JP5013727B2 - 複層強化シート - Google Patents
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Description
そのFRPに代替可能であるガラス繊維強化熱可塑性樹脂は、多くの種類が知られているが、ナイロン、PET、PP等の結晶性樹脂を用いたものはシート成形性が低いこと、および2次加工の際の接着性が難しい等の問題点があった。また、非晶性樹脂の中でよく知られているガラス繊維強化ASは、シートにした際に表面が荒れたり、擦るとガラス繊維が欠落したり、シート物性に縦横で大きな差が発生したりするという問題点があった。すなわち、平滑な表面、低VOCでかつ2次加工が容易でかつ、縦横の物性差が少ない強化シートは従来なかった。
[1]少なくとも表層とメイン層とを含む2層以上の複層強化シートであって、該表層がスチレン系樹脂又はアクリル系樹脂からなり、該メイン層が充填剤としてガラス繊維及びフレーク状粉体を25重量%以上含み、かつ全充填剤の合計含有量が40〜70重量%であるスチレン系樹脂からなり、線膨張係数が5以下で、かつ線膨張係数比が2以下であることを特徴とする複層強化シート。
[2]表層及びメイン層を構成する樹脂中に白色顔料が0.5部以上添加されていることを特徴とする上記[1]に記載の複層強化シート。
[3]メイン層を構成するスチレン系樹脂が不飽和ニトリル単量体とスチレン単量体の共重合体であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の複層強化シート。
[4]表層が厚さ0.05mm〜0.5mmのABS樹脂からなることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複層強化シート。
これらの重合体の中で、好ましくは、BR、SBR、NBR、AR等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等が挙げられる。
スチレン系樹脂(A)としては、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(MABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA)、アクリロニトリル−スチレン−EPDM共重合体(AES)等が好ましい。
スチレン系樹脂(A)に含まれる不飽和ニトリル単量体単位は2〜40重量%であることが好ましい。
スチレン系熱可塑性樹脂の分子量はどんなものでも構わないが、MFR(ISO1133:220℃98N)で、1〜30g/10分のものが好ましく、2〜20g/10分のものがより好ましい。MFRが1g/10分未満であると、スチレン系樹脂組成物の押出加工性が低下し、30g/10分を超えるとスチレン系樹脂組成物の押出時に表層の厚みを均一にしにくい。
メタクリル酸メチル単独重合体、15重量%以下のアクリル酸メチル単位またはアクリル酸エチル単位を含有するメタクリル酸メチル共重合体、アクリルゴム強化PMMA、MS、ブタジエンゴム強化MS(MBS)が好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−フェニルマレイミド等の共重合可能なビニル系単量体を併用することも可能である。
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの具体的な例としては、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル等がある。アクリル系樹脂(B)の製造方法としては、特に限定はされず、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、およびこれらの重合法の組み合わせた方法等を用いることができる。
主にメイン層に用いられる充填剤とは、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属珪酸塩、炭素、ケッチェンブラック、カーボン繊維、セルロースを主体とする有機物、金属繊維から選ばれる。
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末等が挙げられる。
セルロースを主体とした有機物としては、木粉、パルプ、もみがら粉、クルミ粉、ペーパースラッジ等が挙げられる。
フレーク状粉体の充填剤は、平均粒子径 0.5μm〜1mmが好ましく、さらに好ましくは1μm〜500μmである。また、カサ比重(JIS−K5101)0.1g/ml〜1g/mlが好ましく、さらに好ましくは0.2g/ml〜0.6g/mlである。
このような、小さくカサ比重の低いフレーク状の充填剤を用いた方が、シートの縦横物性の差が低くなるし、シート表面性も良くなり、曲げ弾性率も高くなる。
この様な、フレーク状粉体としては、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク等が挙げられる。より好ましくはタルクである。
本発明の複層強化シートは、シート成形性、シート外観、シート強度等の物性バランスが取れるようにスチレン系樹脂(A)とフレーク状粉体である充填剤を所定の範囲で配合して製造される。
また表層に用いる好ましいスチレン系樹脂としては、ABS樹脂、無機フィラーを添加したABS樹脂があげられる。
