本発明の好適な一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタ1の概略的な構成を示す平面図である。以下の説明に当たって、図1において右から左へと向かう方向を主走査方向と定義し、図1において下から上へ向かう方向を副走査方向と定義する。
インクジェットプリンタ1はインクを噴射するインクジェットヘッド8(液体噴射ヘッド)を有している。インクジェットヘッド8は、キャリッジ9及びキャリッジ9に固定されたヘッド本体30を有している。ヘッド本体30は、インクを噴射する複数のノズル30aが下面に形成されており、これらのノズル30aが下方に向かって露出するように、キャリッジ9に固定されている。ヘッド本体30の上面には後述のサブタンク31が固定されている。
インクジェットプリンタ1内にはガイドフレーム23及び24が設置されており、これらのガイドフレーム23及び24はいずれも主走査方向に平行であり、副走査方向に関して互いに離隔するように配置されている。キャリッジ9は、ガイドフレーム23及び24に跨るように設置されており、ガイドフレーム23及び24上で主走査方向に沿って往復移動可能に設置されている。インクジェットプリンタ1の本体フレーム1aには、キャリッジ移動ユニット25が設置されている。キャリッジ移動ユニット25は駆動モータを有しており、かかる駆動モータによってキャリッジ9を主走査方向に往復移動させる。
インクジェットプリンタ1は、ヘッド本体30に各色のインクを供給するメインタンク5a〜5dを有している。メインタンク5a〜5dには、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色及びブラック(Bk)色のインクがそれぞれ貯留されている。
また、メインタンク5a〜5dには、タンク内に貯留されたインクの残量を検出するための残量検出ユニット6a〜6dがそれぞれ設置されている。残量検出ユニット6a〜6dは、メインタンク5a〜5d内のそれぞれのインクの残量を検出し、インクの残量が空に近い所定値未満(完全な空ではなくまだ印刷はできる程度の量)か否かを示す検出結果を後述の制御部100へと送信する。残量検出ユニット6a〜6dは、例えば、タンク内のインク液面に浮かぶフロートと、インク液面に従ってフロートが移動するのに応じて所定の検出位置を通過する遮蔽板とがタンク内に設置されており、かかる遮蔽板が検出位置を通過したことを光センサが検出し、検出結果を制御部100に送信することによって実現されている。
メインタンク5a〜5d内に貯留されたインクは、インクチューブ14a〜14dを介して一旦サブタンク31内に貯留された後に、ヘッド本体30に供給される。本実施形態においてはこのように、インクチューブ14a〜14d、及び、サブタンク31により、メインタンク5a〜5dからヘッド本体30へとインクを供給するインク供給流路(液体供給流路)が構築されている。ヘッド本体30に供給されたインクは、各ノズル30aから下方へと噴射される。また、インクジェットプリンタ1は用紙搬送ユニット26を有している(図3参照)。用紙搬送ユニット26は、ガイドフレーム23及び24下方の所定の印刷位置へと印刷用紙Pを搬送するものである。印刷位置へと搬送された印刷用紙P上には、ヘッド本体30から噴射されたインクが着弾する。
ガイドフレーム23及び24の間には吸収部材22が設置されている。吸収部材22は、ガイドフレーム23及び24の主走査方向に関して一端(図1において左端)の近傍に配置されており、主走査方向に関してキャリッジ9を移動することにより、ヘッド本体30をその真上に位置させることができるように配置されている。吸収部材22はウレタンフォームなどの多孔質材料からなり、ヘッド本体30から噴射されたインクを吸収することができる。制御部100は、キャリッジ9を吸収部材22の上方へと移動させ、ヘッド本体30からインクを噴射させて吸収部材22にそのインクを吸収させる。これによって、ノズル30aのフラッシング処理を実施する。
インクジェットプリンタ1内には、インクジェットヘッド8の下面においてノズル30aが形成された領域のメンテナンス用のキャッピングユニット20(噴射口キャッピング手段)が設置されている。キャッピングユニット20は吸引キャップ21(キャップ)を有しており、吸引キャップ21は、キャリッジ9が所定のメンテナンス位置まで移動した際に、ヘッド本体30の直下に位置するように配置されている。かかるメンテナンス位置は、ガイドフレーム23及び24の図1において右端の近傍に設定されている。
吸引キャップ21の上面には上方に向かって突出した2つの突起部21b及び21cが固定されている。突起部21b及び21cは、それぞれ平面視において長方形形状を有している。突起部21b及び21cは、それぞれキャリッジ9がメンテナンス位置にあるときにヘッド本体30の下面に形成されたノズル30aを平面視において取り囲むように形成されている。
また、吸引キャップ21は、キャリッジ9がメンテナンス位置にあるときに、ヘッド本体30の下面に突起部21bを密着させてノズル30aを覆わせる封止位置と、ヘッド本体30の下面から下方へと退避してノズル30aを開放する開放位置との間で、鉛直方向に移動可能にインクジェットプリンタ1内に設置されている。一方、キャッピングユニット20は吸引キャップ21を封止位置と開放位置との間で移動する移動機構(不図示)を有している。さらに、吸引キャップ21の上面には、2つの吸引口21aが形成されている。これらの吸引口21aは、2つの突起部21b、21cが平面視で取り囲んでいる領域内にそれぞれ形成されている。ちなみに、突起部21bが取り囲む領域は、顔料インク(例えばBk)を吐出するノズル30aを取り囲み、突起部21cが取り囲む領域は、染料インク(例えばY,M,C)を吐出するノズル30aを取り囲むものであり、これにより、顔料インクと染料インクを区別して吸引できるようになっている。
インクジェットプリンタ1には、吸引ポンプ81(吸引手段)及び流路切り換えユニット82(切換手段)が設置されている。吸引ポンプ81と流路切り換えユニット82とは、互いにエアチューブ16を介して接続されている。流路切り換えユニット82は第1〜第4のポート82a〜82dを有している。第1〜第3のポート82a〜82cはエアチューブ16、17a及び17bの一端にそれぞれ接続されており、第4のポート82dはエアチューブ18の一端に接続されている。エアチューブ17a及び17bの他端は、吸引キャップ21に形成された2つの吸引口21aにそれぞれ接続されている。流路切り換えユニット82は、第2〜第4ポート82b〜82dのいずれかと第1ポート82aとを選択的に連通させることができる。これによって、例えば第1ポート82aと第2ポート82dとを連通させることにより、エアチューブ16及び17aを介して吸引口21aの一方から吸引ポンプ81が空気を吸引可能な状態にすることができる。また、第1ポート82aと第3ポート82cとを連通させることにより、エアチューブ16及び17bを介して吸引口21aの他方から吸引ポンプ81が空気を吸引可能な状態にすることができる。
一方、エアチューブ18の他端はチャージタンク84に接続されている。チャージタンク84は、吸引ポンプ81に空気を吸引させることによって後述の空気室51と共に圧力を蓄えるためのものである。チャージタンク84内には内部空間84aが形成されており、内部空間84aの一端はエアチューブ18と連通している。内部空間84aの他端はエアチューブ19の一端と連通している。内部空間84aは、その他端から一端に向かう空気の流れ方向(一点鎖線の矢印で示される方向)に直交する断面の面積が、エアチューブ18及び19の延在方向に直交する方向に沿った断面の面積より大きくなるように構成されている。一方、エアチューブ19の他端はサブタンク31に接続されている。
