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JP5373240B2 - 酸化オレフィン類の一体化製造方法 - Google Patents

酸化オレフィン類の一体化製造方法 Download PDF

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Description

(技術分野)
本発明は、過酸化水素によるオレフィンの直接酸化によるエポキシド類の一体化連続製造方法に関する。
更に詳細には、本発明は、活性成分としてパラジウム又は白金をベースとする2成分金属系触媒の存在下での水素と酸素の反応によって過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液を調製すること、この溶液をエポキシ化触媒の存在下のプロピレンのエポキシ化工程に供給すること、及びエポキシ化プラントから出る適切に予備処理したリサイクルアルコール溶媒を過酸化水素製造プラントに供給することからなる酸化プロピレンの一体化連続製造方法に関する。本発明方法は、フラッシュカラム底部の生ヒドロ‐アルコール混合物を、必要に応じて、工程(a)において得られた過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液の希釈に使用してエポキシ化プラントにおいて必要とする値にするさらなる工程(e)を含む。
(背景技術)
エポキシド類又は酸化オレフィン類は、広範な各種化合物の製造において使用できる中間体である。例えば、エポキシド類は、グリコール類、ポリエステル類のような縮合ポリマー類の製造において、或いはポリウレタン発泡体、エラストマー類、シール類及び同様な製品の合成において使用する中間体の製造において使用できる。
酸化プロピレン(PO)の製造において工業的規模で使用されている現在の方法は、クロロヒドリンによる方法及び酸素源としてのヒドロペルオキシド類による間接酸化による方法に基づいている。
とりわけ、商業化されているクロロヒドリン法は、プロピレンクロロヒドリン(PCH)の合成及びその後のPCHの酸化プロピレン(PO)への脱水素化ハロゲン反応を含む。
しかしながら、この方法は、下記の欠点を有する:
‐塩化ナトリウム又は塩化カルシウムを含有する大量の水性流出液の生成(POの1kg当り40〜60 kg);
‐塩素化有機生成物の同時生成(これらの同時生成物は、その最終用途にもよるが、適切な処理を講じなければならない)。
酸化による各方法は、ヒドロペルオキシド類として、好ましくはターブチル(ter butyl)ヒドロペルオキシド及びエチルベンゼンヒドロペルオキシドを使用している。
これらの方法は、POに関連して、商業的に興味のある大量の同時生成物を生成させる。例えば、ターブチルヒドロペルオキシドによる方法はPOの1kg当り2.5〜3.5 kgのターブチルアルコールを同時生成し、一方、エチルベンゼンヒドロペルオキシドによる方法はPOの1kg当り2.2〜2.5 kgのスチレンを同時生成する。
これらの同時生成物の存在は、POとそれぞれの同時生成物に対する要望が適切に均衡化されなければ、殆ど有益性を有し得ない。例えば、ターブチルアルコールから得られたスチレン又はMTBEの必要度が高い場合、この方法の経済性はクロロヒドリンによる方法の経済性に拮抗し、さもなければ、これらの方法は経済的ではない。
プロピレンの間接酸化における他の合成方法は、過酸化水素の使用を含み、本質的に下記からなる:
1) 過酸化水素の合成;及び、
2) プロピレンの酸化プロピレンへのエポキシ化工程におけるその使用。
H2O2水溶液は、工業的には複雑な2工程法により典型的に得られている。この方法においては、水と非混和性の有機媒体中のブチルアントラキノン又はエチルアントラキノンのようなアントラキノンの溶液を先ず水素化し、次いで空気で酸化してH2O2を生成させ、その後、このH2O2を水性相中に抽出している。この方法は、複雑な製造装置を設置するに必要な投資による高コスト、酸化段階において生成する副生成物の分離と廃棄更には再使用する前のアントラキノン溶液の精製と再統合の必要性故に、厄介である。
第2の過酸化水素製造方法は、酸素と一緒のイソプロパノール及びメチルベンジルアルコールのような第2級アルコール類の使用(米国特許第2,871,102号、EP-378,388号)又はジアリールメタノールのような高沸騰性第2級アルコール類の使用(米国特許第4,303,632号)を含む。
しかしながら、これら公知の方法は、高反応温度(一般に、100〜180℃の範囲)での操作の必要性、主要同時生成物として生成するケトンの部分的酸化、過酸化水素安定剤(オルソリン酸又はピロリン酸ナトリウム)使用の必要性に起因する実質的な不利益を有する。
更にまた、これらの方法は、得られた過酸化水素溶液を、後のエポキシ化工程において使用する前に、反応混合物からケトン及び副生成物を分離し回収する必要があるために、複雑である。
技術的、経済的見地から魅力的に見える別の過酸化水素製造方法は、H2とO2からの過酸化水素の直接合成に基づく。
これらの方法は、貴金属、とりわけ、塩の形又は支持された金属としての白金族金属類又はその混合物からなる触媒系を一般に使用し、上記2つのガスを、水性媒体又は水‐有機媒体からなる溶媒中で反応させることによる。
しかしながら、これらの方法の工業的な実用化は、下記の理由で困難であることが分っている:
A) 爆発性範囲内濃度のH2とO2の混合物の使用;この混合物は、H2濃度が、圧力とO2濃度に関連して、4.5〜6容量%で変動する値を越えると爆発性となる。
B) H2‐O2混合物の爆発性範囲外で操作する場合でも、高濃度のO2の使用は、取扱いが危険であり、引火性有機溶媒の存在とは限られた両立性しか有していない。
C) 高濃度の促進剤類、例えば、酸促進剤、ハロゲン化製品及び/又は他の添加剤の反応媒体中での使用は、触媒系又はH2O2溶液を不安定にする。このことは、使用前のH2O2溶液の厄介な精製操作を伴う、安定剤の使用を必要とする。
D) 経済的な工業用開発のためには、希薄過ぎるH2O2溶液の反応及び生成の低生産性と選択性。
