[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP5368201B2 - 化学物質汚染の処理方法及び処理装置 - Google Patents

化学物質汚染の処理方法及び処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5368201B2
JP5368201B2 JP2009169843A JP2009169843A JP5368201B2 JP 5368201 B2 JP5368201 B2 JP 5368201B2 JP 2009169843 A JP2009169843 A JP 2009169843A JP 2009169843 A JP2009169843 A JP 2009169843A JP 5368201 B2 JP5368201 B2 JP 5368201B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron
persulfate
organic acid
soil
groundwater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009169843A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011020108A (ja
Inventor
岳志 野本
正浩 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Organo Corp filed Critical Organo Corp
Priority to JP2009169843A priority Critical patent/JP5368201B2/ja
Publication of JP2011020108A publication Critical patent/JP2011020108A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5368201B2 publication Critical patent/JP5368201B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Description

本発明は、化学物質、特に有機塩素化合物又は芳香族炭化水素により汚染された土壌及び地下水を浄化するための処理方法及び処理装置に関する。
トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)等の有機塩素化合物は、洗浄剤として各種工場やクリーニング店等で、また、ベンゼン等の芳香族炭化水素は、化成品の原料として各種工場等で広く使用されている。その一方で、これら有機塩素化合物及び芳香族炭化水素等の化学物質は発癌等健康を害する疑いが高く、近年、上記有機塩素化合物及び芳香族炭化水素等の化学物質による土壌、地下水等の汚染が顕在化し、大きな社会問題となっている。
従来、有機塩素化合物で汚染された土壌の処理方法としては、汚染土壌の封じ込め処理、汚染土壌の掘削・封じ込め処理等が主に行われている。また、有機塩素化合物で汚染された地下水の処理方法としては、地下水を揚水し、地下水中の汚染化学物質を気相中に移行させて、地下水を浄化し(揚水曝気処理)、その後活性炭により気相を吸着処理する(活性炭処理)ポンプ・アンド・トリート法等が主に行われている。なお、浄化後の水は地表に流される。また、汚染された土壌中に生息する微生物に対して薬剤注入や温度管理を行い、微生物を活性化させて化学物質を分解するバイオスティミュレーション法等も行われている。
しかし、上記封じ込め処理、掘削・封じ込め処理、ポンプ・アンド・トリート法は、汚染化学物質を積極的に分解して無害化する技術ではないこと、また、莫大なコスト、エネルギー及び手間を要すること、浄化期間が10〜20年と長いこと等の問題がある。さらにバイオスティミュレーション法は、環境負荷が低い処理方法であり、コストが安価である反面、化学物質汚染の処理において、汚染化学物質の適用可能な濃度範囲があること、浄化期間が長期にわたること等の問題がある。
これに対し、近年では、酸化剤を直接井戸に注入する原位置化学酸化の開発が行われている。酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、過硫酸塩、次亜塩素酸、過塩素酸、塩素、オゾン等が存在するが、水への溶解性、操作性等の点から、現状では過マンガン酸カリウムや過酸化水素を用いる方法が主に実用化されている。
しかし、過マンガン酸カリウムを用いる方法では、過マンガン酸カリウム自身が紫色を呈しており、地下水等に直接注入するのは好ましくないという問題がある。また、過酸化水素を用いる方法では、地中内での急激な過酸化水素分解に伴い浄化範囲が小さいという問題がある。
また、酸化剤と他の試薬とを併用して、原位置での化学物質汚染の分解研究事例も増えてきている。
例えば、特許文献1には、有機物によって汚染された土壌に、過酸化水素及びクエン酸等のヒドロキシカルボン酸を添加して、汚染土壌を浄化する方法が開示されている。この浄化方法では、酸化剤の急激な分解、消費を抑制するために、クエン酸を添加すること、土壌にこれらの薬剤を添加する前にpH調整剤、金属触媒を土壌に添加することが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、有機物に汚染された土壌に、過炭酸塩(酸化剤)及び鉄又は鉄化合物を添加して、汚染土壌を浄化する方法が開示されている。
また、例えば、特許文献3には、有機物によって汚染された土壌、地下水に、過酸化水素、過マンガン酸カリウム(酸化剤)及びキレート剤を添加して、汚染された土壌、地下水を浄化する方法が開示されている。この浄化方法におけるキレート剤の添加は、2価の鉄イオンが酸化されて生成するオキシ水酸化鉄等の不溶性物質の生成を抑制するためである。
また、非特許文献1,2には、過硫酸塩、クエン酸及び2価鉄を添加して、TCEやベンゼンを処理する方法が開示されている。
特開2008−246414号公報 特開2006−167713号公報 特開2000−301172号公報
Chenju Liang etc.,Chemosphere,vol55(2004年),p1225−1233 Chenju Liang etc.,Water Research,vol42(2008年),p4091−4100
しかし、特許文献1の方法のように、酸化剤として過酸化水素を用いると、過酸化水素が土壌及び地下水中の還元物質により分解を受け、反応領域が狭くなるため、有機物を効率良く浄化できない虞がある。
また、特許文献2の方法では、過炭酸塩と併用した鉄、鉄化合物による鉄塩由来の不溶性物質が生成し、この不溶性物質が、注入井戸や地下水路を閉塞し、有機物を効率良く浄化できない虞がある。
