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JP5373070B2 - 防汚塗料組成物用バインダーおよびバインダーを含む防汚塗料組成物 - Google Patents

防汚塗料組成物用バインダーおよびバインダーを含む防汚塗料組成物 Download PDF

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JP5373070B2
JP5373070B2 JP2011512890A JP2011512890A JP5373070B2 JP 5373070 B2 JP5373070 B2 JP 5373070B2 JP 2011512890 A JP2011512890 A JP 2011512890A JP 2011512890 A JP2011512890 A JP 2011512890A JP 5373070 B2 JP5373070 B2 JP 5373070B2
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Description

本発明は、防汚塗料組成物におけるバインダーとして有用なシリルエステルコポリマーおよび当該シリルエステルコポリマーを含む防汚塗料組成物に関する。本発明はまた、当該防汚塗料組成物を用いた、船舶表面の汚損の防止方法に関する。
海水中に沈められる表面は、緑藻類および褐藻類、フジツボ、ムラサキイガイ、棲管虫などの海洋生物による汚損にさらされる。船舶、石油プラットフォーム、ブイなどの海洋構造物には、このような汚損は望ましくなく、経済的な影響がある。汚損は、表面の生物学的劣化、負荷の増加、および腐食の加速をもたらし得る。船舶においては、汚損は、摩擦抵抗を増加させることになり、速度の低下および/または燃料消費量の増加の原因となる。また、操縦性の低下を招き得る。
海洋生物の付着および増殖を防止するため、防汚塗料が使用される。当該塗料は、一般に、膜形成バインダーを、顔料、充填剤、溶媒、および生物活性物質などの種々の成分と共に含む。
2003年まで市販の最も効果的な防汚塗料系は、トリブチルスズ(TBT)自己研磨型コポリマー系であった。当該防汚塗料のバインダー系は、トリブチルスズペンダント基を有するアクリルコポリマーであった。海水中では、当該ポリマーは、徐々に加水分解して、効果的な生物活性化合物であるトリブチルスズを放出した。カルボン酸基を含むようになった残存するアクリルコポリマーは、塗面から流失するかまたは侵食されて無くなるように、海水に対して十分に可溶性または分散性となった。この自己研磨効果は、塗料中の生物活性化合物を制御放出させ、優れた防汚効率および平滑な表面、したがって、摩擦抵抗の減少をもたらした。
2001年のIMOの協定である「船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約("International Convention on the Control of Harmful Antifouling Systems on Ships)」は、有機スズを含有する新たな防汚塗料を塗布することを2003年から禁止し、船体には有機スズを含有する防汚塗料を2008年から禁止すると記載している。
近年、有機スズ禁止の結果として、新規な防汚塗料系が開発されそして導入されている。今日市販されている殺菌性防汚塗料の1つの広範な群は、トリ有機スズ自己研磨型コポリマー塗料を模倣した、自己研磨型防汚塗料である。当該防汚塗料は、殺菌特性のない加水分解性ペンダント基を有するコポリマーに基づいている。加水分解機構は、トリ有機スズ含有コポリマーと同じである。これは、ポリマーの制御溶解および、これにより、塗膜からの防汚化合物の制御放出をもたらすはずであり、トリ有機スズ含有防汚塗料系と同様の性能にもたらす。WO84/02915(特許文献1)は、トリ有機スズ基に代わるものとして様々な加水分解性基を開示しており、中でもトリ有機シリル基が開示されている。
トリ有機シリルコポリマーは、トリ有機スズコポリマー技術に関連する特性の多くを有しているが、しばらく海水中に曝された後に起こる、加水分解が遅すぎるかまたは制御可能ではない結果としての不十分な浸食特性、溶脱層(すなわち、膜からの可溶性成分の浸出後の残り)の形成、亀裂、密着性の喪失、めくれやはがれなどの特定の欠点を有することも経験上示されている。
これを解決する手法としては、防汚塗料組成物に様々な他のバインダーや可塑剤を含めることによって防汚塗料組成物を変性することであった。例えば、EP0775733(特許文献2)は、シリルエステルコポリマーおよび塩素化パラフィンを含む防汚塗料組成物を記載し、EP0802243(特許文献3)は、ロジン化合物およびシリルエステルコポリマーを含む防汚塗料組成物を記載し、EP1127925(特許文献4)は、シリルエステルコポリマーと、ラクタムまたはアミド基を含む親水性コポリマーとを含む防汚組成物を記載し、EP1277816(特許文献5)は、シリルエステルコポリマーと、カルボン酸金属塩基含有ポリマーとを含む防汚塗料組成物を記載し、WO03/070832(特許文献6)は、シリルエステルコポリマーおよび非相溶性バインダーを含む防汚塗料組成物を記載している。
別の手法としては、塗膜を強化するために繊維を含むこと、特に、WO00/77102(特許文献7)に記載のように溶脱層を含むことであった。
この問題を解決するための第三の手法は、様々なコモノマーを含むことによるか、またはポリマー構造を改変することにより、シリルエステルコポリマーを変性することであった。例えば、EP0646630(特許文献8)は、シリルエステル基ならびにアルコキシポリエチレン基およびアリールオキシポリエチレン基を含むシリルエステルコポリマーを記載し、EP1016681(特許文献9)は、シリルエステル基と、ヒドロキシ(シクロ)アルキル基、ヒドロキシポリアルキレン基、または特定の(メタ)アクリルアミドとを含むシリルエステルコポリマーを記載し、EP1127902(特許文献10)は、シリルエステル基と、ラクタムまたはアミド基とを含むシリルエステルコポリマーを記載し、EP1323745(特許文献11)は、シリルエステル基およびカルボン酸金属塩基を含むシリルエステルコポリマーを記載し、EP1201700(特許文献12)は、(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステルコポリマーを記載し、WO03/080747(特許文献13)は、加水分解性シリルエステル基と重合性ビニル基との間にアルキレンカルボン酸スペーサー単位を含むシリルエステルモノマーを含む、シリルエステルコポリマーを記載し、NO20073499(特許文献14)は、分岐シリルエステルコポリマーを記載している。
国際公開第84/02915号明細書 欧州特許出願公開第0775733号明細書 欧州特許出願公開第0802243号明細書 欧州特許出願公開第1127925号明細書 欧州特許出願公開第1277816号明細書 国際公開第03/070832号明細書 国際公開第00/77102号明細書 欧州特許出願公開第0646630号明細書 欧州特許出願公開第1016681号明細書 欧州特許出願公開第1127902号明細書 欧州特許出願公開第1323745号明細書 欧州特許出願公開第1201700号明細書 国際公開第03/080747号明細書 ノルウェー特許第20073499号明細書
提案された手法のいくつかのものは、塗料安定性、浸食特性、および/または塗膜特性が原因でうまくいかなかった。したがって、シリルエステルコポリマーや、シリルエステルコポリマーを含む防汚塗料組成物には、いまだに、さらなる改善の余地がある。
本発明の目的は、防汚塗料組成物用のバインダーとして有用な、改良されたシリルエステルコポリマーを提供することである。この新規なシリルエステルコポリマーの使用によって、向上した柔軟性および耐亀裂性、耐剥離性、減少した溶脱層、制御された自己研磨特性、および優れた防汚性能などの、向上した物理的特性を有する防汚塗膜が得られる。
別の目的は、シリルエステルコポリマーの加水分解速度および柔軟性の調節方法を提供することである。
我々は、シリルエステルコポリマーにおける1種以上のラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルモノマーの使用が、シリルエステルコポリマーの特性を向上させることを見出した。さらに、当該コポリマーのモノマーは、シリルエステルコポリマーの加水分解速度を制御するために使用することができる。ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとシリルエステルコポリマーとの組み合わせが従来技術において記載されていることは見つかっていない。この組み合わせは、シリルエステルコポリマー技術に伴う問題の多くを解決することが示された。
