本発明の実施例1では、外部から入力される映像信号に基づいて、2次元表示と3次元表示(立体表示)とを切り替えて表示する映像表示装置を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る映像表示装置100の分解斜視図である。
映像表示装置100は、光源120と、映像表示部130と、偏光軸制御板180とを図1に示す順で備え、これらが図示しない筐体に収容されている。また、映像表示部130は、偏光板(直線偏光生成部)150、映像生成部160及び偏光板170を含む。この映像表示装置100に表示される映像を後述する観察者が観察する場合、観測者は、図1に示した矢印X1の方向から(図1における偏光軸制御板180よりも右側から)観察する。
光源120は、観察者から見て映像表示装置100の最も奥側に配され、映像表示装置100を使用している状態(以下、「映像表示装置100の使用状態」と略称する)において、白色の非偏光、または光源からの光を効率良く利用するために設けられた反射型偏光板で、偏光板150の方向に一致する光を透過し、それ以外の成分を反射して戻し、バックライトユニット内で反射させて、再び光を射出させ、反射型偏光板で偏光した光を偏光板150の一面に向けて射出する。なお、本発明の実施例1では、光源120に面光源を用いているが、面光源に替えて例えば点光源と集光レンズとの組み合わせでもよい。この集光レンズの一例は、フレネルレンズシートである。
偏光板150は、映像生成部160の光源120側に配される。偏光板150は、透過軸及び当該透過軸に直交する吸収軸を有し、光源120から射出した非偏光が入射すると、その非偏光のうち透過軸と平行な偏光軸の光を透過し、吸収軸と平行な偏光軸の光を遮断する。ここで、偏光軸とは、光における電界の振動方向のことであり、偏光板150における透過軸は、図1に矢印Y1で示すように、観察者が映像表示装置100を見たときの水平方向から右上方向及び左下方向に45度の傾斜を有する。したがって、偏光板150から射出する光は、水平方向から45度の傾斜を有する直線偏光となる。
映像生成部160は、赤色光,緑色光及び青色光にそれぞれ対応した画素を備えている。また、映像生成部160は、複数の画素からなる右目用映像生成領域162及び右目用映像生成領域162と異なる複数の画素からなる左目用映像生成領域164を有する。映像生成部160は、液晶表示素子等の入射した光を外部から入力した映像信号に基づいて光変調するものである。これら右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164は、図1に示すように、映像生成部160を水平方向に区切った領域であり、複数の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164が鉛直方向に互い違いに配される。
映像表示装置100が3次元画像を表示している状態(以下、「映像表示装置100の3次元表示状態」と略称する)において、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164には、外部から供給される3次元画像信号、即ち右目用映像信号及び左目用映像信号によりそれぞれ右目用映像及び左目用映像が生成される。右目用映像生成領域162に右目用映像が生成されているときに、偏光板150を透過した光の一部が右目用映像生成領域162に入射すると、右目用映像信号に基づいて光変調され右目用映像生成領域162からは右目用映像の映像光(以下、「右目用映像光」と略称する)が射出する。また、左目用映像生成領域164に左目用映像が生成されているときに、偏光板150を透過した光の他の一部が左目用映像生成領域164に入射すると、左目用映像信号に基づいて光変調され左目用映像生成領域164からは左目用映像の映像光(以下、「左目用映像光」と略称する)が射出する。ここで、右目用映像生成領域162から射出する右目用映像光及び左目用映像生成領域164から射出する左目用映像光は、映像光における映像信号に基づいて光変調された領域はそれぞれ偏光軸が回転する。また、映像生成部160の各画素の境界部には赤色光,緑色光及び青色光の混色を低減するために、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光部が設けられている。更に、ブラックマトリクスのうち右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164の境界部には、水平方向に帯状のブラックストライプである映像生成領域遮光部163が形成されている。
一方、映像表示装置100が2次元画像を表示している状態(以下、「映像表示装置100の2次元表示状態」と略称する)において、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164には、外部から供給される2次元画像信号により、右目用及び左目用にかかわらず右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164に表示するための2次元映像が生成される。右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164に2次元映像が生成されているときに、偏光板150を透過した光の一部が右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164に入射すると、2次元映像に基づいて光変調され、右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164からは2次元映像の映像光(以下、「2次元映像光」と略称する)が射出する。
