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JP5251698B2 - 増幅回路、増幅方法及び電源電圧調整方法 - Google Patents

増幅回路、増幅方法及び電源電圧調整方法 Download PDF

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JP5251698B2 JP2009102114A JP2009102114A JP5251698B2 JP 5251698 B2 JP5251698 B2 JP 5251698B2 JP 2009102114 A JP2009102114 A JP 2009102114A JP 2009102114 A JP2009102114 A JP 2009102114A JP 5251698 B2 JP5251698 B2 JP 5251698B2
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Description

本発明は、入力信号を増幅する増幅回路に関し、例えばB級動作クラスのバイアス方法を採用する増幅回路に関する。
図1は、増幅回路の構成例の説明図である。増幅回路は、信号源100から入力される信号を増幅するためのnチャンネル電界効果トランジスタ(FET)101を備えている。信号源100から入力された入力信号は、抵抗R10を通った後にキャパシタC10により直流成分を除去される。直流成分を除去された入力信号にはゲートバイアス電圧が加えられ、その後にFET101のゲート端子に印加される。ゲートバイアス電圧は、抵抗R11を介して接続された所定の電圧Vgを与える電源線により与えられ、この電源線はキャパシタC11を介して接地されている。
FET101のドレイン端子は、インダクタL10を介して、電圧Vdを与える電源線へ接続される。また、この電源線はキャパシタC12を介して接地されている。FET101により入力信号を増幅して得られる増幅信号がドレイン端子から出力され、直流成分除去用のキャパシタC13を経由して負荷102に印加される。
FET101のゲート電圧のバイアス方法には、ゲートにかける電圧の大きさによって、B級動作クラスやC級動作クラスなどの省電力を目的とする動作クラスがある。さらにバイアス方法には、消費電力は、上記二者より大きくなるが、ピンチオフ電圧付近に生じる信号の波形歪みを避けるため、入力信号がない期間にもバイアス電流を流すAB級動作クラスがある。
なお、クロスオーバ歪のない増幅器が提案されている。この増幅器は、クラスAB増幅器の低歪特性とクラスB増幅器の低消費電力特性を兼ね備えている。この増幅器は、無信号または低信号状態における雑音低減のために信号伸張特性を有している。
また、低歪で小型化が可能な高周波用の電力増幅器が提案されている。この電力増幅器は、バイポーラトランジスタが、複数の周波数成分を含む入力信号を増幅し、このトランジスタが発生する入力信号の差周波信号を、差周波信号検出手段を構成するコレクタチョークインダクタで検出する。そして、バイアス制御回路が、検出された差周波信号のレベルに応じて、ベース電圧源を制御して、トランジスタのバイアス点を変化させる。このため、トランジスタから歪が発生するような大振幅強度の信号を増幅する場合は、線形性の良いA級動作させて歪を抑制し、トランジスタから歪が発生しないような小振幅強度の信号を増幅する場合は、電力効率の良いB級に近い動作をさせる。
特開平6−21730号公報 特開2002−43855号公報
図2は、入力信号の第1例の波形の説明図である。入力信号の波形には、増幅する対象となる波形が存在する第1区間T1とそれ以外の区間である第2区間T2とが繰り返し現れる。第1区間T1において信号値は、下限値VLにより制限される範囲内において変動する。例えば、図2において図示された入力信号の例は、半波波形に類似した波形を有しており、第2区間T2では、信号値はほぼ下限値VLを維持したまま信号は変化しない。
上記の特徴を持つ波形を増幅する場合には、第2区間T2には増幅すべき信号波形がなく、下限値VLのより小さい範囲の波形を増幅しなくて済む。したがって、B級増幅器を使用することによって増幅器の電力消費の効率を向上できる。
次に図3を参照しながら、図2を参照して上述した特徴をもつ波形を、B級動作を行う図1の増幅回路により増幅するときの出力波形の形状を説明する。一点鎖線は、上述の特徴を有する入力信号の波形を示す。点線は、入力信号のDCレベルを示す。実線はFET101のドレイン端子からの出力信号の波形を示す。
直流成分除去用のキャパシタC10を通過した入力信号にゲートバイアス電圧が加えられると、点線で示した入力信号のDCレベルがゲートバイアス電圧と等しくなる。増幅回路がB級増幅回路として使用される場合には、ゲートバイアス電圧がピンチオフ電圧付近に設定されるため、ゲートバイアス電圧より電圧レベルが低い部分の波形は増幅されない。
図2を参照して説明した上述の特徴を有する信号をB級増幅回路に入力すると、入力信号のDCレベルが下限値VLよりも大きくなる場合がある。例えば、図2に図示した波形の場合、第2区間T2において信号値がほぼ下限値VLのまま変わらないので、入力信号のDCレベルが下限値VLよりも大きくなる。このため、入力信号の直流成分を除去してからB級増幅器へ入力すると、出力波形の形状が、入力波形をDCレベルでスライスしたような形状になってしまう。FET101の代わりにバイポーラトランジスタを使用する場合においても、出力波形は、カットオフ電圧で入力波形をスライスした形状となる。
また、上述した信号伸張特性を持つ増幅器は全波プッシュプル増幅器である。全波増幅器の場合には、全波波形信号の電圧振幅の中心をバイアス点として設定することができる。しかし、図2に示す第2区間T2が現れる波形の信号を増幅する際には、全波増幅器と同様の手法でバイアス点を決定することができない。このため、上述した信号伸張特性を有する増幅器で、図2に示すような波形の信号を取り扱うには問題がある。
開示の装置及び方法は、入力信号を増幅回路にて増幅した際の信号波形の再現性を向上することを目的とする。
実施例の一形態によれば、少なくとも上限値及び下限値のいずれか一方の制限値により制限される変動範囲内で信号値が変動する第1区間と、第1区間以外の区間である第2区間と、が繰り返し現れる波形を有する入力信号を増幅する増幅回路が与えられる。この増幅回路は、入力信号の直流成分の信号強度と、第1区間の信号値の変動範囲の上記の制限値との差が減少するように、第2区間の信号値を変更する波形変形部と、波形変形部により変形された入力信号の直流成分を除去する直流成分除去部と、直流成分が除去された入力信号を増幅する増幅部と、を備える。