なお、エアチューブ18の途中には、一方向弁83が設置されている。図2は一方向弁83の一例である。一方向弁83内には、流路切り換えユニット82側のエアチューブ18に連通した弁室83bと、チャージタンク84側のエアチューブ18に連通した弁室83cとが形成されている。弁室83b及び83c内には弁体83aが収容されている。弁体83aは傘部を有しており、かかる傘部は弁室83bと弁室83cとの差圧に応じて変形するように構成されている。これによって、吸引ポンプ81がエアチューブ18を吸引した場合には、弁室83b内の圧力が低下する。したがって、弁室83b側から作用する吸引力が弁室83c側から作用する吸引力を上回って、弁体83aが弁室間の連通部を開放する開放位置に位置付けられる。また、吸引ポンプ81がエアチューブ18の吸引を停止した場合には、弁室83b内の圧力が上昇し、弁室83b側からの吸引力が低下する。これによって、弁室83c側からの吸引力が弁室83b側からの吸引力を上回って、弁体83aが弁室間の連通部を閉鎖する閉鎖位置に位置付けられる。
したがって、一方向弁83は、吸引ポンプ81がエアチューブ18を吸引した場合には弁体83aが開放位置に位置し、吸引ポンプ81がエアチューブ18の吸引を停止すると閉鎖位置に移動する。これによって、一方向弁83は、チャージタンク84から流路切り換えユニット82に向かう方向のみに流れるようにエアチューブ18内の空気の流れを制限している。
また、エアチューブ19の途中には、エアチューブ19内の圧力の大きさを検出可能な後述の圧力検出ユニット60(圧力検出手段)及びエアチューブ19内の圧力が大幅に低下したときに作動する後述の圧力リミッタ69が設置されている。
このように、エアチューブ18、19、及び、チャージタンク84を介して、サブタンク31と流路切り換えユニット82とが連通している(これらエアチューブ18、19、及び、チャージタンク84によって第1吸引流路が構成される)。そして、流路切り換えユニット82に第1ポート82aと第4ポート82dとを連通させることによって、エアチューブ16、18、チャージタンク84及びエアチューブ19を介して、サブタンク31内の空気を吸引ポンプ81が吸引可能な状態にすることができる。
インクジェットプリンタ1は、各種の動作を制御する制御部100を有している。インクジェットプリンタ1には、プロセッサ回路や各種の記憶装置などのハードウェアが収納されており、記憶装置には、プロセッサ回路を動作させるためのプログラムを含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって制御部100が構築されている。制御部100は、図3に示すように、インクジェットプリンタ1の印字動作を制御する印字制御部101(印字制御手段)を有している。印字制御部101は、用紙搬送ユニット26による印刷用紙の搬送、キャリッジ移動ユニット25によるキャリッジ9の移動及びインクジェットヘッド8からのインクの噴射を画像データに基づいて制御することにより、文字、記号、図形を含む所定の画像を印刷用紙上に形成する印字動作を実行する。また、制御部100は、吸引ポンプ81による吸引動作を制御する吸引制御部102(吸引制御手段)を有している。吸引制御部102は、流路切り換えユニット82を切り換えて、サブタンク31内の空気を吸引することが可能な状態にしたり、吸引キャップ21内を吸引可能な状態にしたりする。また、吸引制御部102は、キャッピングユニット20をノズル30aを覆った封止位置とノズル30aを開放した開放位置との間で移動させる。そして、吸引ポンプ81の駆動を制御する。これによって、吸引制御部102は、サブタンク31内を吸引したり、ノズル30aを吸引したりする、吸引動作を実行する。また、制御部100は、メインタンク5a〜5dのインク残量を判定する残量判定部103を有している。
さらに、制御部100には、残量検出ユニット6a〜6d及び圧力検出ユニット60からの検出結果が入力される。制御部100は、残量検出ユニット6a〜6d及び圧力検出ユニット60からの検出結果に基づいて印字動作や吸引動作を制御する。メインタンク5a〜5d内のインクの残量が空に近い状態になったことを残量検出ユニット6a〜6dからの検出結果が示した場合には、インクの残量が空に近いことを警告するメッセージを、制御部100が表示装置(不図示)に表示させてもよい。また、制御部100は、メインタンク5a〜5d内のインクの残量が空に近い状態になったことを残量検出ユニット6a〜6dからの検出結果が示した場合には、その検出結果に対応したメインタンクのインクを噴射した回数をカウントし始める。かかる噴射回数は、後述のメインタンクの残量判定処理において使用される。
インクジェットヘッド8について図4及び図5を参照しつつさらに詳細に説明する。図4は、キャリッジ9からヘッドカバーやサブタンク31等を取り外した状態のインクジェットヘッド8の斜視図である。図5は、インクジェットヘッド8からヘッドカバーを取り外した状態のインクジェットヘッド8の平面図である。キャリッジ9は、概略的に直方体の形状を有し、上方に開口した箱形状を有している。キャリッジ9内にはサブタンク31及びヘッド本体30が収容されており、さらにその上方からヘッドカバーがキャリッジ9を覆っている。なお、図4及び図5においてヘッドカバーの図示を省略している。
サブタンク31は導入部31aを有しており、インクチューブ14a〜14d及びエアチューブ19は導入部31aに接続されている。キャリッジ9の底部にはヘッド本体30が固定されている。ヘッド本体30の上面には、インクの導入口である開口30cが形成されている(図4)。開口30cは、4色のインクに合わせて4つの導入口を有している。サブタンク31は、ヘッド本体30の上方において、サブタンク31からの各色インクの供給口が開口30cの各色の導入口と連通するようにキャリッジ9内に収容されている。
ヘッド本体30内には一端がノズル30aに、他端が開口30cに連通したインク流路が形成されている(不図示)。ヘッド本体30の上面には噴射アクチュエータ30bが貼り付けられている(図4)。噴射アクチュエータ30bは、ヘッド本体30の下面に形成されたノズル30aからインクを噴射させるための噴射エネルギーを、ヘッド本体30内のインク流路に充填されたインクに付与する手段である。噴射アクチュエータ30bは、例えば、圧電層と、その圧電層に電界を生じさせることによって圧電層を変形させる電極層とを有している。そして、電極層に所定の駆動信号が供給されると、圧電層が変形し、インク噴射のための圧力変動をインク流路内のインクに生じさせるように構成されている。
噴射アクチュエータ30bの上面からは、インク噴射のための駆動信号を電極層に供給するフレキシブル配線基板72が上方へと引き出され、制御部100に接続されている(図4)。フレキシブル配線基板72内には、電気信号を伝達するための配線が施されている。また、フレキシブル配線基板72上にはドライバ回路基板73が実装されている。制御部100は、フレキシブル配線基板72を介してドライバ回路基板73にインク噴射のための制御信号を送信し、ドライバ回路基板73は制御部100からの制御信号を駆動信号に変換して噴射アクチュエータ30bへと供給する。ドライバ回路基板73は鉛直方向及び副走査方向に沿って延在しており、副走査方向に関して長尺な形状を有している。また、フレキシブル配線基板72に面した表面が主走査方向に垂直な平面に沿っており、またその表面に対して副走査方向に関して反対側の表面も主走査方向に垂直な平面に沿っている。
キャリッジ9内には、ドライバ回路基板73が過熱するのを防止するためのヒートシンク71が設置されている。ヒートシンク71は金属材料からなる部材であり、図4及び図5に示されるように、副走査方向に関して長尺な形状を有している。ヒートシンク71は、主走査方向に関してドライバ回路基板73とサブタンク31との間に配置されている。ヒートシンク71のドライバ回路基板73に対向した表面は、ドライバ回路基板73の表面に沿って配置されており、ドライバ回路基板73に密着するように当接されている。また、ドライバ回路基板73と密着した状態で保持されるように、接着剤等でドライバ回路基板73に固定されている。なお、ドライバ回路基板73と密着した状態を保持する付勢力をヒートシンク71に印加するような弾性部材等が設けられていてもよい。これによって、ドライバ回路基板73からの発熱が確実にヒートシンク71に伝達される。
