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JP5259103B2 - ZnO系半導体層の製造方法 - Google Patents

ZnO系半導体層の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ZnO系半導体層の製造方法に関し、特に、可視光の発光に適したZnO系半導体層の製造方法に関する。
酸化亜鉛(ZnO)のバンド間遷移エネルギは、約370nmの紫外領域の発光エネルギに相当する。これは、産業上の利用価値が高い400nm以上の可視光領域よりも短波長であるので、400nmよりも長波長の発光を得るための研究が進められている。
ZnO系化合物半導体で長波長の発光を得るための一つの技術として、バンドギャップを狭くする(ナローギャップ化する)技術がある。例えば、Znの一部をCdで置換したZnCdO混晶が提案されており、Cd組成に応じてバンドギャップを3.4eV〜1.5eVの範囲で調整することができる。しかし、Cdは毒性の強い元素であるため、ZnCdO混晶の採用は安全性の面から難しい。
例えば特許文献1に、VI族の元素である硫黄(S)やセレン(Se)でOの一部を置換して混晶とすることにより、ZnOのバンドギャップをナローギャップ化する技術が開示されている。この技術は、Cdを導入する技術に比べ、安全性の面で優れている。
特許文献1は、また、ナローギャップ化したZnO系化合物半導体層(ZnOS層、ZZnOSe層)を、ZnMgOクラッド層により挟んだ発光素子を開示する。
非特許文献1によると、ZnO1−ySe(0≦y≦1)におけるSe組成yとバンドギャップとの関係は、EZnOSe、EZnSe、及びEZnOを、それぞれ、ZnO1−ySe、ZnSe、及びZnOのバンドギャップとし、bをボーイングパラメータとして、
ZnOSe=yEZnSe+(1−y)EZnO−b(1−y)y
と表される。なお、ここで、ボーイングパラメータb=12.7eVである。
特開2002−16285号公報 K.Iwata et al, Phys. Stat. sol (b) 229, No.2 (2002)887
ZnO系化合物半導体から可視光の発光を得るための種々の技術が望まれる。また、発光層に例えばZnO系化合物半導体を用いて、所望の色が得られる半導体発光素子を作製する技術が望まれる。
本発明の一目的は、可視光の発光に適したZnO系半導体層の製造方法を提供することである。
本発明の第1の観点によれば、Seが添加され、430nm以上490nm以下の発光ピーク波長を持ち、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持つZnO系半導体層の製造方法であって、(a)基板を準備する工程と、(b)前記基板の温度を300℃以上800℃以下とし、かつ、前記基板上に、第1のビームフラックス量のZnビームと、第2のビームフラックス量のOラジカルビームと、第3のビームフラックス量のSeビームとを、該第2のビームフラックス量に対する第1のビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比が、0.1<Zn/Oビームフラックス比、という条件を満たし、該第2のビームフラックス量に対する第3のビームフラックス量の比であるSe/Oビームフラックス比が、0.00002≦Se/O<0.001という条件を満たすように、同時に照射する工程とを有するZnO系半導体層の製造方法が提供される。
本発明の第2の観点によれば、Seが添加され、580nm以上640nm以下の発光ピーク波長を持ち、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持つZnO系半導体層の製造方法であって、(a)基板を準備する工程と、(b)前記基板の温度を300℃以上800℃以下とし、かつ、前記基板上に、第1のビームフラックス量のZnビームと、第2のビームフラックス量のOラジカルビームと、第3のビームフラックス量のSeビームとを、該第2のビームフラックス量に対する第1のビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比が、0.1<Zn/Oビームフラックス比、という条件を満たし、該第2のビームフラックス量に対する第3のビームフラックス量の比であるSe/Oビームフラックス比が、0.001≦Se/Oビームフラックス比、という条件を満たすように、同時に照射する工程とを有するZnO系半導体層の製造方法が提供される。
本発明の第3の観点によれば、Seが添加され、520nm以上530nm以下の発光ピーク波長を持ち、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持つZnO系半導体層の製造方法であって、(a)基板を準備する工程と、(b)前記基板の温度を300℃以上800℃以下とし、かつ、前記基板上に、第1のビームフラックス量のZnビームと、第2のビームフラックス量のOラジカルビームと、第3のビームフラックス量のSeビームとを、該第2のビームフラックス量に対する第1のビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比が、Zn/Oビームフラックス比≦0.1という条件を満たすように、同時に照射する工程とを有するZnO系半導体層の製造方法が提供される。
