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JP5341685B2 - 圧電デバイス - Google Patents

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JP5341685B2
JP5341685B2 JP2009207933A JP2009207933A JP5341685B2 JP 5341685 B2 JP5341685 B2 JP 5341685B2 JP 2009207933 A JP2009207933 A JP 2009207933A JP 2009207933 A JP2009207933 A JP 2009207933A JP 5341685 B2 JP5341685 B2 JP 5341685B2
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Description

本発明は、例えば水晶からなる圧電振動片を封止してなる圧電デバイスに関する。特に、共晶合金にてスルーホールを封止する圧電デバイスに関する。
移動体通信機器やOA機器等の小型軽量化及び高周波数化に伴って、それらに用いられる圧電振動素子も、より一層の小型化及び高周波数化への対応が求められている。従来、パッケージに設けられたスルーホールを鉛フリーハンダにて気密封止する際のリフロー工程、もしくは圧電振動片をパッケージに接合する工程で、共晶合金成分が圧電振動片の電極膜への拡散及び電極膜の金(Au)を吸出が発生してCI値のバラツキ、又は発振周波数のバラツキが生じていた。
特許文献1によれば、上記問題を解決するために、圧電振動片のリード部の側面及び主電極の側面を構成する金属膜の材料をクロムのみとして、金層を必要とするマウントパッド部及び錘部のみに金層を形成している。特許文献2によれば、圧電振動片の接合電極は五層から成り、一層目を下地電極、二層目を導通電極、三層目を拡散電極、四層目を遮蔽電極、五層目に接合電極を形成している。特許文献3によれば、各接合電極表層の金層が鉛フリーハンダ内に拡散する金量を、使用する鉛フリーハンダ量に対して7.5Wt%以下に抑えるようにしている。
特開2003−298386 特開2004−200835 特開2005−197958
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の方法では、明らかに工程数が増大し、複雑化するため生産性の低下やコストアップを招く。特許文献3の方法では、接合電極表層の金層の厚さ調整や、鉛フリーハンダ量のバラツキを個々に調整することを必要としている。
本発明は、圧電振動片の励振電極と外部電極とを接続する引出電極又は接続電極に、電極安定部を形成し、更にスルーホール配線に接続する接続端子から電極安定部までの引出電極の第二金属層が、スルーホールを封止する封止材と同じ共晶金属で形成される。そして、スルーホールを封止する共晶金属成分が圧電振動片の電極膜へ拡散し、又は電極膜の金(Au)が吸出される影響を抑制して、安定した周波数を持つ圧電デバイスを提供する。
第一の観点による圧電デバイスは、励振電極を有する振動片と振動片の周囲に形成され且つ励振電極から伸びた引出電極が形成された外枠部とを有する圧電フレームと、封止材が挿入される貫通孔と、引出電極と接続され貫通孔に形成されたスルーホール配線とを有するベースと、を備える。そして引出電極は、圧電フレームに形成される下地層と該下地層とは異なる材料で下地層の上面に形成される第1金属層とを含み、第1金属層はスルーホール配線に接続される位置から所定の位置まで封止材と同じ材料で形成されている。
第二の観点による圧電デバイスにおいて、引出電極は、所定の位置から一定の距離だけ下地層のみで形成され、一定の距離を隔てた位置から励振電極までは、下地層と第1金属層とは異なる材料の第2金属層が形成される。
第三の観点による圧電デバイスは、励振電極を有する振動片と振動片の周囲に形成され且つ励振電極から伸びた引出電極が形成された外枠部とを有する圧電フレームと、封止材が挿入される貫通孔と、引出電極と接続され貫通孔に形成されたスルーホール配線とを有するベースと、を備える。そして引出電極は、圧電フレームに形成される下地層と該下地層とは異なる材料で下地層の上面に形成される第2金属層とを含み、第2金属層はスルーホール配線に接続される位置から所定の位置まで形成され、所定位置から一定の距離だけ下地層のみで形成されている。
第四の観点による圧電デバイスは、下地層と第1金属層との間に、第2金属層が形成される。
第五の観点による圧電デバイスのスルーホール配線は、下地層と第1金属層とを含む。