上記実施例によれば、入力信号を増幅回路にて増幅した際の信号波形の再現性が向上される。
増幅回路の構成例の説明図である。 入力信号の第1例の波形の説明図である。 図2に示す波形をB級増幅回路で増幅したときの出力波形の形状の説明図である。 開示の増幅回路の構成例の説明図である。 増幅部の第1構成例の説明図である。 (A)〜(C)は波形変形部の第1構成例〜第3構成例の説明図である。 積分部による積分値の算出方法の説明図である。 区間長検出部の動作を説明する説明図である。 変形後の入力信号の波形の説明図(その1)である。 開示の信号増幅方法の処理の第1例の説明図である。 (A)及び(B)は変形後の入力信号の波形の他の例の説明図である。 (A)〜(C)は波形変形部の第4構成例〜第6構成例の説明図である。 第2積分部による積分値の算出方法の説明図である。 開示の信号増幅方法の処理の第2例の説明図である。 (A)及び(B)は、入力信号のデューティ比の変化に伴う信号強度Vtの変化の説明図である。 変形後の入力信号の波形の説明図(その2)である。 (A)は入力信号の波形の説明図であり、(B)は(A)は入力信号の直流成分を除去した後の入力信号の波形の説明図であり、(C)は信号強度Vtの説明図である。 増幅部の第2構成例の説明図である。 入力信号の第2例の波形の説明図である。 増幅部の第3構成例の説明図である。 (A)〜(C)は波形変形部の出力信号の例の説明図である。 開示の交流信号増幅回路の構成例の説明図である。
以下、図面を参照して実施例を説明する。図4は、開示の増幅回路の構成例の説明図である。参照符号1は増幅回路を示し、参照符号2は負荷を示し、参照符号10は波形変形部を示し、参照符号11はデジタルアナログ変換器(DAC)を示す。参照符号13は増幅部を示す。参照符号14は、増幅回路1へ入力信号を印加する入力線を示し、参照符号15は、入力信号を増幅した増幅信号を増幅回路1から負荷2へ出力する出力線を示す。
増幅回路1は、デジタル形式の入力信号をアナログ信号に変換してから、所定の電圧利得Aで入力信号を増幅し、入力信号を増幅した増幅信号を負荷2へ印加する。増幅回路1には、図2を参照して上述した特徴を有する信号が入力され、このような入力信号を増幅するために増幅回路1は使用される。
増幅回路1は、波形変形部10と、DAC11と、増幅部13とを備える。波形変形部10は、入力信号の波形のうち、図2を参照して説明した第2区間T2の部分の信号値を変更することによって入力信号の波形を変更する。波形変形部10による波形の変形処理の内容は後述する。波形変形部10は、波形が変形された入力信号をDAC11へ入力する。DAC11は、入力信号をアナログ信号に変換して増幅部13へ入力する。
増幅部13は、入力信号を増幅した後、増幅によって得られる増幅信号を負荷2へ印加する。図5は、増幅部13の第1構成例の説明図である。参照符号20はnチャンネルFETであるFETを示し、参照符号R1は抵抗を示し、参照符号C1〜C4はキャパシタを示し、参照符号L1はインダクタを示す。
増幅部13は、増幅素子として使用されるFET20のソース接地回路を備える。直流成分除去用キャパシタC1を経由した後のDAC11の出力信号には、ゲートバイアス電圧が加えられ、その後にFET20のゲート端子に印加される。ゲートバイアス電圧は、抵抗R1を介して接続された所定の電圧Vgを与える電源線により与えられ、この電源線はキャパシタC2を介して接地されている。
FET20のドレイン端子は、インダクタL1を介して電圧Vdを与える電源線へ接続される。また、この電源線はキャパシタC3を介して接地される。FET20のドレイン端子は、直流成分除去用のキャパシタC4を介して負荷2に接続されており、FET20は、DAC11から入力した入力信号を増幅し、この増幅によって得られた増幅信号を負荷2へ出力する。
図6の(A)〜図6の(C)は波形変形部10の第1構成例〜第3構成例の説明図である。参照符号30は積分部を示し、参照符号31は区間長検出部を示し、参照符号32は信号強度調整部を示し、参照符号33は波形生成部を示し、参照符号34〜36は平滑部を示す。
波形変形部10の構成要素30〜36の一部又は全部は、専用のハードウエア回路によって実現されてよい。波形変形部10は、プロセッサとその動作プログラムを記憶する記憶素子を備えてもよい。プロセッサが動作プログラムを実行することにより、構成要素30〜36の一部又は全部の処理が実行されてもよい。波形変形部10は、FPGAなどのプログラム可能なLSIを備えてもよい。FPGAがコンフィギュレーションされることによって、FPGAが構成要素30〜36の一部又は全部の処理を実行してもよい。
図6の(A)の構成では、波形変形部10は、積分部30と、区間長検出部31と、信号強度調整部32と、波形生成部33とを備える。積分部30は、第1区間T1の信号値と、下限値VLとの間の電位差の積分値Spを算出する。図7は、積分部30による積分値Spの算出方法の説明図である。積分部30は、入力信号の電圧を測定する測定時間を所定の積分期間Ts毎に分割する。積分部30は、次の式(1)のように、各積分期間Tsにおいて、第1区間T1における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(Vin−VL)の積分値Spを算出する。
Figure 0005251698
式(1)において、ΔTは入力信号のサンプリング周期である。なお、図2の波形の例のように、第2区間T2で、入力信号の信号値はほぼ下限値VLを維持したまま信号は変化しない場合には、積分部30は、積分期間Tsの全期間における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(Vin−VL)の積分値Spを算出してもよい。
区間長検出部31は、各積分期間Tsにおける第2区間T2の区間長の合計Lを算出する。図8は、区間長検出部31の動作を説明する説明図である。ある積分期間にm個の第2区間T2が存在し、それぞれの第2区間T2の区間長がL1、L2…Lmであるとき、区間長検出部31は、これらの区間長の合計L=(L1+L2+…+Lm)を算出する。
信号強度調整部32は、次の式(2)により与えられる信号強度Vt(t)を所定の周期毎に決定する。時刻tは、信号強度調整部32が信号強度Vt(t)を決定する決定タイミングである。Vt(t)は、ある決定タイミングtにおいて信号強度調整部32により決定される信号強度を示す。
t(t)=Sp/L (2)