以下、サブタンク31内の構成について図5及び図6を参照しつつ説明する。図5には、サブタンク31の内部の構成が破線で示されている。図6は、図5のVI−VI線に沿ったサブタンク31の縦断面図である。
サブタンク31は、図6に示されるようにタンク本体31bと蓋部材31cとを有している。タンク本体31b内には、図5に示されるように、インクが貯留されるインク貯留室41〜44が形成されている。また、タンク本体31b内には、インクチューブ14a〜14dからのインクをインク貯留室41〜44に導入するためのインク流路45〜48が形成されている。インクチューブ14a〜14dを介してメインタンク5a〜5dから供給されたインクは、インク流路45〜48を介してインク貯留室41〜44内に流入する。インク貯留室41〜44内にはBk色、C色、M色及びY色のインクがそれぞれ貯留される。なお、図6にはインク貯留室42のみが示されているが、以下においては特に指摘のない限り、図6に示されたインク貯留室42の構成をインク貯留室41〜44の共通構成とする。
インク貯留室41〜44は、副走査方向に関して長尺なほぼ直方体の形状を有しており、主走査方向に沿って配列されている。インク貯留室42〜44はいずれも同じ容積を有するように形成されているのに対して、インク貯留室41はその他のインク貯留室よりも大きい容積を有するように形成されている。インク貯留室41内にはBk色のインクが貯留され、Bk色は一般に早く消費されるので、他色のインク貯留室と比べて一度に多くのインクを貯留できるようにするためである。
タンク本体31bにおいてインク貯留室41〜44の上部には、連通孔41a〜44aが形成されている。タンク本体31bの上面は水平面に沿っており、連通孔41a〜44aはいずれもタンク本体31bの上面に開口している。タンク本体31bの上面には、連通孔41a〜44aの各開口を塞ぐように気体透過膜53が、接着等によって貼り付けられている。気体透過膜53は、気体は通過させるが気体以外のインクや固体を通過させない膜であり、例えば多孔質のフッ素樹脂膜などが用いられる。
タンク本体31bにおいてインク貯留室41〜44の下部には、ヘッド本体30へのインクの供給流路であるインク流路41b〜44bが形成されている。インク流路41b〜44bはヘッド本体30の上面に形成された開口30cの各導入口と連通している。なお、図を見やすくするため、図5にはインク流路41b〜44bを図示せず、図6にインク流路42bのみを図示している。
蓋部材31c内には、空気室51及び空気流路52が形成されている。空気室51は、主走査方向に関して長尺な長方形の平面形状を有し、蓋部材31cの下面に開口した凹部である。空気室51は、主走査方向に関してインク貯留室41〜44を跨ぐように形成されている。空気室51は、空気流路52の一端と連通している。空気流路52の他端はエアチューブ19と連通している。
以下、圧力検出ユニット60について図7を参照しつつ説明する。エアチューブ19は、内部の圧力に応じて膨張及び収縮する壁面を含む圧力検出領域19aを有している。圧力検出ユニット60は、圧力検出領域19aの外側に設置された光センサ62及び遮蔽板61(被検出部材)を有している。光センサ62は、光を出射する発光ユニット62aと、その出射光αの延長線上に受光部を有した受光ユニット62bとを有している。受光ユニット62bは受光した光の強度を示す信号を制御部100へと出力する。
一方、圧力検出領域19aにおいて光センサ62に対向した壁面は弾性皮膜63で構成されている。弾性皮膜63は、エアチューブ19のその他の部分と比べて、内部の圧力に応じて変形しやすい弾性材料で形成されている。なお、弾性皮膜63のような弾性材料からなる皮膜の替わりに、樹脂フィルムなどのその他の可撓性を有する部材が設けられていてもよい。圧力検出領域19a内には、弾性皮膜63を光センサ62に向かって付勢する付勢部材64が設置されている。これによって、弾性皮膜63は、エアチューブ19内が所定圧以上である場合には、図7(a)に示されるように光センサ62へと突出するように変形している。そして、エアチューブ19内の圧力が低下していくと、エアチューブ19の内外の差圧によって、付勢部材64の付勢力に抗してエアチューブ19の内部へと引っ込むように変形していく。
一方で、弾性皮膜63の外表面には遮蔽板61が固定されており、その固定位置は、弾性皮膜63が上記のように変形するのに応じて、出射光αの経路上で出射光αを遮蔽する図7(a)の位置(検出位置)から、かかる位置から離隔した図7(b)の位置まで変位するように調整されている。さらに、付勢部材64の付勢力は、エアチューブ19内の圧力が所定圧以上である場合には遮蔽板61が出射光αを遮蔽し、エアチューブ19内の圧力が所定圧を下回っている場合には遮蔽板61が出射光αの経路から離隔しているように設定されている。したがって、制御部100は、受光ユニット62bからの信号が示す受光強度によって、出射光αの経路上に遮蔽板61が存在するか否かを判定することができ、これによってエアチューブ19内の圧力が所定圧を下回っているか否かを判定することができる。このように、圧力検出ユニット60は、エアチューブ19内が所定圧未満の状態に保持されているか否かを検出することができるようになっている。なお、弾性皮膜63が十分な可撓性を有し、圧力の変化に応じて変形しやすい膜であるならば、付勢部材64を省略することも可能である。
しかし、エアチューブ19内の圧力が所定圧より下回り、さらに低下し続けると、空気室51内の圧力が低下し過ぎて、気体透過膜53に過剰な負荷がかかるおそれがある。かかる事態を回避するため、本実施形態には圧力リミッタ69が設けられている。図8(a)に示すように、圧力リミッタ69は、内部にエアチューブ19を挿入することができるような大きさを有するチューブ状の部材である。圧力リミッタ69の一端には、空気室51側のエアチューブ19の開口19bが挿入されており、圧力リミッタ69の他端には、圧力検出ユニット60側のエアチューブ19の開口19cが挿入されている。圧力リミッタ69は、エアチューブ19内の圧力が上記の所定圧よりさらに低くなると、内外の圧力差に応じて変形し、中心軸に向かって押し潰されるように変形していく。そして、エアチューブ19の内部がある圧力に達すると、図8(b)のように、完全に内部が閉塞された状態になるように調整されている。これによって、エアチューブ19内の圧力が過剰に低下することが防止されている。
以下、制御部100の制御内容についてさらに詳細に説明する。制御部100は、圧力検出ユニット60の検出結果を参照する。そして、エアチューブ19内の圧力が所定圧以上になったと判定すると、制御部100の吸引制御部102は、空気室51を吸引ポンプ81に吸引させる空気室吸引処理を実行する。かかる空気室吸引処理について説明する。まず、吸引制御部102は、エアチューブ16及び18が互いに連通していない場合には、流路切り換えユニット82を制御してこれらが互いに連通した状態にさせる。これによって、吸引ポンプ81と空気室51とが、エアチューブ16、18、チャージタンク84、エアチューブ19及び空気流路52(第1吸引流路)を介して連通した状態となる。そして、吸引ポンプ81を駆動させることにより、空気室51内を吸引すると共に、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて、エアチューブ19内が所定圧を下回る状態、すなわち空気室51が所定圧を下回る状態になるまで吸引ポンプ81による吸引を行わせる。
ここで、エアチューブ18の途中には上述した一方向弁83が設置されており、チャージタンク84から流路切り換えユニット82に向かう方向のみに流れるようにエアチューブ18内の空気の流れが制限されている。これによって、空気室51内(エアチューブ19、チャージタンク84内)の圧力が所定圧を下回る状態まで低下したところで、吸引ポンプ81を停止したり、流路切り換えユニット82に流路を切り換えて空気室吸引処理を終了させると、弁室83b側と弁室83c側の差圧により、弁体83aがこれらの間を閉鎖する閉鎖位置に位置付けられる。よって、空気室51内に空気が流入することが抑制され、空気室51内が所定圧未満である状態を保持することができる。
