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JP5251919B2 - 光半導体素子封止用樹脂組成物 - Google Patents

光半導体素子封止用樹脂組成物 Download PDF

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JP5251919B2
JP5251919B2 JP2010102362A JP2010102362A JP5251919B2 JP 5251919 B2 JP5251919 B2 JP 5251919B2 JP 2010102362 A JP2010102362 A JP 2010102362A JP 2010102362 A JP2010102362 A JP 2010102362A JP 5251919 B2 JP5251919 B2 JP 5251919B2
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Description

本発明は、光半導体素子を封止するための組成物であり、詳細には、主剤が実質的にシリコーン樹脂からなる耐熱変色性及び硬化性に優れた光半導体素子封止用組成物に関する。
従来、光半導体素子を封止するために、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。該エポキシ樹脂組成物は、通常、主剤である脂環式エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化触媒を含有する。該組成物を、キャスティング、トランスファー成形などにより、光半導体素子が配置された金型に流しこみ硬化させることにより、光半導体素子を封止する。しかし、LEDの輝度及びパワーアップに伴い、エポキシ樹脂の変色及び劣化が問題となっている。特に、脂環式エポキシ樹脂は、青色光や紫外線により黄変するため、LED素子の寿命を短くするという問題があった。
そこで、耐熱性及び耐光性に優れたシリコーン樹脂が使用されるようになっているが、エポキシ樹脂に比べ硬化した樹脂の強度が弱いという問題がある。これを解決するために、高硬度ゴム状シリコーン樹脂を封止用途に使用したものが提案されている(特許文献1)。しかし、高硬度シリコーン樹脂は接着性が乏しく、ケース型の発光半導体装置、即ち、セラミック及び/又はプラスチック筐体内に発光素子を配置し、その筐体内部をシリコーン樹脂で充填した装置では、−40〜120℃での熱衝撃試験で、シリコーン樹脂が筐体のセラミックやプラスチックから剥離してしまう問題がある。
接着性及び耐熱衝撃性を増すために、エポキシ基を有するシリコーン樹脂が提案されている(特許文献2)。該シリコーン樹脂は、エポキシ基を有するシランと、シラノールとを縮合させて合成されるが、その硬化物の弾性率が低く且つ脆い。そのため、該樹脂で封止したLEDは、温度サイクル試験において樹脂にクラックが入り易いという問題があった。
これを解決する物として、エポキシ樹脂と、エポキシ環を少なくとも2つ有するシルセスキオキサンを含む組成物(特許文献3)、及び、低応力化剤としてエポキシ樹脂とイソシアヌル酸誘導体基を有するシリコーン樹脂を含む組成物(特許文献4)が知られている。しかし、これらのいずれも、硬化物の温度サイクル試験でクラックの発生が見られ、耐熱衝撃性が満足の行くものとはいえない。
特開2002−314143号公報 特開平7−97433号公報 特開2005−263869号公報 特開2004−99751号公報
本発明の目的は、上記問題を解決し、硬度が高く、耐光性、及び耐熱衝撃性に優れるとともに、特に耐熱変色性に優れる封止体を形成でき、硬化速度等を改良した光半導体素子封止用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、種々検討した結果、該直鎖ポリシロキサン構造を有するエポキシ変性シリコーン樹脂と、2種類のオルガノシランを縮合して得られ且つ該エポキシ変性シリコーン樹脂よりもエポキシ当量が小さい、第二のエポキシ変性シリコーン樹脂を併用することによって、上記目的を達成することを見出し、本発明を為した。
即ち、本発明は、下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含む光半導体素子封止用組成物である。
(A)下記平均組成式(1)で表される、エポキシ基含有非芳香族基を有する第一のシリコーン樹脂 50〜90質量部
Figure 0005251919
(式(1)において、Rはエポキシ基含有非芳香族基、Rは互いに独立に水酸基、C1−20一価炭化水素基、及びC1−6アルコキシ基から選ばれる基、RはC1−20一価炭化水素基であり、
x及びyは互いに独立に0、1又は2の整数であり、
aは0.25〜0.75の数、
bは0.25〜0.75の数、
cは0〜0.3の数、但しa+b+c=1、であり、
nは2〜20の整数である)
(B)下記平均組成式(2)で表される、エポキシ基含有非芳香族基を有する第二のシリコーン樹脂 10〜50質量部
Figure 0005251919
(式(2)において、R、R及びRは上記のとおりであり、zは互いに独立に0、1又は2の整数であり、
dは0.5〜0.8の数、
eは0.2〜0.5の数、
但しd+e=1、である)