また、特許文献3の方法のように、酸化剤として過酸化水素、過マンガン酸カリウムを用いると、前述したように、過酸化水素の場合には、反応領域が狭くなり、有機物を効率良く浄化できない虞があり、過マンガン酸カリウムの場合には、過マンガン酸カリウム自身が紫色を呈しており、地下水等に直接注入するのは好ましくないという問題がある。なお、特許文献3の方法におけるキレート剤添加の目的は、2価の鉄イオンが酸化されて生成するオキシ水酸化鉄等の不溶性物質の生成を抑制するためであり、有機物の浄化を促進する目的ではない。
また、非特許文献1,2では、主として純水系にて化学物質汚染の分解に適した過硫酸塩、クエン酸及び2価鉄のモル比等を検討しているが、純水系の性状は実土壌及び地下水の性状とは異なり、還元物質、分解阻害物質、過硫酸塩消費物質、又は全有機炭素等が含まれない。そのため、純水系での検証は、特異的に良好な分解反応を示す可能性があり、現実的ではない側面がある。つまり、実土壌及び地下水を用いて検証することではじめて未確定な還元物質、分解阻害物質等による化学物質汚染の処理に及ぼす影響を把握することが可能となり、その上で過硫酸塩、クエン酸及び2価鉄の最適なモル比等が検討できる。
また、非特許文献1,2の方法では、実浄化施工の想定がなされていないため、非特許文献1,2に開示されている過硫酸塩濃度では、対象とする土壌及び地下水の種類によっては、過硫酸塩が地下水中の還元物質、分解阻害物質、過硫酸塩消費物質、又は全有機炭素等により分解を受け過硫酸塩が消費されてしまうため、有機物を効率良く浄化できない可能性が高い。
そこで、本発明の目的は、化学物質、特に有機塩素化合物、芳香族炭化水素に汚染された土壌及び地下水の浄化において、従来の過硫酸塩による処理よりも、安全で効率よく化学物質を処理することができる化学物質汚染の処理方法及び処理装置を提供することにある。
本発明は、化学物質に汚染された土壌及び地下水に過硫酸塩及びキレート鉄を添加して、土壌及び地下水を浄化する化学物質汚染の処理方法であって、過硫酸塩濃度が5000mg/L以上、且つ過硫酸塩と鉄のモル比(過硫酸塩/鉄)が5以上となるように過硫酸塩及びキレート鉄を添加する。
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記キレート鉄が有機酸鉄であり、クエン酸又はグルコン酸ナトリウムの有機酸と2価鉄とを有機酸と鉄のモル比(有機酸/鉄)が1以下となるように混合し、前記有機酸鉄を調製することが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記キレート鉄がクエン酸鉄(III)又はグルコン酸鉄(II)を含む有機酸鉄であることが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加する際には、前記キレート鉄を添加し、次に前記過硫酸塩を添加することが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記化学物質が有機塩素化合物及び芳香族炭化水素であることが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記土壌及び前記地下水の原位置で前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加して、土壌及び地下水を浄化することが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記土壌及び前記地下水の原位置から掘削した土壌及び地下水に、前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加して、土壌及び地下水を浄化することが好ましい。
また、本発明の化学物質汚染の処理装置は、化学物質に汚染された土壌及び地下水に原位置で過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段と、前記土壌及び地下水に原位置でキレート鉄を添加するキレート鉄添加手段と、を備え、前記過硫酸塩添加手段及び前記キレート鉄添加手段により、過硫酸塩濃度が5000mg/L以上、且つ過硫酸塩と鉄のモル比(過硫酸塩/鉄)が5以上となるように前記過硫酸塩及び前記キレート鉄が添加される。
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記キレート鉄が有機酸鉄であり、クエン酸又はグルコン酸ナトリウムの有機酸と2価鉄とを有機酸と鉄のモル比(有機酸/鉄)が1以下となるように混合し、前記有機酸鉄を調製する生成反応槽を備えることが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記キレート鉄がクエン酸鉄(III)又はグルコン酸(II)を含む有機酸鉄であることが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記過硫酸塩添加手段及び前記キレート鉄添加手段により、前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加する際には、前記キレート鉄を添加し、次に前記過硫酸塩を添加することが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記化学物質は、有機塩素化合物及び芳香族炭化水素であることが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記過硫酸塩添加手段及び前記キレート鉄添加手段は、前記土壌及び前記地下水の原位置に、前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加することが好ましい。
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記過硫酸塩添加手段及び前記キレート鉄添加手段は、前記土壌及び前記地下水の原位置から掘削した土壌及び地下水に、前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加することが好ましい。
本発明によれば、従来の過硫酸塩による処理よりも、安全で効率良く化学物質、特に有機塩素化合物、芳香族炭化水素を処理することが好ましい。
本発明の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、化学物質汚染の処理装置1は、第1ポンプ10及び過硫酸塩供給ライン12を備える過硫酸塩添加手段と、過硫酸塩タンク14と、第2ポンプ16及びキレート鉄供給ライン18を備えるキレート鉄添加手段と、キレート鉄タンク20と、切替弁22、注入ライン24及び注入井戸26を備える注入手段と、第3ポンプ28、揚水ライン30、揚水井戸32及び揚水タンク34を備える揚水手段と、第4ポンプ36と、第5ポンプ38と、配管40,42と、活性炭装置44と、を備える。切替弁22は、過硫酸塩のみを通過させる、キレート鉄のみを通過させる、過硫酸塩及びキレート鉄の両方を通過させる切替機能を有するものである。