第六の観点による圧電デバイスにおいて、所定の位置から一定の距離における下地層の幅が、スルーホール配線に接続される位置から所定の位置までの下地層の幅より広く形成されている。
第七の観点による圧電デバイスの封止材は、金と他の金属とを材料とする共晶金属である。
本発明の圧電デバイスは、スルーホールなどに金と他の金属との共晶金属で封止を行っても、共晶金属成分が圧電振動片の電極膜へ拡散することを減少させる。また、圧電デバイスは、励振電極の構成金属が吸収されることも抑制する。このため、安定した周波数を有する圧電デバイスが提供される。
(a)は、分割した状態の第一圧電デバイス100を、リッド10のリッド部側からみた斜視図である。 (b)は、(a)のA−A断面で第一圧電デバイス100の断面構成図である。 (a)は第1圧電フレーム20の内面図である。 (b)はベース40の上面図である。 シロキサン結合され且つ封止された後の第一圧電デバイス100であり、図2(a)のB−B断面線に従った断面図である。 図3のC部の拡大断面図である。 (a)は、第一圧電デバイス100の第一圧電フレーム20の内面図である。 (b)は、側面から見た図5(a)のD部拡大斜視図である。 (a)は、第二圧電デバイス110の第二圧電フレーム20aの内面図である。 (b)は、側面から見た図6(a)のE部拡大斜視図である。 (a)は、第三圧電フレーム20bの内面図である。 (b)は、側面から見た図7(a)のD部拡大斜視図である。
以下、図面及び実施形態に基づいた本発明について、詳しく説明する。しかし、当該図面及び実施形態は本発明の最良の実施形態を示すことだけで、本発明を限定するものではない。当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において下記の実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
<第一実施形態:第一圧電デバイス100の構成>
図1は、本実施例の音叉型水晶振動片30を備えた第一圧電デバイス100の概略を示す図面である。図1(a)は、分割した状態の第一圧電デバイス100を、リッド10のリッド部側からみた斜視図である。図1(b)は、(a)のA−A断面で第一圧電デバイス100の断面構成図である。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、第一圧電デバイス100は、最上部のリッド10、第一圧電フレーム20及びベース40から構成される。リッド10及びベース40は水晶材料から形成される。第一圧電フレーム20は、エッチングにより形成された音叉型水晶振動片30及びその音叉型水晶振動片30の周囲を囲むように形成された外枠部29を有している。本実施例で音叉型圧電振動片30を有する第1圧電フレーム20は、水晶により形成されたが、水晶以外にもニオブ酸リチウム等の様々な圧電単結晶材料を用いることができる。
第一圧電デバイス100は、音叉型水晶振動片30を備えた第一圧電フレーム20を中心に、その第一圧電フレーム20の上にリッド10が接合され、第一圧電フレーム20の下にベース40が接合される。外枠部29、リッド10及びベース40がパッケージ80を形成する。つまり、リッド10は第一圧電フレーム20の上に、ベース40は第一圧電フレーム20の下にシロキサン結合(Si−O−Si)する。シロキサン結合以外にも、リッド10と、第一圧電フレーム20と、ベース40との形成材料に応じて、陽極接合又は樹脂接合により接合されることもある。
第一圧電フレーム20は、その中央部に音叉型水晶振動片30を有しており、音叉型水晶振動片30と外枠部29との間には空間部22が形成されている。音叉型水晶振動片30の外形を規定する空間部22はウエットエッチングにより形成されている。音叉型水晶振動片30は支持腕26を介して外枠部29と接続されている。本実施例で音叉型水晶振動片30は、外枠部29と同じ厚さで形成されている。音叉型水晶振動片30は、外枠部29より少し薄くなるように形成されてもよい。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、音叉型水晶振動片30は、基部23と基部23から伸びる一対の振動腕21と支持腕26とを有している。基部23と振動腕21と支持腕26とは、水晶エッチングにより音叉型水晶振動片30の外形を規定する空間部22を形成することで形成される。
第一圧電フレーム20は、外枠部29と基部23と支持腕26とに第一引出電極31及び第二引出電極32を備える。第一引出電極31は、第一A引出電極31Aと第一B引出電極31Bとから成り、第二引出電極32は、第二A引出電極32Aと第二B引出電極32Bとからなる。第一圧電フレーム20は、外枠部29に第一接続端子35及び第二接続端子36を備えている。第一A引出電極31A,第一B引出電極31B、第二A引出電極32A,第二B引出電極32B、第一接続端子35及び第二接続端子36は、第一圧電フレーム20の両面に形成される。
