をエッチングし、それぞれのパネルを構成する素子毎に分離する。
次に、絶縁層120上にスペーサ121を形成する。次に、液晶材料を配向しやすくするため、画素電極122a、共通電極122b、絶縁層120、絶縁層104上に配向膜123を形成する(図6(D)参照)。
本実施の形態では、スペーサ121として、柱状スペーサを用いて示す。柱状スペーサの作製方法としては、感光性アクリルなどの有機絶縁材料を基板の全面にスピンコート法により塗布し、これを一連のフォトリソグラフィの工程を行うことにより、基板上に残った感光性有機絶縁材料がスペーサとしての役割を果たす。当該方法により、露光時のマスクパターン次第でスペーサの配置したい場所に露光できるため、液晶が駆動しない部分に柱状スペーサを配置することにより、第1の構造体及び第2の構造体の間の間隔を維持するだけでなく、液晶の光漏れも防ぐことができる。また、スペーサ121は、インクジェット法により有機絶縁材料を含む組成物を吐出し焼成して形成することができる。
なお、ここでは、スペーサ121を絶縁層120上に形成したが、図示しない第2の構造体上にスペーサ121を形成してもよい。
配向膜123は、ポリイミド等を溶解した溶液を基板上に塗布し焼成を行った後、ラビング処理を行い形成する。または、UV光の照射またはイオンビームの照射によりシスートランス異性化が可能なポリマーを基板上に塗布した後、UV光の照射またはイオンビームの照射により、ポリマーのシスートランス異性化を行って配向膜を形成する。または、斜方蒸着により酸化珪素を基板上に蒸着して、配向膜を形成する。
なお、半導体層108の結晶化工程、半導体層108に含まれるソース領域及びドレイン領域の活性化工程、絶縁層114、116、120の形成工程、配向膜123の形成工程における加熱処理により、剥離層102の一部を脆弱にすることで、後の剥離工程を容易に行うことができる。
次に、薄膜トランジスタ106等を含む素子形成層124を基板100から容易に剥離するために、素子形成層124を基板100から剥離する前にレーザービームを照射して、凹部を形成することが好ましい。ここでは、端部において露出した絶縁層104及び配向膜123にレーザービームを照射することにより凹部128を形成する(図6(E)参照)。
次に、図7(A)に示すように、素子形成層124に粘着フィルム130を貼り合わせて設ける。粘着フィルム130は、光または熱により剥離可能なシートを適用する。
粘着フィルム130を貼り合わせることにより、剥離が容易に行えると共に剥離の前後において素子形成層124に加わる応力を低減し、薄膜トランジスタ106の破損を抑制することが可能となる。
次に、凹部128をきっかけとして、剥離層102及びバッファ層として機能する絶縁層104の界面において、素子形成層124を基板100から剥離する(図7(B)参照)。剥離方法としては、例えば、機械的な力を加えること(人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理等)を用いて行えばよい。
また、凹部128に液体を滴下し、剥離層102及び絶縁層104の界面に液体を浸透させて剥離層102から素子形成層124を剥離してもよい。また、凹部128にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ガスを導入し、剥離層をフッ化ガスでエッチングし除去して、絶縁表面を有する基板から素子形成層124を剥離する方法を用いることができる。
本実施の形態においては、剥離層102として絶縁層104に接する側に金属酸化層を形成し、物理的手段により、素子形成層124を剥離する方法を用いたがこれに限られない。基板100として透光性を有する基板を用い、剥離層102として水素を含む非晶質珪素層を用い、基板100から剥離層102にレーザービームを照射して、非晶質珪素層に含まれる水素を気化させて、基板100と剥離層102との間で剥離する方法を用いることができる。
また、基板100を機械的に研磨し除去する方法や、基板100をHF等の溶液を用いて溶解し除去する方法を用いることができる。この場合、剥離層102を用いなくともよい。
次に、剥離した素子形成層124の剥離面(剥離により露出した絶縁層104表面)に、繊維体132aに有機樹脂132bが含浸された第1の構造体132を設ける(図7(C)参照)。このような構造体は、プリプレグとも呼ばれる。
プリプレグは、繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化または硬化させたものである。構造体の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な液晶表示装置を作製することができる。
有機樹脂132bとして、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂又はシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂又はフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子形成層124に固着することができる。なお、有機樹脂132bはガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
有機樹脂132bまたは繊維体132aの糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または糸束内に含まれることにより発熱を外部に放出しやすくなるため、液晶表示装置の蓄熱を抑制することが可能であり、液晶表示装置の破壊を低減することができる。
繊維体132aは、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、部分的に重なるように配置する。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体132aは、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
また、繊維体132aは、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等を適宜用いることができる。
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした糸束を用いてもよい。開繊加工をした糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体132aを薄くすることが可能である。このため、構造体を薄くすることが可能であり、薄型の液晶表示装置を作製することができる。
次に、第1の構造体を加熱し圧着して、第1の構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
