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JP5353558B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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JP5353558B2 JP2009192232A JP2009192232A JP5353558B2 JP 5353558 B2 JP5353558 B2 JP 5353558B2 JP 2009192232 A JP2009192232 A JP 2009192232A JP 2009192232 A JP2009192232 A JP 2009192232A JP 5353558 B2 JP5353558 B2 JP 5353558B2
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Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池スタックは通常、発電モジュールである複数の単セルが積層されたスタック構造を有し、燃料ガスと酸化ガスとの供給を受けて発電する。ところで、燃料電池スタックは、その運転の停止後に、燃料ガスや酸化ガス、あるいは電気化学反応によって生じた水分などが内部に残留すると、電極などの構成部材が劣化してしまう場合がある(例えば、下記特許文献1等)。しかし、これまで、こうした問題に対して十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
特開2007−179900号公報 特開2001−202984号公報 特開昭62−66580号公報 特開2009−043542号公報
本発明は、運転停止後における燃料電池スタックの劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池スタックであって、アノード電極とカソード電極とで電解質膜が狭持された膜電極接合体を有する複数の発電モジュールが積層された発電積層体と、前記発電積層体の積層方向に沿って延び、前記複数の発電モジュールのそれぞれの前記カソード電極側に接続された排ガス用マニホールドと、前記発電積層体の端部において、前記排ガス用マニホールドと接続された排ガス用配管と、前記排ガス用配管に設けられたバルブとを備え、前記排ガス用マニホールドまたは前記排ガス用配管は、前記燃料電池スタックの運転停止後に、前記バルブが閉じた状態において、前記排ガス用配管を介して前記カソード電極側へと前記燃料電池スタックの外部から酸素が流入することを抑制するための酸素流入抑制構造を有している、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、バルブが閉じた状態において、排ガス用配管を介してカソード電極側へと燃料電池スタックの外部の酸素が流入することを抑制できるため、燃料電池スタック内に残留する燃料ガスと外部から流入する酸素によって、運転停止後の燃料電池スタックにおいて電圧が上昇してしまうことが抑制される。そのため、運転停止後における燃料電池スタックのカソード電極の劣化が抑制される。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池スタックであって、前記排ガス用マニホールドは、前記複数の発電モジュールに連通する上流側マニホールド部と、前記上流側マニホールド部から折り返して延び、前記排ガス用配管と接続される下流側マニホールド部とを有しており、前記下流側マニホールド部が、前記酸素流入抑制構造として機能する、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、下流側マニホールド部を有する分だけ、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して流入する酸素が各発電モジュールのカソード電極に至るまでの拡散距離が増大する。そのため、燃料電池スタックの運転停止後において、各発電モジュールへの酸素の流入が抑制され、各発電モジュールにおけるカソード電極の劣化が抑制される。
[適用例3]
適用例2記載の燃料電池スタックであって、前記上流側マニホールド部の流路断面積は、前記下流側マニホールド部の流路断面積より大きい、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、下流側マニホールド部を設けたことによって各発電モジュールからの排ガスの排出性が低下してしまうことを抑制することができる。また、燃料電池スタックの運転停止後においては、下流側マニホールド部の流路断面積が小さい分だけ、各発電モジュールへの酸素の流入がより抑制される。
[適用例4]
適用例2または適用例3記載の燃料電池スタックであって、前記上流側マニホールド部と前記下流側マニホールド部とは、隔壁を介して互いに隣接しており、前記隔壁には、前記上流側マニホールド部と前記下流側マニホールド部とを互いに連通する複数の連通孔が、前記発電積層体の積層方向に沿って配列して設けられている、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転中における上流側マニホールド部への排ガスの排出性の低下が抑制される。従って、燃料電池スタック内部に反応ガスや排水が残留してしまうことが抑制され、運転停止後における燃料電池スタックの劣化が抑制される。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一つに記載の燃料電池スタックであって、前記排ガス用配管内または前記排ガス用マニホールド内には、前記バルブから、前記排ガス用配管の接続位置に最も近い前記発電モジュールまでの間に、前記酸素流入抑制構造として機能する触媒部が設けられており、前記触媒部は、前記燃料電池スタックの運転停止後に、前記燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスと、前記燃料電池スタックの外部から流入してきた酸素との反応を促進させ、前記排ガス用配管内において前記酸素を消費することにより、前記酸素の前記カソード電極側への流入を抑制する、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して燃料電池スタックの外部から流入してくる酸素と、燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスとの反応を触媒部によって促進させることができ、酸素が各発電モジュールのカソード電極へと流入することを抑制することができる。従って、運転停止後における燃料電池スタックのカソード電極の劣化が抑制される。
[適用例6]
適用例5記載の燃料電池スタックであって、前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、前記排ガス用マニホールド側の3/4の範囲内に設けられている、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して燃料電池スタックの外部から流入してくる酸素と、燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスとを、より効果的に反応させることができる。
[適用例7]
適用例5または適用例6記載の燃料電池スタックであって、前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、前記排ガス用マニホールド側の5/8の範囲内に設けられている、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して燃料電池スタックの外部から流入してくる酸素と、燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスとを、より効果的に反応させることができる。
[適用例8]