適切な成膜条件でZnOにSeを添加することにより、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持ち、可視光の発光ピーク波長を持つZnO系半導体層が得られる。ZnOのバンドギャップは紫外光のエネルギに対応するので、このようなZnO系半導体層は、自己透明性の高い発光材料となる。
このようなZnO系半導体層の発光ピーク波長は、特に、430nm以上490nm以下の範囲に含まれるか、580nm以上640nm以下の範囲に含まれるか、520nm以上530nm以下の範囲に含まれるようにできる。
このようなZnO系半導体層を発光層に用いることにより、多様な発光色の半導体発光素子を得ることが可能となる。多色の発光を示すように発光層を構成すれば、例えば白色光を得ることも可能となる。
発光層に多色の発光を示す半導体層が含まれるとき、各半導体層のバンドギャップが同等であれば、例えば、バンドギャップが異なることに起因して各半導体層の発光しやすさが異なること等の不具合が抑制される。
まず、図1を参照し、酸化亜鉛(ZnO)系化合物半導体層を成長させるための成膜装置の例について説明する。成膜方法として、分子線エピタキシ(MBE)が用いられる。
超高真空容器1内に、基板ヒータ8が配置され、基板9が、基板ヒータ8に保持される。基板9として、サファイア(Al)基板、炭化珪素(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、ZnO基板等が用いられる。結晶性の良いZnO系化合物半導体層を得るためには、格子不整合の小さな基板ほどよいので、ZnO基板を用いることが最も好ましい。
超高真空容器1が、亜鉛(Zn)ソースガン2、酸素(O)ソースガン3、セレン(Se)ソースガン4、マグネシウム(Mg)ソースガン5、窒素(N)ソースガン6、及び、ガリウム(Ga)ソースガン7を備える。
Znソースガン2、Seソースガン4、Mgソースガン5、及びGaソースガン7は、それぞれ、Zn、Se、Mg、及びGaの固体ソースを収容するクヌーセンセルを含み、それぞれ、Znビーム、Seビーム、Mgビーム、及びGaビームを出射する。
Oソースガン3及びNソースガン6は、それぞれ、高周波(例えば13.56MHz)を用いる無電極放電管を含み、無電極放電官内で酸素ガス及び窒素ガスをラジカル化して、Oラジカルビーム及びNラジカルビームを出射する。
基板9上に、所望のタイミングで所望のビームを供給することにより、所望の組成のZnO系化合物半導体層を成長させることができる。
超高真空容器1にはまた、反射高速電子線回折(RHEED)用のガン10及び、RHEEDの回折像を映すスクリーン11が取り付けられている。RHEEDの回折像から、基板9上に形成されたZnO系化合物半導体層の結晶性を評価できる。排気ポンプ12が、超高真空容器1の内部を真空排気する。なお、超高真空とは、圧力が1×10−7Torr以下の真空を示す。
次に、第1〜第8の実施例によるZnO系半導体層の成長方法について説明する。第1〜第8の実施例では、基板としてc面ZnO基板を用い、+c面(Zn面)上に、Seを添加したZnO系半導体層(ZnO(Se)層)を成長させた。Znビームフラックス量、Oラジカルビームフラックス量、及びSeビームフラックス量の間の比を、実施例ごとに変化させた。
まず、第1〜第8の実施例の成長方法に共通な工程について説明する。洗浄されたZnO基板を成膜装置の基板ヒータに保持し、サーマルアニールを施して基板表面をさらに洗浄した。サーマルアニールは、1×10−9Torrの高い真空下において、900℃で30分行った。
次に、基板温度を500℃とし、+c面上に、Znビーム、Oラジカルビーム、及びSeビームを同時に照射することにより、ZnO(Se)層を成長させた。Znビームの照射は、固体ソースとして純度7NのZnを用いて行った。Oラジカルビームの照射は、純度6Nの純酸素ガスを3sccmで導入し高周波パワー300Wでプラズマ化して行った。Seビームの照射は、固体ソースとして純度6NのSeを用いて行った。以上のようにして、ZnO(Se)層を厚さ1μm程度まで成長させたサンプルを作製した。
成長させたZnO(Se)層に対し、ホトルミネセンス(PL)スペクトルの測定、2次イオン質量分析(SIMS)によるSe濃度の測定、及び、バンドギャップの測定を行った。PLスペクトルは、波長325nmのHe−Cdレーザ(2mW)をZnO(Se)層に照射し、ホトルミネセンス光を分光して得られた発光スペクトルをホトマルで測定することにより得た。バンドギャップは、透過率及び反射率の測定から吸収係数を求めることにより導出した。
次に、第1〜第8の実施例それぞれについて、サンプル作製条件と、得られたPLスペクトル及び膜中Se濃度について説明する。
第1の実施例では、Znビームフラックス量を1×1014atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を2×1014atoms/(cms)とした。Oラジカルビームフラックス量に対するZnビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比は0.1となり、Oラジカルビームフラックス量に対するSeビームフラックス量の比であるSe/Oビームフラックス比は0.2となる。