[発明の概要]
したがって、1つの態様によれば、本発明は、モノマーA、モノマーB、および任意でモノマーCの繰り返し単位を含むシリルエステルコポリマーを提供し、Aは、重合性エチレン性不飽和カルボン酸のトリオルガノシリルエステルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーであり、Bは、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーであり、Cは、重合性エチレン性不飽和化合物からなる群から選ばれる1種以上のモノマーである。
別の態様によれば、本発明は、上に記載のシリルエステルコポリマーを含む防汚塗料を提供する。
別の態様によれば、本発明は、船舶表面の汚損の防止方法を提供し、この方法は、当該表面に上に規定の防汚塗料組成物を塗布することを含む。
別の態様によれば、本発明は、防汚塗料における、または船舶表面の汚損を防止するための、上に規定のシリルエステルコポリマーの使用を提供する。
本明細書では、(メタ)アクリル酸なる語は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を同等に意味し、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルは、1単位以上の開環ラクトン化合物と反応した(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを意味する。
本発明の防汚塗料組成物における当該シリルエステルコポリマーの使用には、いくつかの利点がある。本発明のシリルエステルコポリマーによって、向上した柔軟性を有する防汚塗料の形成が可能になり、したがって、この防汚塗料は、亀裂する傾向がより低い。
制御された加水分解は、自己研磨特性を向上させ、溶脱層の減少に寄与することになる。これは、殺生物剤の制御放出および、これにより、優れた防汚性能を提供することになる。制御された自己研磨特性および優れた防汚性能にはいずれも、いくつかの環境上の利点がある。制御された自己研磨特性および優れた防汚性能は、平滑な塗装表面を有する清浄な船体をもたらすことになる。これらは、船の摩擦抵抗を減少させる際の重要な要素である。摩擦抵抗の減少は、バンカー燃料の消費の減少、これにより、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、および二酸化炭素(CO2)の空気中への放出の減少に寄与することになる。清浄な船体はまた、侵入生物種の拡大を防止することになる。
ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの使用は、シリルエステルモノマーの含有量を減少させることを可能にし、なおかつ柔軟性、溶液粘度、および加水分解速度などのコポリマー特性を維持することを可能にする。シリルエステルモノマーは、シリルエステルコポリマーにおける最も高価な成分であり、シリルエステルモノマー含有量の減少は、防汚塗料組成物のコストを削減することになる。
本発明は、重合性エチレン性不飽和カルボン酸のトリオルガノシリルエステルからなる群から選ばれるモノマー(A)に対応する1つ以上の単位と、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルからなる群から選ばれるモノマー(B)に対応する1つ以上の単位と、任意で、重合性エチレン性不飽和化合物からなる群から選ばれるモノマー(C)に対応する1つ以上の他の単位とを含む、防汚塗料組成物においてバインダーとして有用な、シリルエステルコポリマーに関する。
本発明におけるモノマー(A)は、好ましくは一般式(I)で表される。
Figure 0005373070
式中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC1-20アルキル基、C3-20シクロアルキル基、およびC6-20アリール基からなる群から選ばれ、
Xは、エチレン性不飽和エステル基、好ましくはエチレン性不飽和アシルオキシ基である。
Xの例としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、(メタクリロイルオキシ)アルキルカルボキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基、およびシトラコノイルオキシ基が挙げられる。
1、R2、およびR3により表されるアリール基としては、置換および非置換のフェニル、ベンジル、フェンアルキル(phenalkyl)、およびナフチルが挙げられる。なお、C6-20アリールなる語は、例えば、ベンジルまたはフェナルキルを形成するように、アリール単位と任意で他の炭素原子とを含む基を包含すると理解される。
好ましくは、R1、R2、およびR3は、それぞれ、C1-6アルキルまたはC6-10アリールである。
好ましくは、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、およびフェニルから選ばれる。
より好ましくは、Xは、アクリロイルオキシおよびメタクリロイルオキシから選ばれる。
1、R2、およびR3がすべて同じである場合も好ましい。
本発明におけるモノマー(B)は、好ましくは一般式(II)で表される。
Figure 0005373070
式中、R4は、水素およびメチルからなる群から選ばれ、
5は、直鎖、分岐、または環状のC1-10アルキレン基からなる群から選ばれ、
6は、直鎖または分岐のC2-12アルキレン基からなる群から選ばれ、
7は、水素、直鎖または分岐のC1-20アルキル基、C3-20シクロアルキル基、およびC6-20アリール基、ならびに−C(O)−R8からなる群から選ばれ、
8は、直鎖または分岐のC1-20アルキル基、C3-20シクロアルキル基、およびC6-20アリール基からなる群から選ばれ、
nは、1〜12の整数である。
好ましくは、R6は、直鎖C3-5アルキレンである。好ましくは、R7は、水素である。R5は、好ましくは、C2-4直鎖アルキレンである。下付き文字nは、好ましくは、1〜5までの整数である。好ましくは、モノマーBは、2つ以上のこれら好ましい特徴を有する。
なお、モノマーBは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位と反応したラクトン単位の数が異なるモノマーの分布を含んでもよいと考えられる。したがって、nの値は、当該モノマーの平均値を表す場合がある。
本発明のシリルエステルコポリマーは、好ましくは一般式(I)で示されるような、シリルエステル官能基を有する1種以上のモノマー(A)を含む。好ましくは、モノマー(A)は、モノマー混合物全体の1〜99モル%、より好ましくは10〜60モル%、最も好ましくは15〜40モル%の量で存在するのがよい。上に記載のように、モノマーAが、コポリマー中で最も高価なモノマーであるので、モノマーAの含有量を最小限にすることが本発明の目的である。
本発明のシリルエステルコポリマーは、好ましくは一般式(II)で示されるような、ラクトン官能基を有する1種以上のモノマー(B)を含む。好ましくは、モノマー(B)は、モノマー混合物全体の0.1〜50モル%、より好ましくは0.5〜20モル%、最も好ましくは1〜10モル%の量で存在する。モノマー(B)の含有量を増加させることがより迅速な研磨を促進するので、加水分解の制御はモノマー含有量の制御によって達成できることが見出された。
なお、モノマー(B)は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとラクトンとの反応により、開環(すなわち、ラクトン修飾)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを形成することにより最も容易に作成される。しかしながら、本発明には、どのように製造されたモノマーBであっても包含される。モノマーBが開環ラクトン反応に由来可能である限り、このようなモノマーは、他の化学作用がモノマーの合成に用いられた可能性があっても、本発明の範囲に含まれる。
モノマー混合物全体の残部は、1種以上のモノマー(C)によって満たされ得る。
一般式(I)で表されるシリルエステル官能基を含むモノマー(A)の例としては、以下のものが挙げられる。
