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JP5200926B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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JP5200926B2 JP2008335134A JP2008335134A JP5200926B2 JP 5200926 B2 JP5200926 B2 JP 5200926B2 JP 2008335134 A JP2008335134 A JP 2008335134A JP 2008335134 A JP2008335134 A JP 2008335134A JP 5200926 B2 JP5200926 B2 JP 5200926B2
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Traffic Control Systems (AREA)

Description

本発明は、車両を運転する運転者の運転を支援する運転支援装置に関する。
乗用車やトラック、バス等の車両を運転する運転者の負担を軽減し、安全性を向上させるため、運転者を補助するための様々な運転支援技術が提案され、実用化されている。このような運転支援技術の一つとして、車両周辺の情報、例えば、進行方向前方の車線情報に基づき、例えば操舵補助によって車両が車線を逸脱することを抑制する運転支援技術が提案され、実用化されつつある。例えば、特許文献1には、将来の自車両目標軌跡を定め、その目標軌跡に近づくようにアクチュエータを制御する技術が開示されている。
特開2001−1921号公報(0005、0022)
ところで、運転支援技術においては、運転者の意思に従って車両の運動制御が行われるべきものなので、運転支援制御において自動的に実行される運動制御は、運転者の意思に合致したものであることが求められる。レーンキープ制御に代表される自動的な車両の運動制御は、これまで、運転者による運転介入があった場合に初めて運動制御が変更されるため、車両の運動制御に運転者の意思が反映されにくく、制御装置で運転者の意思と運転支援制御における運動制御とのぶつかり合いが生じてしまう。
その結果、運転者が違和感を受け、操作フィーリングが低下するおそれがある。特許文献1に開示された技術では、運転支援の最中に、運転者の意思で運転操作を実行した場合、すでに生成されている目標軌跡に沿って車両を走行させようとしている運転支援の制御と、運転者の意思とが相反してしまい、運転者が違和感を受けるおそれがある。その結果、操作フィーリングが低下するおそれがあり、この点に改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の運転者を補助する運転支援の実行中に、車両の運転者が受ける違和感を低減することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運転支援装置は、車両の運転者が運転操作をすることを、前記運転者が前記運転操作をする前に予測する操作予測手段と、前記操作予測手段によって予測された前記運転操作の予測結果を踏まえて、前記運転者が運転する車両が目標とする目標走行軌跡を生成する走行軌跡生成手段と、少なくとも、前記走行軌跡生成手段によって生成された前記目標走行軌跡と前記運転者の実際の運転操作とを調停した結果に基づいて、前記車両の走行機能を制御する走行機能制御手段と、を含み、前記走行軌跡生成手段は、前記車両の周辺環境における情報から第1の走行軌跡を生成し、かつ、前記操作予測手段によって予測された前記運転操作の予測結果に基づいて第2の走行軌跡を生成し、前記第1の走行軌跡と前記第2の走行軌跡との間に、許容できない差が発生している場合には、前記操作予測手段によって予測された前記運転操作の予測結果を用いて前記目標走行軌跡を生成することを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記運転支援装置において、前記操作予測手段は、前記運転者の筋骨格状態情報に基づいて、前記運転操作を予測することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記運転支援装置において、前記操作予測手段は、人体の関節の可動域から定められる関節の可動域を拘束条件として、前記運転操作を予測することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記運転支援装置において、前記操作予測手段は、人体の肘関節の可動域から定められる腕の可動域拘束条件に基づいて、前記運転者が操舵する方向を予測し、前記走行軌跡生成手段は、前記運転者の操舵が予測される場合、前記操舵の方向への前記目標走行軌跡を生成することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記運転支援装置において、前記走行機能制御手段は、前記走行軌跡生成手段が生成した前記操舵の方向への前記走行軌跡と、前記運転者による実際の操舵量とを調停し、その調停結果に基づいて前記車両の走行機能を制御することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記運転支援装置において、前記操作予測手段は、人体の膝関節及び股関節の可動域から定められる脚の可動域拘束条件に基づいて、前記運転者の制動操作を予測し、前記走行軌跡生成手段は、前記運転者の制動操作が予測される場合、前記車両の左右方向における移動よりも、前記車両の前後方向における動きを優先して、前記車両の走行軌跡を生成することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記運転支援装置において、前記走行機能制御手段は、前記走行軌跡生成手段が生成した前記車両の走行軌跡と、前記運転者による実際の制動量とを調停し、その調停結果に基づいて前記車両の走行機能を制御することが好ましい。
本発明に係る運転支援装置は、車両の運転者を補助する運転支援の実行中に、車両の運転者が受ける違和感を低減できる。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記において説明した内容により本発明が限定されるものではない。また、下記における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
本実施形態は、車両の運転者を補助する運転支援を実行するにあたり、車両の運転者が運転操作をすることを、操作予測手段を用いて前記運転者が前記運転操作をする前に予測し、前記操作予測手段の予測結果を踏まえて、走行軌跡生成手段により前記車両が目標とする目標走行軌跡を生成する点に特徴がある。本実施形態において、走行軌跡とは、車両がこれから走行しようとする経路であって、車両の速度及び加速度の情報も含む。また、運転支援とは、車両の運転者を補助するために、車両の周辺環境の情報や車両の状態等に基づいて、車両の操舵や制駆動力を制御することをいう。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置を備える車両の構成例を示す構成概略図である。図1において、車両1は、図1の矢印Y方向に前進するものとする。車両1が前進する方向は、車両1の運転者が座る運転席からステアリングホイール9へ向かう方向である。左右の区別は、車両1の前進する方向(図1の矢印Y方向)を基準とする。すなわち、「左」とは、車両1の前進する方向に向かって左側をいい、「右」とは、車両1の前進する方向に向かって右側をいう。また、車両1の前後は、車両1が前進する方向を前とし、車両1が後進する方向、すなわち車両1が前進する方向とは反対の方向を後とする。また、「下」とは、重力の作用方向側をいい、「上」とは、重力の作用方向とは反対側をいう。
まず、車両1の全体構成を説明する。車両1は、左側前輪5FL、右側前輪5FR、左側後輪5RL及び右側後輪5RRの4個の車輪を備える。車両1は、内燃機関2を動力発生手段としている。本実施形態において、内燃機関2は、車両1の進行方向(図1中の矢印Y方向)前方に搭載される。内燃機関2が発生した動力は、まず変速装置3に入力されて、車両1を走行させるために適した回転数に減速されてから、駆動軸4を介して駆動輪である左側前輪5FL及び右側前輪5FRへ伝達される。これによって、車両1が走行する。なお、本実施形態において、内燃機関2はガソリンを燃料とするレシプロ式の火花点火式内燃機関であるが、内燃機関2はこれに限定されるものではない。また、車両1に対する内燃機関2の搭載位置は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。
また、車両1の動力発生手段は内燃機関に限定されるものではない。例えば、内燃機関と電動機とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド方式の動力発生手段を備えていてもよいし、電動機のみを動力発生手段として備えてもよい。電動機のみを動力発生手段とする場合には、各車輪にそれぞれ電動機を備える、いわゆるインホイールモータ方式としてもよい。さらに、変速装置3は、左側前輪5FLの駆動力と、右側前輪5FRの駆動力とを変更することができる機能、いわゆる駆動力配分機能を備えていてもよい。
車両1の左側前輪5FL及び右側前輪5FRは、車両1の駆動輪であるとともに、操舵輪としても機能する。また、左側後輪5RL及び右側後輪5RRは車両1の従動輪である。このように、車両1は、いわゆるFF(Front engine Front drive)形式の駆動形式を採用する。なお、車両1の駆動形式はFF形式に限られず、いわゆるFR(Front engine Rear drive)形式や、4WD(4 Wheel Drive:4輪駆動)形式であってもよい。また、車両1は、各駆動輪の駆動力を変更することにより、車両1の旋回性能を制御したり、車両1の走行安定性を向上させたりできる駆動システムを備えていてもよい。
本実施形態に係る車両1では、運転者によるステアリングホイール9の操作は、操舵補助装置7を介して左側前輪5FL及び右側前輪5FRに伝達され、これによって、左側前輪5FL及び右側前輪5FRが操舵される。操舵補助装置7は、操舵力補助機能と操舵特性変更機能とを備える。操舵力補助機能は、電動機等によってステアリング機構に補助操舵力を与えることにより、運転者の操舵力を低減するものである。操舵特性変更機能は、車両1の運転状態(例えば車両1の速度や車両1の周辺環境)に応じて、ステアリングホイール9の操作量に対する左側前輪5FL及び右側前輪5FRの操舵角を変更するものである。ここで、操舵補助装置7は、ECU(Electronic Control Unit)10や運転支援装置20によって制御される。このように、車両1は、ECU10や運転支援装置20、操舵補助装置7等で構成される、いわゆるステア・バイ・ワイヤシステムを備える。運転支援装置20は、ECU10に備えられており、本実施形態に係る運転支援方法を実行する。
