以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、この発明に係る地図情報処理装置が、ナビゲーション装置に適用されている場合を例に挙げて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置は、ナビゲーション制御部100、地図データ入力部101、地図データ記憶部102、GPS(Global Positioning System)受信機103および自立センサ104を備えている。
ナビゲーション制御部100は、この発明の「制御部」に対応し、ナビゲーション機能を実現するための各種処理を実行する。このナビゲーション制御部100の詳細は後述する。
地図データ入力部101は、例えば、バージョンアップディスクまたはメモリカードといった記録メディア、あるいは、図示しないセンタから通信により地図データを取得する携帯電話などから構成され、新バージョンの地図データを入力する。この地図データ入力部101から入力された地図データは、地図データ記憶部102に送られる。
地図データ記憶部102は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などといった書き換え可能な記憶装置から構成されており、地図データを記憶する。この地図データ記憶部102には、ナビゲーション装置の出荷時に記憶された地図データの他、地図データ入力部101で入力された新バージョンの地図データが記憶される。この地図データ記憶部102に記憶されている地図データは、ナビゲーション制御部100によって読み出される。
GPS受信機103は、GPS衛星から送信される電波を受信し、自己の現在位置を検出する。このGPS受信機103で検出された自己の現在位置は、現在位置データとしてナビゲーション制御部100に送られる。
自立センサ104は、速度センサおよび方位センサ(いずれも図示を省略する)を含む。速度センサで検出された自己の移動速度は、速度データとしてナビゲーション制御部100に送られる。また、方位センサで検出された自己の進行方位は、方位データとしてナビゲーション制御部100に送られる。
次に、ナビゲーション制御部100の詳細を説明する。ナビゲーション制御部100は、表示制御部105、自車位置算出部106、経路探索・案内部107および操作制御部108を備えている。表示制御部105は、図示しないモニタに地図、推奨経路または各種メッセージなどを表示するための処理を実行する。
自車位置算出部106は、GPS受信機103から送られてくる現在位置データ、または、自立センサ104から送られてくる速度データと方位データとに基づき自律航法により算出した自車位置データによって示される自車位置の座標を算出し、さらに、地図データ記憶部102に記憶されている地図データを用いて自車が地図上のどの道路上にいるかを算出する。この自車位置算出部106で算出された自車位置は、経路探索・案内部107における出発地として使用される他、表示制御部105で地図上に自車位置マークを表示するために使用される。
経路探索・案内部107は、自車位置算出部106で算出された現在位置(出発地)から、操作制御部108の制御により入力された目的地までの経路探索を行って推奨経路を表す経路データを算出するとともに、この算出した経路データによって示される推奨経路に沿って経路案内を行うための処理を実行する。
操作制御部108は、例えば、操作パネル、リモートコントローラ(リモコン)、タッチパネルまたは音声入力装置(いずれも図示は省略する)を制御することにより、これらの操作に応じた各種情報(例えば、目的地)を入力するための処理を実行する。
次に、地図データ記憶部102に記憶される地図データについて説明する。図2は、各階層の地図データのフォーマットを示す図である。この地図データのフォーマットは、後述する道路データのフォーマットを除き、従来の地図データのフォーマットと同じである。すなわち、地図データは、データヘッダ、階層レベル数:nおよびレベル0〜n−1のレベルデータ(以下、「レベル0〜n−1データ」という)から成る。
データヘッダは、データバージョン、データサイズおよび作成範囲を表すデータから成る。作成範囲は、作成区域左端Xs、作成区域上端Ys、作成区域右端Xeおよび作成区域下端Yeを表すデータから成る。
レベルmデータは、X方向データ数:Xm、Y方向データ数:Ym、メッシュデータ(0,0)〜メッシュデータ(Xm−1,Ym−1)から成る。メッシュデータ(Xm−1,0)は、メッシュ座標(Xm−1,0)、データバージョン、ヘッダ、道路データ、背景データおよび文字データから成る。
図3は、上記のように定義された地図データのレベルmデータによって表されるメッシュの例を示す図である。1つのメッシュに対応する地図を、この明細書では「単位地図」と呼ぶ。図4は、地図データの階層構造を説明するための図であり、各階層は上層のメッシュを複数に分割して構成されている。図4に示す例では、地図データがレベル0(最下層)〜レベル2(最上層)といった3階層で構成されており、レベル1のメッシュはレベル2のメッシュを4X4に分割し、レベル0のメッシュはレベル1のメッシュを4X4に分割して構成されている。
