JP5294771B2 - エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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またコンポジット材、車の車体や船舶の構造材として、近年、その製造法の簡便さからRTMが使用されている。このような組成物においてはカーボンファイバー等への含浸のされやすさから低粘度のエポキシ樹脂が望まれている。
このような背景から近年、より安全な酸化剤として過酸化水素水を使用した反応の検討が行われている。例えば、タングステン酸類やモリブデン酸類と4級アンモニウム塩を触媒とすることが知られている。しかしながら、本反応の問題点は使用する4級アンモニウム塩の脂溶性が強く、有機溶剤から4級アンモニウム塩を除去することが困難であり、製品に残存してしまうという問題があった。このような問題に対し、シリカゲル等に触媒を担持するなど触媒を不溶化する手法が用いられている。しかしながらこのような触媒の場合、その活性が低いことが起因し、大量の触媒が必要となってしまう。
(1)
炭素-炭素二重結合を有する化合物を過酸化水素、4級アンモニウム塩及びヘテロポリ酸の存在下に酸化反応した後、薬品賦活活性炭にて反応混合物に残存する4級アンモニウム塩を除去することを特徴とするエポキシ化合物の製造方法
(2)
薬品賦活活性炭が、燐酸、又は塩化亜鉛で薬品賦活されたものである上記(1)記載の製造方法
に関する。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
具体的なヘテロポリ酸としては、タングステン酸、12−タングスト燐酸、12−タングストホウ酸、18−タングスト燐酸、12−タングストケイ酸、などのタングステン系の酸、モリブデン酸、リンモリブデン酸等のモリブデン系の酸の塩等が挙げられる。
これらの塩のカウンターカチオンとしては4級アンモニウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオンなどが挙げられる。
具体的にはテトラメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、トリデカニルメチルアンモニウムイオン、ジラウリルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、トリアルキルメチル(オクチル基とデカニル基の混合タイプ)アンモニウムイオン、トリヘキサデシルメチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリブチルアンモニウムイオン、トリカプリルメチルアンモニウムイオン、ジセチルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオン、カルシウムイオンマグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属イオンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
使用量としては原料1モルに対し、金属元素換算(タングテン酸ならタングステン原子、モリブデン酸ならモリブデン原子のモル数)で1.0〜20ミリモル、好ましくは2.0〜20ミリモル、さらに好ましくは2.5〜10ミリモルである。
具体的にはトリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチル(アルキル基がオクチル基である化合物とデカニル基である化合物の混合タイプ)アンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられるがこれらに限定されない。
またこれら塩のアニオン種に特に限定はなく、具体的にはハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アセテートイオン、炭酸イオン、等が挙げられるが、これらに限定されない。
炭素数が100を上回ると疎水性が強くなりすぎて、4級アンモニウム塩の有機層への溶解性が悪くなる場合がある。炭素数が10以下であると親水性が強くなり、同様に4級アンモニウム塩の有機層への相溶性が悪くなる場合がある。
緩衝液としてはいずれも用いることができるが、本反応においては燐酸塩水溶液を用いるのが好ましい。そのpHとしてはpH2〜6の間に調整されたものが好ましく、より好ましくはpH3〜5である。pH2以下の場合、エポキシ基の加水分解反応、重合反応が進行しやすくなる。またpH6以上である場合、反応が極度に遅くなり、反応時間が長すぎるという問題が生じる。
緩衝液の使用方法は、例えば好ましい緩衝液である燐酸−燐酸塩水溶液の場合は、過酸化水素に対し、0.1〜10モル当量の燐酸(あるいは燐酸二水素ナトリウム等の燐酸塩)を使用し、塩基性化合物(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等)でpH調整を行うという方法が挙げられる。ここでpHは過酸化水素を添加した際に前述のpHになるように添加することが好ましい。また、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどを用いて調整することも可能である。好ましい燐酸塩の濃度は0.1〜60重量%、好ましくは5〜45重量%である。
酸化反応におけるタングステン酸類の使用量は、通常炭素-炭素二重結合を有する化合物1モルに対し、タングステン原子が0.1〜2.0モル%、好ましくは、0.1〜1.5モル%、さらに好ましくは0.1〜1.0モル%である。
また、緩衝液の使用量は、原料の炭素-炭素二重結合を有する化合物100重量部に対し、通常0.5〜150重量部、好ましくは0.5〜100重量部であるが、緩衝液の使用量によって反応は大幅には変化はしない。
好ましい処理方法としては塩基性化合物でpH6〜8に調整後、還元剤を用い、残存する過酸化水素をクエンチする方法が挙げられる。pHが6以下の場合、過剰の過酸化水素を還元する際の発熱が大きく、生成しているエポキシ化合物を部分的に加水分解してしまうことがある。またpHが8以上の場合もエポキシの加水分解、さらにはエステル結合の加水分解を引き起こしてしまう可能性がある。
その使用量としては水、あるいは有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類など、各種溶剤)に溶解するものであれば、過剰分の過酸化水素のモル数に対し、通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。これらは水、あるいは前述の有機溶剤の溶液として添加しても単体で添加しても構わない。
水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合、系中に残存する過酸化水素の量に対し、重量比で1〜1000倍の量を使用することが好ましい。より好ましくは10〜500倍、さらに好ましくは10〜300倍である。水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合は、後に記載する水層と有機層の分離の後、処理を行っても構わない。