(C)エポキシ基との反応性の官能基を有する硬化剤 (A)成分中と(B)成分中のエポキシ基の合計1モルに対し、該エポキシ基と反応性の官能基が0.4〜1.5モルとなる量
(D)硬化触媒 (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.01〜3重量部。
上記本発明の樹脂組成物は、第二のシリコーン樹脂を含むので硬度の高い硬化物を与える。また、該第二のシリコーン樹脂が反応性に富むため、短時間で、耐熱変色性が良好な光半導体パッケージを与えることができる。
合成例1において得られた第一のシリコーン樹脂について得られた29Si−NMRの測定チャートを示す。
<(A)成分>
本発明の組成物において、(A)エポキシ基含有非芳香族基を有する第一のシリコーン樹脂は、下記平均組成式(1)で表される。
Figure 0005251919
式(1)において、nは2〜20、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の整数である。x及びyは互いに独立に0、1又は2の整数である。該第一のシリコーン樹脂を構成する添え字aが付された一番目の構造単位及び添え字cが付された三番目の構造単位のおのおのにおいては、x又はyが0である単位(T単位)、x又はyが1である単位(D単位)及びx又はyが2である単位(M単位)が通常一分子中に共に存在している。一番目の構造単位及び三番目の構造単位のおのおのにおいてT単位、D単位及びM単位の存在割合は後述する製造方法において用いる単量体におけるRの種類及び加水分解・縮合の進行程度に依存する。T単位:D単位:M単位のモル比は、好ましくは10:30:60〜98:1:1であり、より好ましくは40:30:30〜98:1:1であり、さらに好ましくは60:20:20〜96:2:2、さらに一層好ましくは80:10:10〜95:3:2である。
式(1)中の(R SiO)単位において、例えば、nが3の単位は、下記構造である。
Figure 0005251919
該(R SiO)単位は、該シリコーン樹脂が直鎖状である場合にはその主鎖にあってもよいし、分岐状であればいずれの分岐に結合されていてもよい。該(R SiO)単位を含むことで、耐熱衝撃性に優れた硬化物を得ることができる。
式(1)において、Rはエポキシ基含有非芳香族基であり、その例としては、γ−グリシドキシプロピル基等のγ−グリシドキシアルキル基などのエポキシ基含有直鎖もしくは分岐脂肪族基、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基等のエポキシ基含有脂環式基、モノグリシジルイソシアヌリル基及びジグリシジルイソシアヌリル基等のエポキシ基含有ヘテロ環含有基が挙げられる。これらのうち、エポキシ基含有脂環式基、特にβ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基が好ましい。なお、エポキシ基に代えて、オキセタニル基を有する非芳香族基を用いることが考えられるが、硬化性の点から、エポキシ基が優れている。Rは一分子中に少なくとも1個、さらには2〜100個存在することが好ましい。また、分子の末端に存在することが好ましく、例えば分子構造が直鎖状である場合にはその両端に夫々1個ずつあることがより好ましい。
は、水酸基、C1−20一価炭化水素基、及びC1−6アルコキシ基から選ばれる基である。該炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリル基等のアルカリール基、ノルボネニル基等の架橋環式基が例示される。C1−6アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。好ましくは、Rはメチル基またはフェニル基である。
は、互いに独立に、C1−20一価炭化水素基であり、Rに関して、上述した基が例示される。
aは0.25〜0.75の数、好ましくは0.4〜0.7の数である。aが前記下限値未満では、エポキシ基量が少ないため、組成物の硬化度が低く、前記上限値超ではエポキシ基量が多いため、合成した樹脂がゲル化してしまい、好ましくない。bは0.25〜0.75の数、好ましくは0.3〜0.6の数である。cは0〜0.3の数、好ましくは0〜0.2の数である。cが前記上限値を超えると、硬化物の耐光性が悪くなる傾向がある。式(1)は各構造単位の平均的存在割合を示す組成式であり、a+b+c=1である。
(A)成分は、下記式(3)で示される直鎖オルガノポリシロキサンと、
Figure 0005251919
(上式において、Rは上述のとおりであり、Xは加水分解性基、例えばアルコキシ基、及びハロゲン原子であり、mは0〜18の整数である。)
下記式(4):
Figure 0005251919
(上式において、R1及びRは上述のとおりであるが、Rの少なくとも1個は水酸基又はC1−6アルコキシ基である。)
で表されるエポキシ基含有シランを、必要に応じて、式(5):
Figure 0005251919
(上式において、R及びRは上述のとおりであるが、Rの少なくとも1個は水酸基又はC1−6アルコキシ基である。)
で表されるシランとともに、定法に従い加水分解及び縮合反応させることによって得ることができる。
(A)成分は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜10,000、好ましくは3000〜6,000である。また、エポキシ当量が200〜800g/モル、好ましくは300〜600g/モルである。
