JP5115880B2 - マグネトロンの余寿命検出方法とその余寿命検出装置 - Google Patents
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Description
ところが、マグネトロン各々の寿命時間には長短があり、寿命(寿命時間の終わり)が明確でないために、寿命時間が充分にあるにもかかわらず交換してしまったり、また、寿命により故障となった後に交換するなど、実用的には様々な取り扱いがなされている。
一例を述べれば、マグネトロンが冷えている状態で、通常運転起動電圧より低いヒーター電圧(フィラメント電圧)を印加すると共に、陽極にはヒーター電圧よりも高い電圧を印加し、この状態で、マグネトロンの発振停止又は出力低下を発振出力検出手段によって検出する寿命検出方法がる。
また、定格フィラメント電圧ではまだまだ寿命時間が充分に残っているにもかかわらず寿命と判定してしまうことがある。
特に、マグネトロンの特性によっては、通常運転起動電圧より低いフィラメント電圧を印加することができないものがあるから、上記の寿命検出方法は限られたマグネトロンに適用できるに止まる。
したがって、寿命と判断すれば、残りの寿命時間(余寿命)に関係なくマグネトロンの交換が行われている。
このことから、余寿命を知ることができれば、経済的にもまた作業の能率向上においても非常に重要なこととなる。
すなわち、マグネトロンが異常発振する時点は、定格出力限界時点であるから、各々の平均陽極電流を供給したときに発生する異常発振時点は、平均陽極電流各々に対応するマグネトロンの寿命時間となる。
なお、マグネトロンの異常発振の検出については、マグネトロンがモーディングした時を検出する検出手段を設けることによって行なうことができる。
図1は、一例と示した5kW出力のマグネトロンの出力Po−平均陽極電流Ibの特性図、図2は、そのマグネトロンのフィラメント電圧Ef−平均陽極電流Ibの特性図である。
なお、この種のマグネトロンは、発振出力によってフィラメント温度が上昇するバックヒーテング現象を伴って出力状態を継続する。
なお、この特性図では、平均陽極電流Ibが200mA、400mA、600mA、800mA、850mA,920mAについて示してあるが、平均陽極電流が300mAのときは、200mAと400mAの特性曲線の中間となり、400mAと同様に初期はモーディング開始フィラメント電圧が0Vとなることが確認された。
例えば、平均陽極電流Ibを600mAに維持してフィラメント電圧を下げると、フィラメントから放出される電子放出量が減って正常発振が維持できなくなりモーディングするが、このモーディングが発生する直前のフィラメント電圧を上記したモーディング開始フィラメント電圧としてある。
ただし、フィラメント電圧を0Vにしてもモーディングしなかった場合は、モーディング開始フィラメント電圧を0Vと定義した。
このことは、加速寿命試験でマグネトロンを6000時間動作させたことにより、フィラメントから放出される電子の放出量が少なくなり、2.1V以上のフィラメント電圧を印加したときだけ正常発振する状態になることを意味している。
なお、正しくは、加速係数を加味した時間が本来の寿命時間の終わりとなる。
なお、正しくは、加速係数を加味した時間が本来の寿命時間の終わりとなる。
この結果、このマグネトロンの余寿命が19%であることが分かる。
余寿命の検出が終わったら、一旦陽極電源を切断し、再度920mAの平均陽極電流Ibを供給することによって、正常発振を継続させることができる。
この結果、このマグネトロンの余寿命が4%であることが分かる。
余寿命の検出が終わったら、一旦陽極電源を切断し、再度920mAの平均陽極電流Ibを供給することによって、正常発振を継続させることができる。
本発明は、既に述べたように、モーディングの発生時点を余寿命として検出するので、先ず、モーディングについて説明する。
図4は、電子レンジ用や工業用に使用されるマグネトロンの陽極空洞10の模式図である。このマグネトロンは導電性のストラップリング11、12を備えることが特徴となっている。
なお、陽極空洞10のベイン数は偶数で、電子レンジ用や工業用に使用されるマグネトロンは8枚から24枚のものが一般的で、特に10枚から14枚のものが多い。
したがって、以下の説明では、マグネトロンが正常発振以外のモードで発振することをモーディング、或いは、異常発振と言う。
図示するように、正常発振A0が最も低い陽極電圧で発生し、異常発振(モーディング)A1、A2のときは、正常発振A0のときに比べ高い陽極電圧となる。