アクリル酸およびメタクリル酸のシリルエステルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸トリエチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−プロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−tert−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−sec−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ペンチルシリル、(メタ)アクリル酸トリイソペンチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ヘキシルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−オクチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ドデシルシリル、(メタ)アクリル酸トリフェニルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−(p−メチルフェニル)シリル、(メタ)アクリル酸トリベンジルシリル、(メタ)アクリル酸エチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−プロピルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソプロピルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−ブチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソブチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−ペンチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸ネオヘキシルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−オクチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−デシルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸ドデシルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸フェニルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸ベンジルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸フェネチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸(3−フェニルプロピル)ジメチルシリル、(メタ)アクリル酸p−トリルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソプロピルジエチルシリル、(メタ)アクリル酸n−ブチルジイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸n−オクチルジイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸メチルジ−n−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸メチルジシクロヘキシルシリル、(メタ)アクリル酸メチルジフェニルシリル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルジフェニルシリル、
マレイン酸のシリルエステルモノマー、例えば、マレイン酸トリエチルシリルエチル、マレイン酸トリ−n−プロピルシリルn−プロピル、マレイン酸トリイソプロピルシリルメチル、マレイン酸トリ−n−ブチルシリルn−ブチル、およびマレイン酸トリ−n−ヘキシルシリルn−ヘキシル、
フマル酸のシリルエステルモノマー、例えば、フマル酸トリエチルシリルエチル、フマル酸トリ−n−プロピルシリルn−プロピル、フマル酸トリイソプロピルシリルメチル、フマル酸トリ−n−ブチルシリルn−ブチル、およびフマル酸トリ−n−ヘキシルシリルn−ヘキシル、
(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルのシリルエステルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸トリエチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−n−プロピルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ブチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−tert−ブチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−sec−ブチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ペンチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソペンチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ヘキシルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−n−オクチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ドデシルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリフェニルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリ−(p−メチルフェニル)シロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸トリベンジルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸エチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−プロピルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸イソプロピルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸イソブチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸ネオヘキシルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−オクチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−デシルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸ドデシルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸フェニルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸ベンジルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸フェネチルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸(3−フェニルプロピル)ジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸p−トリルジメチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸イソプロピルジエチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルジイソプロピルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸n−オクチルジイソプロピルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸メチルジ−n−ブチルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸メチルジシクロヘキシルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸メチルジフェニルシロキシカルボニルメチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルジフェニルシロキシカルボニルメチル、ならびにWO03/080747に記載の他のもの。