<(B)成分>
(B)エポキシ基含有非芳香族基を有する第二のシリコーン樹脂は、下記平均組成式(2)で表される。
Figure 0005251919
式(2)において、R、R及びRは上記のとおりである。zは互いに独立に0、1又は2の整数である。該第二のシリコーン樹脂を構成する添え字dが付された一番目の構造単位においては、zが0である単位(T単位)、zが1である単位(D単位)及びzが2である単位(M単位)が一分子中に共に存在している。該構造単位においてT単位、D単位及びM単位の存在割合は後述する製造方法において用いる単量体におけるRの種類及び加水分解・縮合の進行程度に依存する。T単位:D単位:M単位のモル比は、好ましくは10:30:60〜98:1:1であり、より好ましくは40:30:30〜98:1:1であり、さらに好ましくは60:20:20〜96:2:2、さらに一層好ましくは80:10:10〜95:3:2である。dは0.5〜0.8、好ましくは0.5〜0.7の数である。dが前記下限値未満では、組成物が硬化不良となり、前記上限値超の樹脂は合成が困難であり、また、組成物がゲル化する傾向があり好ましくない。eは0.2〜0.5の数、好ましくは0.3〜0.5の数であり、但しd+e=1である。
(B)成分の製造方法の(A)成分の製造方法からの相違点は、上記一般式(3)で表される直鎖オルガノポリシロキサンに代えて、R Siで表されるオルガノシランを用いる点であり、該オルガノシランを前記一般式(4)で表されるエポキシ基含有シランと加水分解・縮合反応に付することにより調製される。従って、(B)成分は、(A)成分が有する(R SiO)単位を実質的に含まず、硬化物中で架橋点の様な作用を奏して硬化物の強度を増すものと考えられる。これにより、本発明の組成物は、エポキシ樹脂、特に光半導体素子封止用に多用される脂環式エポキシ樹脂、を併用せずとも、硬度、耐熱衝撃性等に優れた硬化物を形成することができる。該硬化物はこのようなエポキシ樹脂を含まないので、熱による変色も無い。
(B)成分は、スチレン換算の重量平均分子量が3000〜10,000、好ましくは3000〜7000である。(B)成分のエポキシ当量は、100〜600g/モル、好ましくは250〜400g/モルである。より好ましくは、(B)成分のエポキシ当量は(A)成分のエポキシ当量より30〜300g/モル程度小さい。
(B)成分の配合量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、10〜50質量部、好ましくは、10〜30質量部である。(B)成分の量が前記上限値を超えると、発光素子が紫外線を発光する場合、樹脂組成物の硬化物が紫外光により劣化し易い。また、長期間の熱によるクラックなどが発生しやすい。
<(C)成分>
(C)硬化剤としては、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤が挙げられ、そのうち酸無水物系硬化剤が好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。硬化剤の配合量は、(A)成分中と(B)成分中のエポキシ基の合計1モルに対し、該エポキシ基と反応性の基(酸無水物系硬化剤の場合には−CO−O−CO−で表される酸無水物基)が0.4〜1.5モルとなる量、であり、好ましくは0.5〜1.2モルとなる量である。
<(D)成分>
(D)硬化触媒としては、テトラブチルホスホニウム・O,O−ジエチルホスホロジチオエート、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートなどの第四級ホスホニウム塩系硬化触媒、トリフェニルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等の有機フォスフィン系硬化触媒、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン系硬化触媒、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のオクチル酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のトルエンスルホン酸塩等の第四級アンモニウム塩系硬化触媒、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系硬化触媒などを挙げられ、好ましくは第四級ホスホニウム塩、第四級アンモニウム塩である。
(D)硬化触媒の配合量は(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.01〜3質量部、好ましくは0.05〜0.5質量部である。硬化触媒の配合量が前記下限値より少ないと、エポキシ樹脂と硬化剤のとの反応を促進させる効果を十分に得ることができないおそれがある。逆に、硬化触媒の配合量が前記上限値より多いと、硬化時やリフロー試験時の変色の原因となるおそれがある。
上記各成分に加えて、本発明の目的を逸脱しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、波長変更するための蛍光体、シリカ、酸化チタン微粉末などの無機充填剤、シラン系カップリング剤、熱可塑剤、希釈剤などを必要に応じて併用しても差し支えない。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤が好ましい。シラン系カップリング剤としては、メルカプト系シランカップリングが好ましい。
