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JP5226522B2 - 立方晶系窒化ホウ素成形体 - Google Patents

立方晶系窒化ホウ素成形体 Download PDF

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JP5226522B2 JP2008537223A JP2008537223A JP5226522B2 JP 5226522 B2 JP5226522 B2 JP 5226522B2 JP 2008537223 A JP2008537223 A JP 2008537223A JP 2008537223 A JP2008537223 A JP 2008537223A JP 5226522 B2 JP5226522 B2 JP 5226522B2
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Description

本発明は、多結晶立方晶系窒化ホウ素研磨剤成形体の製造に関する。
窒化ホウ素は、典型的には、3種類の結晶系、すなわち、立方晶系窒化ホウ素(CBN)、六方晶系(hBN)及びウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)の形で存在する。立方晶系窒化ホウ素は、ダイアモンドの構造に似た構造を持つ硬い閃亜鉛鉱型窒化ホウ素である。CBNの構造において、原子間の結合は、強く、主に、四面体共有結合である。CBNを製造する方法は、当該技術分野において公知である。その1つの方法は、hBNを、特別の触媒添加物質の存在下に、非常に高い圧力と温度で処理することであり、その添加物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉛、錫及びこれらの金属の窒化物を含み得る。温度と圧力を下げると、CBNを回収することができる。
CBNは、工具等として商用上幅広い用途がある。研磨ホイール、切削具等において研磨粒子として使用でき、又は、工具本体に接合し、通常の電気めっき技術を用いて工具インサートを形成することができる。
CBNは、PCBNとしても知られるCBN成形体として接合された形で使用することもできる。CBN成形体は、性質として良好な耐摩耗性を有し、熱的に安定であり、高い熱伝導性、良好な耐衝撃性を有し、かつ加工物に接したとき低い摩擦抵抗を有する。
ダイアモンドは、CBNよりも硬いものとして知られる唯一の物質である。しかしながら、ダイアモンドは、鉄のようなある物質と反応する性質があるから、鉄を含む金属との加工には使用することができない。それゆえ、これらの場合にCBNの使用が好まれる。
CBN成形体は、CBN粒子の多結晶塊を焼結させたものからなる。CBNの含有量が成形体の75体積%を超えると、かなりの量のCBN−CBNの接合が存在する。CBNの含有量が低い、たとえば、成形体の40〜60体積%の範囲であると、CBN−CBNの直接接合は、少なくなる。
CBN成形体は、一般的に、アルミニウム、珪素、コバルト、ニッケル、チタン、クロム、タングステン及び鉄を含む1つ又はそれ以上の相を含むことにもなる。
さらに、自然にはセラミックであることもある第二硬質相も存在し得る。適切なセラミック硬質相の例は、第4,5又は6族の遷移金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物、酸化アルミニウム及びこれらの混合物である。
マトリックスは、組成物内のCBNを除くすべての成分から構成されるものとする。
CBN成形体は、工具インサート又は工具の形で工具本体に直接結合することができる。しかしながら、多くの用途のためには、成形体は、基体/支持体材料に結合して成形体支持構造物を形成し、次いで、この成形体支持構造物を工具本体に結合することが好ましい。基体/支持体材料は、典型的には、結合金属炭化物であり、コバルト、ニッケル、鉄又はこれらの混合物又は合金のような結合剤と共に結合されている。金属炭化物粒子は、タングステン、チタン又はタンタルの炭化物粒子又はこれらの混合物を含むことができる。
多結晶CBN成形体及び成形体支持構造物を製造するための公知の方法は、未焼結のCBN粒子塊を、高温、高圧条件、すなわち、CBNが結晶学的に安定な条件の下に適切な時間置くことを含む。結合剤相は、粒子の結合を強化するために使用される。使用される高温高圧(HTHP)の典型的な条件は、1100℃又はそれよりも高い範囲の温度及び2GPa又はそれよりも高い桁の圧力である。これらの条件を保つ時間は、典型的には、約3〜120分である。
