JP5128068B2 - 燃料電池用シール構造 - Google Patents
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Description
また、前記特許文献1に開示されたシール部材を凹溝に接着剤で固定する場合には、図15に示すように、シール部材100の弾性変形逃がし用凹部101に接着剤110が浸入して、セパレータ120の溝121と弾性変形逃がし用凹部101との間に形成されるはずの弾性変形逃がし用の空間が消失あるいは縮小し、その結果、シール面圧が高くなることがある。さらに、シール面圧が高いと、シール部材の耐久性も低下してしまう。
そこで、この発明は、シール面圧の上昇を防止することができ且つシール性、耐久性も良好に維持することができる燃料電池用シール構造を提供するものである。
請求項1に係る発明は、電解質膜(例えば、後述する実施例における固体高分子電解質膜21)の両側にアノード電極(例えば、後述する実施例におけるアノード電極22)とカソード電極(例えば、後述する実施例におけるカソード電極23)を設けて膜電極構造体(例えば、後述する実施例における膜電極構造体20)を構成し、この膜電極構造体をその両側から一対のセパレータ(例えば、後述する実施例におけるアノード側セパレータ30A、カソード側セパレータ30B)で挟持して構成される燃料電池(例えば、後述する実施例における燃料電池スタック1、単位セル10)の当該セパレータの溝(例えば、後述する実施例における溝61,62,63)にシール部材(例えば、後述する実施例におけるシール部材70A,70B,70C)が装着された燃料電池用シール構造であって、前記シール部材は、シール面を有するシール部(例えば、後述する実施例におけるシール部71)と、このシール部に連なる固定部(例えば、後述する実施例における固定部80)とを備え、前記固定部は、前記シール部の長手方向に対して直角に延びる板状のアーム部(例えば、後述する実施例におけるアーム部81)と、前記アーム部の先端に連なるベース部(例えば、後述する実施例におけるベース部82)と、前記ベース部の外周に設けられた嵌合突起(例えば、後述する実施例における嵌合突起83)とを備え、前記セパレータは前記溝とは別に該溝に連なる固定用凹部(例えば、後述する実施例における固定用凹部64)を備え、前記シール部材の前記シール部は、該シール部の全幅よりも大きい全幅を有する前記セパレータの前記溝に遊挿され、前記固定部は、前記嵌合突起を弾性圧縮することにより、前記ベース部を、前記嵌合突起の外径よりも小さい内径を有する前記セパレータの前記固定用凹部に嵌め込んで固定されており、前記シール部は、前記溝の幅方向中央に配置されるボディ部(例えば、後述する実施例におけるボディ部73)と、該ボディ部の両側から一体的に延びて溝の幅方向両端部に配置される1対の脚部(例えば、後述する実施例における脚部74)とを備え、前記溝に当接する底面側の前記ボディ部と前記脚部との間には、シール部自身の弾性変形を逃がすための弾性変形逃がし凹部(例えば、後述する実施例における弾性変形逃がし凹部75)が設けられており、前記ボディ部の上面(例えば、後述する実施例における上面72)は前記セパレータの表面(例えば、後述する実施例における面31)から所定寸法突出する平坦面に形成され、前記固定部の上面(例えば、後述する実施例における上面81a,82a)は前記セパレータの表面と面一にされ、前記弾性変形逃がし凹部は前記シール部の長手方向に沿って全長に亘って形成されていることを特徴とする燃料電池用シール構造である。
このように構成することにより、シール機能を受け持つシール部と、固定機能を受け持つ固定部とを別に設けたので、固定部の取り付け具合がシール性能に影響を及ぼすのを防止することができる。例えば、接着剤を用いてシール部材の固定部をセパレータの取り付け凹部に接合する場合に、はみ出した接着剤がシール部に付着することもないし、シール部に弾性変形逃がし凹部を設けた場合に接着剤が弾性変形逃がし凹部を塞ぐこともない。
また、シール部材のシール部をセパレータの溝に遊挿し、シール部材の固定部をセパレータの固定用凹部に弾性圧縮して嵌め込むことで、シール部材をセパレータに固定することができる。
また、燃料電池を組み立てたときに、シール部材のシール部の弾性変形を弾性変形逃がし凹部と溝との間の空間に逃がす(換言すると、この空間で吸収する)ことができる。
このように構成することにより、シール部材の誤装着を防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、シール部材の誤装着を防止することができるので、生産性が向上する。
図1は燃料電池スタック1の概略斜視図であり、燃料電池スタック1は、高さ方向に細長い単位燃料電池(以下、単位セルと称す)10を多数積層して電気的に直列接続し、その両側にエンドプレート90A,90Bを配置し、図示しないタイロッドによって締結して構成されている。なお、この実施例において、燃料電池スタック1および単位セル10はいずれも燃料電池を構成する。