左側前輪5FL及び右側前輪5FR及び左側後輪5RL及び右側後輪5RRには、それぞれブレーキシリンダ6FL、6FR、6RL、6RR及びブレーキローター7FL、7FR、7RL、7RRが設けられる。それぞれのブレーキシリンダ6FL、6FR、6RL、6RRは、ブレーキ配管BL1、BL2、BL3、BL4によってブレーキアクチュエータ8と接続されている。ブレーキアクチュエータ8は、車両1の運転者がブレーキペダル8Pを踏み込むことにより発生する入力を、ブレーキ配管BL1、BL2、BL3、BL4内のブレーキ油を介してそれぞれのブレーキシリンダ6FL、6FR、6RL、6RRへ伝達する。そして、ブレーキシリンダ6FL、6FR、6RL、6RRは、伝達された入力によってブレーキパッドを介してブレーキローター7FL、7FR、7RL、7RRを挟み込むことにより、左側前輪5FL及び右側前輪5FR及び左側後輪5RL及び右側後輪5RRに制動力を発生させる。
ブレーキアクチュエータ8は、ECU10や運転支援装置20によって制御されて、左側前輪5FLと、右側前輪5FRと、左側後輪5RLと、右側後輪5RRとに発生させる制動力を異ならせることができる。また、例えば、車両1が先行車両や前方の障害物へ急接近したことをECU10や運転支援装置20が検出した場合、ブレーキアクチュエータ8は、ECU10や運転支援装置20によって制御されて、運転者によるブレーキに関わらず、左側前輪5FL及び右側前輪5FR及び左側後輪5RL及び右側後輪5RRに制動力を発生させる。このように、ECU10や運転支援装置20、ブレーキアクチュエータ8、ブレーキシリンダ6FL、6FR、6RL、6RR等で構成される車両1の制動システムは、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤシステムである。
車両1には、車両1の運転者の状態を検出するセンサ類、車両1の周辺環境における情報、例えば、車線を区分する車線区分線に関する情報等を検出するセンサ類、車両1の運転状態を検出するためのセンサ類が備えられる。本実施形態において、車両1の運転者の状態を検出するセンサ類は、上半身状態検出カメラ(第1運転者状態検出手段)41と、下半身状態検出カメラ(第2運転者状態検出手段)42と、接触式モーションセンサ(接触式運転者状態検出手段)48と、非接触式モーションセンサ(非接触式運転者状態検出手段)49と、ステアリングホイール9の操舵角を検出する操舵角センサ44と、ステアリングホイール9の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ45とがある。これらを総称して、運転者状態検出手段という。
上半身状態検出カメラ41及び下半身状態検出カメラ42は、運転者の関節位置やその動きをモニタし、関節間リンク長等を測定するための画像情報(動画を含む)を撮像する機能を有している。本実施形態では、上半身状態検出カメラ41及び下半身状態検出カメラ42が撮像した運転者の関節位置やその動き、あるいは動きの予兆から、運転支援装置20が、ステアリングホイール9やブレーキペダル等といった車両1の操作手段に対する運転者の操作の方向や大きさを予測する。ここで、車両1の運転者が車両1の操作手段に対してする操作を、運転操作という。以下においては、単に操作ということもある。
上半身状態検出カメラ41及び下半身状態検出カメラ42は、車両1の室内であって、運転者を撮像できる任意の位置(車両であれば、バックミラーやダッシュボードの下等)に設置される。なお、本実施形態においては、一つのカメラ(撮像手段)によって、運転者の上半身及び下半身の状態を撮像して検出してもよい。
上半身状態検出カメラ41及び下半身状態検出カメラ42が撮像した運転者の画像情報は、運転支援装置20が前記画像情報に対して2値化処理等の画像処理を行うことにより、運転者の関節折れ角度を検出するために用いられる。本実施形態において、上半身状態検出カメラ41は、運転支援装置20が運転者の各関節位置を観測し、運転者の肩ラインの傾きや胴体の傾斜角度等を検出するために用いる画像情報を撮像する。
上半身状態検出カメラ41及び下半身状態検出カメラ42の種類は問わないが、撮像した運転者の画像情報を電気信号として出力できるものが好ましい。また、上半身状態検出カメラ41及び下半身状態検出カメラ42は、赤外線カメラを用いてもよい。赤外線カメラは、暗所であっても撮像に照明は不要なので、特に車両1が夜間に走行する場合やトンネルを走行する場合等にも、照明なしで運転者の状態を撮像できる。
接触式モーションセンサ48は、ステアリングホイール9に取り付けられている。接触式モーションセンサ48は、運転者の身体の一部と接触することにより、運転者の状態を直接検出する機能を有している。ステアリングホイール9に取り付けられる接触式モーションセンサ48は、感圧式のセンサであり、ステアリングホイール9を握る運転者の掌の状態(握力や掌を動かす方向等)を検出する。これによって、運転者がステアリングホイール9を操作する際の予兆(例えば、握力の変化や掌の力の入れ具合等)を検出できるので、運転支援装置20は、運転者がステアリングホイール9を動かす操作の方向や大きさを予測できる。また、操舵トルクセンサ45は、操舵力補助機能を実現する際に用いられるが、操舵トルクセンサ45を用いても、運転者がステアリングホイール9を動かす動作やその予兆を検出できる。
また、接触式モーションセンサは、運転者が着座する車両のシートに設けてもよい。これによって、シートの座面における荷重の分布を検出できる。運転者が動作を始める際には、その予兆となる荷重分布の変動を運転者の動作やその予兆として接触式モーションセンサが検出し、その検出値を用いて、運転支援装置20は運転者が次に行う動作の方向や大きさを予測する。
非接触式モーションセンサ49は、車両1の操作手段(運転者の操作対象)であるブレーキペダル8P、ステアリングホイール9、アクセルペダル、シフトレバー等に対する運転者の接近や非接近を検出する機能を有している。非接触式モーションセンサ49は、車両1の操作手段に設置されるとともに、例えば、静電容量センサや光式センサ等を用いることができる。本実施形態において、非接触式モーションセンサ49は、ブレーキペダル8Pに設置される静電容量式のセンサであり、ブレーキペダル8Pに対する運転者の足の接近、非接近を検出する。より具体的には、非接触式モーションセンサ49は、運転者の足とブレーキペダル8Pとの距離が変化することによる静電容量の変動を検出して、足の接近を検出する。
車両1の周辺環境の情報を検出するセンサ(周辺環境情報検出手段)としては、例えば、進行方向情報検出センサ43がある。進行方向情報検出センサ43は、車両1の進行方向前方に設けられて、車両1の周辺環境、特に車両1の進行方向における情報、例えば、車両の走行する車線を区分する車線区分線の情報、交差点の有無、車線の増減、前方あるいは斜め前方に存在する車両や物体等を検出する。進行方向情報検出センサ43は、例えば、カメラやミリ波レーダーが用いられる。なお、進行方向情報検出センサ43の他に、バックガイドモニターやフロントサイドモニター(カメラや静電容量センサやミリ波レーダー等)を設けてもよい。これによって、運転支援装置20は、車両1の周辺環境の情報を、より多く収集できる。
また、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いたナビゲーション装置を周辺環境情報検出手段として用いて、車両1の周辺環境における情報を検出してもよい。この場合、ナビゲーション装置により、運転支援装置20は、自車両の現在位置、及び自車両の現在位置における周辺環境(例えば道路情報)を検出することができる。周辺環境情報検出手段が検出する車両1の周辺環境の情報を運転支援装置20が取得して本実施形態に係る運転支援方法を実行することにより、車両1の運転者の操作を予測する際の精度を向上させたり、車両1が走行中に目標とする目標走行軌跡の生成精度を向上させたりすることができる。
車両1の運動状態は、加速度センサ46、ヨーレートセンサ47によって検出される。これらを総称して、自車両状態検出手段という。車両1の運動状態は、例えば、車両1の前後速度(車両1の前後方向における速度)や前後加速度、車両1の横速度(前後方向に直交する方向における速度)や横加速度、車両1のヨー角、ヨー角速度、ヨー角加速度、車両1のスリップ角、スリップ角速度、スリップ角加速度等によって決定される。なお、上述した運転者検出手段、周辺環境情報検出手段及び自車両状態検出手段は一例であって、上述したセンサ類に限定されるものではない。
図2は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示す説明図である。運転支援装置20は、図1に示すECU10内に設けられ、ECU10の1機能として、本実施形態に係る運転支援方法を実現するものとして構成される。運転支援装置20は、いわゆるマイクロコンピュータで構成される処理部20Pを備えており、記憶部16に格納されている本実施形態に係る運転支援方法を実現するためのコンピュータプログラムに従って、本実施形態に係る運転支援方法を実行する。
処理部20Pと記憶部16とは、データバス11cによって接続されて、相互に通信できるようになっている。運転支援装置20は、処理部20Pが、本実施形態に係る運転支援方法に必要な情報を取得するために、入力ポート12及び入力インターフェース13を備える。また、運転支援装置20は制御対象を動作させるため、出力ポート14及び出力インターフェース15を備える。処理部20Pと入力ポート12とは、データバス11aによって接続され、また、処理部20Pと出力ポート14とは、データバス11bによって接続される。
入力ポート12には、入力インターフェース13が接続されている。入力インターフェース13には、車両1を運転する運転者の状態を検出する運転者状態検出手段SD、車両1の周辺における環境についての情報を検出する周辺環境情報検出手段SA、車両1の状態を検出する自車両状態検出手段SCその他の、本実施形態に係る運転支援方法に必要な情報を取得する検出手段が接続されている。これらの検出手段から出力される信号は、入力インターフェース13内のA/Dコンバータ13aやディジタル入力バッファ13bにより、処理部20Pが利用できる信号に変換されて入力ポート12へ送られる。これにより、運転支援装置20の処理部20Pは、本実施形態に係る運転支援方法に必要な情報を取得することができる。
