図1において、1はマイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成される印刷制御部であり、プリンタの印刷部の内部に配設され、図示しない上位コントローラからの制御信号SG1、ビデオ信号(ドットマップデータを一次元的に配列したもの)SG2等によってプリンタ全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う。
制御信号SG1によって印刷指示を受信すると、印刷制御部1は、先ず定着器温度センサ23によってヒータ22aを内蔵した定着器22が使用可能な温度範囲内にあるか否かを検出し、該温度範囲内になければヒータ22aに通電し、使用可能な温度まで定着器22を加熱する。次に、ドライバ2を介して現像・転写プロセス用モータ(PM)3を回転させ、同時にチャージ信号SGCによって帯電用電圧電源25をオンにし、現像器27の帯電を行う。
そして、セットされている図示しない用紙の有無およびサイズが用紙残量センサ8、用紙サイズセンサ9によって検出され、該用紙に合った用紙送りが開始される。ここで、用紙送りモータ(PM)5はドライバ4を介して双方向に回転させることが可能であり、最初に逆転させて、用紙吸入口センサ6が検知するまで、セットされた用紙を予め設定された量だけ送る。続いて、正回転させて用紙をプリンタ内部の印刷機構内に搬送する。
印刷制御部1は、用紙が印刷可能な位置に到達した時点において、上位コントローラに対してタイミング信号SG3(主走査同期信号、副走査同期信号を含む)を送信し、上位コントローラからビデオ信号SG2を受信する。上位コントローラにおいてページ毎に編集され、印刷制御部1に受信されたビデオ信号SG2は、印刷データ信号HD−DATAとして光プリントヘッド(記録ヘッド)19に転送される。光プリントヘッド19はそれぞれ1ドット(ピクセル)の印刷のために設けられた発光サイリスタを複数個線上に配列したものである。
そして印刷制御部 1は1ライン分のビデオ信号を受信すると、光プリントヘッド19にラッチ信号HD−LOADを送信し、印字データ信号HD−DATAを光プリントヘッド19内に保持させる。また印刷制御部1は上位コントローラから次のビデオ信号SG2を受信している最中においても、光プリントヘッド19に保持した印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0について印刷することができる。なお、HD−CLKは印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0を光プリントヘッド19に送信するためのクロック信号である。またHD−HSYNC−Nは主走査同期信号で、HD−STB
−Nはストローブ信号である。
ビデオ信号SG2の送受信は、印刷ライン毎に行われる。光プリントヘッド19によって印刷される情報は、マイナス電位に帯電させられた図示しない感光体ドラム上において電位の上昇したドットとして潜像化される。そして、現像器27において、マイナス電位に帯電させられた画像形成用のトナーが、電気的な吸引力によって潜像化されたドットに吸引され、トナー像が形成される。
その後、トナー像は転写器28に送られ、一方、転写信号SG4によってプラス電位に転写用高圧電源26がオンになり、転写器28は感光体ドラムと転写器28との間を通過する用紙上にトナー像を転写する。トナー像が転写された用紙は、ヒータ22aを内蔵する定着器22に当接して搬送され、該定着器22の熱によって用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、更に搬送されてプリンタの印刷機構から用紙排出口センサ7を通過してプリンタの外部に排出される。
印刷制御部1は用紙サイズセンサ9、用紙吸入口センサ6の検知に対応して、用紙が転写器28を通過している間だけ転写用高圧電源26からの電圧を転写器28に印加する。そして、印刷が終了し、用紙が用紙排出口センサ7を通過すると、帯電用高圧電源25による現像器27への電圧の印加を終了し、同時に現像・転写プロセス用モータ3の回転を停止させる。以後、前記の動作を繰り返す。
図2は実施例1による光プリントヘッドの構造を示す図である。本実施例の説明においては、一例としてA4サイズの用紙に1インチ当たり600ドットの解像度で印刷可能なLEDヘッドについてとりあげ、その具体的な構成を説明する。また本例では、発光素子の総数は4992ドットであり、これを構成するために26個の発光素子アレイを配列し、各発光素子アレイには各々192個の発光素子を含み、発光素子アレイ内の各発光素子においてカソード端子はグランドに接続され、隣接して配置される2個の発光素子のアノード端子同士が接続されており、奇数番目の発光素子と偶数番目の発光素子とは時分割に駆動される。
図2において、CHP1、CHP2は発光素子アレイであり、CHP3〜CHP26は記載を省略している。IC1、IC2はCHP1、CHP2に対応して配置されたドライバICであって、これらは同一回路により構成され、隣接するドライバICとカスケードに接続されている。なおIC3〜IC26は図示を省略している。101〜108は発光サイリスタ素子であって、発光素子アレイ毎に192個ずつ配置されている。前記発光サイリスタは第1端子であるアノードと第2端子であるカソード、第3端子であるゲートの各端子を備えており、隣接配置される2個の発光サイリスタごとにそのアノード端子が接続され、前記ドライバICのDO1〜DO96の各端子と接続される。また前記発光サイリスタのカソード端子はグランドと接続されている。さらに前記発光サイリスタ列の奇数番目の発光サイリスタのゲート端子同士、偶数番目の発光サイリスタのゲート端子同士が接続され、ドライバICのゲート駆動端子とそれぞれ接続されている。
たとえば、発光サイリスタ101と発光サイリスタ102のアノード端子同士は接続され、ドライバIC(IC1)のアノード駆動端子であるDO96と接続され、発光サイリスタ101と発光サイリスタ102のカソードはグランドと接続され、さらに、発光サイリスタ101や発光サイリスタ103のゲート端子同士は接続されてドライバIC(IC1)に設けられたゲート駆動端子G2と接続され、発光サイリスタ102や発光サイリスタ104のゲート端子同士は接続されてドライバIC(IC1)に設けられたゲート駆動端子G1と接続されている。
図2に示す構成においては、印刷データ信号は4本であり、隣接する発光サイリスタ8個のうち、奇数番目同士あるいは偶数番目同士の4画素分のデータをクロック信号毎に同時に送出することができる。このため、印刷制御部1から出力される印刷データ信号HD−DATA3〜0はクロック信号HD−CLKと共に光プリントヘッド19に入力され、前
記した4992ドット分のビットデータが後述するフリップフロップ回路から成るシフトレジスタ中を順次転送される。次に、ラッチ信号HD−LOADが光プリントヘッド19に入力され、上記ビットデータは前記フリップフロップ回路に対応して設けられた各ラッチ回路にラッチされる。
続いて、ビットデータと印刷駆動信号HD−STB−Nとによって、発光素子のうち、High(高)レベルであるドットデータに対応するものが点灯される。なお、VDDは電源、GNDはグランドであり、HD−HSYNC−Nは前記した時分割駆動において奇数番目のLED駆動であるか偶数番目のLED駆動であるかの初期状態を設定するための同期信号、VREFはLED駆動のための駆動電流値を指令するための基準電圧であって、光プリントヘッド19内に設けられた図示しない基準電圧発生回路により発生される。
図3は図2で示した発光サイリスタの構成を示す図である。図3(a)は回路シンボルを示し、発光サイリスタ101は、アノード端子A、カソード端子K、ゲート端子Gの三つの端子を備えている。図3(b)は図3(a)にて示した発光サイリスタの断面構造を示す図である。本図にて示す発光サイリスタ101はGaAsウェハー基材を用い、公知のMO−CVD(Metal Organic-Chemical Vapor Deposition)法により前記基材の上層
に所定の結晶をエピタキシャル成長させることで作成される。
まず、所定のバッファ層や犠牲層(図示しない)をエピタキシャル成長させた後、AlGaAs基材にN型不純物を含ませたN型層133と、P型不純物を含ませ成層したP型層132と、N型不純物を含ませたN型層131とを順に積層させたNPNの3層構造からなるウェハーを構成する。次いで、最上層のN型層の一部に公知のフォトリソグラフィー法により選択的にP型不純物領域134を形成する。さらに、公知のドライエッチング法により溝部を形成することで素子分離を行う。また、前記エッチングの過程でサイリスタの最下層となるN型領域133の一部を露出させ、該領域133に金属配線を形成してカソード電極を形成する。それと同時にP型領域134とN型領域131にもそれぞれアノード電極とゲート電極が形成される。
図3(c)は発光サイリスタの別の形態を示す。本構成においては、GaAsウェハー基材を用い、公知のMO−CVD法により前記基材の上層に所定の結晶をエピタキシャル成長させることで作成される。まず、所定のバッファ層や犠牲層(図示しない)をエピタキシャル成長させた後、AlGaAs基材にN型不純物を含ませたN型層133と、P型不純物を含ませ成層したP型層132と、N型不純物を含ませたN型層131と、P型不純物を含ませ成層したP型層135を順に積層させたPNPNの4層構造のウェハーを構成する。
さらに、公知のドライエッチング法により溝部を形成することで素子分離を行う。また、前記エッチングの過程で発光サイリスタの最下層となるN型領域133の一部を露出させ、該領域133に金属配線を形成してカソード電極を形成する。同様に、最上層となるP型領域135の一部を露出させ、該領域135に金属配線を形成してアノード電極を形成する。それと同時にN型領域131にゲート電極が形成される。
図3(d)は図(b)、(c)と対比させて描いた発光サイリスタの等価回路である。
発光サイリスタ101はPNPトランジスタ141とNPNトランジスタ142とからなり、PNPトランジスタ141のエミッタがサイリスタのアノード端子Aに相当し、PNPトランジスタ141のベースがサイリスタのゲート端子Gに対応しており、該端子はNPNトランジスタ142のコレクタとも接続される。またPNPトランジスタ141のコレクタはNPNトランジスタ142のベースと接続され、NPNトランジスタ142のエミッタはサイリスタのカソード端子Kに相当している。
なお図3に示したサイリスタではGaAsウェハー基材上にAlGaAs層を構成したものであるが、これに限定されるものではなく、GaP、GaAsP、AlGaInPといった材料を用いるものであってもよく、またはサファイヤ基板上にGaNやAlGaNといった材料を成膜したものであっても良い。前述したサイリスタ素子は、たとえば特開2007−81081号で開示されているエピタキシャルボンディング法を用いてドライバIC(図3でIC1〜IC26等として示したもの)を配列したウェハーと接着され、公知のエッチング法により不要箇所が除去されるとともに、サイリスタ素子の端子箇所が露出させられる。ついで、サイリスタの各端子予定箇所と前記ドライバICの端子部とがフォトリソグラフィー法により形成された薄膜配線を用いて接続される。さらに公知のダイシング法を用いて複数のチップに分離することで発光素子・駆動素子からなる複合チップが形成される。
図4は実施例1によるドライバICの詳細な構成を示すブロック図である。図4において、111は抵抗であって、ストローブ端子と電源VDDとの間に接続されるプルアップ素子である。112、113はインバータ回路、114はNAND回路である。FFA1〜FFA25、FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25はフリップフロップ回路であって、シフトレジスタを構成する。LTA1〜LTD1、LTA24〜LTD24はラッチ素子であって、これら全体でラッチ回路を構成している。117はMEM2ブロック、121はMEMブロックであり、それぞれがメモリ回路であって、各発光素子の光量ばらつき補正のための補正データ(ドット補正データ)や発光素子アレイチップ毎の光量補正データ(チップ補正データ)あるいはドライバIC毎の固有データがそれぞれ格納される。