図5は、図2に示した道路データのフォーマットを示す。道路データは、図5(a)に示すように、交差点などのノードを表すノードデータとノード間の道路であるリンクを表すリンクデータとから成る。
ノードデータは、図5(b)に示すように、ノードレコード数と複数のノードレコード#0〜#n−1とから成る。ノードレコード#0〜#n−1の各々は、ノードの位置を示すノード座標、ノードが交差点であるか境界ノードであるかなどを示すノード属性、隣接する単位地図(以下、単に「隣接地図」という)へ接続するための隣接情報、ノードに接続されるリンクの本数を示す接続リンク数、および、接続リンク数分のリンクレコード番号から成る。隣接情報は、ノード属性が境界ノードであることを表している場合にのみ有効な情報である。なお、隣接情報は、ノード属性が境界ノードでない場合は、道路データ中に隣接情報を保持しないように構成できる。この構成によれば、道路データの全体の量を減らすことができる。
リンクデータは、図5(c)に示すように、リンクレコード数と複数のリンクレコード#0〜#n−1から成る。リンクレコード#0〜#n−1の各々は、リンクの始点および終点のノードをそれぞれ示す始点ノードレコード番号および終点ノードレコード番号、リンクの種別を表すリンク種別、リンクの属性を表すリンク属性、すべてのリンクにユニークな値として付加されるリンクID番号、リンクの長さを表すリンク長、および、リンクの形を現すリンク形状から成る。リンク形状は、形状座標数と形状座標#0〜#n−1から成る。
隣接情報は、図5(d)に示すように、リンクID番号からなる。リンクID番号は、図5(e)に示すように、始点ノードレコード側の始点側リンクID番号と終点ノードレコード側の終点側リンクID番号とから成り、所定の幅を有する。バージョンアップによってリンクが分割された場合は、始点側リンクID番号と終点側リンクID番号の範囲内でリンクID番号が振りなおされる。
図6は、図2に示した背景データの構造を示す例であり、背景データレコード数と背景データレコード#0〜#n−1とから構成されている。背景データレコード#0〜#n−1の各々は、河川または緑地などの種別を表す背景データ種別、形状座標数、および、背景の形状を表す形状座標#0〜#m−1から構成されている。
図7は、経路探索・案内部107で算出される経路データのフォーマットを示す図である。この経路データは、経路探索の出発地を表す出発地座標、目的地を表す目的地座標、経路リンク数および経路リンク#0〜#n−1からなる。経路リンク#0〜#n−1の各々は、リンクが属する地図の階層レベル、メッシュ座標(X,Y)、リンクを特定するリンクID番号およびリンクの向きと経路の向きの順逆を表す経路方向とから成る。
上述した地図データを用いて、隣接する単位地図(メッシュ)間の道路の接続関係は次のように表される。図8において、リンク603のリンクID番号は、始点側「10」、終点側「19」(以下、「10:19」と記す)であり、リンク604のリンクID番号は「20:29」であれば、境界ノード601および602の隣接情報は、それぞれ「20:29」および「10:19」とされる。
今、図9に示すように、図8に示すリンク604がリンク702とリンク703とに分割された場合、リンクID番号として、それぞれ「20:24」および「25:29」が付与される。
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の動作を、図10および図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。以下では、境界ノードから隣接地図のリンクを取得する処理を中心に説明する。この処理は、表示制御部105、自車位置算出部106または経路探索・案内部107からの地図データの取得要求に応じて、ナビゲーション制御部100において実行される。
境界ノードから隣接地図のリンクを取得する処理では、まず、ノード属性が取得される(ステップST11)。すなわち、ナビゲーション制御部100は、要求された地図データを地図データ記憶部102から読み込み、この読み込んだ地図データに含まれる道路データのノードデータからノード属性を取得する。
次いで、ステップST11で取得したノード属性が境界ノードであるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、ノード属性が境界ノードでないことが判断されると、境界ノードから隣接地図のリンクを取得する処理は終了する。一方、ステップST12において、ノード属性が境界ノードであることが判断されると、次いで、隣接情報が取得される(ステップST13)。すなわち、ノードデータのノードレコードの中から、隣接情報として格納されている隣接地図のリンクID番号が取得される。
次いで、隣接地図が読み込まれる(ステップST14)。すなわち、当該メッシュの隣のメッシュの地図データが読み込まれる。次いで、隣接リンク取得処理が実行される(ステップST15)。この隣接リンク取得処理では、隣接地図から隣接情報に一致するリンクID番号を取得する処理が行われる。この隣接リンク取得処理の詳細は、後述する。
