本発明は、複合繊維状の可撓性素子の変形によって電圧を発生する繊維状あるいは布帛状変形の変形センサに関するものである。
近年、医療介護機器、産業用ロボットやパーソナルロボットなどの分野において、小型で軽量なセンサの必要性が高まっている。また歪みセンサ、振動センサとして、複雑な形状の構造物に設置可能な軽量で柔軟なセンサの必要性が高まっている。
機械エネルギーを電気エネルギーに変換するセンサとしては、圧電セラミックス等を用いた圧電素子が広く用いられている。チタン酸バリウムやジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などに代表される圧電セラミックスは、該セラミックスが応力を受けることで電荷を発生する圧電効果により、機械エネルギーを電気エネルギーに変換している。
しかしこれらの圧電セラミックスを用いたセンサは、高比重の無機材料を用いるために、低重量であることが求められる用途では使用できないことが多い。また、耐衝撃性に劣るために、外部からの衝撃が加わった場合に圧電セラミックスが破壊されてセンサ機能が低下しやすい。また、可撓性に劣るために、球面や凹凸を有する複雑な形状の構造物に設置することが求められる用途や、衣料、自動車の着座シートやマット、カーペットのような繊維形状が求められる用途では使用することが難しく、大きな変形や小さな応力を検出することができなかった。
これらのセンサの逆作用をするものとしてアクチュエータが知られており、なかでも高分子アクチュエータが注目されている。例えば含水高分子ゲルの温度変化、pH変化、電場印加等の刺激による形体変化を利用した高分子アクチュエータが考案されている(特許文献1参照)。この高分子アクチュエータは、逆作用として圧力や変位等の機械エネルギーを電気エネルギーに変換することができるため、センサとしての使用もできる(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、含水高分子ゲルの種々の刺激による形態変化は一般に非常に遅く、また含水高分子ゲルの不均一な架橋構造に由来して力学強度も低く、また動作環境が湿潤環境に限られる、また応答感度に劣るといった問題があるといった問題があり、実際に変形センサとして利用するには更なる改良が必要である。
上記のような動作環境の問題を考慮し、イオン液体とモノマー、架橋剤を混合し硬化させることで作製した固体電解質に電極として金箔を張り合わせた高分子アクチュエータが報告されている(特許文献3)。しかしながら、イオン液体を架橋により固定するため、形状選択性が低い。
また、イオン液体とイオン交換樹脂膜からなる高分子固体電解質を用いたセンサ(非特許文献1)やイオン解離性基を含まない高分子成分とイオン液体からなる高分子固体電解質を用いたセンサ(特許文献4)が報告されている。しかしながら、これらはいずれもフィルム、シート、膜状であり、織物や編物等の繊維形状が必要とされる用途へは適用できないものだった。
一方、特許文献5および非特許文献1に記載されているような複合繊維断面は公知のものある。
特開昭63−309252号公報
特開2006−173219号公報
特開2005−051949号公報
特願2008−016690号公報
特開2005−248344号公報
繊維機械学会編 繊維工学(II)繊維の製造・構造及び物性154〜157頁
本発明の目的は、上記のような問題点を克服するための素子であって、空気中で安定的に高い応答感度で機能する軽量で可撓性を有する繊維状あるいは布帛状の変形センサを提供することにある。
この目的を達成するためになされた本発明の請求項1に係る発明の繊維状変形センサは、ヘテロ原子を有する単量体単位を含む重合体または該重合体のブロックを含むブロック共重合体から選ばれる高分子成分と、イオン液体とを含有する非水系高分子固体電解質、および該非水系高分子固体電解質に接し、互いに絶縁された少なくとも一対の電極を有する、変形により電位差を発生する変形センサであって、該非水系高分子固体電解質と該電極とが繊維断面を構成して繊維長方向に連続し、該繊維断面の鞘部が非水系高分子固体電解質であり、芯部と最表層とが電極である芯鞘構造の複合繊維であることを特徴とする。
同じく請求項2に係る発明の繊維状変形センサは、請求項1に記載のものであって、該高分子成分が、イオン解離性基を含まない高分子成分であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するためになされた本発明の請求項3に係る発明の布帛状変形センサは、請求項1または2に記載の繊維状変形センサを、布帛に成形したことを特徴とする。
同じく請求項4に係る発明の布帛状変形センサは、請求項3に記載のものであって、該繊維状変形センサを経糸または/および緯糸とする織布であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の布帛状変形センサは、請求項3に記載のものであって、該繊維状変形センサの繊維からなる不織布であることを特徴とする。
本発明の繊維状変形センサおよび布帛状変形センサは、空気中のような乾燥状態でも非水系高分子固体電解質に機械的な変形を与えることで安定してイオンの移動が生じ、電荷の偏りが生じることで電極に電圧を発生する。また、発生電圧は非水系高分子固体電解質の変形時の変位量に比例するため、変位の定量が可能なセンサとして利用できる。
この繊維状変形センサおよび布帛状変形センサは、空気中で安定的に高い感度で応答し、軽量で可撓性を有している。実用的には、例えば速度センサ、加速度センサ、圧力センサ、角度センサ、流速センサ、歪みセンサ、変位センサ、位置センサ、曲げセンサ、触覚センサ、人工皮膚、人工筋肉、構造物の振動検知装置等の多様な用途に適用できる。
発明を実施するための好ましい形態
以下、本発明の繊維状変形センサおよび布帛状変形センサについて好ましい実施形態を具体的に説明する。
本発明の繊維状変形センサは、非水系高分子電解質および少なくとも一対の電極からなる複合繊維状であり、可撓性である。複合繊維の形状は、非水系高分子固体電解質と電極とが繊維断面を構成するとともに、繊維長方向に連続して接する積層構造を有している。本発明の布帛状変形センサは、この繊維状変形センサの繊維を織布または不織布にしたものである。
複合繊維10の断面構造は、例えば図1に示すような芯−多層鞘複合繊維、すなわち断面外形が円であり、コアである芯電極11、中間クラッドである非水系高分子固体電解質12、外周クラッドである対向電極13で構成される。断面外形は楕円、多角形であってもよい。芯電極11と対向電極13の対向電極に電圧計5を接続し、非水系高分子固体電解質12を包含する複合繊維10に、湾曲等の変形を加えると、電圧計5に変形に応じた電位差が表示される。複合繊維10は、対向電極13のさらに外側の最外層に任意の絶縁材料からなる絶縁層(不図示)を必要に応じ有していてもよい。
このような複合繊維10は、図7の縦面図に示す同心軸の紡糸口金17に、芯電極11を形成する物質の溶融体101、非水系高分子固体電解質12の溶融体102、対向電極13を形成する物質(芯電極を形成する物質と同一であってもよい)の溶融体103を供給し、引き出すことで溶融紡糸をする。引き出した複合繊維10は、コア(電極)、中間クラッド(非水系高分子固体電解質)、外周クラッド(電極)が融着一体化しており、冷却してリール(不図示)に巻き取り長繊維の変形センサを得ることができる。