118はMUX2ブロックであってマルチプレクサ回路である。本回路は前記メモリMEM2から出力されているドット補正データにおいて、隣接した発光素子ドットのうち、奇数番目ドットの補正データと偶数番目ドット補正データとを切り替えるために設けられている。DRVブロック(119)は発光素子の駆動回路、SELブロック120はセレクタ回路、CTRL1ブロック(115)は制御回路であって、前記補正データをメモリMEM2やMEMに対して書き込みするときの書き込み指令信号(E1,E2,W3〜W0)を発生する。またCTRL2ブロック(116)は制御回路であって、前記マルチプレクサMUX2に対し奇数ドットデータと偶数ドットデータとのデータ切り替え指令信号(S1N、S2N)を発生する。データ切り替え指令信号(S1N,S2N)はまたバッファ回路123、124の入力端子とも接続され、該バッファ回路の出力はドライバICのG1、G2端子と接続され、前述した図2のように各発光素子アレイ毎に発光サイリスタ102、101のゲート端子と接続される。
ADJブロック(122)は制御電圧発生回路であって、VREF端子より入力された基準電圧値VREFを受けて、発光素子駆動のための制御電圧を発生させる。フリップフロップ回路FFA1〜FFA25はカスケード接続されており、FFA1のデータ入力端子DはドライバICのデータ入力端子DATAI0に接続され、FFA24とFFA25のデータ出力はセレクタ回路SELへ入力され、その出力端子Y0はドライバICのデータ出力端子DATAO0に接続されている。
同様に、フリップフロップ回路FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25もそれぞれカスケード接続されており、FFB1、FFC1、FFD1のデータ入力端子DはドライバICのデータ入力端子DATAI1、DATAI2、DATAI3にそれぞれ接続され、FFB24とFFB25、FFC24とFFC25、FFD24とFFD25からの出力もセレクタ回路SELに接続され、各々の出力はドライバICのデータ出力端子DATAO1、DATAO2、DATAO3にそれぞれ接続されている。従って、フリップフロップ回路FFA1〜FFA25、FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25は、それぞれ25段のシフトレジスタ回路を構成しており、セレクタ回路120によりシフト段数を24段と25段とに切り替えること
ができる。
ドライバICのデータ出力端子DATAO0〜DATAO3は、次段のドライバICのデータ入力端子DATAO0〜DATAI3にそれぞれ接続されている。従って、ドライバIC IC1〜IC26の全シフトレジスタとで、印刷制御部1から初段のドライバIC DRV1に入力されるデータ信号HD−DATA3をクロック信号に同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタ回路を構成している。同様に、ドライバIC IC1〜IC26の全シフトレジスタとで、印刷制御部1から初段のドライバIC IC1に入力されるデータ信号HD−DATA2、HD−DATA1、HD−DATA0をクロック信号に同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタ回路をそれぞれ構成している。
ラッチ回路LTA1〜LTA24、LTB1〜LTB24、LTC1〜LTC24、LTD1〜LTD24は、ラッチ信号LOAD−Pによりラッチ動作が行われる。ラッチ回路LTA1〜LTA24は、フリップフロップ回路FFA1〜FFA24に格納されたデータ信号HD−DATA0をラッチする。同様に、ラッチ回路LTB1〜LTB24はフリップフロップ回路FFB1〜FFB24に格納されたデータ信号HD−DATA1をラッチする。LTC1〜LTC24はフリップフロップ回路FFC1〜FFC24に格納されたデータ信号HD−DATA2をラッチする。LTD1〜LTD24はフリップフロップ回路FFD1〜FFD24に格納されたデータ信号HD−DATA3をラッチする。NAND回路114には、端子STBに入力されるストローブ信号HD−STB−Nと、端子LOADより入力されるラッチ信号LOAD−Pがインバータ回路112、113を介して入力され、発光素子駆動部DRVに対する駆動のオン、オフを制御する信号を生成する。
図5は図4に示したメモリ回路MEM2の回路構成図である。なお本実施例の構成においては、発光素子の光量補正のためのドット補正データは4ビットであり、その駆動電流をドット毎に16段階に調整することで光量補正を行うことができる。図5には隣接する2個(2ドット)のメモリセル回路を示してあり、それぞれを破線にて囲まれる領域151、152として区分けして示している。左側回路151は奇数番目のドット(例えばドットNo.1)の補正データを格納するものであり、右側回路152は偶数番目のドット(例えばドットNo.2)の補正データを格納するためのものである。メモリ回路MEM2は、バッファ回路181を備え、それと相補なデータ信号を発生するために設けられたインバータ182と、補正メモリセルを構成するインバータ153〜160と、NMOSトランジスタ161〜176とを備えている。
またメモリセル回路MEM2は、補正データ入力端子Dと、奇数番目ドットの側のデータ書き込みを許可するイネーブル信号E1と、偶数番目ドットの側のデータ書き込みを許可するイネーブル信号E2と、メモリセル選択端子W0〜W3と、奇数番目ドットに関する補正データ出力端子ODD0〜ODD3と、偶数番目ドットに関する補正データ出力端子EVN0〜EVN3とを備えている。
図5に示すメモリセル回路MEM2のデータ入力端子Dは、図4に示すフリップフロップ回路FFA1、FFB1、FFC1、FFD1、FFA2…FFA24、FFB24、FFC24、FFD24等のデータ出力端子Qにそれぞれ接続されている。またメモリセル選択端子W0〜W3には制御回路CTRL1(115)からの書き込み制御信号W0〜W3が、それぞれ入力され、メモリMEM2の書き込みイネーブル端子には制御回路CT
RL1(115)からの書き込みイネーブル信号E1、E2が入力される。
バッファ回路181の入力端子は、補正データ入力端子Dとなっており、バッファ回路181の出力端子は、NMOSトランジスタ161、165、169、173の第1端子に接続されている。インバータ182の入力端子はバッファ181の出力と接続され、インバータ182の出力はNMOSトランジスタ164、168、172、176の第1端子に接続される。インバータ153とインバータ154、インバータ155とインバータ156、インバータ157とインバータ158およびインバータ159とインバータ160とはそれぞれ直列に接続され、それぞれがメモリセルを形成している。また、NMOSトランジスタ161とNMOSトランジスタ162、NMOSトランジスタ163とNMOSトランジスタ164、NMOSトランジスタ165とNMOSトランジスタ166、NMOSトランジスタ167とNMOSトランジスタ168、NMOSトランジスタ169とNMOSトランジスタ170、NMOSトランジスタ171とNMOSトランジスタ172、NMOSトランジスタ173とNMOSトランジスタ174およびNMOSトランジスタ175とNMOSトランジスタ176とはそれぞれ直列に接続され、直列接続の一端はバッファ181、インバータ182の出力とそれぞれ接続される。
NMOSトランジスタ162、163のゲート端子は、端子W0に接続されている。NMOSトランジスタ166、167のゲート端子は、端子W1に接続されている。NMOSトランジスタ170、171のゲート端子は、端子W2に接続されている。NMOSトランジスタ174、175のゲート端子は、端子W3に接続されている。また前記イネーブル信号E1はNMOSトランジスタ161,164,165,168,169,172,173,176のゲート端子に接続される。
インバータ153からの出力は端子ODD0に接続される。インバータ155からの出力は端子ODD1に接続される。インバータ157からの出力は端子ODD2に接続される。インバータ159からの出力は端子ODD3に接続される。上記はメモリセル151についてのものであるが、メモリセル152についても接続されるイネーブル信号がE2
、出力される信号名がEVN0〜EVN3となる他は全く同様の構成となっている。
図6は図4においてMUX2ブロックとして示したマルチプレクサ回路である。図6はそれぞれ独立な4個のマルチプレクサ回路からなっており、191〜198はPMOSトランジスタである。PMOSトランジスタ191、193、195、197のゲートはS1N端子と接続され、PMOSトランジスタ192、194、196、198のゲートはS2N端子と接続され、PMOSトランジスタ191の第1端子はODD0端子と接続され、PMOSトランジスタ192の第2端子はEVN0端子と接続され、PMOSトランジスタ191とPMOSトランジスタ192の第2端子同士は端子Q0と接続されている。
PMOSトランジスタ193〜198からなる回路も同様な構成であり、PMOSトランジスタ193の第1端子はODD1端子と接続され、PMOSトランジスタ294の第2端子はEVN1端子と接続され、PMOSトランジスタ193とPMOSトランジスタ194の第2端子同士は端子Q1と接続されている。また、PMOSトランジスタ195の第1端子はODD2端子と接続され、PMOSトランジスタ196の第2端子はEVN2端子と接続され、PMOSトランジスタ195とPMOSトランジスタ196の第2端子同士は端子Q2と接続されている。さらに、PMOSトランジスタ197の第1端子はODD3端子と接続され、PMOSトランジスタ198の第2端子はEVN3端子と接続され、PMOSトランジスタ197とPMOSトランジスタ198の第2端子同士は端子Q3と接続されている。
前述したマルチプレクサ回路の構成において、スイッチ素子としてPMOSトランジスタを用いているのは次の理由によるものであって、動作上の支障を防止しつつ使用される素子数を削減することが可能な新規な構成となっている。すなわち、PMOSトランジスタ191をオンさせるためにS1N信号をLowレベルとするとき、ODD0信号がHighレベルであれば、その信号レベルと略等しい電圧がQ0端子から出力される。このようにHighレベルの伝達であればPMOSトランジスタをスイッチ素子として使用した場合でも何ら支障がない。同様に、ODD0信号がLowレベル(略0V)であったとすると、PMOSトランジスタ191の第2端子はPMOSトランジスタ191の閾値電圧に近い電位にまで降下するものの、Lowレベル(略0V)にまで下がることはない。このようにLowレベルの伝達機能は完全ではない欠点を内在している。
このような欠点を解消するため、従来技術による構成においては、PMOSトランジスタと並列にNMOSトランジスタを接続したアナログスイッチを構成してデータ選択のためのスイッチ手段としていた。この構成においては伝達しようとする入力信号電位と略等しい出力電位を得ることができ、スイッチ手段が介在していることによる入力電位と出力電位の差は生じない。その一方で、データ信号1本あたりにPMOSとNMOSのトランジスタ対を設ける必要があり、図6の構成に比べて2倍の素子数を要し、それを配置するためのICのチップ面積を多く占有するという欠点を内在していた。
これに対して図6の構成では、一般的なアナログスイッチを用いて構成した回路と比べて、半分の素子数ですむ利点を有しているものの、Lowレベルの伝達機能は完全ではない欠点を内在している。ところが後述するように、マルチプレクサMUX2の出力が接続される後段回路であるDRV回路においては、Highレベルとして略VDD電位と等しい入力電圧を要するのに対し、Lowレベルとしては後述するVcont電位にまで下降していれば十分であり、略0Vにまで電位降下するようなLowレベル電位を必要としていない。このため、図6に示すマルチプレクサ回路を用いることで、回路動作上の制約を回避しつつ所要素子数を削減することができる。
図7は図4において示したDRVブロックに対応する発光素子駆動回路である。素子駆動回路は、PMOSトランジスタ200〜205と、NMOSトランジスタ206と、NAND回路210〜213とNOR回路207とを備えている。また,素子駆動回路DRVは、印刷データ入力端子Eと、素子駆動のオン、オフを指令する入力端子Sと、入力端子Vと、補正データ入力端子Q0〜Q3と、駆動電流出力端子DOとを備えている。
