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JP5379453B2 - 感温性粘着テープおよびこれを用いたチップ型電子部品の製造方法 - Google Patents

感温性粘着テープおよびこれを用いたチップ型電子部品の製造方法 Download PDF

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JP5379453B2
JP5379453B2 JP2008298362A JP2008298362A JP5379453B2 JP 5379453 B2 JP5379453 B2 JP 5379453B2 JP 2008298362 A JP2008298362 A JP 2008298362A JP 2008298362 A JP2008298362 A JP 2008298362A JP 5379453 B2 JP5379453 B2 JP 5379453B2
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Description

本発明は、感温性粘着テープおよびこれを用いて積層セラミックコンデンサー等のチップ型電子部品における素体の両端面に外部電極が形成されたチップ型電子部品を製造する方法に関する。
一般に、積層セラミックコンデンサー等のチップ型電子部品における素体(チップ)の両端面には、外部電極が形成されている。この外部電極は、例えば下記(a)〜(e)の工程を経て形成される。
(a)前記素体を収容する貫通孔が複数設けられた収容プレートの片面に、第1の粘着テープを貼付する工程。
(b)前記収容プレートの他面から貫通孔内に前記素体を挿入し、前記第1の粘着テープの粘着剤層に前記素体の一端面を貼付する工程。
(c)前記第1の粘着テープが貼付された素体の一端面と反対の他端面に、ディッピング等の方法で電極ペーストを塗布・乾燥して外部電極を形成する工程。
(d)形成された外部電極の外面に第2の粘着テープを貼付し、素体を前記収容プレートと共に、第1の粘着テープから第2の粘着テープに転写する工程。
(e)この転写工程後、前記素体の一端面に外部電極を形成し、ついで素体の他端面の外部電極から第2の粘着テープを剥離する工程。
前記工程において使用する収容プレートは、素体を安定して保持するための治具であり、通常、合成樹脂等の有機系材料からなる。素体の両端面の外部電極は、素体が収容プレートの貫通孔に収容された状態で形成される。
一方、粘着性を熱により可逆的に制御できる粘着剤層を基材フィルムの片面に備えた感温性粘着テープがある(例えば、特許文献1参照)。該感温性粘着テープは、粘着剤層が所定の感圧性接着剤に感温性樹脂を含有してなる。そして、前記感温性樹脂の融点以上の温度にまで加熱処理をすると、感温性樹脂が流動性を示すことによって粘着剤層の粘着力が低下する。
この感温性粘着テープを前記第1の粘着テープとして使用すれば、前記(a)〜(c)の工程では、素体を安定して固定することができ、前記(d)の工程では、加熱処理を行うことにより粘着力を低下させて、素体や外部電極にストレスを与えることなく第1の粘着テープから第2の粘着テープに転写できると考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来の感温性粘着テープは、所定温度に加熱処理をすると、素体等の無機系被着体に対しては粘着力が低下するものの、収容プレート等の有機系被着体に対しては粘着力が十分に低下しないという問題があった。そのため、従来の感温性粘着テープを前記第1の粘着テープとして使用すると、前記(d)の工程において、素体のみが第1の粘着テープから第2の粘着テープに転写されてしまい、収容プレートは転写されないという問題があった。
特開2000−355684号公報
本発明の課題は、有機系被着体に対して、固定時に必要な粘着力を有し、かつ取り外し時に粘着力を十分に低下させることができる感温性粘着テープおよびこれを用いたチップ型電子部品の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなり、該粘着剤層は、感圧性接着剤および感温性樹脂を含み、該感温性樹脂の融点以上の温度で粘着力の低下を発現する感温性粘着テープであって、有機系被着体に対して、前記融点未満の温度における粘着力が1N/25mm以上であり、かつ下記式(I)から算出される粘着力の低下率が90%以上であることを特徴とする感温性粘着テープ。
Figure 0005379453
(2)前記感圧性接着剤は、ブチルアクリレート10〜70重量部と、このブチルアクリレートと共重合可能なモノマー30〜90重量部との共重合体である前記(1)記載の感温性粘着テープ。
(3)前記粘着剤層は、感圧性接着剤を70〜99重量部、および感温性樹脂を1〜30重量部の割合で含む前記(1)または(2)記載の感温性粘着テープ。