一方、空気室51はインク貯留室41〜44と気体透過膜53を介して隔てられているので、空気室51を所定圧未満に保持することにより、気体透過膜53を通じてインク貯留室41〜44内の空気をインクから分離(気液分離)して空気室51へと吸引することができる。つまり、本実施形態においては、空気室51を吸引する空気室吸引処理により、インク貯留室41〜44内の気体が吸引される。すなわち、空気室吸引処理によって、メインタンク5a〜5dからインク貯留室41〜44内を経てヘッド本体30に至るインク供給流路(液体供給流路)内が吸引される。そして、上記の所定圧は、気体透過膜53を通じてインク貯留室41〜44内が十分に気液分離されるような大きさに調整されており、例えば大気圧未満の圧力である。したがって、空気室51内の圧力が所定圧未満に保持されることにより、インク貯留室41〜44内の気液分離状態が保持され、インク貯留室41〜44からヘッド本体30へと空気が流入することが抑制されている。
制御部100はさらに各種の制御処理を、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて実行する。以下、かかる圧力検出ユニット60の検出結果に基づく制御処理について順に説明する。第1の処理は、ノズル30aのメンテナンス処理である。図9は、ノズル30aのメンテナンス処理の各ステップを示すフローチャートである。まず、制御部100は、圧力検出ユニット60の受光ユニット62bからの信号が示す光の強度に基づいて、エアチューブ19内が所定圧を下回っているか否かを判定する(S1)。そして、エアチューブ19内が所定圧を下回っていないと判定すると(S1、NO)、制御部100の吸引制御部102が空気室吸引処理を実行する(S3)。そして、エアチューブ19内が所定圧を下回るまで空気室吸引処理を継続して実行する(S1、NO及びS3)。
エアチューブ19内が所定圧を下回ったと判定すると(S1、YES)、吸引制御部102はノズル吸引動作を開始させる(S2)。以下、ノズル吸引動作について説明する。吸引制御部102は、まず流路切り換えユニット82を制御して、エアチューブ16とエアチューブ17aとが連通した状態にさせる。これによって、吸引ポンプ81と吸引キャップ21の一方の突起部21b内の内部空間とが、エアチューブ16、17a及び吸引口21a(第2吸引流路)を介して連通した状態となる。
次に、吸引制御部102は、キャリッジ9をキャッピングユニット20の上方のメンテナンス位置へと移動すると共に、キャッピングユニット20を制御して、ノズル30aを封止する封止位置へと吸引キャップ21を移動させる。これによって、ノズル30aが吸引キャップ21に覆われる。そして、吸引ポンプ81を制御して、吸引キャップ21の一方の突起部21b内の内部空間を吸引させる。さらに、吸引制御部102は、流路切り換えユニット82を制御してエアチューブ16及び17bを互いに連通させると共に、吸引ポンプ81に吸引キャップ21の一方の突起部21c内の内部空間を吸引させる。これによって、今度は他方の突起部21cに平面視で取り囲まれた方のノズル30a内のインクが吸引される。以上のノズル吸引動作によれば、ノズル30aの周辺の余剰なインクや、インク流路内に混入した空気が除去される。また、一方の突起部21bに囲まれたノズル30aと他方の突起部21cに囲まれたノズル30aとをそれぞれ別個に吸引することができる。
ノズルメンテナンス処理においては以上のとおり、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて、空気室51内(エアチューブ19内)が所定圧以上である場合には空気室吸引処理を実行し、空気室51内が所定圧未満になるまで空気室51内を吸引し続ける。そして、空気室51内が所定圧未満になってからノズル吸引動作に移行する。したがって、空気室51内が所定圧未満の状態に至らないままノズル吸引動作を開始することが回避される。これによって、インク貯留室41〜44内の気液分離が不十分なままノズル吸引動作を実施することでインク貯留室41〜44からヘッド本体30へと空気が流入することが回避される。また、ノズル吸引動作における吸引量が小さいと、インク流路内に流入した気泡がノズル吸引動作によって十分に除去されないおそれもあるが、本実施形態においては上記の通り、ノズル吸引動作の前に空気室吸引処理を実行し、空気室51内が所定圧を下回った後にノズル吸引動作を実行する。したがって、インク貯留室41〜44のインクから気液分離(気体を除去)してからノズル吸引動作を実行することとなるので、インク貯留室41〜44からヘッド本体30へ流入する気体の量を少なくすることができ、ノズル吸引動作において吸引量が小さくても、インク流路内に気泡が残留するのを回避することができる。
第2の処理は、印字処理である。図10は、印字処理を開始する際の各ステップを示すフローチャートである。まず、制御部100は、圧力検出ユニット60の受光ユニット62bからの信号が示す光の強度に基づいて、エアチューブ19内が所定圧を下回っているか否かを検出する(S11)。そして、エアチューブ19内が所定圧を下回っていないと判定すると(S11、NO)、制御部100の吸引制御部102が空気室吸引処理を実行する(S13)。そして、エアチューブ19内が所定圧を下回るまで空気室吸引処理を継続する(S11、NO及びS13)。エアチューブ19内が所定圧を下回ったと判定すると(S11、YES)、制御部100の印字制御部101は印字動作を開始させる(S12)。
印字処理においては以上のとおり、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて、空気室51内が(エアチューブ19内)所定圧以上である場合には空気室吸引処理を実行し、空気室51内が所定圧未満になるまで空気室51内を吸引し続ける。そして、エアチューブ19内が所定圧未満になってから印字動作に移行する。したがって、空気室51内が所定圧に至らないまま印字動作を開始することが回避される。これによって、インク貯留室41〜44内の気液分離が不十分なまま印字動作を実施することでインク貯留室41〜44からヘッド本体30へと空気が流入することが回避される。
なお、印字動作の開始時に吸引ポンプ81による空気室51の吸引を継続してもよいし、停止してもよい。吸引を停止しても、上記の通り一方向弁83により、空気室51内は所定圧未満の状態に維持される。その後印字動作を開始すると、ノズル30aからインクが噴射され、その噴射された分を補充するためメインタンク5a〜5dからインク貯留室41〜44にインクが移動する。その結果、メインタンク5a〜5d中の液体に含まれていた空気がインク貯留室41〜44内に移動するおそれがあるが、空気室51内が所定圧未満の状態に維持されていることで、この空気も分離することができる。
第3の処理は、メインタンクの残量判定処理である。空気室吸引処理によって空気室51内を所定圧未満にすると、一方向弁83の作用により空気室51内が所定圧未満の状態で保持される。そして、この場合に空気吸引処理を行っても空気室51内の圧力が一向に低下せず、空気室51内が所定圧以上のままであるときは、メインタンク5a〜5d内のいずれかのインクが空になり、その内部の空気がインク貯留室41〜44内を経て空気室51内に進入していると考えられる。この現象に基づき、制御部100の残量判定部103は、メインタンク5a〜5dのうちの空になったタンクを特定する残量判定処理を実行する。図11は、残量判定処理の各ステップを示すフローチャートである。
