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JP5289591B1 - 音声ガイダンス機能搭載家電製品 - Google Patents

音声ガイダンス機能搭載家電製品 Download PDF

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JP5289591B1 JP2012008266A JP2012008266A JP5289591B1 JP 5289591 B1 JP5289591 B1 JP 5289591B1 JP 2012008266 A JP2012008266 A JP 2012008266A JP 2012008266 A JP2012008266 A JP 2012008266A JP 5289591 B1 JP5289591 B1 JP 5289591B1
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Abstract

【課題】高齢者に対しての複合的な生理反応評価を行なうことで高齢者に適した音響特性を見出し、その結果を反映させた高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品を提供する。
【解決手段】家電製品100は、高齢者からの操作があったときに高齢者用音声ガイダンス機能が実行され、高齢者用音声ガイダンス機能により再生される音声ガイダンスは、59〜65デシベルの範囲の音圧レベルと、1kHz以上〜8kHz又は16kHzまでの範囲の再生周波数帯域と、1秒間に5モーラを含めた5モーラ前後の話速と、が組み合わされて創生される。
【選択図】図1

Description

本発明は、音声ガイダンスを提供する音声ガイダンス機能搭載家電製品に関するものである。
従来から、生活者に対して音声ガイダンスを提供する音声ガイダンス機能搭載家電製品が種々開示されている。生活者が音声ガイダンスを聞き取りやすくするために、音圧レベル、音程、話速のうち、特に音圧レベルや音程と称した「再生速度」を個々に制御できる機能を持たせた家電製品例がある(たとえば、特許文献1参照)。なお、ここでいう個々に制御できるとは、音圧レベルを個別に制御したり、話速を個別に制御したり、するということである。
特開2010−266150号公報
特許文献1には音圧レベルや音程と称した「再生速度」を個々に制御できると記載されているが、特許文献1は、音声ガイダンスを再生するための周波数特性を変化させることができず、また音声ガイダンスを確実に放射できる特性を有したスピーカーなどの音声再生手段を有していなかった。よって、特許文献1に記載されているような技術をもって、音圧レベルや音程を変化させると、「音がこもる」や「音がわれる」などと表現される、音響特性の乱れが生じ、特に高齢者などは不快感を持ってしまうことが多くあった。
また、従来の音声ガイダンス機能搭載家電製品においては、生活者の生理反応結果に基づいて、音響特性の調整を自動で行うようにしたものはなく、音響特性の調整は生活者まかせがほとんどであった。つまり、音声ガイダンス機能搭載家電製品の開発者が独自の見識に基づいて、生活者が所定の範囲内で音響特性の調整を実行できるようにしているだけであった。従来の音声ガイダンス機能搭載家電製品においても、カスタマイズ機構を設け、生活者が音響特性を可変に調整することはできるが、音響特性の調整の幅は開発者の独自の見識に基づいて定められている所定の範囲でしかなく、音響特性の調整をするかしないかは生活者に委ねられているのが現状である。
特に、聴音能力、判断能力が劣る65歳以上の高齢者に対しても、個別操作を要求することになっているため、音響特性の調整機能が殆ど使われることはなかった。その結果、誤った製品の操作や、製品動作に対する警告を聞き逃すなど、高齢者への適切な製品の操作提供などを行うことができなかった。また、高齢者が使用する頻度の多い家電製品(たとえば、湯沸かし器、炊飯器など)においては、高齢者に適した音声ガイダンスを提供するようにしたものはなかった。
これまでに、簡易な操作(たとえば、ボタン一つの押し操作や、タッチパネルでの1つのタッチ操作等)で高齢者に対して適切な音声ガイダンスを提供するというアルゴリズムを提示できなかったのが根本的な問題としてある。上述したように、高齢者に対しても高度の製品操作を要求したり、操作ができたとしても製品開発者からの目線でしか音響特性の調整範囲が定められていなかったりしているため、高齢者が望む音響特性を容易に提供することができていなかったのである。