偏光板170は、映像生成部160における観察者側に配置される。この偏光板170は、上述した右目用映像生成領域162を透過した右目用映像光、及び、上述した左目用映像生成領域164を透過した左目用映像光、又は右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164を透過した2次元映像光が入射すると、これらのうち偏光軸の成分の中で透過軸と平行な偏光成分を透過し、偏光軸が吸収軸と平行な偏光成分を遮断する。ここで、偏光板170における透過軸は、図1に矢印Y2で示すように、観察者が映像表示装置100を見たときの水平方向から左上方向及び右下方向に45度の傾斜を有する。したがって、偏光板170から射出する光は、偏光板150から射出する光と直交すると共に、水平方向から45度の傾斜を有する直線偏光となる。また、偏光板170における透過軸の方向は、映像生成部160から射出する右目用映像光及び左目用映像光、又は2次元映像光の偏光軸の方向と略一致させることにより映像表示装置100の輝度を向上することができる。
以上のように、映像表示部130は、映像表示装置100の3次元表示状態の場合には、外部から供給される3次元画像信号に基づいて右目用映像光及び左目用映像光を射出し、映像表示装置100の2次元表示状態の場合には、外部から供給される2次元画像信号に基づいて2次元映像光を射出する。このように3次元表示状態の場合と2次元表示状態の場合とでは、映像の種類は異なるものの、いずれの場合においても、右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164からそれぞれ映像光を射出することには変わりない。
偏光軸制御板180は、基板184と基板184上に形成された第一偏光領域181及び第二偏光領域182とを有する。この偏光軸制御板180における第一偏光領域181及び第二偏光領域182の位置及び大きさは、図1に示すように、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164の位置及び大きさに対応する。したがって、映像表示装置100の使用状態において、第一偏光領域181には、右目用映像生成領域162を透過した右目用映像光又は2次元映像光が入射し、第二偏光領域182には、左目用映像生成領域164を透過した左目用映像光又は2次元映像光が入射する。
第一偏光領域181は、入射した右目用映像光又は2次元映像光の偏光軸を回転させずにそのまま透過する。一方、第二偏光領域182は、入射した左目用映像光又は2次元映像光の偏光軸を第一偏光領域181に入射した右目用映像光又は2次元映像光の偏光軸に対して直交する方向に90度回転させる。したがって、第一偏光領域181を透過した右目用映像光又は2次元映像光の偏光軸と、第二偏光領域182を透過した左目用映像光又は2次元映像光の偏光軸とは、図1に矢印Y3,Y4で示すように、その向きが互いに直交する。なお、図1において偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182に示した矢印Y3,Y4は、各偏光領域を通過した偏光の偏光軸の向きを示す。
偏光軸制御板180において、基板184には、入射する映像光の偏光軸の向きを変化させないように、例えば複屈折が低い透明なガラスまたは複屈折が低い樹脂などの板状部材、若しくは複屈折が低いフィルム状部材が用いられる。第一偏光領域181には、入射する右目用映像光又は2次元映像光の偏光軸の向きを変化させないでそのまま透過させるため、基板184上に何も設けずに光を透過させるか、または、複屈折が低いガラスや樹脂など部材、あるいは偏光板170と同様の偏光状態を有する偏光板が用いられる。また、第二偏光領域182には、例えば入射する左目用映像光又は2次元映像光の偏光軸の向きを90度回転する性質を有する複屈折性の物質で形成された半波長板が用いられる。結果として偏光軸制御板180から射出した右目用映像光又は2次元映像光の偏光軸の向きと左目用映像光又は2次元映像光の偏光軸の向きとは、直交した光となる。
また、偏光軸制御板180の映像表示部130と対向する面における第一偏光領域181と第二偏光領域182との境界部分には、外部からの印加電圧に応じて入射した光を遮光又は透過させる帯状の偏光軸制御板領域遮光部183が映像表示部130側に設けられている。このような偏光軸制御板領域遮光部183を設けているので、映像表示装置100の3次元表示状態において、入射した光を遮光させるように電圧の印加を停止することにより、偏光軸制御板180の第一偏光領域181に隣接する第二偏光領域182に入射するべき左目用映像光のうち、上記境界を超えて当該第一偏光領域181に入射する映像光を吸収して遮ることができる。また、同様に、偏光軸制御板180の第二偏光領域182に隣接する第一偏光領域181に入射するべき右目用映像光のうち、上記境界を超えて当該第二偏光領域182に入射する映像光を吸収して遮ることができる。したがって、映像表示装置100から射出される右目用映像光及び左目用映像光にクロストークが生じにくくなる。このクロストークについての詳細は後述する。
なお、偏光軸制御板180の別の形態として、図2に示すような基板184と、基板184上に形成された第二偏光領域182とを有する構造としてもよい。