素子駆動回路の印刷データ入力端子であるEには、図4における LTA1〜LTD1、LTA12〜LTD12等のラッチ回路のQN出力と接続される。入力端子Q3〜Q0は、図6のマルチプレクサ回路MUX2からの補正データ出力端子Q3〜Q0に接続されている。端子Sには、図4のNAND回路114から出力される素子駆動のオン、オフ指令信号が入力される。端子Vには、図4の制御電圧発生回路ADJからの制御電圧Vcontが入力される。駆動電流出力端子DOは、図示しないボンディングワイヤーや後述する薄膜配線等により発光サイリスタのアノードと接続される。NOR回路207の2個の入力端子は、それぞれ端子Sおよび端子Eに接続されている。NAND回路210〜213の第1入力端子は、NOR回路207の出力端子に接続されている。またNAND回路213〜210の第2入力端子は、それぞれ補正データ入力端子Q3〜Q0に接続されている。
PMOSトランジスタ200〜203のゲート端子は、それぞれNAND回路210〜213の出力端子に接続されている。またPMOSトランジスタ200〜205のソース端子は電源VDDに接続され、PMOSトランジスタ200〜204のドレ−ン端子は、駆動電流出力端子DOに接続されている。一方、NAND回路210〜213およびNOR回路207の電源は図示しない電源VDDと接続され、これら回路のグランドは端子Vと接続され、Vcontなる電位に保たれる。
後述するように、電源VDDの電位とVcont電位との電位差はPMOSトランジスタ200〜204がオンするときのゲート・ソース間電圧に略等しく、この電圧を変化させることでPMOSトランジスタ200〜204のドレーン電流を調整することが可能となる。図4の制御電圧発生回路ADJは基準電圧Vrefを受けて、PMOSトランジスタ200〜204等のドレーン電流が所定値となるように制御電圧Vcontを制御するために設けられている。
図7の説明に戻ると、印刷データがオンであり(このとき端子Eの入力レベルはLow)、発光素子の駆動オン、オフの指令信号SがLowとなって駆動オンを指令しているとき、NOR回路207の出力はHighとなる。このときQ3〜Q0の端子データに従いNAND回路210〜213の出力信号レベル、およびPMOSトランジスタ205とNMOSトランジスタ206とで構成されるインバータの出力はVDD電位あるいはVcont電位となる。PMOSトランジスタ204は、発光素子に主たる駆動電流を供給する主駆動トランジスタであり、PMOSトランジスタ200〜203は、発光素子の駆動電流をドット毎に調整して光量補正するための補助駆動トランジスタである。
主駆動トランジスタ204は印刷データに従って駆動される。補助駆動トランジスタ200〜203は、NOR回路207の出力がHighレベルであるときに、マルチプレクサ出力Q3〜Q0の出力に従って選択的に駆動される。後述するように、マルチプレクサ出力Q3〜Q0からは発光素子の各ドットの発光バラツキを補正するための補正データが格納された、補正メモリのデータが出力される。つまり、主駆動トランジスタ204とともに、補正データに従って補助駆動トランジスタ200〜203が選択的に駆動され、主駆動トランジスタ204のドレーン電流に、選択された補助駆動トランジスタの各ドレーン電流が加算された駆動電流が、端子DOから発光素子に供給される。
PMOSトランジスタ200〜203が駆動されているとき、NAND回路210〜213の出力はLowレベル(すなわち、ほぼ制御電圧Vcontに等しいレベル)にあるので、PMOSトランジスタ200〜203のゲート電位は、ほぼ制御電圧Vcontに等しくなる。このとき、PMOSトランジスタ205はオフ状態にあり、NMOSトランジスタ206はオン状態にあって、PMOSトランジスタ204のゲート電位もまたほぼ制御電圧Vcontに等しくなる。従って、PMOSトランジスタ200〜204のドレーン電流値を、制御電圧Vcontにより一括して調整することができる。このとき、NAND回路210〜213は電源電位VDDとグランド電位Vcontを、それぞれ電源、グランド電位として動作しているので、その入力信号の電位も電源電位VDDとグランド電位Vcontに即したものであって良く、Lowレベルは必ずしも0Vであることを必要としない。このため、図6で示した構成によるマルチプレクサを用いても支障なく動作させることができる。
図8は図4にて示した制御回路CTRL1ブロック(115)の構成を示す回路図である。図8において、221〜225はフリップフロップ回路、226はNOR回路、227、228はAND回路、230〜233はAND回路である。フリップフロップ回路221〜225の負論理のリセット端子(R)はLOAD端子と接続され、ラッチ信号LOAD−Pが入力される。フリップフロップ回路221、222のクロック端子はSTB端子と接続され、STB−P信号が入力される。フリップフロップ回路221とフリップフロップ回路222のQ出力はNOR回路226の入力と接続され、NOR回路226の出力はフリップフロップ回路221のD入力と接続されている。
フリップフロップ回路223のクロック端子はフリップフロップ回路221のQ出力端子と接続され、フリップフロップ回路223のQN出力は自身のD入力端子と接続されている。フリップフロップ回路223のQ出力はAND回路227の一方の入力端子と接続され、フリップフロップ回路223のQN出力端子はAND回路228の一方の入力端子と接続され、AND回路227とAND回路228の他方の入力端子にはLOAD−P信号が入力されている。また、AND回路227、228の出力は端子E1、E2と接続され、図4のメモリ回路MEM2の書き込みイネーブル信号となる。
フリップフロップ回路224、225のクロック端子はAND回路227の出力に接続され、フリップフロップ回路224のD端子はフリップフロップ回路225のQ出力端子と接続され、フリップフロップ回路225のD入力端子はフリップフロップ回路224のQN出力端子と接続される。AND回路233の第1入力はフリップフロップ回路225のQ端子と接続され、AND回路233の第2入力はフリップフロップ回路224のQN端子と接続され、AND回路232の第1入力はフリップフロップ回路225のQ端子と接続され、AND回路232の第2入力はフリップフロップ回路224のQ端子と接続され、AND回路231の第1入力はフリップフロップ回路225のQN端子と接続され、AND回路231の第2入力はフリップフロップ回路224のQ端子と接続され、AND回路230の第1入力はフリップフロップ回路225のQN端子と接続され、AND回路230の第2入力はフリップフロップ回路224のQN端子と接続され、AND回路230〜233の第3入力はフリップフロップ回路222のQ出力と接続される。AND回路230〜233の出力端子はW0〜W3端子と接続され、図4のメモリ回路MEM2の書き込み指令信号となっている。
図9は図4にて示した制御回路CTRL2ブロック(116)の構成を示す回路図である。図9において、241はフリップフロップ回路、242、243はバッファ回路である。フリップフロップ回路241のクロック端子はLOAD端子と接続されて、LOAD−P信号が入力され、負論理のリセット端子(R)はHSYNC端子と接続されてHSYNC−N信号が入力される。またD端子は自身のQN端子と接続されている。バッファ回路242の入力端子はフリップフロップ回路241のQ端子と接続され、バッファ回路243の入力端子はフリップフロップ回路241のQN端子と接続される。バッファ回路243,242の出力はS1N、S2N端子と接続され、図4のマルチプレクサ回路MUX2に対するデータ選択指令信号として出力されている。
図10は図4においてADJブロック(122)として示した制御電圧発生回路であって、ドライバICチップ毎に1回路ずつ設けられている。図10において、251は演算増幅器、252はPMOSトランジスタ、253はアナログマルチプレクサ回路である。PMOSトランジスタ252のソースは電源VDDに接続され、ゲート端子は演算増幅器251の出力端子に接続されると共に端子Vに接続される。PMOSトランジスタ252は図7のPMOSトランジスタ200〜204とはゲート長があい等しく構成されている。PMOSトランジスタ252のドレーン電流が図中にIrefとして記入されている。
一方、演算増幅器251の反転入力端子はVREF端子に接続され、Vrefなる電位が印加され、非反転入力端子は後述するマルチプレク253の出力端子Yと接続され、演算増幅251の出力端子はPMOSトランジスタ252のゲート端子と接続されるとともに、端子Vに接続されDRVブロックとして前述した図7の回路に接続される。また、R00〜R15は抵抗である。マルチプレクサ回路253は、アナログ電圧が入力される16個の入力端子P0〜P15と、アナログ電圧を出力する出力端子Yと、論理信号が入力される4個の入力端子S3〜S0を備え、該4本の論理信号により設定される16通りの信号論理の組み合わせによって、前記P0〜P15端子のうち、何れかの端子が選択され、当該端子に印加される電位が出力端子Yから出力される。換言すれば、入力端子S3〜S0の論理信号レベルによって前記P0〜P15端子のうち何れかの端子が選択され、出力端子Yとの間に電流経路が形成される。
演算増幅251と抵抗列R00〜R15、PMOSトランジスタ252とで構成される回路でフィードバック制御回路を構成しており、演算増幅器251の非反転入力端子の電位は略Vrefと等しくなるように制御される。このため、図10のPMOSトランジスタ252のドレーン電流(Iref)は、抵抗R00〜R15のうち、マルチプレクサ253により選択される部位の合成抵抗値と、演算増幅器251に入力される基準電圧Vrefとから決定されることになる。さらに具体的に説明すれば、入力端子S3〜S0の論理値が’’1111’’となっていて、補正状態の最大が指令されているとき、マルチプレクサ253のP15端子とY出力端子とが導通状態とされ、P15端子の電位が前記Vref電位と略等しくなるように制御される。この結果、前記したPMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは、
Iref=Vref/R00
となる。
一方、入力端子S3〜S0の論理値が’’0111’’となっていて、補正状態の中心が指
令されているとき、マルチプレクサ253のP7端子とY出力端子とが導通状態とされ、P7端子の電位が前記Vref電位と略等しくなるように制御される。この結果、前記したPMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは
Iref=Vref/(R00+R01+・・+R07+R08)
となる。
さらに、入力端子S3〜S0の論理値が’’0000’’となっていて、補正状態の最小が
指令されているとき、マルチプレクサ253のP0端子とY出力端子とが導通状態とされ、P0端子の電位が前記Vref電位と略等しくなるように制御される。この結果、前記したPMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは
Iref=Vref/(R00+R01+・・+R14+R15)
となる。
前述したように、図7のPMOSトランジスタ200〜204とPMOSトランジスタ252とはゲート長があい等しく構成され、これらトランジスタは飽和領域で動作するように制御されているので、各トランジスタはカレントミラーの関係となり、PMOSトランジスタ200〜204がオンとなるとき前記Irefに比例するドレーン電流を生じる。この結果、マルチプレクサ253の入力端子S3〜S0に与える論理値状態により前記Iref電流を16段階に調整することができ、図7のPMOSトランジスタ200〜204のドレーン電流もまた16段階に調整可能とすることができる。
図11は図4において示したサイリスタのゲート端子の駆動用バッファ回路123、124の構成を示す。図11(a)はバッファ回路123の回路図シンボルであり、図11(b)はその回路構成を示している。図11(b)において、301、302はインバータ回路、303、304はPMOSトランジスタである。インバータ回路301の入力はバッファ回路123の入力端子に相当するものであり、インバータ回路301の出力はインバータ回路302の入力と接続される一方でPMOSトランジスタ303のゲートとも接続されている。またインバータ回路302の出力はPMOSトランジスタ304のゲートと接続される。PMOSトランジスタ303のソースは電源VDDと接続され、そのドレーン端子はPMOSトランジスタ304のソースと接続される一方で、バッファ回路123の出力端子と接続される。PMOSトランジスタ304のドレーン端子はグランドと接続されている。