適用例5ないし適用例7のいずれか一つに記載の燃料電池スタックであって、前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、前記排ガス用マニホールド側の1/2の範囲内に設けられている、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して燃料電池スタックの外部から流入してくる酸素と、燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスとを、より効果的に反応させることができる。
[適用例9]
適用例5ないし適用例8のいずれか一つに記載の燃料電池スタックであって、前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、前記全範囲の中央から前記接続部に渡って設けられている、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して燃料電池スタックの外部から流入してくる酸素と、燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスとを、より効果的に反応させることができる。
[適用例10]
適用例5ないし適用例9のいずれか一つに記載の燃料電池スタックであって、前記触媒部は、前記排ガス用配管における排ガスの流れ方向に沿って縦長に形成されている、燃料電池スタック。
この燃料電池スタックによれば、燃料電池スタックの運転停止後に排ガス用配管を介して燃料電池スタックの外部から流入してくる酸素と、燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスとを、より効果的に反応させることができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池スタック、その燃料電池スタックを備えた燃料電池システム、その燃料電池システムを搭載した車両等の形態で実現することができる。
第1実施例における燃料電池スタックの構成を示す概略図。 第1実施例における単セルの構成を示す概略図とシール一体型膜電極接合体の構成を示す概略図。 第1実施例の燃料電池スタックにおける酸素の流れを示す模式図。 第1実施例の燃料電池スタックにおける積層部材ごとの酸素排出用マニホールドの構成を示す模式図。 燃料電池の運転停止後における電位の変化を説明するための説明図。 運転停止後の燃料電池の内部における状態変化を段階的に示す模式図。 運転停止後における第1実施例の燃料電池スタックを示す模式図。 第1実施例における燃料電池スタックの他の構成例を示す模式図。 第2実施例における燃料電池スタックの構成を示す模式図。 第2実施例の燃料電池スタックにおける積層部材ごとの酸素排出用マニホールドの構成を示す模式図。 第3実施例における燃料電池スタックの構成を示す模式図。 第4実施例における燃料電池スタックの構成を示す模式図。 運転停止後の燃料電池スタックにおける酸素および水素の濃度分布を示す模式図。 第4実施例の燃料電池スタックにおいて触媒部が形成される範囲の例を示す模式図。 触媒部の形成範囲ごとの漏入酸素の低減効果を説明するため説明図。 触媒部の形成形状の相違による水素および酸素の反応効率の相違を説明するための説明図。 触媒部の形成形状の相違による水素および酸素の反応効率の相違を説明するための説明図。 第4実施例の燃料電池スタックの他の構成例を示す模式図。 第5実施例の燃料電池スタックを示す概略斜視図とそのマニホールドの構成を説明するための模式図。 第5実施例の燃料電池スタックを正面から見たときの概略図と、酸素排出用マニホールドの内部構成を示す概略断面図。 膨張シール部の機能を説明するための模式図。 第5実施例における酸素流入抑制構造の他の構成例を示す模式図。 第5実施例における酸素流入抑制構造の他の構成例を示す模式図。 第5実施例における酸素流入抑制構造の他の構成例を示す模式図。 第6実施例における燃料電池スタックと任意の単セルの構成を示す概略斜視図。 第6実施例の燃料電池スタックに設けられた酸素流入抑制構造を説明するための模式図。 第6実施例の燃料電池スタックに設けられた酸素流入抑制構造の他の構成例を説明するための模式図。
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての燃料電池スタックの構成を示す概略図である。この燃料電池スタック100は、酸化ガスとして空気(酸素)の供給を受け、燃料ガスとして水素の供給を受けることにより発電する固体高分子型燃料電池である。なお、燃料電池スタック100としては、固体高分子型燃料電池に限らず、任意の種々のタイプの燃料電池として構成することが可能である。
燃料電池スタック100は、複数の単セル110と、2枚のエンドプレート121a,121bと、2枚のターミナルプレート123a,123bと、2枚のインシュレータプレート124a,124bとを備える。単セル110は発電モジュールであり、積層されることにより、互いに電気的に直列接続される。単セル110の詳細な構成については後述する。
2枚のターミナルプレート123a,123bはそれぞれ、単セル110の積層体(以後、「セルスタック」とも呼ぶ。)の両端部に配置され、燃料電池スタック100に接続される外部負荷との接続端子として機能する。2枚のインシュレータプレート124a,124bは絶縁部材であり、それぞれ2枚のターミナルプレート123a,123bの外側に配置される。2枚のエンドプレート121a,121bはそれぞれ、2枚のインシュレータプレート124a,124bの外側に配置される。各単セル110には、この2枚のエンドプレート121a,121bを介して、締結部材(図示せず)からの積層方向に沿った締結荷重が付与される。
ここで、第1のエンドプレート121aには、水素の供給用及び排出用の配管201,202と、酸素の供給用および排出用の配管301,302と、冷媒の供給用および排出用の配管401,402とが接続されている。水素および酸素のための各配管201,202,301,302には、水素または酸素(反応ガス)の流れを制御するためのバルブ211,212,312,312が設けられている。
このように、燃料電池スタック100では、反応ガスや冷媒の供給及び排出が、第1のエンドプレート121a側において行われる。以後、燃料電池スタック100において、第1のエンドプレート121aの側を「供給配管接続側」と呼び、第2のエンドプレート121bの側を「スタック終端側」と呼ぶ。
図2(A)は、単セル110の構成を示す概略断面図である。単セル110は、シール一体型膜電極接合体10と、アノードセパレータ20と、カソードセパレータ30とを備える。シール一体型膜電極接合体10は、電解質膜1の両側にアノード電極2およびカソード電極3が設けられた発電体である膜電極接合体5を有する。電解質膜1は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜である。アノード電極2およびカソード電極3は、発電反応を促進するための触媒(例えば白金(Pt)など)を担持させたガス拡散性および導電性を有する部材によって形成することができる。具体的には、アノード電極2およびカソード電極3は、電解質膜1の外表面に媒担持カーボンと電解質溶液とを混合した触媒インクを塗布・乾燥させることによって形成できる。
シール一体型膜電極接合体10は、流体の漏洩を抑制するために、膜電極接合体5の外周に一体的に成形されたシール部12を有する。シール部12は、電解質膜1およびアノード電極2、カソード電極3の外周端を被覆するように熱硬化性の樹脂部材を射出成形することにより形成される。シール部12には、反応ガスや冷媒のためのマニホールド51〜56が貫通孔として形成されている。
図2(B)は、図2(A)に示す矢印Bの方向に沿って、シール一体型膜電極接合体10を見たときの概略図である。なお、図2(A)は図2(B)に示すA−A切断における概略断面図に相当する。ここで、シール一体型膜電極接合体10において、シール部12によって囲まれ、反応ガスの供給を受けて発電を行う領域を「発電領域GA」と呼ぶ。各マニホールド51〜56は、シール部12の発電領域GAを挟んで対向する両側にそれぞれ設けられている。具体的には、発電領域GAに対して、図2(B)の紙面左側において下側から順に、水素供給用マニホールド51と、冷媒供給用マニホールド55と、酸素排出用マニホールド54とが一列に配列されている。また、発電領域GAに対して、図2(B)の紙面右側において下側から順に、酸素供給用マニホールド53と、冷媒排出用マニホールド56と、水素排出用マニホールド52とが一列に配列されている。