有機樹脂は加熱及び圧着により、素子形成層124の表面に有機樹脂132bが均一に広がり硬化する。第1の構造体132を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行うことができる。以上の工程により、素子形成層124に第1の構造体132を固着することができる。
次に、配向膜123上にシール材134を形成する(図8(A)参照)。シール材134は、スクリーン印刷法、インクジェット装置またはディスペンス装置を用いて配向膜123または第2の構造体上に塗布する。シール材134は、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を含む材料を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。また、フィラー(直径1μm〜24μm)を含んでもよい。
次に、シール材134の内側に液晶材料を吐出する。この後、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する(図8(B)参照)。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する。
第2の構造体137は、第1の構造体132と同様に、繊維体137aに有機樹脂137bが含浸されている。なお、図8(B)においては、第2の構造体137は、繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものであり、後の加熱工程で硬化する。
次に、第1の構造体132及び第2の構造体137を熱圧着し、有機樹脂が硬化された第2の構造体138を形成すると共に、第2の構造体138の有機樹脂が硬化する際に、第1の構造体132を第2の構造体138に固着させる(図9参照)。以上の工程により、密着性の高い液晶表示装置を作製する。
なお、本実施の形態では、図7(B)において、素子形成層124の表面に粘着フィルム130を設けた後、剥離層102で剥離しているが、この工程を経ずに、以下の工程を用いてもよい。図6(A)乃至図6(E)の後、素子形成層124にシール材134を形成し、シール材134の内側に液晶材料を塗布し、シール材134を用いて素子形成層124及び第2の構造体を固着して液晶層136を形成する。次に、剥離層102から素子形成層124、液晶層136、及び第2の構造体137を剥離する。次に、素子形成層124に第1の構造体132を固着すると共に、第1の構造体132及び第2の構造体137を固着させてもよい。
以上の工程により、可撓性を有し、且つ外部からの押圧による破壊が少なく、且つ信頼性の高い液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる液晶表示装置の作製方法に関して図面を参照して説明する。
まず、基板100の一表面に剥離層102を形成し、続けて絶縁層104した後、絶縁層104上に画素電極150a、共通電極150bを形成する(図10(A)参照)。ここでは、絶縁層104を積層構造とし、絶縁層の最上層を窒化珪素層で形成することが好ましい。
画素電極150a、共通電極150bとして、透過型の液晶表示装置を作製する場合には、酸化インジウムに酸化スズを混合したインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムスズ酸化物(ITO)に酸化珪素を混合したインジウムスズ珪素酸化物(ITSO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合したインジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化スズ(SnO2)等を用いることができる。反射型の液晶表示装置を作製する場合には、画素電極150a、共通電極150bとして反射性を有する金属(例えば、アルミニウムまたは銀を主成分とする材料層、又はそれらの積層層等)を用いることができる。半透過型の液晶表示装置を作製する場合、反射領域には反射性を有する金属を画素電極に用い、透過領域には透光性を有する材料を用いることができる。
ここでは、液晶表示装置として、IPSモードの液晶表示装置を形成するため、絶縁層104上に対となる画素電極150a、共通電極150bを形成する。なお、縦電界駆動方式の液晶表示装置を作製する場合は、画素電極150aを絶縁層104上に形成し、共通電極150bを第2の構造体上に形成すればよい。
次に、画素電極150a、共通電極150b上に絶縁層152を形成し、当該絶縁層152上に薄膜トランジスタ106を形成する。また、薄膜トランジスタ106上に絶縁層114、116を形成し、絶縁層116上にソース電極、ドレイン電極として機能しうる配線118を形成する(図10(B)参照)。
薄膜トランジスタ106は、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、ここでは、シングルドレイン構造の薄膜トランジスタを示す。
また、配線118と画素電極150aとを電気的に接続する。ここでは、導電層154を介して配線118と画素電極150aを電気的に接続する。導電層154は、薄膜トランジスタ106のゲート電極112と同時に(同一の工程で)形成することができる。
次に、基板100の端部に設けられた絶縁層をエッチング等により除去した後、配線118を覆うように絶縁層156を形成する(図10(C)参照)。ここでは、少なくとも絶縁層104を露出させように絶縁層152等を除去する。なお、1枚の基板から複数の液晶表示装置を形成する(多面取りする)場合には、パネルを形成する各々の領域の端部において絶縁層をエッチングし、それぞれのパネルを構成する素子毎に分離する。
なお、ここでは、絶縁層156を窒化珪素で形成することが好ましい。この結果、絶縁層104及び絶縁層156で素子形成層124を封止することが可能であるため、外部からの水分等が素子形成層124に浸入することを低減することができる。この結果、素子形成層124の劣化を低減することが可能である。
次に、薄膜トランジスタ106等を含む素子形成層124を基板100から容易に剥離を行うために、素子形成層124を基板100から剥離する前にレーザービームを照射して、凹部128を形成することが好ましい。ここでは、端部において絶縁層156、104にレーザービームを照射することにより凹部128を形成する(図10(D)参照)。
次に、少なくとも凹部128を覆うように、セパレートフィルム158を設ける(図11(A)参照)。セパレートフィルム158の一例としてPET上にシリコーン樹脂層が形成されたフィルムがある。