図2に、第1の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。グラフの横軸がnm単位で表した波長を示し、縦軸が任意単位で表したPL強度を示す(なお、第2〜第8の実施例に対応する図3〜図9のグラフについても同様である)。第1の実施例では、発光ピーク波長が528nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、SIMSの検出下限である1.5×1016cm−3未満であった。
第2の実施例では、Znビームフラックス量を2×1014atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を2×1014atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は0.2となり、Se/Oビームフラックス比は0.2となる。
図3に、第2の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第2の実施例では、発光ピーク波長が582nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、5×1016cm−3であった。
第3の実施例では、Znビームフラックス量を7×1014atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を2×1014atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は0.7となり、Se/Oビームフラックス比は0.2となる。
図4に、第3の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第3の実施例では、発光ピーク波長が607nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、1×1017cm−3であった。
第4の実施例では、Znビームフラックス量を2×1015atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を2×1013atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は2となり、Se/Oビームフラックス比は0.02となる。
図5に、第4の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第4の実施例では、発光ピーク波長が629nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、4.9×1020cm−3であった。
第5の実施例では、Znビームフラックス量を1×1014atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を4×1011atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は0.1となり、Se/Oビームフラックス比は0.0004となる。
図6に、第5の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第5の実施例では、発光ピーク波長が525nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、SIMSの検出下限である1.5×1016cm−3未満であった。
第6の実施例では、Znビームフラックス量を2×1014atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を4×1011atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は0.2となり、Se/Oビームフラックス比は0.0004となる。
図7に、第6の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第6の実施例では、発光ピーク波長が455nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、5×1020cm−3であった。
第7の実施例では、Znビームフラックス量を2×1015atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を4×1011atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は2となり、Se/Oビームフラックス比は0.0004となる。
図8に、第7の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第7の実施例では、発光ピーク波長が455nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、4×1019cm−3であった。
なお、第7の実施例のPLスペクトルでは、370nm程度の、ZnOのバンドギャップに対応するピーク波長を持つ低いピークも観測されるが、ここでは、主たるピークのピーク波長(強度最大のピーク波長)を発光ピーク波長としている。