出力ポート14には、出力インターフェース15が接続されている。出力インターフェース15には、本実施形態に係る運転支援方法における制御対象として、操舵補助装置7やブレーキアクチュエータ8が接続されている。出力インターフェース15には、制御回路15a、15b等が設けられており、処理部20Pで演算された制御信号に基づき、操舵補助装置7やブレーキアクチュエータ8を動作させる。
本実施形態に係る車両1が備える操舵補助装置7は、いわゆるEPS(Electronic Power Steering:電動パワーステアリング装置)で、かつVGRS(Variable Gear Ratio Steering:ステアリングギヤ比可変ステアリング装置)を備える。すなわち、操舵補助装置7は、電動機でステアリングホイール9の操作を補助するとともに、ステアリングホイール9の入力に対する前輪の操舵角や操舵速度等を、自車両状態検出手段SCによって検出される車速や駆動力、あるいは周辺環境情報検出手段SAによって検出される車両1の周辺環境(例えば、道路状況や周囲の他車両等)に応じて変更する。これによって、本実施形態の車両1は、車線をはみ出さずに車線内で走行したり、運転者がステアリングホイール9を切り過ぎた場合にはこれを抑制して安定した姿勢で走行したりできる。
図2に示すように、処理部20Pは、操作予測手段である操作予測部21と、走行軌跡生成手段である走行軌跡生成部22と、走行機能制御手段である走行機能制御部23と、制御条件判定部24とを含んで構成される。これらが、本実施形態に係る運転支援方法を実行する。なお、本実施形態に係る運転支援方法は、少なくとも操作予測部21と走行軌跡生成部22と走行機能制御部23とによって実現できる。操作予測部21と走行軌跡生成部22と走行機能制御部23と制御条件判定部24とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成されている。
操作予測部21は、車両1の運転者の筋骨格情報から、運転者が車両1の操作手段(ステアリングホイール9やブレーキペダル8P等)の操作(運転操作)をすることを、事前、すなわち、前記運転者によって運転操作がされる前に予測する。走行軌跡生成部22は、前記運転者の運転する車両1が走行する際に、車両1が目標とする走行軌跡(目標走行軌跡)を生成する。走行機能制御部23は、少なくとも、走行軌跡生成部22が生成した目標走行軌跡と、前記運転者の実際の運転操作とを調停した結果に基づいて、車両1の走行機能を制御する。ここで、車両1の走行機能とは、車両1が走行するために必要な機能であり、例えば、加速、定速走行、減速、停止、コーナーリング等の機能が含まれる。制御条件判定部24は、運転支援装置20が本実施形態に係る運転支援方法を実行するにあたって、制御の分岐条件を判定する。
ここで、例えば、車両1がトラクションコントロールシステムや、VSC(Vehicle Stability Control:車両安定性制御システム)、あるいはVDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management:アクティブステアリング統合制御システム)を備える場合、操舵補助装置7やブレーキアクチュエータ8に対する制御は、これらのシステムの制御を利用して実現してもよい。
記憶部16には、車両1の制御に用いるコンピュータプログラムやデータベースの他、本実施形態に係る運転支援方法の処理手順を含むコンピュータプログラムやデータベース等が格納されている。本実施形態に係る運転支援方法に用いるデータベースとしては、運転者の操作を予測するのに必要な情報、例えば、人体の関節拘束条件(可動域)や筋肉の拮抗バランス(関節毎の曲げ伸ばしの強さ等)等や、車両1の走行に必要な情報、例えば、直線路、カーブ、登降坂、高速道路等の道路情報等である。
また、本実施形態に係る運転支援方法に用いるデータベースとしては、例えば、人体筋骨格情報データベース16aがある。人体筋骨格情報データベース16aは、処理部20Pが取得した車両1の運転者の筋骨格状態情報に基づいて、運転者により車両1の操作手段が操作されるか否かを予測する際に用いられる。人体筋骨格情報データベース16aは、運転者の関節の可動域に基づいて定められた肢体部分、又は頭部よりも下部の可動域拘束条件を少なくとも含む人体筋骨格情報である。本実施形態において、人体筋骨格情報データベース16aは、体の関節の拘束条件(可動域によって決定される)や筋肉の拮抗バランス(関節毎の曲げ伸ばしの強さ等)に関する筋骨格データを人体筋骨格情報に含んでいる。また、人体筋骨格情報データベース16aは、可動域拘束条件として、運転者の肘関節の可動域に基づいて定められた肘関節可動域拘束条件、及び運転者の膝関節、及び足関節可動域拘束条件を含んでいる。ここで、足関節可動域拘束条件は、股関節のうち少なくとも1つの足関節の可動域に基づいて定められた可動域拘束条件である。
記憶部16は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。なお、上述したコンピュータプログラムは、運転支援装置20が既に備えているコンピュータプログラムと組み合わせることによって、本実施形態に係る運転支援方法の処理手順を実現できるものであってもよい。また、上述したコンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて運転支援装置20を構成して、本実施形態に係る運転支援方法を実現するようにしてもよい。次に、本実施形態に係る運転支援方法を説明する。本実施形態に係る運転支援方法は、図2に示す運転支援装置20によって実現できる。
図3は、本実施形態に係る運転支援方法の手順を示すフローチャートである。図4は、本実施形態において運転者の操舵操作を予測する手順を示すフローチャートである。図5は、本実施形態において運転者の操舵操作を予測する方法の説明図である。図6は、本実施形態において運転者の制動操作を予測する手順を示すフローチャートである。図7−1、図7−2は、本実施形態において運転者の制動操作を予測する方法の説明図である。
車両1に対する運転支援は、車両1の走行中常時実行してもよいが、本実施形態においては、運転者が不要と判断したときや、運転者の操作を優先させるとき等には、実行しない。したがって、本実施形態に係る運転支援方法を実行するにあたり、ステップS1において、運転支援装置20の制御条件判定部24は、運転支援を実行する状態にあるか否かを判定する。ステップS1において、制御条件判定部24が、運転支援を実行する状態ではないと判定した場合(ステップS1:No)、STARTに戻り、制御条件判定部24は、ステップS1の判定を実行する。
ステップS1において、制御条件判定部24が、運転支援を実行する状態にあると判定した場合(ステップS1:Yes)、運転支援装置20の操作予測部21は、ステップS2_Aで車両1の運転者の操作を予測するとともに、ステップS2_Bで、周辺環境情報検出手段SAから車両1の周辺環境情報を取得する。ここで、ステップS2_AとステップS2_Bとの順序は問わず、両ステップは同時であってもよい。
ステップS2_Bにおいて取得される周辺環境情報は、次のステップS3において、運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させるか否かを判定する際に用いられる。周辺環境情報は、例えば、進行方向情報検出センサ43によって検出される車両1の進行方向前方や斜め前方に存在する他の車両や障害物と車両1との距離、車両1が走行している道路の線形、曲率、勾配が含まれる。また周辺環境情報検出手段SAとしてバックガイドモニターやフロントサイドモニター等を備える場合には、車両1の側方や後方の車両等と車両1との距離等が周辺環境情報に含まれる。
次に、図4から図7−2を用いて、ステップS2_Aにおける、操作予測部21が車両1の運転者の操作を予測する方法(操作予測方法)を説明する。まず、図4、図5を用いて、運転者の操舵操作を予測する方法(操舵操作予測方法)を説明する。本実施形態に係る運転支援方法においては、運転者状態検出手段SDによって取得された車両1の運転者DRの筋骨格状態情報に基づいて、運転者DRによりステアリングホイール9の操作が行われるか否か、及びステアリングホイール9の操作量が予測される。
まず、操作予測部21は、ステップS11において、現時点における運転者DRの状態を取得する。例えば、操作予測部21は、上半身状態検出カメラ41で撮像された運転者の画像情報から、運転者DRの各関節位置や運転者DRの関節間リンク長等を運転者DRの筋骨格状態情報として取得する。そして、操作予測部21は、得られた筋骨格状態情報に基づいて、図5に示す、運転者DRの肩ラインSLの傾斜度(水平線HLに対する肩ラインSLの傾斜角度α)や胴体の傾斜度(鉛直線N1に対する体幹線B1の傾斜角度β)等を演算する。
次に、ステップS12において、操作予測部21は、操舵操作の予測において、図5に示す運転者DRの上半身における関節間リンクの拘束条件を適用する。人体において、関節間リンクは骨格及び筋肉であるが、肢体が動く場合、筋肉は長さや断面積が変化するが、骨格は長さや断面積が変化しない。したがって、ステアリングホイール9の操作方向及び操作量を予測する場合、関節間リンクの長さ及び断面積は変化しないという関節間リンクの拘束条件が適用される。
次に、ステップS13において、操作予測部21は、図5に示す運転者DRの関節(肘関節、肩関節、手首の関節等)毎の可動域条件、筋力バランス(曲げ、伸ばし)条件を、操舵操作の予測に適用する。このため、操作予測部21は、記憶部16に格納されている人体筋骨格情報データベース16aから、ステアリングホイール9の操作方向及び操作量を予測する際に必要な関節、例えば、肘関節、肩関節、手首の関節の可動域拘束条件、及びそれぞれの関節周りにおける筋力バランスを取得する。人体の関節は、すべての方向に動かせる訳ではなく、動かせる方向及び動かせる範囲が決まっており、これを超えた動きはできない。したがって、図5に示す運転者DRのそれぞれの関節(例えば肘関節や肩関節)や関節間リンクには、人体の関節の可動域拘束条件による拘束条件が存在する。なお、人体の関節の可動域は個人差があるので、平均的な人体を想定して可動域拘束条件が設定され、人体筋骨格情報データベース16aに記述されている。