E) 反応条件下での触媒系の安定性の乏しさ。
特許出願EP-812836号は、例えば、水素と酵素を、支持されたパラジウムをベースとする触媒系の存在下に、ヒドロ‐アルコール媒体中で反応させ、そのようにして得られた過酸化水素のヒドロ‐アルコール混合物をエポキシ化工程において使用する酸化プロピレンの製造方法を記載している。
この文献の例示としての実施例は、0.15〜0.39質量%範囲の濃度でH2O2を含有するヒドロ‐アルコール溶液の製造を記載している。これらの溶液をその後のエポキシ化反応において使用し、1時間後に、それぞれ、99%と65%に等しい過酸化水素転化率を得ており、酸化プロピレンに対する選択性は70%〜95%の範囲である(即ち、POに対する最高収率70%)。
この方法は、下記の理由により、工業的興味はないようである:
A) 過酸化水素製造用の反応媒体における高濃度の促進剤、例えば、酸促進剤、ハロゲン化製品及び/又は他の添加剤の使用は、その後のエポキシ化工程において使用する前に、著しい量の中和剤の添加を必要とする;
B) 全体的に低いプロセス濃度、生産性及び選択性。このことは、一体化方法の両段階において高反応容積の使用を必要とする;
C) エポキシ化工程において廃棄すべき多量の廃生成物流の生成;
D) 過酸化水素の希ヒドロ‐アルコール溶液の使用は、アルコール留出流の生産を意味し、その留出物そのものが当該方法をかなり不経済にしている。
(発明の開示)
本出願人は、今回、良好に限定された群の金属触媒と操作条件を初期の水素と酸素の反応において使用し、エポキシプラントから出るリサイクルアルコール溶媒を、過酸化水素製造プラントに供給する前に、適切に処理し、且つ、必要に応じて、フラッシュカラム底部の原料ヒドロ‐アルコール混合物を使用して、工程(a)において得られた過酸化水素のヒドロ‐アルコール溶液をエポキシプラントにおいて必要な値に希釈することによって、全体的な高プロセス効率が生産性と選択性の点で得られることを見出した。
とりわけ、本発明の方法に従って操作した場合、下記の利点が得られる:
‐エポキシ化プラントにおける廃生成物の低減;
‐エポキシ化反応プラントにおける蒸留すべき溶媒容量の低減;
‐2つの反応において使用する各触媒の高安定性;
‐反応容積の低減;
‐得られるエポキシドの高純度。
上記に従い、本発明の目的は、オレフィンの直接酸化によるエポキシド類の一体化連続製造方法に関し、下記工程を含むことを特徴とする:
(a) 水素、酸素及び不活性ガスを含有するガス流を、活性成分としてパラジウムと白金をベースとする2金属系触媒の存在下に使用して、3容量%よりも高い濃度の過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液を調製する工程、
(b) 工程(a)で得られた過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液を、反応溶媒中に懸濁させたエポキシ化触媒の存在下に、オレフィン及び緩衝剤と接触させて、そのオレフィンに相応するエポキシド、水及び上記アルコール溶媒を含有する反応混合物を得る工程、
(c) 工程(b)を出る上記アルコール流を、得られたエポキシドを分離した後、処理して、存在する窒化化合物を除去する工程、
(d) 工程(c)で得られたアルコール溶媒を工程(a)に供給する工程。
本発明方法は、フラッシュカラム底部の生ヒドロ‐アルコール混合物を、必要に応じて、工程(a)において得られた過酸化水素のヒドロ‐アルコール溶液の希釈に使用して、エポキシ化プラントにおいて必要とする値とするさらなる工程(e)を含み得る。この工程は、エポキシ化反応プラントにおいて蒸留すべき溶媒容量の低減を有利に可能にする。
本発明に従うエポキシド類の製造方法は、下記のように詳細に説明することができる。
上記第1工程において、本発明のエポキシド類の合成方法は、下記の工程を含む:
(a) 不均質で液体反応媒体中に分散して保持されたパラジウムと白金をベースとする触媒を含有する反応器に、(i)酸促進剤及びハロゲン化促進剤を含有する、アルコール又は優勢量のアルコール分を含むアルコール‐水混合物からなる液体流と、(ii)水素濃度が4.5容量%未満であり、酸素濃度が21容量%未満であり、100への補充物が不活性ガスであることを特徴とする水素、酸素及び不活性ガスを含有するガス流を供給する工程、
(b) 上記反応器から、(iii) 流れ(i)から本質的になり、上記の反応から生成した過酸化水素と水をも含有し、過酸化水素濃度が3質量%よりも高いことを特徴とする液体流と、(iv) 未反応水素と酸素、及び不活性ガスから本質的になるガス流を取出す工程、
使用する反応器は、連続操作し、上述したような3相系において反応を実施して、分散液中に保持されたガス相、液相及び触媒(いわゆるスラリー系)間の効率的な接触を得るのに適する任意の反応器であり得る。例えば、当該技術状況において説明した反応器のような、撹拌型反応器、気泡型反応器、内部又は外部循環を有するガスリフト反応器は、その目的に適している。
反応器は、適切な温度及び圧力条件下に維持する。本発明の方法、目的においては、温度は、通常‐10℃〜60℃、好ましくは0℃〜40℃の範囲である。圧力は、通常0.1〜30MPa(1〜300バール)、好ましくは4〜15MPa(40〜150バール)の範囲である。
反応器内での液体媒体の滞留時間は、通常0.05〜5時間、好ましくは0.10〜2時間である。
本発明の目的において使用できる触媒は、活性成分としてパラジウム及び白金を含有する不均質触媒である。
これらの触媒においては、通常、パラジウムは0.1〜3質量%範囲の量で存在し、白金は0.01〜1質量%範囲の量で存在し、白金とパラジウムの原子比は1/500〜100/100の範囲である。
好ましくは、パラジウムは0.4〜2質量%範囲の量で存在し、白金は0.02〜0.5質量%範囲の量で存在し、白金とパラジウムの原子比は1/200〜20/100の範囲である。
パラジウム及び白金以外に、例えば、ルテニウム、ロジウム、イリジウム及び金のような第VIII族又は第IB族の他の金属も、活性成分又は促進剤として、パラジウムの濃度よりも一般に高くない濃度で存在し得る。