次いで、隣接リンクの取得が成功したがどうかが調べられる(ステップST16)。このステップST16において、隣接リンクの取得が成功したことが判断されると、境界ノードから隣接地図のリンクを取得する処理は終了する。一方、ステップST16において、隣接リンクの取得に成功しなかったことが判断されると、行き止まりノードであると判定され、その旨が設定される(ステップST17)。これにより、バージョンの違いによって道路データが接続されていない場合であっても、正しくナビゲーション動作を行うことができる。その後、境界ノードから隣接地図のリンクを取得する処理は終了する。
次に、上記ステップST15で実行される隣接リンク取得処理を、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
隣接リンク取得処理では、まず、リンクデータの中の先頭リンクレコードが取得される(ステップST21)。次いで、ステップST21で取得されたリンクレコードの中からリンクID番号が取得される(ステップST22)。次いで、ステップST22で取得されたリンクID番号が、上述したステップST13で取得された隣接情報の範囲内であるかどうかが調べられる(ステップST23)。
このステップST23において、隣接情報の範囲内であることが判断されると、次いで、始点側ノードが取得される(ステップST24)。次いで、ステップST24で取得された始点側ノードが境界ノードであるかどうかが調べられる(ステップST25)。このステップST25において、始点側ノードが境界ノードであることが判断されると、取得成功であることが認識され、シーケンスはステップST28に進む。
一方、ステップST25において、始点側ノードが境界ノードでないことが判断されると、次いで、終点側ノードが取得される(ステップST26)。次いで、ステップST26で取得された終点側ノードが境界ノードであるかどうかが調べられる(ステップST27)。このステップST27において、終点側ノードが境界ノードであることが判断されると、取得成功であることが認識され、シーケンスはステップST28に進む。ステップST28においては、取得成功である旨が設定される。その後、隣接リンク取得処理は終了し、図10に示す処理にリターンする。
上記ステップST23において、隣接情報の範囲内でないことが判断された場合、および、上記ステップST27において、終点側ノードが境界ノードでないことが判断された場合は、次いで、最後尾のリンクレコードであるかどうかが調べられる(ステップST29)。このステップST29において、最後尾のリンクレコードでないことが判断されると、次のリンクレコードが取得される(ステップST30)。その後、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップST29において、最後尾のリンクレコードであることが判断されると、取得失敗であることが認識され、その旨が設定される(ステップST31)。その後、隣接リンク取得処理は終了し、図10に示す処理にリターンする。
次に、階層探索と案内について説明する。通常、ナビゲーション装置では、経路データによって示される経路のリンクを最下層(レベル0)のリンクに展開し、図12に示すような画面を表示することにより、右左折案内などが行われる。最下層のリンクに展開するのは、上層では重要度の低いリンクが省かれるために下層に存在するノードが上層に存在しない場合があり、正しい案内ができないためである。
図13は、階層化されたリンクの対応関係を説明するための図である。リンクの対応関係は、リンクID番号の包含関係で規定され、図13において、上層のリンク801は下層のリンク804および805に対応している。この状態を「既存」という。上層のみがージョンアップされた場合は、道路の新設または延長などにより上層リンクに対応するリンクが下層に一部または全く存在しない場合がある。上層リンク802に対応する下層リンク806が一部対応している状態を「一部新設」といい、リンク803に対応する下層リンクは存在しない状態を「新設」という。
図14は、経路上を走行している場合の経路案内処理を示すフローチャートである。この案内処理は、主に、経路探索・案内部107において実行される。
経路案内処理では、まず、走行中のリンクが取得される(ステップST41)。すなわち、経路探索・案内部107は、自車位置算出部106で算出された自車位置が存在する道路のリンクデータを取得する。次いで、リンクID番号が取得される(ステップST42)。すなわち、ステップST41で取得されたリンクデータに含まれるリンクID番号が取得される。
次いで、先頭経路リンクが取得される(ステップST43)。すなわち、経路データによって示される経路を構成する先頭のリンクデータが取得される。次いで、経路リンクのリンクID番号が取得される(ステップST44)。すなわち、ステップST43で取得した経路リンクのリンクID番号が取得される。
