JP5279279B2 - 熱交換器のフィン材用ブレージングシート並びに熱交換器及びその製造方法 - Google Patents
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また、フィレット(ろう付け部)においても、凝固したろう材には、針状Siと共晶α相の共晶組織、及びアルミニウムにSiが固溶した初晶α相が存在する。ろう付け加熱後の初晶α相はSiが欠乏しており、針状Siと共晶α相とでは強度が異なるため、表面が粗くなったりするため、疲労破壊の起点となる。そのため、Al−Si系ろう材がクラッドされたフィン用ブレージングシートには、該針状Siが、疲労強度の低下の一因となるという問題があった。
該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、
該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材中のSr含有量が0.005〜0.6質量%であり、且つ、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該芯材中のSr含有量Cx(質量%)、該ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、該ろう材の厚さDx(μm)が、下記式(1):
Cx+0.025×Rx×Dx≧0.005 (1)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器のフィン材用ブレージングシートを提供するものである。
該フィン材が、芯材の両面にろう材がクラッドされた熱交換器のフィン材用ブレージングシートであり、該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、該芯材中のSr含有量が0.005〜0.6質量%であり、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該フィン材のフィン高さが5〜20mm、フィンピッチが1〜5mmであり、
該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が20g/m2以下であり、
該フィン材の芯材中のSr含有量Cy(質量%)、該フィン材のろう材中のSr含有量Ry(質量%)、該フィン材のろう材の厚さDy(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が、下記式(2):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.001×F+0.005 (2)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器を提供するものである。
該フィン材が、芯材の両面にろう材がクラッドされた熱交換器のフィン材用ブレージングシートであり、該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、該芯材中のSr含有量が0.005〜0.6質量%であり、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該フィン材のフィン高さが5〜20mm、フィンピッチが1〜5mmであり、
該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が20g/m2以下であり、
該フィン材の芯材中のSr含有量Cy(質量%)、該フィン材のろう材中のSr含有量Ry(質量%)、該フィン材のろう材の厚さDy(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が、下記式(2):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.001×F+0.005 (2)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器の製造方法を提供するものである。
該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、
該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、且つ、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該芯材中のSr含有量Cx(質量%)、該ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、該ろう材の厚さDx(μm)が、下記式(1):
Cx+0.025×Rx×Dx≧0.005 (1)
を満たす、
熱交換器のフィン材用ブレージングシートである。
(4)芯材の両面にろう材がクラッドされており、且つ、2つのろう材の組成が同じもの、
(5)芯材の両面にろう材がクラッドされており、且つ、2つのろう材の組成が異なるもの、
が挙げられる。
なお、以下では、上記(4)の場合、芯材を「芯材4A」と、該芯材4Aの一方の面にクラッドされているろう材を「ろう材4B」と、該芯材4Aの他方の面にクラッドされているろう材を「ろう材4C」とも記載する。また、上記(5)の場合、芯材を「芯材5A」と、該芯材5Aの一方の面にクラッドされているろう材を「ろう材5B」と、該芯材5Aの他方の面にクラッドされているろう材を「ろう材5C」とも記載する。
Cx+0.025×Rx×Dx≧0.005 (1)
を満たし、好ましくは、下記式(1a):
Cx+0.025×Rx×Dx≧0.01 (1a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(1b):
Cx+0.025×Rx×Dx≧0.03 (1b)
を満たす。該芯材中のSr含有量Cx、該ろう材中のSrの含有量Rx及び該ろう材の厚さDxが、上記式(1)を満たすことにより、ろう付け加熱後のフィン材の一般部の表面に残存したろう材の凝固組織中のSiが微細化される。一方、該芯材中のSr含有量Cx、該ろう材中のSrの含有量Rx及び該ろう材の厚さDxが、上記式(1)を満たさない場合は、ろう付け加熱後のフィン材の一般部の表面に残存したろう材の凝固組織中のSiが微細化されない。
なお、フィン材用ブレージングシートの片面のろう材毎に、上記式(1)、(1a)及び(1b)を満たすか否かを判断する。