触媒は、例えば活性成分の塩又は可溶性複合体からなるプレカーサーから出発して、活性成分を不活性担体上に沈降及び/又はは含浸により分散させることによって調製し、その後、当該技術において周知の調製方法によって、水素、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムのような還元用物質と一緒の熱及び/又は化学処理によって金属状態に還元することができる。
不活性担体は、典型的には、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、活性炭、及び当該技術において周知の他の材料からなる。活性炭が、本発明において有用な触媒を調製するのに好ましい。
本発明おいて使用できる活性炭は、木材、亜炭、泥炭又はココナツから誘導され、300 m2/gよりも大きく1400 m2/gに達し得る表面積有する化石又は天然起源の活性炭、とりわけ600 m2/gよりも大きい表面積を有する活性炭から選ばれる。
好ましい活性炭は、低灰分含有量を有する活性炭である。
イタリア特許出願MI 98A01843号に記載されているスルホン化活性炭も本発明の目的において有用である。
各金属を支持又は含浸させる前に、活性炭は、蒸留水による洗浄、又は酸、塩基もしくは希釈酸化剤、例えば、酢酸、塩酸、炭酸ナトリウム及び過酸化水素による処理のような処理に供することができる。
触媒は、反応媒体中に、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜3質量%の範囲の濃度で懸濁させる。
液体流(i)は、アルコール、C1〜C4アルコールの混合物、又はこれらアルコールと水との優勢量のアルコール分を含む混合物からなる。優勢量のアルコール分を含む混合物とは、50質量%よりも多いアルコール又はアルコール混合物を含有する混合物を意味する。C1〜C4アルコールの中では、メタノールが本発明の目的において好ましい。なかでも、好ましい混合物は、少なくとも70質量%のメタノールを含有するメタノールと水の混合物である。
この液体流は、酸促進剤及びハロゲン化促進剤も含有する。
酸促進剤は、液体反応媒体中でH+水素イオンを発生させ得る任意の物質であり得、硫酸、リン酸、硝酸のような無機酸又はスルホン酸のような有機酸から一般に選ばれる。
硫酸及びリン酸が好ましい。酸の濃度は、一般に液体媒体のkg当り0〜1000 mg、好ましくは液体媒体のkg当り10〜500 mgの範囲である。
ハロゲン化促進剤は、液体反応媒体中でハライドイオンを発生させ得る任意の物質であり得る。臭化物イオンを発生させる物質が好ましい。これらの物質は、臭化水素酸及びその反応媒体中に可溶性の塩から一般に選ばれ、例えば、アルカリ臭化水素酸塩、臭化水素酸が好ましい。
ハロゲン化促進剤の濃度は、一般に液体媒体のkg当り0.1〜50 mg、好ましくは液体媒体のkg当り1〜10 mgの範囲である。
入口でのガス流(ii)は、4.5容量%未満の濃度の水素と21容量%未満の濃度の酸素を含有し、100への補充物は不活性ガスであり、不活性ガスは一般に窒素、ヘリウム、アルゴンから選ばれる。不活性ガスは、好ましくは窒素である。
ガス流(ii)においては、水素濃度は、好ましくは2容量%〜4容量%の範囲であり、酸素濃度は、好ましくは6容量%〜18容量%の範囲である。
酸素は、上記ガス流中に、原料物質として、純粋もしくは実質的に純粋な酸素、例えば21〜90%の酸素を含有する富化空気又は空気を使用して供給し得、その後、上記ガス流の組成を、適切な濃度の不活性ガスを添加して、上記の所望値とする。
反応器から出る液体流(iii)は、3質量%よりも多い、好ましくは4質量%〜10質量%の過酸化水素濃度を有する。また、この液体流は、供給液体流と一緒に導入したのと等量の酸促進剤とハロゲン化促進剤、更に供給液体流と一緒に導入した水と等量の水も含有し、反応副生成物として得られた水も一緒に含む。後者の水は、通常、0.5質量%〜2.5質量%範囲の追加の濃度として表す。
液体流(iii)は、当該技術において周知の濾過法によって、例えば、反応器内或いは反応器外の反応混合物の特定の再循環サイクル内に設置したフィルターの使用によって触媒から分離する。後者の濾過の場合、正接濾過法も好都合に使用できる。
液体流(iii)は、安定化用の物質の添加を必要としないで、保存に対して安定であることが立証されている。
反応器から出るガス流(iv)は、来反応の水素と酸素、更に不活性ガスとから本質的になり、一般的に2%以下、通常は0.5〜1.5%範囲の容積水素濃度と一般的に18%未満、通常は6〜12%範囲の容積酸素濃度を有する。
本発明方法の1つの実施態様においては、反応器を出るこのガス流は、その系から、供給物と一緒に過剰に導入した、とりわけ空気を酸素源として使用した時の不活性ガス量を除去するのに必要な画分をフラッシングした後に、反応器への供給物にリサイクルさせる。この場合、反応器へ供給するガス流(ii)は、上記ガス流(iv)のリサイクル画分からなり、反応で消費された量とフラッシングにおいて使用された量に本質的に等しい量の水素及び酸素(空気又は富化空気のような又は形の)を含有する。
本発明方法のもう1つの実施態様によれば、反応器から出るガス流(iv)は、上述した1つの反応器と同様に稼動する1基以上のその後の反応器に、上記単一の反応器内で生ずる反応によって消費された量に本質的に等しい量の水素及び酸素(空気又は富化空気のような又は形の)をその都度追加した後、供給する。
上述の条件で操作して、1時間当りで反応媒体1リットル当り通常30〜200g範囲のH2O2 (100%のとしてH2O2表して)反応生産性及び一般に70%よりも高いH2O2形成に対するモル選択性(消費水素に関する)でもって、安全条件下において過酸化水素を製造することが可能である。
更にまた、反応液体媒体中に存在する酸及びハロゲン化促進剤の濃度を最小限にできることは、触媒系の安定性にプラスに影響し;1000時間の連続反応後も、触媒活性の実質的な喪失の徴候は存在しない。
濾過した液体流(iii)は、反応溶媒中に懸濁させたエポキシ化触媒をオレフィン及び緩衝剤と一緒に含有する1基以上の反応器からなる反応装置に供給する。