次いで、走行中のリンクのリンクID番号が包含されるかどうかが調べられる(ステップST45)。すなわち、ステップST42で取得されたリンクID番号が、ステップST44で取得された幅を有するリンクID番号の中に含まれるかどうかが調べられる。このステップST45において、走行中のリンクのリンクID番号が包含されることが判断されると、経路上を走行中であることが認識され、案内Aが実施される(ステップST46)。すなわち、図12に示すような画面が表示され、右左折案内が行われる。その後、経路案内処理は終了する。
一方、ステップST45において、走行中のリンクのリンクID番号が包含されないことが判断されると、次いで、最後尾の経路リンクであるかどうかが調べられる(ステップST47)。このステップST47において、最後尾の経路リンクでないことが判断されると、次の経路リンクが取得される(ステップST48)。その後、シーケンスはステップST44に戻り、上述した処理が繰り返される。
ステップST47において、最後尾の経路リンクであることが判断されると、経路外を走行中であることが認識され、案内Bが実施される(ステップST49)。すなわち、図15に示すような画面が表示され、目的地の方向を示した案内が行われる。その後、経路案内処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置によれば、図9に示すように、境界ノードの隣接情報から正しくリンクレコードを取得できるので、古い地図であっても新しい地図の道路に接続することができ、これにより新しい地図と同様の経路案内を行うことができる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置は、上層地図に経路の形状を表示するようにしたものである。この実施の形態2に係る地図情報処理装置の構成は、上述した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成(図1参照)と同じである。
図16および図17は、実施の形態2に係る地図情報処理装置の動作を説明するための図である。図16は、下層地図に対応するリンク(以下、「下層リンク」という)が存在しない上層地図の経路リンク(以下、「上層経路リンク」という)の形状が、道路表示と異なる点線1101で下層地図に重ねて表示された例を示す図である。図12は、下層リンクが存在しない上層経路リンクの形状が、通常の道路標示と同様な線1201で下層地図に重ねて表示された例を示す図である。
次に、この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置の動作を、図16および図17に示した表示を行うための処理を中心に、図18〜図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、表示対象となる経路リンクを選択する選択処理を、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。この選択処理では、表示対象として、新設および一部新設の経路リンクを選択してリスト(図示しない)に格納する処理が行われる。
この選択処理では、まず、先頭経路リンクが取得される(ステップST51)。すなわち、経路データによって示される経路を構成する先頭のリンクデータが取得される。次いで、表示エリア内であるかどうかが調べられる(ステップST52)。すなわち、上述したステップST51または後述するステップST61で取得されたリンクデータによって示されるリンクが、モニタの表示エリア内に表示すべきリンクであるかどうかが調べられる。
このステップST52において、表示エリア内でないことが判断されると、シーケンスはステップST60に進む。一方、ステップST52において、表示エリア内であることが判断されると、次いで、リンク状態が判定される(ステップST53)。すなわち、ステップST51またはステップST61で取得されたリンクレコードによって示される経路リンクが、「新規」、「一部新規」または「既存」のいずれであるかが調べられる。
このステップST53において、経路リンクが「新規」であることが判断されると、次いで、この経路リンクを含む地図が読み込まれる(ステップST54)。すなわち、経路リンクを含む地図データが地図データ記憶部102から読み込まれる。次いで、リンクレコードが取り出される(ステップST55)。すなわち、ステップST54で読み込まれた地図データに含まれる道路データを構成するリンクデータから、経路リンクに対応するリンクレコードが取り出される。次いで、新規リストに追加される(ステップST56)。すなわち、ステップST55で取り出されたリンクレコードが、図示しない新規リストに追加される。その後、シーケンスはステップST60に進む。
ステップST53において、経路リンクが「一部新規」であることが判断されると、次いで、この経路リンクを含む地図が読み込まれる(ステップST57)。すなわち、経路リンクを含む地図データが地図データ記憶部102から読み込まれる。次いで、リンクレコードが取り出される(ステップST58)。すなわち、ステップST57で読み込まれた地図データに含まれる道路データを構成するリンクデータから、経路リンクに対応するリンクレコードが取り出される。