また、上記映像表示装置100は、偏光軸制御板180よりも観察者側(図1における偏光軸制御板180の右側)に、上記偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182を透過した右目用映像光及び左目用映像光、又は2次元映像光を水平方向または鉛直方向の少なくとも一方の方向に拡散する拡散板を有してもよい。このような拡散板には、例えば水平方向または鉛直方向に延伸するかまぼこ状の凸レンズ(シリンドリカルレンズ)が複数配されたレンチキュラーレンズシート、または、凸レンズが平面状に複数配されたレンズアレイシートが用いられる。
図3は、映像表示装置100の3次元表示状態における使用例を示す概略図である。
映像表示装置100の3次元表示状態において、観察者500は、図3に示すように、映像表示装置100から投影される右目用映像光及び左目用映像光を、偏光眼鏡200をかけて観察する。この偏光眼鏡200には、観察者500がこの偏光眼鏡200をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に右目用映像透過部232が配され、左目514側にあたる位置に左目用映像透過部234が配される。これら右目用映像透過部232及び左目用映像透過部234は、透過軸方向が互いに異なる偏光レンズであり、偏光眼鏡200のフレームに固定されている。
右目用映像透過部232は、透過軸が第一偏光領域181を透過した右目用映像光と同じ向きを有し、吸収軸が上記透過軸と直交する向きを有する偏光板である。左目用映像透過部234は、透過軸が第二偏光領域182を透過した左目用映像光と同じ向きを有し、吸収軸が上記透過軸と直交する向きを有する偏光板である。これら右目用映像透過部232及び左目用映像透過部234には、例えば二色性染料を含浸させたフィルムを一軸延伸して得られる偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。
観察者500は、映像表示装置100により3次元映像を観察するときに、第一偏光領域181を透過した右目用映像光及び第二偏光領域182を透過した左目用映像光の射出する範囲内で、偏光眼鏡200をかけて映像表示装置100を観察することにより、右目512では右目用映像光に含まれる右目用映像だけを観察することができ、左目514では左目用映像光に含まれる左目用映像だけを観察することができる。したがって、観察者500は、これら右目用映像及び左目用映像を3次元映像として認識することができる。
一方、映像表示装置100の2次元表示状態において、観察者500は、偏光眼鏡200をかけることなく映像表示装置100を観察することにより、2次元映像を観察することができる。
図4は、映像生成部160の一部を拡大して示す平面図である。
図4に示すように、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164は、それぞれ水平方向において複数の小さなセルに分割されており、これらのセルの1つ1つが、外部から与える映像信号により光変調する最小単位である画素360となっている。各画素360には、赤色、緑色、青色のカラーフィルターが設けられて3原色を表示することとなり、それぞれ赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363となっている。
なお、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164では、例えば赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363が水平方向にこの順に繰り返して配される。
また、カラーフィルターによって区分けされた隣接領域の混色を防ぐためのブラックマトリックスが設けられているが、そのうち、映像生成部160の右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164の境界部を含む各画素の境界部にはブラックマトリックスの一部分としてブラックストライプである映像生成領域遮光部163が形成されている。
ここで、映像表示装置100の3次元表示状態におけるクロストークについて説明する。
図5は、偏光軸制御板領域遮光部183が形成されていない場合における映像生成部160と偏光軸制御板180との断面の一例を図示した断面図である。
図5に示すように、偏光軸制御板180は、右目用映像生成領域162の前方に第一偏光領域181が位置するように、また、左目用映像生成領域164の前方に第二偏光領域182が位置するように、観測者500から見て映像生成部160の手前側に配置されている。
そして、映像表示装置100の3次元表示状態では、右目用映像生成領域162からは右目用映像光が射出され、射出された右目用映像光は第一偏光領域181を透過して観察者500に到達する。一方、左目用映像生成領域164からは左目用映像光が射出され、射出された左目用映像光は第二偏光領域182に入射して偏光の振動方向が90°回転された後に観察者500に到達する。
このように、映像表示装置100の3次元表示状態において、右目用映像及び左目用映像を表示させるためには、右目用映像生成領域162から射出された右目用映像光が第一偏光領域181に入射され、且つ、左目用映像生成領域164から射出された左目用映像光が第二偏光領域182に入射される必要がある。
例えば、右目用映像生成領域162から射出された右目用映像光が第二偏光領域182に入射された場合、偏光の振動方向が90°回転され、観察者500の左目用映像透過部234で捕らえられる映像となる。この映像は、当然ながら本来の左目用映像とは異なる為、観察者500が捕らえる映像が不鮮明になり、また、立体感が不明瞭となる等の不具合が発生することがある。
しかしながら、従来技術では、映像生成部160から射出された右目用映像光及び左目用映像光を、全てそれぞれ第一偏光領域181及び第二偏光領域182に入射させるように精度良く映像生成部160と偏光軸制御板180とを配置することは極めて困難であった。
