JP5235795B2 - 自動二輪車 - Google Patents
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Description
すなわち,車体のばね定数を変更するだけで複数の走行モードに適した車体各部の振動特性を導き出すことは難易度の高い作業となる。
しかし,この自動二輪車は,同文献第2図に見られるように,車体の左右に配置されるフレームに対してのみ接続部(15,16)が設けられているから,複数の走行モードに適した振動特性を得ることは困難である。
しかし,この自動二輪車は,同文献第1図に見られるように,車体の中央において前後方向に向けて配置されるフレームに対してのみ弾性連結部(35)が設けられているから,複数の走行モードに適した振動特性を得ることはやはり困難である。
この取付構造によれば,ダイナミックダンパの作用によって車内音の発生を抑制することはできる。しかし,車体にダイナミックダンパが設けられているに過ぎないから,複数の走行モードに適した振動特性を得ることは不可能である。
前記左右のフレームのうちの一方のフレームに取り付けられていて,他方のフレームへ向かって延びる第1のメンバーと,
前記左右のフレームのうちの他方のフレームに取り付けられていて,前記一方のフレームへ向かって延びる第2のメンバーと,
上記第1のメンバーと第2のメンバーとの間に設けられていて,これら第1,第2のメンバーを弾性的に連結する防振部材と,
を備えていることを特徴とする。
この自動二輪車によれば,左右のフレームを車幅方向に連結する第1,第2のメンバーを防振部材を用いて弾性的に連結したので,防振部材のこわさ(弾性係数)を調整することで,減衰特性を調整することができる。
そしてこの発明によれば,上記防振部材は,車体前後に延びる左右のフレーム(特許文献1参照)や,車体の中央において前後方向に向けて配置されるフレーム(特許文献2)に対してではなく,左右のフレームを車幅方向に連結する第1,第2のメンバー間に設けたので,車体の剛性,特に捩り剛性を確保しつつ振動特性を調整することが容易になる。結果として,車体の操縦性および乗り心地を向上させることができる。
望ましくは,前記第1のメンバーと第2のメンバーは,車幅方向においてオーバーラップしており,そのオーバーラップ部が前記防振部材で弾性的に連結されている構成とする。
このように構成すると,第1のメンバーと第2のメンバーとを車幅方向においてオーバーラップさせることで車体の剛性を確保しやすくなる。また,そのオーバーラップ部を防振部材で連結することで,防振部材の体積(容量)を確保しやすくなり,減衰力を確保しやすくなる。したがって,車体の剛性を確保しやすくなると同時に振動特性の調整幅を広げることができて,振動特性も調整しやすくなる。
その際さらに望ましくは,前記第1のメンバーと第2のメンバーは,いずれも,車幅方向から見て断面L字形に構成し,そのL字形に沿って前記防振部材で弾性的に連結する。
このように構成すると,車体の剛性を一層向上させることが容易になる。また,第1のメンバーと第2のメンバーとのオーバーラップ部を増大させることができるので,防振部材の体積(容量)を一層確保しやすくなり,車体フレームの微少変形に対しても減衰力をより確保しやすくなる。したがって,車体の剛性を一層確保しやすくなると同時に振動特性の調整幅を一層広げることができて,振動特性もより調整しやすくなる。
また望ましくは,前記第1のメンバーと第2のメンバーは,それぞれ,前記フレームへの取付部と,この取付部から車幅方向へ延びる複数の延設部とを有し,これら延設部相互間にそれぞれ前記防振部材が設けられている構成とする。
このように構成すると,左右のフレームが,前記延設部と防振部材とからなる複数の層によって弾性的に連結された状態となるので,車体の剛性および振動特性を容易にきめ細やかに調整することが可能となる。
また望ましくは,前記防振部材を圧縮しつつ前記第1のメンバーと第2のメンバーとを防振部材を介して締結する締結部材を有する構成とする。
このように構成すると,締結部材による締結力を調整することで,車体の剛性と振動特性とを同時に容易に調整することが可能となる。
その際望ましくは,前記締結部材は複数設ける。
このように構成すると,複数の締結部材による締結力を調整することで,車体の剛性と振動特性とを同時に容易にきめ細やかに調整することが可能となる。
さらに望ましくは,前記締結部材を作動させるアクチュエータと,少なくとも自動二輪車の車速を検出する車速センサと,この車速センサで検出された車速に基づき,前記締結部材の作動を制御して該締結部材による前記締結力および圧縮力を調整する制御部と,をさらに備えている構成とする。