次いで、一部新規リストに追加される(ステップST59)。すなわち、ステップST58で取り出されたリンクレコードが、図示しない一部新規リストに追加される。その後、シーケンスはステップST60に進む。上記ステップST53において、リンクが「既存」であることが判断された場合は、シーケンスは、ステップST60に進む。
ステップST60においては、最後尾のリンクレコードであるかどうかが調べられる。このステップST60において、最後尾のリンクレコードでないことが判断されると、次のリンクレコードが取得される(ステップST61)。その後、シーケンスはステップST52に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST60において、最後尾のリンクレコードであることが判断されると、選択処理は終了する。
次に、上述した選択処理において新設リストに格納されたリンクレコードに基づき新設リンクの形状を表示する新設リンク表示処理を、図19に示すフローチャートを参照しながら説明する。新設リンク表示処理では、まず、リストからリストレコードが取り出される(ステップST71)。すなわち、新設リストに格納されているリンクレコードが取り出される。
次いで、リンク形状が取り出される(ステップST72)。すなわち、リンクレコードに含まれるリンク形状を表すデータ、より詳しくは形状座標が取り出される。次いで、線分として表示する処理が行われる(ステップST73)。すなわち、ステップST72で取り出された形状座標を線で結ぶことにより、新規道路の形状が作成され、表示制御部105の制御によってモニタに表示される。以上により、新設リンク表示処理は終了する。
次に、上述した選択処理において一部新設リストに格納されたリンクレコードに基づき形状表示を行う一部新設リンク表示処理を、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。一部新設リンク表示処理では、まず、リストからリストレコードが取り出される(ステップST81)。すなわち、一部新設リストに格納されているリンクレコードが取り出される。
次いで、リンク形状が取り出される(ステップST82)。すなわち、リンクレコードに含まれるリンク形状を表すデータ、より詳しくは形状座標が取り出される。次いで、表示対象形状絞込みが行われる(ステップST83)。この表示対象形状絞込みにおいては、図21に示すように、上層リンク形状1301から下層リンク形状1302が減算され、その結果が表示対象形状1303とされる。
次いで、線分として表示する処理が行われる(ステップST84)。すなわち、ステップST83で得られた表示対象形状1303に基づき、一部新規道路の形状が作成され、表示制御部105の制御によってモニタに表示される。以上により、一部新設リンク表示処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置によれば、古い地図に存在しない道路であっても、探索経路の形状を把握できる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置は、実施の形態1または実施の形態2に係る地図情報処理装置において、上層地図上の経路を下層の道路データに追加するようにしたものである。
図22は、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置は、実施の形態1に係る地図情報処理装置に、道路データ追加部201が追加されて構成されている。道路データ追加部201は、経路探索・案内部107において、経路探索によって得られた上層地図上の経路に対応する下層地図上の経路が存在しないことが判断された場合は、上層地図の経路を構成するリンクの形状から下層地図の道路データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。
次に、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置の動作を、経路リンクを道路データとして追加する処理を中心に、図23および図24に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、新規リンクを道路データとして追加する新規リンク追加処理を、図23に示すフローチャートを参照しながら説明する。
新規リンク追加処理では、まず、リストからリンクレコードが取り出される(ステップST91)。すなわち、新規リストからリンクレコードが取り出される。次いで、道路データに追加する処理が行われる(ステップST92)。すなわち、道路データ追加部201は、ステップST91で取り出されたリンクレコードによって形成されるリンク形状から、下層地図の道路データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。その後、新規リンク追加処理は終了する。
次に、一部新規リンクを道路データとして追加する一部新規リンク追加処理を、図24に示すフローチャートを参照しながら説明する。一部新規リンク追加処理では、まず、リストからリンクレコードが取り出される(ステップST101)。すなわち、一部新規リストからリンクレコードが取り出される。次いで、表示対象形状絞込みが行われる(ステップST102)。このステップST102で行われる表示対象形状絞込み処理は、実施の形態2に係る地図情報処理装置の一部新設リンク表示処理で行われる表示対象形状絞込み処理(図20に示すフローチャートのステップST83)と同じである。