まず、制御部100は、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて、空気室51内(エアチューブ19内)の圧力が所定圧以上であるか否かを判定する(S21)。所定圧以上でないと判定した場合には(S21、NO)、制御部100の残量判定部103は、メインタンク5a〜5dのなかに空のタンクはないと判断し残量判定処理を終了する。所定圧以上であると判定した場合には(S21、YES)、制御部100の吸引制御部102が、空気室吸引処理を実行する(S22)。そして、空気室吸引処理を実行後に、残量判定部103は、空気室51内が所定圧以上であるか否かを、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいてもう1度判定する(S23)。ここで、空気室51内が所定圧未満の状態を回復したと判定した場合には(S23、NO)、メインタンク5a〜5dのなかに空のタンクはないと判断し、残量判定処理を終了する。
一方、空気室51内の圧力が依然所定圧以上のままであると判定した場合には(S23、YES)、残量判定部103は、メインタンク5a〜5dのいずれかが空になったものと判定する。次に、残量判定部103は、残量検出ユニット6a〜6dの検出結果に基づいて、メインタンク5a〜5dのいずれがインク残量が所定値未満になったのかを取得する(S24)。つまり、メインタンク5a〜5dのうちいずれかが空になった場合には、残量検出ユニット6a〜6dの検出結果のいずれかがインク残量が所定値未満であることを示しているはずである。したがって、残量判定部103は、残量検出ユニット6a〜6dの検出結果がインク残量が所定値未満であることを示したものを、メインタンク5a〜5dのうち空になったものとして取得する。
次に、残量判定部103は、S24において空になったものとして取得したメインタンクが複数あるか否かを判定する(S25)。そして、取得したメインタンクが単独の場合には(S25、NO)、S27以降の処理を実行する。一方、取得したメインタンクが複数ある場合には(S25、YES)、残量判定部103は、残量検出ユニット6a〜6dの検出結果が空に近い状態を示してからのインクの噴射回数を参照する。そして、残量検出ユニット6a〜6dの検出結果が空に近い状態を示した複数のメインタンクのうち、噴射回数から見て最も空の状態に近いものを、メインタンク5a〜5dのうち空の状態のメインタンクとして取得する。そして、メインタンク5a〜5dのうち、取得したメインタンクが空であることをユーザに報知する、空報知動作を実行する(S27)。空報知動作は、例えば表示装置に空になったメインタンクを示す文字等を表示することによって実行される。
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によると、上記の通り一方向弁83の作用により、空気室51内の吸引を停止した後もインク貯留室41〜44内が気液分離された状態に保持される。したがって、その後印字動作を開始したり、ノズル吸引動作を開始したりしても、インク貯留室41〜44からヘッド本体30へと空気が流入するといった事態が抑制される。
また、圧力検出ユニット60に基づいて各種の制御処理が実行されるので、空気室51内を所定圧未満になるまで吸引したり、空気室51内が所定圧になってから印字動作やノズル吸引動作を開始したりする制御が可能となる。このように、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて空気室51を所定圧未満になるように吸引するので、印字動作中や印字動作の前後、ノズル吸引動作前においても空気室51を気液分離された状態に保持することが可能となる。
また、メインタンクの残量判定処理において、圧力検出ユニット60の検出結果が所定圧以上であることを示した場合に、空気室吸引処理を実行した後にもう1度圧力検出ユニット60の検出結果が所定圧以上であるか否かを判定し、依然として所定圧以上であった場合に初めてメインタンク5a〜5dのいずれかが空であると判定している。したがって、メインタンク5a〜5dが空になったのではなく、別の原因で単に一時的に空気室51に空気が流入したときに、メインタンク5a〜5dが空であると誤って判定することが抑制される。すなわち、メインタンクが空になったことを高い精度で判定することができる。
また、メインタンクの残量判定処理において、圧力検出ユニット60の検出結果に基づきメインタンク5a〜5dの少なくともいずれかが空であると判定した上で、残量検出ユニット6a〜6dの検出結果に基づいていずれのメインタンクが空であるかを絞り込んでいる。また、その絞り込みの結果、複数のメインタンクを空であるものとして取得した場合には、さらにインクの噴射回数に基づいて絞り込んでいる。したがって、空のメインタンクをより高い精度で取得することができる。
また、空気室51と一方向弁83との間にはチャージタンク84が接続されている。チャージタンク84は、エアチューブ18及び19よりも断面積が大きくなるように構成されているので、空気室51と一方向弁83との間をエアチューブのみで接続する場合と比べて、これらの間の容積を大きくすることができる。これによって、圧力を蓄えるための容積を稼ぐことができるため、少しの空気が空気室51内に入り込んだだけで空気室51内がすぐに所定圧以上になってしまうといった事態が回避され、インク貯留室41〜44内をより長期間に亘って気液分離状態に保持しておくことが可能となる。
また、エアチューブ19の途中には圧力リミッタ69が設置されており、圧力リミッタ69は、エアチューブ19内の圧力が低下し過ぎるとエアチューブ19内を閉塞する。したがって、空気室吸引処理の際に空気室51内の圧力が所定圧を大幅に下回ったとしても、圧力リミッタ69によってエアチューブ19が閉塞されることにより、空気室51内の圧力が低下し過ぎることが防止される。
以下、一方向弁及び圧力検出ユニットに係る他の実施形態について説明する。図12は、上述の一方向弁83に代わる一方向弁183の断面図である。一方向弁183内には、流路切り換えユニット82側のエアチューブ18に連通した弁室183cと、チャージタンク84側のエアチューブ18に連通した弁室183dとが形成されている。弁室183c及び183d内には弁体183bが収容されている。弁体183bは、弁室183cと弁室183dとの連通部を閉鎖する閉鎖位置と、この連通部を開放する開放位置との間で、移動可能に配設されている。弁室183c内には付勢部材183aが設置され、この付勢部材183aは弁体183bを閉鎖位置に向かって付勢している。これによって、吸引ポンプ81がエアチューブ18を吸引していない場合には、弁体183bが弁室同士の連通部を閉鎖する閉鎖位置に位置付けられるようになっている。一方で、吸引ポンプ81がエアチューブ18を吸引した場合には、弁室183c内の圧力が低下する。これによって、弁室183c側から作用する吸引力が、付勢部材183aの付勢力と弁室183d側から作用する吸引力との合力を上回って、弁体183bが弁室間の連通部を開放する開放位置に位置付けられるようになっている。そして、吸引ポンプ81がエアチューブ18の吸引を停止すると、弁室183c側から作用する吸引力が低下し、付勢部材183aの付勢力と弁室183d側から作用する吸引力との合力によって、弁体183bが閉鎖位置に移動する。以上の構成によって、一方向弁183は、一方向弁83と同様に、チャージタンク84から流路切り換えユニット82に向かう方向のみに流れるようにエアチューブ18内の空気の流れを制限することができる。
図13は、上述の圧力検出ユニット60に代わる圧力検出ユニット160の縦断面図である。圧力検出ユニット160は、チャージタンク84とは別の実施形態であるベローズタンク184と共に設置される。圧力検出ユニット160は、検出タンク162と検出タンク162の内部に設置されたベローズタンク184を有している。ベローズタンク184は、内部の圧力に応じて上下方向に伸縮する蛇腹形状を有する部材であり、検出タンク162内の底面に固定されている。検出タンク162内には空気流路162aが形成されており、空気流路162aはエアチューブ18、19及びベローズタンク184内と連通している。