液体流(iii)中の過酸化水素濃度がエポキシ化工程において必要な値(3.5〜4.5%)よりも高い場合には、液体流(iii)をフラッシュカラム底部の生ヒドロ‐アルコール混合物によってエポキシ化プラントにおいて必要な値に希釈する。
上記反応装置から出る濾過した液体生成物は、1基以上のストリッピング(フラッシュ)カラム(上記反応装置の各反応器に対して1基)からなる蒸留装置に供給して、その頭部で、酸化オレフィンと未反応オレフィンとから本質的になる生成物を、その底部で、溶媒、未反応過酸化水素、水及び反応副生成物から本質的になる生成物を得る。得られた蒸留装置底部の生成物は、エポキシ化反応装置にリサイクルさせない分を、残留過酸化水素をH2とH2Oに分解する機能を有する分解触媒を含有する1基以上の反応器からなる分解装置R4に供給する。
溶媒、酸素及び水から本質的になる分解装置R4から出る混合物は、不活性ガス(好ましくは、窒素)と一緒に、相分離V4に供給して、その頭部で、酸素、不活性ガス及び痕跡量の溶媒を含有するガス相を、その底部で、溶媒、水及び反応副生成物からなる液相を得る。
V4から出るガス相は、残留溶媒回収用の直列の1基以上のコンデンサーからなる凝縮装置に供給し、一方、非凝縮性化合物(酸素、及び痕跡量の溶媒を含む不活性ガス)は排出させる。
上記凝縮装置から出る溶媒とR4から出る液相は、蒸留カラムC6-Aに、硫酸を含有する希水溶液又はヒドロ‐アルコール溶液(流れ全体に対して硫酸約10〜50 mg/kg)と一緒に供給して、その頭部で、痕跡量の軽質生成物を含有する精製溶媒を、その底部で、反応水と過酸化水素と一緒に導入した水、反応副生成物及び痕跡量の溶媒から本質的になる生成物を待て、後者の生成物は、排出させる。
上記凝縮装置から出る溶媒とV4から出る液相は、好ましくは、蒸留装置C6-Aの底部に供給し、一方、上記酸溶液は、蒸留カラムの約2/3に等しい高さに供給する。この酸処理の機能は、流れ中に存在し過酸化水素合成用の触媒の性能に影響し得る窒化塩基性生成物を完全に分離することである。カラムC6-Aの頭部から出る溶媒は、カラムC6-Bに供給して、その頭部で軽質生成物を分離し、精製溶媒はその底部で分離する。
カラムC6-Bの頭部の流れは、蒸留カラムC6-Cに送り、その底部で、過酸化水素合成反応にリサイクルさせる軽質生成物を含まない溶媒を、その頭部で、軽質生成物の濃縮流を回収する。
上述の蒸留カラムにおける酸処理は、C6-A頭部のメタノールでの活性炭、スルホン樹脂又はスルホン化炭素による処理によって置換えることができる(イタリア特許出願MI 98A01843)。
1基以上のストリッピングカラム頭部の生成物及び各反応器の換気生成物は、蒸留カラムC4に供給して、その頭部で、反応装置にリサイクルさせる未反応オレフィンからなる生成物を、その底部で、酸化オレフィンから本質的になる生成物を得る。
上記蒸留カラム底部の生成物は、精製装置C5に供給する。C5頭部で得られた残留オレフィンは反応装置にリサイクルさせ、溶媒から本質的になる底部の液相は上記1基以上のフラッシュカラムにリサイクルさせ、商業的純度を有する酸化オレフィンは、カラム上部での側部カットにより得る。
本発明の方法において使用できるオレフィン類は、下記の一般式(I)を有するオレフィン類である:
Figure 0005373240
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なるものであり、水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、7〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、6〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜20個の炭素原子を有するアルキルシクロアルキル基である)。
基R1、R2、R3及びR4は、対となって、飽和又は不飽和の環を形成し得る。更にまた、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ、ニトリル、スルホン基及びその関連エステル基、カルボニル、ヒドロキシル、カルボキシル、チオール、アミン及びエーテルの各基も含有し得る。
上記のオレフィン類は、上記の置換基を、不飽和炭素原子上及び異なる位置の双方で担持し得る。
式(I)を有するオレフィン類の非限定的な例は、エチレン、プロピレン、塩化アリル、アリルアルコール、ブテン類、ペンテン類、ヘキセン類、ヘプテン類、オクテン-1、1-トリデセン、メシチルオキシド、イソプレン、シクロオクテン、シクロヘキセン、又はノルボルネン類、ピネン類のような二環式化合物等である。
好ましいオレフィンはプロピレンである。70%より高い純度を有するプロピレンを一般に使用する。プロピレンは、好ましくは、最低純度96%を有し、残り割合がプロパンと典型的なC3不純物からなる水蒸気分解からの流れとして入手可能である。
オレフィンに対する過酸化水素の量は臨界的ではないが、10:1〜1:10、好ましくは6:1〜1:1範囲のオレフィン/H2O2モル比を使用する。
エポキシ化反応は、過酸化水素と相溶性であり且つオレフィン及び生成する酸化オレフィンを溶解することのできるエポキシ化温度での1種以上の液体溶媒中で実施し得る。
アルコール、C1〜C4アルコールの混合物、又は優勢量のアルコール分を含むこれらアルコール類と水との混合物からなる極性を有する溶媒を典型的に使用する。優勢量のアルコール分を含む混合物とは、50質量%よりも多いアルコール又はアルコール混合物を含有する混合物を称する。C1〜C4アルコールのうちでは、メタノールが本発明の目的において好ましい。混合物においては、少なくとも70質量%のメタノールを含有するメタノールと水との混合物が好ましい。
緩衝剤は、アンモニア、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、又はイタリア特許出願MI 99A/001658に記載されているような窒化塩基及びその有機酸又は無機酸との塩からなる系から選ばれる。