第8の実施例では、Znビームフラックス量を2×1015atoms/(cms)とし、Oラジカルビームフラックス量を1×1015atoms/(cms)とし、Seビームフラックス量を2×1010atoms/(cms)とした。Zn/Oビームフラックス比は2となり、Se/Oビームフラックス比は0.00002となる。
図9に、第8の実施例のサンプルのPLスペクトルを示す。第8の実施例では、発光ピーク波長が447nmのPLスペクトルが得られた。また、膜中Se濃度は、4×1017cm−3であった。
さらに、上記実施例によるサンプルの他にも、種々の条件でZnO(Se)層のサンプルを作製し、PLスペクトル等を測定した。その結果、以下に説明するように、Zn/Oビームフラックス比及びSe/Oビームフラックス比を制御することにより、得られるZnO(Se)層の発光ピーク波長等を制御できることがわかった。
図10は、Zn/Oビームフラックス比及びSe/Oビームフラックス比の条件ごとに、
得られるZnO(Se)層のPLスペクトル及び膜中Se濃度を並べて示した表である。
Zn/Oビームフラックス比(以下単にZn/Oと表す)は、Zn/O≦0.1、0.1<Zn/O<2、2≦Zn/Oの3つの範囲に分けられている。また、Se/Oビームフラックス比(以下単にSe/Oと表す)は、0.00002≦Se/O<0.001、0.001≦Se/Oの2つの範囲に分けられている。
なお、各条件でのPLスペクトル及び膜中Se濃度は例示である。0.00002≦Se/O<0.001のとき、Zn/O≦0.1の範囲については第5の実施例の結果を示し、0.1<Zn/O<2の範囲については第6の実施例の結果を示し、2≦Zn/Oの範囲については第8の実施例の結果を示す。また、0.001≦Se/Oのとき、Zn/O≦0.1の範囲については第1の実施例の結果を示し、0.1<Zn/O<2の範囲については第2の実施例の結果を示し、2≦Zn/Oの範囲については第4の実施例の結果を示す。
0.00002≦Se/O<0.001かつ0.1<Zn/Oの条件で成長させたZnO(Se)層は、例えば、450nm付近の青色の発光ピーク波長を持ち、半値幅が55nm程度であるPLスペクトルを示す。また、このような条件で成長させたZnO(Se)層中のSe濃度は、4×1017cm−3〜5×1020cm−3程度である。
なお、例えば、第6の実施例と同条件で作製したZnO(Se)層のPLスペクトルは、励起強度を2.0mAから0.005mAまで変化させると、ピーク波長が455nmから490nmまで変化する。このように、0.00002≦Se/O<0.001かつ0.1<Zn/Oの条件で成長させたZnO(Se)層は、発光ピーク波長に数十nm程度の幅を持つ青色発光を示す。0.00002≦Se/O<0.001かつ0.1<Zn/Oの条件でZnO(Se)層を成長させることにより、430nm以上490nm以下の範囲内の青色の発光ピーク波長を得られると考えられる。
0.001≦Se/Oかつ0.1<Zn/Oの条件で成長させたZnO(Se)層は、580nm以上640nm以下の範囲内の橙色の発光ピーク波長を持つPLスペクトルを示す。また、このような条件で成長させたZnO(Se)層中のSe濃度は、5×1016cm−3〜5×1020cm−3程度である。Se濃度が増加すると、発光ピーク波長が長波長側にシフトする。例えば610nm付近の発光ピーク波長を示すPLスペクトルでは、半値幅が120nm程度である。なお、橙色発光のZnO(Se)層については、励起強度に依存したピーク波長の変化はない。
(0.00002≦Se/O<0.001または0.001≦Se/Oとして)Zn/O≦0.1の条件で成長させたZnO(Se)層は、波長520nm以上530nm以下の範囲内の緑色の発光ピーク波長(例えば波長525nm)を持ち、半値幅が120nm程度であるPLスペクトルを示す。また、このようなビームフラックス比の条件で成長させたZnO(Se)層中のSe濃度は、1.5×1016cm−3未満(SIMSでの検出下限未満)である。なお、緑色発光のZnO(Se)層についても、励起強度に依存したピーク波長の変化はない。
なお、成膜時の基板温度が300℃以上800℃以下の範囲のとき、以上説明したような傾向を得やすい。なお、成膜温度が低すぎると、成長膜の結晶性が悪くなり、発光強度が低下してしまう。また、成膜温度が高すぎると、膜中にSeが取り込まれなくなり、所望の発光色を得ることが出来なくなってしまう。成膜時の基板温度は、400℃以上600℃以下とすることが特に好ましい。
次に、ZnO(Se)層のバンドギャップについて説明する。上述のように、バンドギャップは、透過率及び反射率の測定から吸収係数を求めることにより導出される。吸収係数をαとし、hνをフォトンエネルギとし、Egをバンドギャップとしたとき、α∝(hν−Eg)1/2という関係より、バンドギャップを評価することができる。
図11は、緑色発光を示す第1の実施例のZnO(Se)層、橙色発光を示す第3の実施例のZnO(Se)層、青色発光を示す第6の実施例のZnO(Se)層、及び、ZnO単結晶基板について、吸収係数の2乗αのフォトンエネルギに対する依存性を示すグラフである。
