JP5381005B2 - 電力変換システム - Google Patents
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Description
図9は、電力変換装置の具体例としての三相モータの速度制御システムを示しており、同時に汎用インバータの雑音端子電圧測定システムを図示する。この図9に示す構成は、三相電源1、インピーダンス整合のための擬似電源回路網(LISNという)2、ダイオード整流器3、平滑コンデンサ4、スイッチング素子であるIGBTとそれと逆並列接続されたダイオードとを1アームとして2アームを直列に接続したスイッチングアームを三相分3列備えた汎用インバータ5、汎用インバータ5の各スイッチングアームの中点から導出されるケーブル6、このケーブル6に接続されてスイッチング素子のスイッチングにて駆動電流を制御して速度制御が行われる三相モータ7を備え、更にLISN2内の各相ラインから接地ラインに接続したインピーダンス素子の端子電圧を取得するスペクトラムアナライザ(妨害波強度計)8を備える。
この図10では、図9の電力変換装置を、中性点電位変動E(V)、漏れ電流経路のインダクタンスL(H)、漏れ電流経路の抵抗分R(Ω)、浮遊容量C(F)の直列回路として簡略して表示する。ここで、図10は図9のモデルを大幅に簡略した構成であるが、ケーブルの浮遊容量や、IGBTモジュールの浮遊容量を考慮したモデルも構成できる。しかしながら、どのようなモデルであっても、高周波漏れ電流はアース線を流れる電流と定義されることから、評価装置(汎用インバータやモータ)内部に形成される浮遊容量を介して流れることになる。
そして、この高周波漏れ電流を効果的に低減する方法については、従来、スイッチングアームの中点に三相一括短絡回路を接続してインバータ出力の3相を短絡し、この短絡点を電位固定回路にて固定することで中性点の電位変動を低く固定しノイズを低減する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
更に、電源の次段にコモンモードトランスを介在させ、この二次巻線とコンデンサとの共振周波数をコモンモード成分の周波数帯域に設定して、ノイズを抑制する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
ここで、今までの高周波漏れ電流の主要経路となる浮遊容量は、前述したように主にスイッチングアームの中点と接地ラインとの間の浮遊容量(この浮遊容量と並列なケーブルと接地ラインとの浮遊容量並びに三相モータの巻線と接地ラインとの浮遊容量も含む)であり、この浮遊容量が高周波漏れ電流の主要な経路とされてきた。他の個所にも浮遊容量は存在するものの、高周波の電位変動が印加されないことから、主要な漏れ電流経路にはならないとされている。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、第1の電力変換装置とこの第1の電力変換装置のスイッチングアームの両端に蓄電装置からの電力を変換して供給する第2の電力変換装置とを有する場合で、スイッチングアームの中点と接地ラインとの浮遊容量が高周波漏れ電流の主要経路にならず、特定のスイッチングアームで中点と接地ラインとの浮遊容量以外の浮遊容量が主要な漏れ電流経路となる場合に、浮遊容量を低減してノイズの小さな電力変換システムを提供することを目的としている。
前記第1の電力変換装置、前記第2の電力変換装置及び前記蓄電装置は放射ノイズの外部への放射を防止する金属筐体に収納され、前記蓄電装置の内部電極と対向する位置に絶縁部材を配置して、前記蓄電装置の内部電極と前記金属筐体との間に形成される平行平板コンデンサの電極面積を小さくし、漏れ電流経路となる浮遊容量を低減したことを特徴としている。
本発明の請求項3にかかる電力変換システムは、1以上のスイッチング素子を1アームとして2アームを直列に接続したスイッチングアームを複数列並列に接続した第1の電力変換装置と、蓄電装置からの電力を電力変換して前記スイッチングアームの両端に供給する第2の電力変換装置とを有する電力変換システムであって、前記第1の電力変換装置及び第2の電力変換装置を実装するプリント基板を放射ノイズの外部への放射を防止するシールド用の金属箱内に収納し、該金属箱及び前記蓄電装置を絶縁材料で形成した筐体内に収納して、前記金属箱の1面と蓄電装置との間で、高周波漏れ電流の主要経路となる浮遊容量を決定することを特徴としている。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の原理を示す電力変換装置として単相PWM(Pulse Width Modulation)コンバータを例示した回路図である。この回路図を用いて本発明者が見出したスイッチングアームの中点と接地ラインとの浮遊容量が高周波漏れ電流の主要経路にならない場合について述べる。まずは、図1の回路について述べる。
