JP5128800B2 - ハイブリッド式永久磁石回転電機 - Google Patents
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Description
要求されている。この問題を解決するものとして本願発明者の一人はすでに次の特許出願
をしている。本願はこれらの先行特許の改良に関する。
2) 永久磁石が1個の通常のHB型回転電機はモータに組み立て後、空芯コイル内径部にに完成モータをいれて着磁磁化する方式がとられている。これは着磁されている回転子を固定子に挿入する場合、鉄粉や塵を引き込んだり固定子内径と吸引して傷が出来たりすることを防止する狙いがある。本方式モータも完成後着磁が望ましくその解決を狙うものである。
3)本願の回転電機の固定子は省主極(2相4主極、3相3主極、5相5主極)構造である。主極とは別名集中巻きの巻線極である。既に出願済みの特許文献1及び2で省主極(2相4主極、3相3主極等)構造は通常のフル主極数構造の2相8主極あるいは3相6主極式に対し省主極数(フル主極数に対してハーフ主極数とも呼ぶ)構造は高トルクトルクが得られる理由は後述する。しかしこの省主極固定子と通常の永久磁石1個のハイブリッド回転子との組み合わせでは不平衡電磁力が発生し騒音振動が大きくなり位置決め精度も悪化する。そしてこれらを解決するために前述した特許文献1及び2の手段がある。そのため本願方式としたモータは低振動低層音の特性を維持しながら、通常構造モータと同程度のトルクにするにはその分固定子と回転子間のエアギャップを大きく出来るので不良率の改善や信頼性の向上となる。あるいはフル主極モータが高エネルギーの希土類磁石を使用しているのに対し安価な例えばフェライトのような永久磁石も使用できるので価格低減効果が期待できる。しかし文献1,2ではその永久磁石の着磁方法については開示してない。永久磁石は磁束密度―磁化力特性(以下B−Hカーブ)でBの飽和に達するH以上にして磁化するが、単位回転子を2個同軸で単に密着連結してお互いにその永久磁石同士を逆極性に磁化する構造のものはモータ完成後のその磁化の方法は従来の空芯コイル方式では十分な磁化は得られなかった。
「手段1」
外形が多角形を含む形状に形成された略環状の磁性体とこの磁性体より放射状に突出形成されそれぞれの先端に多数の誘導子を形成してなる複数の主極とで構成された固定子と、この固定子に対してエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性を有する1対の回転子要素と両回転子要素で挟み込まれ軸方向に着磁された永久磁石とからなる単位回転子を2組軸方向に隣接させて構成された回転子とを備え、各単位回転子のそれぞれの回転子要素の外周面には複数の歯が形成され、各単位回転子の1対の回転子要素はそれぞれの歯が1/2ピッチ分ずらせて配置され、両回転子要素はそれぞれの永久磁石の着磁方向が逆になる向きで隣接する回転子要素の歯位置が一致するように配置されており、且つ、前記両単位回転子の間に導電材が介在されていることを手段とする永久磁石式回転電機。
「手段2」
手段1において、固定子及び回転子は軸方向両側から覆う一対のブラケットにより支持されており、前記2組の単位回転子におけるそれぞれの永久磁石は、前記ブラケットの軸方向外側及び前記固定子の径方向外側を覆うヨークと、このヨークからブラケット,単位回転子の軸方向外側の回転子要素,単位回転子の永久磁石,単位回転子の軸方向内側の回転子要素,及び固定子を通して前記ヨークに至る着磁用磁路に磁束を発生させる着磁コイルとを用いて、同時に或いは時間差を設けて着磁されることを手段とする永久磁石式回転電機。
「手段3」
手段2において、前記ブラケットの軸方向外側を覆うヨークは、一対のブラケットに対して一方のみを覆うものであり、前記着磁コイルの通電による着磁は前記一方のブラケット側の単位回転子の永久磁石に対して行われ、当該着磁後に前記ヨークを他方のブラケット側に反転対向させて着磁コイルの通電を行うことにより、他方のブラケット側の単位回転子の永久磁石に対して着磁を行うことを手段とする永久磁石式回転電機。
「手段4」