基体の有無にかかわらず、焼結されたCBNは、使用する特定の切削あるいはドリルの所望の寸法及び/又は形状にしばしば切断され、ろう付け技術を用いて工具本体に取り付けられる。
高CBN材料(PCBNとしても知られている)は、主に、ねずみ鋳鉄、粉末冶金(PM)鋼、高クロム鋳鉄、白鋳鉄及び高マンガン鋼のような加工用途に使用される。高CBN材料は、通常、粗面加工及び重断続加工(heavy interrupted machining)の操作に使用される。ある場合には、ねずみ鋳鉄及び粉末冶金(PM)鉄の仕上げ加工のような仕上げ加工にも使用される。
このようなPCBNの広い用途範囲は、高耐摩耗性、高縁部完全性(high edge integrity)、高強度、高靭性及び高耐熱性の材料にとって需要がある。これらの性質を組合せたものは、少なくとも75体積%のCBN高含有量、及びCBNとの強力な結合性を形成する結合剤相を有する材料によってしか達成できない。
CBNは、硬度、強度、靭性、高熱伝導性、高耐摩耗性、及び、鉄製ベアリング材料に接した場合に低摩擦係数を与える最も重要な成分であるから、結合剤相の主な機能は、構造体中のCBN粒子を接合すること、及び成形体中のCBNの諸性質を補完することである。それゆえ、高CBN複合体中での比較的弱い結び付きは、CBNよりも結合剤相の方である。
米国特許第6,316,094号及び欧州特許第1,043,410号明細書はともに、CBN低含有量、すなわち、70体積%よりも低い含有量の多結晶CBN成形体を製造する方法を記載している。これらのCBN成形体は、全体のcBN含有量及び非cBNマトリックスの機能又は役割において、本発明の成形体とは実質的に異なる。CBN含有量の高い材料と低い材料とは、基本的に異なることが当該技術分野で知られており、幅広い種々の用途に使用することにより証明されている。
CBN低含有量の成形体のマトリックス材料は、第二硬質相と結合剤相の両方を含み、その第二硬質相は、マトリックスの主要な物質である。これらの成形体にとって、マトリックス相(特に、第二硬質相)は、本質的かつ自発的に、成形体の使用性能を決定するのに重要な役割を果たす。このマトリックス相は、二次元的に連続となるように十分な量(30体積%より多く)存在する。上に引用した両特許の幾つかの実施例において、第二硬質相、結合剤相及びCBNは、摩砕されている。この摩砕の目的は、脆い第二硬質相材料を細かくすることと、結合剤、第二硬質相粒子及びCBN粒子を均質に分散させることである。
CBN高含有量多結晶成形体において、CBNは、用途における性能を決定するのに主たる役割を果たす。マトリックスの役割は、主に、CBN粒子同士の反応結合を促進し、その結果、粒子同士を固めることである。CBN含有量がもっと高く、強い固化結合の形成が求められる場合は、CBN高含有量成形体のマトリックス混合物は、延性のある結合剤相材料の相対的量をはるかに多く含む必要がある。なおさらに、成形体は、ある水準の第二硬質相材料を含むのがよい。
本発明によると、多結晶CBN成形体の製造に適した粉末組成物を製造する方法は、CBNと粉末結合剤相との混合物中に少なくとも80体積%の量でCBNが存在する混合物を摩砕する工程を含む。
組成物を多結晶CBN成形体の製造に必要な高温・高圧条件下に置く前に、摩砕し、必要な場合、乾燥した後の粉末混合物を真空加熱処理して汚染物を除去する/減ずることが好ましい。
組成物は、典型的には、約80体積%〜約95体積%のCBNを含む。CBNは、複数の平均粒径の粒子からなる。
結合剤相は、典型的には、アルミニウム、珪素、コバルト、モリブデン、タンタル、ニオブ、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、炭素及び鉄を含む1つ又はそれ以上の相が存在する。この結合剤相は、アルミニウム、珪素、コバルト、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、炭素及び鉄の複数種からなる均一な固溶体を含む粉末が存在し得る。
結合剤相は、少量の炭化物、一般的には、摩砕媒体の摩耗から由来する炭化タングステンを含むことができる。
CBNの平均粒径は、通常、12μm以下、好ましくは10μm以下である。