緩衝剤は、エポキシ化反応器に供給する反応物流の1つと一緒に、反応混合物のpHを、操作条件で測定したとき、5よりも高く、好ましくは5.5〜8範囲の値に維持するような量で連続して供給する。
本発明の方法において使用し得るエポキシ化触媒は、チタニウムシリカライト(silicalite)の名称で一般に知られている触媒の中から選ばれる。
例えば、米国特許第4,410,501号に記載されているMFI構造を有するチタニウム-シリカライトを使用し得る(この米国特許は、チタニウムシリカライト類の構造的特徴も説明している)。
チタニウムの1部をホウ素、アルミニウム、鉄又はガリウムのような他の金属で置換したチタニウムシリカライト類も使用できる。これらの置換チタニウムシリカライト類及びそれらの製造方法は、ヨーロッパ特許出願226,257号、226,258号及び266,825号に記載されている。
ベルギー特許第1,001,038号に記載されているMEL又は中間MFI/MEL構造を有するチタニウムシリカライト類も使用できる。他のチタニウム-シリカライト類は、スペイン特許第2,037,596号に記載されているチタニウムを含有しBEA構造を有するベータゼオライト類、“Journal of Chemical Communications, 1992, page 745”に記載されているチタニウムと任意成分としてのアルミニウムを含有するZSM-12から選択できる。
本発明に従う好ましい触媒は、下記の一般式(II):
xTiO2-(1-x)SiO2
(式中、xは、0.0001〜0.04の範囲の数を示し、好ましくは、xの値は0.01〜0.025の範囲にある)
を有し、例えば、米国特許第4,410,501号、第4,824,976号、第4,666,692号、第4,656,016号、第4,859,785号、第4,937,216号に記載されているチタニウム-シリカライトである。
上記触媒は、粉末、ペレット、微小球、押出形又は他の好都合な物理的形状の形で使用し得る。
上記触媒と組合せたリガンド(コ-ゲル)又は不活性担体は、有利に使用できる。支持型触媒は、公知の方法を使用して調製し得る。
不活性担体は、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、活性炭、及び当該技術において周知の他の材料から典型的になる。
本発明の方法において使用する触媒の量は、臨界的ではない;しかしながら、触媒量は、できり限り最短の時間でエポキシ化反応を完了させるように選定する。
触媒量は、反応温度、オレフィンの反応性と濃度、過酸化水素濃度、溶媒のタイプと組成、触媒活性及び使用する反応器又は反応装置のタイプのような各種パラメーターに関連して一般に選定する。
触媒量は、反応混合物に対して、典型的には1〜15質量%、好ましくは4〜10質量%の範囲である。
本発明の方法において使用する温度は、一般に20〜150℃、好ましくは40〜100℃の範囲であり、55〜90℃がとりわけ好ましい。
操作圧力は、反応において予め選定した温度において、オレフィンを液相中に維持せしめ得るような圧力である。一般に、操作圧力は、ガス状オレフィンを使用する場合、大気圧よりも高い。
エポキシ化反応において使用する反応器は、連続操作してエポキシ化反応を上述したような系において実施し、懸濁液中に保持されたオレフィン、液相及び触媒間の効率的な接触を得るのに適する任意の反応器であり得る。
例えば、当該技術状況において説明したような撹拌型反応器、気泡型反応器、内部又は外部循環を有するガスリフト反応器、CSTR(連続撹拌型タンク反応器)又はPFR(プラグフロー反応器)がその目的に適している。
導入したオレフィン(この用語は、新鮮オレフィンを称する)、リサイクルオレフィン又はこれらの混合物は、反応工程に、流量制御しながら過剰に供給して、酸化オレフィンへの転化率と選択性を最大限にし且つ反応圧を維持するようにする。バッテリーリミットからの新鮮オレフィンとリサイクルオレフィンの混合物を好ましく供給する。反応装置に入る前に、新鮮オレフィンは、蒸留カラムC4において精製し得る。
本発明方法の1つの実施態様によれば、反応装置は、CSTRタイプ及び等温の3基の反応器R1-R2-R3から構成される。
反応器R1とR2は、実質的に同一条件下で、即ち、約55〜75℃の温度及び13バールの圧力で稼動するのに対し、反応器R3は、最終反応器として、即ち、反応器R1とR2に供給した過酸化水素の使い尽くしを伴い、79〜90℃の温度及び8バールの圧力で稼動する。
オレフィンの全体的酸化反応は、そのような方法で、ユニットR3から出る流れ内では100 ppm未満H2O2濃度を有するように実施する。
第1及び第2反応器においては、過酸化水素に対する反応選択性は、96%の転化率において98%モルであり、第3反応器においては、80%モルの選択性と95%の転化率である。各フラッシュカラムは、実質的に同じ操作条件で稼動し、頭部で、未反応オレフィン、酸化オレフィン、不活性生成物(例えば、プロパンのような脂肪族炭化水素)及び溶媒蒸気から本質的になる蒸気相の流れを排出する。その底部では、各カラムは、分化した組成を有する液相の流れを排出し、この流れは、C1及びC2において、それぞれの合成反応器R1及びR2に部分的にリサイクルさせる。
カラムC1-C2-C3の頭部の蒸気は、蒸留カラムC4に供給して、その頭部で未反応オレフィンを回収する。回収した未反応オレフィンは、不活性生成物を部分的に除去した後、酸化オレフィンの合成にリサイクルさせる。反応器R1-R2-R3の各換気からの蒸気もカラムC4に供給する。
カラムC4底部の温度は、1分程度の滞留時間でもって、80℃を越えてはならない;それによって、酸化オレフィンの分解を回避する。
蒸留カラムC1とC2の底部の流れは、有意量の過酸化水素を依然として含有し、従って、酸化オレフィンの合成にリサイクルさせるのに対し、カラムC3尾部の流れは、H2O2を実質的に含まず、溶媒、水及び反応副生成物から本質的になる。
この流れは、直列に配列した1基以上の固定床管状反応器からなる残留過酸化水素分解領域R4に供給する。
過酸化水素分解反応は、発熱性であり、液相内で約80〜90℃で起り、滞留時間は1〜10分、好ましくは2〜5分である。
