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JP5244573B2 - 埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法 - Google Patents

埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法 Download PDF

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JP5244573B2 JP2008318413A JP2008318413A JP5244573B2 JP 5244573 B2 JP5244573 B2 JP 5244573B2 JP 2008318413 A JP2008318413 A JP 2008318413A JP 2008318413 A JP2008318413 A JP 2008318413A JP 5244573 B2 JP5244573 B2 JP 5244573B2
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Description

本発明は、災害時に漏洩・損傷が生じた埋設パイプラインにおいて、要求のある区域に対して早期にガス供給を再開させることができる、埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法に関するものである。
地震等の災害時に埋設パイプラインに漏洩や損傷事故が生じると、ガス漏洩による二次災害を避けるために埋設パイプラインによるガス供給を漏洩や損傷箇所の上流側で遮断することが必要になる。これによって遮断箇所の下流側区域ではガス供給が停止されることになるが、埋設パイプラインの漏洩・損傷箇所を完全に修復してガス供給を再開させるには復旧工事に時間を要することになり、早期復旧の要望に応えられない問題があった。
これに対して、下記特許文献1に記載された従来技術では、流動性を有して早期硬化可能な遮断材料を、破損したガス導管の損傷箇所周辺の土砂に供給し、損傷箇所周辺の土砂を硬化させることで損傷箇所からのガス噴出を防止することを提案している。これによると、ガス供給を停止することなく、一時的にガス導管の損傷箇所を修復することが可能になる。
特開2007−57061号公報
前述の従来技術は比較的小規模なガス噴出時には効果的であるが、埋設パイプラインの分断等の大きな事故が生じた場合には対応することができない。また、家屋の倒壊や火災発生等でガスの噴出箇所を特定できない、或いはガス噴出箇所の近傍に近づけない状況では対応することができない。
このような場合には、やはりガス漏洩が発生していると想定される箇所の上流側でガス供給を遮断せざるを得ない。この場合には、図1に示すように、埋設パイプラインに予め装備している遮断バルブを閉じてその下流側へのガス供給を遮断することになる。
図1においては、ガバナGを介して埋設パイプラインP1〜P5にガス供給がなされている(各埋設パイプラインの交差部は接続されている)。ここで、埋設パイプラインP1に漏洩・損傷箇所D1が確認され、また、家屋の倒壊等でガス供給不要区域D2が形成されたとすると、図示のような既設の遮断バルブの配備状況では、遮断バルブB1〜B4を閉じることで、斜線で示したようなガス供給停止区域Cを形成することになる。
この場合、既設の遮断バルブは状況に応じてガス供給停止区域を区切るように備えられているとは限らないので、形成されるガス供給停止区域Cの中には、家屋の倒壊等から難を免れた地域A1〜A4が含まれることになり、そのような地域からガス供給の要求があったとしても、漏洩・損傷箇所D1の修復工事が完了し、地域D2での調査で安全が確認されるまではガス供給を再開させることができないことになる。
前述した状況で敢えて地域A1〜A4へのガス供給を再開させるためには、漏洩・損傷箇所D1及びがガス供給不要区域D2の上流側で埋設パイプラインを開削して、埋設パイプラインを切断すると共に上流側パイプラインの端部を閉塞処理する大規模な工事が必要になり、部分的な復旧を優先するがために全体的な復旧工事を遅らせることにもなりかねない。
本発明は、このような事情に対処するために提案されたものであって、災害時に、漏洩・損傷箇所或いはガス供給不要区域を除いてガス供給区域をブロック化し、災害時のガス供給を効率的に行う。災害時のガス供給停止区域内で、ガス供給要求区域を選択してその区域に早期にガス供給を再開させることを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。すなわち、埋設パイプラインによる災害時のガス供給工法であって、ガス供給不要区域が存在する場合に、埋設パイプラインの漏洩・損傷箇所及び前記ガス供給不要区域を囲むように、既設の遮断バルブを閉止してガス供給停止区域を形成する工程と、前記ガス供給停止区域内で、前記漏洩・損傷箇所及び前記ガス供給不要区域の上流側であり且つガス供給要求区域の下流側となる全ての埋設パイプラインの選択箇所に、既設の連通管を介して或いは非開削で埋設パイプラインに形成した穿孔部を介して、埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させる工程と、前記遮断バルブを開放して、前記ガス供給要求区域にガス供給を行う工程とを有することを特徴とする。
更には、前述した特徴に加えて、前記埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させる工程は、前記連通管である埋設パイプラインに連通する供給管の地上部から該供給管を介して、前記埋設パイプライン内に固化剤を充填することを特徴とする。
また、前述した特徴に加えて、前記埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させる工程は、埋設パイプラインに通じる極小穴立坑を掘削し、該極小穴立坑を通した穿孔機によって埋設パイプラインを穿孔し、前記極小穴立坑を通した案内管の下端を穿孔部に当接し、該案内管を介してガスバッグを埋設パイプライン内に挿入して拡径することを特徴とする。
このような特徴によると、埋設パイプラインにガス遮断部材を充填させる箇所を任意の位置に選択することができるので、埋設パイプラインの漏洩・損傷箇所の位置、或いは家屋の倒壊等でガス供給が不要になった地域の範囲に応じて、ガス供給区域を任意にブロック化することが可能になる。これによって、ガス供給要求区域に対して、漏洩・損傷箇所の復旧を待たずに早期にガス供給を行うことが可能になる。また、ガス供給要求区域とガス供給不要区域が隣接するような場合にも、これを適正に区分けして効率的にガス供給を行うことが可能になる。
更には、埋設パイプラインにガス遮断部材を充填させる工程では、非開削で充填作業を行うことができるので、災害後のガス供給要求に対応したガス供給区域のブロック化を速やかに行うことができ、ガス供給の早期復旧の要求に迅速に対応することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施形態で対象としている災害時とは、地震などの自然災害に限らず、掘削重機等で埋設パイプラインが損傷を受けるといった人為的な災害も含んでいる。