(4)チップ型電子部品の素体の両端面に導体膜からなる外部電極が形成されたチップ型電子部品の製造方法であって、前記素体を収容する貫通孔が複数設けられた有機系の収容プレートの片面に、第1の粘着テープを貼付する工程と、前記収容プレートの他面から貫通孔内に前記素体を挿入し、前記第1の粘着テープの粘着剤層に前記素体の一端面を貼付する工程と、前記第1の粘着テープが貼付された素体の一端面と反対の他端面に、外部電極を形成する工程と、形成された外部電極の外面に第2の粘着テープを貼付し、素体を前記収容プレートと共に、第1の粘着テープから第2の粘着テープに転写する工程と、この転写工程後、前記素体の一端面に外部電極を形成する工程とを含み、前記第1の粘着テープおよび第2の粘着テープは、前記転写工程における粘着力が(第1の粘着テープ)<(第2の粘着テープ)となるよう構成されており、かつ前記第1の粘着テープが前記(1)〜(3)のいずれかに記載の感温性粘着テープからなることを特徴とする、チップ型電子部品の製造方法。
(5)前記転写工程において、前記第1の粘着テープの粘着力を低下させる前記(4)記載のチップ型電子部品の製造方法。
本発明の感温性粘着テープによれば、有機系被着体に対する感温性樹脂の融点未満の温度における粘着力が1N/25mm以上なので、有機系被着体を確実に固定することができる。しかも、取り外し時には、前記粘着力を90%以上低下させることができるので、簡単に取り外すことができる。
また、本発明の感温性粘着テープは、無機系被着体に対しても、固定時に必要な粘着力を有し、かつ取り外し時には粘着力を十分に低下させることができる。したがって、本発明の感温性粘着テープを、取り扱いが困難な微細・精密なチップ形状の電子部品・機械部品等を加工する工程や、有機系被着体と無機系被着体とが混在する工程等に用いると、その有用性がより向上する。特に、本発明の感温性粘着テープを前記(4)のようなチップ型電子部品の製造方法における第1の粘着テープとして用いると、転写工程において無機系の素体を有機系の収容プレートと共に第1の粘着テープから第2の粘着テープに転写することができる。
<感温性粘着テープ>
本発明の感温性粘着テープは、基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなる。前記基材フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルム、紙等が挙げられる。該基材フィルムは、単層体またはこれらの複層体からなるものであってもよく、厚さは、通常、5〜500μm程度である。基材フィルムの表面には、粘着剤層に対する密着性を向上させるため、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、プライマー処理等の表面処理を施してもよい。
前記粘着剤層は、感圧性接着剤および感温性樹脂を含む。前記感圧性接着剤は、粘着性を有するポリマーである。前記感温性樹脂は、融点未満の温度で結晶化しかつ融点以上の温度で流動性を示す樹脂である。すなわち、この樹脂は、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こす。したがって、この感温性樹脂を含む粘着剤層は、感温性樹脂の融点未満の温度では、該感温性樹脂が結晶状態であることにより粘着力を確保でき、感温性樹脂の融点以上の温度では、該感温性樹脂が流動状態になることによって、粘着力の低下を発現する。
本発明の感温性粘着テープは、有機系被着体に対して、前記融点未満の温度における粘着力が1N/25mm以上、好ましくは1〜10N/25mmであり、かつ上記式(I)から算出される粘着力の低下率が90%以上である。また、本発明の感温性粘着テープは、無機系被着体に対しても、前記融点未満の温度における粘着力が1N/25mm以上、好ましくは1〜4N/25mmであり、かつ上記式(I)から算出される粘着力の低下率が90%以上である。したがって、本発明の感温性粘着テープによれば、有機系および無機系のいずれの被着体に対しても所定の粘着力を有し、かつ該粘着力の低下が達成され、取り扱いが困難な微細・精密なチップ形状の電子部品・機械部品等を加工する工程や、有機系被着体と無機系被着体とが混在する工程等への使用が可能となった。
前記粘着力は、各温度におけるJIS Z0237に準拠した180°剥離強度を測定して得られる値である。前記有機系被着体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂等が挙げられる。前記無機系被着体としては、例えばステンレス鋼、アルミ、鉄、銅等の金属や、セラミックス等が挙げられる。
無機系被着体に対する粘着力およびその低下率を維持しつつ、有機系被着体に対する粘着力およびその低下率を所定の値とするには、粘着剤層に含まれる感圧性接着剤および感温性樹脂のうち感圧性接着剤を、ブチルアクリレート10〜70重量部と、このブチルアクリレートと共重合可能なモノマー30〜90重量部との共重合体にするのが好ましい。これにより、有機系および無機系のいずれの被着体に対しても所定の粘着力を有し、かつ該粘着力の低下を達成することができる。この理由としては、以下の理由が推察される。