鮮明な映像を得るには右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164が密である(巾細である)方が良いが、この場合、右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164が密に配された映像生成部160の前方に、右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164に対応すべく、正確に第一偏光領域181及び第二偏光領域182を配設することが極めて困難であった。具体的には、一般的な第一偏光領域181及び第二偏光領域182は、夫々200μm程度の巾の極細線状であり、位置ずれを5%未満にする十数μmレベルで正確に配置することは、非常に困難である。
また、右目用映像生成領域162から射出された右目用映像光、及び、左目用映像生成領域164から射出された左目用映像光は共に完全には平行光ではないので、例えば、図5に示した左目用映像生成領域164の上端部付近から射出された左目用映像光の一部は第一偏光領域181に入射されてしまう場合がある(図5に示す矢印10)。
更に、左目用映像生成領域164から射出された左目用映像光が、一旦第二偏光領域182に入射された後、第一偏光領域181に入射される場合もある(図5に示す矢印11)。この現象は、一般的にクロストーク現象と呼ばれている。この場合、矢印11で示す左目用映像光の偏光の振動方向は0乃至90°の範囲に回転されることになるが、例えば、45°回転されると、左目用映像光は、右目用映像透過部232及び左目用映像透過部234を夫々50%ずつ通過することになり、この点においても、観察者500が捕らえる映像が不鮮明になり、立体感が不明瞭になる等の不具合が発生する。
そのため、従来技術では、3次元表示状態におけるクロストークを低減させるために、偏光軸制御板180の第一偏光領域181と第二偏光領域182との境界部分に、遮光するブラックストライプを備える場合があった。
しかしながら、ブラックストライプを備えた場合、3次元表示状態においてクロストークを低減させることができる一方、2次元表示状態において、ブラックストライプが遮光するので、偏光軸制御板を透過する光量が低減して画面の輝度が低下する。
そこで、本発明の実施例1に係る映像表示装置100は、偏光軸制御板180に、外部から供給される映像信号の種類(3次元画像信号又は2次元画像信号)に基づいて決定された印加電圧に応じて、入射した光を遮光又は透過させる偏光軸制御板領域遮光部183を備える構成とする。
図6は、本発明の実施例1に係る映像表示装置100に備えられた映像生成部160と偏光軸制御板180との断面の一例を図示した断面図である。
図6に示すように、映像生成部160は、右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164とが交互に並設された映像生成部160が配置されており、映像生成部160の右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164との境界部にはブラックストライプである映像生成領域遮光部163が形成されている。
また、図1に示すように偏光軸制御板180には、基板184の一方の面側に第二偏光領域182と第一偏光領域181とが形成されており、その反対の面側における第一偏光領域181と第二偏光領域182の境界部に対応する部分に入射した光を遮光又は透過させる帯状の偏光軸制御板領域遮光部183が形成されている。ここで、偏光軸制御板180から第一偏光領域181と第二偏光領域182を除いた構成を遮光切替部187とする。
図7(a)は、本発明の実施例1に係る映像表示装置100に備えられた遮光切替部187の平面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるA−A断面を示した断面図である。
図7(a),(b)に示すように、遮光切替部187は、所定の間隔で遮光切替部187の一方の面側に配置された正の透明電極184a及び負の透明電極184bと、正の透明電極184a及び負の透明電極184bに印加された電圧に応じて光透過率が変動する偏光軸制御板領域遮光部(ここでは、高分子分散型液晶を用いる)183とを有する。
正の透明電極184a及び負の透明電極184bは、ガラス基板上にスパッタリング法によりITO(酸化インジウム錫)膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法により、ITOからなる所定間隔で配列された透明電極パターンとして形成される。その後、透明電極184a及び透明電極184bが形成された基板の透明電極間に紫外線硬化樹脂中に液晶材料を添加して混合した樹脂混合物を印刷した後、紫外線を露光して硬化することにより、樹脂マトリクス中に液晶が相分離した高分子分散型液晶からなる偏光軸制御板領域遮光部183が形成される。
図8は、正の透明電極184a及び負の透明電極184bへ一定電圧を印加としたときの電極間距離と偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率との関係を示した図である。
図8に示すように、正の透明電極184a及び負の透明電極184bの電極間距離は、300μmを越えると、光透過率が著しく低下するので、電極間距離が10〜300μmとなるように、配列されることが好ましい。なお、透明電極184aを正極、透明電極184bを負極としたが、互いに正負を反転させても良い。