現在、家電業界においては、高齢者に対しての複合的な生理反応評価は行われておらず、よって、高齢者に適切な音声ガイダンスに必要な音圧レベル、音程、話速などの音響特性で仕上げた回路や、高齢者に適した音放射を行うスピーカー手段などを実装していないことが、高齢化社会の昨今では本質的な問題でもある。そこで、本発明者らは、高齢者に対しての複合的な生理反応評価を行ない、高齢者に適した音響特性を見出した。
本発明は、以上のような課題に対処するためになされたもので、高齢者に対しての複合的な生理反応評価を行なうことで高齢者に適した音響特性を見出し、その結果を反映させた音声ガイダンス機能搭載家電製品を提供することを目的としている。
本発明に係る音声ガイダンス機能搭載家電製品は、高齢者に対して音声ガイダンスを提供する音声ガイダンス機能搭載家電製品であって、音声ガイダンスを提供可能とするための操作部と、前記操作部が操作された場合に音声ガイダンス機能を実行する制御部と、前記音声ガイダンスを再生するためのスピーカーとを備え、前記音声ガイダンス機能により再生される前記音声ガイダンスは、予め高齢者に対して行なった生理反応評価に基づいて見出した音響特性に基づいて創生されるものであり、59〜65デシベルの範囲の音圧レベルと、1kHz以上〜8kHz又は16kHzまでの範囲の再生周波数帯域と、1秒間に5モーラを含めた5モーラ前後の話速と、が組み合わされて創生されるものである。
本発明に係る音声ガイダンス機能搭載家電製品によれば、使用者、特に高齢者が聞き取りやすい音声で、操作や警告などの情報などを的確に提示することができる。したがって、高齢者の使い勝手が飛躍的に向上する。
本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品の概要を説明するための概略フロー図である。 本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品の概要を詳しく説明するための概略フロー図である。 本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品において高齢者用音声ガイダンス機能を実行しない場合の概要を説明するための概略フロー図である。 本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品の一例を概略的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品に搭載する専用スピーカーの構造例を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品に搭載する理想的な専用スピーカーの特性を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品に搭載する専用スピーカーの再生周波数特性のイコライジング処理を説明するための説明図である。 年齢別での周波数帯域に対する聴感的レベルの変化を示したグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品の概要を説明するための概略フロー図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品の概要を詳しく説明するための概略フロー図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品において高齢者用音声ガイダンス機能を実行しない場合の概要を説明するための概略フロー図である。
図1〜図3に基づいて、実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品について詳細に説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、実施の形態1に係る高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品を、単に「家電製品100」と称する。
家電製品100は、若年者(30代以下)及び高齢者(65歳以上)の複数名の被験者に対して実施した被験者の主観的な生理評価結果によって見出した音響特性を元に構築した音声ガイダンス制御機能が搭載されている。家電製品100は、高齢者が操作するに際して、聞き取りやすい音声で、操作や警告などの音声ガイダンスを的確に提示するように、音声信号を再生するための音響特性の内容及び音響信号再生手段に特徴を有している。