すなわち、ブチルアクリレートを特定の割合で含む共重合体は、熱に対する運動性が増加するようになり、加熱されると粘着力が低下する挙動が顕著になる。そのため、感圧性接着剤が前記共重合体からなると、感温性樹脂の融点以上の温度では、感温性樹脂による粘着力の低下に加えて、感圧性接着剤による粘着力の低下も加わる。したがって、有機系および無機系の被着体に対する粘着力を1N/25mm以上にし、かつその低下率を90%以上にすることができる。
一方、前記ブチルアクリレートが10重量部より少なく、前記モノマーが90重量部より多いと、ブチルアクリレートを含むことによる効果が得られ難くなり、前記粘着力の低下率を90%以上にできないおそれがある。また、前記ブチルアクリレートが70重量部より多く、前記モノマーが30重量部より少ないと、凝集力の低下が起こり、前記融点未満の温度における粘着力を1N/25mm以上にできないおそれがある。
前記ブチルアクリレートと共重合可能なモノマーとしては、粘着性に優れる上でアクリル系モノマーが好ましい。該アクリル系モノマーとしては、例えば炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、該(メタ)アクリレートとしては、例えばエチルへキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
また、他の共重合成分として、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いてもよい。このような(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
ブチルアクリレートと、前記モノマーとを重合させる方法としては、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。例えば溶液重合法を採用する場合には、ブチルアクリレートと、前記モノマーとを適当な溶媒に混合し、50〜70℃程度で4〜6時間程度攪拌することによって、前記共重合体を得ることができる。
前記共重合体の重量平均分子量は、25万〜100万であるのがよい。これに対し、前記共重合体の重量平均分子量が25万より小さいと、感温性粘着テープを部品から取り外す際には、粘着剤層が部品上に残る、いわゆる糊残りが多くなるおそれがある。また、重量平均分子量が100万より大きいと、凝集力が高くなりすぎて粘着力が低くなるおそれがある。前記重量平均分子量は、前記共重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
一方、前記感温性樹脂において融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていたポリマーの特定部分が無秩序状態となる温度を意味し、示差熱走査熱量計(DSC)で、10℃/分の測定条件で測定して得られる値である。前記融点は30℃以上、好ましくは40〜65℃であるのがよい。融点を所定の値にするには、下記で説明する感温性樹脂の組成、分子量等を変えることによって任意に行うことができる。
感温性樹脂の組成としては、例えば炭素数16以上、好ましくは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート30〜99重量部と、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート0〜70重量部と、極性モノマー1〜10重量部とを重合させて得られる重合体等が挙げられる。
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数16〜22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、極性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有エチレン不飽和単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン不飽和単量体等が挙げられ、例示したこれらのモノマーは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
例示したこれらのモノマーの重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。例えば溶液重合法を採用する場合には、前記で例示したモノマーを適当な溶媒に混合し、70〜90℃程度で4〜6時間程度攪拌することによって前記モノマーを重合させることができる。