シボ加工のシボパターンはサンドブラスト、梨地、皮シボ等いずれのパターンでもかまわないが、シボ深さ平均値(Rz:10点平均荒さ)が5〜60μm、好ましくは20〜50μmの梨地か、サンドブラストである。
ここで、本発明の複層強化シートが膨潤性を示す溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、塩化メチレンあるいはこれらの混合物が挙げられる。
また、例えば、接着剤としては、アセトン、ノルマルヘキサン、酢酸ブチル等の混合溶剤を用いたウレタン系接着剤、合成ゴム系接着剤により他の素材と良好に接着することができる。
(1)実施例および比較例で用いた原材料
<スチレン系樹脂>
・AS30:旭化成ケミカルズ(株)製 スチレン70%、アクリロニトリル30%
・ABS :旭化成ケミカルズ(株)製 スタイラック A4521
(押出用ABSグレード MFR 3.0g/10分:ISO1133)
<アクリル系樹脂>
・PMMA:旭化成ケミカルズ(株)デルペット 80N
<充填剤>
・GF1(形状:繊維):旭ファイバーグラス(株) グラスロンCSA−17F05
直径13μm、長さ 3mm±1.5
・GF2(形状:フレーク状粉体):日本板硝子株式会社 マイクロガラスフレーク
REF−140(粒径分布:70μm〜300μmが80wt%以上)
・タルク(形状:フレーク状粉体):松村産業株式会社 クラウンタルクPP
(平均粒子径 6.0〜10.0μm、カサ比重0.28〜0.36g/ml)
原材料を溶融混練機(東芝機械TEM35B)に供給(ガラス繊維はサイドフィード)して溶融混練してスチレン系樹脂組成物を得てこれをペレット化した。
(3)シート作製
上記で得たメイン層用の充填剤を含むスチレン系樹脂を190℃で押出機X(東芝機械 単軸押出機65mm)より0.1mm厚みのシート状に押出し、一方、押出機Y(東芝機械 単軸押出機40mm)より、スチレン系樹脂またはアクリル系樹脂を190℃で約0.1mm厚みのシート状に表層および下層にラミネートするように押出し、複層強化シートZ(図1に模式図で示した。)を得た(総厚み0.9〜1mm)。
表1に、複層強化シートの構成およびその評価結果を示す。
(4−1)シート表面状態
目視、手触りを用いて確認した。
○ :平滑で手触りもざらざらしないシート
Z :表面がざらざらする。
L :ライン状の縞模様が見える。
空気中のスチレンモノマー濃度は、シート中のスチレンモノマー濃度と比例するので、シート中の残留スチレンモノマー量を用いて判断した。
残留スチレンモノマーの測定は、サンプル2gをDMF(ジメチルホルムアミド)20mlに溶解し、島津製作所 GC−14Aガスクロマトグラフィー(INJ温度250℃/キャピラリーカラム)を用いて測定した。定量は、事前に作製した検量線を用いて行った。
残留スチレンモノマー濃度が、0.5%以上存在すると空気中のスチレンモノマー濃度が高くなる。
上記の様に作製されたシートから80mm×10mmの短冊状に切り出したシート(シート押出と平行方向)を用いて、ISO178の試験法を用いて曲げ弾性率を測定した。
曲げ弾性率が5000MPa以上であれば合格とする。
上記の様に作製されたシートから、シート押出と平行方向と、垂直方向の2種類のサンプルを用いて線膨張係数を測定した(ASTM D696)。
線膨張係数が5以下ものを合格とする。
線膨張係数が5を超えると熱時の膨張によりそり等が発生する為FRP等を代替することができない。(FRPと同等の線膨張係数が必要)
上記、シート押出と平行方向と、垂直方向の2種類のサンプルの線膨張係数の比を線膨張係数比とした。
線膨張係数比 = 垂直方向の線膨張係数/平行方向の線膨張係数
この比が大きいという事は、シートの縦横の熱膨張に差が発生する事を示しており、2を越えると、熱時の膨張によりそり等が発生する為FRP等を代替することができない。
10cm角の四角が打ち抜けるような打ち抜き刃を作製し、上記シートをうち抜いた時の打ち抜き性を確認した。○以上が合格。
◎ : 10枚中一枚もヒビが入らず打ち抜けた。
○ : 10枚中1〜2枚割れた。
×: 10枚中3枚以上割れた。
表1に記載の配合比で原材料を用い東芝機械TEM35Bを用いて溶融混練(ガラス繊維はサイドフィード)、スチレン系樹脂組成物のペレットを製造した。該ペレットを用い、上記評価方法で評価し、その評価結果を表1に示した。
Claims (4)
- 少なくとも表層とメイン層とを含む2層以上の複層強化シートであって、該表層がスチレン系樹脂又はアクリル系樹脂からなり、該メイン層が充填剤としてガラス繊維及びフレーク状粉体を25重量%以上含み、かつ全充填剤の合計含有量が40〜70重量%であるスチレン系樹脂からなり、
線膨張係数が5以下で、かつ線膨張係数比が2以下であることを特徴とする複層強化シート。 - 表層及びメイン層を構成する樹脂中に白色顔料が0.5部以上添加されていることを特徴とする請求項1に記載の複層強化シート。
- メイン層を構成するスチレン系樹脂が不飽和ニトリル単量体とスチレン単量体の共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の複層強化シート。
- 表層が厚さ0.05mm〜0.5mmのABS樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複層強化シート。
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