なお、高分子分散型液晶からなる偏光軸制御板領域遮光部183に用いる樹脂は、紫外線硬化型樹脂に限らず、溶媒中に液晶材料を添加した混合液を、電極間だけに形成されるようにマスクを用いて塗布して、溶媒を乾燥させて、樹脂マトリクスと液晶とを相分離した塗膜を得るキャスト法などを用いることもできる。高分子分散型液晶からなる偏光軸制御板領域遮光部183は、透明電極184a及び透明電極184bの間に電圧を印加しない状態では、光を散乱して白濁しており、直進してきた光を透過しない性質がある。これにより、映像表示装置100の3次元表示状態において、透明電極184a及び透明電極184bの間に電圧を印加しない状態とすることで、遮光部として働き、偏光軸制御板180の第一偏光領域181に隣接する第二偏光領域182に入射するべき左目用映像光のうち、上記境界を超えて第一偏光領域181に入射する映像光を散乱することで遮ることができる。
また、同様に、偏光軸制御板180の第二偏光領域182に隣接する第一偏光領域181に入射するべき右目用映像光のうち、上記境界を超えて第二偏光領域182に入射する映像光を吸収して遮ることができる。したがって、映像表示装置100から射出される右目用映像光及び左目用映像光にクロストークが生じにくくなる。
そのため、観察者500は、映像表示装置100により3次元映像を観察するときに、第一偏光領域181を透過した右目用映像光及び第二偏光領域182を透過した左目用映像光の射出する範囲内で、偏光眼鏡200をかけて映像表示装置100を観察することにより、右目では右目用映像光に含まれる右目用映像だけを観察することができ、左目では左目用映像光に含まれる左目用映像だけを観察することができる。これにより、観察者500は、これら右目用映像及び左目用映像を3次元映像として認識することができる。
一方、遮光切替部187の透明電極184a及び透明電極184bの間に電圧を印加すると、樹脂マトリクス内の液晶が電界に応じて並ぶことにより、光が透過する。そこで、映像表示装置100の2次元表示状態において、透明電極184a及び透明電極184bに所定の電圧を印加することにより、高分子分散型液晶からなる偏光軸制御板領域遮光部183に光を透過させる。
図9は、本発明の実施例1に係る映像表示装置100の機能構成を示した機能構成図である。
図9に示すように、映像表示装置100は、電源供給回路1と、映像信号処理回路2と、2D/3D検出回路3と、液晶駆動回路4と、高分子分散型液晶駆動回路5と、偏光軸制御板領域遮光部183と、映像生成部160とを備えている。これらの構成のうち、偏光軸制御板領域遮光部183と、映像生成部160とは上述したので説明を省略する。
電源供給回路1は、映像表示装置100に備えられた各回路等の構成に対して電力を供給する。
映像信号処理回路2は、入力された映像信号を映像生成部160が表示できる表示形式に画像処理を行う。
2D/3D検出回路3は、供給された映像信号が2次元画像信号又は3次元画像信号のいずれであるかを判定する。
液晶駆動回路4は、映像信号処理回路2から供給された映像信号に応じて、映像生成部160へ駆動電力を供給する。
高分子分散型液晶駆動回路5は、2D/3D検出回路3に供給された映像信号が2次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に光を透過させるような電圧を印加すると共に、映像信号が3次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に光を遮光させるような電圧を印加するか又は電圧の印加を停止する。
図10は、本発明の実施例1に係る映像表示装置100が備える透明電極184a及び透明電極184bに印加する電圧に対する高分子分散型液晶の光透過率の特性を示した図である。
図10に示すように、透明電極184a及び透明電極184bに印加する電圧を高くすると、定格電圧の約3(%)から高分子分散型液晶の光透過率が高くなり、定格電圧の約5(%)以上の電圧を印加したときにほぼ一定の値となる。
そこで、高分子分散型液晶駆動回路5は、2D/3D検出回路3に供給された映像信号が2次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に定格電圧の5(%)以上の電圧を印加し、2D/3D検出回路3に供給された映像信号が3次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に定格電圧の3(%)以下の電圧を印加するか、又は電圧の印加を停止する。
これにより、映像表示装置100の3次元表示状態において、クロストークを低減することができると共に、映像表示装置100の2次元表示状態において、表示画面に届く光量を低減させないことが可能となる。映像表示装置100の表示画面の正面輝度を測定した結果、高分子分散型液晶からなる遮光部183に電圧を印加させない状態では、240cd/m2であったが、高分子分散型液晶からなる遮光部183に定格電圧の5(%)以上の電圧を印加した結果、輝度は、417cd/m2となり、輝度が増加した。
以上のように、本発明の実施例1に係る映像表示装置100によれば、印加電圧に応じて、入射した光を遮光又は透過させる偏光軸制御板領域遮光部183を備え、2D/3D検出回路3に供給された映像信号が2次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に光を透過させるような電圧を印加すると共に、映像信号が3次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に光を遮光させるような電圧を印加するか又は電圧の印加を停止するので、2次元表示を行う際に輝度を低下させることなく、3次元表示を行う際にクロストークを低減することができる。