波形生成部33は、信号強度調整部32により決定された信号強度Vt(t)を入力する。波形生成部33は、第2区間T2における信号値が(VL−Vt(t))となるように、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。波形生成部33によって、第2区間T2における波形が生成されることにより、入力信号の波形は図9に示すように変形される。
図9において、一点鎖線は入力信号の波形を示し、二点鎖線は波形生成部33によって第2区間T2における波形が生成された、変形後の入力信号の波形を示す。点線は入力信号のDCレベルを示し、実線は変形後の入力信号のDCレベルを示す。図9に示す通り、波形生成部33によって第2区間T2における波形が生成されることにより、第2区間T2には、下限値VLを基準とした振幅Vt(t)の矩形波が挿入される。
上記の式(2)から明らかな通り、第1区間T1における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(Vin−VL)の積分値Spと、第2区間T2における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(VL−Vin)すなわちVt(t)の積分値は等しい。したがって、変形後の入力信号のDCレベルは、下限値VLと等しくなる。
このため、変形後の入力信号を図5の増幅部13へ入力し、直流成分をキャパシタC1で除去した後に変形後の入力信号にゲートバイアス電圧を加えると、実線で示したDCレベルがゲートバイアス電圧と等しくなる。増幅部13から出力される出力波形は、二点鎖線で示した変形後の入力信号の波形を、実線で示したDCレベル、すなわち第1区間における信号値の変動範囲の下限値VLでスライスした形状となる。
このため、第1区間の波形は、ゲートバイアス電圧によりスライスされずに増幅部13で増幅される。このように、本実施例によれば入力信号の第1区間の波形をスライスせずに増幅することができ、増幅部13で増幅した信号の波形の再現性を向上することができる。なお、波形生成部33は、第2区間T2における入力信号の波形を生成するのに代えて及び/又はこれに加えて、第1区間T1における入力信号の波形を第1区間T1に亘って一律にΔVだけ変更させることによって、変更した後の第1区間T1の信号値の下限値(VL+ΔV)と、第2区間T2の信号値との差が、Vt(t)となるように入力信号の波形を変更してもよい。例えば、波形生成部33は、第1区間T1における入力信号の波形を第1区間T1に亘って一律にVt(t)だけ増加させる処理を行ってもよい。このように、波形生成部33による第2区間T2の信号値の変更は、第1区間T1の信号値を変更することによって第1区間T1の信号値に対する第2区間T2の相対的な信号値を変更するものであってもよい。
図6の(B)の構成では、波形変形部10は、積分部30と、区間長検出部31と、信号強度調整部32と、波形生成部33と、平滑部34を備える。平滑部34は、信号強度調整部32により決定される信号強度Vt(t)の変化を平滑化する。平滑部34は、信号強度Vt(t)の変化を平滑化した後の値である信号強度Vtf(t)を出力する。波形生成部33は、第2区間T2における信号値が(VL−Vtf(t))となるように、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。
平滑部34は、信号強度Vt(t)の移動平均値を信号強度Vtf(t)として算出することで、信号強度Vt(t)の変化を平滑化してよい。例えば、平滑部34は、過去n回決定された信号強度Vt(t)をVt(i)として記憶し(iは1〜nの整数)、次の式(3)に従って、平滑化された信号強度Vtf(t)を算出するアキュームレータであってもよい。
tf(t)=(Vt(1)+Vt(2)+…+Vt(n))/n (3)
図6の(C)の構成では、波形変形部10は、積分部30と、区間長検出部31と、信号強度調整部32と、波形生成部33と、平滑部35及び36を備える。平滑部35は、積分部30が算出した積分値Spの変化を平滑化する。平滑部35は、積分値Spの変化を平滑化した後の値である積分値Spfを出力する。
平滑部36は、区間長検出部31が算出した区間長の合計Lを平滑化する。平滑部36は、区間長の合計Lの変化を平滑化した後の値である区間長の合計Lfを出力する。信号強度調整部32は、次の式(4)により与えられる信号強度Vt(t)を所定の周期毎に決定する。積分値Spの変化や区間長の合計Lの変化を平滑化した場合も、信号強度調整部32により決定される信号強度Vt(t)の変化が平滑化される。
t(t)=Spf/Lf (4)
平滑部35は、積分値Spの移動平均値を積分値Spfとして算出することで、積分値Spの変化を平滑化してよい。例えば、平滑部35は、過去n回算出された積分値SpをSp(i)として記憶し(iは1〜nの整数)、次の式(5)に従って、平滑化された積分値Spfを算出するアキュームレータであってもよい。
pf=(Sp(1)+Sp(2)+…+Sp(n))/n (5)
平滑部36は、区間長の合計Lの移動平均値を区間長の合計Lfとして算出することで、区間長の合計Lの変化を平滑化してよい。例えば、平滑部35は、過去n回算出された区間長の合計LをL(i)として記憶し(iは1〜nの整数)、次の式(6)に従って、平滑化された区間長の合計Lfを算出するアキュームレータであってもよい。
f=(L(1)+L(2)+…+L(n))/n (6)
図10は、開示の信号増幅方法の処理の第1例の説明図である。なお、別な実施の態様においては、下記のオペレーションAA〜オペレーションAFの各オペレーションはステップであってもよい。
オペレーションAAにおいて、入力信号が増幅回路1に入力される。この入力信号は、波形変形部10の積分部30と区間長検出部31と、波形生成部33に入力される。
オペレーションABにおいて積分部30は、上述の通り、積分期間Tsにおける積分値Spを算出する。また区間長検出部31は、積分期間Ts内の第2区間T2の区間長の合計Lを算出する。積分値Spの変化及び区間長の合計Lの変化は、それぞれ平滑部35及び36によって平滑化されてよい。
オペレーションACにおいて信号強度調整部32は、上述の通り、信号強度Vt(t)を決定する。信号強度Vt(t)の変化は、平滑部34によって平滑化されてよい。
オペレーションADにおいて波形生成部33は、上述の通り、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。波形生成部33によって第2区間T2における波形が生成されることにより、入力信号の波形は変形される。変形された入力信号は増幅部13へ入力される。