図5に示すように、電気絶縁性または導電性の繊維15を緯糸とし、複合繊維10の変形センサを長繊維のまま径糸として織布50を形成すると布帛状変形センサを得ることができる。電気絶縁性繊維を緯糸とした場合は、径糸を構成する各複合繊維10の芯電極11と対向電極13の間に変形電圧が生じる。導電性の繊維を緯糸とした場合は、織布50の全体が対向電極13と同電位になるから、複合繊維10の芯電極11と、織布50のどこの点との間にも変形電圧が生じる。
図6には布帛状変形センサを変形させて生じる電圧の状態を示してある。同図(A)に示すように織布(布帛状変形センサ)50を、複合繊維(繊維状変形センサ)10の方向(径糸方向)Xに力を加えて皺よらせて変形すると、電圧計5が振れて電圧の発生が検知できる。(B)に示すように織布50を、繊維15の方向(緯糸方向)Yに力を加えて皺よらせて変形しても、電圧計5が振れない。
さらに図7に示すように引き出した複合繊維10の長繊維を冷却しながら、縦横に動くターゲット板18に当てることで複合繊維10の不織布16からなる布帛状変形センサを得ることができる。このような不織布による布帛状変形センサは変形方向に拘わらず、変形があれば電圧が発生する。複合繊維10には、発生した電圧の繊維絡合点における短絡を防ぐため、最外層に必要に応じ絶縁層を有していてもよい。
本発明の布帛状変形センサは、布帛の構成成分として、上記の繊維状変形センサを含んだものであれば足りる。織物のみならず、編物、不織布等のファイバーを平面状に加工したものを言う。布帛状への成形方法は、特に制限はなく、公知の手法が適用できる。織物状への成形方法としては、平織、綾織、朱子織等、編物状への成形方法としては、平編、ゴム編、パール編、タック編、浮き編、片蛙、両面編、レース編、一重編、二重タテ編等、不織布形状への成形方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法等、が適用できる。
繊維状変形センサを構成する複合繊維10が、図2に示すような海−島複合繊維であってもよい。すなわち断面外形が円の海部を構成する非水系高分子固体電解質20、島部を構成する電極21、22、23、および24がある。このような海−島複合繊維構造で、海部を絶縁性高分子物質とし、複数ある島部のうち単数あるいは複数を非水系高分子固体電解質とし、残る少なくとも2つの島部で電極を構成してもよい。海部の断面外形は楕円、多角形、不定形にすることができるし、島部の外形は図示のように円形以外に楕円、多角形、不定形であってもよい。複合繊維10は、非水系高分子固体電解質20のさらに外側の最外層に任意の絶縁材料からなる絶縁層(不図示)を必要に応じ有していてもよい。
また繊維状変形センサを構成する複合繊維10は、図3に示すように扇形複合繊維、すなわち断面外形が円であり、放射状の扇形に非水系高分子固体電解質30、および電極31が交互に配置されてもよい。
繊維状変形センサを構成する複合繊維10は、図4に示すように、多層接合複合繊維の断面構造にしてもよい。図示の例では長方形の非水系高分子固体電解質40の長径両面を長方形の電極41および42で挟んだ構造となっている。
この多層接合の断面構造の複合繊維10は、図8に示すダイ19を通すことによって成型される。ダイ19は、図示外の二軸押出機に連結されており、A−A断面図で見えるように、3つの長方形の孔400、401、402が空いている。孔400は二軸押出機のうちの一軸に通じ、孔401および402はともに残る一軸に通じている。非水系高分子固体電解質の材料を二軸押出機のうちの一軸に入れ、電極を形成する材料を残る一軸に入れ、軸回転でダイ19から各材料を同時に押し出しつつ、所定の太さで引き出すことで複合繊維10の変形センサを得ることができる。
この他、非水系高分子固体電解質を紡糸しておき、繊維の表面にスパッタリング法、真空蒸着法、電解メッキ法、無電解メッキ法、スプレー塗工法、ディップ法等の後処理で電極成分を形成する方法が挙げられる。紡糸としては溶融紡糸だけではなく、湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸等の紡糸方法が適用できる。
また非水系高分子固体電解質をシートに成形し、2つの電極シートで挟んで融着し、細く繊維状に切断する方法等もある。
繊維状変形センサを構成する複合繊維は、円形のみならず、扁平状、多角形状等の任意の形状を選択でき、電極、非水系高分子固体電解質の断面形状においても任意の形状を選ぶことができる。特許文献5および非特許文献1に記載されているような複合繊維の断面を適用できる。
繊維状変形センサは、繊維への可撓性の付与、電極剥離の抑制等の目的で、繊維の最表面に保護層を付与することもできる。
本発明の繊維状変形センサの繊維径は、1×10−8m以上1×10−1m未満であることが好ましく、より好ましくは1×10−7m以上5×10−2m未満であり、さらに好ましくは1×10−6m以上1×10−2m未満である。繊維径が1×10−8m未満のときは機械的強度の低下を招き、繊維径が1×10−1m以上のときは可撓性低下を招き、好ましくない。なお、繊維断面が円形以外のときの繊維径は、もっとも長い軸の長さを繊維径と定義する。
本発明の繊維状変形センサの構成成分である電極の厚さは、1×10−10m以上1×10−1m未満であることが好ましく、より好ましくは1×10−9m以上5×10−2m未満であり、さらに好ましくは5×10−9m以上1×10−2m未満である。電極の厚みが1×10−10m未満のときは電極として機能するのに足る導電性を確保できないため好ましくなく、繊維径が1×10−1m以上のときは可撓性の低下や紡糸工程不良を招き好ましくない。
本発明の繊維状変形センサの構成成分である高分子固体電解質厚みは、1×10−7m以上1×10−2m未満であることが好ましく、より好ましくは1×10−6m以上5×10−3m未満であり、さらに好ましくは5×10−6m以上1×10−3m未満である。高分子固体電解質厚みが1×10−7m未満のときは電極間の短絡を招き好ましくなく、1×10−2m以上のときは繊維の可撓性低下を招き好ましくない。
本発明の繊維状変形センサは、繊維の長軸が曲げ方向に変形することによって電圧が発生し、曲げの大きさと発生する電圧とが比例するため、織物のように繊維軸が配向している布帛では、繊維状変形センサを一方向に配向することで変形方向および変形量の同定も可能である。例えば図5に示すように緯糸のみに繊維状変形センサを適用することで、図6(A)に示すような変形時には電圧計5に信号を発生するが、図6(B)に示すような変形時には電圧計5に信号を発生しない。すなわち変形方向の同定が可能な織物状センサとしても利用できる。また、複合繊維10の最外層に絶縁層を設けて経糸と緯糸との接触点における短絡を防止することにより、経糸および緯糸の双方に複合繊維10を用いた織布を形成させてもよい。この態様では、経糸と緯糸との電圧発生点を個別に検出することにより、布帛上で変位の発生した箇所を特定することができる。
繊維状変形センサの非水系高分子電解質に使用されるヘテロ原子を有する単量体単位を含む重合体または該重合体のブロックを含むブロック共重合体とは、主鎖の繰り返し単位の20質量%以上がヘテロ原子を有する繰り返し単位である高分子である。繰り返し単位の20質量%未満がヘテロ原子に変性しているような高分子、例えば末端が酸化等によりヘテロ原子に変性されたポリオレフィン等は含まない。ヘテロ原子の種類に特に制限はなく、酸素、フッ素、塩素、臭素、硫黄、窒素などが用いられる。