リッド10は、第一圧電フレーム20側にリッド側凹部17を備える。ベース40は、第一圧電フレーム20側にベース側凹部47を備える。ベース40には、それを貫通する第一スルーホール41及び第二スルーホール43、並びに段差部49が形成されている。段差部49には、第一スルーホール41及び第二スルーホール43と接続する第一接続電極42及び第二接続電極44が形成されている。ベース40は、底面にメタライジングされた第一外部電極45及び第二外部電極46を備えている。
第一スルーホール41及び第二スルーホール43は、その内面にスルーホール配線15(金属膜)が形成されている。第一接続電極42は、第一スルーホール41のスルーホール配線15を通じてベース40に設けた第一外部電極45に電気的に接続する。第二接続電極44は、第二スルーホール43のスルーホール配線15を通じてベース40に設けた第二外部電極46に電気的に接続する。
第一圧電デバイス100において、第一B引出電極31Bは、第一接続端子35を介して第一接続電極42と接続する。第一接続電極42は、第一スルーホール41のスルーホール配線15と接続し、スルーホール配線15はベース40の第一外部電極45と接続する。第二B引出電極32Bは、第二接続端子36を介して第二接続電極44と接続する。第二接続電極44は第二スルーホール43のスルーホール配線15と接続し、スルーホール配線15はベース40の第二外部電極46と接続する。
図1に示されるように、第一接続電極42と接続する第一接続端子35は、第一接続電極42の形成位置と対応するように、外枠部29の短手辺(X方向)に形成されている。第一B引出電極31Bは、長手辺(Y方向)に形成されている。第二接続電極44と接続する第二接続端子36は、第二接続電極44の形成位置と対応するように、外枠部29の短手辺(X方向)に形成されている。第二B引出電極32Bは、長手辺(Y方向)に形成されている。
第一A引出電極31Aと第一B引出電極31Bとの間には、下地層のみからなる下地層領域50が形成されている。また、第二A引出電極32Aと第二B引出電極32Bとの間にも、下地層のみからなる下地層領域50が形成されている。下地層領域50は、以下に説明する共晶金属ボール70が溶融する際の金属の拡散又は吸収を中断させる。これにより第一圧電デバイス100は安定した周波数を維持する。この下地層領域50について後で詳しく説明する。
第一圧電デバイス100は、シロキサン結合技術によりパッケージ80を形成後、第一スルーホール41及び第二スルーホール43に共晶金属ボール70を配置し、真空リフロー炉で一定時間加熱されることで共晶金属ボール70が溶かされ封止が行われる。封止に用いる共晶金属ボール70は例えば金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金が使われる。共晶合金である金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金は、その溶解温度が356°Cである。金・ゲルマニューム合金の成分比を例えばAuが85重量パーセント、Geが15重量パーセントに変えたAu15Geの合金とすることができる。これにより金・ゲルマニューム(Au15Ge)合金は、356°C以上の溶融温度となる。
図2(a)は第1圧電フレーム20の内面図であり、(b)はベース40の上面図である。図2(a)に示されるように、音叉型水晶振動片30は、第一主面及び第二主面に第一励振電極33及び第二励振電極34が形成されている。第一励振電極33は、基部23及び支持腕26に形成された第一A引出電極31Aに接続されている。第二励振電極34は、基部23及び支持腕26に形成された第二A引出電極32Aに接続されている。
一対の振動腕21は基部23の一端からY方向に延びており、振動腕21の表裏両面には溝部27が形成されている。例えば、一本の振動腕21の表面には1箇所の溝部27が形成されており、振動腕21の裏面側にも同様に1箇所の溝部27が形成されている。つまり、一対の振動腕21には4箇所の溝部27が形成されている。溝部27の断面は略H型に形成され、溝部27は音叉型水晶振動片30のCI値を低下させる効果がある。なお音叉型水晶振動片30は一本の振動腕21に表裏に2箇所の溝部27を形成しているが、複数箇所の溝部27を形成しても周波数調整効果を持つことができる。
