JP5359080B2 - 水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
この解決策としては、コバルト、マンガン、鉄等の遷移金属元素又はアルミニウムを添加することで、リチウムイオン電池の正極材料として安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物を得る(例えば、特許文献1〜3参照。)ことが一般的である。
(1)ニッケル塩とアルミニウム塩の混合水溶液を用いて、錯形成剤の存在下でアルミニウム含有水酸化ニッケルを共沈殿させる方法(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、錯形成剤としてアンモニア化合物を用いた場合、錯形成せずに生成した微細な水酸化アルミニウムが水酸化ニッケル粒子の成長を阻害して、高密度でかつ工業的に固液分離が容易であるといわれる粒径(5μm以上の平均粒径)を有する粒子は得られない。また、アンモニア化合物以外の錯形成剤を用いた場合には、生成水酸化ニッケル粒子中に錯形成剤が取り込まれるため不純物を含む水酸化ニッケルが得られ、リチウムイオン二次電池用正極材料として用いるリチウムニッケル複合酸化物として好ましくない。
反応槽を2段カスケードに接続し、前記1段目及び2段目反応槽として、攪拌機、オーバーフロー口及び温度制御手段を備えた容器を用いるとともに、
まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物として硫酸ニッケル、コバルト化合物として硫酸コバルトを含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体としてアンモニア水または硫酸アンモニウムから選ばれる1種以上を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、かつ、
(a)前記1段目の反応槽内での反応に際し、前記ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及び前記アンモニウムイオン供給体を含む水溶液は、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、また水酸化ナトリウム水溶液は、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、また、反応槽内に供給する原料溶液の合計流量は、反応槽の容積を1分当たりの該合計流量で割った値が300〜1200分の範囲の一定値に保持されるように調整するとともに、一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーは、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給し、
(b)前記2段目の反応槽内での反応に際し、アルミン酸ナトリウム水溶液は、該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ、硫酸水溶液は、2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子は、オーバーフロー口を経て連続的に排出し、水洗することで、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
Ni(1−x)Cox(OH)2 …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
本発明の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法は、次の一般式(1): Ni(1−x)Cox(OH)2 …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する方法であって、
反応槽を2段カスケードに接続し、まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする。
すなわち、まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆して水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を生成する。
Ni(1−x)Cox(OH)2 …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
すなわち、前記1段目及び2段目の反応槽としては、攪拌機、オーバーフロー口及び温度制御手段を備えた容器を用いるとともに、次の(a)と(b)の要件を満足するものである。
(a)前記1段目の反応槽内での反応に際し、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液は、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ水酸化ナトリウム水溶液は、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーは、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給する。
(b)前記2段目の反応槽内での反応に際し、アルミン酸ナトリウム水溶液は、該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ、硫酸水溶液は、2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子は、オーバーフロー口を経て連続的に排出する。
(1)1段目の反応槽
上記1段目の反応槽では、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液を、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ水酸化ナトリウム水溶液を、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給する。一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーを、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給する。
上記2段目の反応槽内では、1段目からのニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーを連続的に受け入れ、さらに、アルミン酸ナトリウム水溶液を該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ硫酸水溶液を2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給する。一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を、オーバーフロー口を経て連続的に排出する。
上記水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子としては、下記の一般式(1)で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有するものである。
Ni(1−x)Cox(OH)2 …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)アンモニウムイオン濃度の分析:JIS標準による蒸留法によって測定した。
(3)平均粒径の測定:レーザー回折式粒度分布計(商品名マイクロトラック、日機装製)を用いて行った。
まず、下記の方法でニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液(ニッケル水溶液(A))、アルミン酸ナトリウム水溶液、及び水酸化ナトリウム水溶液を作製した。