次に、ステップS14において、操作予測部21は、運転者DRの状態以外の情報、例えば、周辺環境情報検出手段SAによって取得された周辺環境情報や、自車両状態検出手段SCによって取得された車両1の状態に関する情報等を、操舵操作の予測に適用する。このため、操作予測部21は、例えば、車両1と、周辺車両との位置関係(車両1と周辺車両との距離や方角等)を示す情報や、車両1が走行している道路の線形や曲率半径等、あるいは、車両1の走行速度等を周辺環境情報検出手段SAや自車両状態検出手段SCから取得する。
そして、ステップS15において、操作予測部21は、上記手順で取得した情報を用いて、ステアリングホイール9の操作方向及び操作量を予測する。運転者DRが車両1の操作手段(例えばステアリングホイール9)に操作をしようとする場合、その予兆が運転者DRの筋骨格状態情報として現れる。本実施形態に係る運転支援方法では、運転者DRの筋骨格状態情報を取得することにより、車両1の操作手段に対する運転者DRの操作の予兆を検出し、前記操作の方向や操作量を予測する。なお、運転者の視線の動きや、運転者の筋骨格状態情報及び視線の動きの両方を用いて、車両1の操作手段に対する運転者DRの操作の予兆を検出し、前記操作の方向や操作量を予測してもよい。
例えば、運転者DRがステアリングホイール9を操作しようとする場合、その予兆は、例えば、肩や胴体の傾きに現れる。この場合、肩や胴体が傾いた方向にステアリングホイール9が操作されるとともに、肩や胴体の傾きが大きいほど、ステアリングホイール9の操作量も大きくなると考えられる。したがって、操作予測部21は、ステップS11で演算した運転者DRの肩ラインSLの傾斜度や胴体の傾斜度から、ステアリングホイール9の操作方向及び操作量を予測する。
例えば、操作予測部21は、運転者DRの肩ラインSLが運転者DRの左手側から右手側に向かって下がる場合、ステアリングホイール9の操作方向は左であると予測する。また、水平線HLに対する肩ラインSLの傾斜角度αや鉛直線N1に対する体幹線B1の傾斜角度βとステアリングホイール9の操作量との関係を実験やシミュレーションで求めて記憶部16に格納しておき、操作予測部21は、求められた傾斜角度αやβから、ステアリングホイール9の操作量を予測する。具体的には、操作予測部21は、運転者DRの筋骨格状態情報に基づき、運転者DRの掌位置の可動方向及び可動量を算出し、現在の状態から予測される運転者DRによるステアリングホイール9の操作方向や操作量を予測する。
このとき、操作予測部21は、ステップS12における関節間リンクの拘束条件、及びステップS13で取得した肘関節、肩関節、手首の関節の可動域拘束条件、及びそれぞれの関節周りにおける筋力バランス、及びステップS14で取得した運転者DRの状態以外の情報を考慮する。すなわち、操作予測部21は、関節間リンクの拘束条件を満たし、かつ運転者DRの各関節が、ステップS13で取得されたそれぞれの可動域拘束条件の範囲内に収まるように、運転者DRの筋骨格状態情報からステアリングホイール9の操作方向及び操作量を予測する。このように、本実施形態では、人体の関節の可動域から定められる肢体の可動域拘束条件を拘束条件としてステアリングホイール9の操作方向や操作量を予測するので、より精度の高い予測が可能になる。
なお、運転者DRの操舵動作を予測する場合、少なくとも、肘関節の可動域から定められる腕の可動域拘束条件を考慮することが好ましい。これは、ステアリングホイール9の操作においては他の関節と比較して肘関節の可動域が支配的であるため、肘関節の可動域を考慮すれば、予測精度をある程度確保できるからである。また、肘関節の可動域から定められる腕の可動域拘束条件のみを考慮することにすれば、他の関節の拘束条件を考慮しなくてもよいので、操作予測部21の処理負担が軽減する。
このとき、例えば、予測された操作方向にステアリングホイール9が操作されると、車線が存在しないところに車両1が移動したり、隣の車線を走行する車両と干渉したりするおそれが運転者DRの状態以外の情報から判明した場合は、その予測された操作方向は不適切である。また、予測された操作量だけステアリングホイール9が操作されると、車両1の挙動が不安定になるおそれがある場合も、その予測された操作量は不適切である。したがって、このような場合、操作予測部21は、現時点における運転者DRの状態を再度取得して、予測をやり直す。このように、本実施形態では、ステアリングホイール9の操作方向や操作量を予測するにあたって、運転者DRの状態以外の情報、例えば、周辺環境情報や車両1の状態についての情報を考慮するので、より精度の高い予測が可能になる。
次に、図6から図7−2を用いて、運転者の制動操作を予測する方法(制動操作予測方法)を説明する。本実施形態に係る運転支援方法においては、運転者状態検出手段SDによって取得された車両1の運転者DRの筋骨格状態情報に基づいて、運転者DRにより制動操作が行われるか否か、及び制動の操作量(ブレーキペダル8Pの操作量)が予測される。
まず、操作予測部21は、ステップS11uにおいて、現時点における運転者DRの状態を取得する。例えば、操作予測部21は、下半身状態検出カメラ42で撮像された運転者の画像情報から、運転者DRの各関節位置や運転者DRの関節間リンク長等を運転者DRの筋骨格状態情報として取得する。そして、操作予測部21は、得られた筋骨格状態情報に基づいて、図7−2に示す、運転者DRの体幹線B1の傾き(鉛直線N1に対する体幹線B1の傾斜角度β)や、運転者DRが着座するシートの座面における荷重wの分布(荷重分布)の変化等を演算する。
次に、ステップS12uにおいて、操作予測部21は、操舵操作の予測において、図5に示す運転者DRの下半身における関節間リンクの拘束条件を適用する。関節間リンクの拘束条件については上述した通りである。次に、ステップS13uにおいて、操作予測部21は、図5に示す運転者DRの関節(股関節、膝関節、足首の関節等)毎の可動域条件、筋力バランス(曲げ、伸ばし)条件を、操舵操作の予測に適用する。このため、操作予測部21は、記憶部16に格納されている人体筋骨格情報データベース16aから、ステアリングホイール9の操作方向及び操作量を予測する際に必要な関節、例えば、股関節、膝関節、足首の関節等の可動域拘束条件、及びそれぞれの関節周りにおける筋力バランスを取得する。下半身の関節の可動域拘束条件については、上半身の関節の可動域拘束条件で説明した通りである。下半身の関節の可動域拘束条件は、平均的な人体を想定した可動域拘束条件が、人体筋骨格情報データベース16aに記述されている。
次に、ステップS14uにおいて、操作予測部21は、運転者DRの状態以外の情報を、操舵操作の予測に適用する。ステップS14uは、上述したステップS14と同様である。そして、ステップS15uにおいて、操作予測部21は、上記手順で取得した情報を用いて、制動操作の有無及びその操作量を予測する。
例えば、運転者DRがブレーキペダル8Pを操作しようとする場合、ブレーキペダル8Pの位置に足を移動させるので、その予兆は、例えば、股関節、膝関節、足首の関節といった足の関節や、座面の荷重分布に現れる。例えば、操作予測部21が、踵を支点として、足首をブレーキペダル8Pに向かって捻るような動作を検出したり、座面右側の荷重w1がそれ以前よりも小さくなる荷重分布の変化を検出したりした場合、操作予測部21は、制動操作が行われると予測できる。また、踵が車両1の床から離れない場合は相対的に制動力が小さく、踵が車両1の床から離れる場合には、相対的に制動力が大きくなる傾向があるので、踵が車両1の床から離れたか否かによって、制動操作の操作量の大小を予測できる。例えば、操作予測部21は、制動操作が行われると予測した場合に、運転者DRの踵が床から離れた場合は、相対的に制動力は大きく、運転者DRの踵が床から離れない場合は、相対的に制動力は小さいと予想する。
このとき、操作予測部21は、ステップS12uにおける関節間リンクの拘束条件、及びステップS13uで取得した肘関節、肩関節、手首の関節の可動域拘束条件、及びそれぞれの関節周りにおける筋力バランス、及びステップS14uで取得した運転者DRの状態以外の情報を考慮する。すなわち、操作予測部21は、関節間リンクの拘束条件を満たし、かつ運転者DRの各関節が、ステップS13uで取得されたそれぞれの可動域拘束条件の範囲内に収まるように、運転者DRの筋骨格状態情報から制動操作の有無及びその操作量を予測する。このように、本実施形態では、人体の関節の可動域から定められる肢体の可動域拘束条件を拘束条件として制動操作の有無及びその操作量を予測するので、より精度の高い予測が可能になる。
なお、運転者DRの制動動作を予測する場合、少なくとも、膝関節及び股関節の可動域から定められる脚の可動域拘束条件を考慮することが好ましい。これは、ブレーキペダル8Pの操作においては膝関節及び股関節の可動域が支配的であるため、これらの可動域を考慮すれば、予測精度をある程度確保できるからである。また、膝関節及び股関節の可動域から定められる脚の可動域拘束条件のみを考慮することにすれば、他の関節の拘束条件を考慮しなくてもよいので、操作予測部21の処理負担が軽減する。
このとき、運転者DRの状態以外の情報から、例えば、予測された制動量が小さすぎて、先行車両に接近し過ぎるおそれがある場合等は、その操作方向は不適切である。したがって、このような場合、操作予測部21は、現時点における運転者DRの状態を再度取得して、予測をやり直す。このように、本実施形態では、制動操作の有無及びその操作量を予測するにあたって、運転者DRの状態以外の情報、例えば、周辺環境情報や車両1の状態についての情報を考慮するので、より精度の高い予測が可能になる。
ステップS2_Aで運転者の操作が予測され、ステップS2_Bで、周辺環境情報が取得されたら、ステップS3へ進む。ステップS3において、運転支援装置20の制御条件判定部24は、予測された運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させてよいか否かを判定する。本実施形態に係る運転支援方法では、車両1の運転者の操作を予測するが、車両1の周辺環境によっては、予測された運転者の操作を運転支援装置20による運転支援に反映させることが適切でない場合がある。例えば、運転者によるステアリングホイール9の操作方向が予測された場合において、その操作方向には道路が存在しない場合や障害物が存在する場合に、予測された操作方向を運転支援装置20による運転支援に反映させることは好ましくない。
このため、ステップS3では、予測された運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させてよいか否かが判定される。次の(1)、(2)、(3)の判定条件がすべて成立した場合に予測された運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させてよいと判定される。なお、本実施形態において、少なくとも運転者の操舵操作が予測されたときにこの判定が実行される。