オペレーションAEにおいて増幅部13の直流成分除去用キャパシタC1は、変形された入力信号の直流成分を除去する。直流成分を除去された入力信号にはゲートバイアス電圧が加えられる。
オペレーションAFにおいてFFT20は、直流成分を除去され、ゲートバイアス電圧が加えられた入力信号を増幅する。ゲートバイアス電圧が加えられた入力信号のDCレベルは、第1区間における信号値の変動範囲の下限値VLと等しいため、入力信号の第1区間T1の波形はスライスされずにFFT20によって増幅される。
上記実施例では、図9に示すように、波形生成部33は、第2区間T2に振幅Vt(t)の矩形波形を挿入することによって入力信号の波形を変形した。しかし、第2区間T2に挿入される信号は、変形後の入力信号のDCレベルと、第1区間T1における信号値の変動範囲の下限値VLと、の差を低減させるものであればいかなる波形でもよい。
図11の(A)及び図11の(B)は変形後の入力信号の波形の他の例の説明図である。図11の(A)の例では、波形生成部33は、三角波を第2区間T2に挿入する。図11の(B)の例では、波形生成部33は、正弦波を第2区間T2に挿入する。信号強度調整部32は、波形生成部33がこれらの波形を第2区間T2に挿入する場合にそれぞれ適した信号強度Vt(t)を算出する。以下のいずれの実施例においても同様である。
図12の(A)〜図12の(C)は波形変形部10の第4構成例〜第6構成例の説明図である。参照符号40は第1積分部を示し、参照符号41は第2積分部を示し、参照符号42は差分算出部を示し、参照符号43は変更量算出部を示し、参照符号44及び45は平滑部を示す。
波形変形部10の構成要素32、33及び40〜45の一部又は全部は、専用のハードウエア回路によって実現されてよい。波形変形部10は、プロセッサとその動作プログラムを記憶する記憶素子を備えてもよい。プロセッサが動作プログラムを実行することにより、構成要素32、33及び40〜45の一部又は全部の処理が実行されてもよい。波形変形部10は、FPGAなどのプログラム可能なLSIを備えてもよい。FPGAがコンフィギュレーションされることによって、FPGAが構成要素32、33及び40〜45の一部又は全部の処理を実行してもよい。
図12の(A)の構成では、波形変形部10は、第1積分部40と、第2積分部41と、差分算出部42と、変更量算出部43と、信号強度調整部32と、波形生成部33を備える。
波形生成部33は、上述した図6の(A)における波形生成部33と同様に、信号強度調整部32により決定された信号強度Vt(t)に応じて、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。波形生成部33によって、第2区間T2における波形が生成されることにより、入力信号の波形が変形される。
第1積分部40は、上述した図6の(A)における積分部30と同様にして、第1区間T1の信号値と、下限値VLとの間の電位差の積分値Spを算出する。第2区間T2で、入力信号の信号値はほぼ下限値VLを維持したまま信号は変化しない場合には、第1積分部40は、積分期間Tsの全期間における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(Vin−VL)の積分値Spを算出してもよい。
第2積分部41は、入力信号と、信号強度調整部32が決定した信号強度Vt(t)を入力する。第2積分部41は、信号強度調整部32が前回決定した信号強度Vt(t−1)に基づき波形生成部33により生成される第2区間T2の波形の信号値と、第1区間T1の信号値の下限値VLとの間の電位差の積分値Snを算出する。図13は、第2積分部41による積分値の算出方法の説明図である。
第2積分部41は、次の式(7)のように、各積分期間Tsにおいて、第2区間T2における入力電圧Vt(t−1)と下限値VLとの差分(VL−Vt(t−1))の積分値Snを算出する。
Figure 0005251698
差分算出部42は、第1積分部40が算出した積分値Spと第2積分部41が算出した積分値Snの差分ΔS=(Sp−Sn)を算出する。
変更量算出部43は、差分ΔSに応じて信号強度Vt(t)の変更量である信号強度変更量ΔVtを算出する。変更量算出部43は、次の式(8)に示すように差分ΔSを信号強度変更量ΔVtとしてよい。
ΔVt=(Sp−Sn) (8)
信号強度調整部32は、次の式(9)に示すように、1つ前の決定タイミング(t−1)における信号強度Vt(t−1)に信号強度変更量ΔVtを加えることによって、信号強度Vt(t)を変更する。
t(t)=Vt(t−1)+ΔVt (9)
上記の信号強度Vt(t)の変更方法によれば、第1区間T1の信号値と下限値VLとの差分の積分値Spが、第2区間T2の信号値と下限値VLとの差分の積分値Snよりも大きいとき(Sp>Sn)、信号強度調整部32は、Vt(t)を増加させる。Sp>Snのときは、第2区間T2の信号の振幅Vt(t)が過小なために、波形変更後の入力信号のDCレベルが下限値VLより大きい状態にある。したがって、信号強度調整部32がVt(t)を増加させることにより、波形変更後の入力信号のDCレベルが下限値VLに近づくことになる。
一方でSp<Snのときは、信号強度調整部32は、Vt(t)を減少させる。Sp<Snのときは、第2区間T2の信号の振幅Vt(t)が過大なために、波形変更後の入力信号のDCレベルが下限値VLより小さい状態にある。したがって、信号強度調整部32がVt(t)を減少させることにより、波形変更後の入力信号のDCレベルが下限値VLに近づくことになる。
図12の(B)の構成では、波形変形部10は、第1積分部40と、第2積分部41と、差分算出部42と、変更量算出部43と、信号強度調整部32と、波形生成部33と、平滑部44を備える。平滑部44は、図6の(B)の平滑部34と同様に、信号強度Vt(t)の変化を平滑化した後の値である信号強度Vtf(t)を出力する。波形生成部33は、第2区間T2における信号値が(VL−Vtf(t))となるように、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。また、第2積分部41は、平滑化された信号強度Vtf(t−1)に基づき波形生成部33により生成される第2区間T2の波形の信号値と、第1区間T1の信号値の下限値VLとの間の電位差の積分値Snを算出する。
