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JP5260478B2 - インクジェット用カード用紙 - Google Patents

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JP5260478B2
JP5260478B2 JP2009259128A JP2009259128A JP5260478B2 JP 5260478 B2 JP5260478 B2 JP 5260478B2 JP 2009259128 A JP2009259128 A JP 2009259128A JP 2009259128 A JP2009259128 A JP 2009259128A JP 5260478 B2 JP5260478 B2 JP 5260478B2
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Description

本発明は、紙製のトランプカード、ブロマイド、カード型写真集に匹敵する商品であるコレクション用途やゲーム用途のトレーディングカードなどを含めたカード用紙であり、インクジェット印字適性を有するカード用紙に関する。
カード用紙については、大別して、プラスチック製と紙製があるが、製造コスト、使用後の廃棄処理容易性などの点において、紙製の方が優れている。
紙製カード用紙の製造方法としては、従来、原紙抄造、片面塗工、片面塗工した非塗工面同士を着色した接着剤を用いてラミネーターにて貼合、その後、断裁、オフセット印刷、エンボス加工、ニス引きなどの後加工が行われている。
カードの用途には多岐に渡った種々のものが存在するが、娯楽用途では、例えばトランプ用がある。トランプ用カードでは、玩具用、競技用を問わず、例えば、ばばぬき、ポーカー、神経衰弱などのゲームで必要とされる印字や印刷のショースルーが無い高い不透明性、例えば、トランプゲームにおけるデリバリー又はスピードなどゲームで必要とされる適正な剛度及び反発力が要求される。折れ曲がって復元しないようであると、それが目印になってしまい、ゲームに支障をきたすことさえある。トランプゲームに類似したものでは、カルタ、紙麻雀、花札などの各種カードゲームがある。
近年では、キャラクターや人物が印刷されているコレクションカード、トレーディングカードを用いた対戦型のゲームが流行し、更に、タロットカードによるカード占いなどもあり、その用途は実に幅広いものとなっており、オンデマンドのオリジナル画像を印刷したカードへの要求が高まっている。
カード用紙に求められる品質としては、次のような特性が挙げられる。
1.適正な剛度、反発力(感覚的に、反発係数と振動減衰比が高い)がある。
2.折り曲げ適性(縦、横共)がある。
3.不透明性が高い。
4.各種印刷適性がある。
5.紙グセ、カールが無いこと。
6.表面肌が良いこと。
7.夾雑物が無いこと。
厚さが0.3mm以下のカード用紙において、折れ皺の問題を解決するための技術が開示されている(例えば、特許文献1、2又は3を参照。)。特許文献1では、原紙の中層が熱水溶解性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂の繊維とパルプとを有し、前記樹脂の繊維がその少なくとも表面が溶融して、前記パルプ繊維同士を結合した状態で存在させることによって折れ皺の発生を少なくすることが提案されている。
特許文献2では多層抄き原紙の表層、裏層がコットンリンターパルプを配合した白色層からなり、中層が着色剤にて着色されたアンコ層からなり、中層パルプ原料の叩解度がカナダ標準濾水度で300ml未満であり、原紙の両面にスチレンブタジエン系ラテックスをベースとする顔料含有塗工液を片面当り10〜30g/m両面塗工し、キャレンダー処理を施すことによって折れ皺の発生を少なくする一貫生産方式が提案されている。
特許文献3では、織布独特の外観を失わず、十分な印字濃度及びインクジェット適性を発現するインクジェット記録シートが提案されている。
特開平09−158097号公報 特開2004−238748号公報 特開2001−39018号公報
従来の紙製カード用紙の製造方法は、工程数が多く、生産コストがかかるなどの問題があった。また、オフセット印刷を適用することを念頭に置いた製造方法であるため、大量生産、大量消費に適していた。一方、市場では、時代を反映した時事的なデザインを包括したカードへの要求が高まっているものの、従来のカードは、その多くが画一的なデザインであった。個人の趣向を凝らしたようなデザインを必要な場合に、必要なだけ作るといった概念に基づいた、パーソナルユースでオンデマンドタイプに適したカード製造方法は確立していなかったのが現状である。
インクジェット印刷は、刷版を使用しないため小ロット印刷に適している。最近では、インクジェットプリンターの高解像度化に伴い、高画質な印刷が可能となっており、市場の要求に応えられる印刷方式として注目されている。
インクジェット印刷の用紙の要求品質としては、次のような特性が挙げられる。
1.インクジェットインクの吸収性に優れること。
2.インクジェットインクの耐光性や耐水性に優れること。
3.インクジェット印字の濃度が高く、インクの色の再現性に優れること。
4.インクジェット印字面の塗工層強度が比較的強いこと。
特許文献1に記載されている技術は、カード原紙についての発明であり、インクジェット印刷に対応したカード用紙ではない。そして、工程数が多く、生産コストがかかるという問題がある。また、パーソナルユースや小ロット生産を念頭に置いた製造方法の記載が無く、オンデマンドタイプの製造とは異なる概念のものである。
特許文献2に記載されている技術は、コットンリンターパルプ(非木材パルプ)を含んだものであり、本発明のような木材パルプだけのものと比べて高価なものとなる。さらに、特許文献2の発明は、オフセット印刷を適用する製品であるため、印刷するのに大掛かりで、マスプロとなるため、ある程度の紙料原料や原紙量が必要となり、オンデマンドタイプの製造とは異なる概念のものである。