図5に示すように、アノード側セパレータ30Aにおいてカソード側セパレータ30Bに対向する面34には、冷却水を両セパレータ30A,30B間に流通させるための冷却水通路凹部35が平面視略矩形に形成され、冷却水通路凹部35内には冷却水が左から右へ流れるように案内するガイド突条36が複数平行に設けられている。
アノード側セパレータ30Aには、燃料ガス供給口11に近接して、このアノード側セパレータ30Aを貫通する燃料ガス入口流通孔37が複数設けられている。燃料ガス入口流通孔37の一端は面31の燃料ガス通路凹部32に連通し、他端は面34における冷却水通路凹部35の外側で開口して、面34に設けられた燃料ガス流路溝38を介して燃料ガス供給口11に連通している。
アノード側セパレータ30Aには、アノードオフガス排出口12に近接して、このアノード側セパレータ30Aを貫通するアノードオフガス出口流通孔39が複数設けられている。アノードオフガス出口流通孔39の一端は面31の燃料ガス通路凹部32に連通し、他端は面34における冷却水通路凹部35の外側で開口して、面34に設けられたアノードオフガス流路溝40を介してアノードオフガス排出口12に連通している。
アノード側セパレータ30Aには、各冷却水排出口16に近接して、このアノード側セパレータ30Aを貫通する冷却水出口流通孔43が複数設けられている。冷却水出口流通孔43の一端は面34における冷却水通路凹部35に連通し、他端は面31の燃料ガス通路凹部32の外側で開口し、面31に設けられた冷却水流路溝44を介して冷却水排出口16に連通している。
カソード側セパレータ30Bには、カソードオフガス排出口14に近接して、このカソード側セパレータ30Bを貫通するカソードオフガス出口流通孔57が複数設けられている。カソードオフガス出口流通孔57の一端は面51の酸化剤ガス通路凹部52に連通し、他端は面54においてアノード側セパレータ30Aの冷却水通路凹部35に対応する領域の外側で開口して、面34に設けられたカソードオフガス流路溝58を介してカソードオフガス排出口14に連通している。
図5に示すように、アノード側セパレータ30Aの面34には、冷却水通路凹部35の外側を取り囲むとともに、燃料ガス供給口11および燃料ガス入口流通孔37、アノードオフガス排出口12およびアノードオフガス出口流通孔39、酸化剤ガス供給口13、カソードオフガス排出口14、冷却水供給口15、冷却水排出口16の外側をそれぞれ取り囲む溝62が設けられており、この溝62にシール部材70Bが装着されている。このシール部材70Bは積層状態においてカソード側セパレータ30Bの面54に密接する。
図6に示すように、カソード側セパレータ30Bの面51には、酸化剤ガス通路凹部52の外側を取り囲むとともに、燃料ガス供給口11、アノードオフガス排出口12、酸化剤ガス供給口13、カソードオフガス排出口14、冷却水供給口15、冷却水排出口16の外側をそれぞれ取り囲む溝63が設けられており、この溝63にシール部材70Cが装着されている。このシール部材70Cは積層状態において膜電極構造体20のカソード電極23側の面に密接する。図4、図6に示すように、アノード側セパレータ30Aの面31に装着されるシール部材70Aとカソード側セパレータ30Bの面51に装着されるシール部材70Cは同一形状、同一寸法である。シール部材70A,70B,70Cについては後で詳述する。
また、酸化剤ガス供給口13に供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路溝56を通り、酸化剤ガス入口流通孔55を通って酸化剤ガス通路凹部52に流入し、酸化剤ガス通路凹部52を上から下に流れた後、カソードオフガス出口流通孔57を通り、カソードオフガス流路溝58を通ってカソードオフガス排出口14に流出する。
冷却水供給口15に供給された冷却水は、冷却水流路溝42を通り、冷却水入口流通孔41を通って冷却水通路凹部35に流入し、冷却水通路凹部35を左から右に流れた後、冷却水出口流通孔43を通り、冷却水流路溝44を通って冷却水排出口16に流出する。
そして、アノード電極22で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜21を透過してカソード電極23まで移動し、カソード電極23で酸素と電気化学反応を起こして発電し、その際に水を生成する。この発電に伴う発熱により単位セル10が所定の作動温度を越えないように、冷却水通路凹部35を流れる冷却水で熱を奪い冷却する。