次に、絶縁層156の表面に、繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を設ける。続いて、第1の構造体を加熱し圧着して、第1の構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。有機樹脂は加熱及び圧着により、素子形成層124の表面に有機樹脂132bが均一に広がり硬化するため、素子形成層124に第1の構造体132を固着することができる(図11(B)参照)。
第1の構造体132を絶縁層156に貼り合わせて設けることにより、剥離が容易に行えると共に剥離の前後において素子形成層124に加わる応力を低減し、薄膜トランジスタ106の破損を抑制することが可能となる。
また、第1の構造体132を貼り合わせる前に、セパレートフィルム158を設けておくことにより、有機樹脂132bが凹部128に浸入して剥離層102と接着することによる剥離不良を抑制することができる。
次に、凹部128をきっかけとして、剥離層102及びバッファ層として機能する絶縁層104の界面において、素子形成層124を基板100から剥離する(図11(C)参照)。また、剥離後にセパレートフィルム158を取り除くことが好ましい。
次に、実施の形態4と同様に絶縁層104上にスペーサ121を形成する。次に、スペーサ121、絶縁層104の表面に配向膜123を形成する。次に、配向膜123上にシール材134を形成する(図12(A)参照。)
次に、実施の形態4と同様に、シール材134の内側に液晶を吐出する。この後、シール材134上に第2の構造体を設ける。次に、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する(図12(B)参照)。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する。
次に、第1の構造体132及び第2の構造体137を熱圧着し、有機樹脂が硬化された第2の構造体138を形成すると共に、第2の構造体138の有機樹脂が硬化する際に、第1の構造体132を第2の構造体138に固着させ、密着性の高い液晶表示装置を作製する(図13参照)。
以上の工程により、実施の形態4と比較して、少ない工程数で、可撓性を有し、且つ外部からの押圧による破壊が少なく、且つ信頼性の高い液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、比較的低温(500℃未満)のプロセスで作製される薄膜トランジスタ(非晶質半導体層または微結晶半導体層などを用いた薄膜トランジスタ、有機半導体層を用いた薄膜トランジスタ、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ等)を有する液晶表示装置の画素部の作製方法について、以下に示す。
基板100の一表面に剥離層302を形成し、続けて絶縁層104を形成する(図14(A)参照)。剥離層302、絶縁層104は、連続して形成することができる。連続して形成することにより、大気に曝されないため不純物の混入を防ぐことができる。
なお、本工程では、剥離層302を基板100の全面に設ける場合を示しているが、必要に応じて、基板100の全面に剥離層302を設けた後に当該剥離層302を選択的に除去し、所望の領域にのみ剥離層を設けてもよい。また、基板100に接して剥離層302を形成しているが、必要に応じて、基板100に接するように酸化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化珪素層、窒化酸化珪素層等の絶縁層を形成し、当該絶縁層に接するように剥離層302を形成してもよい。
剥離層302は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、厚さ30nm〜200nmのモリブデン(Mo)、モリブデンを主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層または複数の層を積層させて形成する。
剥離層302が単層構造の場合、好ましくは、モリブデン、またはモリブデンを有する混合物を含む層を形成する。又は、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はモリブデンを有する混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、モリブデンを有する混合物とは、代表的には、モリブデンを主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料であり、一例としてタングステンとモリブデンの合金があるがこれに限定されるものではなく、モリブデンを主成分として含んでいればよい。
剥離層302が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には、1層目の金属層として、モリブデン、またはモリブデンを有する混合物を含む層を形成し、2層目として、モリブデンの酸化物、窒化物、酸化窒化物、若しくは窒化酸化物を含む層、または、モリブデンを有する混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物、若しくは窒化酸化物を含む層を形成する。
剥離層302として、1層目として金属層、2層目として金属酸化物層の積層構造を形成する場合、金属層としてモリブデンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、モリブデンを含む層と絶縁層との界面に、金属酸化物層としてモリブデンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、金属層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行って金属酸化物層を形成してもよい。
次に、絶縁層104上に薄膜トランジスタ304を形成する(図14(B)参照)。本実施の形態では、薄膜トランジスタとして、チャネル形成領域を非晶質半導体、微結晶半導体、有機半導体、または酸化物半導体で形成した逆スタガ型の薄膜トランジスタを示す。
薄膜トランジスタ304は、少なくともゲート電極306、ゲート絶縁層308、半導体層310で構成される。また、半導体層310上にソース領域、ドレイン領域として機能する不純物半導体層312を形成してもよい。また、不純物半導体層312に接する配線314を形成する。
ゲート電極306は、実施の形態4に示すゲート電極112に示す金属のほか、クロム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体層やAgPdCu合金を用いてもよい。また、インジウム、ガリウム、アルミニウム、亜鉛、スズ等からなる導電性の酸化物や複合酸化物を用いてもよい。例えばインジウム錫酸化物(ITO)を用いて透明なゲート電極としてもよい。