(1)運転者に車両1の操作手段(ステアリングホイール9)を操作する意思があること。
(2)周辺環境情報検出手段SAによって検出された周辺環境情報のうち、車両1が走行しようとしている道路の線形が、ステップS2_Aで予測されたステアリングホイール9の操作方向に向かっていること。
(3)周辺環境情報検出手段SAによって検出された周辺環境情報から判断して、ステップS2_Aで予測されたステアリングホイール9の操作方向に他の車両や障害物が存在しないこと。
(1)の条件は、ステップS2_Aにおいて、運転者が車両1の操作手段を操作することが予測された場合に成立するものとする。(2)の条件は、例えば、ステップS2_Aで予測されたステアリングホイール9の操作方向が左であった場合、車両1がこれから走行しようとする道路の線形が左のカーブであったり、左側の車線が存在する場合等に成立するものとする。(3)の条件は、例えば、ステップS2_Aで予測されたステアリングホイール9の操作方向が左であった場合、車両1が存在する位置から所定の距離(例えば10m)における左側に、他の車両や障害物が存在しない場合に成立するものとする。ステップS3による判定を設けることにより、十分な安全を確保した上で、予測された運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させることができる。
上述した(1)から(3)の条件がすべて成立する場合、制御条件判定部24は、運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させてよいと判定する。この場合、ステップS4へ進み、運転支援装置20の走行軌跡生成部22は、車両1が目標とする目標走行軌跡を生成する。ここで、ステップS4において目標走行軌跡を生成する方法を、目標走行軌跡生成方法Aとする。一方、上述した(1)から(3)の条件のうち成立しないものが一つでも存在する場合、制御条件判定部24は、運転者の操作意思を運転支援装置20による運転支援に反映させないと判定する。この場合、ステップS5へ進み、運転支援装置20の走行軌跡生成部22は、車両1が目標とする目標走行軌跡を生成する。ここで、ステップS5において目標走行軌跡を生成する方法を目標走行軌跡生成方法Bとする。次に、目標走行軌跡生成方法Aを説明する。
図8は、目標走行軌跡生成方法Aの手順を示すフローチャートである。図9から図11は、目標走行軌跡生成方法Aにおいて、第1の走行軌跡を生成する方法を説明する図である。図12は、目標走行軌跡生成方法Aにおいて、第2の走行軌跡を生成する方法の説明図である。目標走行軌跡生成方法Aでは、ステップS41Aにおいて、走行軌跡生成部22は、車両1の周辺の情報(周辺環境情報)から、第1の走行軌跡TR1を生成する。また、走行軌跡生成部22は、ステップS41Bにおいて、操作予測部21によって予測された運転者の運転操作(この場合はステアリングホイール9の操作)の予測結果に基づいて、第2の走行軌跡TR2を生成する。ここで、ステップS41AとステップS41Bとの順序は問わず、これらが同時に実行されてもよい。また、第1の走行軌跡TR1及び第2の走行軌跡TR2は、いずれも、車両1がこれから走行しようとする経路であって、速度及び加速度の情報も含む。まず、第1の走行軌跡TR1を生成する方法を説明する。
第1の走行軌跡TR1は、車両1の周辺環境情報、及び車両1の状態量、及び車両1やその周辺環境の拘束条件のみを用いて、数学的、力学的に最適となるようにして得られた車両1の走行軌跡である。第2の走行軌跡TR2は、ステップS2_Aで予測された操作対象(この例ではステアリングホイール9)の操作方向及び操作量から推定した車両1の走行軌跡である。車両1の周辺環境情報は、車両1がこれから走行しようとする道路の道路線形、曲率、勾配についての情報である。また、車両1の状態量は、現時点における車両1の状態を表す物理量で、例えば、現時点における車両1の走行速度、走行抵抗、質量、内燃機関2の出力、駆動輪と路面との摩擦係数等である。
第1の走行軌跡TR1は、例えば、次に説明する方法で生成される。この方法は、最適化問題を解くことにより第1の走行軌跡TR1を生成するものである(以下、最適化手法という)。例えば、優先したい車両1の特性を評価関数(目的関数)化し、車両1を運動力学的にモデル化した車両モデルを用いて、例えば、非線形計画法やSCGRA(Sequential Conjugate Gradient Restoration Algorithm)等で最適化問題を解くことで、前記評価関数を最大又は最小にするような車両1の走行軌跡を得るものである。
この方法において、図9に示すように、車両モデル1Mは、例えば図1に示す車両1を運動力学的にモデル化したものであり、本実施形態では質点モデルとする。そして、車両1の駆動輪(車両1では左側前輪5FL及び右側前輪5FR)と路面との間の摩擦係数μ、内燃機関2の出力P、走行抵抗rを考慮に入れる。車両モデル1Mの運動方程式は、xy座標系においては式(A)から(D)で表される。
m×vx’’=fx−rx・・・(A)
m×vy’’=fy−ry・・・(B)
x’=vx・・・(C)
y’=vy・・・(D)
ここで、x、yは車両モデル1Mの位置、mは車両モデル1Mの質量(車両1の質量に相当)、fx、fyは車両モデル1Mの車輪が発生するタイヤ力、rx、ryは車両モデル1Mの走行抵抗(車両1の走行抵抗に相当)、vx、vyは車両モデル1Mの速度である。なお、x、yが他の文字とともに用いられる場合、xはx方向の成分を、yはy方向の成分を意味する。また、「’」は時間微分を意味し、その個数で微分の階数を表す。すなわち、x’’、y’’は、それぞれx方向の加速度、y方向の加速度を表す。
タイヤ力の拘束条件(制約条件)は式(E)で、内燃機関2の出力の拘束条件は式(F)で、走行抵抗は式(G)、(H)で表される。
fx+fy≦(μ×m_n)・・・(E)
fx×vx+fy×vy≦Pmax・・・(F)
rx=(Cd×v+d0)×(vx/v)・・・(G)
ry=(Cd×v+d0)×(vy/v)・・・(H)
ここで、m_nは車両モデル1Mの垂直荷重、Pmaxは内燃機関2の最大出力、Cdは抗力係数、d0はv=0における走行抵抗、vは、√(vx+vy)である。
また、車両モデル1Mが走行する、モデル化された道路102は、2本の車線区分線103L、103Rで仕切られた内側である。車両モデルは、道路102内を走行するという拘束条件があり、これは、式(I)、式(J)で表される。なお、式(I)は曲線の道路に対応し、式(J)は直線の道路に対応する。
Ri≦x+y≦Ro・・・(I)
h1≦x≦h2・・・(J)
ここで、Riは曲線道路の内側における車両区分線の半径であり、図10ではIからi1までの区間におけるR1と、i1からi2までの区間におけるR4である。Roは曲線道路の外側における車両区分線の半径であり、図10ではi1までの区間におけるR2と、i1からi2までの区間におけるR3である。また、h1は、直線道路において、一方の車両区分線のx座標であり、h2は他方の車両区分線のx座標である。したがって、h2=h1+Wとなる。Wは、モデル化された道路102の幅(道幅)である。
例えば、図10に示すような道路102の所定区間(IからEまでの区間)を車両モデル1Mが走行するときに、駆動輪の負担率を最も小さくしたい場合、タイヤ力f=√(fx+fy)の総和Σf:(I→E)を評価関数Fとする。そして、非線形計画法やSCGRA等を用いて、上述した拘束条件の下においてこの評価関数Fを最小にする最適化問題を解くことにより得られた軌跡、すなわち各時間における座標(x、y)の集まりが、第1走行軌跡となる。なお、初期条件としては、所定区間Iに車両モデル1Mが進入するときにおける車両モデル1Mの状態量を用いる。また、各時間における座標(x、y)は、速度vx、vyをそれぞれ積分することで得られる。
評価関数Fは、最適化したい車両1の特性に応じて作成し、評価関数Fの特性に応じて、評価関数Fを最大又は最小にする最適化問題を解く。最適化したい車両1の特性は、例えば、車両1の燃料消費率(最小が目標)、所定区間における車両1の通過速度(最大が目標)、車両1の安定性(例えば、ロールモーメントを最小とする)等がある。最適化したい特性は、予め一つに設定しておいてもよいし、車両1の走行条件に応じて変更してもよい。例えば、経済走行モードで車両1が走行している場合、走行軌跡生成部22は、第1の走行軌跡TR1として、車両1の燃料消費率を最小にするような走行軌跡を生成し、スポーツ走行モードで車両1が走行している場合、走行軌跡生成部22は、第1の走行軌跡TR1として、所定区間における車両1の通過速度を最大にするような走行軌跡を生成する。このようにして、走行軌跡生成部22は、設定された車両1の特性を最適化できる走行軌跡を生成する。この最適化手法によれば、車両1の諸特性(例えば、燃料消費率や走行速度等)を最適化した走行軌跡が得られるので、最適化した特性については、高い性能が得られる。
次に、図11を用いて、第1の走行軌跡TR1を生成する他の方法(幾何学的手法という)を説明する。図11に示すように、車両1が走行する道路102Aの中央を、第1の走行軌跡TR1としてもよい。すなわち、道路102Aを仕切るための2本の車線区分線103L、103RのいずれからもWa/2離れた位置における座標を、道路102Aが延在する方向に向かってつなげて得られる軌跡が、第1の走行軌跡TR1となる。2本の車線区分線103L、103R及び道幅Waは、車両1が備える進行方向情報検出センサ43にカメラを用いて、このカメラから得られる車両1の進行方向に存在する道路の情報を取得し、得られた画像に対してフィルタリング処理やエッジ抽出処理等の画像処理を施すことにより得られる。このように、車両1が走行する道路102Aの中央を、第1の走行軌跡TR1としてもよく、幾何学的手法は、最適化手法と比較して、コンピュータで構成される運転支援装置20(ECU10)の処理負荷が小さくなるので、比較的簡単に、かつ迅速に第1の走行軌跡TR1が得られる。次に、図12を用いて、ステップS41Bにおいて、第2の走行軌跡TR2を生成する方法の一例を説明する。
図12に示すように、車両1が右車線102Raから左車線102Laへレーンチェンジする場合を考える。この場合、車両1の操舵輪、すなわち左側前輪5FL及び右側前輪5FRが操舵された場合、車両1は、左側前輪5FLの車軸と、右側前輪5FRの車軸と、左側後輪5RL及び右側後輪5RRの車軸との交点C3を中心として旋回する。第2の走行軌跡TR2を生成するにあたり、走行軌跡生成部22は、上述したステップS2_Aで予測された運転者によるステアリングホイール9の操作量から、車両1の操舵輪、すなわち左側前輪5FL及び右側前輪5FRの操舵角度θ1、θ2を求める。