アーム部挿入凹部65の深さはアーム部81の厚みとほぼ同寸法に設定されており、アーム部81をアーム部挿入凹部65に挿入したときにアーム部81の上面81aはアノード側セパレータ30Aの面31とほぼ面一になる。アーム部挿入凹部65の幅寸法はアーム部81の幅寸法よりも若干大きく、アーム部81の挿入を容易にしている。
ベース部嵌合凹部66の内径はベース部82における嵌合突起83の外径よりも若干小さく、嵌合突起83を弾性圧縮することによりベース部82をベース部嵌合凹部66に嵌め込んで固定することができるようにされている。ベース部嵌合凹部66の深さはベース部82の厚みとほぼ同寸法に設定されており、ベース部82をベース部嵌合凹部66に嵌合したときにベース部82の上面82aはアノード側セパレータ30Aの面31とほぼ面一になる。
<参考例1>
図11および図12を参照してシール部材70Aの参考例1を説明する。
実施例1のシール部材70Aにおいては、固定部80に嵌合突起83を設けているため、固定部80のベース部82をシール部71よりも下方に突出させる必要があり、アノード側セパレータ30Aにはベース部82を嵌め込むためのベース部嵌合凹部66を設けなければならない。そのため、アノード側セパレータ30Aにはベース部嵌合凹部66を形成可能なだけの厚みが必要である。
参考例1のシール部材70Aは、嵌合凹部66を設けることができない薄型のアノード側セパレータ30Aにも取り付けることができるように構成した。
参考例1におけるシール部材70Aの固定部80は、シール部71の脚部74から外方に向かって(換言すると、アノード側セパレータ30Aの外周縁に向かって)シール部71の長手方向に対して直角に延びる薄板舌片状をなし、その厚みは脚部74の厚みと同一にされている。
この固定部80が挿入される固定用凹部64がアノード側セパレータ30Aの面31に固定部80と相似形に形成されている。固定用凹部64の平面視寸法は固定部80の平面視寸法よりも若干大きく設定されており、固定部80の挿入を容易にしている。固定用凹部64の深さは固定部80の厚みよりも接着剤層の厚み分だけ大きく設定されている。
したがって、参考例1においても実施例1の場合と同様に、小さな締め付け力でシール部71の弾性変形量を大きく確保することができるとともに、弾性変形量を確保するための面圧(シール面圧)を抑えることができる。その結果、従来に比較して燃料電池スタック1の締め付け力を小さくすることができ、しかも、所望のシール面圧を得ることができ、高いシール性を確保することができる。また、シール面圧を抑えることができるので、シール部材70Aの耐久性も向上する。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。例えば、シール部材70A〜70Cの平面視形状はこの実施例の形態に限るものではない。
10 単位セル(燃料電池)
20 膜電極構造体
21 固体高分子電解質膜(電解質膜)
22 アノード電極
23 カソード電極
61 溝
64 固定用凹部
70A〜70C シール部材
71 シール部
80 固定部
Claims (2)
- 電解質膜の両側にアノード電極とカソード電極を設けて膜電極構造体を構成し、この膜電極構造体をその両側から一対のセパレータで挟持して構成される燃料電池の当該セパレータの溝にシール部材が装着された燃料電池用シール構造であって、
前記シール部材は、シール面を有するシール部と、このシール部に連なる固定部とを備え、前記固定部は、前記シール部の長手方向に対して直角に延びる板状のアーム部と、前記アーム部の先端に連なるベース部と、前記ベース部の外周に設けられた嵌合突起とを備え、前記セパレータは前記溝とは別に該溝に連なる固定用凹部を備え、前記シール部材の前記シール部は、該シール部の全幅よりも大きい全幅を有する前記セパレータの前記溝に遊挿され、前記固定部は、前記嵌合突起を弾性圧縮することにより、前記ベース部を、前記嵌合突起の外径よりも小さい内径を有する前記セパレータの前記固定用凹部に嵌め込んで固定されており、
前記シール部は、前記溝の幅方向中央に配置されるボディ部と、該ボディ部の両側から一体的に延びて溝の幅方向両端部に配置される1対の脚部とを備え、前記溝に当接する底面側の前記ボディ部と前記脚部との間には、シール部自身の弾性変形を逃がすための弾性変形逃がし凹部が設けられており、
前記ボディ部の上面は前記セパレータの表面から所定寸法突出する平坦面に形成され、
前記固定部の上面は前記セパレータの表面と面一にされ、
前記弾性変形逃がし凹部は前記シール部の長手方向に沿って全長に亘って形成されていることを特徴とする燃料電池用シール構造。 - 前記固定部および前記固定用凹部を複数備え、複数の前記固定部および前記固定用凹部の一部は、前記セパレータの面内方向において左右非対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用シール構造。
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