図12は前記の発光素子・駆動素子複合チップをプリント配線板上に配列してなる光プリントヘッドの基板ユニットの斜視図である。図12において、401はプリント配線板、402は図2に示したICチップ(IC1〜IC26等)であり、403は該素子上に配置された発光サイリスタアレイ(CHP1〜CHP26等)を示す。また404はボンディングワイヤーを示し、前記ドライバIC(IC1等)の各端子とプリント配線板401上の図示しない配線パッドとを接続している。
図13は光プリントヘッドの構成を概略的に示す断面図である。図13に示されるように、光プリントヘッド19は、ベース部材411と、ベース部材411にて固定されたプリント配線板401と、柱状の光学素子を多数配列してなるロッドレンズアレイ412と、ロッドレンズアレイ412を保持するホルダ413と、プリント配線板401、ベース部材411およびホルダ413とを固定するクランプ部材414、415とで構成される。また402は前述した駆動回路等が集積されたICチップであり、403は該素子上に配置された発光サイリスタ列を示す。
次に実施例1の動作を説明する。図14は図2の構成の光プリントヘッドを用いて印刷動作を行う場合のタイムチャートを示す。発光素子の時分割駆動の開始に先立ち、同期信号HD−HSYNC−Nが入力される(A部)。次いでB部において奇数番目の発光素子の駆動データ(Odd印刷データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期してデータ信号HD−DATA3〜0が入力される。なお本光プリントヘッドにおいては、26個のドライバICがカスケードに接続され、各IC毎に96個のLED駆動端子を備えており、1パルスのクロック信号により4画素分の印刷データが一度に転送される。このため一度のデータ転送に必要なクロックパルス数は(96/4)×26=24×26=624である。
B部において1ラインデータのうち、奇数ドットのデータの転送が完了すると、C部に示すようにラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、フリップフロップ回路(FFA1〜FFD25)で構成されるシフトレジスタを介して入力されたデータはラッチ回路(LTA1〜LTD24)にラッチされる。このとき、発光サイリスタのゲート駆動信号G1がLowレベルとなり(L部)、ゲート駆動信号G2がHighレベルとされる(N部)。次いで、発光サイリスタ駆動を指示するためのストローブ信号HD−STB−Nが入力される(D部)。これによりドライバIC(IC1〜IC26等)のDO1〜DO96端子は印刷データによる指令値に基づき選択的にオン状態となって、駆動電流が出力される(Q部)。
このとき駆動される発光素子は前記G1信号がゲート端子に接続されるサイリスタ素子であって、図2における102、104等である。このため、ドライバIC IC1のDO1端子から駆動電流が流し出された場合、サイリスタ素子104のアノード、カソード端子を経てグランドへと至る電流経路が形成されることになり、一方、サイリスタ103はゲート端子のレベルがHighとなっていてオフ状態とされ、ドライバIC IC1のDO1端子からの駆動電流は流れず消灯状態のままとされる。この結果、サイリスタ素子104が発光して(図1においては図示していないが)感光ドラム上の静電潜像を形成することで印刷ドットを発生する。ついでF部において負論理のストローブ信号HD−STB−NがHighレベルとなると、ドライバICによる駆動はオフとなってサイリスタ素子はすべて消灯される(R部)。
さらに、E部において偶数番目のLEDの駆動データ(Even印刷データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期してデータ信号HD−DATA3〜0が入力される。E部において1ラインデータのうち、偶数ドットのデータの転送が完了すると、G部に示すようにラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータはラッチ回路にラッチされる。このとき、発光サイリスタのゲート駆動信号G1がHighレベルとなり(M部)、ゲート駆動信号G2がLowレベルとされる(O部)。
次いでLED駆動を指示するためのストローブ信号HD−STB−Nが入力される(H部)。これによりドライバIC(IC1〜IC26等)のDO1〜DO96端子は印刷データによる指令値に基づき選択的にオン状態となって、駆動電流が出力される(S部)。このとき駆動される発光素子は前記G2信号がゲート端子に接続されるサイリスタ素子であって、図2における101、103等である。
このため、ドライバIC IC1のDO1端子から駆動電流が流し出された場合、サイリスタ素子103のアノード、カソード端子を経てグランドへと至る電流経路が形成されることになり、一方、サイリスタ104はゲート端子のレベルがHighとなっていてオフ状態とされ、ドライバIC IC1のDO1端子からの駆動電流は流れず消灯状態のままとされる。
この結果、サイリスタ素子103が発光して(図1においては図示していないが)感光ドラム上の静電潜像を形成することで印刷ドットを発生する。ついでJ部において負論理のストローブ信号HD−STB−NがHighレベルとなると、ドライバICによる駆動はオフとなってサイリスタ素子はすべて消灯される(T部)。このように,発光素子列のうち、奇数番目の素子と偶数番目の素子とを順に、時分割に駆動することで1ライン分の発光素子の駆動を行うことができる。
図15はプリンタの電源投入後に、実施例1の構成の光プリントヘッドに対して行われる補正データ転送処理と、その後に行われる印刷データ転送の動作を示すタイムチャートである。図15において、補正データの転送開始に先立ち、引き続くデータ転送が補正データであることを示すためHD−LOAD信号をHignとする(I部)。ついで、奇数番目に属するドットについて1ドットあたり4ビットからなる補正データのうち、bit3のものをHD−DATA3〜0からクロックHD−CLKIに同期して入力して、図4のフリップフロップ回路(FFA1〜FFD25)で構成されるシフトレジスタ中へシフト入力する。シフト入力が完了すると、A部に示すようにHD−STB−N信号が3パルス入力され、図8に示した回路の動作が行われる。
図15に示すQ1、Q2は図8に示すフリップフロップ回路221、222のQ出力であり、以下同様に、Q3はフリップフロップ回路223のQ出力、Q4はフリップフロップ回路225のQ出力、Q5はフリップフロップ回路224のQ出力信号を示す。また、E1、E2はAND回路227、228の出力で、W3〜W0の各信号はAND回路233〜230の各出力信号である。さらに、S1N、S2Nの各信号は、図9に示すバッファ回路243、242から出力されるものである。
図15のA部において、HD−STB−Nの1パルス目が入力されると、J部に示すようにQ1信号が発生し、ついでHD−STB−Nの2パルス目で、K部に示すようにQ2信号が発生する。また、Q1信号が立ち上がるごとにQ3信号は状態反転し、L部のようにQ3信号はHighレベルに遷移している。Q3信号の遷移に引き続き、E1、E2信号が発生する。E1信号の立ち上がりエッジに引き続き、M部のようにQ4信号が立ち上がり、E1信号の次の立ち上がりでQ5信号が立ち上がり、さらにE1信号の次の立ち上がりでQ4信号が立ち下がり、E1信号の次の立ち上がりでQ5信号が立ち下がる。
W3〜W0信号はQ2信号に引き続いて発生するものであるが、O部、P部のようにW3信号が2回にわたって信号出力され、ついでW2、W1、W0の各信号においてもそれぞれ2パルスずつ信号発生する。前述したW3〜W0の各パルス信号が発生するごとに、図4のメモリ回路MEM2にデータの書き込みが行われ、W3〜W0の1パルス目で奇数ドット用のメモリ素子へのデータ書き込みが行われ、2パルス目で偶数ドット用のメモリ素子へのデータ書き込みが行われる。前述した1パルス目のデータ書き込み指令信号は、A部、C部、E部、G部にて入力されたHD−STB−N信号をもとに発生されるものであり、前述した2パルス目のデータ書き込み指令信号は、B部、D部、F部、H部にて入力されたHD−STB−N信号をもとに発生されるものである。
上述した過程をへて、補正データのbit3〜bit0の全てのデータ書き込みが完了すると、Q部のようにHD−LOAD信号をLowとして、印刷データの転送が可能な状態に遷移する。1ラインの印刷開始に際し、引き続くデータ転送が奇数ドットのものであることを示すためHD−HSYNC−N信号が入力される(R部)。ついで、U部で奇数ドットの印刷データが転送され、S部のHD−LOAD信号パルスにより、シフトレジスタ(FFA1〜FFD1、..、FFA24〜FFD24)にシフト入力されたデータをラッチ素子(LTA1〜LTD1、..、LTA24〜LTD24)へラッチする。さらに、W部のようにHD−STB−N信号がLowへと遷移して、LED素子の発光駆動が行われる。印刷データがオンであると、W部やX部のHD−STB−N信号がLowとなる期間、LED素子は発光駆動されることになる。同様にV部では偶数ドットのデータ転送が行われ、そのデータはT部のパルスによりラッチされる。
なお図4において示したように、CTRL2ブロック(116)から出力されるS1N信号はバッファ回路123を介してG1信号となり、奇数番目のサイリスタのゲート端子を駆動する。また、CTRL2ブロック(116)から出力されるS2N信号はバッファ回路124を介してG2信号となり、偶数番目のサイリスタのゲート端子を駆動する。そのため図14を用いて前述したゲート駆動信号G1、G2を発生させることができる。
図16〜図19は図15にて示したタイムチャートにおいて、ドライバICを1チップのみに簡略化した場合における補正データ転送の詳細波形を示す。図16は図15におけるA部とB部の詳細である。図17は図15におけるC部とD部の詳細である。図18は図15におけるE部とF部の詳細である。図19は図15におけるG部とH部の詳細である。
図15に戻ると、ドライバICごとに設定されるチップ補正データは奇数ドット転送(例えばA部)と偶数ドット転送(例えばB部)のうち、どちらか1回について行えば十分である。このため、図16〜19においてはA部、C部、E部、G部の奇数ドットの補正データ転送時にシフトレジスタの段数を1段多くなるように切り替えて、送出データ列の先頭にチップ補正データ(Chip−b3、Chip−b2、Chip−b1、Chip−b0等と記載)を割り当てて送出するように工夫されている。
図20は図4において示した発光サイリスタのゲート端子駆動用バッファ回路123、124の動作を説明するものである。図20(a)はバッファ回路124とそれに接続されるサイリスタ101の要部を抜き出して示す図であり、図20(b)は前記バッファ回路124の内部構成およびサイリスタ101の等価回路を含めて示している。図20(b)の破線で囲んで示す124はバッファ回路であり、破線で囲んで示す101はサイリスタである。301、302はインバータ回路、303、304はPMOSトランジスタ、141はPNPトランジスタ、142はNPNトランジスタである。
いま、図20(a)、図20(b)において、サイリスタ101のターンオン過程を説明するためにバッファ回路124の入力がLowレベルになっているとする。このとき、インバータ回路301の出力はHighレベルとなり、インバータ302の出力はLowレベルとなる。これによりPMOSトランジスタ303はオフ状態であり、PMOSトランジスタ304はオン状態となって、そのソース端子レベルをグランド電位よりも略Vt電位分高い電位にまで下降させることができる。なお前述したVtはPMOSトランジスタの閾値電圧である。