外形が多角形を含む形状に形成された略環状の磁性体とこの磁性体より放射状に突出形成されそれぞれの先端に多数の誘導子を形成してなる複数の主極とで構成された固定子と、この固定子に対してエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性を有する1対の回転子要素と両回転子要素で挟み込まれ軸方向に着磁された永久磁石とからなる単位回転子を2組軸方向に隣接させて構成された回転子とを備え、各単位回転子のそれぞれの回転子要素の外周面には複数の歯が形成され、各単位回転子の1対の回転子要素はそれぞれの歯が1/2ピッチ分ずらせて配置され、両回転子要素はそれぞれの永久磁石の着磁方向が逆になる向きで隣接する回転子要素の歯位置が一致するように、且つ、該両回転子要素の間に導電材を介在させて回転軸に支持されており、回転子の回転軸は軸方向両側から覆う一対のブラケットにより支持されている永久磁石式回転電機であって、
前記2組の単位回転子におけるそれぞれの永久磁石は、2組の単位回転子を回転軸に支持した状態で、前記単位回転子の軸方向外側及び径方向外側を覆うヨークと、このヨークから単位回転子の軸方向外側の回転子要素,単位回転子の永久磁石,単位回転子の軸方向内側の回転子要素を通して前記ヨークに至る着磁用磁路に磁束を発生させる着磁コイルとを用いて、同時に或いは時間差を設けて着磁されることを手段とする永久磁石式回転電機。
「手段5」
手段4において、前記単位回転子を覆うヨークは、2組の単位回転子に対して一方のみを覆うと共に、この一方の単位回転子の軸方向内側の回転子要素の径方向外側を覆うものであり、前記着磁コイルの通電による着磁は前記一方の単位回転子の永久磁石に対して行われ、当該着磁後に前記ヨークを他方の単位回転子側に反転対向させて着磁コイルの通電を行うことにより、他方の単位回転子の永久磁石に対して着磁を行うことを手段とする永久磁石式回転電機。この場合の導電材による渦電流効果は手段2と同じである。
2)従来のHB型モータの空芯コイル着磁に対し、ヨークを用いるので着磁電源が小形で小電力と出来る。
3)ボンド磁石やフェライト磁石のような磁気エネルギーの低い安価な磁石でも使用が可能となりコストーパフォーマンスに優れた永久磁石式回転電機が提供できる。
4)省主極により巻き線が簡素で、特殊回転子により不平衡電磁力のない小型高トルクの回転電機が安価に提供できる。
図2は軸を含む本発明の図1のモータの断面図である。9,11,20、13は磁性体よりなる外周にNr個の歯を有する回転子であり軸方向の厚さは同一である。29は11と20の間に設けた導電材の円板または銅箔シートであり回転子9等の外径以下の円板状で中央部に軸14を通す穴を有した形状が望ましいが多角形やその変形でも良い。10、12は円盤状永久磁石で軸14の方向にお互いに逆極性となるように磁化される。例えば9と13がN極性で11、20がS極性のように磁化する。このとき9と13は歯位置は同じで11、20とは歯ピッチの1/2ずらして配置される。本発明に関するモータの回転子は単位回転子A(9、10、11で構成)とB(20、12、13で構成)の2組の単位回転子の軸方向での連結により構成されると表現したが、これは永久磁石10,12と2個使用してこの2個の永久磁石に挟まれた回転子11、20はその2個の両サイドに位置する回転子9,13に対し歯位置が1/2ずれた特殊回転子1個で構成されたものと表現しても同じである。そして2組の単位回転子AとBの間には29なる導電材円板が設けられて上述の特殊回転子1個で構成されたものである。
15、16はブラケットであり回転子を回転自在に保持する役割を有する。5は固定子コイルである。 この2組の永久磁石による特殊回転子を設ける理由は4主極固定子と通常のHB型回転子の組み合わせで発生するラジアル方向の不平衡電磁力を消去するためである。図1では2相式で示したが、これに限定するものではなく3相3主極、あるいは5相5主極の省主極固定子と2個の永久磁石による特殊回転子であってもよい。
T1=N NriΦm
(1)
1相分トルクは(5)式で表される。Nrは回転子歯数、Nはコイル巻き数、iは電流、
Φmは回転子からの永久磁石の磁束のコイルとの鎖交磁束である。
両者同一線径で同一トータル巻数Ntとする。また回転子から出るトータル磁束量は両者の固定子の歯数が例えば48(8主極は8×6=48、4主極では4×12=48)と等しいとした場合は両者の固定子鉄心の磁気抵抗差を無視し同じ値のΦtと近似できるので8主極機、4主極機の各1主極の巻数、磁束を各々N8
、N4、Φ8、Φ4として、次式が成立する。
Φ8=Φt/8
(2)
Φ4=Φt/4
(3)
N8=Nt/8
(4)
N2=Nt/4
(5)
(1)〜(5)式より、8主極 4主極機のトルク、T8、T4は各々以下となる。
T8=2*4(Nt/8)Nri(ΦT/8)
=NtNriΦt/8
(6)
T2=2*2(Nt/4)Nri(Φt/4)
=NtNriΦr/4
(7)
(6)、(7)より、4主極機は従来の8主極機のモータより約2倍のトルクが出せることになる。