以上の条件を満たしていれば、高分子の種類に制限はなく、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の酢酸ビニル系重合体ブロック;ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化ビニル系重合体ブロック;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体ブロック;ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜6のヒドロキシアルキルエステル重合体ブロック;(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル重合体ブロック;(メタ)アクリル酸ヒドロキシオリゴアルキレングリコールエステル重合体ブロック;(メタ)アクリル酸アルコキシオリゴアルキレングリコールエステル重合体ブロック;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル等のビニルエーテル系重合体ブロック;ポリメチルビニルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系重合体ブロック;ポリエチレンオキシド等のポリエーテルブロック;ポリ(メタ)アクロレイン等のアクロレイン系重合体ブロック;ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系重合体ブロック;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルブロック;ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6,12等のポリアミドブロック;ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系重合体ブロック;ポリアクリロニトリル等のニトリル系重合体ブロック、ナフィオン、フレミオン等の高分子を非水系高分子電解質成分として適用することができる。
繊維状変形センサの変形時の発生電圧に着目する。電極に生ずる電荷量をQ、繊維状変形センサの静電容量をCとすると、発生電圧Vは
V=Q/C・・・(1)
となる。式(1)より、発生電圧Vを高くするためには、電極に生ずる電荷量Qが一定ならば、繊維状変形センサの静電容量Cを小さくする必要がある。
この観点から、非水系固体電解質の誘電率が低い方が好ましいため、ヘテロ原子を有する単量体単位を含む重合体または該重合体のブロックを含むブロック共重合体から選ばれる高分子成分はイオン解離性基を含まないことが好ましい。また、繊維の成形性という観点からも上記の高分子成分はイオン解離性基を含まないことが好ましい。
ここで、イオン解離性基を含まない高分子とは、繰返し単位中にイオン解離性基を含んでいないものを言い、主鎖の繰り返し単位の20質量%未満がイオン解離性基に変性しているような高分子は含まない。ここで、イオン解離性基とはプロトンの解離定数がカルボン酸以上のものを言い、具体的にはスルホニル基、カルボキシル基等が挙げられる。
また、上記の非水系固体電解質のイオン伝導度と機械的強度とを兼備させることを目的として、高分子成分として、該高分子固体電解質を構成するイオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)及び該イオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を有する共重合体(P)、及び該イオン液体と相溶である重合体(Q)を選ぶことができる。上記で共重合体(P)は重合体ブロック(Pa)及び重合体ブロック(Pb)をそれぞれ1つもしくは2つ以上有することができる。
共重合体(P)を構成するイオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)の例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の酢酸ビニル系重合体ブロック;ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化ビニル系重合体ブロック;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体ブロック;ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜6のヒドロキシアルキルエステル重合体ブロック;(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル重合体ブロック;(メタ)アクリル酸ヒドロキシオリゴアルキレングリコールエステル重合体ブロック;(メタ)アクリル酸アルコキシオリゴアルキレングリコールエステル重合体ブロック;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル等のビニルエーテル系重合体ブロック;ポリメチルビニルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系重合体ブロック;ポリエチレンオキシド等のポリエーテルブロック;ポリ(メタ)アクロレイン等のアクロレイン系重合体ブロック;ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系重合体ブロック;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルブロック;ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6,12等のポリアミドブロック;ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系重合体ブロック;ポリアクリロニトリル等のニトリル系重合体ブロックを挙げることができる。またここには列記はしていないが、上述したような重合体ブロックの構成成分が共重合して構成する重合体ブロックも用いることができる。
共重合体(P)を構成するイオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテン、ポリイソブチレン等の炭素数2〜8のアルケンの重合体ブロックなどのオレフィン系重合体ブロック;ポリスチレンブロック、ポリ(4−メチルスチレン)等のベンゼン環やα位に炭素数1〜4のアルキル基が合計で1もしくは2個置換したスチレンの重合体のブロック等のスチレン系重合体ブロック等を挙げることができる。
またここには列記していないが、上述したような重合体ブロックの構成成分が他のモノマーと共重合して構成する重合体ブロック、例えばスチレン−ブタジエン重合体ブロック等の、非置換の又はベンゼン環やα位に炭素数1〜4のアルキル基が合計で1もしくは2個置換したスチレンなどのスチレン系モノマーと炭素数4〜8の共役ジエンとの共重合体ブロックも用いることができる。
共重合体(P)における重合体ブロック(Pa)と重合体ブロック(Pb)の結合様式には特に制限がなく、共重合体(P)は重合体ブロック(Pa)及び重合体ブロック(Pb)をそれぞれ1つ以上含んでいる限り、ブロック共重合体であってもグラフト共重合体であってもよい。これらの中でも製造容易性の観点からブロック共重合体であることが好ましく、得られる高分子固体電解質の機械的強度の観点から重合体ブロック(Pb)を2つ以上有するブロック共重合体であることが好ましい。