図12の(C)の構成では、波形変形部10は、第1積分部40と、第2積分部41と、差分算出部42と、変更量算出部43と、信号強度調整部32と、波形生成部33と、平滑部45を備える。平滑部45は、差分算出部42が算出した差分ΔSの変化を平滑化する。平滑部45は、差分ΔSの変化を平滑化した後の値である差分ΔSfを出力する。変更量算出部43は、差分ΔSfに応じて信号強度Vt(t)の変更量である信号強度変更量ΔVtを算出する。変更量算出部43は、差分ΔSfを信号強度変更量ΔVtとしてもよい。差分ΔSfの変化を平滑化した場合も、信号強度調整部32により決定される信号強度Vt(t)の変化が平滑化される。
平滑部45は、差分ΔSの移動平均値を差分ΔSfとして算出することで、差分ΔSの変化を平滑化してよい。例えば、平滑部45は、過去n回決定された差分ΔSをΔS(i)として記憶し(iは1〜nの整数)、次の式(10)に従って、平滑化された差分ΔSfを算出するアキュームレータであってもよい。
ΔSf(t)=(ΔS(1)+ΔS(2)+…+Δ(n))/n (10)
図14は、開示の信号増幅方法の処理の第2例の説明図である。なお、別な実施の態様においては、下記のオペレーションBA〜オペレーションBHの各オペレーションはステップであってもよい。
オペレーションBAにおいて、入力信号が増幅回路1に入力される。この入力信号は、波形変形部10の第1積分部40と第2積分部41と、波形生成部33に入力される。
オペレーションBBにおいて第1積分部40は、上述の通り、積分期間Tsにおける積分値Spを算出する、また、第2積分部41は、上述の通り、積分期間Tsにおける積分値Snを算出する。
オペレーションBCにおいて差分算出部42は、上述の通り、差分ΔSを算出する。差分ΔSの変化は、平滑部45によって平滑化されてよい。オペレーションBDにおいて変更量算出部43は、上述の通り、信号強度変更量ΔVtを算出する。オペレーションBEにおいて信号強度調整部32は、上述の通り、信号強度Vt(t)を決定する。信号強度Vt(t)の変化は、平滑部44によって平滑化されてよい。
オペレーションBFにおいて波形生成部33は、上述の通り、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。これにより入力信号の波形が変形される。
オペレーションBGにおいて増幅部13の直流成分除去用キャパシタC1は、変形された入力信号の直流成分を除去する。直流成分を除去された入力信号にはゲートバイアス電圧が加えられる。
オペレーションBHにおいてFFT20は、直流成分を除去され、ゲートバイアス電圧が加えられた入力信号を増幅する。ゲートバイアス電圧が加えられた入力信号のDCレベルは、第1区間における信号値の変動範囲の下限値VLと等しいため、入力信号の第1区間T1の波形はスライスされずにFFT20によって増幅される。
上述の通り、本実施例の増幅回路1によれば、波形生成部33によって波形が変更された後の入力信号のDCレベルが、第1区間における信号値の変動範囲の下限値VLに近づく。このため増幅回路1から出力される出力波形において、第1区間における波形がスライスされる量が低減される。これによって、増幅回路1で増幅した信号の波形の再現性を向上することができる。
次に、入力波形の変化に対する信号強度Vt(t)の変化の応答性すなわち時定数について説明する。信号強度Vt(t)の値は、第1区間T1における信号値と下限値VLとの間の電位差の積分値Spが大きくなるにつれて増加する。このため信号強度Vt(t)の値は、第1区間T1と第2区間T2の割合に応じて変化する。以下の説明において、ある区間に占める第1区間T1の割合のことを「デューティ比」と記すことがある。
図15の(A)は、入力信号のデューティ比の変化を示す図である。図15の(B)は、入力信号のデューティ比の変化に伴う信号強度Vt(t)の変化の説明図である。区間Aや区間Cにおいてデューティ比が増大すると、信号強度Vt(t)が大きくなる。区間Bにおいてデューティ比が減少すると、信号強度Vt(t)が小さくなる。
図16は、デューティ比が比較的小さい期間における変形後の入力信号の波形の説明図である。図16において、一点鎖線は入力信号の波形を示し、二点鎖線は波形生成部33によって第2区間T2における波形が生成された、変形後の入力信号の波形を示す。実線は変形後の入力信号のDCレベルを示す。
図9の入力信号の波形と比べると、図16の入力信号の波形はデューティ比が比較的小さい。このため、図16の入力信号の第1区間T1における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(Vin−VL)の積分値Spは、図9の入力信号の波形のそれよりも小さくなる。その結果、図16の入力信号の第2区間T2における入力電圧Vinと下限値VLとの差分(VL−Vin)すなわちVt(t)は、図9の入力信号の波形のそれよりも小さくなる。
このように入力信号のデューティ比の変化に応じて信号強度Vt(t)は変化する。ここで信号強度Vt(t)は、波形変形部10によって第2区間T2に挿入される波形の振幅を定めるものである。波形変形部10は、信号強度Vt(t)によって定められた波形を第2区間T2に挿入されることによって入力信号のDCレベルを下限値VLと近づける。すなわち、波形変形部10は、入力信号の波形のデューティ比の変化に伴う入力信号のDCレベルの変化に応じて信号強度Vt(t)を変化させる。
入力信号のDCレベルの変化は、図5の直流成分除去用のキャパシタC1を通過した後の波形の信号強度の変化をもたらす。図17の(A)は入力信号の波形の説明図であり、図17の(B)は、図17の(A)の信号の直流成分を除去した後の波形の説明図である。区間Aや区間Cにおいてデューティ比が増大すると、DCレベルが増大し、直流成分除去後の信号の信号強度の低下量が増加する。区間Bにおいてデューティ比が減少すると、DCレベルが減少し、直流成分除去後の信号の信号強度の低下量が減少する。
信号強度Vt(t)は、デューティ比の変化に伴う直流成分除去後の信号の信号強度の変化を補償するように変化することが望ましい。図17の(C)は、図17の(B)の直流成分除去後の信号の信号強度の変化を補償するように変化している信号強度Vt(t)の変化を示す。
デューティ比の変化に伴う直流成分除去後の信号の信号強度の変化は、図5のキャパシタC1及び抵抗R1により形成されるハイパスフィルタによって、入力信号の低周波成分が除去されることにより生じる。したがって、波形変形部10は、このハイパスフィルタで除去される予定の低周波成分を予め打ち消すように入力信号を変形しておくことによって、直流成分除去用のキャパシタC1を通過した後の波形の信号強度の低下を防ぐことができる。