図12に示すように、車両1が旋回するときの左側前輪5FLの旋回半径はR_LT、右側前輪5FRの旋回半径はR_RTとなる。したがって、車両1の重心の旋回半径は、(R_LT+R_RT)/2となる。ここで、左側前輪5FLの旋回半径R_LTは、車両1のホイールベース(前後車軸間の距離)をLWとすると、LW/sinθ1となる。また、右側前輪5FRの旋回半径R_RTは、LW/sinθ2となる。本実施形態においては、第2の走行軌跡TR2は、車両1の重心の旋回半径(車両重心旋回半径)にあるとする。そして、走行軌跡生成部22は、車両重心旋回半径(R_LT+R_RT)/2を求めて、その軌跡を第2の走行軌跡TR2として生成する。なお、車両1の旋回特性を考慮して車両重心旋回半径を補正してもよい。
ステップS41A及びステップS41Bで、第1の走行軌跡TR1及び第2の走行軌跡TR2が生成されたら、ステップS42へ進む。ステップS42において、制御条件判定部24は、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とが合致するか否かを判定する。これによって、運転者の操作意思が、車両1の周辺環境情報や車両1の状態量に基づいて得られた第1の走行軌跡TR1と合致することを判定する。運転者の操作意思が第1の走行軌跡TR1と合致していれば、運転支援装置20は、第1の走行軌跡TRに基づいて運転支援を行う。一方、運転者の操作意思が第1の走行軌跡TR1と合致していない場合、運転支援装置20は、運転者の操作意思を考慮した走行軌跡を生成し、これに基づいて運転支援を行う。
制御条件判定部24が、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とは合致すると判定した場合、ステップS43に進み、走行軌跡生成部22は、第1の走行軌跡TR1を、車両1が目標とする目標走行軌跡TR_tに設定する。ここで、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とが合致するか否かは、両者が完全に同一であることのみならず、両者の違いが許容範囲であればよい。許容範囲内の違いとは、例えば、車両1が走行しようとする道路の同じ位置において、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2との差が所定の距離(例えば0.5m)以内であれば、両者の違いは許容範囲内であるとする。そして、この場合には、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とが合致していると判定する。
制御条件判定部24が、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とは合致しないと判定した場合、ステップS44に進む。ステップS44において、制御条件判定部24は、運転者の操作意思を尊重できるか否かを判定する。上述したステップS3における判定条件(2)、(3)の両方を満たす場合に、制御条件判定部24は、運転者の操作意思を尊重できると判定する。このように、ステップS3における運転者の操作意思の確認に加え、目標走行軌跡生成方法Aにおいても運転者の操作意思を確認することで、運転者の操作意思を尊重した運転支援を実行した場合の安全性がさらに向上する。
ステップS44において、制御条件判定部24が、運転者の操作意思は尊重できないと判定した場合、すなわち、上述した判定条件(2)、(3)の少なくとも一方が成立しない場合には、ステップS43に進む。この場合、走行軌跡生成部22は、第1の走行軌跡TR1を、車両1が目標とする目標走行軌跡TR_tに設定する。これは、運転者の操作意思を反映させて運転支援を実行することが好ましくないため、車両1の周辺環境情報や車両1の状態量に基づいて得られた第1の走行軌跡TR1を車両1の目標走行軌跡TR_tとして、運転支援装置20が運転支援を実行する。これによって、運転支援装置20による運転支援においては、十分な安全性が確保される。
ステップS44において、制御条件判定部24が、運転者の操作意思は尊重できると判定した場合、すなわち、上述した判定条件(2)、(3)の両方が成立する場合には、ステップS45に進む。この場合、走行軌跡生成部22は、車両1の周辺環境情報、及び車両1の状態量、及び車両1の拘束条件及び運転者の操作意思(予測された操作量)を用いて、数学的、力学的に最適となるように目標走行軌跡TR_tを生成する。
図13から図16は、走行軌跡を示す図である。例えば、図13から図15に示すように、右車線102Rを車両1が走行しており、左車線102Lには他の車両101が走行している場合において、上述した最適化手法により第1の走行軌跡TR1を生成したり、第2の走行軌跡生成方法によって第2の走行軌跡TR2を生成する場合を考える。上述したステップS41Aにおいて、最適化手法を用いて第1の走行軌跡TR1を生成する場合、車両1が走行している道路において、これから車両1が走行しようとしている所定の領域を仮想道路80として、最適化手法における拘束条件に設定する。
例えば、図13に示す例では、車両1の車端前方から車両1の進行方向に向かって所定の距離LRに、仮想道路80を設定する。仮想道路80は、車両1の車端前方から所定の距離LR1までは道幅W1(ほぼ右車線102Rの道幅)とし、LR2(LR1)からLRまでは道幅W2(ほぼ左車線102Lと右車線102Rとを合わせた道幅)とし、LR1からLR2までは道幅をW1からW2に徐変させたものである。そして、走行軌跡生成部22は、上述した車両モデル1Mが仮想道路80を進行した場合に車両1の所定の特性を最適化するという条件で最適化問題を解き、走行軌跡を生成する。このようにして生成した走行軌跡が、第1の走行軌跡TR1となる。
図14に示す例は、第1の走行軌跡TR1と、ステップS41Bで生成された第2の走行軌跡TR2とが合致せず、かつ運転者の操作意思を尊重できる場合(ステップS42:NoかつステップS44:Yes)において、目標走行軌跡TR_tを生成する例を示している。図14に示す例では、第1の走行軌跡TR1は右車線102Rの直進であるが、右車線102Rから左車線102Lへレーンチェンジするという車両1の運転者の操作意思が予測されている。この操作意思に基づいて生成された第2の走行軌跡TR2は、車両1をレーンチェンジさせるものであるため、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とは合致しない。
したがって、ステップS45で、走行軌跡生成部22は、上述した最適化手法に、運転者の操作意思(予測された操作量)を加えて、目標走行軌跡TR_tを生成する。本実施形態においては、車両1が走行している道路において、これから車両1が走行しようとしている所定の領域に設定される仮想道路を運転者の操作意思に応じて変更することによって、運転者の操作意思を目標走行軌跡TR_tの生成に反映させる。
上述した例では、ステップS42で、第1の走行軌跡TR1と、ステップS41Bにおいて簡易的に生成された第2の走行軌跡TR2とが合致するかが判定される。この場合、ステップS44で、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とが合致しない場合には、運転者の操作意思を反映した目標走行軌跡TR_tは生成されない。ここで、ステップS45において運転者の操作意思を反映した目標走行軌跡TR_tを生成する場合、最適化手法を用いるため運転支援装置20の処理負担が比較的大きい。しかし、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とが合致するかは簡易な手法で生成した第2の走行軌跡TR2を用いることで、運転者の操作意思を尊重できない場合には、運転者の操作意思を反映した目標走行軌跡TR_tは作成しないので、常に運転者の操作意思を反映した目標走行軌跡TR_tを生成する場合と比較して、運転支援装置20の処理負担を軽減できる。
一方、ステップS41Bにおいて、最適化手法により、運転者の操作意思を反映した第2の走行軌跡TR2を生成し、ステップS42で、第1の走行軌跡TR1と、第2の走行軌跡TR2とが合致するかを判定するようにしてもよい。この場合、目標走行軌跡生成方法Aを実行する毎に、最適化手法を用いて運転者の操作意思を反映した第2の走行軌跡TR2を生成する必要があるので、運転支援装置20の処理負担は大きくなる。しかし、第2の走行軌跡TR2は、最適化手法を用いて生成されるため、簡易な手法を用いるよりも高い精度で生成される。このため、ステップS42やステップS44においては、より精度の高い判定が実現できる。
図14に示すように、仮想道路81は、車両1の車端前方から車両1の進行方向に向かって所定の距離LRに設定される。仮想道路81は、車両1の車端前方から所定の距離LR1までは道幅W1(ほぼ右車線102Rの道幅)として右車線102R内に形成し、LR2(>LR1)からLRまでは道幅W2(ほぼ左車線102Lの道幅)として左車線102L内へ形成する。そして、仮想道路81のLR1からLR2までの領域は、右車線102Rから左車線102Lへ徐々に移行する車線移行部分となる。なお、仮想道路81の道幅は、例えば、運転者の操作の予測精度に応じて任意に設定してもよい。
走行軌跡生成部22は、上述した車両モデル1Mが仮想道路81を進行した場合に車両1の所定の特性を最適化するという条件で最適化問題を解き、走行軌跡を生成する。このようにして走行軌跡を生成すると、仮想道路81が右車線102Rから左車線102Lへ切り替わるので、車両モデル1Mは右車線102Rを直進し続けるという条件が排除される。これによって、目標走行軌跡TR_tは、右車線102Rから左車線102Lへレーンチェンジするものとなる。その結果、目標走行軌跡TR_tは、運転者の運転操作の予測結果に基づいて生成された第2の走行軌跡TR2と近くなり、運転者の操作意思が目標走行軌跡TR_tに反映させられることになる。
図15に示す例は、第1の走行軌跡TR1と、ステップS41Bで生成された第2の走行軌跡TR2とが合致せず、かつ運転者の操作意思を尊重できない場合(ステップS42:NoかつステップS44:No)において、目標走行軌跡TR_tを生成する例を示している。図15に示す例では、運転者の運転操作の予測結果に基づいて生成された第2の走行軌跡TR2を採用すると、隣の車線を走行している他の車両101と車両1とが干渉するおそれがある。したがって、走行軌跡生成部22は、運転者の操作意思を尊重せず、ステップS41Aで生成された第1の走行軌跡TR1を、車両1の目標とする目標走行軌跡TR_tとする。