ゲート電極306は、絶縁層104上に、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて上記した材料により導電層を形成し、該導電層上にフォトリソグラフィ法又はインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて導電層をエッチングして形成することができる。
また、銀、金又は銅等の導電性ナノペーストをインクジェット法により基板上に吐出し、焼成することで形成することもできる。なお、ゲート電極306と、絶縁層104との密着性向上として、上記の金属材料の窒化物層を、絶縁層104と、ゲート電極306との間に設けてもよい。ここでは、絶縁層104に導電層を形成し、フォトマスクを用いて形成したレジストマスクによりエッチングして、ゲート電極306を形成する。
なお、ゲート電極306の側面は、テーパー形状とすることが好ましい。ゲート電極306上には、後の工程で半導体層及び配線を形成するので、段差の箇所における配線切れ防止のためである。ゲート電極306の側面をテーパー形状にするためには、レジストマスクを後退させつつエッチングを行えばよい。例えば、エッチングガスに酸素ガスを含ませることでレジストを後退させつつエッチングを行うことが可能である。
また、ゲート電極306を形成する工程によりゲート配線(走査線)も同時に形成することができる。なお、走査線とは画素を選択する配線をいい、容量配線とは画素の保持容量の一方の電極に接続された配線をいう。ただし、これに限定されず、ゲート配線及び容量配線の一方又は双方と、ゲート電極306とは別に設けてもよい。
ゲート絶縁層308は、CVD法、スパッタリング法又はパルスレーザー蒸着法(PLD法)等を用いて、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ハフニウム、酸化ハフニウムアルミニウム、酸化窒化ハフニウム珪素、又はイットリアを用いて単層で又は積層して形成することができる。また、ゲート絶縁層308、高周波数(1GHz以上)のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて形成することで、ゲート電極と、ドレイン電極及びソース電極との間の耐圧を向上させることができるため、信頼性の高い薄膜トランジスタを得ることができる。
半導体層310は、厚さ10nm以上200nm以下、さらには20nm以上150nm以下の非単結晶半導体で形成される層であり、非単結晶半導体層としては、非晶質半導体層、微結晶半導体層等がある。また、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等がある。本実施の形態では、レーザービームの照射、熱処理等を行わず、500℃未満の低温度で、直接ゲート絶縁層308上に形成することを特徴とする。剥離層302を、少なくともモリブデンを含む層を用いることで、500℃未満の低温度で薄膜トランジスタ形成しても、容易に剥離プロセスを行うことができる。
なお、半導体層310として、ゲート絶縁層に接する側から、微結晶半導体及び非晶質半導体を積層した構造でもよい。また、半導体層310として、窒素またはNH基を有し、且つ非晶質構造の中に逆錐形の結晶粒及び/または粒径が1nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上5nm以下の微小結晶粒含む非単結晶半導体を形成してもよい。
また、半導体層310として、n型の導電性を付与するリン等の一導電型を付与する不純物元素が、非晶質半導体または微結晶半導体に添加されてもよい。または、半導体層310として、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、白金等のシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素が、非晶質半導体または微結晶半導体に添加されていてもよい。一導電型を付与する不純物元素やシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素等を添加することにより、半導体層のキャリア移動度を上昇させることが可能であるため、当該半導体層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタの電界効果移動度を高めることができる。
また、半導体層310として、金属酸化物や有機半導体材料を用いて形成することができる。金属酸化物の代表的には酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等がある。
半導体層310に接して、ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物半導体層312を形成してもよい。不純物半導体層312は、一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体層を用いて形成すればよい。nチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合には、一導電型を付与する不純物元素としてリンを用いればよく、代表的には、リンが含有されたアモルファスシリコンまたは微結晶シリコンを用いて形成する。また、pチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合には、一導電型を付与する不純物元素としてとしてボロンを用いればよく、代表的には、ボロンが含有されたアモルファスシリコンまたは微結晶シリコンを用いて形成する。
一導電型を付与する不純物元素の濃度、ここではリンまたはボロンの濃度を1×1019〜1×1021cm−3とすることで、配線314とオーミックコンタクトすることが可能となり、ソース領域及びドレイン領域として機能する。
ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物半導体層312は10nm以上100nm以下、好ましくは30nm以上50nm以下の厚さで形成する。不純物半導体層312の厚さを、薄くすることでスループットを向上させることができる。
配線314は、実施の形態4に示す配線118と同様に形成することができる。また、例えば、実施の形態4で示す画素電極122aに羅列した透光性を有する材料を適宜用いることができる。
本実施の形態に係る薄膜トランジスタは、実施の形態4及び実施の形態5にて説明した薄膜トランジスタと同様に、液晶表示装置に代表される表示装置の画素におけるスイッチングトランジスタに適用することができる。そのため、この薄膜トランジスタを覆う絶縁層316、絶縁層318を形成する(図14(C)参照)。