音叉型水晶振動片30の振動腕21の先端には、錘部28が形成されている。第一引出電極31及び第二引出電極32並びに第一励振電極33及び第二励振電極34並びに錘部28は、同時にフォトリソグラフィ工程で作成される。第一励振電極33及び第二励振電極34に電圧が加えられると音叉型水晶振動片30は所定の周波数で振動する。錘部28は水晶振動片30の振動腕21が振動し易くなるための錘であり、また安定した振動をするために形成されている。
第一A引出電極31A、第二A引出電極32A、第一励振電極33及び第二励振電極34は、2層の金属層からなる。下地層は150オングストローム〜700オングストロームのクロム(Cr)層であり、その下地層の上に1000オングストローム〜2000オングストロームの金(Au)層が形成されている。クロム(Cr)層の代わりに、ニッケル(Ni)層又はチタン(Ti)層を使用してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を使用してもよい。
第一B引出電極31B、第二B引出電極32B、第一接続端子35、第二接続端子36、第一接続電極42及び第二接続電極44は、2層の金属層からなる。下地層は150オングストローム〜700オングストロームのクロム(Cr)層であり、その下地層の上に、1000オングストローム〜2000オングストロームの封止材と同一成分からなる金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層が形成された構成である。
リッド10、第一圧電フレーム20及びベース40は、シロキサン結合するため接合面を鏡面状態にして酸素含有雰囲気中で短波長の紫外線を照射し、清浄な状態にしておく。この時のシロキサン結合温度は、100°Cから250°Cである。シロキサン結合は、電極の厚み(3000Åから4000Å)でさえ接合不良の原因となる。このため、外枠部29の裏面に形成した第一接続端子35及び第二接続端子36と対向する面はその配線電極の厚み程度の段差部49を形成する必要がある。
また、第一A引出電極31Aと第一B引出電極31Bとの間には下地層領域50が形成されている。同様に第二A引出電極32Aと第二B引出電極32Bとの間には下地層領域50が形成されている。これらの下地層領域50は、150オングストローム〜700オングストロームのクロム(Cr)層であり、この下地層領域50には、金(Au)層又は金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層などは形成されない。
図2(b)に示されるように、段差部49はベース40の表面に形成した第一接続電極42及び第二接続電極44はその接続電極の厚み分だけの深さで形成されている。つまり、接合面のシロキサン結合を阻害しないように、第一接続電極42及び第二接続電極44は段差部49に形成される。
ベース40に設けられた段差部49の高さは、ウエットエッチングなどによって2500Å〜3000Åに形成されている。外枠部29に形成された第一接続端子35及び第二接続端子36の厚さも1500Å〜2000Åである。また、ベース40に形成された第一接続電極42及び第二接続電極44の厚さも1500Å〜2000Åである。すなわち、外枠部29に形成された第一接続電極の厚さとベース40に形成された第二接続電極の厚さを合計すると3000Åから4000Åである。
ベース40と外枠部29とを接合しようとすると、最初に第一接続端子35と第一接続電極42及び第二接続端子36と第二接続電極44とが接触する。このときに外枠部29の底面とベース40の上面との隙間は500Å〜1000Åぐらいとなる。この状態で水晶のシロキサン結合を行うと、第一接続端子35及び第二接続端子36の金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層と第一接続電極42及び第二接続電極44の金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層とが互いに結合する。
リッド10、第1圧電フレーム20及びベース40をシロキサン結合するため接合面を鏡面状態にして清浄な状態にする別の実施例として、例えば、ウエハなどの大面積を処理するのに適したSWP(Surface Wave Plasma)型RIE方式のプラズマ処理装置を用いて行うことができる。このプラズマ処理装置は、誘電体とプラズマとの界面に沿って伝播する表面波を利用したものである。このプラズマ処理装置により、例えば、13.56MHzから2.45GHzのマイクロ波を用いてプラズマを生成し処理チャンバー内に導入した反応ガスを励起する。反応ガスとしてAr、O及びOとNとの混合ガスなどを使用する。励起された反応ガスに暴露されたウエハは、均一に活性化される。リッド10、第一圧電フレーム20及びベース40の接合面が活性化されたウエハを位置合わせして重ね合わせ、常温から100°C程度の比較的低温に加熱した状態で加圧することによりシロキサン結合で強固に結合する。