共重合体(P)の分子量は、数平均分子量で1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましく、10,000〜500,000であることがより一層好ましい。数平均分子量が1,000未満である場合には、共重合体(P)ひいては得られる非水系高分子固体電解質の機械的強度が劣る傾向となり、数平均分子量が2,000,000を超える場合には、共重合体(P)ひいては得られる非水系高分子固体電解質の粘度が大きくなり取扱い性に劣る傾向となる。
共重合体(P)における重合体ブロック(Pa)の質量分率は、得られる非水系高分子固体電解質の機械的強度の観点から、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがより一層好ましい。一方、得られる非水系高分子固体電解質のイオン伝導率の観点から、重合体ブロック(Pa)の質量分率は15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがより一層好ましい。
共重合体(P)の製造方法としては、例えばリビング重合法、前駆体として用意したポリマーの末端もしくは側鎖からモノマーを重合する方法、互いに反応し得る官能基を末端に有するポリマー同士を反応させる方法などを挙げることができる。これらは目的とする共重合体(P)の構造に応じて適宜選択することができる。
イオン液体と相溶である重合体(Q)の例としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系重合体;ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系重合体;ポリエチレンオキシド等のエーテル系重合体;ポリアクリロニトリル等のアクリロニトリル系重合体等を挙げることができる。これらの中で、得られる非水系高分子固体電解質のイオン伝導率の観点から、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系重合体;及びポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系重合体が好ましい。
重合体(Q)の分子量は、数平均分子量で1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましく、10,000〜500,000であることがより一層好ましい。数平均分子量が1,000未満である場合には、重合体(Q)ひいては得られる非水系高分子固体電解質の機械的強度が劣る傾向となり、数平均分子量が2,000,000を超える場合には、重合体(Q)ひいては得られる非水系高分子固体電解質の粘度が大きくなり取扱い性に劣る傾向となる。
重合体(Q)の例として上記に挙げたポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体におけるヘキサフルオロプロピレン単位の質量分率に特に制限はないが、得られる非水系高分子固体電解質の機械的強度の観点から、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがより一層好ましい。一方、得られる非水系高分子固体電解質の柔軟性の観点から、ヘキサフルオロプロピレン単位の質量分率は2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがより一層好ましい。
本発明で用いる非水系高分子固体電解質を構成する高分子成分としては、共重合体(P)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート及びポリメチル(メタ)アクリレートがより好ましく、得られる非水系高分子固体電解質の機械的強度の観点から、イオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)を1つ以上有し、イオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を2つ以上有する共重合体(P)がより一層好ましい。
非水系高分子固体電解質はイオン液体と高分子成分とからなり、高分子成分からなる骨格にイオン液体が含浸した形態となっている。非水系高分子固体電解質におけるイオン液体と高分子成分との質量分率は、非水系高分子固体電解質のイオン伝導率及び機械的強度の観点から、0.1:1〜10:1程度であることが好ましい。また、高分子成分が共重合体(P)である場合、イオン液体と重合体ブロック(Pa)との質量分率は0.03:1〜40:1程度であることが好ましい。
また、本発明におけるイオン液体と高分子成分の複合方法については、例えば加熱下においてイオン液体と高分子成分を機械的に混練する方法;イオン液体及び高分子成分を適当な溶媒に溶解させた後に十分に攪拌する溶剤中で複合する方法、後述する方法で高分子成分を繊維状に成形した後に、イオン液体を含浸させる方法等が挙げられる。
これらは目的に応じ、適宜選択することができる。上記で、イオン液体及び高分子成分を適当な溶媒に溶解させた後に十分に攪拌することで、溶剤中で複合する方法における溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。
非水系高分子固体電解質の構成成分であるイオン液体について説明する。イオン液体とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、例えばサイエンス(Science)、302号、792頁、2003年によれば、100℃以下において流動性を有し、完全にイオンからなる液体と定義されている。本発明では、従来より知られた各種のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)または可及的に常温に近い状態において液体状態を呈し安定なもの、常温におけるイオン伝導率が0.001S/cm以上のものが好ましく用いられる。
イオン液体は、蒸気圧がほとんどないため引火性が低く、熱的安定性に優れる。イオン液体を非水系高分子固体電解質の構成成分として用いることで、水や有機溶媒を電解液に用いる場合に懸念される電解液の蒸発の問題を回避できる。
本発明において用いられる好適なイオン液体を構成する有機カチオンの例としては、下記化学式(I)〜(V)の構造のものを挙げることができる。
(I)式中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表す。
(II)式中、R
4は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表し、R’は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、nは0〜5を表す。nが2以上の場合、各R’は同一の基でもよいし、異なる基でもよい。
(III)式中、R
5、R
6、R
7、R
8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表すか、またはR
5〜R
8のうち2つの基が共同して環構造を形成する。
(IV)式中、R
9、R
10、R
11、R
12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表すか、またはR
9〜R
12のうち2つの基が共同して環構造を形成する。
(V)式中、R
13、R
14、R
15はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表すか、またはR