過硫酸塩供給ライン12には、第1ポンプ10が設けられており、キレート鉄供給ライン18には、第2ポンプ16が設けられている。過硫酸塩タンク14からの過硫酸塩供給ライン12は、切替弁22を介して、注入ライン24の一端に接続されており、また、キレート鉄タンク20からのキレート鉄供給ライン18は、切替弁22を介して、注入ライン24の一端に接続されている。また、注入ライン24の他端は注入井戸26内に配置されている。
過硫酸塩及びキレート鉄は、過硫酸塩添加手段及びキレート鉄添加手段から切替弁22及び注入ライン24を介して、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質に汚染された土壌、地下水の原位置に供給される。但し、切替弁22及び注入ライン24は必ずしも必要ではなく、例えば、過硫酸塩供給ライン12及びキレート鉄供給ライン18を注入井戸26内に設置し、過硫酸塩供給ライン12及びキレート鉄供給ライン18から直接、過硫酸塩及びキレート鉄を土壌、地下水の原位置に供給してもよい。
揚水手段は、浄化処理後の地下水を地表へ揚水するものである。ここで、揚水手段を構成する揚水井戸32は、浄化処理後の地下水を揚水するために、少なくとも注入井戸26より地下水の下流側に配置される必要がある。また、揚水井戸32内に配置されている揚水ライン30には、第3ポンプ28が設けられている。また、揚水ライン30は、揚水タンク34に接続されている。
揚水タンク34と活性炭装置44との間は、配管40により接続されており、配管40には第4ポンプ36が設けられている。また、活性炭装置44と注入ライン24とは、切替弁22を介して、配管42により接続されており、配管42には第5ポンプ38が設けられている。
活性炭装置44は、主に処理水中に残存する未反応の過硫酸塩や残留していた化学物質を処理するものである。活性炭装置44による活性炭処理は、例えば、粉末活性炭を用いた完全混合槽による活性炭処理、活性炭塔を用いた粒状活性炭の固定床による処理、粒状活性炭を用いた流動床による処理等を挙げることができる。但し、必ずしもこれらに制限されるものではない。
以下に、本実施形態に係る処理装置を用いた化学物質汚染の処理方法について説明する。
第1ポンプ10により、過硫酸塩タンク14内の過硫酸塩を過硫酸塩供給ライン12から切替弁22を介して注入ライン24へ、また、第2ポンプ16により、キレート鉄タンク20内のキレート鉄をキレート鉄供給ライン18から切替弁22を介して注入ライ24ンへ供給する。そして、注入ライン24から注入井戸26を介して、化学物質に汚染された土壌、地下水の原位置に過硫酸塩及びキレート鉄を供給する。そうすると、過硫酸塩及びキレート鉄を添加した地下水が反応領域Xを流れる間に、反応領域Xに存在する有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質が分解される。
次に、過硫酸塩及びキレート鉄の添加により浄化された地下水を、第3ポンプ28により、揚水ライン30から揚水タンク34に送液する。揚水タンク34内の水を再度、化学物質に汚染された地下水の原位置に供給する場合、第4ポンプ36及び第5ポンプ38を稼働させ、揚水タンク34内の地下水を活性炭装置44で活性炭処理し、残留していた有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を除去することが好ましい。そして、活性炭装置44で活性炭処理した処理水を配管42から切替弁22を介して注入ライン24に供給し、再度土壌、地下水の原位置に供給する。また、揚水タンク34内の水を地表に放出する場合も、活性炭装置44で活性炭処理し、残留していた化学物質を除去することが好ましい。
以上のように、実土壌及び地下水を用いての処理薬剤濃度の設定や処理装置の構成等は、本発明者の鋭意検討により初めて得られた知見である。そして、過硫酸塩及びキレート鉄を添加して、化学物質を分解する処理方法の方が、過硫酸塩単独で有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を分解処理するよりも、分解効率を上げることができる。
本現象に関わるメカニズムは明らかになっていないが、クエン酸鉄等のキレート鉄を添加することで、過硫酸の分解から生じる有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質の分解に有効な硫酸ラジカルの生成を促進させるだけでなく、硫酸ラジカルを徐放的に放出すること、さらにはクエン酸等の有機物を入れることで有機ラジカルが生成すること等により、温度に関係なく、常圧下で効率よく有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を分解すると考えられる。
本実施形態では、化学物質に汚染された地下水、土壌の浄化において、過硫酸塩濃度が、5000mg/L(21mmol/L)以上、且つ過硫酸塩と鉄のモル比(過硫酸塩/鉄)が5以上となるように、過硫酸塩及びキレート鉄を添加する。また、過硫酸塩濃度が、5000mg/L以上〜50000mg/L以下、且つ過硫酸塩と鉄のモル比(過硫酸塩/鉄)が5以上〜59以下となるように、過硫酸塩及びキレート鉄を添加することが好ましい。過硫酸塩濃度が5000mg/L未満で、過硫酸塩と鉄のモル比が5未満では、実浄化施工を想定した場合に、土壌や地下水中に存在する還元物質等により分解を受け過硫酸塩が消費されてしまうため、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を十分に分解することが困難となる。また、過硫酸塩濃度が50000mg/L超では、薬品使用量が増加するため、コストが高くなる。
本実施形態において、処理水を活性炭装置44に通水させる際には、配管40等に苛性ソーダ等のpH調整剤を注入し、処理水を中和又は処理水のpHを5.5〜7.5の範囲に調製することが、活性炭の寿命を延ばすことができる点から好ましい。また、活性炭装置44への通水時の空塔速度は、1〜20(1/hr)の範囲であることが好ましい。
さらに、活性炭の寿命を延ばすことができる点で、配管40等に亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素等の還元剤を注入し、残留する過硫酸塩を還元させることがより好ましい。
本実施形態に用いられる過硫酸塩は、過硫酸カリウムまたは過硫酸ナトリウムを好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に用いられるキレート鉄は、EDTA−鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄等の有機酸鉄が挙げられるが、それらの中でもクエン酸及び2価鉄、又はグルコン酸ナトリウム及び2価鉄から調整されるキレート鉄がコスト、分解効果、取り扱いの点から、より好ましい。