前記感温性樹脂の重量平均分子量は2,000〜20,000であるのがよい。これにより、感温性樹脂が融点以上の温度で流動性を示した際には、粘着剤層の粘着力が低下する。これに対し、重量平均分子量が2,000未満であると、感温性粘着テープを部品から取外す際に糊残りが多くなるおそれがある。また、重量平均分子量が20,000を超えると、感温性樹脂が融点以上の温度で流動性を示しても粘着力が低下しにくくなるおそれがある。前記重量平均分子量は、感温性樹脂をGPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
前記感温性樹脂の融解熱としては、少なくとも20J/gであればよい。前記融解熱は、DSCで、5℃/分の測定条件で測定して得られる値である。
本発明の粘着剤層は、前記感圧性接着剤と感温性樹脂とが化学的な結合を持たずに均一分散されてなり、感圧性接着剤を70〜99重量部、感温性樹脂を1〜30重量部の割合で含むのが好ましい。これにより、感温性樹脂が融点以上の温度で流動性を示した際には、粘着剤層の粘着力が低下する。これに対し、感圧性接着剤が99重量部より多く、感温性樹脂が1重量部より少ないと、粘着剤層を感温性樹脂の融点以上の温度にまで加熱しても粘着力が低下しにくくなる。また、感圧性接着剤が70重量部より少なく、感温性樹脂が30重量部より多いと、粘着力が低くなり、部品を固定できないおそれがある。
前記粘着剤層には、凝集力を上げるために架橋剤を添加することができる。該架橋剤としては、例えばイソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物等が挙げられる。また、必要に応じて可塑剤、タッキファイヤー、フィラー等のような任意の成分を添加してもよい。タッキファイヤーとしては、例えば特殊ロジンエステル系、テルペンフェノール系、石油樹脂系、高水酸基価ロジンエステル系、水素添加ロジンエステル系等が挙げられる。
前記粘着剤層を前記基材フィルムの片面または両面に設けるには、例えばナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、コンマコーター等のコーターを用いるのが好ましい。また、塗工厚みや材料の粘度によっては、グラビアコーター、ロッドコーター等を用いてもよい。粘着剤層の厚さは、通常、5〜60μm程度である。
<チップ型電子部品の製造方法>
次に、上記で説明した本発明の感温性粘着テープを使用するチップ型電子部品の製造方法の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかるチップ型電子部品を示す拡大概略説明図である。図2は、本実施形態にかかる収容プレートを示す斜視図である。図3および図4は、本実施形態にかかるチップ型電子部品の製造方法を示す工程図である。図5は、本実施形態にかかる第1,第2の粘着テープの各工程における粘着力と温度との関係を示す概略説明図である。
本実施形態において使用する第1の粘着テープおよび第2の粘着テープは、以下の通りである。
第1の粘着テープ:基材フィルムの片面に、感圧性接着剤および感温性樹脂を含む粘着剤層を設けた本発明の感温性粘着テープであり、前記感温性樹脂の融点は30℃以上に設定されている。該第1の粘着テープは、前記した通り、前記感温性樹脂の融点以上の温度にまで加熱処理をすると、感温性樹脂が流動性を示すことによって粘着剤層の粘着力が低下する、いわゆる加熱剥離タイプである。
第2の粘着テープ:基材フィルムの片面に感温性樹脂からなる粘着剤層を設けたものであり、前記感温性樹脂の融点は30℃以上に設定されている。該第2の粘着テープは、粘着剤層が感温性樹脂からなるので、該感温性樹脂の融点以上の温度で粘着性を有し、前記融点未満の温度で粘着力がなくなる、いわゆる冷却剥離タイプである。
本実施形態は、図1に示すように、素体1の両端面に導体膜からなる外部電極2a,2bが形成されたチップ型電子部品を製造する方法である。外部電極2a,2bは、下記第I〜第VI工程を経て形成される。
(第I工程)
図2および図3(a)に示すように、収容プレート50の片面に第1の粘着テープ10を貼付する。収容プレート50には、素体1を収容する貫通孔51が複数設けられている。該収容プレート50は、有機系材料からなり、該有機系材料としては、前記有機系被着体で例示したものと同じものを例示することができる。
第1の粘着テープ10は、上記で説明した本発明の感温性粘着テープであり、基材フィルム3の片面に粘着剤層11を設けてなる。第1の粘着テープ10は、該感温性粘着テープ10に含まれる感温性樹脂の融点が30℃以上に設定されていることから、図5に示すように、室温(通常、23℃)で粘着力を有している。したがって、この工程は室温下で行うことができる。また、第1の粘着テープ10は、前記融点未満の温度における粘着力が1N/25mm以上であることから、収容プレート50を確実に固定することができる。
(第II工程)