ついで、サイリスタ101を駆動するために図示しないドライバICのDO端子出力を生じ、Iaとして図示したアノード電流が発生する。このとき、該電流はサイリスタ101のアノード・ゲート間のPN接合、すなわちPNPトランジスタ141のエミッタ・ベース間を順方向電流となって流れ、Igとして図示したゲート電流を生じる。前述した電流が流れる結果、サイリスタ101のそれぞれの端子には図中に記載した電位が生じる。図20(a)において、アノード端子の電位をVa、ゲート端子の電位をVgとして図中に記載している。図20(a)の内部をも示す図20(b)において、前記ゲート電流Igはサイリスタ101の内部にあるPNPトランジスタ141のベース電流Ibに相当するものであり、該ゲート電流Igが流れることでPNPトランジスタ141はオン状態への移行を開始して、PNPトランジスタ141のコレクタにはコレクタ電流を生じる。該コレクタ電流はNPNトランジスタ142のベース電流となり、NPNトランジスタ142をオン状態へと移行させる。
これにより生じたコレクタ電流はPNPトランジスタ141のベース電流Ibを増強し、PNPトランジスタ141のオン状態への移行を加速させることになる。一方、NPNトランジスタ142が完全にオン状態に移行した後には、そのコレクタ・エミッタ間電圧は低下して、前述したPMOSトランジスタ304の閾値電圧Vtよりも小さい電位となる。この結果、サイリスタ101のゲート端子からバッファ回路124の出力端子の側に流れる電流Igは略ゼロとなって、サイリスタ101のカソード端子にはアノード電流Iaと略等しいカソード電流Ikが流れることになり、サイリスタ101は完全にオン状態となる。
図20(c)は前述したサイリスタ101のターンオン過程を説明する図であって、横軸にアノード電流Ia、縦軸にアノード端子電位Vaを示している。サイリスタ101の消灯状態においてはアノード電流は略ゼロであり、前記グラフの原点(0,0)の状態にある。サイリスタ101のターンオン開始に伴い、アノード駆動が行われると図中矢印で示したようにアノード電位が上昇してVp電位に到達する。該電圧はPNPトランジスタ141のエミッタ・ベース間電圧と前記Vt電圧との加算値に対応するものであり、該電圧が順方向に印加されることでゲート電流(これはPNPトランジスタ141のベース電流に等しい)を生じる。
図20(c)において丸印を付して示す(Ip,Vp)ポイントは、サイリスタ101のオフ領域(A)とオン遷移領域(B)との境目に相当している。ついで、アノード電流Iaが増加するに伴いアノード電位Vaは低下していき、丸印を付して示す(Iv,Vv)ポイントに到達する。該ポイントはサイリスタ101のオン遷移領域(B)とオン領域(C)との境目に相当しており、このときのゲート電流Igは略ゼロにまで低下していて、実質的にバッファ回路124はサイリスタ101から切り離されたのと等価な状態にある。さらにアノード電流Iaが増加するに伴い、アノード電位Vaは増加していき、丸印を付して示す(I1,V1)ポイントに到達する。該ポイントは発光サイリスタの発光駆動の最終動作ポイントであり、ドライバIC側から供給されるアノード電流Iaに等しい電流値(I1)により、所定の発光パワーで発光駆動がなされる。
図20を用いてサイリスタのターンオン過程を説明したが、124で示すゲート駆動回路を用いることで、オン状態にあるサイリスタ101からのゲート電流の流れ込みを防止して、アノード電流Iaとカソード電流Ikを略等しくしたオン状態駆動とすることができて、アノード電流Iaを調整することでそれに応じた発光パワーを得ることができる。
このような動作はバッファ回路124の出力段をPMOSトランジスタを用いてプッシュプル駆動回路を構成したことによる効果であり、通常のCMOS出力回路のようにPMOSトランジスタ304に替えてNMOSトランジスタを用いた場合にはそのLowレベル出力は略0V電位にまで降下してしまうので、PNPトランジスタ141のベース電流はバッファ回路の側にIgとして流れ続け、その分、NPNトランジスタ142のコレクタ電流が減少して、サイリスタ101のカソード電流Ikも減少してしまう。この結果、サイリスタの発光出力が変動してしまい所望状態で動作させることができず、発光サイリスタを用いて光プリントヘッドを実現することを困難にしていたのである。
これに対して、図20に示したゲート駆動バッファを用いる構成においては、前述した不具合が生じることが無くなり、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41,42)の搭載を不要とできて、省スペースで低コストな光プリントヘッドを実現できるようになったのである。
図21は図2の構成において、サイリスタ素子のゲート配線を共有している素子が同時に点灯した場合の挙動を説明する図である。図21においては説明を簡略化するため2個のサイリスタ素子101、103について取り上げ、他の素子は省略している。図21(a)は図4におけるゲート駆動バッファ124と図2において示したサイリスタ101、103の接続を示す図である。図21(b)は図21(a)と対比させて描いた図であり、上記サイリスタ素子101、103を破線で囲んで示し、その内部等価回路をPNPトランジスタ141、NPNトランジスタ142として示している。図21(a)において、サイリスタの同時オンの状況を示すためゲート駆動バッファ124の入力レベルをLowとし、その出力に接続されるゲート配線Gが複数のサイリスタ101、103のゲート端子と接続されている。
図21(b)は複数のサイリスタ素子101、103が同時にオンしている状況を示しているが、図20で説明したように、実施例1の構成を用いたバッファ回路124においては、サイリスタのターンオン指令のため、その出力レベルをLowとさせてサイリスタ素子をオンさせた後には、該素子のゲート端子からバッファ回路124の出力端子に向かって流れ込む電流は略ゼロとすることができる。このため図21(b)においてはゲート配線Gに接続されるバッファ回路124を破線にて描いている。
いま、サイリスタ101がオンしており、そのアノード端子からIaなる駆動電流が流入しているとする。このとき、該電流IaはI1、I2、I3の3つの電流成分の合計となる。すなわち、電流I1はアノード端子からPNPトランジスタ141のエミッタ・コレクタ間を通り、PNPトランジスタ142のベース・エミッタ間を通じてグランドに至る実線矢印で示す電流である。電流I2はアノード端子からPNPトランジスタ141のエミッタ・ベース間を通り、NPNトランジスタ142のコレクタ・エミッタ間を通じてグランドに至る破線矢印で示す電流である。電流I3はアノード端子からPNPトランジスタ141のエミッタ・ベース間を通り、ゲート配線Gを介してサイリスタ103のゲート端子から流入して、サイリスタ103内部のNPNトランジスタのコレクタ・エミッタ間を通じてグランドに至る一点鎖線矢印で示す電流である。
実施例1で設定されるサイリスタでは、その発光は主としてPNPトランジスタ141に流れる電流による特性を備えており、前記I1、I2、I3の各電流の発光パワー(P)の成分(Pi1,Pi2,Pi3)への寄与の大きい順に記せば、
Pi1 > Pi2 >> Pi3
となる。このため、前記電流I3によるように、同時に発光している他のサイリスタのゲート電流の一部が自身のゲート端子を介して流入していたとしても、その影響を軽微なものとする前述したような特性を具備させる必要がある。このようなサイリスタ特性を具備させることが困難な状況においては、以下に説明する本発明の実施例2、3の構成をさらに備える必要があり、その詳細については後述する。
以上説明したように、実施例1の構成においては、発光素子として2端子LED素子に替えて発光サイリスタを用い、そのゲート端子の駆動をドライバIC内に設けたPMOSトランジスタによるプッシュプル駆動バッファ回路により行う構成とした。これにより、前記サイリスタのターンオン過程におけるゲート駆動は前記サイリスタ駆動のためのアノード電流の一部が用いられ、該素子がオンした後には前記ゲート駆動バッファを介して流れる電流が無くなり実質的に該バッファは切り離される構成とした。このため、前記サイリスタは3端子素子であるものの実質的には2端子LEDと同様に動作させるとが可能となって、従来構成のLEDヘッドと互換性がある形態で動作させことができる。さらに、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41,42)の搭載を不要とできて、従来構成のLEDヘッドと比べて省スペースで低コストな光プリントヘッドを実現できるようになったのである。
次に実施例2を説明する。図22は実施例2による光プリントヘッドの構造を示す図である。本実施例の説明においても、一例としてA4サイズの用紙に1インチ当たり600ドットの解像度で印刷可能な光プリントヘッドについてとりあげ、その具体的な構成を説明する。本例では、発光素子の総数は4992ドットであり、これを構成するために26個の発光素子アレイを配列し、各発光素子アレイには各々192個の発光素子を含み、発光素子アレイ内の各発光素子においてカソード端子はグランドと接続され、隣接して配置される2個の発光素子のアノード端子同士が接続されており、奇数番目の発光素子と偶数番目の発光素子とは時分割に駆動される。
図22において、CHP1、CHP2は発光素子アレイであり、CHP3〜CHP26は記載を省略している。IC101、IC102はCHP1、CHP2に対応して配置されたドライバICであって、これらは同一回路により構成され、隣接するドライバICとカスケードに接続されている。なおIC103〜IC1026は図示を省略している。101〜108は発光サイリスタ素子であって、発光素子アレイ毎に192個ずつ配置されている。前記発光サイリスタは第1端子であるアノードと第2端子であるカソード、第3端子であるゲートの各端子を備えており、隣接配置される2個の発光サイリスタごとにそのアノード端子が接続され、前記ドライバICのDO1〜DO96の各端子とそれぞれ接続される。また発光サイリスタの各カソード端子はグランドと接続されている。
さらに、前記発光サイリスタ列の奇数番目の発光サイリスタのゲート端子、偶数番目の発光サイリスタのゲート端子同は、前記ドライバIC上に設けられたゲート駆動端子G1、G2と個別にそれぞれ接続されている。たとえば、発光サイリスタ101と発光サイリスタ102のアノード端子同士は接続され、ドライバIC(IC1)のアノード駆動端子であるDO96と接続され、発光サイリスタ101と発光サイリスタ102の各カソードはグランドと接続され、さらに、発光サイリスタ101のゲート端子はドライバICのDO96端子の近傍に配置されたG2端子と接続され、発光サイリスタ102のゲート端子はドライバICのDO96端子の近傍に配置されたG1端子と接続されている。
また、発光サイリスタ103と発光サイリスタ104のアノード端子同士は接続され、ドライバIC(IC1)のアノード駆動端子であるDO1と接続され、発光サイリスタ103と発光サイリスタ104のカソードはグランドと接続され、発光サイリスタ103のゲート端子はドライバICのDO1端子の近傍に配置されたG2端子と接続され、発光サイリスタ104のゲート端子はドライバICのDO1端子の近傍に配置されたG1端子と接続されている。
図22に示す構成においては、印刷データ信号は4本であり、隣接する発光サイリスタ8個のうち、奇数番目同士あるいは偶数番目同士の4画素分のデータをクロック信号毎に同時に送出することができる。このため、印刷制御部1から出力される印刷データ信号HD−DATA3〜0はクロック信号HD−CLKと共に光プリントヘッド19に入力され、前記した4992ドット分のビットデータが後述するフリップフロップ回路から成るシフトレジスタ中を順次転送される。次に、ラッチ信号HD−LOADが光プリントヘッド19に入力され、上記ビットデータは前記フリップフロップ回路に対応して設けられた各ラッチ回路にラッチされる。
続いて、ビットデータと印刷駆動信号HD−STB−Nとによって、発光素子のうち、High(高)レベルであるドットデータに対応するものが点灯される。なお、VDDは電源、GNDはグランドであり、HD−HSYNC−Nは前記した時分割駆動において奇数番目のLED駆動であるか偶数番目のLED駆動であるかの初期状態を設定するための同期信号、VREFはLED駆動のための駆動電流値を指令するための基準電圧であって、光プリントヘッド19内に設けられた図示しない基準電圧発生回路により発生される。