また、本発明の実施例1では、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164として、図1に示すように映像生成部160を水平方向に区切った領域として説明したが、図11に示すように映像生成部160を鉛直方向に区切った領域としてもよい。その際は、映像生成部160の駆動回路の変更と、偏光軸制御板180における第一偏光領域181及び第二偏光領域182の区切りも垂直方向とする必要がある。
更に、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164を、映像生成部160の駆動回路を変更することにより、図12に示すように水平方向及び鉛直方向に区切って格子状に構成してもよい。この場合は、偏光軸制御板180も映像生成部160に合わせて格子状に形成する必要がある。
なお、本発明の実施例1では、第一偏光領域181及び第二偏光領域182の境界部に設けられた偏光軸制御板領域遮光部183の高分子分散型液晶は、紫外線硬化樹脂を紫外線硬化することで形成したが、溶媒中に樹脂を溶解して、液晶を添加した後、混合液を電極間だけに形成されるようにマスクを用いて塗布して、溶媒を蒸発させて塗膜を形成しても良い。
さらに、本発明の実施例1では、偏光軸制御板領域遮光部183の一方の面側に正の透明電極184a及び負の透明電極184bが所定の間隔で配置された偏光軸制御板領域遮光部183を備える構成としたが、これに限らない。
図13(a)は、本発明の実施例1に係る映像表示装置100に備えられた別の形態の遮光切替部187の平面図であり、図13(b)は、図13(a)におけるA−A断面を示した断面図である。
図13(a),(b)に示すように、偏光軸制御板180は、ガラス基板186と基板184との間にそれぞれ正の透明電極184aと負の透明電極184bとが形成されており、正の透明電極184aと負の透明電極184bとの間には偏光軸制御板領域遮光部183を配置してもよい。
さらに、本発明の実施例1では、遮光切替部187を高分子分散型液晶からなる偏光軸制御板領域遮光部183と正の透明電極184a及び負の透明電極184bとを備えた構成としたが、これに限らず、図14に示すように、遮光切替部187が偏光軸制御板遮光部となるよう、偏光フィルム1001を備えたガラス基板186に、正の透明電極184aと負の透明電極184bとを形成し、液晶1000を封入した液晶パネルとしても良い。この場合、液晶1000のうち、正の透明電極184aと負の透明電極184bとにより挟まれた領域が偏光軸制御板領域遮光部183となる。
また、遮光切替部187に用いる液晶は、TN(ツイステックネマティック)モード、STN(スーパーツイステッドネマティック)モード、VA(垂直配向)モード、OCB(光学補償ベンド)モード、FLC(強誘電液晶)モード、ECB(複屈折)モード、IPS(インプレーンスイッチング)モード、GH(ゲストホスト)モード、PC(相転移)モード、DS(動的散乱)モードなどの液晶モードと、それぞれの液晶モードに合わせた偏光軸制御板180の構造としてもよい。
本発明の実施例1では、2次元表示と3次元表示(立体表示)との切り替えが可能であり、2次元表示状態において、偏光軸制御板領域遮光部183に光を透過させるような電圧を印加することで輝度を低下させることなく、かつ、3次元表示状態において、偏光軸制御板領域遮光部183に光を遮光させるような電圧を印加するか又は電圧の印加を停止することでクロストークを低減する映像表示装置100を例に挙げて説明した。
本発明の実施例2では、2次元表示と3次元表示(立体表示)との切り替えが可能であり、2次元表示状態において、偏光軸制御板領域遮光部183に光を透過させるような電圧を印加することで輝度を低下させることなく、かつ、3次元表示状態において、偏光軸制御板領域遮光部183に部分的に光を遮光させるような電圧を印加することでクロストーク及びモアレを低減する映像表示装置を例に挙げて説明する。
本発明の実施例2に係る映像表示装置101は、図1に示した本発明の実施例1に係る映像表示装置100と同様に、光源120と、映像表示部130と、偏光軸制御板180とを備えている。これらの各構成については、本発明の実施例1に係る映像表示装置100と同一であるので説明を省略する。
本発明の実施例2に係る映像表示装置101では、映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部183とのピッチが近似しており、3次元表示状態において、モアレが発生しやすい。ここで、モアレとは、干渉縞ともいい、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。
本発明の実施例2に係る映像表示装置101が備える映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部183との間には、偏光軸制御板180を保持するためのガラス基板が設けられ、これらはこのガラス基板により一定の距離を保ち隔てられて配置されている。このため、3次元表示状態において、観察者は正面にある映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部183とが重なっているように見え、映像生成領域遮光部と偏光軸制御板領域遮光部とは分離して見えない。このためモアレは発生しない。しかしながら、観察者が正面から離れた部分を観察する場合、映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部183とは分離して見える、即ち見た目のピッチにずれが生じるためモアレが観察される。