よって、上記(4)の場合、該芯材4AのSr含有量をCx(質量%)、該ろう材4B及び該ろう材4CのSr含有量をRx(質量%)、該ろう材4Bの厚さをD41(μm)、該ろう材4Cの厚さをD42(μm)とすると、「Cx+0.025×Rx×D41≧0.005」且つ「Cx+0.025×Rx×D42≧0.005」を満たし、好ましくは「Cx+0.025×Rx×D41≧0.01」且つ「Cx+0.025×Rx×D42≧0.01」を満たし、特に好ましくは「Cx+0.025×Rx×D41≧0.03」且つ「Cx+0.025×Rx×D42≧0.03」を満たす。
また、上記(5)の場合、該芯材5AのSr含有量をCx(質量%)、該ろう材5BのSr含有量をR51(質量%)、該ろう材5CのSr含有量をR52(質量%)、該ろう材5Bの厚さをD51(μm)、該ろう材5Cの厚さをD52(μm)とすると、「Cx+0.025×R51×D51≧0.005」且つ「Cx+0.025×R52×D52≧0.005」を満たし、好ましくは「Cx+0.025×R51×D51≧0.01」且つ「Cx+0.025×R52×D52≧0.01」を満たし、特に好ましくは「Cx+0.025×R51×D51≧0.03」且つ「Cx+0.025×R52×D52≧0.03」を満たす。
そして、本発明のフィン材用ブレージングシートでは、ろう付け加熱後のフィン材の一般部の表面に残存したろう材の凝固組織中のSiが微細化される結果、本発明のフィン材用ブレージングシートが用いられている熱交換器は、フィン材の一般部の耐食性が高くなり、強度のばらつきが少なくなる。
該フィン材が、芯材の両面にろう材がクラッドされた熱交換器のフィン材用ブレージングシートであり、該芯材及び該ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該フィン材のフィン高さが5〜20mm、フィンピッチが1〜5mmであり、
該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が20g/m2以下であり、
該フィン材の芯材中のSr含有量Cy(質量%)、該フィン材のろう材中のSr含有量Ry(質量%)、該フィン材のろう材の厚さDy(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が、下記式(2):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.001×F+0.005 (2)
を満たす、
熱交換器である。
本発明の熱交換器に係るフィン材用ブレージングシートの形態例としては、
(7)芯材の両面にろう材がクラッドされており、且つ、2つのろう材の組成が同じもの、
(8)芯材の両面にろう材がクラッドされており、且つ、2つのろう材の組成が異なるもの、
が挙げられる。
なお、以下では、上記(7)の場合、芯材を「芯材7A」と、該芯材7Aの一方の面にクラッドされているろう材を「ろう材7B」と、該芯材7Aの他方の面にクラッドされているろう材を「ろう材7C」とも記載する。また、上記(8)の場合、芯材を「芯材8A」と、該芯材8Aの一方の面にクラッドされているろう材を「ろう材8B」と、該芯材8Aの他方の面にクラッドされているろう材を「ろう材8C」とも記載する。
本発明の熱交換器に係るフィン材用ブレージングシートとしては、前記本発明のフィン材用ブレージングシートが好ましい。
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.001×F+0.005 (2)
を満たし、好ましくは、下記式(2a):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.002×F+0.005 (2a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(2b):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.005×F+0.005 (2b)
を満たす。該ろう付け工程では、上記式(2)、(2a)、又は(2b)を満たすことにより、ろう付け後のフィレットのろう材の凝固組織中のSiを微細化できるので、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
また、ろう材については、フィン材用ブレージングシートの両面のろう材の合計量で、上記式(2)、(2a)及び(2b)を満たすか否かを判断する。
よって、上記(7)の場合、該芯材7AのSr含有量をCy(質量%)、該ろう材7B及び該ろう材7CのSr含有量をRy(質量%)、該ろう材7Bの厚さをD71(μm)、該ろう材7Cの厚さをD72(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量をF(g/m2)とすると、「Cy+(0.025×Ry×D71+0.025×Ry×D72)≧0.001×F+0.005」を満たし、好ましくは「Cy+(0.025×Ry×D71+0.025×Ry×D72)≧0.002×F+0.005」を満たし、特に好ましくは「Cy+(0.025×Ry×D71+0.025×Ry×D72)≧0.005×F+0.005」を満たす。
また、上記(8)の場合、該芯材8AのSr含有量をCy(質量%)、該ろう材8BのSr含有量をR81(質量%)、該ろう材8CのSr含有量をR82(質量%)、該ろう材8Bの厚さをD81(μm)、該ろう材8Cの厚さをD82(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量をF(g/m2)とすると、「Cy+(0.025×R81×D81+0.025×R82×D82)≧0.001×F+0.005」を満たし、好ましくは「Cy+(0.025×R81×D81+0.025×R82×D82)≧0.002×F+0.005」を満たし、特に好ましくは「Cy+(0.025×R81×D81+0.025×R82×D82)≧0.005×F+0.005」を満たす。
(熱交換器用ブレージングシート材の製造)
連続鋳造によって表1及び表2に示す組成の芯材用アルミニウム合金鋳塊及びろう材用アルミニウム合金鋳塊を鋳造し、常法に従って均質化処理した。該ろう材用アルミニウム合金鋳塊については、更に、熱間圧延した。次いで、該芯材用アルミニウム合金鋳塊及びろう材用アルミニウム合金鋳塊を、表3に示す組み合わせで、芯材の両面にろう材をそれぞれ10%のクラッド率で重ね合わせた後、熱間クラッド圧延、次いで、冷間圧延を行い、最終焼鈍を経て、厚さ0.07〜0.10mmのブレージングシート(H14材調質)を製造した。
ろう付け加熱後のフィン材の一般部に残存したろう材の凝固組織の断面、及びチューブ材に流動したフィレットのろう材の凝固組織の断面を、光学顕微鏡で観察し、ろう材の凝固組織が、図1〜図3のSiの大きさが異なる3段階の写真のうちのどのレベルに相当するかを判断した。図1では、ろう材の凝固組織中のSiは微細な粒状である。図2では、ろう材の凝固組織中のSiは図1に比べ粒径が大きいものの粒状である。図3では、ろう材の凝固組織中のSiは針状である。そして、図1のろう材の凝固組織レベルの場合を良(◎)、図2のろう材の凝固組織レベルの場合を可(○)、図3のろう材の凝固組織レベルの場合を不可(×)とした。