上記分解反応において使用する触媒の例は、第VIII族の金属類又はそれらの酸化物からなる。その担体は、公知技術の上述した担体から選ばれる。
R4から出る混合物は、相分離器V4に供給して、上記過酸化水素の分解によって生成した酸素と、反応器R4の下流で導入して、フラッシュカラムに放出する溶媒/酸素混合物を引火性限界以下に維持するための希釈不活性生成物、好ましくは窒素を分離する。
V4から出る溶媒-酸素-不活性生成物の混合物は、その後、直列の2基のコンデンサー内で凝縮させて溶媒を回収し、一方、非凝縮性生成物(酸素及び痕跡量の溶媒を含む不活性生成物)は、排出させる。
R4から出る液相とV4から出る液体混合物は、蒸留カラムC6-Aに供給し、上述のようにして処理する。
カラムC6-Aの頭部で回収した凝縮熱は、本方法の再沸装置すべてに供給するのに使用できる。この場合、カラム圧は、本目的に適する値に保たれる。
酸化オレフィンリッチの液体流は、蒸留カラムC4の底部から引出し、精製領域C5に送る。
精製領域C5は、多数のプレートに基づく直列の2基のカラムからなり、その頭部で、依然として存在する残留蒸気(未反応オレフィンと不活性ガス)を、底部で、溶媒と酸化オレフィンを含有する液体流(蒸留カラムC3にリサイクルさせる)を、側部で、商業的純度(> 99.8%)を有する酸化オレフィンからなる液体流を分離する。
精製カラムC5頭部から引出した蒸気は、有意量の酸化オレフィンを依然として含有し得、蒸留カラムC4の上流にリサイクルさせる。
本発明の方法によって操作して、1000時間後、エポキシ化触媒は何ら劣化の兆候を示さず、生産性と反応選択性は高い。
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の酸化オレフィン類の製造方法は、例示としての非限定的な実施態様を示す図1のブロック図を参照することによってより良好に理解し得るであろう。
図1において、オレフィン、例えば、プロピレンを、ライン(2)-(11)-(21)により反応器R1-R2-R3に並行して供給する。緩衝剤を、反応器R1-R2-R3に、ライン(T1)-(T2)-(T3)により並行して供給し、一方、過酸化水素を含むリサイクル溶媒(4)の半分を反応器R1に供給し(4A)、残り半分をR2に供給する(4B)。この一体化製造サイクルにおいて起り得る溶媒損失は、“メーキャップ”ライン(3)によって補充され、カラムC6-Aの供給物と一緒に入る。
酸化プロピレン合成反応
第1反応器R1から出る濾過した液体反応生成物を、ライン(6)により、第1蒸留カラムC1に供給し、その頭部から蒸気相中の生成酸化プロピレンと未反応プロピレン(7)を、その底部から過酸化水素を依然として含有している液体流(8)を回収し、(8)の1部を反応器R3に供給し、残りの液体流(8A)を反応器R1にリサイクルさせて過酸化水素を所望濃度に希釈する。
第2反応器R2から出る濾過した液体反応生成物を、ライン(9)により、第2蒸留カラムC2に供給し、その頭部から蒸気相中の生成酸化プロピレンと未反応プロピレン(12)を、その底部から過酸化水素を依然として含有している液体流(13)を回収し、(13)の1部を反応器R3に供給し、残りの液体流(13A)を反応器R2にリサイクルさせて過酸化水素を所望濃度に希釈する。
第2反応器R3から出る濾過した液体反応生成物を、ライン(14)により、第3蒸留カラムC3に供給し、その頭部から、蒸気相中の酸化プロピレンと未反応プロピレン(16)を回収し、その底部から、過酸化水素を依然として含有し反応器系R4 (反応器系R4は、反応器R4自体、相分離器V4及びV4から出る蒸気相の直列の2基のコンデンサーE421/E422を称する)に送る液体流(15)を回収する。
反応器系R4から出る液体生成物は、カラムC6-Aに供給し(18)、大気中に換気させる酸素、窒素及び痕跡量のメタノールを含有するガス生成物はライン(17)によって示す。希釈用窒素は、ライン(AZ)によって系R4に供給する。
溶媒の回収
過酸化水素を含まず、溶媒、水及び反応副生成物から本質的になる反応器系R4から出る液体生成物を、ライン(18)により、この特定の例においては、1連の蒸留カラムC6 A-B-Cからなる溶媒回収領域に供給する。水と反応副生成物(24)は、C6-A底部から排出する。C6-Aの頭部で、溶媒(23)を回収し、カラムC6-Bに送る。C6-Aの高さ約2/3のところで、酸溶液(A1)を供給し、それによって、蒸気相中に存在する窒化化合物を遮断する。C6-Aの入口でのメタノール中にメタノールの1〜2質量%の濃度で存在する軽質化合物(ギ酸メチル、ジメトキシメタン)からなるカラムC6-Bの頭部生成物を、カラムC6-Cに供給する。軽質濃縮生成物(6〜8質量%)は、フラッシング流(31)と一緒に、カラムC6-Cの頭部から出る。カラムC6-BとC6-Cの底部生成物は、一緒にしたとき(33)、過酸化水素合成反応にリサイクルさせるメタノールを構成する。
酸化プロピレンの回収
流れ(7)、(12)及び(16)は、各合成反応器の換気生成物と一緒に、未反応プロピレン、酸化プロピレン及び溶媒からなる;これらの流れを、コンプレッサーK1によって、蒸留カラムC4に供給する。未反応プロピレンを、カラムC4の頭部で、不活性生成物(27) + (25)と一緒に分離する。プロパンのような不活性生成物は、新鮮プロピレン(5)と一緒に製造サイクルに挿入する。製造サイクルにおける不活性生成物の蓄積を防止するために、各反応器にリサイクルさせるプロピレン流の1部をフラッシングする(25)。
酸化プロピレンリッチの流れ(28)をカラムC4の底部で回収し、この特定の例においては、蒸留カラム(2つの領域における)からなる酸化プロピレンの精製領域に供給する。痕跡量の未反応プロピレンと酸化プロピレンを依然として含有する蒸気相の流れ(29)をカラムC5の頭部で回収する;この流れを、コンプレッサーK1によって、カラムC4にリサイクルさせる。酸化プロピレンと溶媒を含有する液体流(26)をカラムC5の底部から引出し、カラムC3に送り戻す。
商業的純度を有する酸化プロピレンを、側部カット物(30)としてカラムC5から引出す。
過酸化水素の合成反応