ここで、図2(A),(B)に示す単セル110の酸素排出用マニホールド54は、隔壁57によって分離された第1と第2のマニホールド部54a,54bを有している。第1のマニホールド部54aは発電領域GA側(内側)に設けられており、第2のマニホールド部54bはシール部12の外周端側に設けられている。また、第1のマニホールド部54aの方が第2のマニホールド部54bより開口面積が大きくなるように形成されている。なお、本実施例の燃料電池スタック100では酸素排出用マニホールド54の構成が異なる部位があるが、その詳細については後述する。
アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30(図2(A))はそれぞれ、アノード電極2側およびカソード電極3側からシール一体型膜電極接合体10を狭持する、導電性を有するガス不透過の板状部材である。アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30には、シール一体型膜電極接合体10と同様に各マニホールド51〜56が形成される。なお、アノードセパレータ20とカソードセパレータ30の電極2,3と対向する側の面には、反応ガスのための流路溝が形成されるものとしても良い。
アノードセパレータ20とカソードセパレータ30と各電極2,3の間にはそれぞれ、ガス拡散部材15が配置される。ガス拡散部材15は、アノード電極2およびカソード電極3の全体に反応ガスを行き渡らせるためのガス拡散層(ガス流路)として機能するとともに、膜電極接合体5とセパレータ20,30との間の導電パスとして機能する。ガス拡散部材15は、カーボンペーパーや、カーボンクロス、いわゆるエキスパンドメタル、パンチングメタルなどの導電性を有する多孔質部材によって構成できる。
なお、アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30には、発電領域GAと反応ガスのためのマニホールド51〜54とを連通させるためのガス流路が形成されるが、その図示および説明は省略する。また、燃料電池スタック100を構成したときに、隣接する単セル110同士の間には、冷媒用のマニホールド55,56と接続する冷媒流路が発電領域GA全体を被覆するように形成されるが、その図示及び説明は省略する。
図3は、燃料電池スタック100における酸素の流れを説明するための模式図である。図3には、説明の便宜上、酸素供給用マニホールド53と酸素排出用マニホールド54とがあたかも同一切断面に位置するかのように図示されている。また、図3には、酸素用の各マニホールド53,54に接続する配管301,302と、各配管301,302に設けられたバルブ311,312とが模式的に図示され、酸素の流れを示す矢印が図示されている。なお、図3では、各単セル110の詳細な内部構成および他の流体のマニホールドや配管の図示は省略されている。
酸素供給用マニホールド53は、第1のエンドプレート121aからスタック終端側の端部に位置する単セル110(以後、「終端単セル110e」と呼ぶ)に渡って形成された直線状の流路として構成されている。一方、酸素排出用マニホールド54は、燃料電池スタック100の積層方向に沿って折り返し往復する流路として構成されている。
酸素排出用マニホールド54は、第1と第2のマニホールド部54a,54bと、連結マニホールド部54cとを有している。第1のマニホールド部54aは、排ガスの上流側に設けられ、各単セル110と接続されている。第2のマニホールド部54bは、排ガスの下流側に設けられ、外部の酸素排出用配管302と接続されている。第1と第2のマニホールド部54a,54bは隔壁57によって互いに分離されており、連結マニホールド部54cによって、スタック終端側において連結されている。ここで、燃料電池スタック100では、酸素排出用マニホールド54は、単セル110や3枚のプレート121a,123a,124aなどの各積層部材ごとに、以下に説明する構成によって形成されている。
図4(A)〜(B)は、燃料電池スタック100における各積層部材ごとの酸素排出用マニホールド54の構成を説明するための模式図である。図4(A)〜(B)には、図3の第1のエンドプレート121a側から積層方向に沿って見たときの各マニホールド51〜56が模式的に図示されている。なお、酸素排出用マニホールド54以外の各マニホールド51〜53,55,56は、いずれの部位においても、図2(B)の単セル110と同様に形成されている。
図4(A)は、第1のエンドプレート121aと、第1のインシュレータプレート124aと、第1のターミナルプレート123aにおける酸素排出用マニホールド54の構成を示している。これら3枚のプレート121a,123a,124aに形成された酸素排出用マニホールド54は、第1のマニホールド部54a(破線で図示)が閉塞されており、第2のマニホールド部54bのみが形成されている。以後、この酸素排出用マニホールド54の構成を「酸素出口用マニホールド構成」と呼ぶ。なお、これら3枚のプレート121a,123a,124aには、各マニホールド51〜56からの流体の漏洩を防止するための樹脂シール部が形成されることが好ましい。
図4(B)は、終端単セル110e以外の単セル110における酸素排出用マニホールド54の構成を示している。図4(B)に示す酸素排出用マニホールド54の構成は、図2(B)で説明した構成と同じである。以後、酸素排出用マニホールド54が、隔壁57によって第1と第2のマニホールド部54a,54bに分離された構成を「分離マニホールド構成」と呼ぶ。
図4(C)は、終端単セル110eにおける酸素排出用マニホールド54の構成を示している。終端単セル110eの酸素排出用マニホールド54は、隔壁57が省略され、第1と第2のマニホールド部54a,54bが連結された単一の貫通孔として形成されている。以後、この連結マニホールド部54cを形成するための酸素排出用マニホールド54の構成を「連結マニホールド構成」と呼ぶ。
ここで、燃料電池スタック100では、図3の矢印に示すように酸素が流れる。即ち、供給配管接続側から酸素供給用マニホールド53に供給された空気に含まれる酸素は、全ての単セル110へと流入し、発電反応に用いられる。発電反応に用いられることのなかった酸素を含む排ガスは、第1のマニホールド部54aまたは連結マニホールド部54cに排出され、第2のマニホールド部54bを経て、酸素排出用配管302から燃料電池スタック100の外部へと排出される。このように、本実施例の燃料電池スタック100の酸素排出用マニホールド54の流路長は、第1と第2のマニホールド部54a,54bが隔壁57によって分離されている分だけ長く構成されている。この理由を以下に説明する。
図5は、一般的な固体高分子型燃料電池の運転停止後における電位の変化を示すグラフである。燃料電池の運転停止時(時刻T0)には一般に、燃料電池と外部負荷との電気的接続が遮断されるとともに、反応ガスの供給側および排出側のバルブが閉じられる。この後、燃料電池は、電圧が低下して電圧がほぼ0Vとなる低電圧状態へと推移し、この状態が維持される(時刻T1〜T2)。しかし、バルブが閉じられ、外部負荷との電気的接続が遮断された状態が維持されていても、燃料電池の電圧が再び上昇し(時刻T2〜T3)、この電圧の上昇に伴って、カソード電極3の一部が劣化してしまうことが知られている。この運転停止後の電圧上昇は、以下のように発生するものと推察される。
図6(A)〜(D)は、運転停止後の燃料電池の内部の状態変化を段階的に示す模式図である。図6(A)〜(D)にはそれぞれ、固体高分子型燃料電池である燃料電池100aが模式的に図示されている。具体的には、電解質膜1とアノードセパレータ(図示せず)との間の領域がアノードAnとして模式的に示され、電解質膜1とカソードセパレータ(図示せず)との間の領域がカソードCaとして模式的に示されている。
なお、アノードAnには、水素の供給用および排出用の配管201,202が接続されており、カソードCaには、酸素の供給用および排出用の配管301,302が接続されている。また、各配管201,202,301,302には、ガスの流れを制御するためのバルブ211,212,311,312が設けられており、いずれも閉じられた状態である。なお、図では、各配管201,202,301,302に「×」を付すことにより、ガスの流れが遮断されていることを示してある。