本発明の組成物は(A)〜(D)成分および所望により上記添加剤の1種又は2種以上を配合して、60℃程度の硬化が進まない温度にて溶融混合することで容易に製造することができる。溶融混合は、公知の方法でよく、例えば、上記の成分をリアクターに仕込み、バッチ式にて溶融混合してもよく、また上記の各成分をニーダーや熱三本ロールなどの混練機に投入して、連続的にて溶融混合することができる。
得られる光半導体素子封止用樹脂組成物は、上記工程で得られた溶融混合物の状態で発光素子が載置された鋳型またはケースに注入し、所定の温度下において、Bステージ化した後、固形化して使用することができる。
また、基板上にLEDを搭載したものに、組成物をポッティング、印刷法、トランスファー成型、インジェクション成型、圧縮成形などで施与してもよい。LEDなどの発光半導体装置をポッティングやインジェクションなどで被覆保護する場合、本発明の組成物は液状であることが好ましい。樹脂組成物の粘度としては、25℃の回転粘度計による測定値として10〜1,000,000mPa・s、特には100〜1,000,000mPa・s程度が好ましい。一方、トランスファー成型等で発光半導体装置を製造する場合には、上記の液状樹脂を使用することもできるが、液状樹脂を増粘させて固形化(Bステージ化)し、ペレット化した後、成型することによっても製造することができる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[(A)成分の合成]
以下の合成例において、生成物を示す平均組成式におけるnの平均値は、GPC測定による分子量分布のチャートにおいて、各nと各nにおけるピーク面積との積の総和を、全ピーク面積の総和で除して求めた値である。例えば、ある生成物のnが2〜20の整数の場合、[2×(n=2のピーク面積)+3×(n=3のピーク面積)+ … +20×(n=20のピーク面積)]/[(n=2のピーク面積)+(n=3のピーク面積)+ … +(n=20のピーク面積)]の計算から求めた値である。
<合成例1>
MeO(Me)SiO(MeSiO)Si(Me)OMe(mは0〜8の整数で、平均は1.5)1695.6g(5.966モル)OMe、イソプロピルアルコール3000ml、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越化学工業(株)製)1470g(5.966モル)を仕込んだ後、水酸化テトラメチルアンモニウムの25%水溶液72g、水648gを添加し室温で3時間攪拌した。反応終了後、系内にトルエン3000mlを入れた。リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和し、分液漏斗を用いて分離した有機層を熱水にて洗浄した。減圧下トルエンを除去したところ、下記の平均組成式で示される構造を有する、目的の樹脂(樹脂1)を得た。
・GPCで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は4300であった。エポキシ当量は403g/molであった。
29Si−NMRによる測定結果を図1に示す。−68ppm付近のピークはT単位を形成するSiを反映し、−57〜−58ppm付近のピークはD単位及びM単位を形成するSiを反映する。この結果から、該平均組成式を構成する第一の構造体単位(左側の単位)は、T単位を約90モル%、D単位とM単位とを合計で約10モル%含むことが分かった。
Figure 0005251919
(ただし、nは2〜10の整数であり、nの平均は3.5であり、一番目の単位においてはxが0、1又は2であるものが共に存在している。)
<合成例2>
HO(Me)SiO[(Me)SiO]Si(Me)OH(mは3〜18の整数で、平均は8)1500g(1.975モル)、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越化学工業(株)製)973.2g(3.950モル)、イソプロピルアルコール2300mlを仕込んだ後、水酸化テトラメチルアンモニウムの25%水溶液49.90g、水449.10gを添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、系内にトルエン2300mlを入れ、リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和した。分液漏斗を用いて分離した有機層を熱水にて洗浄した。減圧下トルエンを除去したところ、下記の平均組成式で示される構造を有する、目的の樹脂(「樹脂2」とする)を得た。GPCで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は5600であった。エポキシ当量は570g/molであった。
Figure 0005251919
(ただし、nは5〜20の整数であり、nの平均は10であり、一番目の単位においてはxが0、1又は2であるものが共に存在している。)
<合成例3>