本発明の実施例2に係る映像表示装置101が備える映像生成領域遮光部163のピッチをp、偏光軸制御板領域遮光部183のピッチを(p+δp)とするとき、発生するモアレのピッチdは、下記(数式1)を用いて表される。
d=p2/δp ・・・(数式1)
また、3次元表示状態において供給される3次元画像信号は、輝度が低く暗い画像から、輝度が高く明るい画像まであるが、画像の中に輝度の高い領域と輝度の低い領域が隣接していると、画像のコントラストが高まり、映像表示装置101から射出される右目用映像光及び左目用映像光に生じるクロストークが大きくなる。また、画像全体の輝度が高いと、クロストークが大きくなる。さらに、3次元画像信号、即ち右目用映像信号及び左目用映像信号は遠近感の程度によって画素をシフトして生成されるが、このシフト量が大きいほど、クロストークは大きくなる。
ここで、偏光軸制御板領域遮光部183の透過率が低い程、クロストーク率は低くなるが、3次元表示を違和感なく見られるクロストーク率は、実用的には10(%)以下であり、好ましくは7(%)以下である。
一方、クロストークを低減するために設けられた偏光軸制御板領域遮光部183は、光透過率が低い程、映像生成領域遮光部163との干渉が強まり、モアレを発生しやすくなるので、偏光軸制御板領域遮光部183が透過率を高い程、映像生成領域遮光部163との干渉が弱まり、モアレを発生しにくく、モアレが発生しても見えにくくなる。
そこで、以下に、3次元画像信号の輝度信号を大きくして白色の度合いを変えた映像に対応して偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率を高めた場合のモアレとクロストークの変化を調査した実験について説明する。
<実験方法>
実験では、ガラス基板上に135μmのITO電極パターンである透明電極184aを形成し、その横方向に対向する270μmのITO電極パターンである透明電極184bを形成し、紫外線硬化樹脂中に液晶を添加して混合した樹脂混合物を透明電極間に印刷後、紫外線硬化して、偏光軸制御板領域遮光部183を形成した。また映像生成領域遮光部163のピッチは270μmである。
そして、図15の(a)〜(d)に示した3次元画像信号を供給し、この供給された3次元画像信号のうち輝度信号の輝度レベルを0〜100%の範囲で変化させ、輝度レベルが10%毎に、電極間に0.5(V)の電圧を印加することにより、その状態でのモアレとクロストークの変化を調査した。
<実験結果>
図16は、本発明の実施例1に係わる映像表示装置100において、偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率を変化させた場合のクロストーク及びモアレ評価の結果を示した図である。なお、図16に示す3次元画像信号a〜dは、それぞれ図15に示した3次元画像信号(a)〜(d)に対応する。
また、図16におけるモアレ評価は5段階評価とし、評価1はモアレが最も鮮明に観察され、評価5はモアレが観察されない状態である。評価1はモアレのために、実用的でない状態を示し、評価2以上で数値が大きいほど、モアレの程度が少なく画像が良好な状態であることを示す。また、クロストーク値は、左眼用映像光に含まれる右眼用映像光の割合が7(%)以下であれば、立体映像の品位として非常に良好なレベルであり、7(%)〜10(%)であれば、映像品位がほぼ問題なく、10(%)を越えた場合は、映像品位に問題があるレベルである。
図16に示すように、3次元画像信号aにおいて、偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率が5(%)の場合、クロストーク率が3.2(%)と低い。そのため、クロストーク率が7(%)になるよう光透過率を75(%)に高めると、クロストークは問題ない範囲で、モアレの程度が2から5へと低減した。
また、3次元画像信号bにおいて、光透過率が5(%)のとき、クロストーク率が5.9(%)あり、光透過率を75(%)に高めると、クロストークが10(%)を越えるため、光透過率を75(%)未満に設定する必要がある。そのため、モアレの低減度合いは小さい。これは、3次元画像信号cの場合も同様である。
3次元画像信号dにおいて、偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率が5(%)の場合、クロストーク率が1.5(%)と低い。そのため、クロストーク率が10(%)以下の範囲内で、光透過率を75(%)まで高めると、クロストーク率は4.2(%)と問題ない範囲で、モアレの程度が2から5へと低減した。
図17は、本発明の実施例1に係わる映像表示装置100において、それぞれシフト量が異なる右目用映像信号及び左目用映像信号において、偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率を変化させた場合のクロストーク及びモアレ評価の結果を示した図である。
図17に示すように、右目用映像信号及び左目用映像信号のシフト量が大きい程、クロストーク率が大きくなっている。
例えば、シフト量が10(%)において、偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率が5(%)の場合、クロストーク率が3.3(%)と低い。そのため、クロストーク率が7(%)になるよう光透過率を75(%)に高めると、クロストークは問題ない範囲で、モアレの程度が2から5へと低減した。
一方、シフト量が20(%)において、光透過率が5(%)のとき、クロストーク率が6.4(%)あり、光透過率を40(%)に高めると、クロストークが10(%)を越えるため、光透過率を40(%)以下に設定する必要がある。