13〜R
15のうち2つの基が共同して環構造を形成する。
上記した有機カチオンの例示における、R1〜R15の定義において、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R1〜R15の定義において、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基としては、炭素数2〜6のものが好ましく、炭素数2〜4のものがより好ましく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。R1〜R15の定義において、炭素数6〜15のアリール基としては、フェノル基、ナフチル基等が挙げられる。
R1〜R15の定義において、炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。同じくR1〜R15の定義において、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。R’の定義において、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R5〜R15の定義において、2つの基が共同して環構造を形成する場合として、例えば、中心原子のNと共同して、ピロリジン環やピペリジン環を形成する場合などが挙げられる。
このうちでもイオン液体のイオン伝導性及び入手容易性の観点から一般式(I)で表される非置換もしくは置換イミダゾリウムカチオンが好ましく、置換イミダゾリウムカチオンがより好ましい。このうちでも、イオン液体の融点及び粘度の観点から一般式(I)におけるR1及びR2がそれぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であることが好ましい。さらにはR1及びR2それぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であってR3が水素原子であることがより好ましく、またこれらの場合においてR1とR2とが異なる基であることが好ましい。もっとも好ましい有機カチオンの例としては、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI+)を挙げることができる。
本発明において用いられる好適なイオン液体を構成するアニオンの例としては、含ハロゲンアニオン、鉱酸アニオン、有機酸アニオン等を挙げることができる。含ハロゲンアニオンもしくは鉱酸アニオンの例としては、具体的にはPF6 -、ClO4 -、CF3SO3 -、C4F9SO3 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6 -、SO4 2-、(CN)2N-、及びNO3 -を挙げることができる。また有機酸アニオンの例としてはRSO3 -、RCO2 -を挙げることができる。ここにおいて、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数8〜2のアラルケニル基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、炭素数3〜のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜8のスルホアルキル基、炭素数6〜15のアリール基又は炭素数3〜7の芳香族複素環基を表す。
これらの中でもイオン液体のイオン伝導率、入手容易性の観点からPF6 -、ClO4 -、CF3SO3 -、C4F9SO3 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CN)2N-が好ましく、特に(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-等のスルホニルイミド系アニオンが好ましい。
本発明に好適に用いられるイオン液体の例としては上記した有機カチオンとアニオンの組み合わせからなるイオン液体を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。本発明に用いられる特に好ましいのは置換イミダゾリウム塩であり、具体的例としては、エチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)、エチルメチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド(EMIPFSI)、ブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMITFSI)、ブチルメチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド(BMIPFSI)等を挙げることができる。これらの中でも、イオン液体のイオン伝導率の観点からEMITFSI及びEMIPFSIがより好ましく、さらに入手容易性の観点からはEMITFSIがより一層好ましい。
イオン液体が存在しなければイオンの移動は行われずセンサとしては機能しない。またポリエチレン、ポリスチレン等のヘテロ原子を含まない高分子成分を用いたときにはイオン液体を複合しても相溶しないためイオン伝導度が上がらなかったり、イオン伝導度を上げる目的でイオン液体の複合量を増やしたときにブリードアウトを招き好ましくない。
次に本発明の繊維状変形センサの構成成分である電極について説明する。本発明の繊維状変形センサの電極は、上記の非水系高分子固体電解質を挟んで位置し、互いに接触していない正極と負極の電極である。ここで、互いに接触していない正極と負極の電極の厚みや材料は一致しても一致していなくても良い。
かかる電極で材料に特に限定されることはないが、金属及び金属酸化物、金属硫化物、導電性炭化物、導電性高分子(導電性ポリマー)、並びにこれらの組み合わせ及び合金などからなる材料が挙げられる。例えば、金属及び金属酸化物及び金属硫化物の例として、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、アンチモン、錫、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、コバルト、及びこれらの酸化物、複合酸化物、並びにそれらの組み合わせまたは合金が挙げられる。特に好適には、インジウム−錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、銀などが挙げられる。
導電性炭化物の例として、カーボンブラック、黒鉛、活性炭、炭素繊維、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、ダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT)、あるいはマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)、カーボンナノシート(グラフェンシート)などが挙げられる。導電性高分子の例として、ポリ(エチレン−3,4−ジオキシチオフェン:PEDOT)、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体などが挙げられる。