本発明の1つの形態において、CBN粒子は、典型的には、約2μm以下の微粒子である。そのような微細な粒子として、たった1つの粒径(ユニモーダル(unimodal))を用いることが好ましい。好ましくは、混合物は、結合剤相とCBN粒子だけからなり、摩砕処理由来の炭化タングステンのような他の成分は、混合物から製造されるCBN成形体の性能に影響を及ぼさないわずかな量で存在する。特に、混合物は、実質的に、第二硬質相は含まない。
CBNが複数の平均粒径の粒子からなるとき、CBNは、バイモーダル(bimodal)であることが好ましい。すなわち、2つの平均粒径を有する粒子からなる。より細かい方の粒子(細粒子)の平均粒径の範囲は、通常、約0.1から約2μmであり、より粗い方の粒子(粗粒子)の平均粒径の範囲は、通常、約2から約12μm、好ましくは、約2から約10μmである。
CBN粗粒子対細粒子の含有量比は、典型的には、50:50から90:10である。粗粒子は、2μmよりも大きい粒径であることが好ましい。そのようなバイモーダルCBN粒子にとって、混合物が第二硬質相を含むことが好ましい。第二硬質相は、結合剤相と第二硬質相との組合せの、好ましくは、75重量%以下の量で、より好ましくは、70重量%以下の量で存在する。本発明のこの形態では、結合剤相と第二硬質相を、微細なCBN粒子と一緒に摩砕し、次いで、この混合物に、CBN粗粒子を加えて、たとえば、機械撹拌又は超音波撹拌のような、摩砕を含まない高エネルギー混合法により混合する。結合剤相と第二硬質相を、微細なCBN粒子を加える前に、混合し、摩砕することができる。
適切な第二硬質相物質の例は、第4、5又は6族の遷移金属の炭化物、窒化物、ホウ化物、炭窒化物、アルミニウム酸化物及びそれらの混合物のようなセラミック硬質相である。
本発明のもう1つの面によると、多結晶CBN成形体は、上記のようにして製造された粉末組成物を、この成形体を製造するのに適した高温・高圧条件下に置くことにより製造される。
粉末組成物を、基体表面上に載せた後、高温・高圧条件下に置く。基体は、一般的に、金属炭化物を固めた基体である。
本発明は、CBN高含有量の研磨剤成形体を製造することに関する。多結晶CBN成形体を製造するのに使用する組成物、すなわち、出発材料は、粉末状又は粒子状のCBNと結合剤相とからなる。結合剤相は、少なくとも一部は、CBNと融解反応し、高温・高圧焼結処理中に、反応焼結による結合を生成させるべきである。粉末組成物のCBN含有量は、少なくとも80体積%である。粉末組成物から製造された多結晶CBN成形体のCBN含有量は、組成物のものよりも低くなる。このように、本発明の粉末組成物から製造された多結晶CBN成形体のCBN含有量は、少なくとも75体積%になる。
CBNが成形体の約75体積%を超える多結晶CBN成形体において、典型的には、かなりの量のCBN−CBN接触結合が存在する。約75よりも多いCBN体積パーセントを有するCBN成形体は、典型的には、CBN粒子の間で分離された小さな結合剤相であることが特徴である。焼結成形体の結合剤相は、典型的には、性質的にセラミックであり、CBNと、安定な窒化物及びホウ化物の生成が可能な種々の金属との間での焼結反応により生成される。結合剤相の少なくともいくつかは、焼結中に液状又は部分液状になり、CBN粒子同士の良好な結合を達成するために、CBN粒子を濡らすことが必要である。
結合剤相の均質性をできるだけ高めて、CBN粒子間の結合剤相の分布が平均化するように、結合剤相成分の粒径分布を注意深く選ぶことが好ましい。これにより、諸性質が等方性であり、靭性の高い最終物質が得られる。結合剤相の分布が均等であると、強い結合が得られる傾向となり、それはまた、研磨加工材料による機械加工中にCBN粒子の欠け易さを減少させる傾向となる。
本発明により得られた粉末組成物において、CBNは、マルチモーダル(multimodal)の粒子、すなわち、平均粒径が互いに異なる少なくとも二種類のCBNを含むことができる。“平均粒径”とは、特定の粒径からずれた粒子が限られた数存在するけれども、粒子の大部分がその特定の粒径に近接していることを意味する。粒子分布のピークは、特定粒径を有する。このように、たとえば、平均粒径が2μmである場合には、定義によると、2μmより大きい粒子がいくつかあるが、粒子の大部分は、ほぼ2μmの粒径にあり、粒径分布のピークは、2μmに近くなる。
