JP5252791B2 - 低線膨張押出シート - Google Patents
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Description
しかし、これらの軽量断熱ボードでは、面材の線膨張係数が考慮されていない(通常の熱可塑性樹脂なら6×10−5/℃を超える)為、これらの軽量断熱ボードを用いて温度差が大きい空間を区切る場合、ボードがそるという問題点があった。
即ち、本発明は以下に記載するとおりの低線膨張押出シートである。
[1]単層もしくは複層からなるシートで、メイン層がスチレン系樹脂(A)と充填剤(B)とからなり、該充填剤(B)はガラス繊維とガラス繊維以外の少なくとも1種の充填剤とからなっており、メイン層中の該充填剤(B)の含有割合は25〜70質量%であって、メイン層中のガラス繊維の含有割合が15質量%以上であり、かつ、スチレン系樹脂(A)のスチレンモノマーの含有量が2000ppm以下であり、シートの物性が、縦方向、横方向共に、線膨張係数が、1×10−5〜6×10−5/℃でかつ、シャルピー衝撃強さが4〜50KJ/m2である事を特徴とする厚みが0.3mm以上2.0mm未満の低線膨張押出シート。
[2]充填剤(B)が、ガラス繊維とフレーク状粉体からなる事を特徴とする上記[1]に記載の低線膨張押出シート
[3]スチレン系樹脂(A)が、エラストマー成分(D)を5〜30質量%含有する事を特徴とする上記[1]又は[2]に記載の低線膨張押出シート
[4]表層がエラストマー成分(D)を5〜30質量%含有したスチレン系樹脂であり、表層及びメイン層のスチレン系樹脂のスチレンモノマーの含有量が2000ppm以下である事を特徴とする上記[3]に記載の複層からなる低線膨張押出シート
[5]スチレン系樹脂がアクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)を含むことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の低線膨張押出シート。
[6]表裏に上記[1]〜[5]のいずれかに記載の低線膨張押出シートを用い、内部に断熱材を含有する事を特徴とした軽量断熱ボード。
本発明においては熱可塑性樹脂としてスチレン系樹脂(A)を用いる。
ガラス繊維としては、形状は、ロービング、サーフエーシング・マット、チヨツプドストランドマット、朱子織、格子織、平織、目抜平織、綾織、ネットなど、いずれの形状でも使用可能であり、種類もC−GF(含アルカリガラス繊維)、アルミナ硼珪酸ガラス(Eガラス)などいずれの種類でも使用可能である。また、5〜50μmの直径のガラス繊維が使用でき、特に5〜20μmのガラス繊維が好ましい。また、スチレン系熱可塑性樹脂との接着性を向上するため、ガラス繊維表面を、ビニルシラン、アミノシラン、クロム化合物等の一般に使用される表面処理剤で処理することが好ましい。
金属珪酸塩としては、珪酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、マイカ、雲母、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ系バルン、ガラスフレーク等が挙げられる。
炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末等が挙げられる。セルロースを主体とした有機物としては、木粉、パルプ、もみがら粉、クルミ粉、ペーパースラッジ等が挙げられる。
フレーク状とは、うろこ(鱗片)の様な薄片のことである。楕円形粒状とは米粒の様な縦と横の長さが違う粒状のものである。フレーク状粉体の充填剤は、平均粒子径 0.5μm〜1mmが好ましく、さらに好ましくは1μm〜500μmである。また、カサ比重(JIS−K5101)0.1g/ml〜1g/mlが好ましく、さらに好ましくは0.2g/ml〜0.6g/mlである。
この様な、フレーク状粉体としては、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク等が挙げられる。より好ましくはタルクである。
また、熱可塑性樹脂(A)中の充填剤(B)の含有量は25〜70質量%であることが必要である。線膨張係数を低下させる為には、25質量%以上の添加が必要で、シートの靭性を保つ為には、添加量を70質量%以下とすることが必要である。より好ましくは、40〜60質量%である。