別の実施例では、プラズマ処理に代えてイオンビームを照射することにより、リッド10、第一圧電フレーム20及びベース40の接合面を活性化することができる。このイオンビーム処理は、真空雰囲気中に保たれたリッド10、第1圧電フレーム20及びベース40の接合面にArイオンビームを照射することで接合面が活性化される。イオンビーム処理によって表面活性化されたウエハを位置合わせして重ね合わせ、200°C程度の比較的低温に加熱した状態で加圧することによりシロキサン結合で強固に結合する。
第一圧電デバイス100は、シロキサン結合技術によりパッケージ80を形成後、第一スルーホール41及び第二スルーホール43に共晶金属ボール70(図1参照)を配置し、真空中又は不活性ガス雰囲気中の真空リフロー炉で一定時間加熱されることで封止が行われる。
<引出電極、下地層領域について>
以下、第一引出電極31、第二引出電極32及び下地層領域50の構造及び作用について詳しく説明する。
図3はシロキサン結合され且つ封止された後の第一圧電デバイス100を、図2のB−B断面に従った断面図である。なお、第一引出電極31、第二引出電極32、第一接続電極42及び第二接続電極44を強調して描いてあるので、リッド10、第一圧電フレーム20及びベース40の一部がシロキサン結合されていないように描かれる箇所がある。図4は図3の点線枠Cを拡大した図である。また、図示されていない第一スルーホール41付近の構造も同様であるので説明は省略する。
図3に示されるように、第二A引出電極32Aは下地層32A1と第2金属層32A2との2層からなる。下地層32A1は、上述したようにクロム(Cr)層などからなる。第2金属層32A2は金(Au)層からなる。第二B引出電極32Bは下地層32B1と第1金属層32B2との2層からなる。下地層32B1は、クロム(Cr)層などからなる。第1金属層32B2は、金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層などからなる。第二接続端子36は下地層361と第1金属層362との2層からなる。第二B引出電極32Bと同じく、下地層361はクロム(Cr)層などからなり第1金属層362は金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層などからなる。
また、第二A引出電極32Aと第二B引出電極32Bとの間には下地層領域50が形成されている。これらの下地層領域50はクロム(Cr)層などである。下地層32A1、下地層32B1、下地層361及び下地層領域50は、スパッタリング又は真空蒸着装置により同時に成膜される。そして、フォトリソグラフィ技術を用いてそれら引出電極などのパターン形状が形成される。
ベース40に形成される第二接続電極44は下地層441と金属層442との2層からなる。金属層442は、金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層からなる。第二接続電極44の下地層441と金属層442との合計厚さは、略1500Å〜2000Åである。
また、スルーホール配線15も下地層151と金属層152との2層からなる。下地層151は、クロム(Cr)層であり、金属層152は、金・ゲルマニューム合金(Au12Ge)層である。
また、第二外部電極46も下地層461と金属層462との2層からなる。下地層461として、クロム(Cr)層であり、金属層462は、金・ゲルマニューム合金(Au12Ge)層である。
これら第二接続電極44、スルーホール配線15及び第二外部電極46は、スパッタリング又は真空蒸着装置により同時に成膜される。そして、フォトリソグラフィ技術を用いてそれら引出電極などのパターン形状が形成される。またこれら下地層のクロム(Cr)層の代わりに、ニッケル(Ni)層又はチタン(Ti)層が使用されることもある。金属層して金・ゲルマニューム合金(Au12Ge)の代わりに金(Au)層が用いられても良い。
ベース40と第1圧電フレーム20とが接合されると、第二接続端子36の第1金属層362が、第二接続電極44の金属層442と接続される。つまり、第二接続端子36の金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層と第二接続電極44の金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層とが互いに結合する。
第二スルーホール43は、スルーホールの封止のために共晶金属ボール70が配置される。共晶金属ボール70は、真空中又は不活性ガス雰囲気中の真空リフロー炉で一定時間加熱されることで溶融されて、第二スルーホール43の封止を行う。共晶金属ボール70は、溶融されてスルーホール配線15の金属層152に及び第二B引出電極32Bに広がって、第二スルーホール43が封止される。図示されないが、第一スルーホール41も同様である。