組成物においてより大きなCBN粒径の場合、マルチモーダル、好ましくはバイモーダルのCBNを使用すると、マトリックスが細かに分割されて、予備焼結組成物に重大な大きさの傷が存在する恐れを確実に減らすことになる。これは、本組成物から得た成形体において靭性と強度の両方ともに有効である。
一般的に、粉末化と分散の手段として、粉砕は、当該技術分野においてよく知られている。セラミック粉末の粉砕に普通用いられる粉砕技術は、通常のボールミル、タンブルボールミル、遊星形ボールミル及びアトリッションボールミル(摩砕ボールミル)及び撹拌ボールミルがある。
通常のボールミルにおいて、エネルギー量は、粉砕媒体の大きさと密度、粉砕ポットの径及び回転速度により決まる。方法は、ボールが転がる必要があるから、回転速度、それゆえ、エネルギーが制限される。通常のボールミル粉砕は、低位ないし中位の粒子強度の粉末の粉砕によく適する。典型的には、通常のボールミル粉砕は、約1μm又はそれ以上の最終粒径に粉砕する場合に用いられる。
遊星形ボールミルにおいて、ミルポットの遊星動作により、20g以下の加速を可能とし、それが、密度の高い媒体を使用した場合、通常のボールミルに比べて実質的に多くのエネルギーを与える。この技術は、中程度の強度の粒子において最終粒径約1μmでもって、粉砕するのに十分適している。
アトリッションミル、すなわち、摩砕は、垂直又は水平いずれかの形状で高速回転する撹拌機を有する囲われた粉砕室からなる。使用される粉砕媒体は、0.2〜15mmの範囲の大きさであり、粉末化が目的である場合には、粉砕媒体は、典型的には、高密度の結合炭化物である。撹拌機の高い回転速度は、高密度で小径の媒体と合わせた場合、極めて高いエネルギーを与える。さらに、摩砕における高エネルギーは、スラリーに極めて高いせん断力を創出し、粉末を非常にうまく共分散させ、又は混合させる。摩砕は、前記他の方法に比較してより細かい粒子及びより良好な均質性を達成する。
CBNが典型的には2μm以下の微細な粒子からなる場合、CBN及び結合剤相を粉砕媒体の摩耗量を制御しつつ、摩砕により一緒に粉砕・混合する。結合剤相は、CBN粒子を加える前に摩砕にかけることができる。
CBNが異なる粒径からなり、粗い部分が典型的な2μmより大きく、12μmの範囲内にある場合、方法は、通常1工程より多い工程からなる。第1の工程は、微細な混合物を製造するために、粉末結合剤相と、存在する場合、第二硬質相とをCBNの微細部分とともに粉砕し、第2の工程で、CBNのより粗い部分を加える。次いで、CBN粗粒子が加えられた混合物は、機械混合又は超音波混合のような高エネルギー混合を用いて混合される。更なる摩砕は行わず、粉砕媒体からの炭化物の過度の混入を最小限にする。結合剤相は、第二硬質相が存在する場合、微細なCBN粒子の添加前に、第二硬質相と共に摩砕処理してもよい。
本発明の方法において、結合剤相粒子は、結合剤相物質の表面を物理的に活性化し、場合により、粒径を減少させるために、摩砕処理される。結合剤相が複数の金属性相からなる場合、摩砕処理は、限られた量の合金生成させることができる。それにより、結合剤相の化学的性質をより均質化する。典型的には炭化タングステンである粉砕媒体の摩耗を最小にするように、結合剤相の摩砕処理の条件設定がなされる。
多結晶CBN成形体を製造するのに必要な高温・高圧の典型的な条件は、当該技術分野で知られている。これらの条件は、約2〜約6GPaの範囲の圧力及び約1100℃〜約2000℃の範囲の温度である。本発明に特に好ましい条件は、約4〜6GPa及び1200〜1600℃の範囲内であることが分かった。
本発明の方法により製造された成形体は、ねずみ鋳鉄、粉末冶金(PM)鋼、高クロム鋳鉄、白鋳鉄及び高マンガン鋼を加工する特別な用途を有する。高CBN材料は、通常、粗面加工及び重断続加工操作に使用される。ある場合には、ねずみ鋳鉄及び粉末冶金(PM)鉄の仕上げ加工のような仕上げ加工にも使用される。
本発明は、下記の非制限的実施例により説明される。
実施例1:摩砕処理
平均粒径がそれぞれ1、5及び1μmであるコバルト粉末、アルミニウム粉末及びタングステン粉末を、CBNと共に摩砕した。33重量%のコバルト、11重量%のアルミニウム及び56重量%のタングステンが結合剤混合物を構成した。平均粒径が約1.2μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を、CBNが92体積%になる量で、結合剤混合物に加え入れた。粉末混合物を、結合炭化物粉砕媒体を用いてヘキサンで2時間摩砕した。摩砕後、スラリーを真空乾燥させ、結合炭化物基体により支持した緑の成形体を作製した。真空脱気した後、材料を約5.5GPa、1480℃で焼結し、多結晶CBN成形体を作成した。このCBN成形体(以下、材料Aと称する。)を分析し、加工試験を行った。