すなわち、入力信号の波形のデューティ比の変化に伴う信号強度Vt(t)の応答性すなわち時定数は、ハイパスフィルタで除去される予定の低周波成分を、打ち消すように決定されるのが望ましい。ここで、ハイパスフィルタで除去される低周波成分は、ハイパスフィルタのカットオフ周波数fc=(1/(2×π×R1×C1)より小さい成分である。したがって、信号強度Vt(t)の応答性すなわち時定数は、信号強度Vt(t)の応答によってカットオフ周波数fc以下の低周波成分が、入力信号から予め打ち消されるように設定されるのが望ましい。信号強度Vt(t)の応答性は、上記の積分期間Tsの長さや、平滑部34〜36、44や45による移動平均処理の平均区間nを調整することによって設定することができる。
なお、上記の構成例では、増幅部13は増幅素子として使用されるFET20のソース接地回路を備える。増幅部13はFET20のドレイン接地回路を備えてもよい。図18は、増幅部13の第2構成例の説明図である。参照符号20はnチャンネルFETであるFETを示し、参照符号R1は抵抗を示し、参照符号C1〜C4はキャパシタを示し、参照符号L2はインダクタを示す。
直流成分除去用キャパシタC1を経由した後のDAC11の出力信号には、ゲートバイアス電圧が加えられ、その後にFET20のゲート端子に印加される。ゲートバイアス電圧は、抵抗R1を介して接続された所定の電圧Vgを与える電源線により与えられ、この電源線はキャパシタC2を介して接地されている。
FET20のソース端子は、電圧Vdを与える電源線へ接続される。この電源線はキャパシタC3を介して接地される。FET20のドレイン端子はインダクタL2を介して接地されており、ドレイン端子から出力される出力信号は、直流成分除去用のキャパシタC4を介して負荷2へ出力される。
また、上記の説明では、FETを増幅素子に有する増幅回路を例示した説明を行った。しかしながら、開示の装置及び方法はB級増幅回路であれば広く適用可能である。したがって開示の装置及び方法の範囲は、FETを使用する増幅回路にのみ限定されない。開示の装置及び方法の範囲は、上記の構成及び方法によりバイアスが調整されるB級増幅回路を含む。例えば、増幅素子はパイポーラトランジスタでもよい。
図19は、入力信号の第2例の波形の説明図である。入力信号の波形には、増幅する対象となる波形が存在する第1区間T1とそれ以外の区間である第2区間T2とが繰り返し現れる。第1区間T1において信号値は、上限値VUにより制限される範囲内において変動する。この入力信号の例は、半波波形に類似した波形を有しており、第2区間T2では、信号値はほぼ上限値VUを維持したまま信号は変化しない。
図4に示す増幅回路1を、図12に示す入力信号を増幅するために使用してもよい。この場合に積分部30及び第1積分部40は、各積分期間Tsにおいて、第1区間T1における入力電圧Vinと上限値VUとの差分(VU−Vin)の積分値を積分値Spとして算出する。第2区間T2で、入力信号の信号値はほぼ上限値VUを維持したまま信号は変化しない場合には、積分部30は、積分期間Tsの全期間における入力電圧Vinと上限値VUとの差分(Vin−VU)の積分値を積分値Spとして算出してもよい。
また、第2積分部41は、各積分期間Tsにおいて、第2区間T2における入力電圧Vt(t−1)と上限値VUとの差分(Vt(t−1)−VU)の積分値を積分値Snとして算出する。波形生成部33は、第2区間T2における信号値が(Vt(t)−VU)となるように、第2区間T2における入力信号の波形を生成する。
また、図19に示す第1区間T1の波形を増幅するために、図20に示すように増幅部13を構成する。参照符号50はpチャンネルFETであるFETを示し、参照符号R1は抵抗を示し、参照符号C1〜C4はキャパシタを示し、参照符号L3はインダクタを示す。
増幅部13は、増幅素子として使用されるFET50のソース接地回路を備える。直流成分除去用キャパシタC1を経由した後のDAC11の出力信号には、ゲートバイアス電圧が加えられ、その後にFET50のゲート端子に印加される。ゲートバイアス電圧は、抵抗R1を介して接続された所定の負の極性の電圧−Vgを与える電源線により与えられ、この電源線はキャパシタC2を介して接地されている。
FET50のドレイン端子は、インダクタL3を介して負の極性の電圧−Vdを与える電源線へ接続される。また、この電源線はキャパシタC3を介して接地される。FET50のドレイン端子は、直流成分除去用のキャパシタC4を介して負荷2に接続されており、FET20は、DAC11から入力した入力信号を増幅し、この増幅によって得られた増幅信号を負荷2へ出力する。
図21の(A)〜図21の(C)は波形変形部10の出力信号の例の説明図である。図21の(A)に示すように、波形変形部10による変形前の入力信号における第1区間T1の信号値の変動範囲の下限値VLと、変形後の信号における第1区間T1の信号値の変動範囲の下限値VLとは等しくてもよい。
他の実施例においては、波形変形部10による変形後の入力信号における第1区間T1の信号値の変動範囲の下限値Vxは、変形前の入力信号における第1区間T1の信号値の変動範囲の下限値VLと等しくなくてもよい。このような波形変形部10の出力信号の例を図21の(B)に示す。波形変形部10は、波形変形部10によって変形された後の入力信号の第1区間T1の信号値の変動範囲の下限値Vxへ入力信号のDCレベルを近づけるように、入力信号の波形を変形する。このような波形変形部10は、波形生成部33の後段に所定の定数を加算する加算器を設けることによって実現してよい。
また、波形変形部10による変形後の入力信号における第1区間T1の信号値の振幅(a×ΔV)は、変形前の入力信号における第1区間T1の信号値の振幅ΔVと等しくなくてもよい。このような波形変形部10の出力信号の例を図21の(C)に示す。この場合も、波形変形部10は、波形変形部10によって変形された後の入力信号の第1区間T1の信号値の変動範囲の下限値Vxへ入力信号のDCレベルを近づけるように、入力信号の波形を変形する。このような波形変形部10は、波形生成部33の後段に所定の定数を乗ずる乗算器を設けることによって実現してよい。
図22は、開示の交流信号増幅回路100の構成例の説明図である。交流信号増幅回路100は、マイクロ波帯の交流信号である入力交流信号を増幅する回路である。参照符号1は図4を参照して説明した増幅回路を示し、参照符号60は高出力アンプ(HPA)を示し、参照符号61は包絡信号生成部を示し、参照符号62は波形反転部を示し、参照符号L4はインダクタを示す。なお、増幅回路1の増幅部13を図18に示すように構成する場合、波形反転部62は不要である。