特許文献3に記載されている技術は、原紙が、インク受理層、織布、接着樹脂層、紙を積層し、原紙が黒色であることが特徴となっている。あくまでも、織布メディアであるが、非インクジェット面側である紙を黒色に着色することで、インクジェット印字濃度が向上する事実を報告している。これは非常に興味深いが、目的とする特性は印字適性だけであり、記録シートの物理的強度や特性についての特徴は必須項目ではない。これは、後述のインクジェット適性を有するカード用紙がインクジェット適性(ショースルーを含む)に加え、適正な剛度や層間強度が必要となってくるカード用紙とは異なるものである。いわば、印刷適性が重要視される洋紙と、それに加え後加工適性が必要となってくる板紙の差異に似ている。したがって、あくまでも、インクジェット印字適性を有するメディアとしての参考技術である。
本発明の課題は、原紙に不透明性、層間強度、剛度、反発力をもたせ、カードを折り曲げたときに発生する折れ皺が付きにくく、更にインクジェット印字適性が付与されたオンデマンド生産を意識した新規のカード用紙を提供することにある。
本発明者らは、カード用紙が、木材パルプを主体繊維とした多層抄きであり、中層に遮蔽層を設け、各層にサイズ剤を添加することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るインクジェット用カード用紙(第一の形態)は、原紙が、木材パルプを主体繊維とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に2層以上の中層とを有する多層抄き原紙であり、該原紙の各層間が、層間澱粉を含有し、前記表層及び前記裏層の表面が表面サイズプレス処理面であり、前記原紙の両面に1層以上のインク受容層を有し、かつ、厚さが0.3mm以下であるインクジェット用カード用紙であって、前記表層及び前記裏層が、填料を含有した白色層であり、かつ、前記中層のうち少なくとも1層以上が、着色剤を含有した遮蔽層であり、前記表層及び前記裏層が、紙力剤を内添によって含有し、かつ、前記中層が、ホフマン紙力剤を内添によって含有し、中層−中層の層間における前記層間澱粉の塗布量が、各層間あたり固形分換算で1g/m以上であり、前記表面サイズプレス処理におけるサイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m以上であり、前記インク受容層は、多孔質合成シリカ顔料、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルを含有し、かつ、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m以上であることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット用カード用紙(第二の形態)は、原紙が、木材パルプを主体繊維とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に中層とを有する3層抄き原紙であり、該原紙の各層間が、層間澱粉を含有し、前記表層及び前記裏層の表面が表面サイズプレス処理面であり、前記原紙の両面に1層以上のインク受容層を有し、かつ、厚さが0.3mm以下であるインクジェット用カード用紙であって、前記表層及び前記裏層が、填料を含有した白色層であり、かつ、前記中層が、着色剤を含有した遮蔽層であり、前記表層及び前記裏層が、紙力剤を内添によって含有し、かつ、前記中層が、ホフマン紙力剤を内添によって含有し、前記表面サイズプレス処理におけるサイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m以上であり、前記インク受容層は、多孔質合成シリカ顔料、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルを含有し、かつ、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m以上であることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット用カード用紙では、前記中層に、更に紙力剤を内添によって含有することが好ましい。層間強度・剛度(以下、剥離・剛度と記載することもある。)付与することができ、よりカードに適した用紙とすることができる。
本発明に係るインクジェット用カード用紙では、前記原紙が、6層抄きであり、前記表層及び裏層に内添された紙力剤は、各層のパルプ固形分に対して0.1質量%以上とし、前記中層に内添された紙力剤は、中層の各層のパルプ固形分に対して0.5質量%以上とし、かつ、ホフマン紙力剤は、中層の各層のパルプ固形分に対して0.1質量%以上であることが好ましい。剛度、反発力を付与することができ、よりカードに適した用紙とすることができる。
本発明に係るインクジェット用カード用紙では、前記遮蔽層が、前記中層のうち、より中央側の中層であることが好ましい。遮蔽層の色が白色層(表層及び裏層)に透けることを防止し、印刷をより鮮明にすることができる。
本発明に係るインクジェット用カード用紙では、前記層間澱粉は、澱粉を噴霧することによって、表層、中層及び裏層の各層間に付着させることが好ましい。非接触で澱粉を付着させることで、澱粉が紙層に含浸されにくく、嵩高く付着させることができる。結果として、カード用紙の剛度を上げることができる。
本発明に係るインクジェット用カード用紙では、前記インク受容層が、インク定着剤を含有していることが好ましい。インクジェット用カード用紙に付着したインクに発色性、耐水性を付与することができる。