以上の実験結果から、3次元表示状態において供給される3次元画像信号から、輝度のヒストグラムを算出し、この算出された輝度ヒストグラムのピーク領域が大きく、複数ある場合は、画像に高輝度と低輝度の領域があり、右目用映像光及び左目用映像光に生じるクロストークが大きくなるので、クロストークを低減するように偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率を下げる必要がある。一方、算出された輝度ヒストグラムのピーク領域が複数あっても互いに分離せずにブロードに広がっている場合や、ピーク領域が単一で広く広がっている場合や、また、全体の輝度レベルが低い場合には、右目用映像光及び左目用映像光に生じるクロストークが比較的小さいので、偏光軸制御板領域遮光部183の光透過率を適度に上げることで、許容されるクロストークの10(%)以下になるようにしながらも、偏光軸制御板領域遮光部183の干渉を弱め、モアレの発生を低減する必要があることが解る。
そこで、本発明の実施例2に係る映像表示装置101では、偏光軸制御板180の偏光軸制御板領域遮光部183を、クロストーク率が10(%)以下となる範囲内で、偏光軸制御板180を透過する光の光透過率が大きくなるような電圧を印加することにより、クロストークを低減すると共に、モアレの発生を低減する。
図18は、本発明の実施例2に係る映像表示装置101の機能構成を示した機能構成図である。
図18に示すように、映像表示装置101は、電源供給回路1と、映像信号処理回路2と、2D/3D検出回路3と、液晶駆動回路4と、高分子分散型液晶駆動回路5と、駆動電圧決定回路6と、偏光軸制御板領域遮光部183と、映像生成部160とを備えている。これらの構成のうち、駆動電圧決定回路6以外の構成については、本発明の実施例1に係る映像表示装置100が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
駆動電圧決定回路6は、偏光軸制御板領域遮光部183に印加する電圧を決定し、決定した電圧値を高分子分散型液晶駆動回路5に供給する。
図19は、本発明の実施例2に係る映像表示装置101が備える駆動電圧決定回路6の構成を示した構成図である。
図19に示すように、駆動電圧決定回路6は、ヒストグラム生成部21と、ヒストグラム特徴検出部22と、シフト量検出部23と、高分子分散型液晶駆動特性データ記憶部25と、駆動電圧算出処理部26とを備えている。
ヒストグラム生成部21は、2D/3D検出回路3により、供給された映像信号が3次元画像信号であると判定された場合、供給された3次元画像信号から輝度のヒストグラムを生成する。
ヒストグラム特徴検出部22は、ヒストグラム生成部21により生成された輝度のヒストグラムに基づいて、この輝度のヒストグラムの特徴を検出する。具体的には、ピーク領域が複数あるか否か、ピーク領域が単一の場合広がっているか否か、また、全体の輝度レベルが低いか否か等、ヒストグラムの特徴を検出する。
シフト量検出部23は、2D/3D検出回路3により、供給された映像信号が3次元画像信号であると判定された場合、供給された3次元画像信号からシフト量を検出する。
高分子分散型液晶駆動特性データ記憶部25は、図10に示した透明電極184a及び透明電極184bに印加する電圧に対する高分子分散型液晶の光透過率の特性データを、高分子分散型液晶駆動特性データとして記憶している。また、高分子分散型液晶駆動特性データ記憶部25は、図16に示した輝度のヒストグラム毎のクロストーク率及びモアレ評価結果データをヒストグラム評価データとして記憶すると共に、図17に示したシフト量毎のクロストーク率及びモアレ評価結果データをシフト量評価データとして記憶している。
駆動電圧算出処理部26は、ヒストグラム特徴検出部22により検出された輝度のヒストグラムの特徴と、高分子分散型液晶駆動特性データ記憶部25に記憶されたヒストグラム評価データ及び高分子分散型液晶駆動特性データとに基づいて、クロストーク率が10(%)以下となる範囲内で、偏光軸制御板180を透過する光の光透過率が大きくなるような電圧値を算出する。
具体的には、駆動電圧算出処理部26は、輝度ヒストグラムのピーク領域が大きく、複数ある場合は、光透過率を下げ、輝度ヒストグラムのピーク領域が複数あっても互いに分離せずにブロードに広がっている場合や、ピーク領域が単一で広く広がっている場合や、また、全体の輝度レベルが低い場合には、光透過率を上げるように電圧を算出する。
また、駆動電圧算出処理部26は、シフト量検出部23により検出されたシフト量と、高分子分散型液晶駆動特性データ記憶部25に記憶されたシフト量評価データ及び高分子分散型液晶駆動特性データとに基づいて、クロストーク率が10(%)以下となる範囲内で、偏光軸制御板180を透過する光の光透過率が大きくなるような電圧値を算出する。
そして、駆動電圧算出処理部26は、算出された電圧値のいずれか一方を高分子分散型液晶駆動回路5へ供給する。
以上のように、本発明の実施例2に係る映像表示装置101によれば、印加電圧に応じて、入射した光を遮光又は透過させる偏光軸制御板領域遮光部183を備え、2D/3D検出回路3に供給された映像信号が2次元画像信号であると判定された場合、偏光軸制御板領域遮光部183に光を透過させるような電圧を印加すると共に、映像信号が3次元画像信号であると判定された場合、クロストーク率が10%以下となる範囲内で、偏光軸制御板180を透過する光の光透過率が大きくなるような電圧を印加するので、2次元表示を行う際に輝度を低下させることなく、3次元表示を行う際にクロストーク及びモアレを低減することができる。