図2は、本発明の実施形態に係る埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法の説明図である。図示の例では、図1に示した例と同様に、ガバナGを介して埋設パイプラインP1〜P5にガス供給がなされており、災害によって、埋設パイプラインP1に漏洩・損傷箇所D1が確認され、また、家屋の倒壊等でガス供給不要区域D2が形成された状況を示している。ここでは、漏洩・損傷箇所D1とガス供給不要区域D2が共に形成されているが、漏洩・損傷箇所D1のみが存在する場合、ガス供給不要区域D2のみが存在する場合、これら両方が存在する場合の何れであってもよい。
このような状況で、ガス供給要求区域A1〜A4が存在する場合に、漏洩・損傷箇所D1の上流側であり且つガス供給要求区域A1〜A4の下流側となる全ての埋設パイプラインP1〜P5の選択箇所に、ガス遮断部材充填箇所Sを形成する。また、ガス供給不要箇所D2が存在する場合に、ガス供給不要箇所D2の上流側であり且つガス供給要求区域A1〜A4の下流側となる全ての埋設パイプラインP1〜P5の選択箇所に、ガス遮断部材充填箇所Sを形成する。このガス遮断部材充填箇所Sによって、それより下流側へのガス供給が停止され、図示のガス供給停止区域C1が形成されることになって、その他の区域をガス供給区域としてブロック化することができる。
このガス供給停止区域C1は、任意の選択位置にガス遮断部材充填箇所Sを形成することができるので、図1に示した既設の遮断バルブB1〜B4を閉じることで形成される広域なガス供給停止区域Cに比べて、区域の広さを必要最小限に限定することができる。そして、ガス供給要求区域A3,A4とガス供給不要区域D2のように、これらが互いに近接しているような場合にも、両者をガス遮断部材充填箇所Sによって区分けし、ガス供給のためのブロック化を効果的に行うことができる。
この工法の利点は、任意の位置を選択してガス遮断部材充填箇所Sを形成できる点にある。これによって、例えば図3に示したように漏洩・損傷箇所D1とガス供給不要区域D2が形成された場合であっても、これらの上流側にガス遮断部材充填箇所Sを形成することで、既設の遮断バルブB1,B3と組み合わせるなどして、漏洩・損傷箇所D1とガス供給不要区域D2を囲むようにガス供給停止区域C3を形成し、それ以外の区域をガス供給区域としてブロック化することができる。
埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させ、前述したガス遮断部材充填箇所Sを形成する工程としては、非開削で簡易に埋設パイプラインのガス流通を遮断できる工法を採用する。図4及び図5は、そのための工法の一例を示した説明図である。
図4に示した例では、埋設パイプラインPに固化剤Mを充填することで、ガス遮断部材充填箇所Sを形成する。この例では、埋設パイプラインPの連通管P01を介して埋設パイプラインP内に固化剤Mを充填している。連通管P0は埋設パイプラインPが本管の場合は供給管に当たるものであり、その地上部P01a(灯外内管及びメーター立管)に固化剤充填装置10の放出口11を接続する。
固化剤Mとしては、充填後1ヶ月後においても難透気性を有し、任意の固化時間の極めて短い流体を用いることが好ましい。
図5に示した例では、非開削で埋設パイプラインPに形成した穿孔部P0を介して、埋設パイプライン内にガス遮断部材であるガスバッグを充填させている。より詳しくは、埋設パイプラインPに通じる極小穴立坑Tを掘削し、極小穴立坑Tを通した穿孔機によって埋設パイプラインを穿孔して穿孔部P0を形成する。そして、極小穴立坑Tを通した案内管T1の下端を穿孔部P0に当接し、案内管T1を介してガスバッグQを埋設パイプラインP内に挿入して拡径する。
ガスバッグQの例としては、耐火性を有する素材で覆われており、高強度を有し、0.1MPa程度の供給圧で拡径後約1ヶ月間のガス遮断効果を有する高密度ガスバッグを用いる。ガスバッグQの拡径には、窒素ガス等の非爆,非燃性の気体を用いる。
図6は、本発明の工法の具体的な実施工程を示したフロー図である。災害が発生して埋設パイプラインの漏洩・損傷の可能性がある場合には、先ず遠隔操作又は地震感知による一斉遮断等によって、既設の遮断バルブを閉止し、広域なガス供給停止区域(図1の符号C参照)を形成する(S1)。その後、災害現地調査を行い(S2)、供給継続地区と供給停止地区の見極めを行う(S3)。
そして、現地調査に基づいて、被害が甚大で供給継続が不可能な地区を供給停止地区とし、その供給停止地区に対しては早期復旧のための計画を立てる(S20)。一方、現地調査の結果、供給継続が可能な地区に対しては、供給継続地区のブロック化計画を立てる(S10)。
以下、供給継続地区のブロック化について説明すると、バルブ等が存在しない箇所でのガス遮断方法及び前述したガス遮断部材充填箇所Sの選択を行う(S11)。前述したように、ガス遮断部材充填箇所Sの選択に際しては、広域なガス供給停止区域内で、漏洩・損傷箇所及びガス供給不要区域の上流側であり且つガス供給要求区域の下流側となる全ての埋設パイプラインの特定箇所を選択する。
ガス遮断部材充填箇所Sの選択後は、前述した例のように、ガス遮断部材の充填を行い、選択的なガス供給停止区域(図2の符号C1参照)を形成する(ブロック化の実施:S12)。選択的なガス供給停止区域とは、ガス供給要求区域を除いて漏洩・損傷箇所及びガス供給不要区域を囲む区域である。
その後は、ブロック化された供給継続地区において、損傷部位の特定と修理を行うと共に(S13)、検査ガスによる漏洩検査を行って、その検査結果に基づいて供給再開を判断する(S14)。そして、閉止していた遮断バルブを必要に応じて開放し(S15)、ブロック化されたガス供給要求区域に対してガス供給を再開する(S16)。ガス供給を再開した後は、円滑なガス供給が行われているか否かをチェックするためのフォローを行う(S16)。
このような本発明の実施形態によると、埋設パイプラインにガス遮断部材を充填させる箇所を任意の位置に選択することができるので、埋設パイプラインの漏洩・損傷箇所の位置、或いは家屋の倒壊等でガス供給が不要になった地域の範囲に応じて、ガス供給区域を任意にブロック化することが可能になる。これによって、ガス供給要求区域に対して、漏洩・損傷箇所の復旧を待たずに早期にガス供給を行うことが可能になる。また、ガス供給要求区域とガス供給不要区域が隣接するような場合にも、これを適正に区分けして効率的にガス供給を行うことが可能になる。
更には、埋設パイプラインにガス遮断部材を充填させる工程では、非開削で充填作業を行うことができるので、災害後のガス供給要求に対応したガス供給区域のブロック化を速やかに行うことができ、ガス供給の早期復旧の要求に迅速に対応することができる。
本発明の課題を説明する説明図である。 本発明の実施形態に係る埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法の説明図である。 本発明の実施形態に係る埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法の説明図である。 本発明の実施形態におけるガス遮断部材充填工程の一例を説明する説明図である。 本発明の実施形態におけるガス遮断部材充填工程の一例を説明する説明図である。 本発明の工法の具体的な実施工程を示したフロー図である。
符号の説明
P,P1〜P5:埋設パイプライン,
0:穿孔部,
P01:供給管,P01a:地上部,
B1〜B4:遮断バルブ,
A1〜A4:ガス供給要求区域,
D1:漏洩・損傷箇所,
D2:ガス供給不要区域,
C,C1:ガス供給停止区域,
S:ガス遮断部材充填箇所,
M:固化剤,
Q:ガスバッグ