本発明に係るインクジェット用カード用紙では、層間強度の指標としてJAPAN TAPPI No.18−1:2000 紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第1部:Z軸方向引っ張り試験法に従って測定した内部結合強さが627kN/m以上であり、かつ、剛度、反発力の指標としてJIS P 8125:2000 紙及び板紙−こわさ試験方法−テーバーこわさ試験機法に従って測定したこわさ(テーバー)が、縦目が7.5mN・m以上8.5mN・m以下、横目が4.7N・m以上5.7mN・m以下であり、かつ、室内光において、筆記画線のショースルーが確認できない形態を含む。
本発明は、原紙に不透明性、層間強度、剛度、反発力をもたせ、カードを折り曲げたときに発生する折れ皺が付きにくく、更にインクジェット印字適性が付与されたオンデマンド生産を意識した新規のカード用紙を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るインクジェット用カード用紙(第一の形態)は、原紙が、中層が2層以上の少なくとも4層以上の多層抄き原紙の場合である。すなわち、原紙が、木材パルプを主体繊維とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に2層以上の中層とを有する多層抄き原紙であり、該原紙の各層間が、層間澱粉を含有し、前記表層及び前記裏層の表面が表面サイズプレス処理面であり、前記原紙の両面に1層以上のインク受容層を有し、かつ、厚さが0.3mm以下であるインクジェット用カード用紙であって、前記表層及び前記裏層が、填料を含有した白色層であり、かつ、前記中層のうち少なくとも1層以上が、着色剤を含有した遮蔽層であり、前記表層及び前記裏層が、紙力剤を内添によって含有し、かつ、前記中層が、ホフマン紙力剤を内添によって含有し、中層−中層の層間における前記層間澱粉の塗布量が、各層間あたり固形分換算で1g/m以上であり、前記表面サイズプレス処理におけるサイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m以上であり、前記インク受容層は、多孔質合成シリカ顔料、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルを含有し、かつ、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m以上である。第一の形態は、例えば、中層を4層とした6層抄き原紙とすることができる。
第二の形態として、原紙が、中層が1層の3層抄き原紙の場合である。第二の形態は、第一の形態と構成をほぼ同一とするが、中層が1層であるため、中層は、着色剤を有した遮蔽層であり、かつ、ホフマン紙力剤を内添によって含有している。また、中層−中層の層間澱粉の塗布量についての規定は無い。
本実施形態に係るインクジェット用カード用紙では、JAPAN TAPPI No.18−1:2000に従って測定した内部結合強さが627kN/m以上であり、かつ、JIS P 8125:2000に従って測定したこわさ(テーバー)が、縦目が7.5mN・m以上8.5mN・m以下、横目が4.7N・m以上5.7mN・m以下であり、かつ、室内光において、筆記画線のショースルーが確認できない形態を含む。内部結合強さは、例えば、753kN/m以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るカード用紙の使用材料及び製造方法について次に説明する。
カード用紙の原紙に用いるパルプとしては、木材パルプ、例えばBKP(さらしクラフトパルプ)を使用することが好ましい。両面のインクジェット印刷に耐えうる強度を実現でき、かつ、印刷適性に優れた原紙とすることができる。NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)及びその混合物を各層に使用することが好ましい。特に紙の剛度とのバランスを考慮するとNBKPとLBKPの使用割合(質量比)が9:1〜1:9であるのが好ましい。より好ましくは、8:2〜2:8であり、特に好ましくは、6:4〜4:6である。また、中層で使用されるパルプは、木材パルプだけで構成してもよいが、回収パルプ(損紙)を含んでもよい。
各層のパルプ全体の叩解度は、本実施形態では、限定されるものではないが、紙力、白紙の肌、透気度、剛度などの諸特性を考慮して、カナダ標準ろ水度(JIS P 8121:1995 パルプのろ水度試験方法)でCFS500ml以下とすることが好ましい。好ましくは、CFS450ml以上500ml以下である。
原紙は、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、スーパーウルトラフォーマー抄紙機などの公知の抄紙機を用いて抄造することができ、抄紙機にて紙匹を形成した後に、乾燥して得ることができる。なお、本実施形態では、原紙の抄造方法に限定されるものではない。
表層及び裏層は、前記木材パルプに填料と紙力剤を添加して抄造する。原紙は、填料を含有することで白色層となり、鮮明な印刷画像を表現することができる。填料は、例えば、白土、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、非晶質シリカ、二酸化チタンである。本実施形態は、填料の種類に制限されるものではない。また、填料の添加量は、特に限定されるものではないが、各層のパルプ100質量部に対して、1.0〜4.0質量部であることが好ましい。より好ましくは2.0〜3.0質量部である。1.0質量部未満であると、不透明性、白色度が低下する場合がある。また、4.0質量部を超えると、原紙の強度が低下するばかりか、抄造ワイヤの磨耗が早くなるおそれがある。また、必要に応じて従来公知のバインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤などの各種薬品を添加してもよい。