図16に示す例は、右車線102Rから左車線102Lへレーンチェンジした車両1が、左車線102Lを先行する他の車両101に追い付いたときを示している。この例において、車両1の運転者は、制動操作により他の車両101に追従して走行したいものとする。すなわち、車両1が制動されて減速して、左車線102Lを直進する走行軌跡が、運転者の運転操作の予測結果に基づいて生成された第2の走行軌跡TR2となる。一方、ステップS41Aで生成された第1の走行軌跡TR1は、再び右車線102Rへレーンチェンジする走行軌跡であるとする。この場合、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とは合致しないので、運転者の操作意思を尊重できる場合、走行軌跡生成部22は、運転者の操作意思を反映させて目標走行軌跡TR_tを生成する。
この場合、図16に示すように、仮想道路83は、車両1の車端前方から車両1の進行方向に向かって所定の距離LRに設定される。そして、仮想道路83は、車両1の車端前方から所定の距離LR1までの領域は、右車線102Rから左車線102Lへ徐々に移行する車線移行部分となり、LR1からLRまでは道幅W2(ほぼ左車線102Lの道幅)として左車線102L内へ形成される。
走行軌跡生成部22は、上述した車両モデル1Mが仮想道路83を進行した場合に車両1の所定の特性を最適化するという条件で最適化問題を解き、走行軌跡を生成する。このとき、先行する他の車両101へ車両1が接近し過ぎないように、車両1の運転者は制動する。したがって、車両モデル1Mが、通常の拘束条件よりも大きな制動力を発生できるように、制動の拘束条件を変更する。このようにして走行軌跡を生成すると、仮想道路83が右車線102Rから左車線102Lへ切り替わり、かつ、制動の拘束条件が変更されているので、車両モデル1Mは右車線102Rを直進し続けるという条件が排除される。
これによって、目標走行軌跡TR_tは、右車線102Rから左車線102Lへレーンチェンジし、かつ、先行する他の車両101の後方で車両1に制動を与えて、車両1を他の車両101へ追従させるものとなる。その結果、目標走行軌跡TR_tは、運転者の運転操作の予測結果に基づいて生成された第2の走行軌跡TR2と近くなり、運転者の操作意思が目標走行軌跡TR_tに反映させられることになる。
図16に示す例は、車両1に対する運転者の制動操作が予測される場合である。車両1の運転においては、制動の優先度が最も高くなるので、このような場合、走行軌跡生成部22は、車両1の左右方向(横方向)における移動(操舵操作により発生する移動であり、例えばレーンチェンジ)よりも、車両1の前後方向における動き(制動操作によって発生する動き)を優先して、車両1の目標走行軌跡TR_tを生成する。このように、本実施形態では、運転者の制動操作が予測される場合には、車両1の最適な走行軌跡(すなわち、第1の走行軌跡TR1)が車両1の左右方向であっても、車両1の前後方向における移動(制動によって発生する移動)のみとする。
ステップS43又はステップS45のいずれかで目標走行軌跡TR_tが生成されたら、目標走行軌跡生成方法Aは終了し、図3のステップS6に移行する。なお、ステップS5の目標走行軌跡生成方法Bによって目標走行軌跡TR_tが生成された場合も、ステップS6へ移行する。ここで、ステップS5における目標走行軌跡生成方法Bは、目標走行軌跡生成方法Aにおいて説明した第1の走行軌跡TR1を生成する方法と同じである。
ステップS6において、制御条件判定部24は、車両1の運転者が、車両1の操作手段を操作したか否かを判定する。制御条件判定部24が、車両1の運転者は、車両1の操作手段を操作していると判定した場合、ステップS7に進む。本実施形態では、ステップS2_Aで運転者の操舵操作を予測しているが、運転者の実際の操作によって、車両1は、ステップS4又はステップS5で生成された目標走行軌跡TR_tとは異なる走行軌跡を走行する場合もある。このような場合、走行機能制御部23は、走行軌跡生成部22が生成した目標走行軌跡TR_t(運転者の操舵の方向への目標走行軌跡あるいは制動操作による目標走行軌跡)と、運転者による実際の運転操作(操舵量あるいは制動量)とを調停し、その調停結果に基づいて車両1の走行機能を制御する。これによって、運転支援の制御と運転者の実際の操作とのぶつかり合い(コンフリクト)を回避する。ここで、目標走行軌跡TR_tと、運転者による実際の運転操作との調停とは、運転支援装置20が、目標走行軌跡TR_tに沿った運転支援を実行することにより車両1を走行させたときにおいて、運転者による実際の運転操作が介入した場合、いずれか一方を優先させるように調整することをいう。
ステップS7においては、運転支援の制御と運転者の実際の操作とのぶつかり合いが判定される。制御条件判定部24は、車両1の運転者による実際の操作量(実操作量)Mdと、運転支援装置20による運転支援を中止することを判定する制御中止判定閾値Mdcとを比較する。操舵操作の場合には、例えば、予め定めた所定のトルクを制御中止判定閾値Mdcとしておき、運転者が、制御中止判定閾値Mdcよりも大きいトルク(操作量Mdに相当する)でステアリングホイール9を操作した場合には、運転支援の制御と運転者の実際の操作とがぶつかり合うと判定される。また、制動制御の場合には、例えば、予め定めた所定のマスターシリンダ圧力を制御中止判定閾値Mdcとしておき、運転者の操作によって、制御中止判定閾値Mdcよりも大きいマスターシリンダ圧力(操作量Mdに相当する)が発生した場合には、運転支援の制御と運転者の実際の操作とがぶつかり合うと判定される。
ステップS7において、制御条件判定部24が、Md<Mdcであると判定した場合、運転支援の制御と運転者の実際の操作とのぶつかり合いは許容範囲なので、ステップS8に進む。そして、ステップS8において、運転支援装置20は、運転支援を実行する。具体的には、運転支援装置20の走行機能制御部23が、ステップS4又はステップS5で走行軌跡生成部22によって生成された目標走行軌跡TR_tを車両1が走行するように、操舵補助装置7のアクチュエータ(例えば電動モータ)や、ブレーキアクチュエータ8、あるいは車両1のスロットルを制御する。これによって、車両1は、ステップS4又はステップS5で生成された目標走行軌跡TR_tに沿って走行する。
ステップS7において、制御条件判定部24が、Md≧Mdcであると判定した場合、運転支援の制御と運転者の実際の操作とはぶつかり合うので、ステップS9に進み、運転支援装置20は運転支援を中止する。具体的には、走行機能制御部23は、ステップS4又はステップS5で生成された目標走行軌跡TR_tに沿うように車両1を走行させるという内容の制御を実行しない。これによって、自分で操作手段を操作して車両1を運転したいという運転者の意思を車両1の運転に反映できるので、運転者の意図に沿って車両1を走行させることができる。その結果、操作フィーリング及びドライバビリティの低下を抑制できる。
上述したステップS6において、制御条件判定部24が、車両1の運転者は、車両1の操作手段を操作していないと判定した場合、ステップS8に進み、運転支援装置20は、運転支援を実行する。これによって、車両1は、ステップS4又はステップS5で生成された目標走行軌跡TR_tに沿って走行する。
本実施形態に係る運転支援方法では、運転者の操作を予測し、目標走行軌跡TR_tの生成に反映させるので、目標走行軌跡TR_tに従って車両1を走行させる運転支援が行われている場合には、車両1は運転者の意思を反映して走行するようになる。したがって、運転支援の制御と運転者の意思との乖離が抑制されるので、運転者は、運転支援装置20の運転支援による違和感を受けにくくなる。また、運転支援の制御と運転者の意思との乖離が発生する機会も低減されるので、両者を調停する機会も低減される。その結果、調停に要する運転支援装置20の処理負担も低減される。
また、目標走行軌跡TR_tに従って車両1を走行させる運転支援が行われている場合、仮に運転者の操作があったとしても、目標走行軌跡TR_tには運転者の操作意思が反映されているので、運転者が受ける違和感は低減される。また、この場合、運転者が自分の操作意思に沿わせるための操作量も少なくて済み、さらには、運転者が違和感を覚える機会自体が低減されるので、運転者が車両1の操作手段を操作する機会も低減される。
なお、本実施形態では、目標走行軌跡TR_tを生成した後に運転者の操作があったか否かを判定してから運転支援を実行する(図3のステップS6、ステップS7)。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではなく、目標走行軌跡TR_tを生成した後、運転支援を実行してから、運転者の操作の有無を判定し、その上で、運転支援の制御と運転者の意思との乖離を調停してもよい。
(変形例)
図17から図19は、本実施形態の変形例に係る運転支援方法の説明図である。この変形例は、運転者が車両1の操作手段を操作した履歴から、運転者の操作の傾向を予測し、これに基づいて目標走行軌跡を生成する点が異なる。図17に示すように、車両1が、2本の車線区分線103L、103Rで仕切られる道路102Bを走行している場合、車両1の運転者が道路102Bの左側に寄って走行する傾向があるとする。車両1の運転時における運転者の傾向を考慮しない場合、上述した目標走行軌跡生成方法において生成される目標走行軌跡TR_tと、車両1の実際の走行軌跡TR_Aとの間には、図17に示すようにずれ(ΔW)が発生する。そして、運転支援装置20が、目標走行軌跡TR_tを用いて運転支援を実行した場合、前記ずれに起因して、車両1の運転者は、常に定常的な違和感を受けることになる。また、例えば、車両1の運転時における運転者の傾向を考慮しないと、車両1がカーブへ進入するために車両1を減速させるための制動ポイントBPがずれてしまい、車両1の運転者は違和感を覚えることになる。
本変形例では、目標走行軌跡TR_tを生成する際に、運転者の操作の履歴をECU10の記憶部16へ格納しておき、操作の履歴から運転者の操作の傾向を予測する。そして、例えば、図8に示す目標走行軌跡生成方法のステップS45では、予測された運転者の操作の傾向を用いて、目標走行軌跡TR_tを生成する。これによって、運転者の操作傾向を考慮した目標走行軌跡TR_tが生成できるので、これを用いて運転支援を実行すれば、目標走行軌跡TR_tと、車両1の実際の走行軌跡TR_Aとの間のずれが低減される。その結果、目標走行軌跡TR_tを用いた運転支援の制御において、運転者の受ける違和感が低減されるので、運転者の修正操作も低減される。次に、運転者の操作の傾向を目標走行軌跡TR_tの生成に反映させる方法を説明する。