このように構成すると,自動二輪車の走行中に,少なくとも車速に応じた,車体の剛性と振動特性とを自動的に随時得ることができる。
図1は本発明に係る自動二輪車の一実施の形態を示す左側面図である。
この自動二輪車10は,車体をなすフレーム(車体フレーム)20を有している。この車体フレーム20の前端を構成するヘッドパイプ21に操舵自在にフロントフォーク11が取付けられ,このフロントフォーク11の上部にバーハンドル12が取付けられている。フロントフォーク11の下端には前輪13Fが回転自在に取り付けられている。車体フレーム20にはエンジン14が固定されている。車体フレーム20の後部には,スイングアーム15がピボット軸15pで上下スイング自在に取り付けられており,このスイングアーム15の後端部に駆動輪である後輪13Rが回転可能に取り付けられている。後輪13Rは,エンジン14との間に配置されたドライブシャフト16を介して駆動される。
これらの図に示すように,車体フレーム20は,上記ヘッドパイプ21から一体的に左右後方へ向かって延びていて車体の左右に配置される左右のフレーム30L,30Rと,左右のフレーム30L,30Rのうちの一方のフレーム30Lに取り付けられていて,他方のフレーム30Rへ向かって延びる第1のメンバー41と,左右のフレームのうちの他方のフレーム30Rに取り付けられていて,前記一方のフレーム30Lへ向かって延びる第2のメンバー42と,第1のメンバー41と第2のメンバー42との間に設けられていて,これら第1,第2のメンバー41,42を弾性的に連結する防振部材43とを備えている。
左右のフレーム30L,30Rは,メインフレーム31からピボットプレート32へと向かう屈曲部ないし湾曲部30Cにおいて,アッパクロスメンバ33で一体的に連結されている。また,ピボットプレート32の下端同士がロアクロスメンバ34で一体的に連結されている。
第1のメンバー41と第2のメンバー42は,いずれも,車幅方向から見て断面L字形に構成されており(図4参照),そのL字形に沿って防振部材43で弾性的に連結されている。
ヘッドパイプ21にはフロントフォーク11が取付けられる。
左右のフレーム30L,30Rの前部には,それぞれ一体的にダウンチューブ36L,36Rが設けられており,これらダウンチューブ36(L,R)とピボットプレート32との間にエンジン14が取り付けられる。図2おいて20eがエンジン14の取付部である。
ピボットプレート32,32間にピボット軸15pが設けられ,このピボット軸15pによってスイングアーム15が上下スイング自在に取り付けられる。図2おいて20pがピボット軸15pの取付部である。
スイングアーム15と車体フレーム20とは,公知のクッションユニット22および公知のリンク機構23を介して連結されている。クッションユニット22の上端はアッパクロスメンバ33に設けた支持部33bに回動可能に取り付けられ,クッションユニット22の下端はリンク機構23に連結されている。リンク機構23の一端は,ピボットプレート32の下部に設けた支持部33cに回動可能に連結される。 なお,図2において20sはシートレール17(図1)の取付部である。
(a)左右のフレーム30L,30Rを車幅方向に連結する第1,第2のメンバー41,42を防振部材43を用いて弾性的に連結したので,防振部材43のこわさ(弾性係数)を調整することで,減衰特性を調整することができる。
そして,上記防振部材43は,車体前後に延びる左右のフレーム30L,30R自体や,車体の中央において前後方向に向けて配置されるフレーム(特許文献2)に対してではなく,左右のフレーム30L,30Rを車幅方向に連結する第1,第2のメンバー41,42間に設けたので,第1,第2のメンバー41,42および防振部材43の剛性を調整することによって,車体の剛性,特に捩り剛性を確保しつつ振動特性を調整することが容易になる。結果として,車体の操縦性および乗り心地を向上させることができる。
したがって,上記連結部40を上記第1,第2のメンバー41,42および防振部材43を有する弾性的連結部とすることによって,車体の剛性,特に捩り剛性を確保しつつ振動特性を調整することが容易になる。
ウィーブモードは,走行中の二輪車固有の振動現象の一つで,横方向運動,ヨー運動,ロール運動が連成した複雑な運動(振動モード)である。振動数は1〜4Hzで速度依存性を示し,車速の増加に伴い振動数も増加傾向を示す。
ウィーブモードが生じると,上記連結部40には上記横力等に基因する動的変形(振動)が生じるから,上記連結部40を上記第1,第2のメンバー41,42および防振部材43を有する弾性的連結部とすることによって,車体の変形エネルギーを熱に変換し,ウィーブモードを早く収斂させることが可能となる。