この家電製品100は、特に高齢者向けに提供するものであり、家電製品100の任意の箇所に設けた専用の操作部(たとえば、UD(ユニバーサルデザイン)マークで提示されているようなボタンや、タッチパネルに表示されている操作スイッチ等、制御開始のトリガーにできるものであればなんでもよい)が操作された際に、高齢者向けの基本的な音響特性による音声ガイダンスを提供可能とするものである。この音声ガイダンス制御機能は、家電製品100に搭載されている制御装置(図4に示す制御回路部50)によって実行される。
ここで、高齢者とは、WHOでの定義と同様に65歳以上の者の総称とする。つまり、加齢に因る耳の衰えが始まっている年齢層を対象とするために、65歳以上の者を高齢者として総称した。また、家電製品100は、高齢者用音声ガイダンス機能が搭載されている家電製品であればどのようなものであってもよい。たとえば、炊飯器や卓上調理器具等のIH調理器、ファンヒーター、電子レンジ、洗濯機、DVDなどの録画再生機器、空気調和装置などが家電製品100として想定できる。
まず、家電製品100の基本的な作用について説明する。家電製品100は、高齢者に提供する音声ガイダンスに必要な基本的な音響特性を以下の(A)〜(C)の組み合せにより実現している。
(A)音圧レベル
家電製品100は、59〜65デシベルの範囲の音圧レベルで音声ガイダンスを創生する。この音圧レベルの範囲は、高齢者の耳に到達したときの音声ガイダンスの音圧レベルを示している。音圧レベルは、生活者とスピーカーとの距離、たとえば一般的な距離として想定されている30cm以上2m以内を想定して設定されている。つまり、家電製品100によっては生活者とスピーカーとの距離が変化するため、この距離を考慮した上で高齢者の耳に到達したときの音声ガイダンスの音圧レベルが59〜65デシベルの範囲となるように設定される。
(B)話速
家電製品100は、5モーラ/秒前後の話速で音声ガイダンスを創生する。
なお、モーラとは、音韻論上、一定の時間的長さをもった音の分節単位である。
「ねこ」(猫)は、「ネ」「コ」の2音節からなり、2モーラである。
「かっぱ」(河童)は、「カ」「ッ」「パ」の2音節からなり、3モーラである。
「チョコレート」は、「チョ」「コ」「レ」「ー」「ト」の4音節からなり、5モーラである。
(C)音質に関与する周波数
家電製品100は、再生する周波数帯域の上限値は、最低でも8kHz〜16kHzとして音声ガイダンスを創生する。
次に、家電製品100は、高齢者に提供する音声ガイダンスに必要な基本的な音響特性を実現した上で、創生した音声ガイダンスの応用提示を実現している。つまり、家電製品100は、創生した音声ガイダンスをアレンジして高齢者がより聞き取りやすいようにしてから再生することが可能になっている。
(1)上記(A)〜(C)の調整
提示する音声ガイダンスの内容によっては、(A)音圧レベル、(B)話速、(C)音質に関与する周波数のそれぞれを変化させる必要がある。特に、高齢者が操作する項目の種別によって、話速部分が聞き取りやすさに影響を与えることがある。そこで、家電製品100は、制御プログラム上で話速を5モーラ/秒を8モーラ/秒まで変化させることができるようになっている。たとえば、高齢者からのボタン操作があったときに、話速を変化できるようにしておくとよい。なお、話速の解除ボタンを設け、設定されているデフォルトの話速に戻すことをできるようにしておいてもよい。
(2)再生回数
家電製品100は、重要な操作内容に関する音声ガイダンス、緊急を要する音声ガイダンスについては、2回以上繰り返し再生できるようになっている。たとえば、重要な操作内容に関する音声ガイダンスとしては、家電製品100がIH調理器等の場合、加熱調理終了後に再生される「火力を下げてください」などが挙げられる。また、緊急を要する音声ガイダンスとしては、家電製品100がIH調理器等の場合、加熱調理中に再生される「鍋がとても熱くなっています」や、家電製品100が空気調和装置等の場合、運転が実行できないときに再生される「冷媒ガスが漏れてます」などが挙げられる。音声ガイダンスの種別に応じて再生回数を決定しておくとよい。
(3)警告の要素
家電製品100は、製品に何らかの問題が発生したときや、周囲環境要因による動作停止を促す場合などには、警告を促す単一又は複数を組み合せた周波数で創生した「警報音」を発信するとともに、警告内容を音声ガイダンスとして提示できるようになっている。「警報音」は、予め設定されている秒数(たとえば5秒)及び/又は回数(たとえば2回)で発信され、「音声ガイダンス」よりも高齢者に対して強く注意を喚起するものである。特に、周囲環境要因(たとえば地震など)の場合は、家電製品100に搭載されている振動検知手段が地震判定したとき、周囲環境の暗騒音以上の音圧レベルを放射する必要がある。そこで、家電製品100が工場などの商業地域に設置されることを想定して、80デシベル±10デシベル以上の音圧レベルで「警告音」を発信するようにする。