不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。好ましくは、アクリロニトリルである。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸エステル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。
これらの重合体の中で、好ましくは、BR、SBR、NBR、AR等が挙げられる。
スチレン系樹脂(A)の製造方法としては、特に限定はされず、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、およびこれら重合法の組み合わせた方法等を用いることができる。
また、成形性を付与する為、表層及びメイン層に可塑剤および軟化剤を添加しても良い。種類については硬度を低下させるものであれば特に制限はないが、脂肪酸や脂肪酸金属塩、テルペン系樹脂、石油系樹脂、PEやPPワックス類、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルおよびエステル系オイルが推奨される。
本発明の熱可塑性樹脂と充填剤等の各成分を溶融混合する方法については特に制限はなく、単軸押出機、ニ軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ミキシングロール等通常公知の方法を用いることができる。
シボ加工のシボパターンはサンドブラスト、梨地、皮シボ等いずれのパターンでもかまわないが、シボ深さ平均値(Rz:10点平均荒さ)が5〜60μm、好ましくは20〜50μmの梨地か、サンドブラストである。
ここで、本発明の複層強化シートが膨潤性を示す溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、塩化メチレンあるいはこれらの混合物が挙げられる。
また、例えば、接着剤としては、アセトン、ノルマルヘキサン、酢酸ブチル等の混合溶剤を用いたウレタン系接着剤、合成ゴム系接着剤により他の素材と良好に接着することができる。
<スチレン系樹脂(A)>
・AS1 :旭化成ケミカルズ(株)製 アクリロニトリル含有量 30質量%
スチレンモノマー含有量 1500ppm
・ABS1 :旭化成ケミカルズ(株)製 アクリロニトリル含有量 35質量%
ブタジエンゴム含有量 15質量%
MFR 7.2g/10min(ISO 1133/220℃98N)
スチレンモノマー含有量 1500ppm
・GF1(形状:繊維):旭ファイバーグラス(株) グラスロンCSA−17F05
直径13μm、長さ 3mm±1.5
・GF2(形状:フレーク状粉体):日本板硝子株式会社 マイクロガラスフレーク
REF−140(粒径分布:70μm〜300μmが80wt%以上)
・タルク(形状:フレーク状粉体):松村産業株式会社 クラウンタルクPP
(平均粒子径 6.0〜10.0μm、カサ比重0.28〜0.36g/ml)
・TPU1:エラストラン C85A BASFジャパン(株)製(ポリウレタン)
・TPU2:エラストラン 1164D BASFジャパン(株)製(ポリウレタン)
原材料を溶融混練機(東芝機械TEM35B)に供給(ガラス繊維はサイドフィード)して溶融混練して熱可塑性樹脂を得てこれをペレット化した。
〈1〉複層シート:上記で得た熱可塑性樹脂を190℃で押出機X(東芝機械 単軸押出機65mm)より0.1mm厚みのシート状に押出し、一方、押出機Y(東芝機械 単軸押出機40mm)より、スチレン系樹脂またはアクリル系樹脂を190℃で約0.1mm厚みのシート状に表層および下層にラミネートするように押出し、複層強化シートを得た(総厚み1mm、図2に模式図で示した。)。
〈2〉単層シート:上記で得た熱可塑性樹脂を190℃で押出機Xのみを用いて1mmの厚みに押出した。
〈3〉複層ラミネートシート:上記で得た熱可塑性樹脂を190℃で押出機Xを用いて1mm厚に押出す際に、事前に作製しておいたABS1の0.2mm厚のシートを、ロールの間から挿入しラミネートした。
(4−1)シート表面状態
目視、手触りを用いて確認した。
◎ :充填剤無添加のABS1単独シートと同等の表面状態