図23は実施例2によるドライバICの詳細な構成を示すブロック図である。図23において、111は抵抗であって、ストローブ端子と電源VDDとの間に接続されるプルアップ素子である。112、113はインバータ回路、114はNAND回路である。FFA1〜FFA25、FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25はフリップフロップ回路であって、シフトレジスタを構成する。LTA1〜LTD1、LTA24〜LTD24はラッチ素子であって、これら全体でラッチ回路を構成している。117はMEM2ブロック、121はMEMブロックであり、それぞれがメモリ回路であって、各発光素子の光量ばらつき補正のための補正データ(ドット補正データ)や発光素子アレイチップ毎の光量補正データ(チップ補正データ)あるいはドライバIC毎の固有データがそれぞれ格納される。
118はMUX2ブロックであってマルチプレクサ回路である。本回路は前記メモリMEM2から出力されているドット補正データにおいて、隣接した発光素子ドットのうち、奇数番目ドットの補正データと偶数番目ドット補正データとを切り替えるために設けられている。DRVブロック(119)は発光素子の駆動回路、SELブロック120はセレクタ回路、CTRL1ブロック(115)は制御回路であって、前記補正データをメモリMEM2やMEMに対して書き込みするときの書き込み指令信号(E1、E2、W3〜W0)を発生する。またCTRL2ブロック(116)は制御回路であって、前記マルチプレクサMUX2に対し奇数ドットデータと偶数ドットデータとのデータ切り替え指令信号(S1N、S2N)を発生する。前記データ切り替え指令信号(S1N,S2N)はまたバッファ回路501、502の入力端子とも接続され、該バッファ回路の出力は個別バッファ回路503〜506を介してドライバICの各G1、G2端子と接続され、前述した図22のように各発光素子アレイ毎に発光サイリスタ102や101のゲート端子と個別に接続される。
ADJブロック(122)は制御電圧発生回路であって、VREF端子より入力された基準電圧値VREFを受けて、発光素子駆動のための制御電圧を発生させる。501、502は前述した共通バッファ回路、503〜506はそれぞれ後述するアノード駆動出力端子DO1〜DO96の近傍にその出力端子を個別に配置した個別バッファ回路である。
フリップフロップ回路FFA1〜FFA25はカスケード接続されており、FFA1のデータ入力端子DはドライバICのデータ入力端子DATAI0に接続され、FFA24とFFA25のデータ出力はセレクタ回路SEL120へ入力され、セレクタ回路120の出力端子Y0はドライバICのデータ出力端子DATAO0に接続されている。同様に、フリップフロップ回路FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25もそれぞれカスケード接続されており、FFB1、FFC1、FFD1のデータ入力端子DはドライバICのデータ入力端子DATAI1、DATAI2、DATAI3にそれぞれ接続され、FFB24とFFB25、FFC24とFFC25、FFD24とFFD25からの出力もセレクタ回路SEL120に接続され、各々の出力Y1、Y2、Y3はドライバICのデータ出力端子DATAO1、DATAO2、DATAO3にそれぞ
れ接続されている。
従って、フリップフロップ回路FFA1〜FFA25、FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25は、それぞれ25段のシフトレジスタ回路を構成しており、セレクタ回路120によりシフト段数を24段と25段とに切り替えることができる。
ドライバICのデータ出力端子DATAO0〜DATAO3は、次段のドライバICのデータ入力端子DATAO0〜DATAI3にそれぞれ接続されている。従って、ドライバIC IC1〜IC26の全シフトレジスタとで、印刷制御部1から初段のドライバIC DRV1に入力されるデータ信号HD−DATA3をクロック信号に同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタ回路を構成している。同様に、ドライバIC IC1〜IC26の全シフトレジスタとで、印刷制御部1から初段のドライバIC IC1に入力されるデータ信号HD−DATA2、HD−DATA1、HD−DATA0をクロック信号に同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタ回路をそれぞれ構成している。
ラッチ回路LTA1〜LTA24、LTB1〜LTB24、LTC1〜LTC24、LTD1〜LTD24は、ラッチ信号LOAD−Pによりラッチ動作が行われる。ラッチ回路LTA1〜LTA24は、フリップフロップ回路FFA1〜FFA24に格納されたデータ信号HD−DATA0をラッチする。同様に、ラッチ回路LTB1〜LTB24はフリップフロップ回路FFB1〜FFB24に格納されたデータ信号HD−DATA1をラッチする。ラッチ回路LTC1〜LTC24はフリップフロップ回路FFC1〜FFC24に格納されたデータ信号HD−DATA2をラッチする。ラッチ回路LTD1〜LTD24はフリップフロップ回路FFD1〜FFD24に格納されたデータ信号HD−DATA3をラッチする。NAND回路114には、端子STBに入力されるストローブ信号HD−STB−Nと、端子LOADより入力されるラッチ信号LOAD−Pがインバータ回路112、113を介して入力され、発光素子駆動部DRVに対する駆動のオン、オフを制御する信号を生成する。
図24は図23において示したサイリスタのゲート端子の個別駆動用バッファ回路503〜506等の構成を示す。図24(a)は一例としてバッファ回路503の回路図シンボルであり、図24(b)はその回路構成を示している。図24(b)において、511、512はインバータ回路、513、514はPMOSトランジスタである。インバータ回路511の入力はバッファ回路503の入力端子に相当するものであり、インバータ回路511の出力はインバータ回路512の入力と接続される一方で、PMOSトランジスタ513のゲートとも接続されている。またインバータ回路512の出力はPMOSトランジスタ514のゲートと接続される。PMOSトランジスタ513のソースは電源VDDと接続され、そのドレーン端子はPMOSトランジスタ514のソースと接続される一方で、バッファ回路503の出力端子と接続される。またPMOSトランジスタ514のドレーン端子はグランドと接続されている。
図25は図23において示したサイリスタのゲート端子の個別駆動用バッファ回路503〜506等の他の構成を示す。図25(a)はバッファ回路503の回路図シンボルであり、図25(b)はその回路構成を示している。図25(b)において、511はインバータ回路、513はPMOSトランジスタ、521はダイオード、522はNMOSトランジスタである。インバータ回路511の入力はバッファ回路503の入力端子に相当するものであり、インバータ回路511の出力はPMOSトランジスタ513のゲート、NMOSトランジスタ522のゲートと接続されている。PMOSトランジスタ513のソースは電源VDDと接続され、そのドレーン端子はバッファ回路503の出力端子とダイオード521のアノード端子と接続される。ダイオード521のカソード端子はNMOSトランジスタ522のドレーン端子と接続され、NMOSトランジスタ522のソース端子はグランドと接続されている。図25に示す回路は図24に示した回路と同様の動作を行うことができ、その特性上の差異は図24のPMOSトランジスタ514の閾値電圧Vtと図25のダイオードの順電圧Vfとの差に起因するものである。
次に実施例2の動作を説明する。図26は図23において示した発光サイリスタのゲート端子駆動用バッファ回路503〜506の動作を説明するものである。図26(a)はバッファ回路503、505とそれに接続されるサイリスタ101、103の要部を抜き出して示す図であり、説明を簡略化するため他のバッファ回路やサイリスタ素子については記載を省略している。図26(b)は前記バッファ回路503、505の内部構成およびサイリスタ101、103の等価回路をも示している。図26(b)の破線で囲んで示す503、505はバッファ回路であり、破線で囲んで示す101、103はサイリスタである。
図26(b)において、511a、512a、511b、512bはインバータ回路、513a、514a、513b、514bはPMOSトランジスタ、141a、141bはPNPトランジスタ、142a、142bはNPNトランジスタである。いま、図26(a)において、サイリスタ101のターンオン過程を説明するためにバッファ回路503の入力がLowレベルになっているとする。このとき、インバータ回路511aの出力はHighレベルとなり、インバータ512aの出力はLowレベルとなる。これによりPMOSトランジスタ513aはオフ状態であり、PMOSトランジスタ514aはオン状態となって、そのソース端子レベルをグランド電位よりも略Vt電位分高い電位にまで下降させることができる。なお前述したVtはPMOSトランジスタの閾値電圧である。
ついで、サイリスタ101を駆動するために図示しないドライバICのDO端子に出力を生じ、Ia1として図示したアノード電流が発生したとする。このとき、アノード電流はサイリスタ101のアノード・ゲート間のPN接合に順方向電流となって流れ、ゲート電流を生じる。前述した電流が流れる結果、サイリスタ101ゲート端子にはゲート電位を生じる。バッファ回路505やサイリスタ103においては前述したのと同様の構成であり、それぞれ個別に同様の動作をする。
図26(b)において、前記ゲート電流Igはサイリスタ101の内部にあるPNPトランジスタ141aのベース電流に相当するものであり、該電流が流れることでPNPトランジスタ141aはオン状態への移行を開始して、該素子のコレクタにはコレクタ電流を生じる。該コレクタ電流はNPNトランジスタ142aのベース電流となり、NPNトランジスタ142aをオン状態へと移行させる。これにより生じたコレクタ電流はPNPトランジスタ141aのベース電流を増強し、PNPトランジスタ141aのオン状態への移行を加速させることになる。
一方、NPNトランジスタ142aが完全にオン状態に移行した後には、そのコレクタ・エミッタ間電圧は低下して、前述したPMOSトランジスタ514aの閾値電圧Vtよりも小さい電位となる。この結果、サイリスタ101のゲート端子からバッファ回路503の出力端子の側に流れるゲート電流は略ゼロとなって、サイリスタ101のカソード端子にはアノード電流Iaと略等しいカソード電流Ikが流れることになり、サイリスタ101は完全にオン状態となる。図26を参照して明らかなように、同時に点灯するサイリスタ101、103等において、そのゲート端子には個別にゲート駆動バッファ回路503、505等が配備されており、前記サイリスタ101、103のゲート端子間は直接接続されないため、前記ゲート端子間を流れる電流成分は発生しないことになる。
実施例1で設定されるサイリスタにおいては、図21を用いて説明したように、その発光は主としてPNPトランジスタ141に流れる電流による特性を備え、前記各電流ごとの発光パワー(P)の成分(Pi1,Pi2,Pi3)への寄与の大きい順に記せば、
Pi1 > Pi2 >>Pi3
となる必要があった。このため、前記電流I3のように、同時に発光している他のサイリスタのゲート電流の一部が自身のゲート端子を介して流入していたとしても、その影響を軽微なものとする特性を具備させる必要があった。これに対して実施例2の構成においては、同時に点灯するサイリスタのゲート端子間は直接に接続されないため、該端子間を流れる電流成分は発生しないので、前記した条件を設ける必要がなくなる。
このように実施例2の構成においては、実施例1と同様に、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41、42)の搭載を不要とできて、省スペースで低コストなLEDをヘッド実現できるようになり、それに加えて、実施例1の構成で設ける必要のあったサイリスタに対する特性制約を不要とすることができるようになり、さらなる改良がなされたのである。