図6(A)は、燃料電池100aの運転停止直後(図5の時刻T0)の状態を示している。このとき、アノードAnおよびカソードCaにはそれぞれ、主に反応ガスである水素H2および酸素O2と、不活性ガスである窒素N2とが残留した状態となる。なお、他の気体分子についての図示および説明は便宜上省略する。この後、アノードAnに残留した水素H2(以後、「残留水素H2」と呼ぶ)の一部が電解質膜1を介してカソードCa側へと拡散し、カソードCa側の酸素O2によって燃焼する(図6(B))。さらに、カソードCa側の酸素O2の一部は電解質膜1を介してアノードAn側へと拡散し、アノードAn側において残留水素H2との燃焼反応によって消費される。カソードCa内の酸素量が減少するに従って、燃料電池100aの電圧は低下する(図5の時刻T0〜T1)。
図6(C)は、燃料電池100a内の酸素O2が、残留水素H2との燃焼反応に消費され、ほとんど存在しなくなった状態を示している。この状態のときが、図5で説明した時刻T1〜T2の低電圧状態に相当する。この状態がしばらく(例えば数十分程度)継続すると、カソードCaに接続された酸素排出用配管302を介して外部の空気(酸素O2)が徐々に燃料電池100aの内部へと漏入してしまう(図6(D))。このカソードCaへと漏入する酸素O2(以後、「漏入酸素O2」と呼ぶ)と、残留水素H2との電気化学反応によって、燃料電池100aの電位が再び上昇しはじめる(図5の時刻T2〜T3)。
ここで、燃料電池100aは外部負荷との電気的接続が遮断され、アノードAnとカソードCaとの間での電子のやりとりが遮断された状態である。従って、この電気化学反応においては、アノードAnおよびカソードCaのそれぞれにおいて、反応に用いられる電子が供出されているものと推察される。具体的に、カソードCaでは、電極の局所領域における構成部材(白金や炭素)の酸化反応により生じた電子が用いられているものと推察される。従って、この運転停止後の電圧上昇によって、カソード電極が劣化してしまう。特に、燃料電池100aが複数の単セルが積層されたスタック構造を有する場合には、酸素排出用配管302に近い単セルほど酸素量および水素量が多くなるため、そのカソード電極3の劣化が著しくなる。
図7は、運転停止後の燃料電池スタック100を示す模式図である。図7は、バルブ311,312閉じられている点と、燃料電池スタック100内部における酸素の流れを示す矢印が異なる点以外は、図3とほぼ同じである。このように、本実施例の燃料電池スタック100によれば、隔壁57によって折り返す分だけ、単セル110までの漏入酸素の拡散距離が増大しており、各単セル110への漏入酸素の流入が抑制される。即ち、酸素排出用マニホールド54の第2のマニホールド部54bは、運転停止中の燃料電池スタック100において、カソード電極3へと外部の酸素が流入することを抑制する酸素流入抑制構造として機能する。これによって、燃料電池スタック100の運転停止後に酸素が漏入することによるカソード電極3の劣化が抑制される。
また、本実施例の燃料電池スタック100では、単セル110と接続された第1のマニホールド部54aの方が、第2のマニホールド部54bよりも流路断面積が大きく構成されている。これによって、燃料電池スタック100では、運転中における第1のマニホールド部54aへの排ガスの排出性の低下が抑制されるとともに、運転停止後における第2のマニホールド部54bへの酸素の漏入が抑制される。
図8は、本実施例における燃料電池スタック100の他の構成例を説明するための模式図である。図8は、隔壁57の長さが異なる点と、漏入酸素の流れを示す矢印が異なる点以外は、図7とほぼ同じである。このように、燃料電池スタック100は、スタック終端側において、連結マニホールド構成を有する単セル110の数を増加させ、第1と第2のマニホールド部54a,54bの流路長を短く構成するものとしても良い。この場合に、隔壁57は、2つのターミナルプレート123a,123bの間の距離に対して、1/5〜1/6程度の長さで形成されることが好ましい。ここで、前記のとおり、酸素排出用マニホールド54において隔壁57が省略された場合には、酸素排出用配管302の接続位置に近い単セル110ほど酸素の漏入によるカソード電極3の劣化が著しくなる。従って、少なくとも上記範囲の長さで隔壁57を設ければ、少なくとも酸素排出用配管302の接続位置に近い位置の単セル110への酸素の漏入を抑制することができ、当該単セル110におけるカソード電極3の劣化を抑制することが可能である。
このように、本実施例の燃料電池スタック100では、酸素排出用マニホールド54が、酸素流入抑制構造として機能する第2のマニホールド部54bを有しているため、運転停止後に酸素が各単セル110へと漏入することを抑制できる。従って運転停止後に燃料電池スタック100のカソード電極3が劣化してしまうことを抑制できる。
B.第2実施例:
図9は、本発明の第2実施例としての燃料電池スタック100Aの構成を示す模式図である。図9は、酸素排出用マニホールド54Aの構成が異なる点と、酸素排出用配管302が第2のエンドプレート121b側に接続されている点以外は、図3とほぼ同じである。なお、燃料電池スタック100Aの構成は、以下に説明する点以外は、第1実施例の燃料電池スタック100と同じである。第2実施例の酸素排出用マニホールド54Aは、燃料電池スタック100Aの各積層部材ごとに、以下の形状を有する貫通孔として形成される。
図10(A)〜(C)は、燃料電池スタック100Aの各積層部材ごとの酸素排出用マニホールド54Aの構成を説明するための図4と同様な模式図である。図10(A)は、供給配管側の端部に位置する単セル110(以後、「始端単セル110t」と呼ぶ)における酸素排出用マニホールド54Aの構成を示す概略図である。始端単セル110tの酸素排出用マニホールド54Aは、連結マニホールド構成を有する。
図10(B)は、始端単セル110t以外の全ての単セル110における酸素排出用マニホールド54Aの構成を示す概略図である。始端単セル110t以外の全ての単セル110は、分離マニホールド構成を有する。ただし、第2実施例の酸素排出用マニホールド54Aは、直交する内壁面を連結する隔壁57を有しており、これにより、第1のマニホールド部54aが略五角形状を有するとともに、第2のマニホールド部54bが略三角形状を有している。
図10(C)は、第2のエンドプレート121bと、第2のターミナルプレート123bと、第2のインシュレータプレート124bにおける酸素排出用マニホールド54Aの構成を示す概略図である。これら3枚のプレート121b、123b,124bは、第2のマニホールド部54bのみが形成された酸素出口用マニホールド構成を有している。
第2実施例の燃料電池スタック100A(図9)では、カソード側からの排ガスが、第1のマニホールド部54aにおいて供給配管接続側へと流れるとともに、連結マニホールド部54cにおいて折り返す。そして、排ガスは、第2のマニホールド部54bにおいてスタック終端側へと流れ、酸素排出用配管302を介して燃料電池スタック100Aの外部へと排出される。このような排ガスの流れとすることにより、供給配管接続側の単セル110ほど排ガスの排出性を向上させることができる。
このような構成であっても、燃料電池スタック100Aの運転停止中において、酸素排出用配管302からの漏入酸素の拡散距離は、隔壁57に沿って第2のマニホールド部54bから第1のマニホールド部54aへと折り返す分だけ増大している。従って、運転停止中の燃料電池スタック100Aにおける漏入酸素によるカソード電極3の劣化が抑制される。
また、第2実施例の燃料電池スタック100Aでは、第1のマニホールド部54aが略五角形状を有するとともに、第2のマニホールド部54bが略三角形状を有してる。これによって、第1実施例のように第1と第2のマニホールド部54a,54bを略四角形で構成した場合に比較して、第1と第2のマニホールド部54a,54bにおける等価直径を増大させて圧力損失を低減させることが可能である。従って、カソード側の排ガスの排出性を向上させることができる。