横軸がeV単位で表したフォトンエネルギを示し、縦軸がαを示す。曲線C1〜C4が、それぞれ、第1の実施例(緑色)、第3の実施例(橙色)、第6の実施例(青色)、及びZnO単結晶基板の吸収係数を示す。
バンドギャップは、αのグラフの、立ち上がりからピークに至るまでの部分のうち、直線的な増加を示している部分にフィッテイングした直線と、フォトンエネルギの軸との交点を求めることにより見積もられる。
ZnO単結晶基板のバンドギャップは3.3eVであり、どの発光色のZnO(Se)層についても、ZnO単結晶基板と同等なバンドギャップを示している。なお、ZnOのバンドギャップ(3.3eV)との差が0.1eV以内であることを、同等と呼ぶこととする。
以上説明したように、0.00002≦Se/O<0.001かつ0.1<Zn/Oの条件で成膜することにより、青色発光を示すZnO(Se)層を得ることができ、0.001≦Se/Oかつ0.1<Zn/Oの条件で成膜することにより、橙色発光を示すZnO(Se)層を得ることができ、Zn/O≦0.1の条件で成膜することにより、緑色発光を示すZnO(Se)層を得ることができる。どの発光色のZnO(Se)層も、バンドギャップはZnOと同等の値である。
なお、Se/O及びZn/Oの上限、Zn/Oの下限の目安は、以下のように見積もられる。実施例に使用した装置仕様において、Znビーム及びSeビームのフラックス量について、それぞれ、1×1010〜1×1017atoms/(cms)程度の範囲で安定した制御が可能である。一方、酸素ラジカルビームのフラックス量については、1×1013〜1×1016atoms/(cms)程度の範囲で安定した制御が可能である。
したがって、フラックス比Se/O及びZn/Oの上限は、それぞれ1×10と見積もられ、Zn/Oの下限は、1×10−6と見積もられる。ただし、これらの値は、装置の仕様により制限された値である。例えば、高密度のZn及びSeビームフラックス量を制御できるソースガンや、さらに広範囲の酸素ラジカル量を制御できるRFラジカルガンを使用すれば、Se/O及びZn/Oの上限は1×10以上にでき、Zn/Oの下限は1×10−6以下となる可能性はある。
上述のようなZnO(Se)層は、半導体発光素子の発光層に用いることができると考えられる。次に、第9の実施例による半導体発光素子の製造方法について説明する。第9の実施例では、上述の青色発光、緑色発光、及び橙色発光を示すZnO(Se)層のうち、1色のZnO(Se)層を発光層に用いた単色の半導体発光素子が作製される。
図12(A)は、第9の実施例による発光素子の概略断面図である。基板9として、n型の導電型を有するc面ZnO基板を用い、+c面上に発光素子を形成する。まず、洗浄された基板9を成膜装置の基板ヒータに保持し、さらに、900℃で30分のサーマルアニールを施して基板表面を洗浄する。
次に、サーマルアニールを施した基板9上に、n型ZnOバッファ層20を形成する。n型ZnOバッファ層20は、300℃〜500℃に加熱した基板に、Znビーム、及びOラジカルビームを同時に照射することにより成長させ、さらに800℃〜900℃で30分程度のアニールを行うことで得られる。n型ZnOバッファ層20の厚さは、10nm〜30nm程度が好ましい。なお、アニールによりn型ZnOバッファ層20からO原子が抜けて、n型の導電型が得られると考えられる。
次に、n型ZnOバッファ層20の上に、Gaをドーピングしたn型ZnO層21を形成する。n型ZnO層21は、500℃〜1000℃に加熱した基板に、Znビーム、Oラジカルビーム、及びGaビームを同時に照射することにより成長させる。n型ZnO層21の厚さは1μm〜2μmとし、Ga密度は1×1018cm−3以上とすることが好ましい。
次に、n型ZnO層21の上に、Gaをドーピングしたn型MgZn1−xO(0<x<1:例えば0.25)層22を形成する。n型MgZn1−xO層22は、n型ZnOバッファ層20の成長時よりも低い基板温度とし、Znビーム、Oラジカルビーム、Mgビーム、及びGaビームを同時に照射することにより成長させる。n型MgZn1−xO層22の厚さは100nm〜600nmとし、Ga密度は1×1018cm−3以上とすることが好ましい。
続いて、n型MgZn1−xO層22の上に、発光層23を形成する。発光層23は、ZnO(Se)層を井戸層とし、MgZn1−xO(0<x<1:例えば0.2)層を障壁層とする量子井戸構造を有する。
発光層23は、例えば、図12(B)に示すように、MgZn1−xO障壁層23bの上にZnO(Se)井戸層23wが積層された積層構造を1周期形成し、最上層にMgZn1−xO障壁層23bを形成することにより作製される。発光層23は、また例えば、図12(C)に示すように、上記積層構造を複数周期形成して、多重量子井戸構造としてもよい。
発光層23は、基板温度300℃〜800℃で成長させる。ZnO(Se)井戸層23wは、Znビーム、Oラジカルビーム、及びSeビームを同時に照射することにより成長させる。ZnO(Se)井戸層23wの膜厚は、0.5nm〜20nm程度が望ましい。上述のように、Zn/Oビームフラックス比及びSe/Oビームフラックス比を制御することにより、発光層23の発光ピーク波長を調整することができる。
MgZn1−xO障壁層23bは、Znビーム、Oラジカルビーム、及びMgビームを同時に照射することにより成長させる。MgZn1−xO障壁層23bの膜厚は、5nm〜20nm程度が望ましい。