次に、家電製品100は、高齢者が聞き取りやすい音声ガイダンスを提示するために音提示手段である専用スピーカー30が設置されている。この専用スピーカー30は、家電製品にもともと設置されているスピーカーを利用してもよいし、高齢者用音声ガイダンス機能とともに後付けしてもよい。
(専用スピーカー30の構成)
人間の聴感的な感度は、1kHz前後の周波数が最も鋭く、1kHz以上は感度が悪いという特性を有する。しかしながら、1kHz以上の周波数は、もともとの音の放射エネルギーが小さいために(波長が短い)、感度が悪い。加えて、生活者の加齢に伴って音が聞こえにくくなっていくという特性を「耳」そのものの身体機能の変化として有しているので、1kHz以上の周波数の感度が悪いに相まってより聞こえにくいものとなっている。つまり、家電製品100としては、生活者の加齢に伴う聴覚の変化を考慮して、音声ガイダンスを提示する必要がある。
よって、家電製品100による音声ガイダンスを再生するための専用スピーカー30は、音声ガイダンスの再生周波数帯域の最低周波数を1kHz前後としている。これは、人間の聴覚的な感度に対応させたものである。この場合の各波長(一波長)の関係は、次のようになる。1kHz時:30cm、8kHz=4cm、12kHz=2.8cm。
一般的に音声を再生するスピーカー口径は、振動板を全面同一面駆動させるために、位相の打消しをさせないことから半波長の振動板口径に構成されている。よって、1kHz前後の音を再生するスピーカーとしての理想的なスピーカーの口径は15cm以上とすることが望ましい。しかしながら、専用スピーカー30を家電製品100に組み込むためには製品内部の空間が少ないことから、15cmの振動板口径を持つスピーカーユニットを搭載することは非常に困難である。そのために、高齢者に対して適正な音声ガイダンス提供を行う1kHz以上の周波数帯域を再生することが困難となってしまうことがある。
そこで、家電製品100への搭載時のスピーカーサイズは必要最大限の振動板口径を有するスピーカーユニットを選定する。そして、振動板口径によっては高齢者に必要な周波数再生が困難な周波数帯域に関しては、周波数毎に対する音圧レベルの感度補正を行うために、全帯域(例えば、1kHz〜8kHzの帯域を1/1以上の1/Nオクターブで制御)をイコライジング処理する機能を搭載することにより、再生周波数の補正を行って、音声ガイダンスを提供できるようにしている。この補正に関してはスピーカーユニットの背面側の空間が、搭載する製品の空間環境で起こりえる共鳴などに影響しないように、スピーカーユニットの背面を背後の空間と遮断するために密閉状態とする。
専用スピーカー30は、最小1kHz〜最大8kHz又は16kHzまでを再生可能とするものであり、低周波音を必要としないため、製品空間の共鳴によるスピーカー振動板が不要である。また、スピーカーユニットの背面空間を密閉状態としているので、共鳴などによる振動を防ぐことができ、こもり音対策になる。つまり、高齢者は低周波による内耳での不要な耳鳴り音が発生しやすいために、専用スピーカー30を低周波音の発生を抑えた構造としている。
ここで、家電製品100の具体的な作用について図1、図2に基づいて説明する。
家電製品100の高齢者用音声ガイダンス機能は、高齢者自身が専用の操作部を操作することから開始する(ステップS101)。高齢者が専用の操作部を操作すると、家電製品100に搭載されている制御装置は、高齢者用の音声処理に必要な音響信号処理段(ステップS102)、及び信号増幅段(ステップS103)を実行する。
ステップS102では、制御装置は、話速をデフォルト(たとえば5モーラ/秒)に設定する。なお、音声ガイダンスによる説明に必要な文字数に制限は設けない。
制御装置は、再生周波数帯域の上限を最低8kHz以上に又は16kHzまでに設定する。なお、再生周波数帯域は、家電製品100に応じたイコライジング機能(1/Nオクターブ)で調整可能になっている。
また、図2に示すステップS102のように、制御装置は、緊急/警告時の音声回数を最低2回に設定する。つまり、緊急/警告時の場合、高齢者の注意力を家電製品100に向ける必要があるため、制御装置は、音声ガイダンスの提示回数を最低2回に設定する。
ステップS103では、制御装置は、出力音圧レベルを59〜65デシベルの範囲で設定する。なお、音圧レベルの範囲は、上述したように、高齢者の耳に到達したときの音声ガイダンスの音圧レベルである。