好ましいモノマー(A)は、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ブチルシリル、および(メタ)アクリル酸トリイソブチルシリルである。
一般式(II)で表されるラクトン官能基を含むモノマー(B)の例としては、以下のものが挙げられる。
ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば、US3,655,631、US4,683,287、US4,916,254、およびJP2000−16967に記載のもの、
ならびに、市販のカプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、例えば、ダイセル化学工業株式会社によるプラクセルFMシリーズおよびプラクセルFAシリーズ、サルトマー(Sartomer)社によるSR495B、およびコグニス(Cognis)社によるBisomer Pemcure 12A。
好ましいモノマー(B)は、ブチロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(一般式IIを参照のこと;R6はC3であり、R7は水素である)、バレロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(一般式IIを参照のこと;R6はC4であり、R7は水素である)、および、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(一般式IIを参照のこと;R6はC5であり、R7は水素である)。
より好ましいモノマー(B)は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位が2〜4個の炭素原子を有する直鎖ジオールに由来する、モノマーである(一般式IIを参照のこと;R5はC2-4である)。
さらに好ましいモノマー(B)は、平均分子量が210〜1500のモノマーである(一般式IIを参照のこと;nは、1〜12までの整数である)。
最も好ましいモノマー(B)は、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルである(R5はC2であり、R6はC5であり、R7は水素である)。
モノマー(C)は、フリーラジカル機構により重合することができる任意のモノマーを含んでもよい。
モノマー(C)の例としては、以下のものが挙げられる。
アクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、
アクリル酸およびメタクリル酸の環状アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、
アクリル酸およびメタクリル酸のアリールエステル、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、
アクリル酸およびメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エチレングリコール)、(メタ)アクリル酸ポリ(プロピレングリコール)、
アクリル酸およびメタクリル酸のアルコキシアルキルエステルおよびポリ(アルコキシ)アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルジグリコール、(メタ)アクリル酸エチルトリグリコール、(メタ)アクリル酸ブチルジグリコール、(メタ)アクリル酸ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、
アクリル酸およびメタクリル酸のモノアルキルアミノアルキルエステルおよびジアルキルアミノアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジエチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、
アクリル酸およびメタクリル酸のアミド、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
アクリル酸およびメタクリル酸の金属塩ならびに、例えば、EP1323745に記載の、他の金属官能性モノマー、
アクリル酸およびメタクリル酸の他の官能性モノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸(2−アセトアセトキシ)エチル、ならびにWO96/41842およびUS4593055に記載のモノマー、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびシトラコン酸のエステル、例えば、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸ヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、無水マレイン酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、
マレイミドおよびN−置換マレイミド、例えば、マレイミド、N−フェニルマレイミド、ならびにWO96/41841に記載の他のもの、
ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル、ピバル酸ビニル、ドデカン酸ビニル、安息香酸ビニル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル、VeoVa(登録商標)9、VeoVa(登録商標)10、
N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、例えば、N−ビニルピロリドン、ならびにEP1127902に記載の他のラクタムおよびアミド官能性モノマー、
他のビニルモノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、およびp−クロロスチレン、
二官能性モノマー、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,5−ペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,10−デカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,12−ドデカンジオールジ、ジ(メタ)アクリル酸1,4−シクロヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ジ(エチレングリコール)、ジ(メタ)アクリル酸トリ(エチレングリコール)、ジ(メタ)アクリル酸テトラ(エチレングリコール)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(エチレングリコール)、ジ(メタ)アクリル酸ジ(プロピレングリコール)、ジ(メタ)アクリル酸トリ(プロピレングリコール)、ジ(メタ)アクリル酸トリ(プロピレングリコール)エトキシレート、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコールプロポキシレート、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオールエトキシレート、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオールプロポキシレート、ジ(メタ)アクリル酸グリセロール、ジ(メタ)アクリル酸モノステアリン酸ペンタエリトリトール、ジ(メタ)アクリル酸ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ビスフェノールAエトキシレート、ジ(メタ)アクリル酸ビスフェノールAプロポキシレート、ジ(メタ)アクリル酸1,4−フェニレン、メタクリル酸3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ジ(プロピレングリコール)アリルエーテル、メタクリル酸無水物、クロトン酸無水物、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジ(メタ)アクリル酸ジウレタン、リン酸ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)、ジ(メタ)アクリル酸バリウム、ジ(メタ)アクリル酸銅(II)、ジ(メタ)アクリル酸マグネシウム、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、およびポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、