表層及び裏層には、剥離・剛度対策として紙力剤を添加する。紙力剤は、例えば、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミドである。紙力剤の添加率は、薬品の種類によって異なるが、パルプに対して固形分で0.01〜1.00質量%の添加が好ましい。より好ましくは、0.10〜1.00質量%であり、特に好ましくは、0.20〜0.60質量%である。0.01質量%未満では、紙力が発現しない場合がある。また、1.00質量%を超えると、工程が汚れやすくなる場合があり、かつ、紙力剤の添加量対効果を考慮すると、不経済となる。
中層には、前記木材パルプにホフマン紙力剤を添加して抄造する。ホフマン紙力剤は、特に折れ割れ適性の付与を目的に添加する。ホフマン紙力剤は、例えば、ポリアクリルアミドカチオン変性物である。ホフマン紙力剤の添加率は、中層の各層のパルプ固形分に対して0.1〜1.0質量%の添加が好ましい。より好ましくは、0.2〜0.8質量%であり、特に好ましくは、0.2〜0.6質量%である。0.1質量%未満では、折れ割れ適性の付与ができない場合がある。また、1.0質量%を超えると、抄紙工程において、原紙と接触するガイドロールなどを汚してしまう場合がある。
中層は、ホフマン紙力剤の他に、紙力剤を添加することが好ましい。紙力剤は、剥離・剛度対策として添加する。紙力剤は、例えば、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミドである。紙力剤の添加率は、薬品の種類によって異なるが、中層の各層のパルプに対して固形分で0.01〜1.00質量%の添加が好ましい。より好ましくは、0.10〜1.00質量%であり、特に好ましくは、0.20〜0.60質量%である。0.01質量%未満では、紙力が発現しない場合がある。また、1.00質量%を超えると、工程が汚れやすくなる場合があり、かつ、紙力剤の添加量対効果を考慮すると、不経済となる。
第一の形態における少なくとも1層以上の中層、第二の形態における中層には、ホフマン紙力剤に加えて、着色剤を添加して抄造する。中層が、着色剤を含有した遮蔽層とすることで、カードを透かして見たときに印刷した裏面の絵柄が透けて見えるというショースルーが発生しないカード用紙とすることができる。中層が2層以上ある場合には、遮蔽層は、中層のうち、より中央側の中層であることが好ましい。例えば、中層が第2層、第3層、第4層、第5層の4層である場合には、第3層若しくは第4層又は第3層と第4層の両方を遮蔽層とする。このようにすることによって、遮蔽層の色が白色層(表層及び裏層)に透けることを防止し、カード表面の白色度を高め、印刷に適したカード用紙とすることができる。
着色剤の色は青、黒などが好ましいが、特にこれらの色に限定されるものではない。着色剤としては、セルロース繊維に対する親和性の強い直接染料、セルロース繊維に対する親和性が弱いが硫酸バンドで容易に定着する有色顔料が一般的に使用されるが、特に限定されない。
直接染料は、例えば、ポリアゾ系染料、チアゾールモノアゾ系染料、フタロシアニン系、ジオキサジン系などの有機顔料スルホン化系染料、塩基性基含有系染料(塩基性直接染料)が挙げられる。有色顔料は、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料などの有機顔料、酸化物系顔料、水酸化物系顔料などの無機顔料が挙げられる。着色剤の添加量は、室内光においてショースルーが発生しない範囲であれば、特に制限されない。特に、好ましくは、中層のパルプ100質量部に対して、0.5〜4.0質量部である。より好ましくは、1.0〜2.0質量部である。また、中層には、必要に応じて従来公知の填料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤などの各種薬品を添加してもよい。
直接染料、有色顔料のパルプへの添加方法はあらかじめ水中に分散させ、パルパー、ビーター、チェスト、種箱送りポンプサクションなどで添加し、紙料と十分に混合しなければならない。直接染料や有色顔料の定着には硫酸アルミニウムなどの定着剤を用いることが好ましい。
また、各層間に剥離・剛度対策として層間澱粉を塗布する。澱粉としては、糊化温度の低いタピオカ澱粉、アセチル化澱粉、尿素リン酸化澱粉などが好ましい。各層間に塗布する澱粉濃度は2質量%以上とすることが好ましい。また、中層が2層以上ある場合には、中層−中層の層間における澱粉塗布量は、固形分換算値で1.00g/m以上とする。より好ましくは、1.15g/m以上3.00g/m以下である。1.00g/m未満であると、層間の強度が出ず、層間剥離を容易に起こす。特に、インクジェット印字においては、両面印刷での端面めくれの原因ともなる。また、折れ割れ適性も低下してくる(折れ割れしやすくなる。)。
本実施形態に係るインクジェット用カード用紙では、前記層間澱粉は、澱粉を噴霧することによって、表層、中層及び裏層の各層間に付着させることが好ましい。非接触で澱粉を付着させることによって、澱粉が紙層に含浸されにくく、嵩高く付着させることができる。結果として、カード用紙の剛度を上げることができる。
表面サイズプレス処理用の紙力剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド樹脂などが使用される。なお、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、その他樹脂ポリマーなど表面サイズ剤も使用できる。この表面サイズ処理用の紙力剤をサイズプレスで両面に片面あたり固形分換算値で3.0〜5.0g/m、好ましくは4.0〜4.4g/mの範囲で塗布する。3.0g/m未満であると、剛度が低くなる上、折れ割れしやすくなるといった欠点が出てくる。さらに、一般的には、原紙側である程度のサイズが無いと、インクジェット印字での印字品位が損なわれることもある。また、5.0g/mを超えると、不経済であるばかりでなく、紙力が高くなりすぎることによって、折れ割れ性が悪くなる。さらに、水蒸気バリア性が高くなり、結果としてインクジェット印字適性に劣る場合がある。