90/Nr=(−/+){(360/4)−360n/Nr} (8)
但しnは1以上の整数。
(8)式の左辺、及び右辺は本構成のステップ角を表すしこれを整理すると(9)式が得
られる。
Nr=4n±1
(9)
Nrは,2相4主極対称構造の望ましい形態となる。
例えばn=19でNr=75となり、2相機では(90/Nr)度がステップ角となる
ので、1.2度ステップ角で対称形の固定子の回転電機が得られる。
この場合は固定子が90度対称となるので積層時90度回転積みができる。回転積みが
できると、積厚の偏差の解消や珪素鋼鈑の磁気方向性のキャンセルができて良好なモータ
特性となる。望ましい形態ではないが、Nr=50は(9)式を満足しないため固定子は非対称形状となり90度回転積みは出来ないが、ステップ角1.8度の2相ステッピングモータとなる。
Br=1.3[T]×(1/2)(3/2)(4/8)=0.4875[T] (10)
式(10)の(1/2)は1個の磁石で励磁する回転子の外周面積が同一サイズの従来
の8主極と組み合わせた通常のHB型回転子と比較して略1/2になるため永久磁石から発生する磁束も半分でよいので磁石の面積が同じなら磁石の磁束密度は半分でよいとの理由、(3/2)は永久磁石の磁路長さが半減するために鉄心部でのパーミアンスが単純約2倍となるが、エアギャップや磁路の磁束密度の低下を考慮してトータルでパーミアンスが約3/2倍に近似したものである。(4/8)は(4主極/8主極)を意味しトルクは前述した(6)式と(7)式の関係から主極数に反比例することによるものである。
この(10)式におけるBrの値の磁石でBrが1.3[T](テスラ)のネオジム
磁石を使用した8主極モータと同程度のトルクが得られることになる。式(10)の結果
はコンピユターでの磁場解析結果とほぼ一致している。
このBrの値はフェライト磁石に相当する。フェライト磁石はBrが0.5[T]で保
持力Hcj=275KA/m程度でその減磁曲線は磁束密度を垂直に保持力を水平に取っ
た座標の第二象限で直線となり、磁路に組まれた永久磁石のパーミアンス係数を勾配とし
た原点を通過する直線と減磁曲線との交点が動作点となるがその動作点磁束密度はほぼ永
久磁石のBrに比例することから近似的に(6)式が成立する。フェライト磁石は希土類
磁石に比べて極めて安価であり、2個使用してもネオジム磁石より安くなる。即ち0.5
[T]以下の磁石で十分実用トルクが得られる。0.5[T]以下の磁石であれば乾式や
湿式の焼結フェライト磁石に限らず樹脂をバインダーとしたボンド(プラスチック)磁石
でもよい。焼結フェライト磁石では例えば外形25mmで厚みは2mm程度が量産する限
度であり、それより薄いと割れ不良が多発する。これをボンド磁石にすれば割れ不良は解
決する。
2相4巻き線極固定子と前述の2連回転子で不平衡電磁力を抑えながら0.5[T]以下のローグレードの永久磁石を採用することにより、従来の高価なネオジム焼結磁石やサマリユムコバルト磁石のような希土類磁石を採用した同サイズモータに対しトルクを同等あるいは倍増することも可能であり今までにはない画期的な新技術といえる。
また同様に絶縁体8に巻かれたコイル7に磁化電流を流して、ヨーク19から軸14の方向に突き出た部分から該ブラケット16、ボールベアリング17を経由して貫通させた磁化磁束を磁性体回転子13を貫通させて永久磁石12を前述の片側の永久磁石10とは軸方向に逆極性になるように貫通させ磁性体回転子20に流入させる。同様の理由によりこの磁化磁束は回転子20から固定子18を経由してヨーク6、ヨーク19へ戻る閉磁路を構成するので永久磁石12も磁化されることになる。この場合にも、一部の磁束は漏洩して単位回転子Aの既に磁化されている永久磁石10を減磁させようとする。この場合も同じく、導電性円板29があると、この漏洩磁束が29を貫通し始めるとそれを打ち消すように導電性円板に渦電流が発生し単位回転子A側の永久磁石が減磁されるのを防止するように作用することになる。
本方式では磁性体着磁ヨークとして1,2あるいは6、19の他に回転子9、11、20、13、固定子18を使用する。従って磁化磁束密度は回転子や固定子の構成材料の珪素鋼鈑の飽和磁束密度の1.5{T}程度では 残留磁束密度Brが1.2{T}程度のネオジム焼結磁石には磁化力が不足する場合があるが、前述したBrが0.5{T}程度であるフェライト磁石を本構造の永久磁石に用いた場合は十分適した着磁方式となる。 尚ヨーク2とヨーク6は別物の合体でも2と6は一体品でもよい。