次いで、道路データに追加する処理が行われる(ステップST103)。すなわち、道路データ追加部201は、ステップST102で表示対象形状絞込み処理を行うことにより得られたリンク形状から、下層地図の道路データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。その後、一部新規リンク追加処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置によれば、古い地図であっても一度経路探索に使用された新道の道路データが地図データ記憶部102に格納されるので、次回からは正しい経路案内ができる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置は、実施の形態1または実施の形態2に係る地図情報処理装置において、上層地図上の経路を下層地図の背景データに追加するようにしたものである。
図25は、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置は、実施の形態1に係る地図情報処理装置に、背景データ追加部301が追加されて構成されている。背景データ追加部301は、経路探索・案内部107において、経路探索によって得られた上層地図上の経路に対応する下層地図上の経路が存在しないことが判断された場合は、上層リンクの形状から下層地図の背景データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。
次に、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の動作を、経路リンクを道路データとして追加する処理を中心に、図26および図27に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、新規リンクを背景データとして追加する新規リンク追加処理を、図26に示すフローチャートを参照しながら説明する。
新規リンク追加処理では、まず、リストからリンクレコードが取り出される(ステップST111)。すなわち、新規リストからリンクレコードが取り出される。次いで、背景データに追加する処理が行われる(ステップST112)。すなわち、背景データ追加部301は、ステップST111で取り出されたリンクレコードによって形成されるリンク形状から、下層地図の背景データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。その後、新規リンク追加処理は終了する。
次に、一部新規リンクを背景データとして追加する一部新規リンク追加処理を、図27に示すフローチャートを参照しながら説明する。一部新規リンク追加処理では、まず、リストからリンクレコードが取り出される(ステップST121)。すなわち、一部新規リストからリンクレコードが取り出される。次いで、表示対象形状絞込みが行われる(ステップST122)。このステップST122で行われる表示対象形状絞込み処理は、実施の形態2に係る地図情報処理装置の一部新設リンク表示処理で行われる表示対象形状絞込み処理(図20に示すフローチャートのステップST83)と同じである。
次いで、背景データに追加する処理が行われる(ステップST123)。すなわち、道路データ追加部201は、ステップST102で表示対象形状絞込み処理を行うことにより得られたリンク形状から、下層地図の背景データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。その後、一部新規リンク追加処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置によれば、古い地図であっても一度経路探索に使用された新道の表示データが地図データ記憶部102に背景データとして格納されるので、次回からは、この背景データを用いて新道の形状を表示させることができる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置は、上述した実施の形態3または実施の形態4に係る地図情報処理装置において、追加対象とする道路データまたは背景データの判定処理を具体化したものである。
この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置の構成は、図22に示した実施の形態3に係る地図情報処理装置または図25に示した実施の形態4に係る地図情報処理装置の構成と同じである。