この実施の形態が上述した実施の形態と異なる点は,弾性的連結部40の構成にあり,その他の点に変わりはない。
この実施の形態では,第2のメンバー42の取付部42bに3枚の延設部42cを一体的に設けるとともに,これら延設部42cの間に入り込む2枚の延設部41cを第1のメンバー41の取付部41bに一体的に設け,上記延設部相互間を4枚の防振部材43で連結しているが,延設部41c,42cの枚数は適宜設定することができる。また,これらの延設部も図4に示した延設部41c,42cと同様,断面L字形に構成することもできる。例えば,図4において,第2のメンバー42の延設部42cを下方から挟むように,もう一枚の延設部41c(図示せず)を第1のメンバー41の取付部41bに一体的に設け,延設部42cとの間を防振部材43(図示せず)で連結することも可能である。
すなわち,この実施の形態によると,左右のフレーム30L,30Rが,延設部41cと防振部材43とからなる複数の層(図示のものは4層)によって弾性的に連結された状態となるので,車体の剛性および振動特性を容易にきめ細やかに調整することが可能となる。
この弾性的連結部40が,図4に示した弾性的連結部40と異なる点は,防振部材43を圧縮しつつ第1のメンバー41と第2のメンバー42とを防振部材43を介して締結する締結部材50を有する点にあり,その他の点に変わりはない。
雌ネジ部52は,第2のメンバー42の底部に一体的に形成されている。
バックアップスプリング53は,ボルト51の頭部の受部53bと,この受部53bと一体のバネ部53cとを有している。バネ部53cは,側面視ハの字形であって,その挟角(自由状態における内角)は,第1のメンバー41の延設部41cの挟角より小さくなっている。
したがって,図示のように,バックアップスプリング53を介してボルト51と雌ネジ部52とを締結すると,その締結力に応じてバックアップスプリング53が変形して,その変形に応じたバネ力で第1のメンバー41と第2のメンバー42とが締結され,かつ,その締結力に応じて防振部材43が圧縮されることとなる。
例えば,タイヤ,路面,外気温,重量配分などに応じて,締結部材50による締結力を調整することで,車体の剛性と振動特性とを微調整することが可能となる。
また,走行するモード(コースや車速)に合わせて,締結部材50による締結力を調整することで,車体の剛性と振動特性とを微調整することが可能となる。
具体的には,例えば,
(1)高速で大きな外乱を吸収する必要のあるときには,締結部材50による締結力を減じてバネ定数を下げ,弾性的連結部40の変位量を増して弾性的連結部40による吸収エネルギー量を増やし,外乱に対する収斂性を向上させることができる。
(2)中速で,車体の速い応答性が求められる場合には,締結部材50による締結力を増加させてバネ定数を上げ,弾性的連結部40の変位量を減じて,車体の応答性を向上させることができる。
(3)低速で連続するスラローム走行(操舵を伴うきり返し運転)では,締結部材50による締結力を減じてバネ定数を下げ,後輪ステアを利用したタイトターン性能を向上させることができる。
また,ボルト51および雌ネジ部52は車幅方向に複数設けることもできる。そのようにすると,防振部材43に対するより均一な圧縮状態が得やすくなるので,減衰特性を調整する上で一層望ましい。
この弾性的連結部40が,図6に示した弾性的連結部40と異なる点は,防振部材43を圧縮しつつ第1のメンバー41と第2のメンバー42とを防振部材43を介して締結する締結部材50を複数有する点にあり,その他の点に変わりはない。
ボルトナット,51,54を締結すると,その締結力に応じて第1のメンバー41と第2のメンバー42とが締結され,かつ,その締結力に応じて防振部材43が圧縮されることとなる。
また,複数(図示のものは2つ)の締結部材50による締結力を調整することで,車体の剛性と振動特性とを同時に容易にきめ細やかに調整することが可能となる。
この車体フレーム20が,図2に示した車体フレーム20と異なる点は,ダウンチューブ36L,36Rを連結するクロスメンバーであるクロスパイプ37を弾性的連結部として構成した点にあり,その他の点に変わりはない。
図11に示す車体フレーム20が,図2に示した車体フレーム20と異なる点は,左右のダウンチューブ36L,36Rとピボットプレート32,32とをそれぞれ補強フレーム38で連結し,この補強フレーム38にも弾性的連結部48を設けた点にあり,その他の点に変わりはない。
この実施の形態は,前述した締結部材50を作動させるアクチュエータ60と,自動二輪車の車速を検出する車速センサS1と,この車速センサS1で検出された車速に基づき,締結部材50の作動を制御して該締結部材50による第1,第2のメンバー41,42同士の締結力および防振部材43への圧縮力を調整する制御部61と,をさらに備えていることを特徴としている。
