JP5131770B2 - 軟窒化用非調質鋼 - Google Patents
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fn1=N−0.63×Ti・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
fn1=N−0.63×Ti・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
Cは、熱間加工後の冷却過程でVと結合して微細なV炭化物を形成し、析出強化に寄与して疲労強度を向上させる作用を有する。また、Cは、クランクシャフトなど機械部品に耐摩耗性を付与するのに有効な元素である。さらに、Cは、凝固後の冷却過程でNとともにVおよびTiと結合して(V+Ti)炭窒化物を形成し、この(V+Ti)炭窒化物が、熱間加工時の加熱の際にオーステナイト粒のピン止め作用を有するとともに、熱間加工後の冷却過程でフェライト核生成サイトになるので、「フェライト・パーライト組織」を微細化することができ、この組織微細化によって高い曲げ矯正性を確保するのにも効果を有する元素である。これらの効果を得るには、0.30%以上のC含有量が必要である。しかしながら、Cを過剰に含有するとパーライトの量が増加して曲げ矯正性が損なわれ、特に、Cの含有量が0.60%を超えると曲げ矯正性の劣化が著しくなる。したがって、Cの含有量を0.30〜0.60%とした。なお、C含有量の望ましい下限は0.35%であり、また、望ましい上限は0.55%である。
Siは、脱酸作用を有するとともにフェライト中に固溶して固溶強化作用を有する。しかしながら、その含有量が0.05%未満では効果に乏しい。一方、Siを過剰に含有すると曲げ矯正性が損なわれ、特に、Siの含有量が0.80%を超えると曲げ矯正性の劣化が著しくなる。したがって、本発明においては、フェライトの固溶強化に必要かつ十分な0.80%をその含有量の上限として、Siの含有量を0.05〜0.80%とした。なお、Si含有量の望ましい下限は0.10%であり、また、望ましい上限は0.60%である。
Mnは、固溶強化元素であり、母材硬さを高めて疲労強度を向上させる作用を有する。この効果を得るには、0.20%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnを過剰に含有すると曲げ矯正性が損なわれ、特に、Mnの含有量が0.80%以上になると曲げ矯正性の劣化が著しくなる。したがって、Mnの含有量を0.20%以上0.80%未満とした。なお、Mn含有量の望ましい下限は0.30%であり、また、望ましい上限は0.75%である。
Pは、不可避的に含有される不純物である。また、強化元素としての作用効果も有する。このような作用効果を得る場合には、0.005%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰のPは粒界に偏析して粒界の脆化割れを助長し、特に、その含有量が0.050%を超えると、粒界の脆化割れが著しくなる。したがって、Pの含有量を0.050%以下とした。なお、P含有量の望ましい上限は0.045%である。
Sは、鋼の被削性の向上に有効な元素であり、この効果を得るためには0.005%以上含有させる必要がある。しかしながら、Sの含有量が多すぎると熱間加工性や疲労強度の低下を招き、特に、その含有量が0.10%を超えると、熱間加工性および疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.005〜0.10%とした。なお、S含有量の望ましい下限は0.010%であり、また、望ましい上限は0.080%である。
Vは、本発明において最も重要な元素の一つである。すなわち、Vは、熱間加工後の冷却過程でCと結合し、V炭化物の析出強化作用を通じて高い疲労強度を確保する作用を有する。Vは、また、凝固後の冷却過程でTiとともにC、Nと結合して(V+Ti)炭窒化物を形成し、この(V+Ti)炭窒化物が、熱間加工時の加熱の際にオーステナイト粒のピン止め作用を有するとともに、熱間加工後の冷却過程におけるフェライト核生成サイトになるので、組織(「フェライト・パーライト組織」)を微細化することができ、この組織微細化によって曲げ矯正性を高める効果も併せ持つ元素である。こうした効果を得るためには、0.05%以上の量のVを含有させる必要がある。しかしながら、Vの過度の添加は合金コストの増大につながる。したがって、本発明においては、0.20%をその含有量の上限として、Vの含有量を0.05〜0.20%とした。なお、V含有量の望ましい下限は0.08%である。