次に、発光層23の上に、Nをドーピングしたp型MgZn1−xO(0<x<1:例えば0.25)層24を形成する。p型MgZn1−xO層24は、500℃〜1000℃に加熱した基板に、Znビーム、Oラジカルビーム、Mgビーム及びNラジカルビームを同時に照射することにより成長させる。p型MgZn1−xO層24の厚さは100nm〜300nmとし、N密度は1×1018cm−3以上とすることが好ましい。Nが膜中に均一にドープされたp型MgZn1−xO層を得ることができる。
次に、p型MgZn1−xO層24の上に、Nをドーピングしたp型ZnO層25を形成する。p型ZnO層25は、500℃〜1000℃に加熱した基板に、Znビーム、Oラジカルビーム、及びNラジカルビームを同時に照射することにより成長させる。p型ZnO層25の厚さは100nm〜200nmで、N密度は1×1019cm−3以上であることが好ましい。Nが膜中に均一にドープされたp型ZnO層を得ることができる。
次に、電極を形成する。基板9の下面上にn側電極30を形成する。n側電極30は、例えば、基板9の下面上に厚さ2nm〜10nmのTi層を形成し、このTi層に厚さ300nm〜500nmのAl層を積層することにより形成される。
また、p型ZnO層25の上面上に、p側電極31を形成する。p側電極31は、例えば、p型ZnO層25の上に厚さ0.5nm〜1nmのNi層を形成し、このNi層に、厚さ10nmのAu層を積層することにより形成される。さらに、p側電極31上にボンディング電極32を形成する。ボンディング電極32は、例えば、厚さ500nmのAu層からなる。
これらの電極を形成した後、例えば400℃〜800℃の酸素雰囲気中で、電極合金化処理を行う。合金処理時間は、例えば1分〜10分である。このようにして、第9の実施例による発光素子が作製される。青色発光または緑色発光または橙色発光を示す単色の発光素子が得られる。なお、量子井戸構造としたことに伴い、発光波長が、発光層のみの場合からややずれる可能性があるが、発光色は変えない程度であろう。
なお、発光層23の下に配置されるn型MgZn1−xO層22は、省くことが可能である。また、発光層23の上下に配置されるn型MgZn1−xO層22及びp型MgZn1−xO層24の双方を省くことも可能である。
なお、発光層23は、単層のZnO(Se)層とすることもできる。すなわち、ZnO(Se)層を、クラッド層であるn型MgZn1−xO層22及びp型MgZn1−xO層24で挟んだダブルヘテロ(DH)構造を有する発光素子を形成することもできる。ZnO(Se)層の膜厚は100nm〜2μm程度とすることが望ましい。成長温度は、300℃〜800℃とする。
なお、単層のZnO(Se)発光層23の下に配置されるn型MgZn1−xO層22を省き、シングルへテロ(SH)構造としてもよい。
なお、基板9として、n型の導電型を有するZnO基板を用いたが、n型の導電型を有するSiC基板やGaN基板を用いることもできる。
次に、第10の実施例による半導体発光素子の製造方法について説明する。基板として絶縁性のサファイア基板9aを用いることと、それに伴い、電極の形成工程とが、第9の実施例と異なる。
図13は、第10の実施例による発光素子の概略断面図である。第9の実施例と同様にして、基板9a上に、n型ZnOバッファ層20からp型ZnO層25までを形成する。p型ZnO層25までが形成されたウエハを成膜装置から取り出した後、p型ZnO層25上に、レジスト膜または保護膜等を設けてパタニングし、n側電極が形成される領域に対応する切り欠き窓を有するエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを用いて、例えばウエットエッチングやリアクティブイオンエッチングにより、p型ZnO層25〜発光層22をエッチングして、n型ZnO層21を露出させる。
次に、露出したn型ZnO層21の表面に、例えば、厚さ2nm〜10nmのTi層を形成し、このTi層に厚さ300nm〜500nmのAl層を積層することにより、n側電極30aを形成する。n側電極30aの形成後、エッチングマスクを除去する。
次に、p型ZnO層25の表面に、例えば、厚さ0.5nm〜1nmのNi層を形成し、このNi層に厚さ10nmのAu層を積層することにより、p側電極31aを形成する。さらに、p側電極31aの上に、例えば厚さ500nmのAu層からなるボンディング電極32aを形成する。なお、p側の電極の材料がn側電極30a上に積層されないように、適宜マスクを用いて、p側電極31a及びボンディング電極32aを形成する。
これらの電極を形成した後、第9の実施例と同様に、例えば400℃〜800℃の酸素雰囲気中で、電極合金化処理を行う。合金処理時間は、例えば1分〜10分である。このようにして、第10の実施例による発光素子が作製される。
第10の実施例による発光素子では、基板として絶縁性のサファイア基板を用いることができる。なお、ZnO基板、SiC基板、またはGaN基板を用いることもできる。
次に、第11の実施例による半導体発光素子の製造方法について説明する。第11の実施例では、上述の青色発光、緑色発光、及び橙色発光を示すZnO(Se)層を3色とも発光層に用いた多色の半導体発光素子が作製される。発光層23の構成以外は、第9または第10の実施例の発光素子と同様である。