スイッチングアームSA1は、直列に接続された例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されるスイッチング素子S1及びS2と、各スイッチング素子S1及びS2に個別に逆並列接続されたダイオードD1及びD2とで構成されている。
そして、スイッチングアームSA1のスイッチング素子S1及びS2の中点にLISN11のR相がノーマルリアクトル12を介して接続され、スイッチングアームSA2のスイッチング素子S3及びS4の中点がLISN11のS相に接続されている。また、スイッチングアームSA1及びSA2のスイッチング素子S1及びS3のコレクタが正極ラインPに接続され、スイッチングアームSA1及びSA2のスイッチング素子S2及びS4のエミッタが負極ラインNに接続されている。そして、出力側の正極ラインP及び負極ラインN間に平滑用コンデンサCdcが接続されている。
スイッチング素子S1またはS2のスイッチングで発生する高周波漏れ電流は、スイッチングアームSA1の中点と接地ラインとの浮遊容量Cs2を通って流れる。すなわち、接地ラインの電位はLISN11内部の回路構成上R相電位及びS相電位の中性点の電位であり、このためR相電位及びS相電位にスイッチングによる高周波電位変動が生じてもそれは大きなものではない。しかも、R相にスイッチングにて高周波電位変動が生じてもこの電位変動についてはノーマルリアクトル12と浮遊容量Cs2とで電圧分担が行われる。従って、この分担された電位変動は、浮遊容量Cs2のみを充放電しこれを介して高周波漏れ電流となって接地ラインに流れる。この点、スイッチングアームの中点と接地ラインとの浮遊容量が高周波漏れ電流の主要経路となることは図6の場合と同じである。
(S相ラインに接続されるスイッチングアームのスイッチング)
スイッチング素子S3、S4のスイッチングによって発生する高周波漏れ電流については、次のようになる。前述したように接地ラインの電位はLISN11内部の回路構成上R相電位及びS相電位の中性点の電位であり、このためR相電位及びS相電位にスイッチングによる高周波電位変動が生じても大きなものではない。すなわち、スイッチング素子S3、S4からなるスイッチングアームSA2の中点電位は、安定電位となるS相電位であり大きな電位変動は生ずることなく浮遊容量Cs4には大きな高周波漏れ電流は生じない。
<S3オン、S4オフの場合>
正極ラインPの電位変動はS相電位であり、Nラインの電位変動はS相電位−直流中間電圧Vcdcである。
正極ラインPの電位変動はS相電位+直流中間電圧Vcdcであり、負極ラインNの電位変動はS相電位である。
従って、スイッチングアームSA2の中点の電位は、スイッチング状態により正極ラインPか負極ラインNの電位となり、電位変動は、直流中間電圧Vcdcになる。
また、図1の負極ラインNは、一般に制御回路の基準電位と等しくなる場合が多い。このときには、制御回路の配線と接地ラインEとの間の浮遊容量も高周波漏れ電流の主要経路となり、多くの回路構成やプリントパターンがコモンモード成分の影響を受けることになる。
また、図2(b)において、共用スイッチングアームSA3の中点とS相ラインとはリアクトルL2を介して接続され、インバータ23の出力側スイッチングアームSA4の中点にはリアクトルL3が備えられる。
従って、この図2(a)〜図2(c)の各回路には、それぞれリアクトルに接続されないスイッチングアームすなわち接続されるインピーダンスが相対的に小さいスイッチングアームの中点が存在することになる。そして、そのリアクトルすなわちインピーダンス素子が接続されないスイッチングアームの中点は、電気的には図1に示す第1の電力変換装置13のスイッチング素子S3、S4のスイッチングアームSA2の中点と同様の動作となる。
その代表的な装置は、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)である。
この第2の電力変換装置40は、バッテリなどの蓄電装置39によって充電されるコンデンサ41と、蓄電装置39の出力を二次側に伝達するトランス42と、トランス42に直列に接続されたトランジスタ及びそれと逆並列接続されたダイオードDからなるスイッチング素子Sと、トランス42の二次側に接続された整流ダイオード43と、平滑コンデンサ44とを含んで構成されている。そして、平滑コンデンサ44の両端が第1の電力変換装置13の出力側の正極ラインP、負極ラインNに接続される。
これは、図3及び図4の第2の電力変換装置40に含まれているトランス42が、絶縁を目的としたものではなく、変圧作用を目的としていることに起因し、制御回路と非絶縁で接続しスイッチング素子を駆動した方が、制御回路を簡単化でき、コストダウンできるためである。