次に、配線314により構成されるソース電極及びドレイン電極に達するように、開口部323を形成する。なお、当該開口部323を形成する際、基板100の端部に設けられた絶縁層316、絶縁層318をエッチング等により除去する。ここでは、少なくとも絶縁層318を除去して、絶縁層316を露出させることが好ましい。なお、1枚の基板から複数の液晶表示装置を形成する(多面取りする)場合には、液晶表示装置を形成する各々の領域の端部において、少なくとも絶縁層318をエッチングし、それぞれの液晶表示装置を構成する素子毎に分離することが好ましい。
次に、当該開口部323を介して接続されるように、絶縁層316、絶縁層318上に画素電極322a、共通電極322bを設ける。このようにして図14(D)に示す表示装置の画素におけるスイッチング用の薄膜トランジスタを作製することができる。
なお、絶縁層316は、ゲート絶縁層308と同様に形成することができる。さらには、絶縁層316は、大気中に浮遊する有機物、金属又は水蒸気等の汚染源となりうる不純物元素の侵入を防ぐことができるよう、緻密な窒化珪素により設けることが好ましい。絶縁層318は、実施の形態4に示す絶縁層116と同様に形成することができる。また、画素電極322a、共通電極322bは、実施の形態4に示す画素電極122a、共通電極122bと同様に形成することができる。
次に、基板100から、薄膜トランジスタ304等を含む素子形成層324を容易に剥離するために、素子形成層324を基板100から剥離する前にレーザービームを照射して、凹部327を形成することが好ましい。ここでは、端部において露出した絶縁層316、ゲート絶縁層308、絶縁層104にレーザービーム326を照射することにより凹部327を形成する(図14(E)参照)。
次に、図15(A)に示すように、素子形成層324に粘着シート328を貼り合わせる。粘着シート328は、光または熱により剥離可能なシートを適用する。
粘着シート328を貼り合わせることにより、剥離層302における剥離が容易に行えると共に、剥離の前後において素子形成層324に加わる応力を低減し、薄膜トランジスタ304の破損を抑制することが可能となる。
次に、凹部327をきっかけとして、剥離層302及びバッファ層として機能する絶縁層104の界面において、素子形成層324を基板100から剥離する(図15(B)参照)。剥離方法としては、例えば、機械的な力を加えること(人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理等)を用いて行えばよい。
また、凹部327に液体を滴下し、剥離層302及び絶縁層104の界面に液体を浸透させて剥離層302から素子形成層324を剥離してもよい。また、凹部327にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ガスを導入し、剥離層をフッ化ガスでエッチングし除去して、絶縁表面を有する基板から素子形成層324を剥離する方法を用いることができる。
本実施の形態においては、剥離層302として絶縁層104に接する側に金属酸化層を形成し、物理的手段により、素子形成層324を剥離する方法を用いたがこれに限られない。基板100として透光性を有する基板を用い、剥離層302として水素を含む非晶質珪素層を用い、基板100から剥離層302にレーザービームを照射して、非晶質珪素層に含まれる水素を気化させて、基板100と剥離層302との間で剥離する方法を用いることができる。
また、基板100を機械的に研磨し除去する方法や、基板100をHF等の溶液を用いて溶解し除去する方法を用いることができる。この場合、剥離層302を用いなくともよい。
次に、剥離した素子形成層324の剥離面(剥離により露出した絶縁層104表面)に、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を設けた後、加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑または硬化させて、素子形成層324に繊維体132aに有機樹脂132bが含浸された第1の構造体132を設ける(図15(C)参照)。繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の固着は、大気圧下または減圧下で行うことができる。なお、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を加熱し圧着した後、室温に冷却することにより硬化した有機樹脂132bを含む。
次に、粘着シート328を第1の構造体132から剥す(図16(A)参照。)
次に、絶縁層320上に実施の形態4と同様にスペーサ121を形成する。次に、スペーサ121、画素電極322a、及び共通電極322bの表面に配向膜123を形成する。次に、配向膜123上にシール材134を形成する(図16(B)参照。)
次に、実施の形態4と同様に、シール材134の内側に液晶材料を吐出する。この後、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する(図17(A)参照)。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する(図17(B)参照)。
次に、第1の構造体132及び第2の構造体137を熱圧着し、有機樹脂が硬化された第2の構造体138を形成すると共に、第2の構造体138の有機樹脂が硬化する際に、第1の構造体132を第2の構造体138に固着させ、密着性の高い液晶表示装置を作製する。
なお、本実施の形態では、素子形成層324の形成方法として、実施の形態4を用いたが、この代わりに実施の形態5を用いることができる。
本実施の形態では、剥離層に少なくともモリブデンを含む層を用いるため、プリプレグ上に直接形成できず、且つ500℃未満の低温工程で形成する薄膜トランジスタを含む素子形成層を容易に剥離層から剥離することが可能であり、当該素子形成層をプリプレグに固着して素子基板を形成することができる。また、当該素子基板を用いて液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、少ない工程数で、液晶表示装置を作製する方法を提供することを目的とし、以下に示す。具体的には、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを有する表示装置の画素部の作製方法について、以下に示す。
繊維体132aに有機樹脂132bが含浸された第1の構造体132を基板として用いる。なお、第1の構造体132は、繊維体132aに含浸された有機樹脂は、硬化または半硬化された有機樹脂である。