また、図2に示すステップS103のように、制御装置は、緊急/警告時に出力する「警告音」の出力音圧レベルを最低80±10デシベルに設定する。つまり、緊急/警告時の場合、高齢者の注意力を家電製品100に向ける必要があるため、制御装置は、音声ガイダンスを提示する前に「警告音」を提示するように設定する。
それから、制御装置は、このようにして創生された音声ガイダンスを専用スピーカー30から高齢者に向けて提示する。専用スピーカー30は上述したように音声ガイダンスの再生周波数帯域の最低周波数を1kHz以上としているため、専用スピーカー30から提示された音声ガイダンスは高齢者にもよく聞き取ることができる。なお、高齢者に必要な周波数再生が困難な周波数帯域に関しては、全帯域をイコライジング処理することで、再生周波数の補正を行えばよい。
専用の操作部が操作されない場合の家電製品100の作用について図3に基づいて説明する。
専用の操作部が操作されない場合、家電製品100の高齢者用音声ガイダンス機能は開始されない。このとき、家電製品100に搭載されている制御装置は、通常設定されている音声処理に必要な音響信号制御段(ステップS202)、及び信号増幅段(ステップS203)を実行する。
ステップS202では、制御装置は、話速を特別に設定しない。家電製品100の設計者が説明を聞き取れると判断して設定されている話速が自由選択される。
制御装置は、再生周波数帯域を8kHz以上、12kHzまでの範囲で再生周波数帯域を設定する。若年者は耳の感度が衰えていないが、音声の明瞭度を保つために再生周波数帯域は高齢者用音声ガイダンス機能と同程度とする。
ステップS203では、制御装置は、出力音圧レベルを45〜60デシベル、好ましくは46〜55デシベルの範囲で設定する。若年者は耳の感度が衰えていないため、高齢者用音声ガイダンス機能よりも低い音圧レベルで音声ガイダンスを再生可能とする。
それから、制御装置は、このようにして創生された音声ガイダンスを家電製品に初期設置されているスピーカーや、専用スピーカー30から提示する。
図4は、家電製品100の一例を概略的に示す斜視図である。図4では、家電製品100がIH調理器である場合を例に示している。家電製品100は、正面に専用の操作部10が設置されている。また、家電製品100は、正面に専用スピーカー30が設置されている。さらに、家電製品100は、内部に制御回路部50が設置されている。
専用の操作部10は、高齢者用音声ガイダンス機能を開始するために操作されるものである。この専用の操作部10は、上述したようにたとえば、UD(ユニバーサルデザイン)マークで提示されているようなボタンや、タッチパネルに表示されている操作スイッチ等、高齢者用音声ガイダンス機能を開始するためのトリガーにできるものであればなんでもよい。
専用スピーカー30は、高齢者用音声ガイダンス機能により創生された音声ガイダンスを高齢者に向けて再生するものである。この専用スピーカー30は、家電製品100に応じてスピーカー口径が調整され、家電製品100に設置される。
制御回路部50は、図1〜図3で示した制御装置に相当するものであり、高齢者用音声ガイダンス機能を実行するものである。この制御回路部50は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。なお、制御回路部50は、高齢者用音声ガイダンス機能の他に、家電製品100の全体を統括制御する。なお、家電製品100の全体を統括制御する制御装置とは、別に制御回路部50を設置してもよい。
このような形態で家電製品100を構成することができる。なお、図4では、家電製品100がIH調理器である場合を例に示したが、家電製品100がファンヒーター、電子レンジ、洗濯機、DVDなどの録画再生機器、空気調和装置などであってもよいことは上述した通りである。
図5は、家電製品100に搭載する専用スピーカー30の構造例を示す概略図である。図6は、家電製品100に搭載する理想的な専用スピーカー30の特性を説明するための説明図である。図7は、家電製品100に搭載する専用スピーカー30の再生周波数特性のイコライジング処理を説明するための説明図である。図5〜図7に基づいて、専用スピーカー30について詳しく説明する。
専用スピーカー30は、磁気回路31、振動板32、フレーム33で基本的なユニットが構成される。磁気回路31は、ヨーク31a、センターポール31b、マグネット31c、プレート31d、ボイスコイル31e、及び、ボイスコイルボビン31fを少なくとも含んで構成されている。なお、ボイスコイルボビン31fの先端側には接着層35が設けられ、接着層35を介してボイスコイルボビン31fと振動板32とが接続している。