共晶金属ボール70の共晶金属として、第二B引出電極32Bの第1金属層32B2を構成する金属を一部として含有している限り、特に限定はない。具体的に例えば、金・ゲルマニューム合金、金・スズ合金、又は金・シリコン合金等の金(Au)を含有する合金を使用することができる。具体的に金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金(溶融温度365°C)、金・スズ(Au20Sn)合金(溶融温度278°C)、又は金・シリコン(Au3.15Si)合金(溶融温度363°C)を挙げることができる。
以下、代表的な例として、共晶金属ボール70が金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金が使用される例について説明する。
図4に示されるように、共晶金属ボール70が溶融されるとゲルマニュームと金とが溶け出す。その周りの金属層の割合と、ゲルマニュームの割合又は金の割合との関係で、ゲルマニューム又は金が金属層に拡散したり、金属層からゲルマニューム又は金が吸出されたりする。しかし、第二B引出電極32Bの第1金属層32B2は金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層が使用されているため、ゲルマニューム又は金が金属層に拡散したり又は吸い出されたりすることが少ない。
一方、共晶金属ボール70の合金の割合によって、又は第1金属層32B2の合金の割合によって、ゲルマニューム又は金が金属層に拡散したり又は吸い出されたりする可能性がある。また、クロム層からなる下地層に対しての第1金属層32B2の合金が拡散する。このため、第1金属層32B2は金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層が使用されても、共晶金属ボール70が溶融されてゲルマニューム又は金が金属層32B2に拡散したり又は吸い出されたりする可能性もある。
そこで、ゲルマニューム又は金が第1金属層32B2に拡散したり又は吸い出されたりすることを中断させるために、図4に示されるように、下地層領域50が設けられている。下地層領域50がクロム(Cr)層のみからなるため、ゲルマニューム又は金が第1金属層32B2に拡散したり又は吸い出されたりことを中断させることができる。下地層領域50は、第二接続電極44の金属層442と接続する領域でない限り特に限定はない。しかしながら、第二B引出電極32Bの第1金属層32B2が金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層であると、第二A引出電極32Aの第2金属層32A2の金(Au)層と比べて単位断面積の電気抵抗が大きくなる。このため、電気抵抗が大きいクロム層の距離を短くするため、下地層領域50は、第二接続端子36に近い位置に形成されることが望ましい。
図5(a)は,下地層領域50の位置が示された第一圧電デバイス100の第一圧電フレーム20の内面図である。図5(b)は、側面から見た図5(a)のD部の拡大斜視図である。図5(a)の符号は、図2(a)と同一であるので説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示されるように、第一圧電フレーム20の下地層領域50は、第一圧電フレーム20の外枠部29と支持腕26との接続部分、即ち、第一A引出電極31Aと第一B引出電極31Bとのほぼ中間位置に形成される。また、下地層領域50は、第二A引出電極32Aと第二B引出電極32Bとの中間位置にも形成される。
図5(b)に示されるように、下地層領域50には金(Au)層又は金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層などは形成されない。共晶金属ボール70が溶融されてゲルマニューム又は金が金属層に拡散したり又は吸い出されても、第二B引出電極32Bの金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層を介して第二A引出電極32Aに拡散したり吸い出されたりしない。
下地層領域50の幅及び長さは、第一圧電デバイス100の周波数に影響を与えない限り、特に限定はない。しかし、第二B引出電極32Bの幅のよりも幅広く形成することが好ましい。下地層領域50の長さは短い方が好ましい。下地層領域50は、クロム(Cr)層のみなので、その幅を短くすると電気抵抗が大きくなり、その長さを長くすると電気抵抗が大きくなる。そこで下地層領域50の幅が広く且つ長さが短い方が望ましい。