即ち、実施例2においては、図24を用いて説明したように、発光素子として2端子LED素子に替えて発光サイリスタを用い、そのゲート端子の駆動をドライバIC内に設けたPMOSトランジスタによるプッシュプル駆動バッファ回路により行う構成とした。これにより、前記サイリスタのターンオン過程におけるゲート駆動は前記サイリスタ駆動のためのアノード電流の一部が用いられ、該素子がオンした後には前記ゲート駆動バッファを介して流れる電流が無くなり実質的に該バッファは切り離される構成とした。このため、前記サイリスタは3端子素子であるものの実質的には2端子LEDと同様に動作させるとが可能となって、従来構成のLEDヘッドと互換性がある形態で動作させことができる。これにより、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41、42)の搭載を不要とできて、従来構成のLEDヘッドと比べて省スペースで低コストな光プリントヘッドを実現できるようになった。
次に実施例3を説明する。実施例3の構成は実施例2の構成において用いられた個別バッファ回路に代えて、ダイオードの逆接続構成からなる個別回路を設ける構成としたものである。そのため実施例3における光プリントヘッドの構成図は実施例2における構成図(図22)と同様であるためその説明を省略し、図22の構成に用いられるドライバIC(IC1〜IC26)の構成について述べる。図27は実施例3によるドライバICの詳細な構成を示すブロック図である。
図27において、111は抵抗であって、ストローブ端子と電源VDDとの間に接続されるプルアップ素子である。112、113はインバータ回路、114はNAND回路である。FFA1〜FFA25、FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25はフリップフロップ回路であって、シフトレジスタを構成する。LTA1〜LTD1、LTA24〜LTD24はラッチ素子であって、これら全体でラッチ回路を構成している。117はMEM2ブロック、121はMEMブロックであり、それぞれがメモリ回路であって、各発光素子の光量ばらつき補正のための補正データ(ドット補正データ)や発光素子アレイチップ毎の光量補正データ(チップ補正データ)あるいはドライバIC毎の固有データがそれぞれ格納される。118はMUX2ブロックであってマルチプレクサ回路である。本回路は前記メモリMEM2から出力されているドット補正データにおいて、隣接した発光素子ドットのうち、奇数番目ドットの補正データと偶数番目ドット補正データとを切り替えるために設けられている。
DRVブロック(119)は発光素子の駆動回路、SELブロック120はセレクタ回路、CTRL1ブロック(115)は制御回路であって、前記補正データをメモリMEM2やMEMに対して書き込みするときの書き込み指令信号(E1、E2、W3〜W0)を発生する。またCTRL2ブロック(116)は制御回路であって、前記マルチプレクサMUX2に対し奇数ドットデータと偶数ドットデータとのデータ切り替え指令信号(S1N、S2N)を発生する。前記データ切り替え指令信号(S1N,S2N)はまたバッファ回路501、502の入力端子とも接続され、該バッファ回路の出力は後述する個別回路を介してドライバICのG1、G2端子と接続され、前述した図22のように各発光素子アレイ毎に発光サイリスタ102や101のゲート端子と個別に接続される。
ADJブロック(122)は制御電圧発生回路であって、VREF端子より入力された基準電圧値VREFを受けて、発光素子駆動のための制御電圧を発生させる。501、502は共通バッファ回路、541〜544はそれぞれアノード駆動出力端子DO1〜DO96の近傍にその出力端子を個別に配置した後述する個別回路である。フリップフロップ回路FFA1〜FFA25はカスケード接続されており、FFA1のデータ入力端子DはドライバICのデータ入力端子DATAI0に接続され、FFA24とFFA25のデータ出力はセレクタ回路SELへ入力され、その出力端子Y0はドライバICのデータ出力端子DATAO0に接続されている。
同様に、フリップフロップ回路FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25もそれぞれカスケード接続されており、FFB1、FFC1、FFD1のデータ入力端子DはドライバICのデータ入力端子DATAI1、DATAI2、DATAI3にそれぞれ接続され、FFB24とFFB25、FFC24とFFC25、FFD24とFFD25からの出力もセレクタ回路SELに接続され、各々の出力はドライバICのデータ出力端子DATAO1、DATAO2、DATAO3にそれぞれ接続されている。従って、フリップフロップ回路FFA1〜FFA25、FFB1〜FFB25、FFC1〜FFC25、FFD1〜FFD25は、それぞれ25段のシフトレジスタ回路を構成しており、セレクタ回路120によりシフト段数を24段と25段とに切り替えることができる。
ドライバICのデータ出力端子DATAO0〜DATAO3は、次段のドライバICのデータ入力端子DATAO0〜DATAI3にそれぞれ接続されている。従って、ドライバIC IC1〜IC26の全シフトレジスタとで、印刷制御部1から初段のドライバIC DRV1に入力されるデータ信号HD−DATA3をクロック信号に同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタ回路を構成している。同様に、ドライバIC IC1〜IC26の全シフトレジスタとで、印刷制御部1から初段のドライバIC IC1に入力されるデータ信号HD−DATA2、HD−DATA1、HD−DATA0をクロック信号に同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタ回路をそれぞれ構成している。
ラッチ回路LTA1〜LTA24、LTB1〜LTB24、LTC1〜LTC24、LTD1〜LTD24は、ラッチ信号LOAD−Pによりラッチ動作が行われる。ラッチ回路LTA1〜LTA24は、フリップフロップ回路FFA1〜FFA24に格納されたデータ信号HD−DATA0をラッチする。同様に、ラッチ回路LTB1〜LTB24はフリップフロップ回路FFB1〜FFB24に格納されたデータ信号HD−DATA1をラッチする。LTC1〜LTC24はフリップフロップ回路FFC1〜FFC24に格納されたデータ信号HD−DATA2をラッチする。LTD1〜LTD24はフリップフロップ回路FFD1〜FFD24に格納されたデータ信号HD−DATA3をラッチする。NAND回路114には、端子STBに入力されるストローブ信号HD−STB−Nと、端子LOADより入力されるラッチ信号LOAD−Pがインバータ回路112、113を介して入力され、発光素子駆動部DRVに対する駆動のオン、オフを制御する信号を生成する。
図28は図27において示したサイリスタのゲート端子駆動のための個別回路541〜544の構成を示す。図28(a)は個別回路541の回路図シンボルであり、図28(b)はその回路構成を示している。図28(b)において、551、552はダイオードで、ダイオード551のアノードはダイオード552のカソードと接続され、ダイオード551のカソードはダイオード552のアノードと接続される、というように、ダイオード551とダイオード552はそれぞれ逆方向に並列接続されており、前記2つの接続ノードが図28(a)の個別回路の第1と第2の端子となっている。
図28(b)の構成の回路においては、ダイオード551、552の順方向電圧をVfとするとき、前記2つのダイオードは互いに逆方向に接続されているので、図28(a)の個別回路の第1と第2の端子間に電圧印加されるとき、その電圧の正逆によらず、絶対値として前記Vf電圧以上の電圧が印加されるとき、ダイオード551、552の内でいずれか一方のダイオードに順方向電圧が印加されることになって、該素子に順電流を生じる。この結果、個別回路541においては絶対値としてVf電圧以上の電圧が印加されると電流伝達する機能を備えることになる。これにより、図28の個別回路においてはHighレベル、Lowレベルの両方の論理状態を前述したサイリスタのゲート端子に伝達することができる。
次に実施例3の動作を説明する。図29は図28において示した発光サイリスタのゲート端子駆動用の個別回路541〜544の動作を説明するものである。図29(a)は個別回路541とそれに接続されるサイリスタ101の要部を抜き出して示す図であり、図29(b)は前記個別回路541の内部構成およびサイリスタ101の等価回路を示している。図29(b)に破線で囲んで示す541は個別回路であり、破線で囲んで示す101はサイリスタである。図29(b)において、501は図28において説明した共通バッファ回路、551、552はダイオード、141はPNPトランジスタ、142はNPNトランジスタである。またダイオード551、552の順電圧をVf、PNPトランジスタ141のベース電流をIb、サイリスタ101のゲート電流をIg、その端子電圧を
Vg、カソード電流をIkと記号して図中に記載している。
いま、図29(a)において、サイリスタ101のターンオン過程を説明するためにバッファ回路501の入力がLowレベルになっているとする。ついで、サイリスタ101を駆動するために図示しないドライバICのDO端子出力を生じ、Iaとして図示したアノード電流が発生する。このとき、バッファ回路501の出力はLowレベルとなり、サイリスタ101のアノード端子から注入された電流IaはPNPトランジスタ141のエミッタ・ベース間をIbとして流れ、さらにサイリスタのゲート電流Igとして個別回路541のうちダイオード552の側を流れて、前記バッファ回路501の出力端子に流れ込むことになる。このとき、ダイオード552の順電圧をVfとしているので、バッファ回路501の出力端子電位が略ゼロであったとしても、サイリスタ101のゲート電位Vgは前記した順電圧Vfと略等しいものとなる。
図29(b)において、前記ゲート電流Igはサイリスタ101の内部にあるPNPトランジスタ141のベース電流Ibに相当するものであり、該電流が流れることでPNPトランジスタ141はオン状態への移行を開始して、該素子のコレクタにはコレクタ電流を生じる。該コレクタ電流はNPNトランジスタ142のベース電流となり、NPNトランジスタ142をオン状態へと移行させる。これにより生じたコレクタ電流はPNPトランジスタ141のベース電流Ibを増強し、PNPトランジスタ141のオン状態への移行を加速させることになる。一方、NPNトランジスタ142が完全にオン状態に移行した後には、そのコレクタ・エミッタ間電圧は低下して、前述したダイオード552の順電圧よりも小さい電位となる。この結果、サイリスタ101のゲート端子から個別回路541の出力端子の側に流れる電流Igは略ゼロとなって、サイリスタ101のカソード端子にはアノード電流Iaと略等しいカソード電流Ikが流れることになり、サイリスタ101は完全にオン状態となる。
図29(c)は前述したサイリスタ101のターンオン過程を説明する図であって、横軸にアノード電流Ia、縦軸にアノード端子電位Vaを示している。サイリスタの消灯状態においてはアノード電流は略ゼロであり、前記グラフの原点(0,0)の状態にある。
サイリスタのターンオン開始に伴い、アノード駆動が行われると図中矢印で示したようにアノード電位が上昇してVp電位に到達する。該電圧はダイオード552の順電圧VfとPNPトランジスタ141のエミッタ・ベース間電圧の加算値に対応するものであり、該電圧が順方向に印加されることでゲート電流(これは141のベース電流に等しい)を生じる。
図29(c)において丸印を付して示す(Ip,Vp)ポイントは、サイリスタ101のオフ領域(A)とオン遷移領域(B)との境目に相当している。ついで、アノード電流Iaが増加するに伴いアノード電位Vaは低下していき、丸印を付して示す(Iv,Vv)ポイントに到達する。該ポイントはサイリスタのオン遷移領域(B)とオン領域(C)との境目に相当しており、このときのゲート電流Igは略ゼロにまで低下していて、実質的に個別回路541はサイリスタ101から切り離されたのと等価な状態にある。さらにアノード電流Iaが増加するに伴い、アノード電位Vaは増加していき、丸印を付して示す(I1,V1)ポイントに到達する。該ポイントは発光サイリスタの発光駆動の最終動作ポイントであり、ドライバIC側から供給されるアノード電流Iaと等しく、それに応じた所定の発光パワーで発光駆動がなされる。
図29を用いてサイリスタのターンオン過程を説明したが、個別回路541を用いることでオン状態にあるサイリスタからのゲート電流の流れ込みを防止して、アノード電流Iaとカソード電流Ikを略等しくしたオン状態駆動とすることができ、アノード電流Iaを調整することでそれに応じた発光パワーを得ることができる。