複数の素体1を、複数の孔を有する適当な治具を用いて収容プレート50の各貫通孔51に篩い落とす。これにより、図3(b)に示すように、収容プレート50の他面から各貫通孔51内に素体1を挿入し、第1の粘着テープ10の粘着剤層11に、素体1の一端面1aを貼付することができる。貫通孔51に収容された素体1は、一端面1aと反対の他端面1bが収容プレート50の表面から適度に突出した状態になる。
(第III工程)
図3(c)に示すように、第1の粘着テープ10の上下を反転させた後、該第1の粘着テープ10を矢印Aに示す方向に移動させ、他端面1bを面板4の表面に予め塗布されている電極ペースト5に押し付ける。これにより、他端面1bに電極ペースト5が所定厚さに塗布される。この電極ペースト5をキュア処理することにより、図3(d)に示すように、他端面1bに導体膜からなる外部電極2bが形成される。
なお、第1の粘着テープ10は加熱により粘着力が低下するので、キュア処理時に一時的に固定力が低下するものの、必要以上の応力を素体1に与えない限り剥離せず、実工程において問題はない。また、電極ペースト5の塗布方法は、上記で例示した方法に限定されるものではなく、例えばスクリーン印刷やローラ等を用いて塗布することもできる。
(第IV工程)
図4(e)に示すように、形成された外部電極2bの外面に第2の粘着テープ20を貼付する。この第2の粘着テープ20は、基材フィルム3の片面に感温性樹脂からなる粘着剤層21を設けてなる。第2の粘着テープ20を外部電極2bに貼付するときには、収容プレート50の表面にも貼付するよう、第1,第2の粘着テープ10,20を相対的に適度な力で押し付ける。そして、雰囲気温度をヒータ等の加熱手段を用いて第1,第2の粘着テープ10,20の融点以上にする。
これにより、図5に示すように、加熱剥離タイプである第1の粘着テープ10は粘着力が低下するのに対し、冷却剥離タイプである第2の粘着テープ20は粘着力が発現する。その結果、粘着力が(第1の粘着テープ)<(第2の粘着テープ)の関係を満たすようになる。
ここで、第1の粘着テープ10は、上記式(I)から算出される粘着力の低下率が90%以上である。したがって、図4(f)に示すように、無機系材料からなる素体1を有機系材料からなる収容プレート50と共に、第1の粘着テープ10から第2の粘着テープ20に転写することができる。転写後には、粘着剤層21の復元力によって、素体1の一端面1aが収容プレート50の表面から適度に突出した状態になる。なお、ヒータ等の加熱手段に代えて、例えば加熱体をスポット的に第1,第2の粘着テープ10,20に当てるようにしてもよい。
(第V工程)
上記のようにして転写した後、素体1の一端面1aに外部電極2aを形成する。この外部電極2aの形成は、図4(g),(h)に示すように、前記第III工程において説明した素体1の他端面1bに外部電極2bを形成する方法と同様にして行えばよい。
(第VI工程)
最後に、素体1の外部電極2bから第2の粘着テープ20を室温で剥離する。すなわち、まず、雰囲気温度をファン等の冷却手段を用いて冷却するか、冷却体をスポット的に第2の粘着テープ20に当てることによって第2の粘着テープ20を室温にまで冷却し、粘着力を低下させる。ついで、第2の粘着テープ20に基材フォルム3側から軽く衝撃を与えて、外部電極2bから第2の粘着テープ20を剥離する。
以上、本発明にかかる好ましい実施形態について説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において種々の改善や変更が可能である。例えば上記したチップ型電子部品の製造方法では、第2の粘着テープとして冷却剥離タイプのものを用いたが、前記転写工程における粘着力が(第1の粘着テープ)<(第2の粘着テープ)である限り、第2の粘着テープとして加熱剥離タイプを採用することもできる。
冷却剥離タイプの粘着テープとしては、例えば特許第3204455号公報等に、加熱剥離タイプの粘着テープとしては、例えば特許第3387497号公報等にそれぞれ記載されている。また、このような粘着テープは市販されており、例えばニッタ株式会社製の感温性粘着テープ「インテリマーテープ(登録商標)」が好適に採用可能である。
一方、第2の粘着テープとして、例えばアクリル樹脂等からなる粘着剤層を備えた通常の粘着テープの他、発泡剤を含有した発泡剥離型粘着剤層を備えた熱発泡テープ、UV硬化樹脂からなるUV硬化型粘着剤層を備えたUV硬化テープ等を採用することもできる。
また、上記の実施形態では、本発明の感温性粘着テープをチップ型電子部品の製造方法に適用する場合について説明したが、本発明の感温性粘着テープの用途としては、これに限定されるものではなく、例えばダイシング工程、研磨工程等にも好適に用いることができる。
以下、合成例および実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の合成例および実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
(合成例1:感圧性接着剤)