図14は、第11の実施例の発光素子の発光層23を概略的に示す断面図である。第11の実施例の発光素子の発光層23は、橙色発光に対応するZnO(Se)井戸層23wO、緑色発光に対応するZnO(Se)井戸層23wG、青色発光に対応するZnO(Se)井戸層23wBの3層の井戸層を含む多重量子井戸構造を有する。MgZn1−xO障壁層23bは、第9または第10の実施例の発光素子のそれと同様である。
所望の発光色が得られるように、Zn/Oビームフラックス比及びSe/Oビームフラックス比の条件を制御して各井戸層を形成する。ZnO(Se)井戸層23wO、ZnO(Se)井戸層23wG、及び、ZnO(Se)井戸層23wBは、それぞれ、例えば、第3の実施例、第1の実施例、及び第6の実施例のZn/Oビームフラックス比及びSe/Oビームフラックス比の条件で作製することができる。
第11の実施例の発光素子は、青色、緑色、及び橙色の3色を同時に発光させることができるので、白色光を得ることができる。各色の発光強度は、例えば、それぞれの井戸層の膜厚を制御することにより調整できる。
図15(A)に色度図を示す。点PB、PG、及びPOが、それぞれ、発光層の青色発光部分、緑色発光部分、及び橙色発光部分からの発光の色度座標を示す。第11の実施例の発光素子を用いれば、点PB、PG、及びPOを結ぶ直線で囲まれた領域内の発光色を表示することが可能である。
なお、3色すべてを発光する発光素子について説明したが、2色のみを発光する発光素子を作製することもできる。例えば、青色及び橙色を発光する発光素子では、図15(B)に示す色度図の点PBとPOとを結ぶ直線上の発光色を表示することが可能である。このような発光素子でも、白色光を得ることは可能である。
なお、各発光色に対応する井戸層を1層ずつ形成する例について説明したが、複数層ずつ形成してもよい。各発光色に対応する井戸層の層数を調整することによっても、各発光色の強度を調整することが可能であろう。
上述したように、実施例の方法では、可視光に発光ピーク波長を有するZnO(Se)層が得られる。成膜条件によって、青色、緑色、橙色の発光を示すZnO(Se)層を作り分けることができる。
いずれの発光色を示すZnO(Se)層も、ZnOと同等なバンドギャップを有する。ZnOのバンドギャップは、紫外光に対応するエネルギを有する。このため、実施例の方法で得られたZnO(Se)層は自己透明性に優れる。
ここで、バンドギャップに対応する発光色を持つ井戸層を用いた多色発光素子について考える。例えば、青色、緑色、橙色の3色の発光色の井戸層を含むとする。このような多色発光素子は、最もバンドギャップの狭い橙色の井戸層が発光しやすい傾向を持つ。また、広いバンドギャップの井戸層(例えば青色発光の井戸層)からの発光が、狭いバンドギャップの井戸層(例えば橙色発光の井戸層)で吸収されることも懸念される。これらに起因して、このような多色発光素子では、各発光色の強度調整が難しい。
実施例の多色発光素子では、どの発光色に対応する井戸層のバンドギャップも同等(ZnOのバンドギャップとの差が0.1eV以内)であるので、バンドギャップの差に起因する発光しやすさの差が生じにくい。また、どの井戸層のバンドギャップも紫外光に対応するエネルギ差であり、可視光である発光色に対応するエネルギよりも広いので、短波長の発光が、長波長発光の井戸層で吸収される問題が抑制される。このようにして、実施例の多色発光素子では、各発光色の強度調整が容易になる。実施例の多色発光素子では、各発光色について、井戸層の膜厚または層数の少なくとも一方を変えることにより、強度を調整することができる。
なお、上記実施例ではc面ZnO基板を用い、+c面上に半導体素子を形成する例を説明したが、−c面上に半導体素子を形成することもできる。また、a面やm面を有するZnO基板上に半導体素子を形成することもできる。
次に、第12の実施例及びその変形例による発光装置について説明する。第12の実施例の発光装置では、図16(A)に示すように、青色、緑色、橙色の3色の発光素子DB、DG、DOを同時に点灯させて白色光を得る。3色の発光素子DB、DG、DOをバンドギャップの等しい材料で作れるので、すべての発光素子を等しい印加電圧で適切に動作させることが容易である。
また、この実施例の変形例の発光装置では、図16(B)に示すように、青色、緑色、橙色の3色の発光素子DB、DG、DOを切り替えて点灯させる。3色の発光素子DB、DG、DOをバンドギャップの等しい材料で作れるので、どの色の発光素子も等しい印加電圧で適切に動作させることが容易である。
なお、上記実施例では発光ダイオード(LED)を作製する例を説明したが、例えば、へき開でキャビティを形成して、レーザダイオード(LD)を作製することもできる。さらに、それらの応用製品、例えば、各種インジケータや、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、照明器具、表示器のバック照明等を作ることもできる。青色、緑色、橙色、及びそれらの混色によって生成される白色等の発光色を得ることができる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