軽金属溶接構造協会規格のLWS T8801に準拠して、サグ特性によりフィン材の高温座屈性を評価した。試験では、幅22mm、長さ50mmで突き出した試験片をろう付け加熱した後の、垂下長さが、40mm以内の場合を耐高温座屈性が良(○)、40mmを超える場合を耐高温座屈性が不良(×)とした。
先に述べた該ミニコアにて、チューブ材とフィン材との接合部に形成されたフィレットでろうの流動性を評価した。試験では、ろう付け前の材料を樹脂に埋め込み、断面ミクロ組織を観察し、ろう付け前のろう材の面積を測定し、また、別の試料でろう付けした後の材料を同様に樹脂に埋め込み、断面ミクロ組織を観察し、ろう付け後のフィレットの面積を測定した。ろうが流れた割合が、10%以上の場合をろうの流動性が良(○)、10%未満の場合をろうの流動性が不良(×)とした。
ASTMのSWAAT試験に準拠してフィン材の耐食性を評価した。平板をSWAAT試験機に挿入した。SWAAT4日にて、腐食試験前後の重量減少量を測定した。重量減少量が50%以内の試料を良(○)、50%を超える試料を不良(×)とした。
11 チューブ材
12 フィン材の一般部
14 フィレット
15 コルゲートの頂点
16 フィン高さ
17 フィンピッチ
Claims (8)
- 芯材の両面にろう材がクラッドされた熱交換器のフィン材用ブレージングシートであって、
該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、
該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材中のSr含有量が0.005〜0.6質量%であり、且つ、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該芯材中のSr含有量Cx(質量%)、該ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、該ろう材の厚さDx(μm)が、下記式(1):
Cx+0.025×Rx×Dx≧0.005 (1)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器のフィン材用ブレージングシート。 - 前記ろう材中のSr含有量が、0.005〜0.6質量%であること、
を特徴とする請求項1記載の熱交換器のフィン材用ブレージングシート。 - 前記芯材が、更に、0.3質量%以下のCu、0.05〜0.3質量%のZr、0.05〜0.3質量%のTi、0.8質量%以下のFe、及び0.5質量%以下のNiのうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の熱交換器のフィン材用ブレージングシート。
- 前記ろう材が、更に、1.4質量%以下のMnを含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の熱交換器のフィン材用ブレージングシート。
- チューブ材にフッ化物フラックスを塗布し、該チューブ材とフィン材とを組み付け、あるいは、フッ化物フラックスからなるフラックスプレコート層がプレコートされたチューブ材と、フィン材とを組み付け、次いで、加熱して、該チューブ材と該フィン材とをろう付けするろう付け工程を行い得られる接合体を有する熱交換器であって、
該フィン材が、芯材の両面にろう材がクラッドされた熱交換器のフィン材用ブレージングシートであり、該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、該芯材中のSr含有量が0.005〜0.6質量%であり、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該フィン材のフィン高さが5〜20mm、フィンピッチが1〜5mmであり、
該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が20g/m2以下であり、
該フィン材の芯材中のSr含有量Cy(質量%)、該フィン材のろう材中のSr含有量Ry(質量%)、該フィン材のろう材の厚さDy(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が、下記式(2):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.001×F+0.005 (2)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器。 - 前記フィン材が、請求項1〜4いずれか1項記載の熱交換器のフィン材用ブレージングシートであることを特徴とする請求項5記載の熱交換器。
- チューブ材にフッ化物フラックスを塗布し、該チューブ材とフィン材とを組み付け、あるいは、フッ化物フラックスからなるフラックスプレコート層がプレコートされたチューブ材と、フィン材とを組み付け、次いで、加熱して、該チューブ材と該フィン材とをろう付けするろう付け工程を有する熱交換器の製造方法であって、
該フィン材が、芯材の両面にろう材がクラッドされた熱交換器のフィン材用ブレージングシートであり、該芯材がMnを0.6〜2.0質量%、Siを0〜1.3質量%、Znを0〜6.0質量%含有するアルミニウム合金であり、該ろう材がSiを5〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、該芯材中のSr含有量が0.005〜0.6質量%であり、該ろう材中のSr含有量が0.6質量以下であり、
該フィン材のフィン高さが5〜20mm、フィンピッチが1〜5mmであり、
該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が20g/m2以下であり、
該フィン材の芯材中のSr含有量Cy(質量%)、該フィン材のろう材中のSr含有量Ry(質量%)、該フィン材のろう材の厚さDy(μm)、該フッ化物フラックスの塗布量F(g/m2)が、下記式(2):
Cy+0.025×Ry×Dy≧0.001×F+0.005 (2)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器の製造方法。 - 前記フィン材が、請求項1〜4いずれか1項記載の熱交換器のフィン材用ブレージングシートであることを特徴とする請求項7記載の熱交換器の製造方法。
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