これらの導電性を有する、金属、金属酸化物、金属硫化物、炭化物、高分子は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。また、繊維形状への成形性という観点から、上記の導電性材料に接着剤やバインダー樹脂を併用してもよい。また、導電性を向上するという目的で、上記のイオン液体を併用しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じて樹脂中に酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、分散剤、可塑剤、隠蔽剤、着色剤、油剤などの添加剤が含まれていてもよい。
また、上記の導電材料の中で、インジウム−錫酸化物(ITO)、ポリ(エチレン−3,4−ジオキシチオフェン)(PEDOT)等の透明性を有する材料を選ぶことで、透明な繊維状変形センサとしても利用できる。
また、電極材料としては、発生電圧を高くできる材料を選定することが重要である。ここで、発生電圧を向上させるためには、静電容量が小さいことが好ましい。
また、電極の抵抗値が大きいときには電極に発生した電荷がジュール熱に変換されるため損失する。従って、電極に発生した電荷量を効率的に電圧に変換するという観点からは、電極の表面抵抗が小さいことが好ましい。
以上のことから、繊維状変形センサの高感度応答性を達成するためには、電極の表面抵抗、繊維状変形センサの静電容量がいずれも小さいことが必要である。すなわち、一対の電極の体積固有抵抗がいずれも1000Ω・cm以下であり、かつ1cm2あたりの静電容量が1000mF以下であることが好ましい。
さらに発生電圧Vの式(1)より、電圧Vを高くするためには電極に発生する電荷量Qを高くする必要がある。電極に発生する電荷量Qを高くするためには、非水系高分子電解質のイオン伝導度を高くすることが好ましい。しかしながら、非水系高分子電解質のイオン伝導度を高くし過ぎることで、静電容量Cの増加を招き応答感度が低下すること、またイオン液体の複合量が多いが故に、紡糸工程通過性が悪化するといった問題が生じる。
以上から、該非水系高分子固体電解質のイオン伝導度が1×10−7S/cm以上1×10−1S/cm未満であることが好ましく、より好ましくは1×10−6S/cm以上5×10−2S/cm未満、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上1×10−2S/cm未満である。
本発明の繊維状あるいは布帛状変形センサは、材料の変形状態を電圧信号に変換できることから、立体型マウス等のポインティングデバイス、ゲームコントローラ、立体型タッチパネル、キーボード、オーディオやカーナビや家電等の操作機器やスイッチといった入力デバイスとして利用できる。同様な用途の例としては、人形やロボットに装着することで触ることによって反応するペット型の玩具、触感によって音程や音階が調整できる電子楽器、触覚によって機能を分離できる携帯電話のようなモバイル機器等にも適用できる。
また、繊維状あるいは布帛状変形センサは、構造物の状態を検出するのに利用できるセンサである。ここで言う構造物に制限はなく、具体的な適用例は、椅子に繊維状変形センサを装着することによって、着座センサとして適用できる。これによって、例えば着席部のみ事故時にエアバックが稼動する自動車、客の着席位置を特定できる劇場、座っている位置だけ電気をつける省エネ型オフィス等に適用できる。なお、ここで言う椅子とは、家庭用、オフィス用、劇場用、車に代表される乗り物用等すべて含まれる。
同様な用途の例としては、ベッドに装着することで患者の寝返りしている様子を検出できる医療・介護用ベッドに適用できる。同様に、絨毯、カーペット、マットに装着することで、不審者、不審物の侵入を告知する防犯安全システムや、人が居るときだけ、あるいは人が居る場所だけに冷暖房が稼動するシステムに適用できる。
電池・バッテリーの膨張あるいはパッキンの劣化のように、材料の経時的な形状変化が懸念されるものに繊維状あるいは布帛状変形センサを装着することで、使用不可能な状態を通知するセンサとして適用できる。住宅等の建造物に装着することによって、地震や材料劣化等によって建造物の変形を検出するセンサとして適用できる。
曲げの大きさを検出する用途の例としては、ドアおよび窓の開閉に装着することによって、開閉センサとして適用できる。ここで言う、ドアおよび窓は、住宅用、オフィスビルディング用、乗り物用等すべて含まれる。また、携帯電話のように開閉時にON−OFFの識別が求められる用途での開閉センサとしても適用できる。同様にロボットやアームを有する機械の関節部に装着することによって、機器の異常稼動時の緊急停止用等の曲げの大きさを検出するセンサとして適用できる。
同様な用途の例としては、気流、水流等の流束を測定する機器として、例えば水流計、風速計、地すべり検出センサ等の気象用検出センサや、居眠りの検出のような需要で必要とされる呼吸センサのような医療器具としても適用できる。
物体の変形状態を把握するための試験用、例えば自動車のような乗り物に装着することで衝突試験時の変形検出用センサとして、ゴルフクラブ、ラケット、バットのようなスポーツ器具の反発力検出用センサとして、岩盤の破砕試験のような物体が破壊するときの状態を検出するセンサとして、繊維状変形あるいは布帛状センサを利用できる。
動作の様子をデジタル化する必要がある用途、例えばスポーツ、バーチャルリアリティ、人間工学等の用途にも繊維状あるいは布帛状変形センサを使用できる。
その他にも、生産機器のハンドリング状態検出用、マイクロホン、スピーカー等の音響用途、流体バルブ、スイッチ、MEMS、体重計、コピー機での紙の厚みセンサ、点字デバイス、パチンコ機用接触感知センサ、靴の衝撃感知装置およびそれを利用した歩行器、血圧測定装置、義手、義足の感知部、人工皮膚等の用途に適用できる。また、発生する電圧を蓄積することによって発電素子としても適用できる。
また、ロボット、小型ポンプ、カメラのズーム機能等の公知のアクチュエータ用途における動作のフィードバックを行う必要がある用途にも適用できる。これらの中で、特にウェアラブルコンピュータ、ウェアラブルディスプレイ型タッチパネルといった繊維状あるいは布帛状であることが必要とされる用途や、繊維が紗を形成することで内部の視認性が求められる用途に最適に適用される。
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
参考例、実施例及び比較例において用いられた測定機器、測定方法及び使用材料を以下に示す。
(1)核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)による共重合体(P)及びイオン液体の分子構造の解析
機器 : 日本電子社製核磁気共鳴装置 (JNM−LA 400)
溶媒 : 重クロロホルム(共重合体)、又は重ジメチルスルホキシド(イオン性液体)
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定
機器 : 東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム : いずれも東ソー社製TSKgelであるGMHXL、G4000HXL及びG5000HXLを直列に連結
溶離液 : テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分
検量線 : 標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法 : 示唆屈折率(RI)
(3)イオン伝導度の測定
機器:日置電機社製ケミカルインピーダンスメータ 3532−80