基板である第1の構造体132上にゲート電極402を形成する前に、第1の構造体132とゲート電極402の間に下地層として機能する絶縁層400を設けても良い。この絶縁層400は、第1の構造体132からTFT素子及び表示装置へ水分やアルカリ金属などの不純物が拡散して、素子形成層に形成される半導体素子の信頼性などが劣化するのを防ぐものであり、ブロッキング層として適宜設ければ良い。
絶縁層400としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、絶縁層400を2層構造とする場合、第1層目の絶縁層として窒化酸化珪素層を形成し、第2層目の絶縁層として酸化窒化珪素層を形成するとよい。また、第1層目の絶縁層として窒化珪素層を形成し、第2層目の絶縁層として酸化珪素層を形成してもよい。
次に、第1の構造体132上にゲート電極402を形成し、ゲート電極402上にゲート絶縁層404を形成する(図18(A)参照)。ゲート電極402、ゲート絶縁層404は、それぞれ実施の形態6に示すゲート電極306、ゲート絶縁層308を適宜用いて形成する。
次に、フォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使い、ゲート絶縁層404にコンタクトホールを形成しゲート電極402の接続パッドを露出する。また、同時に液晶表示装置の外周部を図18(B)の凹部406の如くドライエッチングで取り除く。また、下地層として機能する絶縁層400を有している場合は、ゲート絶縁層404と共に絶縁層400をドライエッチングし、凹部406を形成する。外周部の絶縁層と下地層として機能する絶縁層400を取り除くことで、後の工程において、プリプレグ同士の熱融着が可能になる。ドライエッチングにはCHF3の混合ガスを用いたがこれに限定されるものではない。
半導体層408は、酸化物半導体層を用いて形成する。酸化物半導体層としては、インジウム、ガリウム、アルミニウム、亜鉛及びスズから選んだ元素の複合酸化物を用いることができる。例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IZO)や酸化インジウムと酸化ガリウムと酸化亜鉛からなる酸化物(IGZO)をその例に挙げることができる。酸化物半導体は、スパッタリング、パルスレーザー蒸着法(PLD法)等のプリプレグの耐熱温度より低い温度で膜の堆積が可能であるため、耐熱温度の低いプリプレグ上に直接形成することができる。
半導体層408は、反応性スパッタリング法又はパルスレーザー蒸着法(PLD法)により成膜することができる。半導体層としては10nm以上200nm以下、好ましくは20nm以上150nm以下の厚さで形成するとよい。また、膜中の酸素欠損が増えるとキャリア密度が高まり薄膜トランジスタ特性が損なわれてしまうため、成膜雰囲気の酸素濃度を制御するとよい。
酸化インジウムと酸化ガリウムと酸化亜鉛からなる酸化物の場合、金属元素の組成比の自由度は高く、広い範囲の混合比で半導体として機能する。10重量%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IZO)や酸化インジウムと酸化ガリウムと酸化亜鉛からなる酸化物をそれぞれ等モルで混合した材料(IGZO)を一例として挙げることができる。
ここでは、半導体層408の形成方法の一例として、IGZOを用いた方法について説明する。酸化インジウム(In2O3)と酸化ガリウム(Ga2O3)と酸化亜鉛(ZnO)をそれぞれ等モルで混合し、焼結した直径8インチのターゲットを用い、500Wの出力でDC(Direct Current)スパッタリングして半導体層を形成する。チャンバーの圧力は0.4Pa、ガス組成比はAr/O2が10/5sccmの条件で100nm成膜する。成膜の際の酸素分圧をインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電層の成膜条件より高く設定し、酸素欠損を抑制することが望ましい。
半導体層の成膜後、フォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使い、希塩酸もしくは有機酸、例えばクエン酸によりエッチングして、半導体層408を形成する(図18(C)参照)。次いで、有機溶剤を使ってフォトレジストを剥離する。
次に、半導体層408上に配線412、414を形成する。配線412、414は、実施の形態6に示す配線314と同様の材料を用いて形成することができる。
配線412、414は、少なくとも半導体層408上にレジストマスクを形成した後、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて導電層をレジストマスク、半導体層408、及びゲート絶縁層404上に形成し、レジストを剥離して、リフトオフ法により図18(D)のごとく、半導体層408の一部を露出する配線412、414を形成する。
以上の工程により、酸化物半導体を用いて半導体層を形成した薄膜トランジスタを作製することができる。本実施の形態に係る薄膜トランジスタは、実施の形態4にて説明した薄膜トランジスタと同様に、液晶表示装置に代表される表示装置の画素におけるスイッチング用の薄膜トランジスタに適用することができる。
次に、開口部420、422を有する絶縁層418を形成する。絶縁層418は、実施の形態6に示す絶縁層316と同様に形成することができる。開口部420、422は、基板上全面に絶縁層を形成した場合、フォトリソグラフィ法を用いてレジストマスクを形成し、当該マスクを用いて絶縁層をエッチングすることで形成することができる。または、印刷法または液滴吐出法を用いて、開口部420、422を有する絶縁層418を形成してもよい。
次に、当該開口部420を介して接続されるように、絶縁層418上に画素電極424a、共通電極424bを設ける。このようにして図19(A)に示す液晶表示装置の画素におけるスイッチング用の薄膜トランジスタを作製することができる。
なお、画素電極424a、共通電極424bは、実施の形態6に示す画素電極322a、共通電極322bを適宜用いることができる。
以上の工程により、プリプレグ上に薄膜トランジスタを形成することができる。本実施の形態では、剥離工程を用いず、直接プリプレグ上に薄膜トランジスタを形成することができるため、可撓性を有する素子基板の作製工程数を削減することができる。
次に、実施の形態4と同様に絶縁層418上にスペーサ121を形成する。次に、スペーサ121、絶縁層418の表面に配向膜123を形成する。次に、配向膜123上にシール材134を形成する(図19(B)参照。)
次に、実施の形態4と同様に、シール材134の内側に液晶材料を吐出する。この後、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する(図20(A)参照)。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する。