酸化プロピレン合成領域から出る蒸留メタノール流(33)は、過酸化水素合成領域に進む。
HBr (ハロゲン化促進剤)水溶液の流れ(35)とH2SO4 (酸促進剤)水溶液の流れ(36)を流れ(33)に加える;ポンプP1により、得られた混合物(37)を100バールの圧力の過酸化水素合成反応器R5に送る。水素、酸素及び窒素の流れ(39)-(40)-(41)を、それぞれ、コンプレッサーK2によって、100バールの反応器R5に送る。ベンチレーターK3により、反応器頂部からの未反応ガスを反応媒体中にリサイクルさせる。反応生成物の過酸化水素と水、メタノール溶媒及び100バールで溶解させた各反応ガスからなる流れ(44)を、低圧のフラッシュカラムF1に供給する。濃縮後、F1から出る蒸気相(45)を、頭部で水(48)を供給した分離カラムC7に供給する。C7頭部のガス(46)を製造サイクルからフラッシングし、痕跡量のメタノールと水を含有するカラムC7の底部の流れ(47)を生物学的処理装置に送る。オンライン分析Anによる分析のために取出した反応器頂部のガスもフラッシュカラムF1に送る。
F1から出る液体流(4)は、過酸化水素(7質量%)、水及びメタノールからなる。この流れは、酸化プロピレン合成への供給流を構成する。
公知の方法に比較し、本発明の方法は、工業的規模で且つ連続操作の実現性を有して、容易に応用できる方法を使用して、エポキシド類を一定時間に亘っての高生産性及び高選択性でもって取得するのを可能にする。
以下の操作実施例は、例示目的で提示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
‐図1に従う手順を使用し、下記から出発して酸化プロピレンを製造する:
99.5質量%のプロピレンと0.05質量%のプロパンからなる水蒸気分解プラントから誘導された流れ;
‐水素、酸素及び窒素を含有し、水素濃度が4.5容量%未満であり、酸素濃度が21容量%未満であり、100への補充物が窒素であることを特徴とするガス流;
‐メーキャップメタノール;
‐R5の入口でメタノール流に供給した酸促進剤H2SO4 (液体媒体1 kg当り200 mg)とハロゲン化促進剤HBr (液体媒体1 kg当り6 mg)。
‐反応器R1-R2-R3の入口で、メタノール流中に、反応混合物のpHを6.5の値に緩衝するような量(R1-R2-R3への供給物の液体流中に80 ppmの濃度で存在する)で供給した、NH4OH水溶液からなる緩衝剤;反応流中に挿入した補強ガラスpHメーターを使用する;
‐R5へリサイクルさせるメタノールの酸条件下での蒸留を得るためにカラムC6-Aに供給した硫酸含有希溶液(流れ全体(18)に対して硫酸約10〜50 mg/kg)。
米国特許第4,937,216号に記載されているタイプのチタニウムシリカライト触媒を、反応器R1、R2及びR3中に、スラリーに対して6質量%の濃度で存在させる。
15%の活性相を含むペレットの分解器R4の触媒床を過剰容量で装入して、過酸化水素の使い切りを担保する。
パラジウムと白金をベースとする不均質触媒は、R5内で、1質量%で、液体反応媒体中に分散して保持させる。
添付の表(表1−A、1−B及び1−C)は、単一流れの平衡と組成を示している。
Figure 0005373240
Figure 0005373240
Figure 0005373240
本発明の1つの実施態様を示すブロック図である。

Claims (23)

  1. 過酸化水素によるオレフィンの直接酸化によるエポキシド類の一体化連続製造方法であって、以下の工程、
    (a) 活性成分としてパラジウム及び白金をベースとする2金属系触媒の存在下に、水素、酸素及び不活性ガスを含有するガス流を使用して、3質量%よりも高い濃度の過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液を調製する工程、
    (b) 工程(a)で得られた過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液を、反応器において反応溶媒中に懸濁させたエポキシ化触媒の存在下に、オレフィン及び緩衝剤と接触させて、そのオレフィンに相応するエポキシド、水及び前記アルコール溶媒を含有する反応混合物を得る工程、
    (c) 工程(b)を出る前記アルコール流を、前記エポキシドを分離した後、処理して、存在する窒化化合物を除去する工程、
    (d) 工程(c)で得られたアルコール溶媒を工程(a)に供給する工程、
    (e) 工程(b)からの反応混合物を蒸留するフラッシュカラム底部から得られる原料ヒドロ‐アルコール混合物を、工程(a)から出る過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液を希釈するのに使用してエポキシ化プラントにおいて必要とする値とする工程、
    含有することを特徴とする方法。
  2. 工程(c)において、前記アルコール流の処理を、総アルコール流に対して約10〜50 mg/kgの硫酸濃度で硫酸を含有する水溶液又は希釈ヒドロ‐アルコール溶液と一緒にアルコール溶媒を蒸留することによって、或いは蒸留したアルコール溶媒を活性炭、スルホン樹脂又はスルホン化炭素で処理することによって実施する請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 過酸化水素のアルコール又はヒドロ‐アルコール溶液の連続製造のための工程(a)が、下記の工程を含む請求の範囲第1項記載の方法:
    (a') 不均質で液体反応媒体中に分散して保持されたパラジウム及び白金をベースとする触媒を含有する反応器に、
    (i) 酸促進剤及びハロゲン化促進剤を含有する、アルコール又は優勢量のアルコール分を含むアルコール‐水混合物からなる液体流と、
    (ii) 水素濃度が4.5容量%未満であり、酸素濃度が21容量%未満であり、100への補充物が不活性ガスであることを特徴とする水素、酸素及び不活性ガスと、
    を含有するガス流を供給する工程、
    (b') 上記反応器から、
    (iii) 流れ(i)から本質的になり、前記反応から生成した過酸化水素及び水をも含有し、過酸化水素濃度が3質量%よりも高いことを特徴とする液体流と、