ヨーク1,2と9,11、18で構成する閉磁路を設定着磁用磁路A、ヨーク19、ヨーク6回転子13、20、固定子18で構成される閉磁路を設定着磁用磁路Bとすれば、設定着磁用磁路AとBは、適当な磁化力で時間差を設けて磁化してもよい。その場合、磁化力が強すぎると永久磁石10と永久磁石12が同方向に磁化されるので磁路に合わせた最適な磁化力で行うことになる。あるいはやはり適当な磁化力で同時磁化してもよい。これらの場合、前述した導電性円板29が有効に働くことになる。
図3で着磁コイルは回転子軸と同心の環状コイルで示したが、固定子外周部に回転子軸と略垂直に設けた該着磁用磁路A及びBの端部の回転子外周円盤部の一部をカットして回転子軸と略垂直のヨーク部に直接着磁コイルを巻きつけてもよいし、回転子軸と同心の環状コイルとの併設コイルとしてそれらのコイルを直列あるいは並列させてもよい。
4、8、23,27 : 絶縁ボビン
3、7、24,28 : 着磁コイル、
9、11,13、20、31,32 : 回転子、
5 : コイル
14 : 回転軸、
10、12、33 : 永久磁石
29 : 導電材
15,16 : ブラケット
17 : ボールベアリング
18、30 : 固定子
Claims (5)
- 外形が多角形を含む形状に形成された略環状の磁性体とこの磁性体より放射状に突出形成されそれぞれの先端に多数の誘導子を形成してなる複数の主極とで構成された固定子と、この固定子に対してエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性を有する1対の回転子要素と両回転子要素で挟み込まれ軸方向に着磁された永久磁石とからなる単位回転子を2組軸方向に隣接させて構成された回転子とを備え、各単位回転子のそれぞれの回転子要素の外周面には複数の歯が形成され、各単位回転子の1対の回転子要素はそれぞれの歯が1/2ピッチ分ずらせて配置され、両単位回転子はそれぞれの永久磁石の着磁方向が逆になる向きで隣接する回転子要素の歯位置が一致するように、且つ、該隣接する両回転子要素の間に導電材を介在させて回転軸に支持されており、回転子の回転軸は固定子及び回転子を軸方向両側から覆う一対のブラケットにより支持されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 前記2組の単位回転子におけるそれぞれの永久磁石は、前記ブラケットの軸方向外側及び前記固定子の径方向外側を覆うヨークと、このヨークからブラケット,単位回転子の軸方向外側の回転子要素,単位回転子の永久磁石,単位回転子の軸方向内側の回転子要素,及び固定子を通して前記ヨークに至る着磁用磁路に磁束を発生させる着磁コイルとを用いて、同時に或いは時間差を設けて着磁されることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
- 前記ブラケットの軸方向外側を覆うヨークは、一対のブラケットに対して一方のみを覆うものであり、前記着磁コイルの通電による着磁は前記一方のブラケット側の単位回転子の永久磁石に対して行われ、当該着磁後に前記ヨークを他方のブラケット側に反転対向させて着磁コイルの通電を行うことにより、他方のブラケット側の単位回転子の永久磁石に対して着磁を行うことを特徴とする請求項2に記載の永久磁石式回転電機。
- 前記2組の単位回転子におけるそれぞれの永久磁石は、該両単位回転子をそれぞれの隣接する両回転子要素の間に導電材を介在させて回転軸に支持した状態で、前記単位回転子の軸方向外側及び径方向外側を覆うヨークと、このヨークから単位回転子の軸方向外側の回転子要素,単位回転子の永久磁石,単位回転子の軸方向内側の回転子要素を通して前記ヨークに至る着磁用磁路に磁束を発生させる着磁コイルとを用いて、同時に或いは時間差を設けて着磁されることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
- 前記単位回転子を覆うヨークは、2組の単位回転子に対して一方のみを覆うと共に、この一方の単位回転子の軸方向内側の回転子要素の径方向外側を覆うものであり、前記着磁コイルの通電による着磁は前記一方の単位回転子の永久磁石に対して行われ、当該着磁後に前記ヨークを他方の単位回転子側に反転対向させて着磁コイルの通電を行うことにより、他方の単位回転子の永久磁石に対して着磁を行うことを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式回転電機。
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