インク受容層用塗工液は、顔料とバインダーとを主成分として含有する。顔料は、優れたインクジェット適性を得るために、多孔質合成シリカとする。ただし、インクジェットインクの吸収性に優れるものであれば、他の顔料も適宜使用が可能である。また、それらは単体、複合体、複数の組合せも適宜使用が可能である。他の顔料としては、例えば、合成非晶質アルミナ、軽質炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸ベリウム、ケイソウ土、尿素樹脂粉末、ポリスチレン粉末が挙げられる。
バインダーとしては、インクジェット印字適性と接着性能を考慮し、ポリビニルアルコールとエチレン酢酸ビニルとを組み合わせて使用する。ただし、インクジェットインクの吸収性に優れ、接着性能を有するものであれば、他のバインダーも適宜使用が可能である。また、それらは単体、複合体、複数の組合せも適宜使用が可能である。他のバインダーとしては、例えば、変性澱粉が挙げられる。バインダーの使用量は、適用する顔料やバインダー種によるが、対顔料固形分当り30〜60質量%が好ましく、より好ましくは40〜50質量%である。30質量%未満では塗工面の強度が弱くなる場合がある。また、60質量%を超えるとインクジェットインク吸収性に劣る場合がある。
インク受容層用塗工液には、分散剤と、必要に応じて消泡剤、染料、耐水化剤、流動性調整剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤、帯電防止剤などの各種助剤を適宜添加することができる。特に、多孔質合成シリカは、カチオンサイトを有していないために、良好なインク定着と発色性を付与させることを目的として、インク定着剤を用いることが好ましい。また、カチオンサイトを有するアルミナを適用した場合においても、インクジェットインクの定着性は比較的優れているが、インク定着剤を用いることで、インク定着と発色性がより確実なものとなる。
インク受容層は、インク受容層用塗工液を1段塗工によって設けてもよいし、2段塗工によって設けてもよく、3段以上としてもよい。特に、塗工量を多くする場合には、2段塗工が望ましいが、その場合にはコストダウンや各種機能性付与を目的に、1段目と2段目の塗工液の処方を異なるものとしてよい。また、塗工層の最表層をマット調、ダル調、セミグロス調、グロス調など、適宜調整可能であるが、インクジェット印字適性を有していることは必須である。特にグロス調にするには、微粒子無機顔料や吸水性樹脂を適用しても構わず、インク受容層の上にその光沢付与層を構成させても良いし、インク受容層と光沢付与層を兼備するような塗工液を原紙に塗設しても構わない。インク受容層用塗工液の乾燥塗工量は、インクジェット印字適性を考慮すると、片面あたり、15g/m以上とする。より好ましくは、15g/m以上20g/m以下であり、特に好ましくは、15g/m以上18g/m以下である。15g/m未満である場合には、印字適性が劣るばかりか、隠蔽性も低下する可能性がある。
インク受容層用塗工液の塗工方法は、本実施形態では限定されない。各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって多層抄き原紙の両面に塗工され、商用公知の任意の設備で乾燥される。
インク受容層の最表層をキャストコート法による光沢層としてもよい。キャストコート法は、ウェット法、凝固法、リウェット法などの公知の方法を選択できる。
かくしてインク受容層用塗工液が塗工された塗工紙は表面にキャレンダー処理を施してもよい。キャレンダー処理は、スーパーカレンダー、ラスタープレス、高温ソフトニップカレンダーなどの公知の工程によって加工することが可能であり、その他一般的な加工手段(カッター断裁、ギロチン断裁、打ち抜き加工、各種切削加工など)はいずれも適用できる。また、表面の微細加工として、エンボス加工を施すことも適宜適用可能である。そして、該塗工紙は、インクジェット印字された後に、任意の大きさ、形状に加工可能である。
カード用紙としては、坪量を270〜350g/m、厚さを0.27〜0.30mmとすることが適している。坪量は、好ましくは、280〜340g/mであり、より好ましくは、290〜330g/mである。また厚さは、好ましくは、0.28〜0.30mmであり、より好ましくは、0.29〜0.30mmである。
以下、本発明のカード用紙の具体的な構成を、実施例に基づいて説明する。本発明はこれら実施例に制限するものではない。なお、特に断らない限り、実施例及び比較例中の部及び%表示は質量部(固形分換算)又は質量%(固形分換算)を示す。また全ての実施例および比較例についてJIS P 8111:1998 紙、板紙及びパルプ−調湿及び試験のための標準状態に従って前処理を行った後、紙質試験を行った。
(実施例1)
(1)原紙抄造
原紙は、第1層(表層)と、第6層(裏層)と、第1層と第6層との間に第2〜第5層(中層)を設けた6層抄きとした。各層に用いる原料のパルプの配合質量割合は、次のとおりである。第1層(表層)及び第6層(裏層)は、LBKP/NBKP=90/10とし、第2層〜第5層(中層)は、LBKP/NBKP=100/0とした。前記原料の第1、第2層の叩解度をCSF440mlとし、第3、第4層の叩解度をCSF490mlとし、第5、第6層の叩解度をCSF450mlとし、第1、第6層に内添填料としてタルク(日本タルク社製:商品名タルクPU)を対パルプ5%、紙力増強剤(星光PMC社製:商品名DS4701、変性ポリアクリルアミド樹脂)を第1、第6層(表裏層)に対パルプ0.25%、第2、第3、第4、第5層(中層)に対パルプ0.6%、ホフマン紙力剤(星光PMC社製:商品名DH4162、ポリアクリルアミドカチオン変性物)を中層に対パルプ0.2%、硫酸バンドを第1、第6層(表裏層)に対パルプ0.5%、第2、第3、第4、第5層(中層)に対パルプ0.3%添加した。