これを解決するためには、前述した図3の回路構成において、図5に示すように、前述した第1の電力変換装置13及び第2の電力変換装置40等をプリント基板50に実装し、このプリント基板50を金属筐体51内の上方寄りに形成した基板収納領域50aに収納するとともに、蓄電装置39を金属筐体51内の下方寄りに形成した蓄電装置収納領域50bに収納する。そして、プリント基板50を収納した基板収納領域50aと蓄電装置39を収納した蓄電装置収納領域50bとの間にプラスチック等の絶縁材料で形成された仕切り部52を設ける。ここで、仕切り部52は、蓄電装置39の交換時にプリント基板50部分に接触しないことを目的に仕切り部52と蓄電装置39との間隔が比較的広く設定されている。
この第2の実施形態では、蓄電装置39のプリント基板50と対向する面以外の面と筐体との間の浮遊容量を減少させるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図6に示すように、少なくとも蓄電装置39の内部電極板39aに対向する面にプラスチック等の絶縁材料で形成された絶縁部材60を配設している。ここで、絶縁部材60は、蓄電装置39の内部電極板39aと対向する左右端部60a,60bとこれらを蓄電装置39の上方側で連結する連結板部60cとから断面コ字状に形成され、左端部60aが金属筐体51の一部として構成され、右端部60bが蓄電装置39と金属筐体51との間に介在されている。
ここで、平行平板コンデンサの静電容量は、電極面積に比例し、電極間距離に反比例する。蓄電装置39と筐体51間の浮遊容量は、蓄電装置39の電極と筐体51を電極とする平行平板コンデンサと見做すことができるため、対向する電極面積を小さくすることで、浮遊容量を小さくすることができる。
なお、上記第2の実施形態においては、絶縁部材60の左端部60aのみを金属筐体51の一部として構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、右端部60bも金属筐体51の一部として構成することもできる。
この第3の実施形態では、前述した第2の実施形態においては、金属筐体51の蓄電装置39の内部電極に対向する位置に絶縁部材60aを配設することにより、蓄電装置39の内部電極とアースとの間の浮遊容量を低減する場合について説明したが、この場合には、金属筐体51の一部を絶縁部材60aで形成することにより、放射ノイズのシールド効果が小さくなり、放射ノイズが増加する可能性があるが、これを抑制するようにしたものである。
66a〜66f…セル、67…プラス電極、68…マイナス電極、71n…負極、71p…正極、72…絶縁仕切板、80…金属箱、81…絶縁筐体、L…インダクタンス、L1〜L3…リアクトル、S、S1〜S8、Sa〜Sd…スイッチング素子、SA1〜SA4…スイッチングアーム
Claims (3)
- 1以上のスイッチング素子を1アームとして2アームを直列に接続したスイッチングアームを複数列並列に接続した第1の電力変換装置と、蓄電装置からの電力を電力変換して前記スイッチングアームの両端に供給する第2の電力変換装置とを有する電力変換システムであって、
前記第1の電力変換装置、前記第2の電力変換装置及び前記蓄電装置は放射ノイズの外部への放射を防止する金属筐体に収納され、該金属筐体は前記第1の電力変換装置及び第2の電力変換装置を実装するプリント基板を収納する基板収納領域と前記蓄電装置を収納する蓄電装置収納領域とを仕切る仕切り部を漏れ電流経路となる浮遊容量を低減する絶縁材料で形成したことを特徴とする電力変換システム。 - 1以上のスイッチング素子を1アームとして2アームを直列に接続したスイッチングアームを複数列並列に接続した第1の電力変換装置と、蓄電装置からの電力を電力変換して前記スイッチングアームの両端に供給する第2の電力変換装置とを有する電力変換システムであって、
前記第1の電力変換装置、前記第2の電力変換装置及び前記蓄電装置は放射ノイズの外部への放射を防止する金属筐体に収納され、前記蓄電装置の内部電極と対向する位置に絶縁部材を配置して、前記蓄電装置の内部電極と前記金属筐体との間に形成される平行平板コンデンサの電極面積を小さくし、漏れ電流経路となる浮遊容量を低減したことを特徴とする電力変換システム。 - 1以上のスイッチング素子を1アームとして2アームを直列に接続したスイッチングアームを複数列並列に接続した第1の電力変換装置と、蓄電装置からの電力を電力変換して前記スイッチングアームの両端に供給する第2の電力変換装置とを有する電力変換システムであって、
前記第1の電力変換装置及び第2の電力変換装置を実装するプリント基板を放射ノイズの外部への放射を防止するシールド用の金属箱内に収納し、該金属箱及び前記蓄電装置を絶縁材料で形成した筐体内に収納して、前記金属箱の1面と蓄電装置との間で、高周波漏れ電流の主要経路となる浮遊容量を決定することを特徴とする電力変換システム。
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