第二A引出電極32Aは、励振電極34に接続されるため電気抵抗はできるだけ小さいほうが好ましい。そのため第1金属層32A2は金(Au)層である。また第二A引出電極32Aは、支持腕26の幅(XY平面)においてできるだけ幅を広くした方が良い。第1金属層32A2には、下地層領域50のみが形成されているため、共晶金属ボール70が溶融された際にゲルマニューム又は金が、第1金属層32A2に拡散したり又は吸い出されたりすることはない。換言すれば第1金属層32A2はゲルマニューム又は金の拡散又は吸出しの影響を受けない。これにより励振電極34に影響を与えないため、第一圧電デバイス100の周波数に変動を与えない。
<第二実施形態:第二圧電デバイス110の構成>
図6(a)は,下地層領域50の位置が示された第二圧電デバイス110の第二圧電フレーム20aの内面図である。図6(b)は、側面から見た図6(a)のE部の拡大斜視図である。第二圧電デバイス110は、第二圧電フレーム20aの下地層領域50の位置を除いて、第一圧電デバイス100の構造と同じである。図6(a)の符号は、図2(a)と同一であるので説明を省略する。
第二圧電デバイス110は、リッド10、第二圧電フレーム20a及びベース40の接合面が活性化されたウエハを位置合わせして重ね合わせ、シロキサン結合技術によりパッケージ80を形成する。パッケージ80を形成した後、第一スルーホール41及び第二スルーホール43に共晶金属ボール70として共晶金属の金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金を配置し、真空中又は不活性ガス雰囲気中の真空リフロー炉で一定時間加熱されることで封止が行われる。
図6(a)及び図6(b)に示されるように、第二圧電フレーム20aに下地層領域50が形成されている。本実施例においても、第二圧電フレーム20aの下地層領域50は、第二圧電フレーム20aの外枠部29に形成された第一A引出電極31Aと第一B引出電極31Bとの中間に形成される。また、外枠部29に形成された第二A引出電極32Aと第二B引出電極32Bとの中間に形成される。第一圧電フレーム20と第二圧電フレーム20aとの違いは、第二圧電フレーム20aでは下地層領域50が外枠部29に形成され、第一接続端子35及び第二接続端子36により近い位置に幅広に形成されている点である。つまり、第二圧電フレーム20aは第一B引出電極31B及び第二B引出電極32Bの長さが短くなる。このことは金層に比べ電気抵抗が大きい金・ゲルマニューム合金層が短くなることになり、第二圧電フレーム20aの電気抵抗が小さくなるメリットがある。
図6(b)に示されるように、下地層領域50のクロム(Cr)層は、第二B引出電極32Bの下地層32B1の幅よりも拡張されている。クロム層は金層よりも単位断面積当たりの電気抵抗が大きいため、電気抵抗を小さくするためにこの下地層領域50の幅は金層第二B引出電極32Bの幅の約2倍にしてある。
<第三実施形態:第三圧電フレーム20bの構成>
図7(a)は,下地層領域50が示された第三圧電デバイスの第三圧電フレーム20bの内面図である。図7(b)は、側面から見た図7(a)のF部の拡大斜視図である。第三圧電フレーム20bと第一圧電フレーム20との違いは3層と2層構造との違いである。つまり、第一圧電フレーム20の第一B引出電極31B及び第二B引出電極32Bは2層の構成であるのに対し、第三圧電フレーム20bの第一C引出電極31C及び第二C引出電極32Cは3層である。その他符号は、図5(a)と同一であるので説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)に示されるように、下地層領域50は、第一圧電フレーム20の外枠部29と支持腕26との接続部分、即ち、第一A引出電極31Aと第一C引出電極31Cとのほぼ中間位置に形成される。また、下地層領域50は、第二A引出電極32Aと第二C引出電極32Cとの中間位置にも形成される。
図7(b)に示されるように、第三圧電フレーム20bの第一C引出電極31C及び第二C引出電極32Cは、下地層32C1と第3金属層32C2との厚さ方向の中間に第4金属層32C3が形成される。図示されないが第一接続端子35及び第二接続端子36も3層から構成される。下地層32C1はクロム(Cr)層であり、第3金属層32C2は金・ゲルマニューム合金層であり、第4金属層32C3は金(Au)層である。第二C引出電極32Cは、金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層に加え金(Au)層も有しているため、電気抵抗が小さくなる。