また、第3、第4層(中層)の原料には水中に分散濃度50%として分散させた黒色染料(日本化学工業所製:商品名ダイレクトペーパーブラックDXL、アゾ系直接染料)を対パルプ2部添加した。
そして、各層間に澱粉(日本食品化工社製:商品名MS5300、酢酸エステル澱粉)を噴霧した。第1−第2、第5−第6層(表層−中層の層間、中層−裏層の層間)の噴霧濃度は2%、固形分噴霧量は0.42g/m、第2−第3、第3−第4、第4−第5層(中層−中層の層間)の噴霧濃度は5%、固形分噴霧量は1.15g/mとした。
(2)サイズプレス液の調製
サイズプレス液は、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製:商品名SK−20、19%濃度)5.5部と、紙力剤(星光PMC社製:商品名ST−5000、変性ポリアクリルアミド樹脂30%濃度)5.5部とを混合し、工業用水で調整し、固形分濃度を20%とした。
(3)サイズプレス処理
サイズプレスにおいて濃度11%のサイズプレス液を両面に片面あたり4.4g/m(固形分)になるように塗布し、第1、第6層(表裏層)坪量がそれぞれ58g/m、第2〜第5層(中層全層)の坪量が126g/mとなるように6層原紙を抄紙した。
(4)インク受容層用塗工液の調製
まず、顔料分散液を調整し、その後、顔料分散液にバインダーを添加することで、インク受容層用塗工液を調製した。顔料分散液は、合成シリカ(グレースデビソン社製:商品名 サイロイド74X5500)100部と、分散剤(東亜合成社製:商品名アロンT−50、40%濃度品)0.12部と、消泡剤(東邦化学工業社製:商品名プロナールC−205、原液)0.24部とを混合し、工業用水で調整し、分散濃度を20%とした。前記顔料分散液(20%濃度)100部に対し、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名ポバール PVA−117)20部と、エチレン酢酸ビニル(昭和高分子社製:商品名ポリゾールEVA AD−6)40部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(センカ社製:商品名パピオゲン P−105、ジメチルアミンアンモニアエポクロルヒドリン重縮合物)6部とを混合し、工業用水で固形分濃度を20%とし、インク受容層用塗工液を得た。
(5)インク受容層の形成
インク受容層用塗工液を、エアーナイフコーターにて片面当り乾燥塗工量15g/mで両面塗工を行った。前記塗工紙を、金属ロールと弾性ロールからなるカレンダー装置にてキャレンダー加工して平滑化処理し、紙厚0.273mm、坪量272g/mのカード用紙とした。
(実施例2)
(1)原紙抄造
原紙は、第1層(表層)と、第3層(裏層)と、第1層と第3層との間に第2層(中層)を設けた3層抄きとした。各層に用いる原料のパルプの配合割合は、次のとおりである。第1層(表層)及び第3層(裏層)は、LBKP/NBKP=90/10とし、第2層(中層)は、LBKP/NBKP100/0とした。前記原料の第1層の叩解度をCSF440mlとし、第2層の叩解度をCSF490mlとし、第3層の叩解度をCSF450mlとし、第1、第3層に内添填料としてタルク(日本タルク社製:商品名タルクPU)を対パルプ5%、紙力増強剤(星光PMC社製:商品名DS4701、変性ポリアクリルアミド樹脂)を第1、第3層(表裏層)に対パルプ0.25%、第2層(中層)に対パルプ0.6%、ホフマン紙力剤(星光PMC社製:商品名DH4162、ポリアクリルアミドカチオン変性物)を第2層(中層)に対パルプ0.2%、硫酸バンドを第1、第3層(表裏層)に対パルプ0.5%、第2層(中層)に対パルプ0.3%添加した。
また、第2層(中層)の原料には水中に分散濃度50%として分散させた黒色染料(日本化学工業所製:商品名ダイレクトペーパーブラックDXL、アゾ系直接染料)を対パルプ2部添加した。
そして、各層間に澱粉(日本食品化工社製:商品名MS5300、酢酸エステル澱粉)を噴霧した。各層間の噴霧濃度は2%、固形分噴霧量は0.42g/mとした。
(2)サイズプレス液の調整
サイズプレス液は、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製:商品名SK−20、19%濃度)5.5部と、紙力剤(星光PMC社製:商品名ST−5000、変性ポリアクリルアミド樹脂30%濃度)5.5部とを混合し、工業用水で調整し、固形分濃度を20%とした。
(3)サイズプレス処理
サイズプレスにおいて濃度11%のサイズプレス液を両面に片面あたり4.4g/m(固形分)になるように塗布し、第1、第3層(表裏層)坪量がそれぞれ58g/m、第2層(中層)坪量が126g/mとなるように3層原紙を抄紙した。
インク受容層用塗工液の調製工程、インク受容層の形成工程は、実施例1と同様とした。紙厚0.272mm、坪量270g/mのカード用紙とした。
(実施例3)
第1、第6層(表裏層)の坪量をそれぞれ51g/m、第2〜第5層(中層全層)の坪量を140g/mとした6層原紙を抄紙した以外は実施例1と同様に行った。
(実施例4)
第1層(表層)、第2層〜第5層(中層)、第6層(裏層)のパルプの配合割合をLBKP/NBKP=95/5とした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例5)
第1層(表層)、第6層(裏層)のパルプの配合割合を、LBKP/NBKP=95/5とし、第2層(中層)、第5層(中層)をLBKP=100とし、第3層(中層)、第4層(中層)をLBKP/回収パルプ=20/80とした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例6)