交流信号増幅回路100は、増幅回路1と、HPA60と、包絡信号生成部61と、波形反転部62と、インダクタL4を備える。HPA60は、マイクロ波帯の入力交流信号を増幅する増幅素子である。包絡信号生成部61は、HPA60に入力される入力交流信号の包絡線波形を有する包絡信号を生成する。包絡信号生成部61は、生成した包絡信号を、図4を参照して説明した増幅回路1へ入力する。包絡信号は、例えばVHF帯の信号となる。
増幅回路1は、包絡信号を増幅し、増幅により得られる信号を波形反転部62へ出力する。波形反転部62は、比較的大きな入力に対して比較的小さな信号を出力し、比較的小さな入力に対して比較的大きな信号を出力することにより、増幅された包絡信号の波形を、信号強度の大小関係について反転した反転信号を生成する。波形反転部62は、インダクタL4を介して電源線から供給される電源電圧Vddに反転信号を加える。反転信号が加えられた電源電圧は電源としてHPA60に供給される。
上記構成によって、HPA60には、入力交流信号の包絡線の振幅が大きい期間には大きな電圧の電源が供給され、入力交流信号の包絡線の振幅が小さい期間には小さな電圧の電源が供給されるため、HPA60による消費電力が節約される。
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
少なくとも上限値及び下限値のいずれか一方の制限値により制限される変動範囲内で信号値が変動する第1区間と、該第1区間以外の区間である第2区間と、が繰り返し現れる波形を有する入力信号を増幅する増幅回路であって、
前記入力信号の直流成分の信号強度と、前記第1区間の信号値の変動範囲の前記制限値との差が減少するように、前記第2区間の信号値を変更する波形変形部と、
前記波形変形部により変形された前記入力信号の直流成分を除去する直流成分除去部と、
直流成分が除去された前記入力信号を増幅する増幅部と、
を備える増幅回路。
(付記2)
前記波形変形部による前記第2区間の信号値の変更は、前記第1区間の信号値を変更することによって前記第1区間の信号値に対する前記第2区間の相対的な信号値を変更することを含む付記1に記載の増幅回路。
(付記3)
前記波形変形部は、
所定の区間において、前記第1区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
前記第2区間が前記所定の区間に占める区間長を検出する区間長検出部と、
第1の積分部により算出された積分値と前記区間長とに応じて、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する信号強度調整部と、
を備える付記1又は2に記載の増幅回路。
(付記4)
前記波形変形部は、
所定の区間において、前記第1区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
前記所定の区間における、前記第2区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第2の積分部と、
前記第1及び第2の積分部により算出された積分値間の差が減少するように、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する、信号強度調整部と、
を備える付記1又は2に記載の増幅回路。
(付記5)
前記第2区間における前記入力信号の信号値は、前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値と同じ値を有し、
前記波形変形部は、
所定の区間において、前記入力信号と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
前記第2区間が前記所定の区間に占める区間長を検出する区間長検出部と、
第1の積分部により算出された積分値と前記区間長とに応じて、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する信号強度調整部と、
を備える付記1又は2に記載の増幅回路。
(付記6)
前記第2区間における前記入力信号の信号値は、前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値と同じ値を有し、
前記波形変形部は、
所定の区間において、前記入力信号と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
前記所定の区間における、前記第2区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記種類の制限値との間の差分を積分する第2の積分部と、
前記第1及び第2の積分部により算出された積分値間の差が減少するように、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する、信号強度調整部と、
を備える付記1又は2に記載の増幅回路。
(付記7)
前記波形変形部により変更された前記第2区間の信号値の変化を平滑化する平滑化部を備える付記1〜6のいずれか一項に記載の増幅回路。
(付記8)
前記増幅部は、直流成分が除去された前記入力信号をB級動作によって増幅する付記1〜7のいずれか一項に記載の増幅回路。
(付記9)
付記1〜8のいずれか一項に記載の増幅回路と、
交流信号を増幅する増幅器と、
前記交流信号の包絡線信号を生成し、前記入力信号として前記増幅回路へ入力する包絡線信号生成部と、
前記増幅回路から出力される前記増幅信号に応じて前記増幅器への電源電圧を調整する電源電圧調整部と、
を備える増幅回路。
(付記10)
少なくとも上限値及び下限値のいずれか一方の制限値により制限される変動範囲内で信号値が変動する第1区間と、該第1区間以外の区間である第2区間と、が繰り返し現れる波形を有する入力信号の増幅方法であって、
前記入力信号の直流成分の信号強度と、前記第1区間の信号値の変動範囲の前記制限値との差が減少するように、前記第2区間の信号値を変更し、
前記第2区間の信号値を変更された前記入力信号の直流成分を除去し、
直流成分が除去された前記入力信号を第1の増幅器によって増幅する、増幅方法。
(付記11)
前記第1の増幅器は、直流成分が除去された前記入力信号をB級動作によって増幅する付記10に記載の増幅方法。
(付記12)
付記10又は11に記載の増幅方法によって、第2の増幅器へ入力される交流信号の包絡線信号を前記第1の増幅器により増幅し、
前記第1の増幅器から出力される前記増幅信号に応じて前記第2の増幅器への電源電圧を調整する、電源電圧調整方法。
1 増幅回路
2 負荷