実施例2:摩砕処理
平均粒径がそれぞれ約5及び1μmであるアルミニウム粉末及びタングステン粉末を、CBNと共に摩砕した。30重量%のアルミニウム及び70重量%のタングステンが結合混合物を構成した。平均粒径が約2μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を、CBNが94.5体積%になる量で、結合剤混合物に加えた。粉末混合物を、結合炭化物粉砕媒体を用いてヘキサンで2時間摩砕した。摩砕後、スラリーを真空乾燥させ、結合炭化物基体により支持した緑の成形体を作製した。真空脱気した後、材料を約5.5GPa、1480℃で焼結し、多結晶CBN成形体を作成した。このCBN成形体(以下、材料Bと称する。)を分析し、加工試験を行った。
実施例3:摩砕処理
平均粒径がそれぞれ約5及び1μmであるアルミニウム粉末及びコバルト粉末を、CBNと共に摩砕した。30重量%のアルミニウム及び70重量%のコバルトが結合剤混合物を構成した。平均粒径が約2μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を、CBNが93体積%になる量で、結合剤混合物に加えた。粉末混合物を、結合炭化物粉砕媒体を用いてヘキサンで2時間摩砕した。摩砕後、スラリーを真空乾燥させ、結合炭化物基体により支持した緑の成形体を作製した。真空脱気した後、材料を約5.5GPa、1480℃で焼結し、多結晶CBN成形体を作成した。このCBN成形体(以下、材料Cと称する。)を分析し、加工試験を行った。
実施例4:ボールミル粉砕処理
平均粒径がそれぞれ約1、5及び1μmであるコバルト粉末、アルミニウム粉末及びタングステン粉末を、CBNと共にボールミル粉砕した。33重量%のコバルト、11重量%のアルミニウム及び56重量%のコバルトが結合剤混合物を構成した。平均粒径が約1.2μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を、CBNが92体積%になる量で、結合剤混合物に加えた。粉末混合物を、結合炭化物粉砕媒体を用いてヘキサンで10時間ボールミル粉砕した。ボールミル粉砕後、スラリーを真空乾燥させ、結合炭化物基体により支持した緑の成形体を作製した。真空脱気した後、材料を約5.5GPa、1480℃で焼結し、多結晶CBN成形体を作製した。このCBN成形体(以下、材料Dと称する。)を分析し、加工試験を行った。
X線回折分析の結果、焼結材料である、材料A、B、C及びDは、CBN、WC、CoWB、Co21及び少量のAlN及びAlの相(phase)を含んでいた。
これらの材料を、K190(登録商標)焼結PM工具鋼の連続仕上げ旋削において試験した。これらの加工品材料は、微細なCr−炭化物を含み、PCBN切削具で非常に削りやすかった。試験は、以下の切削パラメータの乾燥切削条件で行われた。
切削速度、vc(m/分) 150
切削深さ(mm) 0.2
送り、f(mm) 0.1
インサート形状 SNMN 090308 T0202
(エッジ半径 r0=10−15j−im)
材料A、B、C、Dからの切削具のすべてを、過度のフランクの摩耗の結果破壊するまで試験した。フランクの摩耗量を、少なくとも3つの異なる切削距離で(Vb−maxとして)測定し、一般的に、フランクの摩耗量と切削距離との間の関係は、直線形であることが分かった。各PCBN材料について、データの点毎に最小二乗の線が描かれた。各実施例の材料のスライド距離1m当りのフランクの摩耗量(μm)率を計算し、結果を表1にまとめる。
Figure 0005226522
摩砕された組成物から得られた3つの多結晶CBN成形体はすべて、より低いフランク摩耗量率を有し、ボールミル粉砕された材料、材料Dから得られた多結晶CBN成形体に比べて、所定の全フランク摩耗量に対して、より長い切削距離であったから、より良い性能を示した。
実施例5