Tiは、本発明において最も重要な元素の一つである。すなわち、Tiは、凝固後の冷却過程でVとともにC、Nと結合して(V+Ti)炭窒化物を形成し、この(V+Ti)炭窒化物が、熱間加工時の加熱の際にオーステナイト粒のピン止め作用を有するとともに、熱間加工後の冷却過程におけるフェライト核生成サイトになるので、「フェライト・パーライト組織」を微細化することができ、この組織微細化によって高い曲げ矯正性を確保するのに効果を有する元素である。こうした効果を得るためには、0.005%以上のTi含有量が必要である。一方、Tiの含有量が多くなり、特に、0.030%を超えると、(V+Ti)炭窒化物が粗大化してその効果が飽和するばかりか、介在物として疲労破壊の起点となって、疲労強度を低下させることがある。したがって、Tiの含有量を0.005〜0.030%とした。なお、Ti含有量の望ましい下限は0.010%であり、また、望ましい上限は0.025%である。
Nは、凝固後の冷却過程でCとともにVおよびTiと結合して(V+Ti)炭窒化物を形成し、この(V+Ti)炭窒化物が、熱間加工時の加熱の際のオーステナイト粒のピン止め作用を有するとともに、熱間加工後の冷却過程におけるフェライト核生成サイトになるので、「フェライト・パーライト組織」が微細化し、曲げ矯正性を高めるのに効果を有する。前記の効果を得るには、0.007%以上のN含有量が必要である。しかしながら、Nを含有量で0.030%を超えた量とするのは工業的な困難を伴う上、例えば、インゴット中で気泡欠陥を生成して材質を損なうことがある。このため、Nの含有量を0.007〜0.030%とした。なお、N含有量の望ましい下限は0.010%を超える量であり、また、望ましい上限は0.025%である。
0.05%以上のVを含む本発明に係る軟窒化用非調質鋼の場合、Crは微量でも著しい曲げ矯正性の低下を招き、特に、その含有量が0.10%以上になると、曲げ矯正性の低下が著しくなる。したがって、不純物中のCrの含有量を0.10%未満とした。
0.05%以上のVを含む本発明に係る軟窒化用非調質鋼の場合、Alは微量でも著しい曲げ矯正性の低下を招き、特に、その含有量が0.005%を超えると、曲げ矯正性の低下が著しくなる。したがって、不純物中のAlの含有量を0.005%以下とした。
0.05%以上のVを含む本発明に係る軟窒化用非調質鋼の場合、Pbは母材(生地)中に軟質部を形成して疲労強度の低下を招き、特に、その含有量が0.02%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、不純物中のPbの含有量を0.02%以下とした。
Vに対し、その1オーダー程度低い含有量のTiを複合して含有する場合には、鋼の凝固後の冷却過程でVとTiの原子比がほぼ等しいVとTiの複合炭窒化物、つまり、(V+Ti)炭窒化物が生成する。この(V+Ti)炭窒化物は熱間加工時の1000℃を超える温度域での加熱でも固溶せず、オーステナイト粒をピン止めして組織を微細化するだけではなく、熱間加工後の冷却過程においてフェライトの生成サイトを増加させ、得られる母材の「フェライト・パーライト組織」をさらに微細にすることができる。
Moは、固溶強化元素としてフェライトの強度を上げ、これによって疲労強度を高める作用を有するので、こうした効果を得るためにMoを含有してもよい。しかしながら、Moの含有量が0.30%を超えるとコストがかさむ。したがって、添加する場合のMoの含有量を0.30%以下とした。なお、Moの含有量は0.20%以下とすることが好ましい。
Caは、鋼の被削性を高める作用を有する。しかしながら、Caの過度の添加は熱間加工性および疲労強度の低下をきたし、特に、Caの含有量が0.0050%を超えると熱間加工性および疲労強度の低下が著しくなる。したがって、添加する場合のCaの含有量を0.0050%以下とした。なお、Caの含有量は0.0045%以下とすることが好ましい。
これに対して、本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼を用いた試験番号11〜20の場合は、疲労強度と曲げ矯正性のいずれかが劣っている。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.05〜0.80%、Mn:0.20%以上0.80%未満、P:0.050%以下、S:0.005〜0.10%、V:0.05〜0.20%、Ti:0.005〜0.030%およびN:0.007〜0.030%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のCr、AlおよびPbがそれぞれ、Cr:0.10%未満、Al:0.005%以下およびPb:0.02%以下で、かつ下記の(1)式で表されるfn1の値が、0≦fn1≦0.020を満足することを特徴とする軟窒化用非調質鋼。
fn1=N−0.63×Ti・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - Feの一部に代えて、Mo:0.30%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の軟窒化用非調質鋼。
- Feの一部に代えて、Ca:0.0050%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の軟窒化用非調質鋼。
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