図2は、本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示す化学物質汚染の処理装置2において、図1に示す化学物質汚染の処理装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。図2に示す化学物質汚染の処理装置2には、キレート鉄である有機酸鉄を生成させるための生成反応槽46と、有機酸添加手段としての有機酸供給ライン48と、鉄塩添加手段としての鉄塩供給ライン50とが設けられる。
生成反応槽46の有機酸供給口(不図示)には、有機酸供給ライン48が接続されており、生成反応槽46の鉄塩供給口(不図示)には、鉄塩供給ライン50が接続されている。また、生成反応槽46からのキレート鉄供給ライン18は、切替弁22を介して、注入ライン24に接続されている。それ以外の構成は、図1に示す化学物質汚染の処理装置1と同様である。
本実施形態の生成反応槽46は、キレート鉄を生成するための槽であり、キレート鉄の生成効率を高める点で、生成反応槽46内に撹拌装置(攪拌機、散気装置、水中ポンプ等)を設けることが好ましい。
以下に、本実施形態に係る処理装置を用いた化学物質汚染の処理方法について説明する。
有機酸供給ライン48から有機酸を、鉄塩供給ライン50から鉄塩を生成反応槽46に供給し、混合して有機酸鉄を生成させる。そして、第1ポンプ10により、過硫酸塩タンク14内の過硫酸塩を過硫酸塩供給ライン12から切替弁22を介して注入ライン24へ、また、第2ポンプ16により、生成反応槽46内の有機酸鉄をキレート鉄供給ライン18から切替弁22を介して注入ライン24へ供給する。そして、注入ライン24から注入井戸26を介して、化学物質に汚染された土壌、地下水の原位置に、過硫酸塩及び有機酸鉄を供給する。このような方法によっても、上記同様に有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を分解することが可能である。
ここで、本実施形態の生成反応槽46により生成されるキレート鉄は有機酸鉄であり、有機酸供給ライン48から供給される有機酸はクエン酸又はグルコン酸ナトリウムであり、鉄塩供給ライン50から供給される鉄塩は2価鉄である。そして、生成反応槽46では、上記有機酸と鉄のモル比(有機酸/鉄)が1以下、好ましくは0.1〜1以下となるように混合し、有機酸鉄を調製する。上記有機酸と鉄のモル比(有機酸/鉄)が1を超えると、キレート化に関与しない有機酸自体が酸化剤を消費する有機物として振る舞い、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の分解効率が低下する場合がある。
また、クエン酸又はグルコン酸ナトリウム等の有機酸及び2価鉄等の鉄塩から有機酸鉄を生成させ、生成した有機酸鉄を芳香族塩素化合物の分解に用いる方が、市販のクエン酸鉄等の有機酸鉄を購入する場合よりも、処理コストを大幅に削減することができる。但し、本実施形態のように、有機酸と2価鉄とを混合させる場合には、有機酸鉄を充分に生成させてから、反応領域Xに供給することが好ましい。なお、有機酸と2価鉄とを生成反応槽46で混合させ、有機酸鉄を生成することができれば有機酸供給ライン48及び鉄塩供給ライン50は必ずしも必要ではない。
また、本実施形態に用いられる有機酸は、可溶性のカルボン酸であることが好ましく、特にクエン酸、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、EDTA、ニトリロ三酢酸等を好適に用いることができる。本実施形態に用いられるクエン酸としては、クエン酸、またはクエン酸ナトリウム等が好適に用いられる。本実施形態に用いられる2価鉄は、特に制限されるものではないが、例えば硫酸鉄等の鉄塩等が挙げられる。
図3は、本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図3に示す化学物質汚染の処理装置3において、図2に示す化学物質汚染の処理装置2と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。図3に示す化学物質汚染の処理装置3では、揚水手段、活性炭装置44等を備えていない。また、図3に示す化学物質汚染の浄化装置3では、反応領域Yの浄化程度及びpH等の地下水水質の観測を行うための観測井戸52を反応領域Y内に設けている(なお、反応領域Yの外部に設けてもよい)。
このような浄化後の地下水の揚水を行わない場合には、過硫酸塩及びキレート鉄を添加した反応領域Yは注入井戸26を中心として、ほぼ円状に広がる。このような、方法によっても、化学物質に汚染された土壌、地下水の浄化は可能であるが、図1又は図2に示す化学物質汚染の処理装置1又は2のように、揚水手段、活性炭装置44等を備える方が、効率的に化学物質の処理が可能である。
なお、上記実施形態は一例であって、例えば、本発明者らが提案している有機汚染物に汚染された水、排水、土壌、底質、汚泥、地下水等の汚染物を原位置で酸化剤と混練する方法(特開2007−105556号公報参照)、有機汚染物に汚染された水、排水、土壌、底質、汚泥、地下水等の汚染物を掘削し、地上で酸化剤と混練する方法(特許第3784654号公報参照、特開2003−71425号公報、特開2002−326080号公報参照)を用いて、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を分解処理することも可能である。以下に、その一例を説明する。
図4は、本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図4に示す化学物質汚染の処理装置は、ベースマシン60(被駆動部材を交換できるようになっているマシン)、下部に回転攪拌翼62を備えた回転軸64、回転軸64を回転駆動する回転駆動源66、過硫酸塩供給ライン68及び第1ポンプ70を備える過硫酸塩供給手段、過硫酸塩タンク72、キレート鉄供給ライン74及び第2ポンプ76を備えるキレート鉄供給手段、キレート鉄タンク78を備えるものである。
過硫酸塩及びキレート鉄は、第1ポンプ70及び第2ポンプ76により、過硫酸塩供給ライン68及びキレート鉄供給ライン74から、回転軸64の上部に供給される。回転軸64は、中空構造あるいは二重管構造で構成されており、その上部に供給されている過硫酸塩及びキレート鉄を内部に移送し、下部に設けた開口から汚染土壌、地下水中に注入、添加し、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質と、過硫酸塩及びキレート鉄とを直接混練できるように構成されている。