    (iv) 未反応水素と酸素、及び不活性ガスから本質的になるガス流と、
    を取出す工程。
  4. 工程(a')における前記触媒が、0.1〜3質量%範囲の量のパラジウム及び0.01〜1質量%範囲の量の白金を含有し、白金及びパラジウムの原子比が1/500〜100/100の範囲である請求の範囲第項記載の方法。
  5. 前記担体が、木材、亜炭、泥炭又はココナツ由来の化石又は天然起源の活性炭から選ばれ、300 m2/gよりも大きい表面積を有する活性炭である請求の範囲第3項記載の方法。
  6. 前記触媒を、0.1〜10質量%範囲の濃度で反応媒体中に分散させる請求の範囲第3項記載の方法。
  7. 液体流(i)が、アルコール、C1〜C4アルコールの混合物、又はアルコール含有量が50%よりも多い上記アルコール類と水との混合物からなる請求の範囲第3項記載の方法。
  8. 前記ハロゲン化促進剤が、前記液体反応媒体中でハロゲンイオンを発生させ得る物質である請求の範囲第3項記載の方法。
  9. 前記促進剤が、臭化水素酸である請求の範囲第8項記載の方法。
  10. 前記ハロゲン化促進剤の濃度が、溶液1 kg当り0.1〜50 mgの範囲である請求の範囲第3項記載の方法。
  11. 前記酸促進剤が、前記反応媒体中にH+水素イオンを発生させ得る物質から選ばれる請求の範囲第3項記載の方法。
  12. 前記酸促進剤が、硫酸又はリン酸である請求の範囲第3項記載の方法。
  13. 酸促進剤の濃度が、溶液1 kg当り10〜1000 mgの範囲である請求の範囲第3項記載の方法。
  14. 酸促進剤の濃度が、溶液1 kg当り10〜500 mgの範囲である請求の範囲第13項記載の方法。
  15. 前記ガス流(ii)において、水素濃度が、2容量%〜4容量%の範囲であり、酸素濃度が、6質量%〜18質量%の範囲であり、100への補充物が、窒素、ヘリウム及びアルゴンから選ばれた不活性ガスである請求の範囲第3項記載の方法。
  16. 前記反応器から出るガス流(iv)を、該反応器への供給流に、供給流と一緒に過剰に供給した不活性ガス量を除去するのに必要な画分を系からフラッシングし上記生成工程において消費した分のH2とO2を加えた後、リサイクルさせる請求の範囲第3項記載の方法。
  17. 前記反応器から出るガス流(iv)を、反応器と同様に稼動する1基以上のその後の反応器に、各単一反応器において生じた反応によって消費された量と本質的に等しい量の水素と酸素をその都度加えた後、供給する請求の範囲第3項記載の方法。
  18. エポキシド類の製造のための前記工程(b)が、下記工程を含む請求の範囲第項記載の方法:
    (1) 工程(a)から出る液体流(iii)を、オレフィン、過酸化水素及び緩衝剤と一緒に反応溶媒中に懸濁させたエポキシ化触媒を含有する1基以上の反応器からなる反応装置に供給する工程、
    (2) 前記反応装置から出る濾過した液体生成物を、1基以上のストリッピング(フラッシュ)カラム (前記反応装置の各反応器に対して1基である)からなる蒸留装置に供給して、その頭部で、酸化オレフィンと未反応オレフィンとから本質的になる生成物を、その底部で、溶媒、未反応過酸化水素、水及び反応副生成物から本質的になる生成物を得る工程、(3) 前記蒸留装置底部での生成物を、残留過酸化水素をO2とH2O2に分解する機能を有する支持された分解触媒を含有する直列に設置された1基以上の反応器からなる分解装置R4に供給する工程、
    (4) 前記分解装置R4から出る本質的に溶媒、酸素及び水からなる混合物を、不活性ガスと一緒に、相分離器V4に供給して、その頭部で、酸素、不活性ガス及び痕跡量の溶媒を含有するガス相を、その底部で、溶媒、水及び反応副生成物からなる液相を得る工程、
    (5) V4から出るガス相を、残留溶媒回収用の直列の1基以上のコンデンサーからなる凝縮装置に供給すること、一方で、非凝縮性化合物(痕跡量の溶媒を含む酸素と不活性ガス)は排出させる工程、
    (6) 前記凝縮装置から出る溶媒とV4から出る液相を、蒸留カラムC6-Aに供給して、その頭部で、反応装置(a)にリサイクルさせる溶媒を、その底部で、反応水と過酸化水素と一緒に導入した水、反応副生成物及び痕跡量の溶媒から本質的になる生成物を得ること、後者の生成物は排出させる工程、
    (7) 前記1基以上のストリッピングカラム頭部の生成物を、前記各反応の換気生成物と一緒に、蒸留カラムC4に供給して、その頭部で、前記反応装置へリサイクルさせる未反応オレフィンからなる生成物を、底部で、酸化オレフィンから本質的になる生成物を得る工程、
    (8) 前記蒸留カラムC4底部の生成物を精製装置C5に供給して、前記反応装置にリサイクルさせる残留オレフィン、前記1基以上のフラッシュカラムにリサイクルさせる溶媒から本質的になる液相、及び商業的純度を有する酸化オレフィンを回収する工程。
  19. 液体流(iii)を、10:1〜1:10範囲のオレフィン/H2O2モル比を有するように工程(1)に供給する請求の範囲第18項記載の方法。
  20. 前記緩衝剤が、アンモニア、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、又は窒化塩基及びその有機酸又は無機酸との塩からなる系から選ばれる請求の範囲第18項記載の方法。
  21. 前記緩衝剤を、エポキシ化反応器に供給する反応物流の1つと一緒に、反応混合物のpHを、操作条件で測定したとき、5よりも高く維持するような量で連続して供給する請求の範囲第18項記載の方法。
  22. 工程(b)のエポキシ化触媒が、MFI構造を有するチタニウム-シリカライト類、MEL又は中間MFI/MEL構造を有するチタニウム-シリカライト類、又はチタニウムを含有しBEA構造を有するベータゼオライト類から選ばれる請求の範囲第1項記載の方法。
  23. 前記エポキシ化反応において使用する触媒量が、前記反応混合物に対して1〜15質量%の範囲である請求の範囲第1項記載の方法。
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