Claims (3)

  1. 埋設パイプラインによる災害時のガス供給工法であって、
    ガス供給不要区域が存在する場合に、埋設パイプラインの漏洩・損傷箇所及び前記ガス供給不要区域を囲むように、既設の遮断バルブを閉止してガス供給停止区域を形成する工程と、
    前記ガス供給停止区域内で、前記漏洩・損傷箇所及び前記ガス供給不要区域の上流側であり且つガス供給要求区域の下流側となる全ての埋設パイプラインの選択箇所に、既設の連通管を介して或いは非開削で埋設パイプラインに形成した穿孔部を介して、埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させる工程と、
    前記遮断バルブを開放して、前記ガス供給要求区域にガス供給を行う工程とを有することを特徴とする埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法。
  2. 前記埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させる工程は、
    前記連通管である埋設パイプラインに連通する供給管の地上部から該供給管を介して、前記埋設パイプライン内に固化剤を充填することを特徴とする請求項1に記載された埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法。
  3. 前記埋設パイプライン内にガス遮断部材を充填させる工程は、
    埋設パイプラインに通じる極小穴立坑を掘削し、該極小穴立坑を通した穿孔機によって埋設パイプラインを穿孔し、前記極小穴立坑を通した案内管の下端を穿孔部に当接し、該案内管を介してガスバッグを埋設パイプライン内に挿入して拡径することを特徴とする請求項1に記載された埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法。
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