JP5246674B2 - 紙送りゴムローラ - Google Patents
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Description
しかし、上述したように紙送りゴムローラには高い耐摩耗性が必要とされており、前記ゴムローラを紙送りゴムローラとして使用する場合には、さらに耐久性を向上させる余地があった。
上記ゴム成分が動的架橋により上記スチレン系熱可塑性エラストマーおよびポリプロピレンの混合物中に分散されており、JIS K6253に準拠して測定した硬度が30以上50以下である画像形成装置の紙送りゴムローラを提供している。
前記混合物の配合量が2質量部未満であると、樹脂成分が少なくなりすぎてゴム成分を樹脂マトリックス中に分散できず加工がしにくくなると共に、成形品の強度および耐摩耗性が低下する。一方、前記混合物の配合量が150質量部を超えると、樹脂成分が多くなりすぎるため硬度が高くなる。その結果、当該組成物からなるゴムローラを紙送りゴムローラとして用いた場合、紙に対する摩擦係数が低下し、かつ耐摩耗性も低下するという問題が生じ得る。
パラフィン系オイルとしては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタンもしくはヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素);イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサンもしくは4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素);または、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンは、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。
なお、上記アニリン点の値はJIS
K2256に規定される試験管法で測定した値を示し、イオウ含量の値はJIS K2541に規定される微量電量滴定式酸化法で測定した値を示す。
前記石油系軟化剤としては、ナフテン系等の鉱物油や炭化水素系オリゴマーからなる公知の合成油、またはプロセスオイルが挙げられる。前記可塑剤としては、フタレート系、アジペート系、セバケート系、フォスフェート系、ポリエーテル系またはポリエステル系等の可塑剤が挙げられる。
一方、2−エチルヘキサン酸アルミニウムの割合が50質量%を超えると、ゲル化が進みすぎることでエラストマー組成物が硬くなりゴムローラに成形したときに低硬度を実現することが困難になるうえに、コストが高くなってしまうため実用的ではない。
2−エチルヘキサン酸アルミニウムの配合量と脂肪酸の配合量の質量比は、(2−エチルヘキサン酸アルミニウム):(脂肪酸)=10〜1:1であることが好ましく、6〜1:1であることがより好ましい。
本発明で用いる脂肪酸としては、脂肪酸の塩または誘導体であってもよい。脂肪酸の塩としてはナトリウム、カリウムもしくはリチウム等のアルカリ金属との塩、バリウム、カルシウム、マグネシウムもしくは亜鉛等のアルカリ土類金属との塩を例示できる。脂肪酸の誘導体としてはヒドロキシル酸等が挙げられる。
特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。
さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
架橋助剤の配合量は、その種類および架橋剤の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えばゴム成分100質量部に対して1質量部以上20質量部以下とすることが好ましく、1質量部以上10質量部以下とすることがより好ましい。
本発明で用いるエラストマー組成物においては、上記成分の他に、本発明の目的に反しない限り、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤または気泡防止剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
40質量%以上としているのはエラストマー組成物の耐摩耗性を確保するためであり、95質量%以下としているのはエラストマー組成物の混練り加工性および成形性を確保するためである。
本発明における動的架橋は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素等のハロゲンの存在下で行ってもよい。動的架橋時にハロゲンを存在させるには、上述したハロゲン化された樹脂架橋剤を用いるか、エラストマー組成物中にハロゲン供与性物質を配合させればよい。前記ハロゲン供与性物質としては、塩化第二スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。ハロゲン供与性物質は一種類を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記ゴム成分、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物、パラフィン系オイル、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、脂肪酸、架橋剤、さらに所望により他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサーまたはタンブラー型ミキサー等の混練機に投入して混練する。この混練物を一軸もしくは2軸押出機またはニーダー等に投入し、150〜250℃に加熱しながら架橋剤によりゴム成分を動的架橋し、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物中にゴム成分を分散させる。
本発明のゴムローラの厚さは1〜20mmであることが好ましく、2〜20mmであることがより好ましい。厚さが1mm未満では弾性が不足し搬送性能が低下しやすく、厚さが20mmを超えるとゴムローラが大きくなりすぎ、複写機やプリンター等に搭載しにくくなるからである。
前記本発明のエラストマー組成物を2軸押出機より押し出してペレット化し、該ペレットを押出機によりチューブ状に押し出し、それをカットすることによってゴムローラとしてもよいし、ペレットを射出(インジェクション)成形機により射出してチューブ状に成形し、この成形品の表面を研磨した後、所要寸法にカットしてゴムローラとしてもよい。
本発明の紙送りローラを形成するエラストマー組成物はゴム成分としてEPDMゴムを含む。さらに、熱可塑性エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂としてポリプロピレンとの混合物を含む。該スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合物は、EPDMゴム100質量部に対して30〜100質量部、好ましくは50〜90質量部配合されている。前記混合物におけるスチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレンが10〜80質量部、好ましくは20〜60質量部である。