検出タンク162は上方に開口しており、検出タンク162の上面にはスイッチユニット161が固定されている。スイッチユニット161はスイッチレバー161aを有している。スイッチレバー161aは、その先端が上方に位置するように傾いた第1状態(図13(a)の状態)と、下方に位置するように傾いた第2状態(図13(b)の状態)との間で移動可能になるようにスイッチユニット161に設置されている。スイッチユニット161には、スイッチレバー161aを第2状態になるように付勢する手段が設けられている。スイッチユニット161は、スイッチレバー161aが第1状態にあるか第2状態にあるかを示す検出信号を制御部100へと送信する。
ベローズタンク184は、内部の圧力が所定圧以上の場合に、図13(a)のように上端がスイッチレバー161aに当接して、スイッチレバー161aを第1状態に保持するように設置されている。そして、ベローズタンク184内の圧力が低下していくと下方へと収縮していき、所定圧未満になると、上端がスイッチレバー161aから離隔してスイッチレバー161aが第2状態になるように調整されている。
以上の構成によって、制御部100は、圧力検出ユニット160からの検出信号に基づいてスイッチレバー161aが第2状態であるか否かを判定することができ、これによってベローズタンク184内が所定圧未満であるか否かを判定することができる。また、ベローズタンク184の収縮によってベローズタンク184内に圧力を蓄えることが可能となっている。
以下、圧力検出ユニットに関するさらに他の実施形態について説明する。図14は、上述の圧力検出ユニット60に代わる圧力検出ユニット260の縦断面図である。図14に示すように、圧力検出ユニット260は、空気流路263と、ベローズタンク284及び容積検出センサ261とを有している。
空気流路263は、図14の左右方向に延びており、図中左右両端部に設けられた連通口263a、263bにおいて、それぞれ、エアチューブ19、18と連通している。また、空気流路263における図14のほぼ中央部の上面には、空気流路263とベローズタンク284の後述するチャージ室284cとを連通させる連通口263cが設けられている。
ベローズタンク284は、図14の上下方向に延びており、内部に天井壁284b及び側壁284aに囲まれたチャージ室284c(容積可変室)が形成されている。天井壁284bは、チャージ室284cの上端部を画定する壁であり、ほぼ円形の平面形状を有している。側壁284aは、チャージ室284cの側面を画定する壁であり、天井壁284bの外縁部から、チャージ室284cの外側及び内側に交互に折り曲げられつつ下方に延びている。これにより、天井壁284bに鉛直方向に力が加わることで、天井壁284bが鉛直方向に移動するとともに、側壁284aの折り曲げ角度θが変化して、チャージ室284cの容積が変化する。また、チャージ室284cの下端は開口しており、連通口263cに接続されている。これにより、空気流路263とチャージ室284cとが連通している。
ベローズタンク284は、チャージ室284c内が吸引される前には、図14(a)に示すように、天井壁284bが最も高い位置にあるとともに、側壁284aの折り曲げ角度θが最大となっている。そして、吸引ポンプ81によりチューブ18から気体が吸引されると、チャージ室284c内の圧力が低下する。これによって、天井壁284bには、外部の圧力とチャージ室284c内の圧力との差によって下向きの力が生じる。したがって、図14(b)に示すように、天井壁284bが下方に移動し、これに伴って、側壁284aの折り曲げ角度θが小さくなる。そして、このようなベローズタンク284の変形により、チャージ室284cの容積が低下する。
逆に、図14(b)に示すように、チャージ室284c内が減圧されているときに、インク貯留室41〜44内の気体が気体透過膜60を介して空気室51に排出されると、エアチューブ19を介してかかる気体がチャージ室284cへと流入する。これによって、チャージ室284c内の圧力が増加し、チャージ室284c内と外部との差圧によって生じる下向きの力が小さくなる。したがって、ベローズタンク284においては、天井壁284bが上方に移動し、これに伴って側壁284aの折り曲げ角度θが大きくなる。このようなベローズタンク284の変形によって、チャージ室284cの容積が増加する。
ここで、側壁284aの折り曲げ角度θが図14(a)の状態より小さくなると、側壁284aには図14(a)の状態に戻ろうとする図14中上向きの反発力が生じる。かかる反発力は、側壁284aの折り曲げ角度θが図14(a)の状態より小さくなるほど大きい。そして、チャージ室284c内と外部との差圧によって生じる力と上記反発力とが釣り合うことによって、チャージタンク284の変形が停止した状態で保持される。したがって、チャージタンク284の変形が停止した状態において、チャージ室284c内の圧力が低いほどチャージ室284cの容積は小さくなっている。すなわち、チャージ室284c内の圧力と、チャージ室284cの容積とは所定の関係にある。
なお、エアチューブ18及び19の間にチャージ室284cが設けられているため、エアチューブ18、19及びチャージ室284cを合わせた容積は、ベローズタンク284が設けられていない場合の容積と比較して、チャージ室284cの分だけ大きくなる。つまり、圧力検出ユニット260が設けられることによって、上述のチャージタンク84と同様の機能が実現する。
容積検出センサ261は、チャージ室284c内の容積を検出するためのセンサであり、可動部262、複数のスリット262a及びスリット検出センサ264を有している。可動部262は、ベローズタンク284の天井壁284bとともに上下方向に移動するように設置されている。複数のスリット262aは、可動部262の図14における右端部に設けられており、それぞれが図中左右方向に延びているとともに上下方向に沿って配列されている。スリット検出センサ264は、各スリット262aがスリット検出センサ264を上下方向に通過したことを検出する。複数のスリット262aは、天井壁284bとともに上下方向に移動するため、スリット検出センサ264により各スリット262aがスリット検出センサ264を通過したことを検出することによって、チャージ室284cの容積を複数の値で検出することができる。スリット検出センサ264の検出結果は制御部100へと出力される。
ここで、前述したように、天井壁284bの位置、つまり、チャージ室284cの容積と、チャージ室284c内の圧力とは所定の対応関係にある。したがって、容積検出センサ261においては、スリット検出センサ264により、天井壁284bとともに上下方向に移動する複数のスリット262aの各々がスリット検出センサ264を通過したことを検出することによって、チャージ室284c内の圧力を複数の値で検出することができる。
制御部100は、スリット検出センサ264の検出結果に基づいて、空気室吸引処理を実行する。上記のようにスリット検出センサ264の検出結果によると、チャージ室284c内の圧力を複数の値で検出することができる。したがって、圧力検出ユニット260によると、圧力検出ユニット60と比べて、複数の圧力検出値に応じたより詳細な処理を制御部100に実行させることができる。例えば、圧力検出値に応じて吸引ポンプ81による吸引量を変化させたり、圧力検出値が急激に上昇したことを検出すると、空気室51を急速に吸引したりといった処理を実行することができる。
図15は、圧力検出ユニット260と同様に複数の値で圧力を検出することができる圧力検出ユニット360を示している。圧力検出ユニット360には、容積検出センサ261の代わりに、容積検出センサ361が設けられている。容積検出センサ361は、レバー362、固定台363、可動板364、複数のスリット364a及びスリット検出センサ366を有している。
レバー362はほぼ一直線に沿って延びており、図15におけるほぼ中央部よりも若干右側の部分及び左端部において、それぞれ、支持部362a、362bにより回動自在に支持されている。固定台363は、天井壁284bの上面に固定されており、固定台363に支持部362bが設けられている。