図5は、本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図5に示す化学物質汚染の処理装置5は、走行手段を備えたベースマシン80上に土壌供給装置82、薬剤供給装置84、混合装置86、及び土壌排出装置88を設置してなる自走式土壌改良機である。そして、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質と、過硫酸塩及びキレート鉄とをそれぞれ土壌供給装置82及び薬剤供給装置84により混合装置86に連続的に供給し、これら、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質と、過硫酸塩及びキレート鉄とを混合装置86により連続的に混合するとともに、土壌排出装置88により連続的に排出する。
このような方法によっても、化学物質に汚染された地下水、土壌等の浄化を行うことが可能である。有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質による汚染位置が浅い場合には、上記のように汚染土壌等を原位置で浄化する方法より、汚染土壌等を掘削し、回転式破砕混合工法等で汚染土壌等と過硫酸塩、キレート鉄を添加混練して浄化することが好ましい。
上記これらの実施形態において、過硫酸塩とキレート鉄の添加順序は、(例えば、切替弁22の切替により)キレート鉄を土壌及び地下水の原位置に添加後、過硫酸塩を添加することが好ましい。これは、キレート鉄も過硫酸塩により分解されるため、過硫酸塩及びキレート鉄を同時に又はキレート鉄を過硫酸塩よりも後に添加すると、オキシ水酸化鉄等の不溶性物質が生成され、注入井戸、地下水路等が閉塞される場合がある。しかし、キレート鉄を添加して、地下水中に広域に拡散させた後に、過硫酸塩を添加することで、オキシ水酸化鉄等の不溶性物質の生成を抑え、キレート鉄の効力を持続させることができる。このような実土壌及び地下水への薬剤混合添加順序の効果については、本発明者の鋭意検討により初めて得られた知見である。
上記これらの実施形態において、過硫酸塩の添加量及びキレート鉄の添加量の調整は、上記数値範囲を満たすように添加されれば、特に制限されるものではない。例えば、揚水ライン30、揚水井戸32(又は観測井戸52)内を通る処理水中の過硫酸塩濃度を計測し、該計測値に基づいて過硫酸塩及びキレート鉄の添加量を調節するものであってもよい(なお、例えば、予め反応領域内の汚染化学物質の濃度が明らかであれば、所定量の過硫酸塩及びキレート鉄を添加すればよい)。
本実施形態の処理方法は、有機塩素化合物、芳香族炭化水素に汚染された水、排水、土壌、底質、汚泥、地下水等の汚染物の処理に好適に使用されるが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態は、TCE、PCE、ダイオキシン類、PCB類等の有機塩素化合物、ベンゼン等の芳香族炭化水素による汚染の浄化のみならず、油等の他の汚染化学物質による汚染の浄化にも適用可能である。
化学物質の分解を促進するために、蒸気注入法等を用いる加温手段等を設けてもよいが、本実施形態では、化学物質の分解は温度にほとんど依存しないため、スチーム等の加温は必要ではない。その結果、加温に必要なエネルギーが不要となるため、処理コストを低減することが可能である。加温手段は、例えば、圧縮空気を生成するコンプレッサと、水蒸気を生成するボイラーと、圧縮空気と水蒸気とを混合して、混合気体を注入井戸に供給する注入設備と、を備えるものである。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
TCE及びベンゼンの分解試験を実施した。実施例1では、濃度37mg/L(0.28mmol/L)のTCE及び濃度30mg/L(0.38mmol/L)のベンゼンを含む土壌地下水に、濃度10000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウム、濃度688mg/L(3.58mmol/L)のクエン酸及び2価鉄として濃度200mg/L(3.58mmol/L)の硫酸鉄七水和物を混合することにより調製したクエン酸鉄を添加した。そして、反応開始から7時間後に、排水中のTCE及びベンゼン濃度をガスクロマトグラフ(GC)により測定した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表1に、分解反応時間7時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
(実施例2)
実施例2では、濃度688mg/L(3.58mmol/L)のクエン酸の代わりに、濃度781mg/L(3.58mmol/L)のグルコン酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。表1に、分解反応時間7時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
(比較例1)
比較例1では、濃度37mg/L(0.28mmol/L)のTCE及び濃度30mg/L(0.38mmol/L)のベンゼンを含む土壌地下水に、濃度10000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウムを添加した。そして、反応開始から7時間後に、排水中のTCE及びベンゼン濃度をガスクロマトグラフ(GC)により測定した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表1に、分解反応時間7時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
Figure 0005368201
表1から判るように、TCE及びベンゼン含有地下水に、過硫酸塩、及び有機酸と鉄塩からなる有機酸鉄を添加した実施例1,2の方が、過硫酸ナトリウム添加のみの比較例1より、TCE及びベンゼンの分解効率を著しく向上させ、迅速に処理することができた。
(実施例3)
TCE及びベンゼンの分解試験を実施した。実施例1では、濃度37mg/L(0.28mmol/L)のTCE及び濃度30mg/L(0.38mmol/L)のベンゼンを含む土壌地下水に、濃度10000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウム、濃度1111mg/L(4.54mmol/L)のクエン酸鉄n水和物(鉄含有量約18%)を添加し、鉄塩として200mg/Lに調整した。そして、反応開始から7時間後に、排水中のTCE及びベンゼン濃度をガスクロマトグラフ(GC)により測定した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表2に、分解反応時間7時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
(実施例4)
実施例4では、濃度1111mg/L(4.54mmol/L)のクエン酸鉄n水和物の代わりに、濃度1727mg/L(3.58mmol/L)のグルコン酸鉄2水和物を用いて、鉄塩として200mg/Lとしたこと以外は、実施例3と同様の条件で行った。表2に、分解反応時間7時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