次に、この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置の動作を、道路データおよび表示データの追加対象を判定する処理を中心に、図28に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この処理では、まず、作成範囲右端が取得される(ステップST131)。すなわち、地図データのヘッダに含まれる作成範囲の中の作成区域右端:Xeが取得される。次いで、作成範囲左端が取得される(ステップST132)。すなわち、地図データのヘッダに含まれる作成範囲の中の作成区域左端:Xsが取得される。次いで、作成範囲のX方向距離が算出される(ステップST133)。すなわち、ステップST131で取得された作成区域右端:XeからステップST132で取得された作成区域左端:Xsを減じた値の絶対値がX方向距離Xdとして算出される。
次いで、レベルn1のX方向データ数が取得される(ステップST134)。すなわち、レベルn1データに含まれるX方向データ数Xmn1が取得される。次いで、レベルn1メッシュのX方向のサイズが算出される(ステップST135)。すなわち、ステップST133で算出されたX方向距離Xdを、ステップST135で算出されたX方向データ数Xmn1で除することにより、レベルn1メッシュのX方向のサイズSn1が算出される。
次いで、レベルn1より上層のレベルn2のX方向データ数が取得される(ステップST136)。すなわち、レベルn2データに含まれるX方向データ数Xmn2が取得される。次いで、レベルn2メッシュのX方向のサイズが算出される(ステップST137)。すなわち、ステップST133で算出されたX方向距離Xdを、ステップST136で算出されたX方向データ数Xmn2で除することにより、レベルn2メッシュのX方向のサイズSn2が算出される。
次いで、メッシュのXサイズの比が算出される(ステップST138)。すなわち、ステップST137で算出されたX方向のサイズSn2を、ステップST135で算出されたX方向のサイズSn1で除することにより、これらの比DIVが算出される。次いで、ステップST138で算出された比DIVが所定値以下であるかどうかが調べられる(ステップST139)。このステップST139において、比DIVが所定値以下であることが判断されると、レベルn2は対象とされる(ステップST140)。その後、処理は終了する。一方、ステップST139において、比DIVが所定値以下でないことが判断されると、レベルn2は対象外とされる(ステップST141)。その後、処理は終了する。
以上の処理により、階層レベルn1に上層の階層レベルn2のリンクを追加するかどうかは、メッシュのX方向の大きさの比DIV、つまり上層地図と下層地図との精度の比が規定値以下かどうかによって判定され、規定値以下であれば、階層レベルn1に上層の階層レベルn2のリンクが追加される。
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置によれば、実際の道路形状と大きく異なる可能性がある道路データまたは背景データを地図データ記憶部102に追加しないように構成できる。
なお、実施の形態5に係る地図情報処理装置は、実施の形態2に係る地図情報処理装置において行われる上層経路の形状の表示にも適用できる。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置は、上層地図で新旧バージョン領域を表示するようにしたものである。この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じである。
図29および図30は、実施の形態6に係る地図情報処理装置の動作を説明するための図である。図29(a)は、上層メッシュを示し、図29(b)は、上層メッシュに対応する複数の下層メッシュ(4×4)の範囲を示している。下層メッシュのメッシュ1401〜1404は最新バージョンのメッシュであり、それ以外は旧バージョンのメッシュであることを示している。
次に、この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置の動作を、新旧バージョン領域を表示する処理を中心に、図31に示すフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、表示制御部105の制御によって行われる。
この処理では、まず、範囲内の下層メッシュがリストに追加される(ステップST151)。すなわち、図29(a)に示すような上層メッシュに対応する、図29(b)に示すような下層メッシュの範囲が図示しないリストに追加される。
次いで、リストから1つの下層メッシュが取得される(ステップST152)。次いで、ステップST153で取り出された下層メッシュが最新バージョンであるかどうかが調べられる(ステップST153)。このステップST153において、最新バージョンであることが判断されると、シーケンスはステップST156に進む。
一方、ステップST153において、最新バージョンでないことが判断されると、描画範囲が算出される(ステップST154)。すなわち、当該下層メッシュに対応する地図の描画範囲が算出される。次いで、網掛け表示が重畳される(ステップST155)。すなわち、ステップST154で算出された描画範囲に網掛けが施される。その後、シーケンスはステップST156に進む。