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業(株)製80)933.30g(3.950モル)、HO(Me)2SiO[(Me)SiO]Si(Me)OH(mは3〜18の整数で、平均は8)1500g(1.975モル)、イソプロピルアルコール2300mlを仕込んだ後、水酸化テトラメチルアンモニウムの25%水溶液92.15g、水444.96gを添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、系内にトルエン2300mlを入れ、リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和した。分液漏斗を用いて分離した有機層を熱水にて洗浄した。減圧下トルエンを除去したところ、下記の平均組成式で示される構造を有する、目的の樹脂(「樹脂3」とする)を得た。GPCで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は4300であった。エポキシ当量は570g/molであった。
Figure 0005251919
(ただし、nは5〜20の整数であり、nの平均は10であり、一番目の単位においてはxが0、1又は2であるものが共に存在している。)
[(B)成分の合成]
<合成例4>
ジメチルジメトキシシラン(KBM−22、信越化学工業(株)製)187.00g(1.566モル)、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越化学工業(株)製)766.67g(3.111モル)、イソプロピルアルコール900mlを仕込んだ後、水酸化テトラメチルアンモニウムの25%水溶液21.69g、水195.21gを添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、系内にトルエン1000mlを入れ、リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和した。分液漏斗を用いて分離した有機層を熱水にて洗浄した。減圧下トルエンを除去したところ、下記の平均組成式で示される構造を有する、目的の樹脂(「樹脂4」とする)を得た。GPCで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は4200であった。エポキシ当量は267g/molであった。
Figure 0005251919
(ただし、一番目の単位においてはxが0、1又は2であるものが共に存在している。)
<合成例5>
ジメチルジメトキシシラン(KBM−22、信越化学工業(株)製)187.00g(1.566モル)、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越化学工業(株)製)383.33g(1.566モル)、イソプロピルアルコール540mlを仕込んだ後、水酸化テトラメチルアンモニウムの25%水溶液12.97g、水203.93gを添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、系内にトルエン1000mlを入れ、リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和した。分液漏斗を用いて分離した有機層を熱水にて洗浄した。減圧下トルエンをしたところ、下記の平均組成式で示される構造を有する、目的の樹脂(「樹脂5」とする)を得た。GPCで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は3100であった。エポキシ当量は359g/molであった。
Figure 0005251919
(ただし、一番目の単位においてはxが0、1又は2であるものが共に存在している。)
<合成例6>
ジメチルジメトキシシラン(KBM−22、信越化学工業(株)製)187.00g(1.566モル)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業(株)製)735.24g(3.111モル)、イソプロピルアルコール900mlを仕込んだ後、水酸化テトラメチルアンモニウムの25%水溶液20.98g、水188.82gを添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、系内にトルエン1000mlを入れ、リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和した。分液漏斗を用いて分離した有機層を熱水にて洗浄した。減圧下トルエンを除去したところ、下記の平均組成式で示される構造を有する、目的の樹脂(「樹脂6」とする)を得た。GPCで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は3500であった。エポキシ当量は295g/molであった。
Figure 0005251919
(ただし、一番目の単位においてはxが0、1又は2であるものが共に存在している。)
<実施例1〜6、比較例1、参考例1、2>
得られた各樹脂を用いて、表1に示す各組成物を調製した。同表において、硬化剤以外の数値の単位は質量部であり、各成分は以下のとおりである。
・(C)硬化剤:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH、新日本理化(株)製)