三官能性モノマー、例えば、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンエトキシレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンプロポキシレート、およびトリ(メタ)アクリル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
ならびに多官能性モノマー、例えば、テトラ(メタ)アクリル酸ジ(トリメチロールプロパン)、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリトリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリトリトールエトキシレート、ペンタ(メタ)アクリル酸ジペンタエリトリトール、およびヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリトリトール。
1つの実施形態では、本発明のシリルエステルコポリマーは、溶液重合、バルク重合、乳化重合、および懸濁重合などの当技術分野において周知であり広く用いられている種々の方法のいずれかを用いて、フリーラジカル重合開始剤またはフリーラジカル重合触媒の存在下で、モノマー(A)とモノマー(B)と任意のモノマー(C)との混合物を重合させることにより調製される。モノマーの混合物は、ランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーを製造するために使用されてもよい。
別の実施形態では、本発明のシリルエステルコポリマーは、高分子類似反応(polymer analogous reaction)、すなわち1つ以上のラクトン化合物によるヒドロキシル官能性シリルエステルコポリマーの変性により調製され、モノマー(A)に対応する1つ以上の単位、モノマー(B)に対応する1つ以上の単位、および任意であるモノマー(C)に対応する1つ以上の別の単位を含むコポリマーが得られる。
好ましくは、本発明のシリルエステルコポリマーは、任意で促進開始剤(boost initiator)を加え、従来のラジカル重合により調製される。促進開始剤の添加は、重合の転化率を上昇させ、これにより未反応モノマーの量を減少させ得る。促進開始剤は、重合に用いられる開始剤と同一であっても異なってもよい。促進開始剤は、重合開始剤と同じ開始剤の群から選ばれる。
フリーラジカル重合開始剤の例としては、アゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、および1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン);過酸化物、例えば、ペルオキシピバル酸tert−ブチル、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、ペルオキシジエチル酢酸tert−ブチル、ペルオキシイソブチル酸tert−ブチル、ペルオキシピバル酸tert−アミル、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−アミル、1,1−ジ(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、および過酸化ジベンゾイル;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
好ましい開始剤は、アゾ開始剤および過酸化tert−アミルである。
ポリマーから溶媒性塗料組成物を調製する際には、塗料の製造に関して都合のよい粘度を有するポリマー溶液を得るために、有機溶媒でポリマーを希釈することが有利である。このために、溶液重合法またはバルク重合法を用いることも望ましい。
好ましくは、重合は、シリルエステルコポリマーが可溶であり、防汚塗料組成物での使用に適した溶媒または溶媒混合物中で行われる。この場合は、ポリマーを単離する工程は省かれる。これは、ポリマー溶液中で未反応のモノマーを無くすため、重合プロセスにおいて高い転化率(好ましくは99%より高い)が必要となる。未反応モノマーの含有量は、モノマーへの曝露に関連する健康に対する懸念や安全性に対する懸念のために、できるだけ低く、好ましくは1%未満であるのがよい。変換率は、促進開始剤を加えること、重合後の期間に反応器温度を上昇させること、またはこれらを組み合わせることによって増大させることができる。
製造後のポリマーを単離するプロセスを省くことによって、シリルエステルコポリマーおよびシリルエステルコポリマーを含む防汚塗料組成物の製造に用いる溶媒の総量が減少される。これは、環境面の利点があり、また製造コストを削減させる。
本発明のシリルエステルコポリマーは、防汚塗料組成物の成分として使用することができる。
本発明の防汚塗料組成物は、シリルエステルコポリマーおよび1種以上の他の成分を含む。好ましくは、本発明の防汚塗料組成物は、シリルエステルコポリマーおよび1種以上の生物活性物質を含む。さらに、防汚塗料組成物は、他のバインダー、顔料、増量剤および充填剤、脱水剤および乾燥剤、添加剤および溶媒から選ばれる1種以上の成分を任意に含んでもよい。
生物活性化合物は、海洋生物の付着および成長を防止する任意の化合物である。
無機生物活性化合物の例としては、銅および銅化合物、例えば、酸化銅(I)、酸化銅(II)などの銅酸化物;例えば、銅・ニッケル合金などの銅合金;例えば、チオシアン酸銅、硫化銅などの銅塩;およびメタホウ酸バリウムなどが挙げられる。
有機金属生物活性化合物の例としては、亜鉛ピリチオン;有機銅化合物、例えば、銅ピリチオン、酢酸銅、ナフテン酸銅、オキシン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、ビス(エチレンジアミン)ビス(ドデシルベンゼンスルホン酸)銅、およびビス(ペンタクロロフェノラート)銅;ジチオカルバミン酸化合物、例えば、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)マンガン、および亜鉛塩で錯形成したエチレンビス(ジチオカルバミン酸)マンガンが挙げられる。
有機生物活性化合物の例としては、ヘテロ環式化合物、例えば、2−(tert−ブチルアミノ)−4−(シクロプロピルアミノ)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアナトメチルチオ)−1,3−ベンゾチアゾール、および2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン;尿素誘導体、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素;カルボン酸、スルホン酸、およびスルフェン酸のアミドおよびイミド、例えば、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)フタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド、およびN−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド;他の有機化合物、例えば、ピリジントリフェニルボラン、アミントリフェニルボラン、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、およびp−((ジヨードメチル)スルホニル)トルエンが挙げられる。
他の例としては、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウムおよびグアニジン誘導体、イミダゾール含有化合物、例えば、メデトミジンおよび誘導体、ならびに酵素、例えば、オキシダーゼ、タンパク質分解活性酵素、ヘミセルロース分解活性酵素、セルロース分解活性酵素、脂肪分解活性酵素、およびデンプン分解活性酵素を挙げることができる。
場合によっては、生物活性化合物は、制御放出のために、封止されても、不活性担体上に吸着されても、他の物質に結合されてもよい。
生物活性化合物は、単独でまたは混合物として使用してもよい。
シリルエステルコポリマーおよび生物活性化合物に加えて、本発明による防汚塗料組成物は、他のバインダー、顔料、増量剤および充填剤、脱水剤および乾燥剤、添加剤、溶媒および希釈剤から選ばれる1種以上の成分を任意に含んでもよい。
追加のバインダーは、防汚塗膜の自己研磨特性および機械的特性を調節するために使用することができる。
シリルエステルコポリマーに加えて、本発明による防汚塗料組成物で使用することができるバインダーの例としては、以下のものが挙げられる。
ロジン材料、例えば、ウッドロジン、トール油ロジン、およびガムロジン;ロジン誘導体、例えば、水素化ロジン、部分的に水素化されたロジン、不均化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、およびロジンや水素化ロジンの他のエステル、樹脂酸銅、樹脂酸亜鉛、樹脂酸カルシウム、樹脂酸マグネシウム、およびロジンや重合ロジンの他の樹脂酸金属塩、ならびにWO97/44401に記載の他のもの、
樹脂酸およびその誘導体、例えば、コーパル樹脂およびサンダラック(sandarach)樹脂、
他のカルボン酸含有化合物、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸、ピマル酸、パラマトリン酸(paramatrinic acid)、イソプリマル酸(isoprimaric acid)、レボプリマル酸(levoprimaric acid)、アガテンジカルボン酸(agathenedicarboxylic acid)、サンダラコピマル酸(sandaracopimalic acid)、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソノナン酸、バーサチック酸、ナフテン酸、トール油脂肪酸、ココナッツ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、およびこれらの誘導体、
1価の有機残基に結合した二価金属で酸性基がブロックされた酸官能性ポリマー、例えば、EP0204456およびEP0342276に記載のもの;または、ヒドロキシル残基に結合した二価金属で酸性基がブロックされた酸官能性ポリマー、例えば、GB2311070およびEP0982324に記載のもの;または、アミンで酸性基がブロックされた酸官能性ポリマー、例えば、EP0529693に記載のもの、
親水性コポリマー、例えば、GB2152947に記載の(メタ)アクリル酸コポリマー、ならびにEP0526441に記載のポリ(N−ビニルピロリドン)コポリマーおよび他のコポリマー、
(メタ)アクリルポリマーおよび(メタ)アクリルコポリマー、例えば、ポリ(アクリル酸n−ブチル)、ポリ(アクリル酸n−ブチル−コ−イソブチルビニルエーテル)、
ビニルエーテルポリマーおよびビニルエーテルコポリマー、例えば、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチルビニルエーテル)、ポリ(イソブチルビニルエーテル)、ポリ(塩化ビニル−コ−イソブチルビニルエーテル)、
ポリエステル、例えば、EP1033392およびEP1072625に記載のもの、
アルキド樹脂および変性アルキド樹脂、
WO96/14362に記載の他の縮合ポリマー。
好ましくは、他のバインダーは、ロジン物質である。
シリルエステルコポリマーは、水の存在下で加水分解を受けやすい。脱水剤および乾燥剤は、顔料および溶媒などの原料から取り込まれる水分または防汚塗料組成物中のカルボン酸化合物と二価および三価の金属化合物との間の反応により形成される水を除去することによって、防汚塗料組成物の保存安定性に寄与している。本発明による防汚塗料組成物に使用してもよい脱水剤および乾燥剤としては、有機化合物および無機化合物が挙げられる。脱水剤および乾燥剤の例としては、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウム、分子篩、およびゼオライト;オルトエステル、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリイソプロピル、オルトギ酸トリブチル、オルト酢酸トリメチル、およびオルト酢酸トリエチル;ケタール;アセタール;エノールエーテル;オルトホウ酸エステル、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、およびホウ酸トリ−tert−ブチル;ケイ酸エステル、例えば、トリメトキシメチルシラン、ケイ酸テトラエチル、および多ケイ酸エチル;ならびにイソシアン酸、例えば、イソシアン酸p−トルエンスルホニルが挙げられる。
好ましい脱水剤および乾燥剤は無機化合物およびケイ酸エステルである。
顔料の例としては、無機顔料、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、グラファイト、およびカーボンブラック;ならびに有機顔料、例えば、フタロシアニン化合物およびアゾ顔料が挙げられる。
増量剤及び充填剤の例としては、鉱物、例えば、ドロマイト、プラストライト、方解石、石英、重晶石、マグネサイト、霰石、シリカ、珪灰石、タルク、縁泥石、雲母、カオリン、および長石;合成無機化合物、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、およびシリカ;ポリマーミクロスフィアおよび無機ミクロスフィア、例えば、コーティングされていないかまたはコーティングされた中空および固形ガラスビーズ、コーティングされていないかまたはコーティングされた中空および固形セラミックビーズ、ポリマー材料(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸メチル−コ−ジメタクリル酸エチレングリコール)、ポリ(スチレン−コ−ジメタクリル酸エチレングリコール)、ポリ(スチレン−コ−ジビニルベンゼン)、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル))からなる多孔性および圧密ビーズが挙げられる。
防汚塗料組成物に加えることができる添加剤の例としては、補強剤、チキソトロープ剤、増粘剤、沈降防止剤、可塑剤、および溶媒が挙げられる。
補強剤の例としては、フレークおよび繊維が挙げられる。繊維としては、天然無機繊維および合成無機繊維、例えば、ケイ素含有繊維、炭素繊維、酸化物繊維、カーバイド繊維、窒化物繊維、硫化物繊維、リン酸繊維、鉱物繊維;金属繊維;天然有機繊維および合成有機繊維、例えば、セルロース繊維、ゴム繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド、ポリエステル繊維、ポリヒドラジド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエチレン繊維、およびWO00/77102に記載の他のものが挙げられる。好ましくは、繊維は、平均長が25〜2000μmで平均厚さが1〜50μmであり、平均長と平均厚さとの比が少なくとも5である。
チキソトロープ剤、増粘剤、および沈降防止剤の例としては、シリカ、例えば、ヒュームドシリカ;有機変性粘土、アミド誘導体、アミドワックス、ポリアミドワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、水添ひまし油ワックス、エチルセルロース、ステアリン酸アルミニウム、およびこれらの混合物などが挙げられる。
可塑剤の例としては、塩化パラフィン、フタレート、リン酸エステル、スルホンアミド、アジペート、およびエポキシ化植物油が挙げられる。
有機溶媒および希釈剤の例としては、芳香族炭化水素、例えば、キシレン、トルエン、メシチレン;ケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン;エステル、例えば、酢酸ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸エチレングリコールメチルエーテル;エーテル、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン;アルコール、例えば、n−ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール;エーテルアルコール、例えば、ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール;脂肪族炭化水素、例えば、ホワイトスピリット;ならびに、場合によって、2種以上の溶媒および希釈剤の混合物が挙げられる。
あるいは、塗料は、塗料組成物中の薄膜形成成分用の有機非溶媒、または水性分散液に分散させることができる。
塗料組成物中の揮発性有機化合物(VOC)の含有量は、多くの国で法律により規制されている。例えば、アメリカ合衆国の「造船および船舶修繕(表面塗装)作業のための有害大気汚染物質国家排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants for Shipbuilding and Ship Repair (Surface Coating) Operations)」は、防汚塗料中の揮発性有機化合物(VOC)の最大許容量を設定している。管理された施設における防汚塗料に関する現行のVOCの許容量は、400g/Lである。
防汚塗料組成物中のVOC含有量を減少させる様々な方法がある。重要な要素は、固形分を増やす時に、シリルエステルコポリマー溶液の溶液粘度を低く維持することである。コポリマーの溶液粘度は、ポリマー平均分子量を調節することによりかつ/または多分散性を調節することにより、ポリマー構造を変更することにより、または非水性分散液を調製することにより、容易に調節することができる。溶媒または溶媒混合物も、ある程度までコポリマー溶液の粘度を調節するために使用してもよい。
線状ポリマーの溶液粘度を減少させるための一般的な手法は、ポリマーの分子量を減少させかつ/またはポリマーの多分散性を減少させることである。重合温度、開始剤効率、開始剤の量、および連鎖移動剤の添加は、コポリマーの分子量に影響を及ぼす重要な要素である。
連鎖移動剤は、分子量を減少させるために一般に使用される。連鎖移動剤の例としては、NO20073499に記載の単官能性チオール化合物および多官能性チオール化合物や他の化合物が挙げられる。多官能性連鎖移動剤の使用によって、WO96/03465に記載のように、ポリマー中に低度の長鎖分岐がさらに導入されることになる。
別の手法は、ポリマー構造を変更することである。ポリマー構造がポリマー物性に影響を及ぼすことは周知である。ポリマー中の分岐は、ポリマーブレンドにおけるガラス転移温度(Tg)、柔軟性、溶液粘度、および混和性などのポリマー物性を改変するために有利に用いることができる有用な構造変数である。NO20073499は、1つの重合単位を含むモノマーと、2つ以上の重合単位を含むモノマーと、連鎖移動剤とを組み合わせることにより得られる分岐鎖シリルエステルコポリマーを記載している。WO96/03465は、多官能性連鎖移動剤または多官能性開始剤を使用することにより得られる星形重合体を記載している。
溶液粘度を減少させるための3つ目の手法は、非水性分散液(NAD)を使用することである。WO03/027194およびWO2005/042649は、非水性分散液の調製および安定化ならびに当該分散液の防汚塗料組成物における使用を記載している。
水性塗料組成物も、防汚塗料組成物のVOC含有量を減少させる手法である。水性シリルエステルコポリマー溶液を調製するための好ましい方法は、溶媒性シリルエステルコポリマー溶液を水中で乳化し、溶媒を除去することである。
防汚塗料組成物のVOC含有量を減少させるための上記手法はいずれも、本発明のシリルエステルコポリマーに適用することができる。
塗料配合物のVOC含有量を減少させるための周知の手法は、ガラスミクロスフェアなど球状増量剤の使用である。この手法や、塗料組成物中のVOCを減少させるための周知かつ広く使用される他の手法を本発明の防汚塗料組成物に適用することができる。
本発明をここで非限定的な実施例を参照して説明する。
[コポリマー溶液]
[後加熱を用いたコポリマー溶液の一般調製手順]
撹拌機、冷却器、窒素注入口、及び供給口を装備した温度制御反応容器に多量の溶媒を入れる。反応容器を加熱し、85℃の反応温度で維持する。モノマーと、場合によっては連鎖移動剤と、開始剤と、溶媒とのプリミックスを調製する。窒素雰囲気下で、プリミックスを一定速度で2時間かけて反応容器に入れる。さらに1時間後、後添加の促進開始剤を加える。反応容器をさらに2時間85℃の反応温度で維持する。次いで温度を120℃まで上げ、この温度でさらに30分間維持し、次いで室温まで冷却する。
この手順にしたがって、コポリマー溶液S1〜S8を調製する。
[コポリマー溶液の一般調製手順]
撹拌機、冷却器、窒素注入口、及び供給口を装備した温度制御反応容器に多量の溶媒を入れる。反応容器を加熱し、85℃の反応温度で維持する。モノマーと、場合によっては連鎖移動剤と、開始剤と、溶媒とのプリミックスを調製する。窒素雰囲気下で、プリミックスを一定速度で2時間かけて反応容器に入れる。さらに1時間後、後添加の促進開始剤を加える。反応容器をさらに2時間85℃の反応温度で維持し、次いで室温まで冷却する。
この手順にしたがって、コポリマー溶液組成物2を調製する。
[ポリマー粘度の測定]
ポリマーの粘度を、ASTM D2196に従って、LV−2またはLV−4スピンドルを備えたブルックフィールドDV-I粘度計を用いて12rpmで測定する。測定前にポリマーを23.0℃±0.5℃まで温める。
[ポリマー溶液の固形分の測定]
ISO3251に従って、ポリマー溶液中の固形分を測定する。検査試料を0.6g±0.1g取り出し、送風乾燥機中で30分間150℃で乾燥する。残留物の重量は、不揮発物(NVM)であると考えられる。不揮発物の含有量は、重量パーセントで表す。示した値は、3つの同等物の平均値である。
[ポリマー平均分子量分布の測定]
ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により特性評価される。分子量分布(MWD)は、ポリマーラボラトリーズ社からの直列に繋いだ2本のPLゲル5μmMixed−Dカラム、周囲温度および1mL/分の一定流速における溶離液としてのテトラヒドロフラン(THF)、屈折率(RI)検出器を使用したポリマーラボラトリーズPL−GPC50器具を使用して測定した。カラムは、ポリマーラボラトリーズ社からのポリスチレン標準物Easivials PS−Hを用いて較正した。データは、ポリマーラボラトリーズ社からのCirrusソフトウェアを用いて処理した。
試料は、乾燥ポリマー25mgに対応する量のポリマー溶液をTHF5mLに溶解することにより調製した。試料は、室温で最低3時間維持した後、GPC測定のためにサンプリングした。
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびMw/Mnとして示される多分散性指数(PDI)を表に示す。
[ガラス転移温度の測定]
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)によって得られる。DSC測定は、TAインスツルメント社のDSC Q200上で行った。試料は、アルミニウムパンに少量のポリマー溶液を移し、50℃で最低10時間および150℃で3時間試料を乾燥させることにより調製した。乾燥ポリマー材料約10mgの試料を、開いたアルミニウムパン中で測定し、空のパンを対照として10℃/分の加熱速度および5℃/分の冷却速度で走査を記録した。データは、TAインスツルメント社からのUniversal Analysisソフトウェアを用いて処理した。
2回目の加熱のガラス転移域の変曲点(ASTM E1356−08で規定)をポリマーのTgとして示す。
次の略語を、表1〜表3で使用する。
TiPSA アクリル酸トリイソプロピルシリル
CLA−2 カプロラクトン変性アクリル酸ヒドロキシエチル(平均Mw344)
CLMA カプロラクトン変性メタクリル酸ヒドロキシエチル(平均Mw244)
CLMA−2 カプロラクトン変性メタクリル酸ヒドロキシエチル(平均Mw358)
CLMA−3 カプロラクトン変性メタクリル酸ヒドロキシエチル(平均Mw472)
MMA メタクリル酸メチル
n−BA アクリル酸n−ブチル
AMBN 2,2’−アゾジ(2−メチルブチロニトリル)
B3MP 3−メルカプトプロピオン酸ブチル
Figure 0005373070
表1の結果は、シリルエステルコポリマー組成物中のCLA−2の量を増加させることによってTg値が低下する、すなわち、ポリマーフィルムの柔軟性が高くなることを示す。
Figure 0005373070
表2の結果は、モノマー中のカプロラクトン単位数が増加するにつれて、ポリマーのTg値が減少する、すなわちポリマーフィルムの柔軟性が増加することを示す。
Figure 0005373070
[塗料組成物]
[防汚塗料組成物の一般調製手順]
原料を混合し、高速分散機を用いて<30μmの細かさまで粉砕する。粉砕工程において、高いせん断力や温度に弱い材料はすべて降下方式(let-down)で加える。塗料組成物の一般的な組成を表4に示す。
[防汚塗料組成物の粘度測定]
ASTM D4287に従って、コーンプレート粘度計を用いて防汚塗料組成物の高せん断粘度を測定する。
[防汚塗料組成物の揮発性有機化合物(VOC)含有量の算出]
ASTM D5201に従って、防汚塗料組成物の揮発性有機化合物(VOC)含有量を算出する。
[海水中における防汚塗膜の研磨速度の測定]
経時的な塗膜の膜厚の減少を測定して研磨速度を測定する。この試験のために、PVC製の円板を使用する。フィルムアプリケーターを用いて、塗料組成物を放射状のストライプとして円板に塗布する。乾燥した塗膜の厚みを適切な電子膜厚ゲージで測定する。PVC製の円板をシャフトに取り付け、海水が流れる容器内で回転させる。ろ過され、25℃±2℃に温度調節された自然海水を用いる。膜厚を測定するため、PVC製の円板を一定間隔で取り出す。円板をすすぎ、室温で一晩乾燥させた後、膜厚を測定する。
試験は、塗料の配合に応じて、12〜26週間行う。膜厚が直線的に減少することが観察される場合、研磨速度を計算し、結果をμm/月またはμm/年として示す。16ノットの回転速度に対応する円板の位置で得られた結果を報告する。
Figure 0005373070
使用したポリマー溶液の概説および塗料の特性を次の表に示す。
Figure 0005373070
表5の結果は、シリルエステルコポリマー溶液中のCLA−2の含有量が増加するにつれて、塗膜の研磨速度が著しく増加することを示す。シリルエステルモノマーを含まない比較例は、研磨の兆候を示さない。これは、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルは、アクリルコポリマー中に存在すると、塗膜自体の研磨を起こさないが、シリルエステルコポリマー中に存在すると、塗膜の研磨特性を向上させることを示す。
Figure 0005373070
表6の結果は、シリルエステルコポリマー中の様々なカプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルに関して適切な研磨速度を得ることができることを示す。市販の対照と同様の研磨速度も得ることができる。

Claims (18)

  1. シリルエステルコポリマー、有機溶媒および生物活性物質を含む防汚塗料組成物であり、
    前記シリルエステルコポリマーが、モノマーA、モノマーB、およびモノマーCの繰り返し単位を含み、
    Aは、重合性エチレン性不飽和カルボン酸のトリオルガノシリルエステルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーであり、
    Bは、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーであり、
    Cは、重合性エチレン性不飽和化合物からなる群から選ばれる1種以上のモノマーである、防汚塗料組成物
  2. モノマー(A)が、一般式(I)で表される、請求項1に記載の防汚塗料組成物
    Figure 0005373070
    (式中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC1-20アルキル基、C3-20シクロアルキル基、およびC6-20アリール基からなる群から選ばれ、
    Xは、エチレン性不飽和エステル基である。)
  3. Xが、エチレン性不飽和アシルオキシ基である、請求項2に記載の防汚塗料組成物
  4. 前記エチレン性不飽和基Xが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、(メタクリロイルオキシ)アルキルカルボキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基、およびシトラコノイルオキシ基から選ばれる、請求項3に記載の防汚塗料組成物
  5. 1、R2、およびR3が、それぞれ独立して、メチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、およびフェニルから選ばれる、請求項2〜4のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  6. モノマーAが、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ブチルシリル、または(メタ)アクリル酸トリイソブチルシリルである、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  7. モノマーBが、一般式(II)で表される、請求項1〜6のいずれかに記載の防汚塗料組成物
    Figure 0005373070
    (式中、R4は、水素およびメチルからなる群から選ばれ、
    5は、直鎖、分岐、または環状のC1-10アルキレン基からなる群から選ばれ、
    6は、直鎖または分岐のC2-12アルキレン基からなる群から選ばれ、
    7は、水素、直鎖または分岐のC1-20アルキル基、C3-20シクロアルキル基およびC6-20アリール基、ならびに−C(O)−R8からなる群から選ばれ、
    8は、直鎖または分岐のC1-20アルキル基、C3-20シクロアルキル基、およびC6-20アリール基からなる群から選ばれ、
    nは、1〜12の整数である。)
  8. 6が、直鎖C3-5アルキレンであり、R7が、水素である、請求項7に記載の防汚塗料組成物
  9. 5が、C2-4アルキレンである、請求項7および8のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  10. nが、1〜5の整数である、請求項7〜9のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  11. モノマー(B)が、ブチロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、またはバレロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルである、請求項1〜10のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  12. モノマー(B)が、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルである、請求項1〜11のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  13. モノマー(B)の平均分子量が、210〜1500である、請求項1〜11のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  14. 1つ以上のモノマー(A)の単位が、モノマー混合物全体の10〜60モル%の量で存在する、請求項1〜12のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  15. 1つ以上のモノマー(B)の単位が、モノマー混合物全体の1〜10モル%の量で存在する、請求項1〜13のいずれかに記載の防汚塗料組成物
  16. 他のバインダー、顔料、増量剤および充填剤、脱水剤および乾燥剤、添加剤および溶媒から選ばれる1種以上の成分をさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  17. 前記他のバインダーが、ロジンおよびロジン誘導体から選ばれる、請求項16に記載の防汚塗料組成物。
  18. 揮発性有機化合物の含量が、400g/L未満である、請求項1〜17のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
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