次に、第1の構造体132及び第2の構造体137を熱圧着し、有機樹脂が硬化された第2の構造体138を形成すると共に、第2の構造体138の有機樹脂が硬化する際に、第1の構造体132を第2の構造体138に固着させ、密着性の高い液晶表示装置を作製する(図20(B)参照)。
本実施の形態では、プリプレグ上に薄膜トランジスタを形成することができるため、可撓性を有する素子基板の作製工程数を削減することができる。また、当該素子基板を用いて液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態2に示す液晶表示装置の作製方法について、以下に示す。本実施の形態では、実施の形態4を用いて説明するが、他の実施を形態に適宜適用することができる。
実施の形態4と同様に、図6から図7(B)までの工程を経る。絶縁層104に第1の構造体131及び第1の衝撃緩和層151を設ける(図21(A)参照)。ここでは、第1の構造体131としては、繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものであり、後の加熱工程で硬化する(図21(B)参照)。
次に、第1の構造体131を加熱し圧着して、第1の構造体に含まれる有機樹脂131bを硬化または可塑化して、絶縁層104に第1の構造体132及び第1の衝撃緩和層151を固着する。
次に、粘着フィルム130を剥した後、実施の形態4の図8(A)に示すように、シール材134を形成する。次に、シール材134の内側に液晶を吐出する。この後、第2の構造体137をシール材134の上に設け、第2の構造体137上に第2の衝撃緩和層153を設ける。次に、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する(図22参照)。
次に、実施の形態4と同様に、第1の構造体132及び第2の構造体137を熱圧着し、有機樹脂が硬化された第2の構造体138を形成すると共に、第2の構造体138の有機樹脂が硬化する際に、第1の構造体132を第2の構造体138に固着させ、図2に示すような、密着性が高く、さらに面圧や線圧に対する破壊の少ない液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、第1の構造体及び第2の構造体の密着性がさらに高い液晶表示装置の作製方法について、以下に示す。本実施の形態では、実施の形態5を用いて示すが、他の実施の形態を適宜適用することができる。
実施の形態5と同様に、図10(A)乃至図10(C)の工程を経て図23(A)に示すように、絶縁層156に第1の構造体132を固着する。
次に、素子形成層124を基板100からの剥離を容易に行うために、素子形成層124を基板100から剥離する前にレーザービーム171を照射して、凹部172を形成することが好ましい。ここでは、第1の構造体132、絶縁層156、絶縁層104にレーザービームを照射することにより凹部172を形成する(図23(B)参照)。
次に、実施の形態4と同様に、凹部172をきっかけとして、剥離層102及びバッファ層として機能する絶縁層104の界面において、素子形成層124を基板100から剥離する(図24(A)参照)。
次に、実施の形態5と同様に絶縁層104上にスペーサ121を形成する。次に、スペーサ121、絶縁層104の表面に配向膜123を形成する(図24(B)参照。)
次に、配向膜123から第1の構造体132の途中まで凹部176を形成する。ここでは、UVレーザービーム174を照射して凹部176を形成する。次に、配向膜123上にシール材134を形成する(図25(A)参照)。
次に、実施の形態4と同様に、シール材134の内側に液晶を吐出する。この後、シール材134上に第2の構造体を設ける。次に、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する。
次に、第1の構造体132及び第2の構造体を熱圧着し、有機樹脂が硬化された第2の構造体138を形成すると共に、第2の構造体138の有機樹脂が硬化する際に、第1の構造体132を第2の構造体138に固着させ、密着性の高い液晶表示装置を作製する(図25(B)参照)。なお、当該熱圧着の際、第2の構造体の有機樹脂が凹部176に充填された後に硬化するため、第1の構造体132及び第2の構造体138の密着性が高まる。
以上の工程により、可撓性を有し、且つ外部からの押圧による破壊が少なく、且つ信頼性の高い液晶表示装置を作製することができる。また、第2の構造体138の有機樹脂が第1の構造体の凹部に入り込んでいるため、第1の構造体132及び第2の構造体138の密着性を更に高めることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、信頼性の高い液晶表示装置の作製方法について、以下に示す。具体的には、実施の形態3に示すような、静電気に対する破壊を低減することが可能な液晶表示装置に関して、以下に説明する。なお、本実施の形態では、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
実施の形態3に示す液晶表示装置は、第1の構造体及び第2の構造体を加熱し圧着して、固着させた後、第1の構造体または/及び第2の構造体の表面に、蒸着法、スパッタリング法、電解メッキ法、無電解メッキ法、塗布法、印刷法、ディップ法等により、導電層を形成する。なお、塗布法、印刷法、ディップ法を用いた場合は、乾燥、さらには焼成して導電層の導電性を高めることが好ましい。
また、実施の形態8に示す作製工程において、第1の衝撃緩和層及び第2の衝撃緩和層の表面に導電層を形成した後、第1の構造体及び第2の構造体の表面それぞれに当該第1の衝撃緩和層及び第2の衝撃緩和層を設けてもよい。この工程について、以下に示す。
実施の形態4と同様に、図6から図7(B)までの工程を経る。次に、絶縁層104に第1の構造体131、及び導電層180が形成された第1の衝撃緩和層151を設ける(図26(A)参照)。ここでは、第1の構造体131としては、繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものであり、後の加熱工程で硬化する。また、導電層180は、第1の衝撃緩和層151において、第1の構造体131とは反対側の面に設けているが、第1の構造体131及び第1の衝撃緩和層151の間に設けてもよい。
導電層は、第1の衝撃緩和層151の表面に、蒸蒸着法、スパッタリング法、電解メッキ法、無電解メッキ法、塗布法、印刷法、ディップ法等により形成する。なお、塗布法、印刷法、ディップ法を用いた場合は、乾燥、さらには焼成して導電層の導電性を高めることが好ましい。
次に、第1の構造体131を加熱し圧着して、第1の構造体に含まれる有機樹脂131bを硬化または可塑化して、絶縁層104に第1の構造体132及び第1の衝撃緩和層151を固着する(図26(B)参照)。この後、粘着フィルムを剥す。