○ :平滑で手触りもざらざらしないが、ダイライン等が若干目立つ
空気中のスチレンモノマー濃度は、シート中のスチレンモノマー濃度と比例するので、シート中のスチレンモノマーを用いて判断した。
スチレンモノマー含有量の測定は、サンプル2gをDMF(ジメチルホルムアミド)20mlに溶解し、島津製作所 GC−14Aガスクロマトグラフィー(INJ温度250℃/キャピラリーカラム)を用いて測定した。定量は、事前に作製した検量線を用いて行った。
残留スチレンモノマー濃度が、0.5%以上存在すると空気中のスチレンモノマー濃度が高くなる。
上記の様に作製されたシートから、シート押出と垂直方向のサンプルを用いて線膨張係数を測定した(ASTM D696)。
線膨張係数が6以下ものを合格とする。
線膨張係数が6を超えると、熱時の膨張によりそり等が発生する為FRP等を代替することができない。
10cm角の四角が打ち抜けるような打ち抜き刃を作製し、上記シートをうち抜いた時の打ち抜き性を確認した。○以上が合格。
◎ : 10枚中一枚もヒビが入らず打ち抜けた。
○ : 10枚中1〜2枚割れた。
× : 10枚中3枚以上割れた。
(実施例1)ABS1 50質量%、GF1 20質量%、GF2 20質量%からなる熱可塑性樹脂単層からなる1mm厚シートの表層にシボロールにて20μm(サンドブラスト)のシボを施したシート。
(実施例2)ABS1 50質量%、GF1 25質量%、タルク 25質量%からなる熱可塑性樹脂をメイン層として0.8mm、充填剤無添加のABS1を表裏層として各0.1mmからなる厚み1.0mmの複層シート
(実施例3)ABS1 50質量%、GF1 25質量%、タルク 25質量%からなる熱可塑性樹脂をメイン層として0.8mm、表層にABS1の0.2mmシートをラミネートして得た厚み1.0mmの複層ラミネートシート
(実施例4)AS1 40質量% TPU1 30質量%、GF1 25質量%、タルク 25質量%からなる熱可塑性樹脂をメイン層として0.8mm、表層にTPU2の0.2mmシートをラミネートして得た厚み1.0mmの複層ラミネートシート
(比較例1)AS1 70質量%、GF1 30質量%からなる熱可塑性樹脂単層からなる1mm厚シートの表層にシボロールにて20μm(サンドブラスト)のシボを施したシート。
(比較例2)ABS1 80質量%、GF1 20質量%からなる熱可塑性樹脂単層からなる1mm厚シートの表層にシボロールにて20μm(サンドブラスト)のシボを施したシート。
(比較例3)
市販購入FRP(熱硬化タイプ)1.0mm厚シート
各実施例及び比較例におけるメイン層、表裏層の組成、膜厚、スチレンモノマー含有量等を表1に示す。
Claims (6)
- 単層もしくは複層からなるシートで、メイン層がスチレン系樹脂(A)と充填剤(B)とからなり、該充填剤(B)はガラス繊維とガラス繊維以外の少なくとも1種の充填剤とからなっており、メイン層中の該充填剤(B)の含有割合は25〜70質量%であって、メイン層中のガラス繊維の含有割合が15質量%以上であり、かつ、スチレン系樹脂(A)のスチレンモノマーの含有量が2000ppm以下であり、シートの物性が、縦方向、横方向共に、線膨張係数が、1×10−5〜6×10−5/℃でかつ、シャルピー衝撃強さが4〜50KJ/m2である事を特徴とする厚みが0.3mm以上2.0mm未満の低線膨張押出シート。
- 充填剤(B)が、ガラス繊維とフレーク状粉体からなる事を特徴とする請求項1に記載の低線膨張押出シート。
- スチレン系樹脂(A)が、エラストマー成分(D)を5〜30質量%含有する事を特徴とする請求項1又は2に記載の低線膨張押出シート。
- 表層がエラストマー成分(D)を5〜30質量%含有するスチレン系樹脂であり、表層及びメイン層のスチレン系樹脂のスチレンモノマーの含有量が2000ppm以下である事を特徴とする請求項3に記載の複層からなる低線膨張押出シート。
- スチレン系樹脂がアクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低線膨張押出シート。
- 表裏に請求項1〜5のいずれかに記載の低線膨張押出シートを用い、内部に断熱材を含有する事を特徴とする軽量断熱ボード。
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