なお、異常発振の種類はベイン枚数に応じて増すが、この特性図では、2種類の異常発振A1、A2の特性が示してある。
その理由は、フィラメントからの電子放出量が正常発振を維持するために必要なレベル以下になったとき異常発振するが、このとき異常発振A1のマイクロ波発振が最も強く必ず発生することを確認したからである。
図6は、ハイパスフイルタの構成例を示す方形導波管13で、断面の長辺寸法D0を4.3cmとしたものは、3.5GHz以下のマイクロ波電力を遮断し、3.5HGzを超えるマイクロ波電力を伝搬する。
さらに、長辺寸法D0を6cmとしたものは、2.5GHz以下のマイクロ波電力を遮断し、2.5GHzを超えるマイクロ波電力を伝搬する。
具体的には、異常発振のマイクロ波電力に合わせた長辺寸法の方形導波管を使用する。
なお、マグネトロン14を駆動する電源部は省略してある。
このマイクロ波応用装置は、マグネトロン14が出力するマイクロ波電力が導波管系回路(マイクロ波伝送路)15を通してアプリケータ16に送られ、被処理物がこのアプリケータ内でマイクロ波処理される。
この実施例のマイクロ波応用装置では、導波管系回路15にアイソレータ17を設け、このアイソレータ17とマグネトロン14との間に余寿命検出装置18が設けてある。
具体的には、導波管系回路15は、正常発振のマイクロ波電力、つまり、2.45GHz帯のマイクロ波電力が伝播する導波管構成となっており、したがって、その一部の導波管部15aの長辺寸法D1も60〜120cmの導波管となっている。
このスロットアンテナ19は異常発振のマイクロ波電力に対し共振するので、異常発振の多くのマイクロ波電力を放射する。
具体的には、この余寿命検出装置18は、その胴体部18aが図6に示す方形導波管13と同様に正常発振のマイクロ波電力を遮断し、異常発振のマイクロ波電力を通過させる有底のフイルタで、胴体部18aには、結合金属棒18bを備えた同軸線用端子18cが設けてあり、結合金属棒18bの胴体部内挿入長Hと短絡板からの距離Lは、異常発振のマイクロ波電力が結合する長さに調整してある。
図11はアラーム動作回路の一例である。
このアラーム動作回路は、余寿命検出装置18から出力される検出信号をアンプ20によって検波増幅し、この増幅信号をトランジスタ21のベースに入力し、増幅信号が一定レベルを超えたとき、トランジスタ21をONさせる。
なお、トランジスタ21に並列接続した常閉型のスイッチ24とリレー端子22aの回路体は、ランプ23の点灯保持回路である。
すなわち、トランジスタ21が一旦ONすると、余寿命検出装置18からの検出信号が消失してもスイッチ24と端子22aの閉成によりリレー22が動作を継続するから、ランプが点灯したままとなる。
余寿命の検出については、既に述べたように、マグネトロン14を定格出力(例えば、定格出力5kW、平均陽極電流920mA)させた状態で、平均陽極電流Ibを減少さる。
余寿命を検出した後は、平均陽極電流Ibを定格動作に戻し、マグネトロン14を定格出力させ、マイクロ波応用装置を通常運転する。
15 導波管系回路
15a 導波管部
16 アプリケータ
17 アイソレータ
18 余寿命検出装置
19 ストラップアンテナ
23 モーディング表示用のランプ
Claims (3)
- フィラメント電圧を一定値に維持した状態で、定格出力の平均陽極電流を数段階に順次減少させ、
減少させた平均陽極電流の異常発振時点を検出することにより、当該平均陽極電流に対応する寿命時間を求め、
この寿命時間と定格出力の平均陽極電流に対応する寿命時間とを比較し、
定格出力で運転した際の余寿命を知得することを特徴とするマグネトロンの余寿命検出方法。 - フィラメント電圧を一定値に維持した状態で、定格出力の平均陽極電流を数段階に順次減少させる制御手段と、
減少させた平均陽極電流の異常発振時点を検出することにより、当該平均陽極電流に対応する寿命時間を求める手段を備え、
減少させた平均陽極電流より求めた寿命時間と定格出力の平均陽極電流に対応する寿命時間とを比較し定格出力で運転した際の余寿命を知得することを特徴とするマグネトロンの余寿命検出装置。 - 請求項2に記載したマグネトロンの余寿命検出装置において、
マグネトロンがモーディングしたとき、異常発振時点として検出するモーディング検出手段を設けたことを特徴とするマグネトロンの余寿命検出装置。
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