エチルヘキシルアクリレートを50部、ブチルアクリレートを10部、メチルアクリレートを30部、ヒドロキシエチルアクリレートを10部、および開始剤としてパーブチルND(日本油脂社製)をトルエン200部に加え、該溶剤中で60℃で5時間攪拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は50万であった。
(合成例2:感圧性接着剤)
ブチルアクリレートを20部、メチルアクリレートを20部にした以外は、上記合成例1と同様にしてモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は45万であった。
(合成例3:感圧性接着剤)
ブチルアクリレートを30部、メチルアクリレートを10部にした以外は、上記合成例1と同様にしてモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は50万であった。
(合成例4:感圧性接着剤)
エチルヘキシルアクリレートを80部、ブチルアクリレートを10部、ヒドロキシエチルアクリレートを10部、および開始剤としてパーブチルND(日本油脂社製)をトルエン200部に加え、該溶剤中で60℃で5時間攪拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は45万であった。
(合成例5:感圧性接着剤)
エチルヘキシルアクリレートを50部、ブチルアクリレートを40部にした以外は、上記合成例4と同様にしてモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は45万であった。
(合成例6:感圧性接着剤)
エチルヘキシルアクリレートを20部、ブチルアクリレートを70部にした以外は、上記合成例4と同様にしてモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は50万であった。
(合成例7:感圧性接着剤)
エチルヘキシルアクリレートを52部、メチルアクリレートを40部、ヒドロキシエチルアクリレートを8部、および開始剤としてパーブチルND(日本油脂社製)をトルエン200部に加え、該溶剤中で60℃で5時間攪拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は50万であった。
(合成例8:感圧性接着剤)
エチルヘキシルアクリレートを92部、ヒドロキシエチルアクリレートを8部、および開始剤としてパーブチルND(日本油脂社製)をトルエン200部に加え、該溶剤中で60℃で5時間攪拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は55万であった。
(合成例9:感温性樹脂)
ベヘニルアクリレートを40部、ステアリルアクリレートを35部、メチルアクリレートを20部、アクリル酸を5部、および開始剤としてパーヘキシルPV(日本油脂社製)をトルエン200部に加え、該溶剤中で80℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は8000、融点は50℃であった。
上記合成例1〜9で得られた各共重合体を表1に示す。なお、合成例1〜9における各共重合体の重量平均分子量は、各共重合体をGPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。また、合成例9の共重合体の融点は、DSCで、10℃/分の測定条件で測定した。
Figure 0005379453
[実施例1〜6および比較例1,2]
<感温性粘着テープの調製>
上記で得た感圧性接着剤(合成例1〜8)95部と、感温性樹脂(合成例9)5部とをそれぞれ表2に示す組み合わせで用いて共重合体溶液を調製した。この共重合体溶液100部に対し、イソシアネート系架橋剤0.5部添加したものを、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗布して乾燥させ、厚さ30μmの粘着剤層が形成された感温性粘着テープをそれぞれ作製した。
<評価>
上記で得た各感温性粘着テープについて、粘着力およびその低下率を評価した。各評価方法を以下に示すと共に、結果を表2に併せて示す。
(粘着力)
所定の雰囲気温度における被着体に対する粘着力を、JIS Z0237に準拠した180°剥離強度にて評価した。前記雰囲気温度は、23℃および60℃に設定した。前記被着体は、ステンレス鋼板(SUS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびエポキシ樹脂を用いた。なお、23℃における粘着力の判定基準は以下のものを用いた。
○:1N/25mm以上
×:1N/25mm未満
(粘着力の低下率)
上記で得られた23℃における粘着力の評価結果をA、60℃における粘着力の評価結果をBとし、それぞれ上記式(I)に当てはめて粘着力の低下率(%)を算出した。なお、粘着力の低下率の判定基準は以下のものを用いた。