図1は、ZnO系化合物半導体層を成長させるための成膜装置の例を示す概略図である。 図2は、第1の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図3は、第2の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図4は、第3の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図5は、第4の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図6は、第5の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図7は、第6の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図8は、第7の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図9は、第8の実施例のZnO(Se)層のPLスペクトルである。 図10は、Zn/Oビームフラックス比及びSe/Oビームフラックス比の条件ごとに、得られるZnO(Se)層のPLスペクトル及び膜中Se濃度の例を並べて示した表である。 図11は、第1、第3、第6の実施例のZnO(Se)層、及びZnO単結晶基板について、吸収係数αの2乗のフォトンエネルギに対する依存性を示すグラフである。 図12(A)は、第9の実施例による発光素子の概略断面図であり、図12(B)及び図12(C)は、発光層の構造の例を示す概略断面図である。 図13は、第10の実施例による発光素子の概略断面図である。 図14は、第11の実施例による発光素子の発光層を概略的に示す断面図である。 図15(A)及び図15(B)は、色度図である。 図16(A)及び図16(B)は、第12の実施例及びその変形例による発光装置の概略的な回路図である。
符号の説明
1 超高真空容器
2 Znソースガン
3 Oソースガン
4 Seソースガン
5 Mgソースガン
6 Nソースガン
7 Gaソースガン
8 基板ヒータ
9 基板
10 (RHEED用の)ガン
11 (RHEED用の)スクリーン
12 真空ポンプ
20 n型ZnOバッファ層
21 n型ZnO層
22 n型Zn1−xMgO層
23 発光層
23b 障壁層
23w 井戸層
24 p型Zn1−xMgO層
25 p型ZnO層
30 n側電極
31 p側電極
32 ボンディング電極

Claims (3)

  1. Seが添加され、430nm以上490nm以下の発光ピーク波長を持ち、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持つZnO系半導体層の製造方法であって、
    (a)基板を準備する工程と、
    (b)前記基板の温度を300℃以上800℃以下とし、かつ、前記基板上に、第1のビームフラックス量のZnビームと、第2のビームフラックス量のOラジカルビームと、第3のビームフラックス量のSeビームとを、該第2のビームフラックス量に対する第1のビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比が、0.1<Zn/Oビームフラックス比、という条件を満たし、該第2のビームフラックス量に対する第3のビームフラックス量の比であるSe/Oビームフラックス比が、0.00002≦Se/O<0.001という条件を満たすように、同時に照射する工程と
    を有するZnO系半導体層の製造方法。
  2. Seが添加され、580nm以上640nm以下の発光ピーク波長を持ち、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持つZnO系半導体層の製造方法であって、
    (a)基板を準備する工程と、
    (b)前記基板の温度を300℃以上800℃以下とし、かつ、前記基板上に、第1のビームフラックス量のZnビームと、第2のビームフラックス量のOラジカルビームと、第3のビームフラックス量のSeビームとを、該第2のビームフラックス量に対する第1のビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比が、0.1<Zn/Oビームフラックス比、という条件を満たし、該第2のビームフラックス量に対する第3のビームフラックス量の比であるSe/Oビームフラックス比が、0.001≦Se/Oビームフラックス比、という条件を満たすように、同時に照射する工程と
    を有するZnO系半導体層の製造方法。
  3. Seが添加され、520nm以上530nm以下の発光ピーク波長を持ち、ZnOのバンドギャップと同等なバンドギャップを持つZnO系半導体層の製造方法であって、
    (a)基板を準備する工程と、
    (b)前記基板の温度を300℃以上800℃以下とし、かつ、前記基板上に、第1のビームフラックス量のZnビームと、第2のビームフラックス量のOラジカルビームと、第3のビームフラックス量のSeビームとを、該第2のビームフラックス量に対する第1のビームフラックス量の比であるZn/Oビームフラックス比が、Zn/Oビームフラックス比≦0.1という条件を満たすように、同時に照射する工程と
    を有するZnO系半導体層の製造方法。
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