Ti(C0.50.50.8粉末を、Al粉末及びTi粉末と、管状ミキサーを用いて混合した。Ti(C0.50.50.8、Al及びTi粉末の重量割合は、それぞれ、59%、15%及び26%であった。粉末混合物を、ヘキサンで4時間摩砕した。平均粒径が1.2μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を、全混合物の24体積%になる量で加え、さらに混合物を1時間摩砕した。平均粒径が約8μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を全混合物において56体積%となる比で加えた。それゆえ、この混合物の全CBN含有量は、80体積%であった。粉末スラリー状の混合物を、約450℃で乾燥、真空脱気した。乾燥された粉末混合物を高エネルギーせん断混合に30分かけ、凍結乾燥した。次いで、粒状の粉末を、緑の成形体に形成し、さらなる真空脱気後、約5.5GPa、約1350℃で焼結して多結晶CBN成形体を作製した。次いで、このCBN成形体(以下、材料Eと称する。)を、分析した。
実施例6
Ti(C0.50.50.8粉末を、Al粉末及びTiと、管状ミキサーを用いて混合した。Ti(C0.50.50.8、Al及びTiの重量割合は、それぞれ、59%、15%及び26%であった。粉末混合物を、ヘキサンで4時間摩砕した。平均粒径が1.2μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を、全混合物において24体積%になる量で加え、さらに混合物を1時間摩砕した。平均粒径が約4.5μmの立方晶系窒化ホウ素(CBN)粉末を全混合物において56体積%となる比で加えた。それゆえ、この混合物の全CBN含有量は、80体積%であった。粉末スラリー状の混合物を、約450℃で乾燥、真空脱気し、乾燥された粉末混合物を高エネルギーせん断混合に30分かけ、凍結乾燥した。次いで、粒状の粉末を、緑の成形体に形成し、さらなる真空脱気後、約5.5GPa、約1350℃で焼結して多結晶CBN成形体を作製した。次いで、このCBN成形体(以下、材料Fと称する。)を、分析した。
X線回折分析の結果、焼結材料、材料E及びFは、CBN、TiCN、WC及びAlの相を含んでいた。

Claims (12)

  1. 多結晶CBN焼結成形体の製造に適する粉末組成物の製造方法であって、
    (i)CBN粒子と粉末結合剤相との混合物を摩砕するステップ;
    (ii)ステップ(i)で得られる摩砕混合物に、ステップ(i)のCBN粒子より粗い平均粒子径を有するCBN粒子を加え、少なくとも80体積%の量でCBN粒子が存在する混合物を製造するステップ;及び
    (iii)ステップ(ii)で得られる混合物を更に混合するステップ;
    を含む、前記方法。
  2. 組成物のCBN含有量が80体積%〜95体積%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  3. CBNの平均粒径が12μm以下である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. CBNの平均粒径が10μm以下である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記粉末組成物中の前記CBN粒子がバイモーダルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 細粒子の平均粒径が0.1から2μmまでであり、粗粒子の平均粒径が2μmから12μmである、請求項5に記載の方法。
  7. 粗粒子対細粒子の含有量比が50:50〜90:10である、請求項5又は請求項6に記載の方法。
  8. 前記混合物が第二硬質相も含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 結合剤と第二硬質相との合計の75重量%以下の量で第二硬質相が存在する、請求項8に記載の方法。
  10. 結合剤と第二硬質相との合計の70重量%以下の量で第二硬質相が存在する、請求項8に記載の方法。
  11. 前記ステップ(iii)における混合法が機械的撹拌又は超音波撹拌である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 結合剤相がアルミニウム、珪素、コバルト、モリブデン、タンタル、ニオブ、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、炭素又は鉄を含む1つ又はそれ以上の相を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
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