10 波形変形部
13 増幅部
14 電流検出部
20 電界効果トランジスタ
30 積分部
31 区間長検出部
32 信号強度調整部
33 波形生成部
40 第1積分部
41 第2積分部
43 変更量算出部
C1 直流成分除去用キャパシタ

Claims (11)

  1. 少なくとも上限値及び下限値のいずれか一方の制限値により制限される変動範囲内で信号値が変動する第1区間と、該第1区間以外の区間である第2区間と、が繰り返し現れる波形を有する入力信号を増幅する増幅回路であって、
    前記入力信号の直流成分の信号強度と、前記第1区間の信号値の変動範囲の前記制限値との差が減少するように、前記第2区間の信号値を変更する波形変形部と、
    前記波形変形部により変形された前記入力信号の直流成分を除去する直流成分除去部と、
    B級動作を行い直流成分が除去された前記入力信号を増幅する増幅部と、
    を備える増幅回路。
  2. 前記制限値は下限値であって、
    前記波形変形部による前記第2区間の信号値の変更は、前記第1区間の信号値を変更して前記第1区間の信号値に対する前記第2区間の相対的な信号値を変更することによって、前記入力信号の直流成分の信号強度と変更後の前記第1区間の信号値の変動範囲の下限値との差を低減することを含む請求項1に記載の増幅回路。
  3. 前記制限値は上限値であって、
    前記波形変形部による前記第2区間の信号値の変更は、前記第1区間の信号値を変更して前記第1区間の信号値に対する前記第2区間の相対的な信号値を変更することによって、前記入力信号の直流成分の信号強度と変更後の前記第1区間の信号値の変動範囲の上限値との差を低減することを含む請求項1に記載の増幅回路。
  4. 前記波形変形部は、
    所定の区間において、前記第1区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
    前記第2区間が前記所定の区間に占める区間長を検出する区間長検出部と、
    第1の積分部により算出された積分値と前記区間長とに応じて、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する信号強度調整部と、
    を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の増幅回路。
  5. 前記波形変形部は、
    所定の区間において、前記第1区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
    前記所定の区間における、前記第2区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第2の積分部と、
    前記第1及び第2の積分部により算出された積分値間の差が減少するように、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する、信号強度調整部と、
    を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の増幅回路。
  6. 前記第2区間における前記入力信号の信号値は、前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値と同じ値を有し、
    前記波形変形部は、
    所定の区間において、前記入力信号と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
    前記第2区間が前記所定の区間に占める区間長を検出する区間長検出部と、
    第1の積分部により算出された積分値と前記区間長とに応じて、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する信号強度調整部と、
    を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の増幅回路。
  7. 前記第2区間における前記入力信号の信号値は、前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値と同じ値を有し、
    前記波形変形部は、
    所定の区間において、前記入力信号と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第1の積分部と、
    前記所定の区間における、前記第2区間の信号値と前記第1の区間の信号値の変動範囲の前記制限値との間の差分を積分する第2の積分部と、
    前記第1及び第2の積分部により算出された積分値間の差が減少するように、前記第2区間の信号値の信号強度を調整する、信号強度調整部と、
    を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の増幅回路。
  8. 前記波形変形部により変更された前記第2区間の信号値の変化を平滑化する平滑化部を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の増幅回路。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の増幅回路と、
    交流信号を増幅する増幅器と、
    前記交流信号の包絡線信号を生成し、前記入力信号として前記増幅回路へ入力する包絡線信号生成部と、
    前記増幅回路から出力される前記増幅信号に応じて前記増幅器への電源電圧を調整する電源電圧調整部と、
    を備える増幅回路。
  10. 少なくとも上限値及び下限値のいずれか一方の制限値により制限される変動範囲内で信号値が変動する第1区間と、該第1区間以外の区間である第2区間と、が繰り返し現れる波形を有する入力信号の増幅方法であって、
    前記入力信号の直流成分の信号強度と、前記第1区間の信号値の変動範囲の前記制限値との差が減少するように、前記第2区間の信号値を変更し、
    前記第2区間の信号値を変更された前記入力信号の直流成分を除去し、
    直流成分が除去された前記入力信号を、B級動作を行う第1の増幅器によって増幅する、増幅方法。
  11. 請求項10に記載の増幅方法によって、第2の増幅器へ入力される交流信号の包絡線信号を前記第1の増幅器により増幅し、
    前記第1の増幅器から出力される前記増幅信号に応じて前記第2の増幅器への電源電圧を調整する、電源電圧調整方法。
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