可動板364は、レバー362の図15右側の先端に設けられた板状体であり、図中右側の縁が、支持部362aを中心とする円弧状になっている。複数のスリット364aは、可動板364の図中右側の上記円弧状の縁に沿ってほぼ等間隔に形成されている。スリット検出センサ366は、上述のスリット検出センサ264と同様のものであり、各スリット364aが上下方向にスリット検出センサ366を通過したことを検出する。
この場合には、チャージ室284cの圧力が低下し、天井壁284bが下がると、固定台363が天井壁284bとともに下がる。これにより、レバー362が支持部362aを中心として回動し、支持部362aに対して固定台363と反対側に位置する可動板364が上方に移動する。そして、スリット検出センサ366により各スリット364aがスリット検出センサ366を通過したことを検出することにより、チャージ室284c内の容積を複数の値で検出することができる。そして、これによって、チャージ室284c内の圧力を複数の値で検出することができる。なお、チャージ室284cの容積変化に対するスリット364aの移動方向は、上述のスリット262aの移動方向とは反対になっている。
また、圧力検出ユニット360においては、レバー362における支持部362aと支持部362bとの間の長さと、支持部362aと可動板364との間の長さとの比を変更することにより、天井壁284bの移動量に対する可動板364(複数のスリット364a)の移動量を変更することができるので、センサの設計の自由度が向上する。
以下、インクジェットプリンタ1とは別の実施形態に係るインクジェットプリンタ401について、図16〜図18を参照しつつ説明する。なお、図16には、キャリッジ9の内部構成の一部を点線で示しているが、図を見やすくするため、キャリッジ9内の下部に設けられたヘッド本体30やインク貯留室41〜44等の図示を省略している。また、以下において、インクジェットプリンタ1と同様の構成については適宜説明を省略する。さらに、インクジェットプリンタ1と同じ構成に相当するものには同じ符号を付して説明する。
インクジェットプリンタ401は、インクジェットプリンタ1と異なり圧力リミッタ69を有しておらず、その代わりに圧力制御ユニット90を有している。本実施形態においても上述の実施形態と同様に、空気室51内が所定圧以上になると、吸引ポンプ81が空気室51内を所定圧未満になるように吸引するが、このとき空気室51内が所定圧を下回って圧力が低下し過ぎるおそれがある。圧力制御ユニット90は、後述のように、空気室51内の圧力が低下し過ぎるのを防止するものである。また、圧力制御ユニット90と連通したヒートシンク471及びミスト補修ユニット77が設けられている。以下、これらの構成について説明する。図17は、本実施形態のインクジェットヘッド408からヘッドカバーを取り外した状態の平面図である。図16及び図17に示すように、圧力制御ユニット90は、サブタンク431内の空気流路52の途中に設置されている。圧力制御ユニット90の内部は空気流路52と連通していると共に、エアチューブ75を通じてヒートシンク471の内部に連通している。
図18は圧力制御ユニット90の水平断面図である。圧力制御ユニット90内には圧力制御室91が形成されており、圧力制御室91は開口91a、91b及び91cの3つの開口と連通している。開口91aには空気室51側の空気流路52が連通しており、開口91bには吸引ポンプ81側の空気流路52が連通している。開口91cは弁室93を介してエアチューブ75と連通している。圧力制御室91内には付勢部材94と弁体92の一部とが収容されている。弁体92は圧力制御室91と弁室93との連通部を貫通するように配置されており、開口91cを封止する封止位置(図18(a)に示される位置)と開口91cを開放する開放位置(図18(b)に示される位置)との間で移動可能に設置されている。
付勢部材94は弁体92を封止位置に向かって付勢しており、その付勢力は、圧力制御室91内と弁室93内との差圧に応じて、弁体92が開放位置と封止位置との間で移動するように調整されている。より具体的には、付勢部材94の付勢力は、圧力制御室91内が所定圧未満になっても弁体92が封止位置に保持されるが、圧力制御室91内の圧力が所定圧より低いある値を下回った場合に、以下のように弁体92が開放位置に移動するように調整されている。つまり、弁室93内は、後述のようにミスト捕集ユニット77を通じてインクジェットヘッド408の外部へと開放されており、例えば大気圧に保持されている。その一方で、圧力制御室91内が吸引され、所定圧よりさらに低くなってある値に至った場合には、弁室93内と圧力制御室91内との差圧が大きくなる。そして、付勢部材94がその差圧に抗して弁体92を封止位置に維持することができなくなって、弁体92が封止位置から開放位置へと移動する。これによって、圧力制御室91内の圧力が上記のある値を下回った場合には、インクジェットヘッド408の外部から弁室93を通じて圧力制御室91内に空気が取り入れられ、圧力制御室91と連通した空気室51内の圧力が上昇する。そして、圧力制御室91内の圧力が上記のある値以上になるまで回復すると、付勢部材94が弁室93内と圧力制御室91内との差圧に抗して弁体92を封止位置へと移動させ、開口91cを封止させるようになっている。このように開口91cは圧力制御室91内の圧力に応じて開放状態と閉塞状態とを取るが、開口91a及び91bは常に開放状態である。つまり、空気流路52は、常に圧力制御室91を介して連通した状態で保持されている。
また、図16及び図17に示すように、インクジェットヘッド408には、ヒートシンク71の代わりに、ヒートシンク471が設けられている。ヒートシンク471は、副走査方向に関して長尺な直方体の概略形状を有する、金属材料からなる部材である。ヒートシンク471の内部には空洞471aが形成されている。空洞471aは副走査方向に沿って延在しており、副走査方向に関してヒートシンク471の両端にそれぞれ開口している。これら2つの開口には、エアチューブ75及び76の一端がそれぞれ接続されている。エアチューブ76の他端は、キャリッジ9の内側面に固定されたミスト捕集ユニット77に接続されている。ミスト補修ユニット77は内部空間77bを有しており、この内部空間77bはキャリッジ9の内部側へと開口した開口77aを通じて、エアチューブ76の内部と連通している。一方、キャリッジ9の側壁には内部空間77bに連通する連通孔9aが形成されており、連通孔9aはキャリッジ9の外部、つまりインクジェットヘッド408の外部へと開口している。そして、連通孔9a内には、キャリッジ9と内部空間77bとの連通部を覆うように多孔質材料等からなるフィルタ78が貼り付けられている。
以上の実施形態によると、圧力制御ユニット90の圧力制御室91内の圧力が所定圧より低い上記のある値を下回ると開口91cが開放される。一方、開口91cは、エアチューブ75、ヒートシンク471内、エアチューブ76及びミスト捕集ユニット77を介してインクジェットヘッド408の外部へと連通している。したがって、開口91cを介して圧力制御室91内に外部の空気が取り入れられ、空気室51内の圧力が上昇する。そして、空気室51内が上記のある値以上になると、開口91cが封止され、それ以上圧力が上昇しなくなる。このように、例えば空気室吸引処理の際に空気室51内を過剰に吸引しすぎて、空気室51内の圧力が所定圧より低くなり過ぎた場合にも、圧力制御ユニット90によって外部の空気が取り入れられる。したがって、空気室51内の圧力が低下し過ぎることを防ぐことができ、空気室51とインク貯留室41〜44との連通部に設置された気体透過膜53に過大な圧力が加わることを回避することができる。これによって、気体透過膜が過大な圧力で剥がれたり破損したりすることが回避される。