・(D)硬化触媒:第4級ホスホニウム塩(UCAT5003、サンアプロ(株)製)
シランカップリング剤:3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−802)
・エポキシ樹脂:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル化学工業(株)製)
<実施例1>
樹脂1を80質量部、樹脂4を20質量部、該樹脂1及び該樹脂4のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂1、該樹脂4及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を溶融混合し、組成物を得た。溶融混合は、先ず硬化剤、硬化触媒を60℃のオーブンで溶融し、攪拌器(「あわとり錬太郎」(商品名)、シンキー社)を用いて、2000rpmで1分間、他の成分と混合し、次いで、2200rpmで1分間、脱泡して行った。
<実施例2>
樹脂1を80質量部、樹脂5を20質量部、該樹脂1及び該樹脂5のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂1、該樹脂5及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<実施例3>
樹脂2を80質量部、樹脂4を20質量部、該樹脂2及び該樹脂4のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂2、該樹脂4及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<実施例4>
樹脂2を80質量部、樹脂5を20質量部、該樹脂2及び該樹脂5のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂2、該樹脂5及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<実施例5>
樹脂3を80質量部、樹脂6を20質量部、該樹脂3及び該樹脂6のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂3、該樹脂6及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<実施例6>
樹脂1を80質量部、樹脂4を20質量部、該樹脂1及び該樹脂4のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂1、該樹脂4及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<比較例1>
樹脂1を100質量部、該樹脂1のエポキシ基1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂1及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<参考例1>
樹脂1を78質量部、エポキシ樹脂を22質量部、該樹脂1及び該エポキシ樹脂のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂1、該エポキシ樹脂及び該硬化剤の混合物100質量部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
<参考例2>
樹脂2を90質量部、エポキシ樹脂を10質量部、該樹脂2及び該エポキシ樹脂のエポキシ基の合計1モルに対し、酸無水物基が1モルとなる量の硬化剤、更に、該樹脂2、該エポキシ樹脂及び該硬化剤の混合物100部に対し、硬化触媒0.39質量部及びシランカップリング剤0.25質量部を、実施例1と同様に溶融混合し、組成物を得た。
Figure 0005251919
(表1の注)(C)硬化剤以外の成分の単位は質量部である。
<評価試験1>
各組成物について以下の試験を行い、結果を表2に示す。
(1)物理的特性:組成物を、100℃で2時間加熱して硬化させ、さらにポストキュアを150℃で4時間行い、厚み5mmの棒状硬化物を得た。この棒状硬化物を用いて、外観、硬度(ショアD)、曲げ弾性率及び曲げ強度(JIS K−6911)を測定した。
(2)耐熱変色性:(1)と同様にして作製した棒状硬化物を高温エージング(150℃、1000時間)に付した後の外観を調べた。
(3)耐UV試験:組成物を100℃で30分プレス成形により厚さ2mmの硬化片(6cm×6cm)に成形し、ついで150℃4時間のポストキュアを行い、試験片を作成した。該試験片に2時間UV照射(高圧水銀灯 30mW/cm、365nm)後の光透過率を測定した。透過率は800〜300nmまで走査して透過率を測定し、初期の400nmにおける透過率を100%としたときの透過率を求めた。
(4)スライドガラス上に、該スライドガラスの外周に沿ってポリテトラフロロエチレン製のテープ(厚さ180μm)を貼り付け、形成された凹部に組成物を流し入れて、100℃で2時間、さらにポストキュアを150℃で4時間行って薄膜硬化物を作った。超微小硬度計(島津製作所(株)、DUH−W201S)を用いて該薄膜硬化物の微小硬度を測定した。
Figure 0005251919
(表2の注)
*1:硬化物が脆弱であり、曲げ強度を測定することができなかった。