次に、実施の形態4の図8(A)に示すように、シール材134を形成する。次に、シール材134の内側に液晶材料を吐出する。この後、第2の構造体137をシール材134の上に設け、第2の構造体137上に、導電層が形成された第2の衝撃緩和層153を設ける。次に、第2の構造体137を減圧雰囲気で貼り合せ、UV光を照射してシール材134を硬化して第2の構造体137を固着する。また、当該固着工程により、第1の構造体132、第2の構造体137、シール材134で囲まれた液晶層136を形成する(図27参照)。
なお、一つの基板に形成した素子形成層及び液晶層から複数の液晶表示装置を分断する(多面取りする)場合、分断方法として、レーザカット法や切断部材を用いて分断する。ここでは、レーザカット法を用いた形態について示す。
第1の構造体132、第2の構造体137、第1の衝撃緩和層151、第2の衝撃緩和層153にレーザービーム184を照射して、第1の構造体132、第2の構造体137、第1の衝撃緩和層151、第2の衝撃緩和層153を溶融させる。
上記分断工程に用いるレーザービームの波長や強度、ビームサイズなどの条件については特に限定されない。少なくとも、液晶表示装置を分断できる条件であればよい。レーザービームの発振器としては、例えば、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、Y2O3レーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ等の連続発振レーザ、Arレーザ、Krレーザ、エキシマ(ArF、KrF、XeCl)レーザ、CO2レーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、Y2O3レーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等のパルス発振レーザを用いることができる。
なお、レーザービームを用いたレーザカット法を用いて分断することで、導電層180と導電層182との間の抵抗値が低下し、導電層180と導電層182とが導通することになる。このため、液晶表示装置の分断の工程と、導電層180、182とを導通させる工程を、一度に行うことができるため、工程数を削減することができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の液晶表示装置について、上面図及び断面図を用いて説明する。
図28(A)は、上記実施の形態に示す作製方法によって作製した液晶表示装置を示す上面図である。また、図28(B)は図28(A)をa−bで切断した断面図である。図28(A)及び(B)に示す液晶表示装置は、上記実施の形態のいずれかに示す方法を適用して作製されており、繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体132及び第2の構造体138によって固着された、素子部501及び端子部502を有している。なお、ここでの素子部501とは、素子形成層、液晶層、及びシール材を含む画素部を示す。また、端子部502に設けられた配線504は、外部入力端子となるフレキシブルプリント配線基板(flexible printed circuit:FPC)505からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る配線である。なお、図28に図示したFPC505に、さらにプリント配線基盤(PWB)が取り付けられた構成としても良い。本明細書における液晶表示装置には、液晶表示装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
図28(B)において、端子部502に設けられた配線504と電気的に接続する位置に、貫通配線503が形成されている。貫通配線503は、第1の構造体132及び第2の構造体138に対して、レーザ、ドリル、打ち抜き針等によって貫通孔を形成し、当該貫通孔にスクリーン印刷や、インクジェット法によって、導電性樹脂を設け、焼成またはリフローすることで形成することができる。導電性樹脂とは、粒径が数十マイクロメートル以下の導電性粒子を有機樹脂に溶解又は分解させたものを指す。導電性粒子としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)のいずれかの金属元素を含む導電ペースト用いることができる。また、導電性樹脂に含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤、及び被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。
また、第1の構造体132及び第2の構造体138に貫通孔を形成せずに、貫通配線503を形成してもよい。例えば、第1の構造体132又は第2の構造体138上の所定の位置に導電性樹脂を配置し、第1の構造体132及び第2の構造体138中の有機樹脂と導電性樹脂に含まれる有機樹脂の反応によって、構造体の有機樹脂の一部を溶解させ、導電性樹脂に含まれる金属粒子を第1の構造体132及び第2の構造体138中に浸透させることで貫通配線503を形成することができる。
外部入力端子となるFPC505は、第1の構造体132及び第2の構造体138に設けられた貫通配線503上に貼りつけられている。従って、貫通配線503に含まれる導電性粒子により、端子部502に設けられた配線504とFPC505に形成された配線506とが電気的に接続する。
以上によって、FPC505が接続された液晶表示装置を得ることができる。
(実施の形態12)
実施の形態1乃至実施の形態11においては、半導体素子及びそれに接続する画素電極を有する液晶素子が素子形成層に形成されたアクティブマトリクス型の液晶表示装置を示したが、これに限定されるものではなく、素子形成層にパッシブマトリクス型の液晶素子を形成して液晶表示装置とすることができる。
(実施の形態13)
上記実施の形態で示す液晶表示装置を電子機器の表示部に組みこむことが可能である。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ及びデジタルカメラ等のカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。
また、街頭における広告用の表示装置や、駅や空港における情報を表示する表示装置に、上記実施の形態で示す液晶表示装置を適用することができる。本発明の液晶表示装置は薄型で、可撓性を有するため、設置場所を特に選ばず、壁等に当該表示装置を貼り付けることで、情報を表示することが可能である。また、表示内容を随時変更することが可能であるため、多くの情報量を表示することが可能である。