また、圧力制御ユニット90において、開口91cが開放された際に、ミスト捕集ユニット77を介してインクジェットヘッド408の外部の空気が取り入れられる。ミスト捕集ユニット77の開口には多孔質材料等からなるフィルタ78が貼り付けられている。一方、印字動作の際にノズル30aからインクが噴射されると、インクジェットヘッド408の周囲には多数のインク微小滴が空中に浮遊したいわゆるインクミストが発生することがある。かかるインクミストがインクジェットヘッド408に浸入すると、電気回路などに触れてショートさせたり、噴射アクチュエータ30bが誤動作したりするおそれがある。しかし、上記の構成によると、ミスト捕集ユニット77から空気が取り入れられる際に、ミスト捕集ユニット77の開口に貼り付けられたフィルタ78がインクミストを捕集するので、インクジェットヘッド408の周囲のインクミストを減少させることができる。また、フィルタ78が設けられていることで、エアチューブ75やヒートシンク471へとインクが流入して流路を詰まらせたりすることが回避される。また、吸引ポンプ81の吸引作用を利用しているので、ミスト捕集用の吸引ポンプを別途設けることなくインクミストを捕集する構成が実現する。
また、開口91cが開放された際に、ミスト捕集ユニット77から取り入れられた空気は、ヒートシンク471内の空洞471aを通過する。したがって、ドライバ回路基板73からヒートシンク471に伝達された熱は、空洞471aを通過する気流によって、ヒートシンク471から排出される。また、空洞471aはドライバ回路基板73の延在方向(副走査方向)に沿って延在するように形成されているため、ドライバ回路基板73からの発熱を効率よく排出することが可能である。さらに、吸引ポンプ81の吸引作用を利用しているので、ヒートシンク471冷却用の吸引ポンプを別途設けることなくヒートシンク471の熱を排出する構成が実現する。
なお、吸引ポンプ81を作動させ続けることによってヒートシンク471の冷却及びミスト捕集ユニット77によるインクミストの捕集を常に実行することが可能である。
また、本実施形態においては、圧力制御室91が開口90cを通じてヒートシンク471の内部及びミスト捕集ユニット77の内部と連通している。しかし、これらのいずれかのみに連通していてもよいし、いずれにも連通しておらず、圧力制御ユニット90の外部に開放されているだけでもよい。また、エアチューブ75がヒートシンク471の内部の空洞471aに連通しておらず、エアチューブ75の開口がヒートシンク471の表面近傍に配置されていてもよい。
<その他の変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
例えば、上述の実施形態は、1つの吸引ポンプ81によってノズル30aのメンテナンス処理と空気室吸引処理との両方を実行することができる構成であるが、それぞれに吸引ポンプを用意してもよい。
また、上述の実施形態の残量判定処理において、圧力検出ユニット60の検出結果のみに基づいて、メインタンク5a〜5dのうち少なくともいずれかが空であることのみを判定してもよい。
また、上述の実施形態においてフラッシング処理を実行する際に、圧力検出ユニット60の検出結果に基づいて空気室51内を十分に吸引してからフラッシング処理を開始してもよい。
また、上述の実施形態においては、1枚の気体透過膜53が連通孔41a〜44aのすべてを覆うように貼り付けられている。しかし、2枚以上の気体透過膜53が貼り付けられていてもよい。例えば、連通孔41a〜44aのそれぞれを覆うように合計4枚の気体透過膜53が貼り付けられていてもよい。
また、上述の実施形態においては、サブタンク31がタンク本体31bと蓋部材31cを有している。しかし、これらがはじめから一体に形成されていてもよい。
また、上述の実施形態においては、ヘッド本体30やサブタンク31がキャリッジ9と共に移動する方式が採用されている。しかし、固定式のインクジェットヘッドが採用されたものであってもよい。また、インクジェットプリンタとは異なり、インク以外の液体、例えば液晶表示装置のカラーフィルタを製作するために着色液を塗布する装置など、各種の液体を噴射する装置に本発明が適用されてもよい。また、ヘッド本体30内のインクに噴射エネルギーを付与する手段としていわゆるサーマル方式が採用されてもよい。
また、上述の実施形態においては、一方向弁83や一方向弁183を設けることによって、空気室51内を所定圧未満の状態に保持している。しかし、かかる一方向弁の替わりに、吸引ポンプ81から空気室51までの吸引流路の途中に、吸引ポンプ81と空気室51との連通を遮断したり、これらを連通させたりすることができる開閉手段が設けられていてもよい。例えば、かかる開閉手段が吸引ポンプ81とエアチューブ16との連通部に設けられていてもよい。そして、吸引ポンプ81が空気室51を吸引する際は開閉手段に吸引ポンプ81と空気室51とを連通させ、吸引ポンプ81が空気室51の吸引を停止すると開閉手段に吸引ポンプ81と空気室51との連通を遮断させる。これによって、吸引ポンプ81が吸引を停止した後にも、空気室51を所定圧未満の状態で保持できる構成が実現する。
また、上述の実施形態においては、サブタンク31がキャリッジ9上に搭載されている。しかし、サブタンク31がキャリッジ9上に搭載されておらず、メインタンク5a〜5dからキャリッジ9までのいずれかに設置されていてもよい。また、上述の実施形態においては、吸引ポンプ81が、サブタンク31内に形成された空気室51を吸引する構成になっている。しかし、吸引ポンプ81の吸引流路(第1吸引流路)が、メインタンク5a〜5dからヘッド本体30までのインク供給流路のいずれかの位置に接続されており、そこから空気を吸引するように構成されていれば、いずれの位置から吸引されてもよい。
例えば、図19及び図20は、吸引ポンプ81の吸引流路がサブタンクとは異なる箇所に接続されている実施例を示している。図20は、図19のα―α線断面図であり、インク室141の縦断面周辺の構成を含んでいる。なお、インク室142〜144の縦断面周辺の構成も図20と同様であるため、図示を省略する。本変形例のインクジェットプリンタ1000においては、図19に示すように、インクカートリッジ5a〜5dとチューブ14a〜14dとの間に排気ユニット190が設けられている。排気ユニット190の内部には、インク室141〜144及び空気室151が形成されている。チューブ14a〜14dは、図19中の排気ユニット190の上部においてインク室141〜144と連通している。また、インクカートリッジ5a〜5dはそれぞれチューブ15a〜15dを介してインク室141〜144と連通している。インクカートリッジ5a〜5d内のインクは、チューブ15a〜15d、インク室141〜144及びチューブ14a〜14dをそれぞれ介してサブタンク31へと供給される。
図20に示されるように、インク室141の左端には連通口141aを介してチューブ14aが接続されており、インク室141の右端には連通口141bを介してチューブ15aが接続されている。インク室142〜144とチューブ14b〜14d及び15b〜15dも同様に接続されている。空気室151は、インク室141〜144の上方に、インク室141〜144に跨って延びている(図19参照)。空気室151は連通口152を介してチューブ19に接続されており、チューブ19を介して空気室151とチャージタンク84とが接続されている。連通口152は、図19において排気ユニット190の右端部に設けられている。
図19及び図20に示すように、インク室141〜144と空気室151との連通部には、気体透過膜153a〜153dがそれぞれ設けられている。気体透過膜153a〜153dは、それぞれ、平面視でインク室141〜144と重なる位置に設けられており(図19参照)、インク室141〜144と空気室151とを仕切る壁を構成している。なお、本変形例においては、インク室141〜144に対応して気体透過膜153a〜153dがそれぞれ設けられているが、1つの気体透過膜がインク室141〜144の上方に、インク室141〜144に跨って設けられていてもよい。
本変形例によると、排気ユニット190において、インク室141〜144内の気体が気体透過膜153a〜153dを透過して空気室151に排出され、空気室151からチューブ19へと排出される。なお、本変形例においては、気体室152からチューブ19、チャージタンク84、チューブ18、16を経て吸引ポンプ81に至る気体流路が、本発明に係る第1吸引流路に相当する。