方法:複素インピーダンス法、交流4端子セルを用いて測定、25℃/11Rh%で一晩、高分子電解質を調湿した後に測定。測定温度25℃。
(4)繊維状変形センサの応答感度の測定
変形センサの応答感度は、一定変位を与えたときに発生した電圧と定義する。図9に示すように、15mmの長さにカットした繊維状変形センサ(複合繊維10)の長さ5mmを、銅製電極3および4で、絶縁スペーサー6および7と共に挟み、長で10mm分を空気中に出して測定セルとした。銅製電極3および4にデータロガー(キーエンス社製「NR−ST04」)5を接続した。この状態の初期位置から押し曲げてゆき30度になるまで変位を与えたときに発生した電圧をデータロガーで測定し、ノイズとシグナルの電圧比(S/N比)を算出した。
(5)布帛状変形センサの応答感度の測定
図10に示すように、長さ15mm、幅10mmの布帛状のサンプル変形センサの長さ方向に5mmを銅製電極3および4で挟み、長さ10mm分を空気中に出して測定セルとした。銅製電極3および4をデータロガー(キーエンス社製「NR−ST04」)5に接続した。この状態の初期位置から押し曲げてゆき30度になるまで変位を与えたときに発生した電圧をデータロガーで測定し、ノイズとシグナルの電圧比(S/N比)を算出した。
≪参考例1≫ [ポリスチレン−b−ポリメチルアクリレート−b−ポリスチレン(P−1)の製造]
使用した材料について、臭化銅(I)、塩化銅(I)、塩化銅(II)は和光純薬工業社から購入しそのまま用いた。1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)はアルドリッチ社から購入しそのまま用いた。トリス(2-ジメチルアミノエチル)アミン(Me6-TREN)は、トリス(2-アミノエチル)アミンとギ酸、ホルムアルデヒドの混合水溶液を還流して得られた生成物を減圧蒸留して用いた。ジエチル-meso-2,5-ジブロモアジペートはアルドリッチ社から購入してそのまま用いた。スチレン、メチルアクリレートはキシダ化学社より購入し、使用前にゼオラムとアルミナと接触させて重合禁止剤を除去し、続いて乾燥窒素で十分にバブリングして溶存酸素を除去したものを用いた。アセトニトリルはキシダ化学社より購入し、ゼオラムと接触させて水分を除去し、続いて乾燥窒素で十分にバブリングして溶存酸素を除去したものを用いた。
その他の材料については、目的に応じて精製を行い使用した。
(1)2Lの3つ口フラスコに磁気撹拌子、臭化銅(I) 7.17g(50mmol)、ジエチル-meso-2,5-ジブロモアジペート 3.6g(10mmol)を仕込んだ後、フラスコ内を十分に乾燥窒素で置換した。ここにアセトニトリル955ml、メチルアクリレート785mlを加え、室温で30分撹拌した。その後50℃に昇温し、別途調製した、HMTETAのアセトニトリル溶液(濃度 0.3mol/L) 8.33ml(HMTETAとして16.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始2時間後にHMTETAのアセトニトリル溶液(濃度0.3mol/L) 2.08ml(HMTETAとして0.62mmol)を添加し、さらに6時間重合を行った。
(2)6時間後、フラスコを氷水につけて重合溶液を冷却し重合を停止した。重合停止時の重合率は38%、数平均分子量Mnは28700、分子量分布Mw/Mn=1.04であった。
(3)得られた重合溶液をエバポレータで濃縮したのちにトルエンで希釈し、続いて水で洗浄を繰り返して残存触媒を除いた。洗浄後、再度エバポレータで濃縮したのちに大過剰のメタノールで再沈して得られる粘ちょうな液状物を70℃で一晩真空乾燥させて、両末端ブロモ化ポリメチルアクリレートを得た。
(4)2Lの3つ口フラスコに、両末端ブロモ化ポリメチルアクリレート170g、磁気撹拌子を仕込み十分に乾燥窒素で置換した。続いてスチレン152mlを加えて両末端ブロモ化ポリメチルアクリレートを溶解させた。この溶液を40℃に昇温し、別途調製した、塩化銅(I) 0.586mg(5.92mmol)、塩化銅(II) 0.239mg(1.78mmol)、Me6-TRENのアセトニトリル溶液(濃度 0.3mol/L) 29.6ml(Me6-TRENとして8.89mmol)の混合物を加えて重合を開始した。
(5)8時間重合を行った後に、フラスコを氷水につけて重合溶液を冷却し重合を停止した。重合停止時の重合率は10%、数平均分子量Mnは72000、分子量分布Mwn/Mn=1.31であった。
(6)得られた重合溶液を大過剰のメタノールに再沈し、室温で乾燥した後にトルエンに再溶解、水洗を繰り返して残存触媒を除いた後に、大過剰のメタノールで再沈して得られる固体を70℃で一晩乾燥させた。
(7)以上のようにして、重合体ブロック(Pa)がポリメチルアクリレート(PMA)、重合体ブロック(Pb)がポリスチレン(PSt)である共重合体(P−1)を得た。1H−NMR測定を行ったところ、共重合体(P−1)中のPSt含量は46%、PMA含量は54%であった。
≪参考例2≫ [ポリウレタン(P−2)の製造]
高分子ポリオール(クラレ社製「クラレポリオールA−1010」(商品名):POH−1)、鎖伸長剤として1,4ブタンジオール:BD(和光純薬社製)および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート:MDI(和光純薬社製)を、POH−1/BD/MDIのモル比が1.0/1.8/2.8(窒素原子含有率は4.2重量%)で、かつこれらの合計供給量が200g/分になるように定量ポンプにより同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36)に連続的に供給して、連続溶融重合を行った。このとき前記押出機の加熱ゾーンを前部、中間部および後部の3つの帯域に分け、前部の温度を90〜220℃、中間部の温度を260℃、後部の温度を220℃に設定した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを80℃で4時間乾燥した。
≪参考例3≫ [エチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(イオン液体)の製造]
使用した材料について、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドは東京化成工業社製のものをそのまま用いた。シクロヘキサンはキシダ化学社製のものをそのまま用いた。その他の材料については、目的に応じて精製を行い使用した。
(1)500mLのセパラブルフラスコに、攪拌翼を取り付けたメカニカルスターラー、三方コック、冷却管を取り付けた。ここにシクロヘキサン250mL、1−メチルイミダゾール50mL(0.58mol)を仕込んだ。1−メチルイミダゾールはシクロヘキサンには完全に溶解せず、二相に分離した状態であった。この液を攪拌しながら、室温でブロモエタン130mL(1.74mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し24時間還流を行った。反応の進行とともに、白色固体が析出した。
(2)得られた懸濁液について、過剰のブロモエタン、シクロヘキサンを減圧留去して得られる白色固体を酢酸エチル/イソプロパノール混合溶媒(1/1 v/v)から再結晶させて精製した。得られた結晶をろ別、n−ヘキサンで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥させた。収量91g、収率83%であった。得られた白色固体の1H−NMR測定から、目的の3−エチル−1−メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIBr)が生成したことを確認した。