なお,締結部材50のボルト51を複数設けた場合(例えば図9に示したものの場合)にはアクチュエータ60もボルト51と同数設ける。
車速センサS1は公知のセンサで構成できる。この実施の形態では,前輪13Fの回転速度を検出することで車速を検出するセンサで構成する。
制御部61は,この自動二輪車において必要とされる全ての制御を行うコントローラで構成することができる。制御部61は車速とアクチュエータ60の回転位置とを対応させたテーブルを有しており,このテーブルに基づき,車速センサS1で検出された車速に応じて,アクチュエータ60を所定の位置まで回転させ(すなわちボルト51を所定の位置まで回転させ),第1,第2のメンバー41,42同士の締結力および防振部材43への圧縮力を調整する。なお,図においてHはセンサと制御部61,制御部61とアクチュエータ60とを接続している配線(ハーネス)である。
このフローチャートに示すように,ステップST1でイグニッションスイッチがONされると,制御部61は先ずステップST2で締結部材50による締結力が強くなる位置にアクチュエータ60(したがってボルト51)を回転させる。
これによって,弾性的連結部40の変位量は小さくなり,自動二輪車10は,車体の応答性が向上した状態での低,中速での走行が可能となる。この状態は,ステップST3で車速が予め定められた設定速度を超えたと判断されるまで維持される。
これによって,弾性的連結部40は大きく変位することが可能となり,自動二輪車10は,外乱に対する収斂性が向上した状態で,高速走行が可能となる。この状態は,ステップST5で車速が予め定められた設定速度を下回ったと判断されるまで維持される。
以上のように,この実施の形態によれば,自動二輪車10の走行中に,車速に応じた,車体の剛性と振動特性とを自動的に随時得ることができる。
この実施の形態は,車速センサS1に加え,バーハンドル12による操舵角および角速度を検出する操舵角センサS2を備えている。
制御部61は,車速センサS1で検出された車速と,操舵角センサS2で検出された操舵角および角速度とに基づき,締結部材50の作動を制御して該締結部材50による第1,第2のメンバー41,42同士の締結力および防振部材43への圧縮力を調整する。
制御部61は車速と操舵角と角速度とアクチュエータ60の回転位置とを対応させたテーブルを有しており,このテーブルに基づき,車速センサS1で検出された車速と操舵角センサS2で検出された操舵角および角速度とに応じて,アクチュエータ60を所定の位置まで回転させ(すなわちボルト51を所定の位置まで回転させ),第1,第2のメンバー41,42同士の締結力および防振部材43への圧縮力を調整する。
このフローチャートに示すように,ステップST1でイグニッションスイッチがONされると,制御部61は先ずステップST2で締結部材50による締結力が強くなる位置にアクチュエータ60(したがってボルト51)を回転させ,次いでステップST3で車速が予め定められた設定速度を超えたか否かを判断する。
これによって,弾性的連結部40は大きく変位することが可能となり,自動二輪車10は,外乱に対する収斂性が向上した状態で,高速走行が可能となる。この状態は,ステップST5で車速が予め定められた設定速度を下回ったと判断されるまで維持される。
ステップST5で車速が設定速度を下回ったと判断すると,制御部61はステップST2に戻り,ステップST2以降の制御を繰り返す。
操舵角×角速度が設定値を超えていないならば,ステップST2に戻り,ステップST2以降の制御を繰り返す。
したがって,速度が設定速度以下で,かつ操舵角×角速度が設定値以下である間は,弾性的連結部40の変位量は小さな状態となり,自動二輪車10は,車体の応答性が向上した状態での低,中速での走行が可能となる。この状態は,ステップST3で車速が設定速度を超えたと判断されるか,または,ステップST6で操舵角×角速度が設定値を超えたと判断されるまで維持される。
これによって,弾性的連結部40は大きく変位することが可能となり,自動二輪車10は,例えば低速で連続するスラローム走行(操舵を伴うきり返し運転)に適した状態となる。この状態は,ステップST8で操舵角×角速度が設定値を超えていないと判断されるまで維持される。
以上のように,この実施の形態によれば,自動二輪車10の走行中に,車速,操舵角および角速度に応じた,車体の剛性と振動特性とを自動的に随時得ることができ,走行状況に応じた操縦性,応答性,乗り心地性を自動的に得ることができる。
この実施の形態は,車速センサS1に加え,車体ヨーレートを検出するヨーレートセンサS3を備えている。