図18は、車両1の運転者が、道路102Bの中央を走行する場合を示している。一方、図19は、車両1の運転者が、道路102Bの左寄りを走行する場合を示している。本実施形態における目標走行軌跡生成方法では、車両1が走行している道路102Bにおいて、これから車両1が走行しようとしている所定の領域に設定される仮想道路を運転者の操作の傾向に応じて変更することによって、運転者の操作の傾向を目標走行軌跡TR_tの生成に反映させる。
図18に示す例では、仮想道路84は、車両1の車端前方から車両1の進行方向に向かって所定の距離LRに設定される。仮想道路84は、車両1の車端前方から所定の距離LRまで道幅W3(ほぼ道路102Bの道幅)として、車線区分線103L、103Rの間に形成する。走行軌跡生成部22は、上述した車両モデル1Mが仮想道路84を進行した場合に車両1の所定の特性を最適化するという条件で最適化問題を解き、目標走行軌跡TR_tを生成する。このようにすると、道路102Bの中央を走行する運転者の傾向を反映した目標走行軌跡TR_tを生成できる。
一方、運転者の操作履歴から、その運転者が道路102Bの左側を走行する傾向がある場合、図19に示すように、仮想道路85は、車両1の車端前方から車両1の進行方向に向かって所定の距離LR、かつ左側の車線区分線103L寄りに設定される。この場合、仮想道路85と左側の車線区分線103Lとの距離は、仮想道路85と右側の車線区分線103Rとの距離よりも小さく設定される。そして、仮想道路84の道幅はW4であり、道路102Bの道幅よりも小さくなる。
このように、走行軌跡生成部22は、上述した車両モデル1Mが。道路102Bの左寄りに設定された仮想道路85を進行した場合に車両1の所定の特性を最適化するという条件で最適化問題を解き、目標走行軌跡TR_tを生成する。このようにすると、道路102Bの左寄りを走行する運転者の傾向を反映した目標走行軌跡TR_tを生成できる。運転支援装置20は、この目標走行軌跡TR_tを用いて運転支援を実行することにより、道路102Bの左寄りを走行する運転者が運転支援の実行中に受ける違和感が低減される。上記例では、道路102Bの幅方向において、運転者はどの位置を走行するかの傾向を予測したが、この他にも、例えば、アクセルペダルの操作傾向や制動の操作傾向についても、これまでの操作履歴を用いて予測して、目標走行軌跡TR_tの生成に反映させることができる。
運転者の操作の傾向を予測するにあたって、運転支援装置20は、例えば、図1に示す進行方向情報検出センサ43にカメラを用いて車線区分線103L、103Rを取得して、車両1が走行する道路102Bを特定する。そして、運転支援装置20は、道路102Bの中央(車線区分線103L、103Rの中央)から車両1が道路102Bの幅方向にどの程度ずれているかを画像処理によって求め、そのずれ(車両オフセット)を記憶部16に格納しておく。そして、例えば、車両オフセットの履歴を平均化処理して得られた値を、運転者の操作の傾向とする。この場合、道路102Bの幅方向において、運転者が走行する位置の傾向を予測することができる。
本変形例においては、目標走行軌跡TR_tを生成する際に、当初から運転者の操作傾向を反映させているが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すステップS41Bにおいて、走行軌跡生成部22は、運転者の操作傾向を反映させて第2の走行軌跡TR2を生成し、制御条件判定部24は、ステップS42で第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とを比較する。その結果、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2とが合致しなかった場合、すなわち、第1の走行軌跡TR1と第2の走行軌跡TR2との間に、許容できない差が発生している場合には、ステップS45に進む。ステップS45において、走行軌跡生成部22は、上述した最適化手法に、運転者の操作傾向を加えて、目標走行軌跡TR_tを生成する。
以上、本実施形態及びその変形例では、運転者の操作を予測し、あるいは運転者の操作傾向を予測して、少なくとも一方を目標走行軌跡の生成に反映させる。そして、このようにして生成された目標走行軌跡に従って車両を走行させる運転支援が行われる。これによって、本実施形態及びその変形例では、目標走行軌跡TR_tに、運転者が次にこういった操作をするだろうという情報を既に盛り込むことができるので、運転支援装置の運転支援による車両の走行と、運転者の意図している車両の走行との乖離が抑制される。その結果、運転者は、運転支援装置の運転支援による違和感を受けにくくなるとともに、運転者が自分の操作意思に車両の挙動を従わせるための操作も少なくて済む。
以上のように、本発明に係る運転支援装置及び運転支援方法は、車両を運転する運転者を補助する車両の運転支援に有用である。
本実施形態に係る運転支援装置を備える車両の構成例を示す構成概略図である。 本実施形態に係る運転支援装置の構成を示す説明図である。 本実施形態に係る運転支援方法の手順を示すフローチャートである。 本実施形態において運転者の操舵操作を予測する手順を示すフローチャートである。 本実施形態において運転者の操舵操作を予測する方法の説明図である。 本実施形態において運転者の制動操作を予測する手順を示すフローチャートである。 本実施形態において運転者の制動操作を予測する方法の説明図である。 本実施形態において運転者の制動操作を予測する方法の説明図である。 目標走行軌跡生成方法Aの手順を示すフローチャートである。 目標走行軌跡生成方法Aにおいて、第1の走行軌跡を生成する方法を説明する図である。 目標走行軌跡生成方法Aにおいて、第1の走行軌跡を生成する方法を説明する図である。 目標走行軌跡生成方法Aにおいて、第1の走行軌跡を生成する方法を説明する図である。 目標走行軌跡生成方法Aにおいて、第2の走行軌跡を生成する方法の説明図である。 走行軌跡を示す図である。 走行軌跡を示す図である。 走行軌跡を示す図である。 走行軌跡を示す図である。 本実施形態の変形例に係る運転支援方法の説明図である。 本実施形態の変形例に係る運転支援方法の説明図である。 本実施形態の変形例に係る運転支援方法の説明図である。
符号の説明
1 車両
1M 車両モデル
2 内燃機関
7 操舵補助装置
8 ブレーキアクチュエータ
8P ブレーキペダル
9 ステアリングホイール
16 記憶部
16a 人体筋骨格情報データベース
20 運転支援装置
20P 処理部
21 操作予測部
22 走行軌跡生成部
23 走行機能制御部
24 制御条件判定部
41 上半身状態検出カメラ
42 下半身状態検出カメラ
43 進行方向情報検出センサ
44 操舵角センサ
45 操舵トルクセンサ
46 加速度センサ
47 ヨーレートセンサ
48 接触式モーションセンサ
49 非接触式モーションセンサ
80、81、83、84、85 仮想道路
101 車両
102R、102Ra 右車線
102L、102La 左車線
102、102A、102B 道路
103L、103R 車線区分線
SA 周辺環境情報検出手段
SC 自車両状態検出手段
SD 運転者状態検出手段

Claims (7)

  1. 車両の運転者が運転操作をすることを、前記運転者が前記運転操作をする前に予測する操作予測手段と、
    前記操作予測手段によって予測された前記運転操作の予測結果を踏まえて、前記運転者が運転する車両が目標とする目標走行軌跡を生成する走行軌跡生成手段と、
    少なくとも、前記走行軌跡生成手段によって生成された前記目標走行軌跡と前記運転者の実際の運転操作とを調停した結果に基づいて、前記車両の走行機能を制御する走行機能制御手段と、
    を含み、
    前記走行軌跡生成手段は、
    前記車両の周辺環境における情報から第1の走行軌跡を生成し、かつ、前記操作予測手段によって予測された前記運転操作の予測結果に基づいて第2の走行軌跡を生成し、
    前記第1の走行軌跡と前記第2の走行軌跡との間に、許容できない差が発生している場合には、前記操作予測手段によって予測された前記運転操作の予測結果を用いて前記目標走行軌跡を生成することを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記操作予測手段は、
    前記運転者の筋骨格状態情報に基づいて、前記運転操作を予測することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記操作予測手段は、
    人体の関節の可動域から定められる関節の可動域を拘束条件として、前記運転操作を予測することを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 前記操作予測手段は、
    人体の肘関節の可動域から定められる腕の可動域拘束条件に基づいて、前記運転者が操舵する方向を予測し、
    前記走行軌跡生成手段は、
    前記運転者の操舵が予測される場合、前記操舵の方向への前記目標走行軌跡を生成することを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
  5. 前記走行機能制御手段は、
    前記走行軌跡生成手段が生成した前記操舵の方向への前記目標走行軌跡と、前記運転者による実際の操舵量とを調停し、その調停結果に基づいて前記車両の走行機能を制御することを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
  6. 前記操作予測手段は、
    人体の膝関節及び股関節の可動域から定められる脚の可動域拘束条件に基づいて、前記運転者の制動操作を予測し、
    前記走行軌跡生成手段は、
    前記運転者の制動操作が予測される場合、前記車両の左右方向における移動よりも、前記車両の前後方向における動きを優先して、前記車両の走行軌跡を生成することを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
  7. 前記走行機能制御手段は、
    前記走行軌跡生成手段が生成した前記車両の走行軌跡と、前記運転者による実際の制動量とを調停し、その調停結果に基づいて前記車両の走行機能を制御することを特徴とする請求項6に記載の運転支援装置。
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