下地層32A1、下地層32C1及び下地層領域50はクロム層であり、スパッタリング又は真空蒸着装置により同時に成膜される。そして、フォトリソグラフィ技術を用いてそれら引出電極などのパターン形状が形成される。また、第2金属層32A2と第4金属層とは金(Au)層であり、スパッタリング又は真空蒸着装置により同時に成膜される。そして、第二C引出電極32Cのみに第3金属層32C2である金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層が形成される。
図7(b)に示されるように、下地層領域50は、図5(b)で示した下地層領域50と同じく、下地層領域50には金(Au)層又は金・ゲルマニューム(Au12Ge)合金層などは形成されない。共晶金属ボール70が溶融されて第二C引出電極32Cのゲルマニューム又は金が金属層に拡散したり又は吸い出されたりしても、下地層領域50が第二A引出電極32Aへの拡散又は吸い出しを遮断する。
下地層領域50は、クロム(Cr)層のみなのでその幅を短くすると電気抵抗が大きくなり、その長さを長くすると電気抵抗が大きくなる。そこで下地層領域50の幅が広く且つ長さが短い方が望ましい。第三圧電フレーム20bは、第一C引出電極31C及び第二C引出電極32Cにおける電気抵抗が小さくなるメリットがある。
以上で、本発明の最良の実施形態である圧電デバイスについて説明したが、圧電デバイスの周波数に与える影響を確実に防止することができる。以上の説明で、音叉型の水晶振動子を用いて実施例を述べたが、他の厚み滑り振動を用いたATカット水晶板を用いた水晶振動子でも同様の効果が得られる。
10 … リッド、15 スルーホール配線
17 … リッド側凹部
20 … 第一圧電フレーム、20a … 第二圧電フレーム
20b … 第三圧電フレーム
21 … 励振腕、22 … 空間部、23 … 基部
26 … 支持腕、28 … 錘部、29 … 外枠部
30 … 音叉型水晶振動片
31 … 第一引出電極(31A … 第一A引出電極、31B … 第一B引出電極、31C … 第一C引出電極)
32 … 第二引出電極(32A … 第二A引出電極、32B … 第二B引出電極、32C … 第二C引出電極)
33 … 第一励振電極、34 … 第二励振電極
35 … 第一接続端子、36 … 第二接続端子
40 … ベース
41 … 第一スルーホール、43 … 第二スルーホール
42 … 第一接続電極、 44 … 第二接続電極
45 … 第一外部電極、 46 … 第二外部電極
47 … ベース側凹部
49 … 段差部
50 … 下地層領域
70 … 共晶金属ボール
80 … パッケージ
100 … 第一圧電デバイス、110 … 第二圧電デバイス

Claims (7)

  1. 励振電極を有する振動片と、前記振動片の周囲に形成され且つ前記励振電極から伸びた引出電極が形成された外枠部とを有する圧電フレームと、
    封止材が挿入される貫通孔と、前記引出電極と接続され前記貫通孔に形成されたスルーホール配線とを有するベースと、を備え、
    前記引出電極は、前記圧電フレームに形成される下地層と該下地層とは異なる材料で前記下地層の上面に形成される第1金属層とを含み、前記第1金属層は前記スルーホール配線に接続される位置から所定の位置まで前記封止材と同じ材料で形成され
    前記所定の位置から一定の距離だけ前記下地層のみで形成され、前記一定の距離を隔てた位置から前記励振電極までは、前記下地層と前記第1金属層とは異なる材料の第2金属層で形成されている圧電デバイス。
  2. 前記下地層と前記第1金属層との間に、前記第2金属層が形成される請求項1に記載の圧電デバイス。
  3. 前記スルーホール配線は、前記下地層と前記第1金属層とを含む請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
  4. 前記所定の位置から一定の距離における前記下地層の幅が、前記スルーホール配線に接続される位置から所定の位置までの前記下地層の幅より広く形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
  5. 前記封止材は、金と他の金属とを材料とする共晶金属である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
  6. 前記下地層は、クロム、ニッケル又はチタンからなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
  7. 前記第2金属層は、金(Au)層である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
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