制御部61は,車速センサS1で検出された車速と,ヨーレートセンサS3で検出されたヨーレートとに基づき,締結部材50の作動を制御して該締結部材50による第1,第2のメンバー41,42同士の締結力および防振部材43への圧縮力を調整する。
制御部61は車速とヨーレートとアクチュエータ60の回転位置とを対応させたテーブルを有しており,このテーブルに基づき,車速センサS1で検出された車速とヨーレートセンサS3で検出されたヨーレートとに応じて,アクチュエータ60を所定の位置まで回転させ(すなわちボルト51を所定の位置まで回転させ),第1,第2のメンバー41,42同士の締結力および防振部材43への圧縮力を調整する。
このフローチャートに示すように,ステップST1でイグニッションスイッチがONされると,制御部61は先ずステップST2で締結部材50による締結力が強くなる位置にアクチュエータ60(したがってボルト51)を回転させ,次いでステップST3で車速が予め定められた設定速度を超えたか否かを判断する。
これによって,弾性的連結部40は大きく変位することが可能となり,自動二輪車10は,外乱に対する収斂性が向上した状態で,高速走行が可能となる。この状態は,ステップST5で車速が予め定められた設定速度を下回ったと判断されるまで維持される。
ステップST5で車速が設定速度を下回ったと判断すると,制御部61はステップST2に戻り,ステップST2以降の制御を繰り返す。
ヨーレートが設定値を超えていないならば,ステップST2に戻り,ステップST2以降の制御を繰り返す。
したがって,速度が設定速度以下で,かつヨーレートが設定値以下である間は,弾性的連結部40の変位量は小さな状態となり,自動二輪車10は,車体の応答性が向上した状態での低,中速での走行が可能となる。この状態は,ステップST3で車速が設定速度を超えたと判断されるか,または,ステップST6でヨーレートが設定値を超えたと判断されるまで維持される。
これによって,弾性的連結部40は大きく変位することが可能となり,自動二輪車10は,低速で大きなヨー運動を伴う走行に適した状態となる。この状態は,ステップST8でヨーレートが設定値を超えていないと判断されるまで維持される。
以上のように,この実施の形態によれば,自動二輪車10の走行中に,車速とヨーレートに応じた,車体の剛性と振動特性とを自動的に随時得ることができ,走行状況に応じた操縦性,応答性,乗り心地性を自動的に得ることができる。
Claims (7)
- 車体の左右に配置されるフレームを有する自動二輪車であって,
前記左右のフレームのうちの一方のフレームに取り付けられていて,他方のフレームへ向かって延びる第1のメンバーと,
前記左右のフレームのうちの他方のフレームに取り付けられていて,前記一方のフレームへ向かって延びる第2のメンバーと,
上記第1のメンバーと第2のメンバーとの間に設けられていて,これら第1,第2のメンバーを弾性的に連結する防振部材と,
を備えていることを特徴とする自動二輪車。 - 前記第1のメンバーと第2のメンバーは,車幅方向においてオーバーラップしており,そのオーバーラップ部が前記防振部材で弾性的に連結されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
- 前記第1のメンバーと第2のメンバーは,いずれも,車幅方向から見て断面L字形に構成されており,そのL字形に沿って前記防振部材で弾性的に連結されていることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車。
- 前記第1のメンバーと第2のメンバーは,それぞれ,前記フレームへの取付部と,この取付部から車幅方向へ延びる複数の延設部とを有し,これら延設部相互間にそれぞれ前記防振部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の自動二輪車。
- 前記防振部材を圧縮しつつ前記第1のメンバーと第2のメンバーとを防振部材を介して締結する締結部材を有することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の自動二輪車。
- 前記締結部材を複数設けたことを特徴とする請求項5記載の自動二輪車。
- 前記締結部材を作動させるアクチュエータと,少なくとも自動二輪車の車速を検出する車速センサと,この車速センサで検出された車速に基づき,前記締結部材の作動を制御して該締結部材による前記締結力および圧縮力を調整する制御部と,をさらに備えていることを特徴とする請求項5また6に記載の自動二輪車。
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