(3)上記で得られたEMIBr45g(236mmol)を攪拌翼、メカニカルスターラー、三方コックを取り付けた500mLのセパラブルフラスコに仕込んだ。ここに蒸留水120mLを仕込み、EMIBrを完全に溶解させた。
(4)リチウム(ビストリフルオロメタンスルホニル)イミド68g(236mmol)を蒸留水240mLに溶解させた水溶液を作製した。この水溶液を上記のEMIBr水溶液に攪拌しながら滴下した。滴下終了後、70℃で1時間反応を継続した。反応液は二相に分離していた。
(5)得られた二相の下相を抜き出し、塩化メチレンで希釈し、蒸留水で3回洗浄した。洗浄後、80℃で3時間減圧留去を行い、塩化メチレン、及び一部の水分を除去した。得られた無色透明の液体を120℃で3日間真空乾燥することで、系内の水を完全に除去した。収量61g、収率67%であった。得られた無色透明液体の1H−NMR測定から、目的の3−エチルー1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)が生成していることを確認した。
≪参考例4≫ [ポリスチレン−b−ポリメチルアクリレート−b−ポリスチレン共重合体(P−1)を用いた非水型高分子固体電解質(E−1)と一対の電極からなる繊維状変形センサの製造]
共重合体(P−1)を250℃で溶融させた状態でEMITFSIを所定量加えて混練し、押出機にて押出した後、冷却、切断して非水型高分子固体電解質の材料ペレットを製造した。乳鉢に、BET比表面積が3300m2/gの活性炭、アセチレンブラック(電気化学工業社製 「デンカブラック」)、PVDF−HFP(アルケマ社製 「カイナー#2801」)、EMITFSIを所定量採取し、乳鉢によりすりつぶし、塊状の電極材料とした。
これらの非水型高分子固体電解質の材料ペレットおよび電極材料を二軸押出機の各軸に入れ、図8に示すダイ19(孔400、401、402)を介して250℃で押し出しつつ引き延ばし、断面が電極42/非水型高分子固体電解質40/電極42の順に積層された構造(図4参照)を有する多層接合複合繊維の繊維状変形センサ10を得た。押し出しおよび引き伸ばしの速度は繊維断面幅500μm、電極42の厚み100μm、非水型高分子固体電解質40の厚み100μm、電極41の厚み100μmとなるように調整した。
≪参考例5≫ [ポリウレタン(P−2)を用いた非水型高分子固体電解質(E−2)と一対の電極からなる繊維状変形センサの製造]
参考例4で非水型高分子固体電解質の材料が、ウレタン(P−2)とEMITFSIであること以外は、参考例4と同様な方法で、断面が電極42/非水型高分子固体電解質40/電極42の順に積層された構造を有する繊維状変形センサを得た。繊維断面の寸法は参考例4と同等である。
≪参考例6≫ [ポリフッ化ビニリデン(P−3)を用いた非水型高分子固体電解質(E−3)と一対の電極からなる繊維状変形センサの製造]
参考例4で非水型高分子固体電解質の材料が、ポリフッ化ビニリデン(株式会社アルケマ製「カイナー」)とEMITFSIであること以外は、参考例4と同様な方法で、断面が電極42/非水型高分子固体電解質40/電極42の順に積層された構造(複合繊維)を有する繊維状変形センサを得た。繊維断面の寸法は参考例4と同等である。
≪参考例7≫ [繊維状変形センサからなる織物の製造]
経糸に上記の繊維状変形センサ、緯糸にビニロン繊維(クラレ社製「ビニロン 5501(2000dtex/1000f)」)を適用し、織機を用いて平織りにて繊維状変形センサからなる織物50(図6参照)を製造した。
≪実施例1〜9≫ [非水系高分子固体電解質と一対の電極からなる繊維状変形センサ]
参考例に従い作製した非水系高分子固体電解質および電極の組成比を表1、表2に示す。
≪比較例1〜8≫[非水系高分子固体電解質と一対の電極からなる繊維状変形センサ]
参考例に従い作製した非水系高分子固体電解質および電極の組成比を表3、表4に示す。
≪測定例1〜9≫ [実施例の繊維状変形センサのセンシング特性]
実施例1〜9で製造した繊維状変形センサ、および繊維状変形センサを構成成分とする織物(布帛状変形センサ)におけるS/N比を測定した。以上の結果を表5に示す。
≪比較測定例1〜8≫ [比較例の繊維状変形センサのセンシング特性]
比較例1〜8で製造した繊維状変形センサ、および繊維状変形センサを構成成分とする織物(布帛状変形センサ)におけるS/N比を測定した。以上の結果を表5に示す。
実施例1〜9は、繊維断面が非水系高分子固体電解質層を電極層で挟んだ構造を有するフィラメント、およびそのフィラメントを構成成分として含む織物である。S/N比が10以上のときに、変形センサとして機能するのに十分な応答感度である。実施例1〜9はいずれもS/N比が10以上であることから、繊維状変形センサおよび布帛状変形センサとして利用可能なものである。
これに対して、比較例1〜3のフィラメントでは一方の電極の導電性が低く、また比較例4のフィラメントではイオン液体を高分子電解質の構成成分として含まないため電解質のイオン伝導度が低くなるため、所定の変形を与えても電圧信号を発現しないものであった。比較例5〜8の織物は、比較例1〜4のフィラメントを織ったものであるが、フィラメントで電圧信号を発現しないものは、織物にしても電圧信号を発現しないものだった。
以上の結果から、繊維状変形センサおよび布帛状変形センサは、高い感度で変形に応じた応答性を示すことがわかる。また、芯鞘構造、多芯鞘構造の繊維断面を有する繊維においても図10と同様の評価を行ったが、繊維状変形センサ、布帛状変形センサ共に、同様の効果を確認した。
本発明の繊維状変形センサおよび布帛状変形センサは、変形を与えることで電圧が発生し、空気中でも実用的に満足し得る感度での応答性を示すことから、可撓性を備えた変形センサとして好適に使用できる。
本発明を適用する繊維状変形センサの一実施例である芯−多層鞘複合繊維の断面構造を示す図である。
同じく本発明を適用する繊維状変形センサの別な実施例である海−島複合繊維の断面構造を示す図である。
同じく本発明を適用する繊維状変形センサの別な実施例である扇形複合繊維の断面構造を示す図である。
同じく本発明を適用する繊維状変形センサの別な実施例である多層接合複合繊維の断面構造の一例を示す図である。
本発明を適用する布帛状変形センサ一の一実施例である織物の形状を示す図である。
上記実施例の布帛状変形センサ一を変形させたときの電圧信号発生状態を示す図である。
本発明を適用する繊維状変形センサおよび布帛状変形センサの製造工程の一実施例を示す図である。
本発明を適用する繊維状変形センサの多層接合複合繊維の紡糸ノズル示す断面図である。
繊維状変形センサの発生電圧信号を測定する配置図である。
布帛状変形センサの発生電圧信号を測定する配置図である。
符号の説明
3および4は銅製電極、5は電圧計、6および7は絶縁スペーサー、10は複合繊維、11は芯電極、12は非水系高分子固体電解質、13は対向電極、20は非水系高分子固体電解質、21、22、23、24,31、41,42は電極、15は繊維、16は不織布、17は紡糸口金、18はターゲット板、19はダイ、21、23、24、31、41、42は電極、50は織布、101、102、103は溶融体、400、401、402は孔である。