表2には、実施例3,4との比較のため、比較例1のデータを併記した。
Figure 0005368201
表2から判るように、TCE及びベンゼン含有地下水に、過硫酸塩及び有機酸鉄を添加した実施例3,4の方が、過硫酸ナトリウム添加のみの比較例1より、TCE及びベンゼンの分解効率を著しく向上させ、迅速に処理することができた。
(実施例5)
TCE及びベンゼンの分解試験を実施した。実施例5では、濃度131mg/L(1mmol/L)のTCE及び濃度78mg/L(1mmol/L)のベンゼンを含む土壌地下水に、濃度961mg/L(5mmol/L)のクエン酸及び2価鉄として濃度279mg/L(5mmol/L)の硫酸鉄七水和物を混合することにより調製したクエン酸鉄と、過硫酸塩と鉄とのモル比が10となるように過硫酸ナトリウムを添加した。そして、反応開始から9時間後、48時間後に、排水中のTCE及びベンゼン濃度をガスクロマトグラフ(GC)により測定した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表3に、分解反応時間9時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。また、表4に、分解反応時間48時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
(実施例6)
実施例6では、過硫酸塩と鉄とのモル比が5となるように過硫酸ナトリウムを添加したこと以外は、実施例5と同様の条件で試験を行った。表3に、分解反応時間9時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。また、表4に、分解反応時間48時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
(比較例2,3)
比較例2では、過硫酸塩と鉄とのモル比が4となるように過硫酸ナトリウムを添加し、比較例3では、過硫酸塩と鉄とのモル比が1となるように過硫酸ナトリウムを添加したこと以外は実施例5と同様の条件で試験を行った。表3に、分解反応時間9時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。また、表4に、分解反応時間48時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
Figure 0005368201
Figure 0005368201
表3から判るように、TCE及びベンゼン含有地下水に、過硫酸塩濃度5000mg/L以上、過硫酸塩と鉄のモル比5以上となるように、過硫酸塩及び有機酸鉄を添加した実施例5,6では、反応時間9時間後の早い段階でも、TCE及びベンゼンの分解率が40〜70%程度に達しているのに対し、過硫酸塩濃度5000mg/L未満、過硫酸塩と鉄のモル比5未満の比較例2,3では、TCE及びベンゼンがほとんど分解していなかった。また、表4から判るように、反応時間48時間後では、実施例5,6のTCE及びベンゼンの分解率は95%以上であった。よって、分解速度、分解率等の点で、化学物質に汚染された土壌、地下水には、過硫酸塩濃度5000mg/L以上、過硫酸塩と鉄のモル比5以上となるように、過硫酸塩及び有機酸鉄を添加する必要があることがわかった。
(実施例7)
PCEの分解試験を実施した。実施例7では、濃度50mg/L(0.3mmol/L)以上のPCEを含む土壌地下水に、濃度10000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウム、濃度344mg/L(1.79mmol/L)のクエン酸及び2価鉄として濃度100mg/L(1.79mmol/L)の硫酸鉄七水和物を混合することにより調製したクエン酸鉄を添加した。そして、反応開始から30時間後、48時間後に、排水中のPCEをガスクロマトグラフ(GC)により測定した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表5に、分解反応時間30時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。また、表6に、分解反応時間48時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。
(実施例8)
実施例8では、クエン酸の濃度を688mg/L(3.58mmol/L)とし、2価鉄として濃度200mg/L(3.58mmol/L)の硫酸鉄七水和物としたこと以外は実施例7と同様の条件で試験を行った。表5に、分解反応時間30時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。また、表6に、分解反応時間48時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。
(比較例4)
比較例4では、クエン酸の濃度を3440mg/L(17.91mmol/L)とし、2価鉄として濃度1000mg/L(17.91mmol/L)の硫酸鉄七水和物としたこと以外は実施例7と同様の条件で試験を行った。表5に、分解反応時間30時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。また、表6に、分解反応時間48時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。
Figure 0005368201
Figure 0005368201
表5から判るように、過硫酸塩濃度が5000mg/L以上であっても、過硫酸塩と鉄のモル比が5以上の実施例7,8の方が、過硫酸塩と鉄のモル比が5未満の比較例4より、PCE分解率は向上し、30時間後のPCE分解率は95%以上であった。また、実施例7と実施例8とを比較すると、過硫酸塩と鉄のモル比が高い実施例8の方が、PCE分解率が向上することがわかった。
(実施例9)
PCEの分解試験を実施した。実施例9では、濃度50mg/L(0.3mmol/L)以上のPCEを含む土壌地下水に、濃度10000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウム、濃度688mg/L(3.58mmol/L)のクエン酸及び2価鉄として濃度400mg/L(7.16mmol/L)の硫酸鉄七水和物を混合することにより調製したクエン酸鉄を添加した。そして、反応開始から24時間後に、排水中のPCEをガスクロマトグラフ(GC)により測定した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表7に、分解反応時間24時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。
(実施例10,11)