第2、第3、第4、第5層(中層)に紙力増強剤を添加せず、ホフマン紙力剤(星光PMC社製:商品名DH4162、ポリアクリルアミドカチオン変性物)を対パルプ0.8%添加した以外は実施例1と同様に行った。
(比較例1)
各層に紙力剤を添加しない以外は実施例1と同様に行った。
(比較例2)
中層にホフマン紙力剤を添加しない以外は実施例1と同様に行った。
(比較例3)
各層間の澱粉塗布量を0.5g/mとした以外は実施例1と同様に行った。
(比較例4)
サイズプレスにてサイズプレス液の塗布量を2.5g/mとした以外は実施例1と同様に行った。
(比較例5)
インク受容層用塗工液を片面当たり14g/mの乾燥塗工量とした以外は実施例1と同様に行った。
(比較例6)
原紙の両面に塗工するインク受容層用塗工液として、スチレンブタジエン系ラテックスをベースとした顔料含有塗工液に変更し、塗工をブレードコーターによって行った以外は実施例1と同様に行った。次に、そのインク受容層用塗工液の処方内容を示す。顔料分散液は、カオリン(三菱商事:商品名アマゾンSB)100部と、分散剤(東亜合成社製:商品名アロンT−50、40%濃度品)0.12部と、消泡剤(東邦化学工業社製:商品名プロナールC−205、原液)0.24部とを混合し、工業用水で調整し分散濃度を73%とした。得られた顔料分散液(73%濃度)25.59部に、酸化チタン(古河ケミカル社製:商品名FA−PD)4.5部と、重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン社製:商品名Cb−95)70部と、SBR系ラテックス(旭化成社製:商品名L−1432、48%濃度品)14.7部と、澱粉(日本食品化工社製:商品名MS−4600、17.1%濃度品)0.3部を混合して、工業用水にて分散濃度を60%とし、インク受容層用塗工液を得た。前記インク受容層用塗工液をブレードコーターにて片面当り15g/mの塗工で両面塗工を行った。前記塗工紙を、金属ロールと弾性ロールからなるカレンダー装置にてキャレンダー加工して平滑化処理し、紙厚0.270mm、坪量272g/mのカード用紙とした。
(比較例7)
原紙の両面にインク受容層塗工液を塗工しなかった以外は実施例1と同様に行った。
(比較例8)
第3、第4層(中層)の原料にて黒色染料を無添加とした以外は実施例1と同様に行った。
このようにして得られたカード用紙において、カード用紙の白紙物性をそれぞれ次に示す方法で評価し、結果を表1に示した。
[白紙物性評価]
白紙物性は、JIS P 8111に準じて前処理を行った後、JIS及び次に示す方法に従って紙質試験を行った。
(1)坪量:JIS P 8124:1998 紙及び板紙−坪量測定方法。
(2)厚さ:JIS P 8118:1998 紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法。
(3)不透明性:各種実施例と比較例のサンプルに市販の油性マジックにて画線を筆記した後に、蛍光灯にかざし筆記面とは反対方向から視認できるかどうかを判断した。
○ ・・・視認できない(不透明性が高く、実用レベル。)。
× ・・・視認できる(不透明度が低く、実用に適さない。)。
(4)内部結合強さ:JAPAN TAPPI No.18−1:2000 紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第1部:Z軸方向引っ張り試験法。
(5)こわさ(テーバー):JIS P 8125:2000 紙及び板紙−こわさ試験方法−テーバーこわさ試験機法。
(6)折れ割れ適性:カードの短辺同士(T目)、長辺同士(Y目)を接するまで連続して折り曲げたときに、折れ皺の発生の有無を目視で評価した。
○ ・・・皺の発生無し(実用レベル)。
× ・・・皺の発生有り(実用に適さない)。
各種官能評価についてであるが、実際に使用するケースを想定しての評価であり、測定器では捕らえきれない様々な要素を瞬時にかつ総合的に判断できる、より実践的なものである。このような理由によって、官能評価を採用した。
インクジェット印字適性評価を次に示す要領にて行った。
EPSON社製のPM900Cを用い、フルカラー印字を行った記録画像部のベタ均一性、境界滲みを目視評価した。判定基準を次に示す。
○ ・・・良好(実用レベル)。
△ ・・・やや不良(実用に適さない)。
× ・・・不良 (実用に適さない)。
Figure 0005260478
実施例1〜6は、全てにおいて、表層及び裏層が、填料を含有した白色層であり、かつ、中層のうち少なくとも1層以上が、着色剤を含有した遮蔽層であり、表層及び裏層が、紙力剤を内添によって含有し、かつ、中層が、紙力剤及びホフマン紙力剤を内添によって含有し、中層が2層以上の場合には、中層−中層の層間における前記層間澱粉の塗布量が、各層間あたり固形分換算で1g/m以上であり、表面サイズプレス処理におけるサイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m以上であり、インク受容層は、多孔質合成シリカ顔料、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルを含有し、かつ、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m以上であった。結果として、層間剥離せず、剛度と不透明感があり、カードを折り曲げたときに発生する折れ皺が付きにくい、オンデマンドタイプの小ロット生産に対応できる新規のインクジェット印字適性を有するカード用紙を提供することが可能となった。
比較例1は、各層に紙力剤を添加しなかったために、内部結合強さ、こわさ(テーバー)が弱く、結果として折れ割れ適性が実用に適さないものとなった。