C.第3実施例:
図11は本発明の第3実施例としての燃料電池スタック100Bの構成を示す模式図である。図11は、隔壁57が分断された箇所を有する点と、酸素の流れを示す矢印が異なる点以外は図3とほぼ同じである。この燃料電池スタック100Bでは、分割マニホールド構成(図10(B))を有する単セル110の間に、連結マニホールド構成(図10(A))を有する単セル110が介装されている。これによって、酸素排出用マニホールド54Bの隔壁57には、積層方向に渡って配列された、第1と第2のマニホールド部54a,54bを連通する複数の連通部58hが形成される。
このような構成とすることにより、連通部58hが、第1とマニホールド部54aと第2のマニホールド部54bとの間の排ガスのショートカットとして機能する。従って、酸素流入抑制構造を有する酸素排出用マニホールド54Bにおいて、各単セル110からの排ガスの排出性が向上する。
D.第4実施例:
図12は本発明の第4実施例としての燃料電池スタック100Dの構成を示す模式図である。図12は、酸素排出用マニホールド54Dが隔壁57を有しておらず、酸素供給用マニホールド53と同様な直線状の流路として形成されている点と、触媒部350が設けられている点以外は、図7とほぼ同じである。なお、図12には、燃料電池スタック100Dの運転時における重力方向を矢印Gによって示してある。
この燃料電池スタック100Dでは、運転中に各単セル110から酸素排出用マニホールド54Dへと排出された排ガスは、そのまま供給配管接続側へと流れ、酸素排出用配管302を介して燃料電池スタック100Dの外部へと排出される。なお、燃料電池スタック100Dは、運転の際には、その積層方向がほぼ水平となり、酸素排出用マニホールド54D側が、酸素供給用マニホールド53側より重力方向下側となるように配置される。このように配置されることによって、各単セル110において生じた生成水を重力に従って酸素排出用マニホールド54Dに誘導できるため、排水性を向上させることができる。
燃料電池スタック100Dには、バルブ312と始端単セル110tとの間の酸素排出用配管302および酸素排出用マニホールド54Dの内壁面に、水素と酸素との反応を促進するための触媒(例えば白金等)を塗布した触媒部350が設けられている。より具体的には、触媒部350は、バルブ312を閉じたときに封止される位置(バルブ312における弁体と弁座の接触位置)から、酸素排出用マニホールド54Dにおける始端単セル110tのカソード側からの排ガスの排出口までの間に設けられている。以下に、触媒部350の機能を説明する。
図13(A),(B)は、燃料電池スタック100Dの運転停止後における酸素および水素の濃度分布を示す模式図である。図13(A),(B)にはそれぞれ、燃料電池スタック100Dの各膜電極接合体5と、各膜電極接合体5に接続する水素用のマニホールド51,52および酸素用のマニホールド53,54Dが模式的に図示されている。なお、図13(A),(B)には、酸素排出用マニホールド54Dと酸素排出用配管302とが一体的に図示されており、閉じられた状態のバルブ312を、酸素排出用配管302のくびれ部として図示してある。図13(A),(B)の燃料電池スタック100Dには、水素または酸素の濃度が濃い領域ほどハッチングの濃度を濃くして示してある。
ここで、図6において説明したように、一般に、運転停止後の燃料電池では、反応ガスのための流路のバルブを閉じて封止すると、燃料電池内に残留していた酸素のほとんどが、水素と反応して消費される。燃料電池スタック100Dにおいても、各膜電極接合体5や酸素用のマニホールド53,54Dには酸素がほとんどない状態となる(図13(A))。しかし、酸素排出用配管302において、バルブ312より上流側には、漏入酸素が微量ながら存在する。この漏入酸素は、時間の経過とともに次第に増加し、酸素排出用配管302内および酸素排出用マニホールド54D内へと拡散していく。
一方、酸素濃度分布が図13(A)の状態のときに、燃料電池スタック100Dにおける水素濃度分布は、供給配管接続側ほど濃度が高く、スタック終端側および酸素排出用配管302の下流側ほど濃度が低い状態となる。この後、水素は次第に、酸素排出用配管302のバルブ312側へと拡散していく。
触媒部350(図12)は、酸素排出用配管302内に拡散してくる水素と漏入酸素との反応を促進さて、漏入酸素を消費することにより、漏入酸素が各単セル110のカソード電極3へと流れることを抑制する。即ち、触媒部350は、運転停止中においてカソード電極3へと外部の酸素が流入することを抑制する酸素流入抑制構造として機能する。
ところで、触媒部350は、重力方向上側の内壁面に設けられることが好ましい。酸素排出用マニホールド54Dおよび酸素排出用配管302の重力方向下側の内壁面は、燃料電池スタック100Dの運転中に生じる排水によって浸水してしまう可能性があるためである。なお、触媒部350は、以下のような範囲で設けられるものとしても良い。
図14(A)〜(F)はそれぞれ、触媒部350が形成される範囲の例を示す模式図である。図14(A)〜(F)にはそれぞれ、図12の燃料電池スタック100Dの一部が図示されており、それぞれに触媒部350が異なる位置・範囲で設けられている。図14(A)に示す例1では、触媒部350は、バルブ312に近接して設けられている。より具体的には、触媒部350は、酸素排出用配管302がバルブ312を閉じたときに封止される位置に近接して設けられている。
図14(B)に示す例2では、触媒部350は次の位置に形成されている。ここで、バルブ312の位置を0とし、酸素排出用配管302と酸素排出用マニホールド54Dとの接続部(以後、「配管接続部」と呼ぶ)の位置を1とする仮想的数直線NLを想定する。このときに、触媒部350は、仮想的数直線NL上の1/4の位置に相当する酸素排出用配管302内の位置に、触媒部350の中央部が位置するように形成されている。ここで、「バルブ312の位置」とは、より具体的には、酸素排出用配管302においてバルブ312を閉じたときに封止される位置を意味する。
図14(C)に示す例3では、触媒部350は、仮想的数直線NL上の3/8の位置に相当する酸素排出用配管302内の位置に、触媒部350の中央部が位置するように形成されている。図14(D)に示す例4では、触媒部350は、仮想的数直線NL上の1/2の位置に相当する酸素排出用配管302内の位置に、触媒部350の中央部が位置するように形成されている。
図14(E)に示す例5では、触媒部350は、第1のエンドプレート121aの酸素排出用マニホールド54Dの内壁面にのみ設けられている。図14(F)に示す例6では、触媒部350は、仮想的数直線NL上の1/2に相当する酸素排出用配管302内の位置から配管接続部に渡って形成されている。
図15は、図14(A)〜(F)において説明した例1〜例6のそれぞれの位置に触媒部350を設けた場合の漏入酸素の低減効果を説明するためのグラフである。グラフIf1〜If6はそれぞれ、例1〜例6の構成において、燃料電池スタック100Dの運転停止後の燃料電池スタック100D内部に存在する酸素量の時間変化をシミュレーションした結果を示している。また、グラフIfcは、比較例として、触媒部350を省略した場合の酸素量の時間変化をシミュレーションした結果を示している。なお、グラフIf1〜If5では、触媒部350は、形成位置のみを変えて、同一面積・同一形状で形成した場合をシミュレートした。また、グラフIf6では、触媒部350の面積をグラフIf1〜If5の場合と同じにしてシミュレートした。さらに、いずれのグラフIf1〜If6においても、触媒部350の単位面積あたりの重量は同じであるものとしてシミュレートした。
このように、触媒部350は、より上流側に設けられている方が、燃料電池スタック100Dの内部に酸素が流入し始める時間を遅延させることができるとともに、流入する酸素量自体を減少させることができるため好ましい(グラフIf1〜If6)。より具体的には、触媒部350は、バルブ312から配管接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、酸素排出用マニホールド54D側の3/4の範囲内に設けられていることが好ましい。また、触媒部350は、上記全範囲のうち、少なくとも、酸素排出用マニホールド54D側の5/8の範囲内に設けられていることがより好ましく、酸素排出用マニホールド54D側の1/2の範囲内に設けられていることがさらに好ましい。特に、触媒部350は、上記全範囲の中央位置から配管接続部に渡って設けられていることが最も好ましい(グラフIf6)。