ステップST156においては、全てのメッシュが取り出されたかどうかが調べられる。すなわち、ステップST151において、リストに追加された全ての下層メッシュに対する処理が終了したかどうかが調べられる。このステップST156において、全てのメッシュが取り出されていないことが判断されると、シーケンスはステップST152に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST156において、全てのメッシュが取り出されたことが判断されると、新旧バージョン領域を表示する処理は終了する。
以上の処理により、上層メッシュの範囲に対応する下層メッシュのバージョンがチェックされ、最新バージョンでない下層メッシュの範囲に網掛けが行われ、他と異なった形態で表示されるので、上層地図を、図30に示すように新旧バージョンの領域を区別して表示することができ、どの地域が新しいバージョンの地図であるかを容易に把握できる。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置は、経路が設定されているか否かとは無関係に、上層地図の新道を下層地図に追加するようにしたものである。
この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置の構成は、図示は省略するが、図22に示した実施の形態3に係る地図情報処理装置の構成と同様に、実施の形態1に係る地図情報処理装置に道路データ追加部201を追加して構成されている。道路データ追加部201は、所定のタイミングで、上層地図の道路を構成するリンクの形状から下層地図の道路データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。
次に、この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置の動作を、表示対象となるリンクを選択する選択処理を中心に、図32に示すフローチャートを参照しながら説明する。この選択処理では、表示対象として、新設および一部新設のリンクを選択してリスト(図示しない)に格納する処理が行われる。
この選択処理では、まず、上層地図が読み出される(ステップST161)。すなわち、現在処理の対象としている階層の地図の上層地図が地図データ記憶部102から読み出される。次いで、先頭経路リンクが取得される(ステップST162)。すなわち、ステップST161で読み出された地図に含まれる先頭のリンクデータが取得される。次いで、下層地図のエリア内であるかどうかが調べられる(ステップST163)。すなわち、上記ステップST162または後述するステップST168で取得されたリンクデータによって示されるリンクが、下層エリア内に存在するリンクであるかどうかが調べられる。
このステップST163において、下層地図のエリア内でないことが判断されると、シーケンスはステップST167に進む。一方、ステップST163において、下層地図のエリア内であることが判断されると、次いで、リンク状態が判定される(ステップST164)。すなわち、ステップST162またはステップST168で取得されたリンクレコードによって示されるリンクが、「新規」、「一部新規」または「既存」のいずれであるかが調べられる。
このステップST164において、リンクが「新規」であることが判断されると、次いで、新規リストに追加される(ステップST165)。すなわち、ステップST162またはステップST168で取り出されたリンクレコードが、図示しない新規リストに追加される。その後、シーケンスはステップST167に進む。
ステップST164において、リンクが「一部新規」であることが判断されると、次いで、一部新規リストに追加される(ステップST166)。すなわち、ステップST162またはステップST168で取り出されたリンクレコードが、図示しない一部新規リストに追加される。その後、シーケンスはステップST167に進む。ステップST164において、リンクが「既存」であることが判断されると、シーケンスは、ステップST167に進む。
ステップST167においては、最後尾のリンクレコードであるかどうかが調べられる。このステップST167において、最後尾のリンクレコードでないことが判断されると、次のリンクレコードが取得される(ステップST168)。その後、シーケンスはステップST163に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST167において、最後尾のリンクレコードであることが判断されると、選択処理は終了する。以上の処理は、すべての下層メッシュに対して実施される。
以上の選択処理が行われた後に、道路データ追加部201は、所定のタイミングで、新規リストおよび一部新規リストから読み出したリンクレコードに基づいて、上層地図の道路を構成するリンクの形状から下層地図の道路データを生成し、地図データ記憶部102に追加する。これにより、上層地図の新道を下層地図に追加することができる。
100 ナビゲーション制御部、101 地図データ入力部、102 地図データ記憶部、103 GPS受信機、104 自律センサ、105 表示制御部、106 自車位置算出部、107 経路探索・案内部、108 操作制御部、201 道路データ追加部、301 背景データ追加部。