ヨーク31aは、磁気回路31の基台を構成する板状部材である。センターポール31bは、ヨーク31aの中心部に成型された円柱状部材である。マグネット31cは、センターポール31bの外周側に所定の間隙を介して固着されている。つまり、ヨーク31aは、センターポール31b及びマグネット31cを固定するようになっている。なお、ヨーク31aの形状を特に限定するものではないが、たとえば円板形状の板部材等を用いるとよい。また、マグネット31cには、たとえばネオジウムやサマリウムコバルト、フェライト、アルニコ等を使用している。
プレート31dは、マグネット31cの上面に固着されている板状部材である。ボイスコイル31eは、振動板32を駆動させるための信号を入力するものである。ボイスコイルボビン31fは、略円筒形状の部材であり、外周面にボイスコイル31eが巻きつけられるものである。ボイスコイル31eの巻幅(ボイスコイル31eのボイスコイルボビン31fの当接面積)は、限りなくボイスコイルボビン31fの外周面を覆う面積を有している。ボイスコイルボビン31fは、センターポール31bに装着され、ボイスコイル31eに印加する入力信号形態及び入力電圧により、マグネット31cとの間で電磁駆動を行い、ボイスコイルボビン31fの全体が振動する。
振動板32は、ボイスコイルボビン31fの端面(センターポール31bとの装着面とは反対側の端面)に接着層35を介して装着されるものである。振動板32は、平板型でも、一般的なスピーカーであるコーン型やドーム型でもよい。接着層35は、振動板32をボイスコイルボビン31fの定位置に固着させるための粘性を有するものである。フレーム33は、平面視した際に、略ドーナツ形状をしている部材である。このフレーム33は、振動板32の外縁上端と、プレート31dの上端の一部と、を接続するものである。
図5に図示しているように、振動板32とフレーム33との間には背面空気層が存在する。一般的なスピーカーユニットでは、フレームに任意寸法の開口を設けるのが通常である。それは、スピーカーを設置する筐体(ここでは家電製品の内部)の内部空間と、振動板の後面の背後空気層と、がフレームに設けた開口により同一空間に有ることで、振動板の背面空間が大きくなり、振動板が比較的自由に動くようになり、その結果、低周波数が再生しやすくなるという利点を活用するようにしているからである。その反面、音響的な位相反転問題もあり、再生される音が聞き取りにくいという問題点もある。
特にスピーカーからの再生が音声だけの場合は、音楽と比較すると音声の周波数は比較的狭い範囲となるので、位相変化による音の変化が他の周波数帯域にマスキングされず、そのまま聞こえてしまう。そうすると、結果的に乱れた音質環境を提供してしまうことがある。この対策として、専用スピーカー30では、スピーカーユニットのフレーム33に開口を持たせることなく、ユニットを構成することで、振動板32と振動板32の裏側の背後空気層だけで音声を再現するようにしている。したがって、他の空間からの位相の影響を受けないために、振動板32で再生する音(音声ガイダンス)だけを確実に再生することができる。
図6には、再生帯域別でのスピーカー特性を比較できるように2つのスピーカー特性を示している。スピーカー特性Aが1kHz〜8kHzまでの範囲で音声を再生するときの周波数特性を表している。スピーカー特性Bが1kHz〜12kHzまでの範囲で音声を再生するときの周波数特性を表している。
図6に示す基本音圧とは、再生する音声ガイダンスを的確に高齢者に提示するための特性変化(ピークディップ)の平均を示すものである。また、専用スピーカー30は、的確に音声ガイダンスを提供するために、ピークディップの乱れを±3デシベル以内に抑えることで、高齢者に聞き取りやすい音質感のガイダンスを提供することができることとしている。つまり、以下の図7に示すようにイコライジング処理を施すことで、更に音質に優れた再生音をより確実に提供することができる。
図7には、専用スピーカー30の再生周波数特性をイコライジングして、高齢者がより聞き取りやすい音質に修正した場合の例を示している。なお、図7では、図6に示したスピーカー特性Aのイコライジングについて図示している。また、破線がスピーカー特性NG(高齢者が聞き取りにくいとされるスピーカー特性)の場合を、実線がスピーカー特性OK(高齢者が聞き取りやすいとされるスピーカー特性)の場合を、それぞれ示している。