なお、触媒部350は、酸素排出用配管302における排ガスの流れ方向(配管方向)に沿って縦長に形成されることが好ましい。具体的には、例えば、触媒部350を4cm2の面積で設ける場合、ガスの流れ方向に沿った長さを10mm、かつ、幅を40mmとするよりも、ガスの流れ方向に沿った長さを40mm、かつ、幅を10mmとする方が好ましい。
図16,図17は、触媒部350の形成形状の相違による水素および酸素の反応効率の相違を説明するための説明図である。図16(A),(B)のグラフはそれぞれ、酸素排出用配管302の配管方向における水素および酸素の濃度分布を燃料電池スタック100Dの運転停止後の時刻t0〜t6ごとに算出した結果である。なお、図16(A),(B)の各グラフの横軸は、酸素排出用配管302のバルブ312の位置を0.0とし、配管接続部の位置を1.0とする配管方向に沿った位置(以後、「配管内位置」と呼ぶ)を示している。図16(A),(B)は、触媒部350を配管内位置の0.9〜1.0の範囲で設けた場合をシミュレートした結果である。
図17(A),(B)のグラフはそれぞれ、触媒部350を配管内位置の0.5〜1.0の範囲で設けた場合をシミュレートした結果を示す図16(A),(B)と同様なグラフである。図17(A),(B)ではそれぞれ、燃料電池スタック100Dの運転停止後の時刻t1〜t7ごとの水素および酸素の濃度分布が示されている。ここで、触媒部350は、図16と図17のいずれの場合においても、同一の面積で形成されている。即ち、図17の場合の方が、図16の場合よりも、触媒部350が配管方向に沿って、より狭い幅で長く形成されている。
図16,図17のグラフから、触媒部350を配管方向に沿って縦長に形成した方が、反応に用いられる水素と酸素の量が増加し、反応効率が向上していることがわかる。これによって、バルブ312側へと水素が拡散することが抑制されるとともに、酸素排出用配管302内で酸素が消費される量が増大し、各単セル110への酸素の流入が抑制されている。
図18は、第4実施例の燃料電池スタック100Dの他の構成例を示す模式図である。図18は、酸素排出用配管302内に、触媒部350に換えて、触媒担持部材352が配置されている点と、酸素排出用配管302が重力方向下側に傾斜している点以外は、図12とほぼ同じである。触媒担持部材352は、触媒部350と同様な触媒が塗布された部材であり、触媒部350と同様に、漏入酸素と水素との反応を促進させるためのものである。なお、触媒担持部材352としては、直径1mm〜2mm程度の針金状の線状部材であるとしても良いし、厚さ1mm〜2mm程度の板状部材であるとしても良い。なお、酸素排出用配管302は、その流側が重力方向下側となるように傾斜して取り付けられることにより、その排水性が向上されている。
このように、第4実施例の燃料電池スタック100Dでは、触媒部350や触媒担持部材352が、酸素排出用配管302や酸素排出用マニホールド54D内に設けられた酸素流入抑制構造として機能する。これによって、第4実施例の燃料電池スタック100Dでは、運転停止後に各単セル110へと外部の酸素が流入してしまうことを抑制でき、カソード電極3が劣化してしまうことを抑制できる。
E.第5実施例:
図19(A)は本発明の第5実施例としての燃料電池スタック100Eを示す概略斜視図である。この燃料電池スタック100Eは、第1と第2のセルスタック111,112を備える。第1と第2のセルスタック111,112は、第4実施例で説明したのと同様な複数の単セル110が積層された発電積層体であり、それぞれに、第4実施例の燃料電池スタック100Dと同様なマニホールド51〜54Dが形成されている。
図19(B)は、第1と第2のセルスタック111,112のそれぞれに設けられた各マニホールド51〜54Dの配置構成を説明するための模式図である。図19(B)には、燃料電池スタック100Eを積層方向に沿って見たときの第1と第2のセルスタック111,112が模式的に図示されている。燃料電池スタック100Eでは、第1と第2のセルスタック111,112のそれぞれの水素排出用マニホールド52および酸素供給用マニホールド53は、互いに隣り合う内側の位置に形成されている。また、第1と第2のセルスタック111,112のそれぞれの水素供給用マニホールド51および酸素排出用マニホールド54Dは、燃料電池スタック100Eの外側の位置に形成されている。
第1と第2のセルスタック111,112はそれぞれ共通の第1と第2のエンドプレート121a,121bによって積層方向から狭持されて締結される(図19(A))。第1のエンドプレート121aには、反応ガスの供給・排出のための分岐配管203,204,303,304が接続されている。供給用の分岐配管203,303はそれぞれ、第1と第2のセルスタック111,112のそれぞれの水素供給用マニホールド51または酸素供給用マニホールド53に接続する。排出用の分岐配管204,304は、第1と第2のセルスタック111,112のそれぞれの水素排出用マニホールド52または酸素排出用マニホールド54に接続する。
なお、各分岐配管203,204,303,304には、燃料電池スタック100Eの運転が停止された際に閉じられるバルブ211,212,311,312が設けられているが、その図示は省略する。また、燃料電池スタック100Eには、冷媒の供給・排出のための配管が接続されるが、その図示および説明は省略する。
図20(A)は、燃料電池スタック100Eを正面から見たときの概略図である。なお、図20(A)には、各分岐配管204,304に設けられたバルブ212,312の図示が追加されている。なお、図20(A)は、燃料電池スタック100Eの運転停止後の状態を示しており、バルブ212,312が閉じられた状態を示している。図20(B)は、燃料電池スタック100Eの酸素排出用マニホールド54Dの内部構成を説明するための概略断面図であり、酸素排出用マニホールド54Dの第2のエンドプレート121b側の底部(端部)54Deが図示されている。
この燃料電池スタック100Eの酸素排出用マニホールド54Dの端部54Deには、第2のエンドプレート121bを貫通する貫通孔141が設けられている。また、酸素排出用マニホールド54Dの端部54Deには、膨張シール部142が、貫通孔141を被覆するように配置されている。膨張シール部142は、外力に応じて膨張・収縮可能な樹脂部材によって構成されており、その外周端部が気密的に接着されている。
図21は、膨張シール部142の機能を説明するための模式図である。ここで、運転停止後の燃料電池スタック100Eでは、カソード側に残留した酸素が水素と反応してほとんど存在しなくなる状態へと推移する(図6(C))。このとき、燃料電池スタック100Eのカソード側には負圧が生じ、この負圧によって、酸素排出側の分岐配管303を介した外部の酸素の漏入が促進される(図6(D))。しかし、この燃料電池スタック100Eでは、酸素排出用マニホールド54D内に負圧が生じると、膨張シール部142が、酸素排出用マニホールド54D内の容積を低減する方向に膨張して負圧を低減させる(図21)。従って、この燃料電池スタック100Eでは、運転停止後の酸素の漏入が抑制され、カソード電極3の劣化が抑制される。即ち、この燃料電池スタック100Eでは、酸素排出用マニホールド54Dに設けられた膨張シール部142が、運転停止後に外部の酸素が酸素排出用マニホールド54Dへと流入することを抑制する酸素流入抑制構造として機能する。
図22(A),(B)は、第5実施例における酸素流入抑制構造の他の構成例を示す模式図である。図22(A),(B)は、第2のエンドプレート121bの外表面側に膨張シール部142を内部に収容する収容容体143が設けられている点以外は、図20(B)および図21とほぼ同じである。なお、この構成例における燃料電池スタック100Eの他の構成は、図19で説明した構成と同様である。