使用できる活性炭としては、薬品賦活炭、すなわち、例えば塩化亜鉛、燐酸などで処理を施したものであれば特に制限はない。なお、水蒸気や空気、二酸化炭素などで多孔質化する物理法により得られた活性炭も、処理する条件によっては薬品賦活活性炭と併用することも可能であり、その比率は少なくとも薬品賦活炭が全活性炭の量に対し、50重量%を超える割合が好ましい。
原料としては木質(おが屑等)、石炭(亜炭、ピート、コール等)、ヤシガラ、フェノール樹脂などが挙げられるが、本発明では特に木質系が好ましい。
市販品としてはフタムラ化学製、太閤シリーズ(CG,CW,G,QW、S、ACF などのシリーズ)、味の素ファインテクノ製 ホクエツシリーズ(SD、BA、F、ZN、Y−180C、H−10CL、H−8CL、G−10F、CL−Kなどのシリーズ)、日本エンバイロケミカルズ製 白鷹(C、LGK−400、Gシリーズ、DOシリーズ、Wc、Sx、WHAなど)、カルボラフィン、など、NORIT製 PKシリーズ、PKDAシリーズ、ELORIT、AZO、DARCOシリーズ、HYDRODARCOシリーズ、PETRODARCO、GAC、シリーズ、GCN、C GRAN、ROW、ROY、ROX、RO、RB、R、R.EXTRA、SORBNORIT、GFシリーズ、CNR、ROZ、RBAA、RBHG、RZN、RGM、SX、SA、D 10、VETERINAIR、PN、ZN、SA−SW、W、GL、SAM、HB PLUS、EUR、USP、CA、CG、GB、CAP SUPER、CGP SUPER、S−51シリーズ、HDB、HDC、HDR、HDW、GRO SAFE、FM−1、PACシリーズなど、クラレ製、RP−20、YP−17Dなどが挙げられる。
薬品賦活活性炭の使用方法としては例えば、活性炭を溶液に分散させた後、ろ過により活性炭を除去することで目的物を得ることができる。また、カラム等に敷き詰め、通液させるという手法をとることも可能である。また、フィルター等に含浸させたものを使用し、通液させるという手法も用いることができる。フィルターの具体例としては、住友スリーエム製、CUNO ZetaCarbon Filter等が挙げられる。
薬品賦活活性炭の使用量としては仕込んだ分子中に炭素-炭素二重結合を有する化合物1(重量比)に対し、分散等の手法を用いる場合、0.005〜10が好ましく、さらに好ましくは0.01〜4、特に0.01〜0.4が好ましい。通液させる場合、同様に0.005〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜40、特に0.1〜30が好ましい。
過剰の活性炭は、4級アンモニウム塩だけでなく、エポキシ化合物が吸着され、エポキシ化合物の回収量が減ってしまうばかりか、生産性を考えた場合、廃棄物の量が必要以上に多くなり、環境負荷も多いことから問題である。また、使用量が少ない場合、4級アンモニウム塩が残存する、という問題が生じる。
本発明の硬化性樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂を必須成分として含有する。本発明の硬化性樹脂組成物においては、硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物A)と酸を硬化触媒とするカチオン硬化(硬化性樹脂組成物B)の二種の方法が適応できる。
硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物A)
本発明の硬化性樹脂組成物Aが含有する硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を酸性硬化触媒で硬化させる場合には、本発明の硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有させる。さらに、硬化性樹脂組成物Bは、必要に応じて、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤、無機充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、シランカップリング材、離型剤、各種熱硬化性樹脂等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよい。
硬化性樹脂組成物Bでは、カチオン重合が好ましく、光カチオン重合が特に好ましい。カチオンの触媒(以下、単に「光カチオン重合開始剤」という)としてはヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩が挙げられ、これらは単独または2種以上で使用することができる。該光カチオン重合開始剤の使用量は、全エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.01〜50重量部であり、より好ましくは、0.1〜10重量部である。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら水12部、12−タングストリン酸0.38部、燐酸0.56部、炭酸ナトリウムを加え、pHを5.0に調整した。更にトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.6部(ライオン・アクゾ製 トリオクチルメチルアンモニウムクロライドのイソプロピルアルコール溶液)を加え、タングステン酸系触媒を精製させた後、トルエン35部を加え溶解、2層系溶液とし、激しく室温で1時間攪拌をした。
ここで、式(1)
得られた有機層に薬品賦活活性炭A(日本エンバイロケミカル製 商品名:カルボラフィン)を4部加え、室温で30分撹拌し減圧濾過を行った。得られた溶液について水洗を水30部で3回行い、ロータリーエバポレータを用い、有機溶剤を留去することにより、目的とするエポキシ化合物(EP1)22部を得た。得られたエポキシ化合物は淡黄色であり、エポキシ当量は132g/eq.、粘度は235mPa・sであった。また残存する4級アンモニウム塩の量(ガスクロマトグラフィー)は980ppmであった。また得られたエポキシ化合物のはモノエポキシ体4%、ジエポキシ体95%、水付加体1%であり、GPCによる本体純度測定を行ったところ99%であることが分かった。
実施例1においてカルボラフィンの代わりに各種活性炭を使用した結果を示す。以下表1は活性炭の種類、および量を変化させ、残留4級アンモニウム塩の量を測定した結果である。また、表2は活性炭の対応表である。
Claims (2)
- 炭素-炭素二重結合を有する化合物を過酸化水素、4級アンモニウム塩及びヘテロポリ酸の存在下に酸化反応した後、原料が木質である薬品賦活活性炭にて反応混合物に残存する4級アンモニウム塩を除去することを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
- 薬品賦活活性炭が、燐酸、又は塩化亜鉛で薬品賦活されたものである請求項1記載の製造方法。
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