○:90%以上
×:90%未満
Figure 0005379453
表2から明らかなように、実施例1〜6の各感温性粘着テープは、有機系被着体(PET・エポキシ樹脂)に対して、融点未満の温度(23℃)における粘着力が1N/25mm以上であり、かつ粘着力の低下率が90%以上であるのがわかる。しかも、これらの感温性粘着テープは、無機系被着体(SUS)に対しても、融点未満の温度(23℃)における粘着力が1N/25mm以上であり、かつ粘着力の低下率が90%以上であるのがわかる。したがって、これら本発明の感温性粘着テープによれば、有機系および無機系のいずれの被着体に対しても固定時に必要な粘着力を有し、かつ該粘着力の低下を達成できていると言える。
一方、比較例1および比較例2の感温性粘着テープは、有機系被着体に対する粘着力の低下率に劣る結果を示した。
本発明の一実施形態にかかるチップ型電子部品を示す拡大概略説明図である。 本発明の一実施形態にかかる収容プレートを示す斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態にかかるチップ型電子部品の製造方法を示す工程図である。 (e)〜(h)は、本発明の一実施形態にかかるチップ型電子部品の製造方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態にかかる第1,第2の粘着テープの各工程における粘着力と温度との関係を示す概略説明図である。
符号の説明
1 素体
1a 一端面
1b 他端面
2a,2b 外部電極
3 基材フィルム
4 面板
5 電極ペースト
10 第1の粘着テープ
11,21 粘着剤層
20 第2の粘着テープ
50 収容プレート
51 貫通孔

Claims (5)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなり、該粘着剤層は、感圧性接着剤および感温性樹脂を含み、該感温性樹脂の融点以上の温度で粘着力の低下を発現する感温性粘着テープであって、
    前記感圧性接着剤は、ブチルアクリレート10〜70重量部と、このブチルアクリレートと共重合可能なモノマー30〜90重量部との共重合体であり、
    前記感温性樹脂は、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート30〜99重量部と、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート0〜70重量部と、極性モノマー1〜10重量部とを重合させて得られる重合体であり、
    前記融点は、40〜65℃であり、
    前記粘着剤層は、前記感圧性接着剤を70〜99重量部、および前記感温性樹脂を1〜30重量部の割合で含み、
    ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニルおよびアクリル樹脂から選ばれる有機系被着体に対して、23℃における粘着力が1N/25mm以上であり、かつ下記式(I)から算出される粘着力の低下率が90%以上であることを特徴とする感温性粘着テープ。
    Figure 0005379453
  2. 前記感圧性接着剤は、前記共重合体の重量平均分子量が25万〜100万である請求項1記載の感温性粘着テープ。
  3. 前記感温性樹脂は、前記重合体の重量平均分子量が2,000〜20,000であるとともに、前記融点未満の温度で結晶化し、かつ前記融点以上の温度で流動性を示す請求項1または2記載の感温性粘着テープ。
  4. チップ型電子部品の素体の両端面に導体膜からなる外部電極が形成されたチップ型電子部品の製造方法であって、
    前記素体を収容する貫通孔が複数設けられた有機系の収容プレートの片面に、第1の粘着テープを貼付する工程と、
    前記収容プレートの他面から貫通孔内に前記素体を挿入し、前記第1の粘着テープの粘着剤層に前記素体の一端面を貼付する工程と、
    前記第1の粘着テープが貼付された素体の一端面と反対の他端面に、外部電極を形成する工程と、
    形成された外部電極の外面に第2の粘着テープを貼付し、素体を前記収容プレートと共に、第1の粘着テープから第2の粘着テープに転写する工程と、
    この転写工程後、前記素体の一端面に外部電極を形成する工程とを含み、
    前記第1の粘着テープおよび第2の粘着テープは、前記転写工程における粘着力が(第1の粘着テープ)<(第2の粘着テープ)となるよう構成されており、
    かつ前記第1の粘着テープが請求項1〜3のいずれかに記載の感温性粘着テープからなることを特徴とする、チップ型電子部品の製造方法。
  5. 前記転写工程において、前記第1の粘着テープの粘着力を低下させる請求項4記載のチップ型電子部品の製造方法。
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