前記パラフィン系オイルのブリードを抑えるために、2−エチルヘキサン酸アルミニウムおよび脂肪酸を含む。脂肪酸としてはステアリン酸を用いる。2−エチルヘキサン酸アルミニウムはEPDMゴム100質量部に対して1〜20質量部配合され、パラフィン系オイル100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部配合されている。脂肪酸はEPDMゴム100質量部に対して0.1〜10質量部配合され、パラフィン系オイル100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部配合されている。2−エチルヘキサン酸アルミニウムの配合量と脂肪酸の配合量の質量比は(2−エチルヘキサン酸アルミニウム):(脂肪酸)=10〜1:1であり、好ましくは6〜1:1である。
さらにまた、架橋反応を適切に行うために架橋助剤として酸化亜鉛を含む。酸化亜鉛はEPDMゴム100質量部に対して1〜10質量部配合されている。
円筒形状に成形したローラ部の中空部に略D字形状の芯材を圧入することにより略D字形状のゴムローラとすることもできる。なお、本発明のゴムローラの表面にはローレット状の溝を設けても良い。 前記工程で製造した本発明のゴムローラは、JIS K6253に準拠して測定した硬度を30以上50以下としている。
実施例および比較例を示し、本発明について詳述する。
下記の表1に示す配合からなるエラストマー組成物を用いてゴムローラを製造し、得られたゴムローラについて後述する方法により、硬度、ローラ痕の発生、耐摩耗性および摩擦係数の評価を行った。評価結果を表1に示す。
・EPDMゴム;住友化学(株)製「エスプレン505A」
・熱可塑性エラストマー;スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製「セプトン4077」)
・熱可塑性樹脂;ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP」)
・パラフィン系オイル;パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−380」)
・2−エチルヘキサン酸アルミニウム;ホープ製薬(株)製「オクトープアルミA」
・脂肪酸;ステアリン酸(日本油脂(株)製)
・架橋剤;フェノール系樹脂架橋剤(田岡化学(株)製「タッキロール250−III」)
・架橋助剤;酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」)
まず、材料の計量を行い、表1に示した量のEPDMゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、パラフィン系オイル、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、脂肪酸、架橋剤および架橋助剤を配合し、タンブラーに投入し10分混合した。その後、200℃で2軸押出機(アイベック(株)製HTM38)にてEPDMゴムを動的架橋してエラストマー組成物を作製し、押し出してペレット化した。
次に、このペレットを単軸押出機(笠松加工研究所(株)製、φ50押出機)を用いて20rpm、温調190℃〜230℃の条件下チューブ状に押し出し、外径22mm、内径18mmの押出成形品を得た。このチューブ状押出成形品を15mm幅に定寸カットし、その中空部に芯金を挿入して固着し、ゴムローラを得た。
(硬度)
JIS K6253に準拠して、雰囲気温度23℃にて測定した。
(ローラ痕)
実施例および比較例の各ゴムローラの表面をアルコールで拭いた後、60℃のオーブン中に1晩放置した。放置後の各ゴムローラを給紙ローラとしてインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製「PM−770C」)に装着し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、OHP用紙(セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター専用OHPシート)に緑色ハーフトーンを印刷した。
この際のローラ接触部分の色抜けの有無を目視で確認し、色抜けがない場合を「◎」と、色抜けはあるが目立たない場合を「○」と、色抜けが目立つ場合を「×」と評価した。
実施例および比較例の各ゴムローラを給紙ローラとして複写機に取付け、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、A4サイズの紙(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製PPC用紙)20,000枚を10時間かけて通紙し、通紙前後のゴムローラの質量を測定することにより摩耗量を求めた。表1には比較例1の摩耗量を100とした場合の指数で示しており、指数が大きいほど耐摩耗性が優れている。
図1に示す装置を用いて摩擦係数の評価を行った。実施例および比較例の各ゴムローラ1とプレート3の間に、ロードセル5に接続したA4サイズのPPC用紙4(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製)を挟み、黒矢印で示すようにゴムローラ1の芯金2に250gfの荷重Wを加え、ゴムローラ1をプレート3に圧接させた。ついで、温度23℃
、相対湿度55%の条件下で、ゴムローラ1を矢印aの示す方向に周速300mm/秒で回転させ、白矢印で示す方向に発生した力F(gf)をロードセル5によって測定した。そして、この測定値F(gf)と荷重W(W=250gf)とから下記式1により摩擦係数μを求めた。表1には比較例1の摩擦係数を100とした場合の指数で示しており、指数が大きいほど摩擦係数が高く紙の搬送力が優れている。
μ=F(gf)/W(gf) (式1)
熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物の配合量が少ない比較例2では、ゴムローラの硬度が極端に低くなり、耐摩耗性も低下した。一方、前記混合物の配合量が多い比較例3では、ゴムローラの硬度が高くなってしまったためゴムローラの耐摩耗性および摩擦係数がともに低かった。
パラフィン系オイルの配合量が少ない比較例4では、硬度が大きく、かつ摩擦係数が低いため、給紙ローラとして使用したときに紙の不送りが発生するおそれがある。一方、パラフィン系オイルの配合量が多い比較例5では耐摩耗性が低下した。
2 芯金
3 プレート
4 PPC用紙
5 ロードセル
Claims (1)
- エチレン−プロピレン−ジエンゴムからなるゴム成分100質量部に対し、スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合物を2〜150質量部、パラフィン系オイルを50〜250質量部、パラフィン系オイルに対して0.1〜50質量%の2−エチルヘキサン酸アルミニウムと0.1質量%以上2質量%以下の脂肪酸、および8質量部以上15質量部以下のフェノール系樹脂架橋剤を含み、
前記エラストマー組成物全体に対して、パラフィン系オイル、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、脂肪酸の非ポリマー分を除くポリマー分(ゴム成分+熱可塑性エラストマー+熱可塑性樹脂+樹脂架橋剤)の割合が40質量%以上95質量%以下であり、
上記ゴム成分が動的架橋により上記スチレン系熱可塑性エラストマーおよびポリプロピレンの混合物中に分散されており、JIS K6253に準拠して測定した硬度が30以上50以下である画像形成装置の紙送りゴムローラ。
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