比較例2は、中層にホフマン紙力剤を添加しなかったために、内部結合強さ、こわさ(テーバー)が弱く、結果として折れ割れ適性が実用に適さないものとなった。
比較例3は、中層−中層の層間における層間澱粉の塗布量が、各層間あたり固形分換算で1g/m未満であったため、内部結合強さ、こわさ(テーバー)が弱く、結果として折れ割れ適性が実用に適さないものとなった。
比較例4は、サイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m未満であったため、こわさ(テーバー)が弱く、結果として折れ割れ適性が実用に適さないものとなった。
比較例5は、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m未満であったため、インクジェット印字適性に劣るものとなった。
比較例6は、インク受容層用塗工液の顔料が、多孔質合成シリカではなく、バインダーが、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルではなかったため、インクジェット印字適性が実用に適さないものとなった。
比較例7は、インク受容層を設けなかったことから、インクジェット印字適性が実用に適さないものとなった。
比較例8は、遮蔽層を設けなかったことから、室内光において、筆記画線のショースルーが確認でき、カード用紙としての機能を果たさないものとなった。

Claims (8)

  1. 原紙が、木材パルプを主体繊維とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に2層以上の中層とを有する多層抄き原紙であり、該原紙の各層間が、層間澱粉を含有し、前記表層及び前記裏層の表面が表面サイズプレス処理面であり、前記原紙の両面に1層以上のインク受容層を有し、かつ、厚さが0.3mm以下であるインクジェット用カード用紙であって、前記表層及び前記裏層が、填料を含有した白色層であり、かつ、前記中層のうち少なくとも1層以上が、着色剤を含有した遮蔽層であり、前記表層及び前記裏層が、紙力剤を内添によって含有し、かつ、前記中層が、ホフマン紙力剤を内添によって含有し、中層−中層の層間における前記層間澱粉の塗布量が、各層間あたり固形分換算で1g/m以上であり、前記表面サイズプレス処理におけるサイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m以上であり、前記インク受容層は、多孔質合成シリカ顔料、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルを含有し、かつ、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m以上であることを特徴とするインクジェット用カード用紙。
  2. 原紙が、木材パルプを主体繊維とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に中層とを有する3層抄き原紙であり、該原紙の各層間が、層間澱粉を含有し、前記表層及び前記裏層の表面が表面サイズプレス処理面であり、前記原紙の両面に1層以上のインク受容層を有し、かつ、厚さが0.3mm以下であるインクジェット用カード用紙であって、前記表層及び前記裏層が、填料を含有した白色層であり、かつ、前記中層が、着色剤を含有した遮蔽層であり、前記表層及び前記裏層が、紙力剤を内添によって含有し、かつ、前記中層が、ホフマン紙力剤を内添によって含有し、前記表面サイズプレス処理におけるサイズプレス液の塗布量が、片面あたり固形分換算で3g/m以上であり、前記インク受容層は、多孔質合成シリカ顔料、ポリビニルアルコール及びエチレン酢酸ビニルを含有し、かつ、インク受容層の乾燥塗工量が、片面あたり15g/m以上であることを特徴とするインクジェット用カード用紙。
  3. 前記中層に、更に紙力剤を内添によって含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用カード用紙。
  4. 前記原紙が、6層抄きであり、
    前記表層及び裏層に内添された紙力剤は、各層のパルプ固形分に対して0.1質量%以上とし、前記中層に内添された紙力剤は、中層の各層のパルプ固形分に対して0.5質量%以上とし、かつ、ホフマン紙力剤は、中層の各層のパルプ固形分に対して0.1質量%以上としたことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用カード用紙。
  5. 前記遮蔽層が、前記中層のうち、より中央側の中層であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のインクジェット用カード用紙。
  6. 前記層間澱粉は、澱粉を噴霧することによって、表層、中層及び裏層の各層間に付着させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のインクジェット用カード用紙。
  7. 前記インク受容層が、インク定着剤を含有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット用カード用紙。
  8. JAPAN TAPPI No.18−1:2000に従って測定した内部結合強さが627kN/m以上であり、かつ、JIS P 8125:2000に従って測定したこわさ(テーバー)が、縦目が7.5mN・m以上8.5mN・m以下、横目が4.7N・m以上5.7mN・m以下であり、かつ、室内光において、筆記画線のショースルーが確認できないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のインクジェット用カード用紙。
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