収容容体143は、膨張シール部142によって気密的に分離された第1と第2の中空部143a,143bを有している。収容容体143は、第1の中空部143aが貫通孔141を介して酸素排出用マニホールド54Dと連通するように、第2のエンドプレート121bの外側に気密的に取り付けられる。また、収容容体143には、第2の中空部143bへと外気が侵入可能なように貫通孔143hが設けられている。この構成により、酸素排出用マニホールド54D内に負圧が発生する場合には、膨張シール部142が酸素排出用マニホールド54D側に膨張する。即ち、膨張シール部142の膨張により、第1の中空部143aの容積が低減し、酸素排出用マニホールド54D内の負圧が低減される(図22(B))。このように、図22の構成例によっても、燃料電池スタック100Eの運転停止後における酸素の漏入が抑制され、カソード電極3の劣化が抑制される。
図23(A),(B)は、第5実施例における酸素流入抑制構造の他の構成例を示す模式図である。図23(A),(B)は、膨張シール部142に換えて収容容体143内にピストン142aが設けられている点以外は図22(A),(B)とほぼ同じである。ピストン142aは、収容容体143の第1と第2の中空部143a,143bを気密的に分離しており、外気と酸素排出用マニホールド54Dとの圧力差に応じて収容容体143内を移動可能である。
ピストン142aは、通常は、収容容体143の比較的した側に位置する(図23(A))。しかし、ピストン142aは、酸素排出用マニホールド54D内に負圧が発生する場合には、第1の中空部143aの容積を低減する方向に移動する(図22(B))。この図23の構成例によっても、図22の構成例と同様に、燃料電池スタック100Eの運転停止後における酸素の漏入が抑制され、カソード電極3の劣化が抑制される。
図24は、第5実施例における酸素流入抑制構造の他の構成例を示す模式図である。図24は、図22で説明した膨張シール部142を有する収容容体143が、酸素排出用の分岐配管304に接続されている点以外は、図20(A)とほぼ同じである。収容容体143は、第1の中空部143aが分岐配管304と連通するように取り付けられている。これによって、分岐配管403内に負圧が発生する場合に、膨張シール部142による第1の中空部143aの容積の変化により、その負圧が低減される。従って、燃料電池スタック100Eの運転停止後における酸素の漏入が抑制され、カソード電極3の劣化が抑制される。
このように、第5実施例の燃料電池スタック100Eによれば、酸素排出用マニホールド54Dや、酸素排出用マニホールド54Dに連通する空間内の容積を変化させることにより、運転停止後の燃料電池スタック100E内部における負圧の発生を抑制できる。従って、燃料電池スタック100Eの運転停止後に、酸素排出用の分岐配管304や酸素排出用マニホールド54Dへの酸素の漏入が抑制され、カソード電極3の劣化が抑制される。なお、この第5実施例で説明した酸素流入抑制構造は、酸素供給用マニホールド53などの酸素供給側の流路に設けられるものとしても良い。
F.第6実施例:
図25(A)は、本発明の第6実施例としての燃料電池スタックの構成を示す概略斜視図である。この燃料電池スタック100Fは、第4実施例で説明した燃料電池スタック100D(図12)と同様な構成を有しており、複数の単セル110が積層されたスタック構造を有している。なお、第1のエンドプレート121aには、反応ガスの供給用配管201,202と排ガスのための排出用配管301,302が接続されている。各配管には、燃料電池スタック100Fの運転停止の際に閉じられるバルブ211,212,311,312が設けられているが、その図示および説明は省略する。
図25(B)は、燃料電池スタック100Fの任意の単セル110を示す概略斜視図である。単セル110は、アノードセパレータ20とカソードセパレータ30とで狭持されたシール一体型膜電極接合体10を有する。なお、単セル110に設けられた各マニホールド51〜54Dは、略円筒状の流路として図示されているが、各マニホールド51〜54Dは、他の形状を有する流路として構成されるものとしても良い。また、冷媒用のマニホールド55,56の図示および説明は省略する。
図26(A1),(A2),(B1),(B2)は、燃料電池スタック100Fに設けられた酸素流入抑制構造を説明するための模式図である。図26(A1),(A1),(B1),(B2)にはそれぞれ、各単セル110に設けられた酸素排出用マニホールド54Dが模式的に図示されている。図26(A1),(B1)は、図25(A),(B)と同様な方向から見たときの酸素排出用マニホールド54Dを示しており、図26(A2),(B2)は、単セル110の積層方向に沿って見たときの酸素排出用マニホールド54Dを示している。なお、図26(A1),(A2),(B1),(B2)にはそれぞれ、図25に図示された三次元矢印x,y,zに対応する三次元矢印x,y,zが図示されている。
図26(A1),(A2)はそれぞれ、燃料電池スタック100Fの運転中における酸素排出用マニホールド54Dの状態を示している。酸素排出用マニホールド54Dは、膜電極接合体5のカソード電極3側に連通する連通流路60と接続されており、カソード電極3からの排ガスは、連通流路60を介して酸素排出用マニホールド54Dへと排出される。
ここで、酸素排出用マニホールド54Dには連通流路60を封止するための封止部材63が設けられている。封止部材63は、酸素排出用マニホールド54Dの内壁面に密着可能なフィルム状部材であり、連通流路60の入口部において、連通流路60を開閉可能なように、その端部64が酸素排出用マニホールド54Dの内壁面に取り付けられている。燃料電池スタック100Fの運転中には、連通流路60からの排ガスの風圧により、封止部材63は開放状態となる。
図26(B1),(B2)はそれぞれ、燃料電池スタック100Fの運転停止後に、燃料電池スタック100F内部の酸素が残留水素との反応に消費されてほとんど存在しなくなったとき(図6(C))の酸素排出用マニホールド54Dの状態を示している。このとき、各単セル110のカソード電極3側では、酸素の消費に伴って負圧が発生する。この負圧によって、封止部材63は連通流路60側へと吸引されて連通流路60を封止する。即ち、この燃料電池スタック100Fでは、運転停止後にバルブ211,212,311,312が閉じられるとともに、酸素排出用マニホールド54Dにおいて、各単セル110のカソード出口側が封止される。
これによって、酸素排出用マニホールド54D内における負圧の発生が抑制され、酸素排出用マニホールド54Dへの酸素の漏入が抑制される。また、酸素排出用マニホールド54Dへと酸素が漏入した場合であっても、連通流路60は封止部材63によって閉じられているため、漏入酸素が各単セル110のカソード電極3側へと流入することが抑制される。なお、燃料電池スタック100Fが運転を再開した場合には、各単セル110のカソード電極3側からの排ガスの風圧によって、封止部材63は再び開放状態に戻る(図26(A1),(A2))。
図27(A),(B)は、燃料電池スタック100Fに設けられた酸素流入抑制構造の他の構成例を説明するための模式図である。図27(A),(B)はそれぞれ、燃料電池スタック100Fを積層方向に沿って切断したときの酸素排出用マニホールド54Dの概略断面図である。図27(A)は燃料電池スタック100Fの運転中の状態を示しており、図27(B)は燃料電池スタック100Fの運転停止後に、燃料電池スタック100Fの内部に負圧が発生した状態を示している。
燃料電池スタック100Fには、酸素排出用配管302と第1のエンドプレート121aとの接続部に、流路開閉機構65が設けられている。流路開閉機構65は、酸素排出用配管302の流路断面形状と同様な形状を有している蓋体66と、酸素排出用配管302の内周壁面に気密的に取り付けられたシールリング67とを備える。蓋体66は、酸素排出用配管302内に開閉動作可能なように取り付けられている。シールリング67は、蓋体66が閉じたときに、蓋体66の外周端と気密的に接触する。蓋体66は、燃料電池スタック100Fの運転中は、排ガスの風圧によって、酸素排出用配管302側へと開く(図27(A))。そして、燃料電池スタック100Fの運転停止後に、燃料電池スタック100Fの内部で負圧が発生すると、蓋体66は、酸素排出用マニホールド54D側へと吸引されてシールリング67と接触して、酸素排出用マニホールド54Dを閉じる。これにより、酸素排出用配管302を介して漏入酸素が各単セル110へと流入することが抑制される。