(イ)ニッケル水溶液(A):工業用硫酸ニッケル6水和物21.8kgと工業用硫酸コバルト7水和物4.0kgを水に溶解した後、全量を60Lに調整して、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合溶液を得た。
(ロ)アルミン酸ナトリウム水溶液:工業用アルミン酸ナトリウム356gを水に溶解した後、全量を15Lに調整した。
(ハ)水酸化ナトリウム水溶液:工業用水酸化ナトリウム12.5kgを水に溶解した後、全量を50Lに調整した。
(二)硫酸水溶液:工業用70%硫酸を水と1:1の容量比で混合希釈し調整した。
続いて、2つの反応槽を攪拌しながら、1段目の反応槽にニッケル水溶液(A)及び工業用アンモニア水(濃度25質量%)を連続的に供給した。ここで、供給流量は、ニッケル水溶液(A)が32mL/min及びアンモニア水が3.2mL/minであった。また、上記水酸化ナトリウム水溶液を供給した。ここで、反応槽内の反応液のpHは、反応槽内に設置したpH電極でpHを測定し、pHコントローラーを用いて、上記水酸化ナトリウム水溶液の供給流量を調整して所定のpHに制御した。
また、2段目の反応槽には、アルミン酸ナトリウム水溶液を9.6mL/minの流量で連続的に供給した。また、上記硫酸水溶液を供給した。ここで、反応槽内の反応液のpHは、反応槽内に設置したpH電極でpHを測定し、pHコントローラーを用いて上記硫酸水溶液の流量を調整して所定のpHに制御を行った。
なお、この間に2段目の反応槽のオーバーフロー口から得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物は、湿潤状態で10.8kgであった。得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を、20Lの水を用いた水洗−ろ過の操作を3回繰り返した後、100℃に設定した大気乾燥機を用いて24時間乾燥した。
1段目の反応槽で、供給流量は、ニッケル水溶液(A)が53mL/min及びアンモニア水が4.5mL/minであったこと、2段目の反応槽で、アルミン酸ナトリウム水溶液の流量が15.0mL/minであったこと、2段目の反応槽のpHを9.5となるように調整したこと、2段目の反応槽に添加した硫酸水溶液の平均流量は4.2mL/minであったこと、1段目の反応槽の容積をニッケル水溶液(A)、アンモニア水及び水酸化ナトリウム水溶液の合計流量で割った値は518であったこと、及び48時間後の1段目の反応槽内の液のアンモニウムイオン濃度は10.5g/Lであったこと以外は、実施例1と同様に行い、アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を製造した。
この間に2段目の反応槽のオーバーフロー口から得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物は、湿潤状態で16.2kgであった。得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を、20Lの水を用いた水洗−ろ過の操作を3回繰り返した後、100℃に設定した大気乾燥機を用いて24時間乾燥した。
2段目の反応槽のpHを10.0となるように調整したこと、2段目の反応槽に添加した硫酸水溶液の平均流量は2.6mL/minであったこと、及び48時間後の1段目の反応槽内の液のアンモニウムイオン濃度は9.8g/Lであったこと以外は、実施例1と同様に行い、アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を製造した。
この間に2段目の反応槽のオーバーフロー口から得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物は、湿潤状態で10.8kgであった。得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を、20Lの水を用いた水洗−ろ過の操作を3回繰り返した後、100℃に設定した大気乾燥機を用いて24時間乾燥した。
Claims (6)
- 下記の一般式(1)で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する方法であって、
反応槽を2段カスケードに接続し、前記1段目及び2段目反応槽として、攪拌機、オーバーフロー口及び温度制御手段を備えた容器を用いるとともに、
まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物として硫酸ニッケル、コバルト化合物として硫酸コバルトを含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体としてアンモニア水または硫酸アンモニウムから選ばれる1種以上を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、かつ、
(a)前記1段目の反応槽内での反応に際し、前記ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及び前記アンモニウムイオン供給体を含む水溶液は、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、また水酸化ナトリウム水溶液は、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、また、反応槽内に供給する原料溶液の合計流量は、反応槽の容積を1分当たりの該合計流量で割った値が300〜1200分の範囲の一定値に保持されるように調整するとともに、一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーは、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給し、
(b)前記2段目の反応槽内での反応に際し、アルミン酸ナトリウム水溶液は、該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ、硫酸水溶液は、2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子は、オーバーフロー口を経て連続的に排出し、水洗することで、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
Ni(1−x)Cox(OH)2 …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。) - 前記1段目の反応槽内の反応液の温度は、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることを特徴とする請求項1に記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
- 前記1段目の反応槽内の反応液のpHは、液温を25℃にして測定した基準で11.0〜13.5の範囲内の一定値に保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
- 前記1段目の反応槽内の反応液のアンモニウムイオン濃度は、5〜25g/リットルの範囲内の一定値に保持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
- 前記2段目の反応槽内の反応液のpHは、液温を25℃にして測定した基準で8.5〜10.5の範囲内の一定値に保持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
- 前記2段目の反応槽内の反応液の温度は、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
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