*2:硬化物がゴム様で、曲げ強度を測定することができなかった。
<評価試験2>
各組成物について以下の試験を行い、結果を表3に示す。
・LED装置の作製と評価
実施例1、3及び比較例1の組成物を用いて、以下の方法でLED装置を各3個ずつ作成した。厚さ1mm、一辺が3mmで開口部が直径2.6mm、底辺部が銀メッキされたLED用プレモールドパッケージにInGaN系青色発光素子を銀ペーストにより固定した。次に外部電極と発光素子を金ワイヤーにて接続した。各組成物をパッケージ開口部に注入した。100℃で1時間、さらに150℃で2時間組成物を硬化させることでLED装置を作成した。作成したLED装置を用い、下記条件での温度サイクル試験と、65℃/95%RH下で500時間LED点灯試験(LEDの波長:450nm)を行い、パッケージ界面の接着不良、クラックの有無、並びに変色の有無を目視観察した。結果を表3に示す。
・・温度サイクル試験条件:
一サイクル:−40℃で20分間置き、次に125℃で20分間置く。
繰り返しサイクル数:1000
・接着強度:
実施例1、3及び比較例1の組成物を用いて、以下の方法で接着試験片を作成した。銀メッキ銅板の上に各組成物を薄く塗付した上に、2mm四方のシリコンチップを置き、100℃で1時間、さらに150℃で2時間硬化させることで接着試験片を作成した。作成した接着試験片に対し、ダイボンドテスター(装置名:Dage Series 4000 Bondtester、テストスピード:200μm/s、テスト高さ:10.0μm、測定温度:25℃)を用いて切断時による接着力を測定した。
Figure 0005251919
表2、3に示す結果から分かるように、(B)成分を欠く比較例1の組成物から得られた硬化物は、曲げ強度、耐熱変色性が悪く、LEDの光により変色した。また、(B)成分に代えて、エポキシ樹脂を含む参考例の組成物から得られた硬化物は、熱により黄変した。これに対して、実施例の組成物から得られた硬化物は、硬度が高く、且つ、変色がほとんどなかった。また、表2の微小硬度値から分かるように、実施例の組成物は、同じ条件で硬化させた比較例、参考例の組成物に比べて硬度の高い硬化物を与え、硬化速度が速いことが確認された。
本発明の組成物は硬化が速く、その硬化物は耐熱変色性、耐UV性等に優れ、光学素子封止樹脂用に有用である。

Claims (9)

  1. 下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含み、(A)成分のエポキシ当量が200〜800g/モルであり、(B)成分のエポキシ当量が(A)成分のエポキシ当量よりも、少なくとも30g/モル小さい光半導体素子封止用組成物
    (A)下記平均組成式(1)で表される、エポキシ基含有非芳香族基を有する第一のシリコーン樹脂 50〜90質量部
    Figure 0005251919

    (式(1)において、R1はエポキシ基含有非芳香族基、R2は互いに独立に水酸基、C1-20一価炭化水素基、及びC1-6アルコキシ基から選ばれる基、R3は、互いに独立に、C1-20一価炭化水素基であり、
    x及びyは互いに独立に0、1又は2の整数であり、
    aは0.25〜0.75の数、
    bは0.25〜0.75の数、
    cは0〜0.3の数、但しa+b+c=1、であり、
    nは2〜20の整数である)
    (B)下記平均組成式(2)で表される、エポキシ基含有非芳香族基を有する第二のシリコーン樹脂 10〜50質量部
    Figure 0005251919

    (式(2)において、R1、R2及びR3は上記のとおりであり、zは互いに独立に0、1又は2の整数であり、
    dは0.5〜0.8の数、
    eは0.2〜0.5の数、
    但しd+e=1、である)
    (C)エポキシ基との反応性の官能基を有する硬化剤 (A)成分中と(B)成分中のエポキシ基の合計1モルに対し、該エポキシ基と反応性の官能基が0.4〜1.5モルとなる量
    (D)硬化触媒 (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.01〜3重量部。
  2. nが3〜20の整数である、請求項1に係る組成物。
  3. (A)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜10,000である、請求項1に係る組成物。
  4. 1がβ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基またはγ−グリシドキシアルキル基である、請求項1に係る組成物。
  5. 3がメチル基である、請求項1に係る組成物。
  6. (A)成分のエポキシ当量が300〜600g/モルであり、(B)成分のエポキシ当量が250〜400g/モルである、請求項1に係る組成物。
  7. (C)成分が酸無水物である請求項1に係る組成物。
  8. メルカプト系シランカップリング剤をさらに含む請求項1に係る組成物。
  9. 光半導体素子と、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物を硬化させてなり、該光半導体素子を封止する硬化物とを有する半導体装置。

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