図7に示すように、専用スピーカー30は、周波数をたとえば1kHz単位で分割して、その帯域内の音圧レベルを±3デシベル内の基準音圧内に近づけるようにイコライジング操作を実行できる。こうすることによって、高齢者は元より、若年者に対しても音質劣化のない、音声ガイダンスを提供することが可能となる。なお、分割する周波数帯域は1kHz単位以外の帯域でもよい。
図8は、年齢別での周波数帯域に対する聴感的レベルの変化を示したグラフである。図8から、高齢化に伴い、高周波帯域が聞こえにくくなることがわかる。そこで、家電製品100は、主観的な生理評価結果によって見出した音響特性を基に調整可能に設定した(A)音圧レベル、(B)話速、(C)音質に関与する周波数によって創生された音声ガイダンス、つまり高齢者であっても聞き取りやすい音声ガイダンスを再生することができる。また、家電製品100は、(A)〜(C)の調整ができ、音声ガイダンスの再生回数を変更でき、音声ガイダンスに加えて警告音を発することができ、イコライジング処理が可能な専用スピーカー30が搭載されているので、高齢者であってもより聞き取りやすい音声ガイダンスを再生することができる。
以上のように、家電製品100によれば、高齢者が家電製品100を初めて使う場合でも、確実な製品操作を行うことができ、製品そのものに問題が発生したときや、重要な操作案件や注意喚起を音声で提示するときにおいても、確実に高齢者に情報提供することができる。そのため、家電製品100は、高齢者が迷うことなく、複雑な操作を要することなく、複雑な機械的な構成を要することなく、家電製品100の調整等の操作を容易に実行することができる。
10 操作部、30 専用スピーカー(スピーカー)、31 磁気回路、31a ヨーク、31b センターポール、31c マグネット、31d プレート、31e ボイスコイル、31f ボイスコイルボビン、32 振動板、33 フレーム、35 接着層、50 制御回路部(制御部)、100 高齢者用音声ガイダンス機能搭載家電製品。

Claims (8)

  1. 高齢者に対して音声ガイダンスを提供する音声ガイダンス機能搭載家電製品であって、
    音声ガイダンスを提供可能とするための操作部と、
    前記操作部が操作された場合に音声ガイダンス機能を実行する制御部と、
    前記音声ガイダンスを再生するためのスピーカーとを備え、
    前記音声ガイダンス機能により再生される前記音声ガイダンスは、
    予め高齢者に対して行なった生理反応評価に基づいて見出した音響特性に基づいて創生されるものであり、
    59〜65デシベルの範囲の音圧レベルと、
    1kHz以上〜8kHz又は16kHzまでの範囲の再生周波数帯域と、
    1秒間に5モーラを含めた5モーラ前後の話速と、
    が組み合わされて創生される
    ことを特徴とする音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  2. 前記音声ガイダンスは、
    その種別に応じて再生回数が決定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  3. 前記音声ガイダンスの再生回数は、
    その重要性又は緊急性に基づいて決定されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  4. 前記音声ガイダンスは、
    その種別に応じて前記話速を1秒間に8モーラとして再生される
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  5. 使用者の注意喚起のための警報音を、前記音声ガイダンスとは別に発信する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  6. 前記警報音は、
    単一又は複数の周波数の組み合せ、かつ、80デシベル±10デシベル以上の音圧レベルで創生されており、
    前記音声ガイダンスの再生前に発信される
    ことを特徴とする請求項5に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  7. 前記スピーカーの周波数特性のピークディップの乱れを±3デシベル以内としている
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
  8. 前記スピーカーの一部を構成している振動板の背面空気層を密閉空間としている
    ことを特徴とする請求項7に記載の音声ガイダンス機能搭載家電製品。
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