このような動作はバッファ回路501の出力とサイリスタのゲート端子間に541で示す個別回路を介在させたことによる効果であり、通常のCMOS出力回路とサイリスタのゲート端子とを直結した場合にはそのLowレベル出力は略0V電位にまで降下してしまうので、PNPトランジスタ141のベース電流は前記CMOSバッファ回路501の側にIgとして流れ続け、その分NPNトランジスタ142のコレクタ電流が減少して、サイリスタのカソード電流Ikも減少してしまう。この結果、サイリスタの発光出力が変動してしまい所望状態で動作させることができず、発光サイリスタを用いてLEDヘッドを実現することを困難にしていたのである。 これに対して、図29に示したゲート駆動バッファを用いる構成においては前述した不具合が生じることが無くなり、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41、42)の搭載を不要とできて、省スペースで低コストなLEDをヘッド実現できるようになったのである。
図30は図27の構成において、サイリスタ素子が同時に点灯した場合の挙動を説明する図である。図30においては説明を簡略化するため2個のサイリスタ素子101、103について取り上げ、他の素子は省略している。図30(a)は図27におけるゲート駆動用個別回路541〜544と図22において示したサイリスタ101、103の接続を示す図である。図30(b)は図30(a)と対比させて描いた図であり、個別回路541と543とを破線で囲んで示しその内部にあるダイオードを551a、552a、551b、552bとして示している。また上記サイリスタ素子101、103を破線で囲んで示し、その内部等価回路をPNPトランジスタ141、NPNトランジスタ142として示している。さらにNPNトランジスタ142aのコレクタ・エミッタ間電圧をVce1、NPNトランジスタ142bのコレクタ・エミッタ間電圧をVce3と記号して図中に記載している。
図30(a)において、サイリスタの同時オンの状況を示すためゲート駆動バッファ501の入力レベルをLowとし、その出力に接続されるゲート配線Gが複数のサイリスタ101、103のゲート端子とが個別回路541、542を介してそれぞれ接続されている。図30(b)は複数のサイリスタ素子101、103が同時にオンしている状況を示しているが、図29を用いて説明したように、実施例3の構成を用いたバッファ回路501においては、サイリスタのターンオン指令のため、その出力レベルをLowとさせてサイリスタ素子をオンさせた後には、該素子のゲート端子からバッファ回路501の出力端子に向かって流れ込む電流は略ゼロとすることができる。このため図30(b)においてはゲート配線Gに接続されるバッファ回路501の影響は除外して考えることができ、図30(b)においてはバッファ501を破線にて記載している。
いま、サイリスタ101がオンしており、そのアノード端子からIa1なる駆動電流が流入しているとする。このとき、サイリスタ101のゲート電流Igの流れる経路として破線矢印で示す経路を考える。前記ゲート電流Igが流れると仮定すると、該電流はPNPトランジスタ141aのエミッタ・ベース間を通り、個別回路541中のダイオード552aを順方向に通って、共通ゲート配線Gを経由して、別の個別回路543中のダイオード551bを順方向に通り、NPNトランジスタ142bのコレクタ・エミッタ間を経由してグランドに流出するものとなる。そのため、サイリスタ101のゲート端子からゲート電流Igの流出側をみて積算した電位Vgは
Vg=2×Vf+Vce3
となる。
ところがサイリスタ101中のNPNトランジスタ142aのコレクタ・エミッタ間電圧Vce1は前記Vg電圧の計算値よりも十分に小さいので、PNPトランジスタ141aのベース端子を流れた電流Ibは破線矢印の経路を通ることなく、NPNトランジスタ142aのコレクタ電流となって、自分自身のカソード電流Ikとして合流することになる。図27、図30を参照して明らかなように、同時に点灯するサイリスタ101、103等において、そのゲート端子は個別回路541〜544等を介してバッファ回路501、502に接続されており、前記サイリスタ101、103のゲート端子間は直接接続されないため、前記ゲート端子間を流れる電流成分は発生しないことになる。
実施例1で設定されるサイリスタにおいては、図21を用いて説明したように、その発光は主としてPNPトランジスタ141に流れる各部電流I1〜I3による特性を備え、前記各電流ごとの発光パワー(P)の成分(Pi1,Pi2,Pi3)への寄与の大きい順に記せば、
Pi1 > Pi2 >>Pi3
となる必要があった。このため、前記電流I3のように、同時に発光している他のサイリスタのゲート電流の一部が自身のゲート端子を介して流入していたとしても、その影響を軽微なものとする特性を具備させる必要があった。これに対して実施例3の構成においては、同時に点灯するサイリスタのゲート端子はそれぞれ個別回路を介して共通ゲート配線と接続されるようにしており、前記個別回路の働きによりサイリスタのゲート端子間を流れる電流成分は発生しなくなって、前記した条件を設ける必要がなくなる。
このように実施例3の構成においては、実施例1と同様に、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41、42)の搭載を不要とでき、省スペースで低コストなLEDをヘッド実現できるようになる。これに加えて、実施例1の構成で設ける必要のあったサイリスタに対する特性制約を不要とすることができるようになり、さらなる改良が図れたのである。
即ち、実施例3においては、図29を用いて説明したように、発光素子として2端子LED素子に替えて発光サイリスタを用い、そのゲート端子の駆動をドライバIC内に設けたバッファ回路とそれに接続された共通ゲート配線と、前記共通配線とサイリスタのゲート端子間との接続を個別回路を介して行う構成とした。これにより、前記サイリスタのターンオン過程におけるゲート駆動は前記サイリスタ駆動のためのアノード電流の一部が用いられ、該素子がオンした後には前記ゲート駆動バッファを介して流れる電流が無くなり該バッファは実質的に切り離される構成とした。このため、前記サイリスタは3端子素子であるものの実質的には2端子LEDと同様に動作させることが可能となって、従来構成のLEDヘッドと互換性がある形態で動作させことができる。これにより、従来構成において設ける必要のあったパワーMOSトランジスタ(図32における41、42)の搭載を不要とできて、従来構成のLEDヘッドと比べて省スペースで低コストな光プリントヘッドを実現できるようになったのである。
以上実施例1〜3で説明した発光素子アレイは、電子写真プリンタにおける露光工程で光源として利用することができる。以下その一例としてタンデムカラープリンタをとりあげ、図31を用いて説明する。図31は本発明の半導体複合装置を搭載したサイリスタヘッドを用いたタンデムカラープリンタを示す概略構成図である。
図31において、タンデムカラープリンタ600は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色の画像を各々に形成する4つのプロセスユニット601〜604を有し、これらが記録媒体605の搬送経路の上流側から順に配置されている。これらプロセスユニット601〜604の内部構成は共通しているため、例えばマゼンタのプロセスユニット603を例に取り、その内部構成を説明する。
プロセスユニット603には、像担持体としての感光体ドラム603aが矢印方向に回転可能に配置され、この感光体ドラム603aの周囲には、その回転方向上流側から順に、感光体ドラム603aの表面に電荷を供給して帯電させる帯電装置603b、帯電された感光体ドラム603aの表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置603cが配設され、露光装置603cとしては上記各実施例で説明した光プリントヘッド(19)が用いられる。更に、静電潜像が形成された感光体ドラム603aの表面に、マゼンタ(所定色)のトナーを付着させて顕像を発生させる現像装置603d、及び感光体ドラム603a上のトナーの顕像を転写した際に残留したトナーを除去するクリーニング装置603eが配設される。なお、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され回転する。
またタンデムカラープリンタ600は、その下部に、紙などの記録媒体605を堆積した状態で収納する用紙カセット606を装着し、その上方には記録媒体605を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ607が配設されている。更に、記録媒体605の搬送方向におけるホッピングローラ607の下流側には、ピンチローラ608と共に記録媒体605を挟持することによって記録媒体を搬送する搬送ローラ610と、ピンチローラ609と共に記録媒体605を挟持して記録媒体605の斜行を修正し、プロセスユニット601に搬送するレジストローラ611を配設している。これらのホッピングローラ607、搬送ローラ610及びレジストローラ611は図示されない駆動源からギア等を経由して動力が伝達され回転する。
プロセスユニット601〜604の各感光体ドラムに対向する位置には、それぞれ半導電性のゴム等によって形成され、感光ドラム603a上に付着されたトナーによる顕像を記録媒体605に転写する転写ローラ612が配設されている。これら転写ローラ612には感光ドラム603a上のトナーによる顕像を記録媒体605に転写する転写時に、感光体ドラム601a〜604aの表面電位とこれら各転写ローラ612の表面電位に電位差を持たせるための電位が印加される。
定着装置613は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、記録媒体605上に転写されたトナーを加圧・加熱することによって定着する。定着装置613の下流側に配設される排出ローラ614、615は、定着装置613から排出された記録媒体605を、排出部のピンチローラ616、617と共に挟持し、記録媒体スタッカ部618に搬送する。これら定着装置613、排出ローラ614等は図示しない駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され回転される。
つぎに上記構成のタンデムカラープリンタ600の動作を説明する。まず、用紙カセット606に堆積した状態で収納されている記録媒体605がホッピングローラ607によって、上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて記録媒体605は、搬送ローラ610とピンチローラ608およびレジストローラ611とピンチローラ609に挟持されて、イエローのプロセスユニット601の感光体ドラム601aと転写ローラ612の間に搬送される。その後記録媒体605は、感光体ドラム601a及び転写ローラ612に挟持され、その記録面にトナー像が転写されると同時に感光体ドラム601aの回転によってさらに下流方向に搬送される。
同様にして、記録媒体605は、順次プロセスユニット602〜604を通過し、その通過過程で、各露光装置601c〜604cにより形成された静電潜像を現像装置601d〜604dによって現像した各色のトナー像がその記録面に順次転写され、重ね合わせられる。そしてその記録面上に各色のトナー像が重ね合わせられた後、定着装置613によってトナー像が定着され、定着後の記録媒体605は、排出ローラ614とピンチローラ616および排出ローラ615とピンチローラ617に挟持されて、タンデムカラープリンタ600の外部の記録媒体スタッカ部618に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が記録媒体605上に形成される。
以上の様に、本発明の画像形成装置によれば、発光素子として発光サイリスタを有する光プリントヘッドを採用するため、スペース効率及び光取り出し効率に優れた高品質の画像形成装置(プリンタ,コピー機など)を提供することができる。即ち、上記実施例1〜3の光プリントヘッドを用いることにより、上記説明したフルカラーの画像形成装置に限らず、モノクロ、マルチカラーの画像形成装置においても効果が得られるが、特に露光装置を数多く必要とするフルカラーの画像形成装置において一層大きな効果が得られる。