実施例10では、2価鉄として濃度200mg/L(3.58mmol/L)の硫酸鉄七水和物とし、実施例11では、2価鉄として濃度100mg/L(1.79mmol/L)の硫酸鉄七水和物としたこと以外は実施例9と同様の条件で試験を行った。表7に、分解反応時間24時間後のブランク濃度を100%として、PCEの分解率をまとめた。
Figure 0005368201
表7から判るように、クエン酸と鉄とのモル比が1以下である実施例9,10の方が、クエン酸と鉄とのモル比が1を超える実施例11より、PCEの分解率が向上していた。よって、分解率向上のためには、クエン酸と鉄とのモル比は1以下であることが好ましい。
(実施例12)
実施例12では、2価鉄として濃度200mg/Lの硫酸鉄七水和物及び濃度688mg/Lのクエン酸を先に混合させてクエン酸鉄を生成させた後に、濃度5000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウムを添加し、全有機炭素を指標として有機酸の安定性を検討した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。表7に、過硫酸ナトリウム添加後から315時間後のクエン酸残存率をまとめた。
(比較例5)
比較例5では、2価鉄として濃度200mg/Lの硫酸鉄七水和物及び濃度688mg/Lのクエン酸を先に混合させてクエン酸鉄を生成させ、全有機炭素を指標として有機酸の安定性を検討した。なお、分解試験における水温は15〜20℃の範囲で実施した。
Figure 0005368201
表8から判るように、過硫酸ナトリウムが存在すると、クエン酸が分解してしまう。そして、通常、過硫酸ナトリウムによるクエン酸の分解に伴い、オキシ水酸化鉄等の不溶性物質が生成する。同様に他の有機酸においても、過硫酸塩による分解を受け、その結果オキシ水酸化鉄等の不溶性物質が生成する。従って、実浄化施工において、過硫酸塩を先に注入して、後から有機酸鉄を注入(又は同時に注入)すると、注入井戸の周辺で高い濃度の有機酸鉄が過硫酸塩と反応してしまうため、オキシ水酸化鉄等の不溶性物質が生成し易く、その結果、井戸や地下水路の閉塞が起こりやすくなる。一方、有機酸鉄を先に注入し、地下水中に広域に拡散させた後に、過硫酸塩を注入することによって、過硫酸塩による有機酸の分解が抑制され、不溶性物質による井戸や地下水路の閉塞を防ぐことが可能となる。
(実施例13〜17)
養正温度の違いによるTCE及びベンゼンの分解試験を実施した。実施例13では、濃度22.3mg/L(0.17mmol/L)のTCE及び濃度23.1mg/L(0.3mmol/L)のベンゼンを含む土壌地下水に、濃度10000mg/L(42mmol/L)の過硫酸ナトリウム、濃度688mg/L(3.58mmol/L)のクエン酸及び2価鉄として濃度200mg/L(3.58mmol/L)の硫酸鉄七水和物を混合することにより調製したクエン酸鉄を添加し、実施例13では5℃、実施例14では15℃、実施例15では20℃、実施例16では30℃、実施例17では40℃で保管した。そして、反応開始から9時間後に、TCE及びベンゼンをガスクロマトグラフ(GC)により測定した。表9に、分解反応時間9時間後のブランク濃度を100%として、TCE及びベンゼンの分解率をまとめた。
Figure 0005368201
通常、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質等を過硫酸塩の添加のみで分解する際には、養生温度が高温であれば分解率も向上する。これに対し、過硫酸塩濃度が5000mg/L以上、且つ過硫酸塩と鉄のモル比が5以上となるように、過硫酸塩及びキレート鉄を添加すると、表9から判るように、養生温度によらずTCE及びベンゼンの分解率は高く、迅速な処理が可能であることがわかった。したがって、実浄化施工において、例えば、化学物質の分解を促進するためのスチーム等の加温設備の設置及び加温手段を講じる必要はない。
1〜5 化学物質汚染の処理装置、10,70 第1ポンプ、12,68 過硫酸塩供給ライン、14,72 過硫酸塩タンク、16,76 第2ポンプ、18,74 キレート鉄供給ライン、20,78 キレート鉄タンク、22 切替弁、24 注入ライン、26 注入井戸、28 第3ポンプ、30 揚水ライン、32 揚水井戸、34 揚水タンク、36 第4ポンプ、38 第5ポンプ、40,42 配管、44 活性炭装置、46 生成反応槽、48 有機酸供給ライン、50 鉄塩供給ライン、52 観測井戸、60,80 ベースマシン、62 回転攪拌翼、64 回転軸、66 回転駆動源、82 土壌供給装置、84 薬剤供給装置、86 混合装置、88 土壌排出装置。

Claims (6)

  1. 化学物質に汚染された土壌及び地下水に過硫酸塩及び有機酸鉄を添加して、酸性側のpHで土壌及び地下水を浄化する化学物質汚染の処理方法であって、
    クエン酸又はグルコン酸ナトリウムの有機酸と2価鉄とを有機酸と鉄のモル比(有機酸/鉄)が1以下となるように混合して、前記有機酸鉄を調製し、
    過硫酸塩濃度が5000mg/L以上、且つ過硫酸塩と鉄のモル比(過硫酸塩/鉄)が5以上となるように前記過硫酸塩及び前記有機酸鉄を添加することを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
  2. 前記土壌及び前記地下水の原位置に前記過硫酸塩及び前記有機酸鉄を添加する注入井戸を設け、前記原位置に前記過硫酸塩及び前記有機酸鉄を添加する際に、前記キレート鉄を添加し、次に前記過硫酸塩を添加することを特徴とする請求項1記載の化学物質汚染の処理方法。
  3. 前記化学物質が有機塩素化合物及び芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化学物質汚染の処理方法。
  4. 化学物質に汚染された土壌及び地下水に過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段と、
    クエン酸又はグルコン酸ナトリウムの有機酸と2価鉄とを有機酸と鉄のモル比(有機酸/鉄)が1以下となるように混合し、有機酸鉄を調製する生成反応槽と、
    前記土壌及び地下水に前記有機酸鉄を添加する有機酸鉄添加手段と、を備え、
    前記過硫酸塩添加手段及び前記有機酸鉄添加手段により、過硫酸塩濃度が5000mg/L以上、且つ過硫酸塩と鉄のモル比(過硫酸塩/鉄)が5以上となるように過硫酸塩及びキレート鉄が添加され、酸性側のpHで土壌及び地下水を浄化することを特徴とする化学物質汚染の処理装置。
  5. 前記土壌及び前記地下水の原位置に前記過硫酸塩及び前記有機酸鉄を添加する注入井戸を備え、前記過硫酸塩添加手段及び前記キレート鉄添加手段により、前記原位置に前記過硫酸塩及び前記キレート鉄を添加する際には、前記キレート鉄を添加し、次に前記過硫酸塩を添加することを特徴とする請求項記載の化学物質汚染の処理装置。
  6. 前記化学物質は、有機塩素化合物及び芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項4又は5に記載の化学物質汚染の処理装置。