このように、燃料電池スタック100Fの酸素排出用マニホールド54Dは、封止部材63や流路開閉機構65が、運転停止後のカソード電極3側への酸素の流入を抑制する酸素流入抑制構造として機能する。従って、燃料電池スタック100Fの運転停止後に、漏入酸素によってカソード電極3が劣化してしまうことを抑制できる。なお、図26の封止部材63の方が、各単セル110ごとに連通流路60を封止でき、より確実に酸素の流入を抑制することができるため好ましい。
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、上記の各実施例の構成を組み合わせて実施することも可能である。例えば、第1実施例の燃料電池スタック100の酸素排出用配管302に第4実施例の触媒部350を設けるものとしても良い。また、以下のような変形も可能である。
G1.変形例1:
上記第1ないし第3実施例において、第1のマニホールド部54aの流路断面積は、第2のマニホールド部54bの流路断面積より大きく構成されていた。しかし、第1のマニホールド部54aの流路断面積は、第2のマニホールド部54bの流路断面積より大きく構成されていなくとも良い。ただし、第1のマニホールド部54aの流路断面積を比較的大きくすることにより、運転中における各単セル110のカソード電極3側からの排ガスや排水の排出性が向上するため好ましい。
G2.変形例2:
上記第1ないし第3実施例において、酸素排出用マニホールド54の第1と第2のマニホールド部54a,54bは、各単セル110ごとに形成される酸素排出用マニホールド54の構成を変えることにより形成されていた。しかし、第1と第2のマニホールド部54a,54bは、他の方法により形成されるものとしても良い。例えば、板状部材によって構成された隔壁57を連結マニホールド構成を有するマニホールド内に挿入・配置することにより、第1と第2のマニホールド部54a,54bを形成するものとしても良い。
G3.変形例3:
上記第4実施例において、触媒部350や触媒担持部材352は、酸素排出用配管302内の重力方向上側に設けられていたが、重力方向下側に設けられるものとしても良い。また、触媒部350や触媒担持部材352は、酸素排出用配管302の内壁面の内周に渡って設けられているものとしても良い。上記第4実施例において、燃料電池スタック100Dは、酸素排出用マニホールド54D側が、酸素供給用マニホールド53側より重力方向下側となるように略水平に配置されていた。しかし、燃料電池スタック100Dは、重力方向に対して任意の角度や方向で配置されるものとしても良い。
G4.変形例4:
上記第5実施例において、燃料電池スタック100Eは、2つのセルスタック111,112を備えていたが、燃料電池スタック100Eは、単一のセルスタックのみを有するものとしても良い。
G5.変形例5:
上記第6実施例において、封止部材63や流路開閉機構65は、酸素排出用マニホールド54D内におけるガス圧によって開閉していた。しかし、封止部材63や流路開閉機構65は、例えば、電磁的な外力によって強制的に開閉されるものとしても良い。
2…アノード電極
3…カソード電極
5…膜電極接合体
10…シール一体型膜電極接合体
12…シール部
15…ガス拡散部材
20…アノードセパレータ
30…カソードセパレータ
51…水素供給用マニホールド
52…水素排出用マニホールド
53…酸素供給用マニホールド
54,54A,54B,54D…酸素排出用マニホールド
54De…端部
54a…第1のマニホールド部
54b…第2のマニホールド部
54c…連結マニホールド部
55…冷媒供給用マニホールド
56…冷媒排出用マニホールド
57…隔壁
58h…連通部
60…連通流路
63…封止部材
64…端部
65…流路開閉機構
66…蓋体
67…シールリング
100…燃料電池スタック
100A…燃料電池スタック
100B…燃料電池スタック
100D…燃料電池スタック
100E…燃料電池スタック
100F…燃料電池スタック
100a…燃料電池
110…単セル
110e…終端単セル
110t…始端単セル
111,112…第1と第2のセルスタック
121a…第1のエンドプレート
121b…第2のエンドプレート
123a…第1のターミナルプレート
123b…第2のターミナルプレート
124a…第1のインシュレータプレート
124b…第2のインシュレータプレート
141…貫通孔
142…膨張シール部
142a…ピストン
143…収容容体
143a…第1の中空部
143b…第2の中空部
143h…貫通孔
201,202,301,302…配管
203,204,303,304…分岐配管
211,212,311,312…バルブ
350…触媒部
352…触媒担持部材
401,402…配管
403…分岐配管
An…アノード
Ca…カソード
GA…発電領域

Claims (6)

  1. 燃料電池スタックであって、
    アノード電極とカソード電極とで電解質膜が狭持された膜電極接合体を有する複数の発電モジュールが積層された発電積層体と、
    前記発電積層体の積層方向に沿って延び、前記複数の発電モジュールのそれぞれの前記カソード電極側に接続された排ガス用マニホールドと、
    前記発電積層体の端部において、前記排ガス用マニホールドと接続された排ガス用配管と、
    前記排ガス用配管に設けられたバルブと、
    を備え、
    前記排ガス用マニホールドまたは前記排ガス用配管は、前記燃料電池スタックの運転停止後に、前記バルブが閉じた状態において、前記排ガス用配管を介して前記カソード電極側へと前記燃料電池スタックの外部から酸素が流入することを抑制するための酸素流入抑制構造を有しており、
    前記排ガス用配管内には、前記バルブから、前記排ガス用配管の接続位置に最も近い前記発電モジュールまでの間に、前記酸素流入抑制構造として機能する触媒部が設けられており、
    前記触媒部は、前記燃料電池スタックの運転停止後に、前記燃料電池スタックの内部に残留した燃料ガスと、前記燃料電池スタックの外部から流入してきた酸素との反応を促進させ、前記排ガス用配管内において前記酸素を消費することにより、前記酸素の前記カソード電極側への流入を抑制し、
    前記排ガス用配管は、下流側が重力方向下側となるように前記発電積層体に取り付けられており、
    前記排ガス用配管内の前記触媒部は、前記排ガス配管の重力方向上側の内壁面に設けられている、燃料電池スタック。
  2. 請求項記載の燃料電池スタックであって、
    前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、前記排ガス用マニホールド側の3/4の範囲内に設けられている、燃料電池スタック。
  3. 請求項または請求項記載の燃料電池スタックであって、
    前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、前記排ガス用マニホールド側の5/8の範囲内に設けられている、燃料電池スタック。
  4. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の燃料電池スタックであって、
    前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、少なくとも、前記排ガス用マニホールド側の1/2の範囲内に設けられている、燃料電池スタック。
  5. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の燃料電池スタックであって、
    前記触媒部は、前記バルブから前記排ガス用配管と前記排ガス用マニホールドとの接続部に至る全範囲のうち、前記全範囲の中央から前記接続部に渡って設けられている、燃料電池スタック。
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の燃料電池スタックであって、
    前記触媒部は、前記排ガス用配管における排ガスの流れ方向に沿って縦長に形成されている、燃料電池スタック。
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