JP2009169843A 2009-07-21 2009-07-21 化学物質汚染の処理方法及び処理装置 Expired - Fee Related JP5368201B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009169843A JP5368201B2 (ja) 2009-07-21 2009-07-21 化学物質汚染の処理方法及び処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009169843A JP5368201B2 (ja) 2009-07-21 2009-07-21 化学物質汚染の処理方法及び処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011020108A JP2011020108A (ja) 2011-02-03
JP5368201B2 true JP5368201B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=43630631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009169843A Expired - Fee Related JP5368201B2 (ja) 2009-07-21 2009-07-21 化学物質汚染の処理方法及び処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5368201B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5888877B2 (ja) * 2011-05-30 2016-03-22 株式会社Adeka 化学物質分解剤組成物及びそれを用いた化学物質の分解処理方法
JP5194223B1 (ja) * 2012-03-05 2013-05-08 株式会社セイネン 化学処理剤
JP5918644B2 (ja) * 2012-07-11 2016-05-18 大成建設株式会社 難分解性の揮発性有機化合物を含有する汚染水の浄化方法
KR102298987B1 (ko) * 2014-12-15 2021-09-09 재단법인 포항산업과학연구원 산화제, 및 이를 이용하는 지하수 정화 방법
KR101760205B1 (ko) 2016-02-24 2017-07-31 경북대학교 산학협력단 과황산 이온 서방성 하이드로겔 구조체, 이의 제조 방법, 및 이를 이용한 유기 오염 물질의 처리 방법
CN106966481B (zh) * 2017-05-17 2020-06-16 吉林大学 原位还原修复受污染地下水的方法
CN114192570B (zh) * 2021-12-13 2024-01-19 东北农业大学 一种高氯代有机物污染土壤的修复方法
CN114956194A (zh) * 2022-04-22 2022-08-30 浙江华源颜料股份有限公司 一种羟基氧化铁及其与过硫酸盐协同降解抗生素的应用

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK1720802T3 (da) * 2004-02-26 2013-09-30 Fmc Corp Okidation af organiske forbindelser ved højt pH
JP2007105556A (ja) * 2005-09-15 2007-04-26 Japan Organo Co Ltd 有機汚染物質の浄化方法
JP5029562B2 (ja) * 2008-10-02 2012-09-19 三菱瓦斯化学株式会社 土壌及び/又は地下水の浄化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011020108A (ja) 2011-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5368201B2 (ja) 化学物質汚染の処理方法及び処理装置
JP5042304B2 (ja) 土中の揮発性有機化合物を酸化させる方法
Wang et al. Promoted oxidation of polycyclic aromatic hydrocarbons in soils by dual persulfate/calcium peroxide system
JP2015511152A (ja) 不揮発性ハロゲン化有機化合物の分解
DK1755799T3 (en) COMBINED CHEMICAL OXIDATION / ASSISTED POLLUTANTS BIOREMEDIATION
CN106583441A (zh) 一种超声强化高铁酸钾/过氧化氢修复有机氯污染土壤的方法
JP4167052B2 (ja) 有機化合物汚染の浄化方法
JP4065226B2 (ja) 汚染土壌および汚染地下水の浄化方法
JP2002159959A (ja) 地下汚染領域の浄化方法及び浄化装置
JP4405692B2 (ja) 地下汚染領域の浄化方法
JP2007209824A (ja) 汚染土壌または汚染地下水の浄化方法
JP4721320B2 (ja) 有機汚染物質の分解方法
JP5612820B2 (ja) 有機塩素化学物汚染の浄化方法
KR20190120837A (ko) 전기-페록손 반응 기반 수처리 장치
JP2010200965A (ja) 芳香族塩素化合物の処理方法及び処理装置
US9616473B2 (en) In-situ subsurface extraction and decontamination
JP2007253075A (ja) 土壌の浄化方法
JP4548782B2 (ja) 有機汚染物質の浄化方法
JP2000210683A (ja) 土壌及び/又は地下水の浄化方法
JP2010240594A (ja) 汚染土壌および汚染地下水の分解処理方法
JP2004337777A (ja) 化学物質による汚染の浄化方法
JP2005118626A (ja) 酸化剤の処理方法および処理装置
JP2004167426A (ja) 化学物質による汚染の浄化方法および浄化システム
JP4460479B2 (ja) シアン汚染土壌の浄化方法
JP2005066442A (ja) 汚染土壌の浄化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121003

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130912

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5368201

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees