JP5111869B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
また、特許文献1記載のように外周縁を囲む樹脂枠を射出成形でインサート成形する場合、多孔質体に樹脂が入り込んでアンカー効果を発揮するが、端子タブを接合した部分では、樹脂の収縮力を受けて端子タブに剥離が生じ易い。
つまり、集電部においては密度が高められているので、本体部の他の部分より金属量が多くなっており、電気的特性に優れるとともに、溶接等も容易にすることができる。しかも、この集電部の周縁に樹脂部を形成する場合でも、集電部を形成している骨格部の空孔部内に樹脂が入り込んで、強固に接合される。
このような構成とすることにより、シート部材を積層して押しつぶすことにより、密度の高い集電部を容易に製造することができる。
このような構成とすることにより、集電部の表面層が焼結部材の緻密層とされているため、この表面層の金属量が多く、電気的特性、溶接性に優れるものとなる。
この場合、前記集電部の気孔率が40%以上60%未満であり、他の部分の気孔率が60%以上98%以下であることが好ましい。
この実施形態の燃料電池は、図1に示す複数の単位セルを平面的に配置した平面配置型構造の燃料電池に適用される。
図1に示すように、本体部15は直角四角形の平板状に形成されるとともに、集電部16は、本体部15の一辺部を構成するようにこの一辺に沿って帯状に形成されており、ともに同じ厚さに形成され、表面は面一にされている。
そして、このように構成した導電性多孔質体13の片面に、白金や白金―ルテニウム等の触媒層14が形成されることにより電極部材11とされ、図1に示すように、面方向に2枚の電極部材11が並べられ、これらの間を埋めるとともに外周を囲むように樹脂部12が一体に形成されることにより、前記電極シート4を構成している。
この場合、導電部材20は、1ヶ所もしくは複数個所設けられるようにしてもよい。また、液体燃料を使用する場合には、導電部材20の貫通部からの液漏れを防ぐためにシール剤が設けられる。
まず、この電極シート4の導電性多孔質体13を製造する方法について説明する。
前述したように、導電性多孔質体13は、空孔部17が入り込んで三次元網目構造をなす骨格部18を有する発泡金属のシート部材19をもとに製造されており、このシート部材19は、金属粉末を含むスラリーを薄く成形して乾燥させたグリーンシートを焼成することにより製造される。
このスラリーは、金属粉末、発泡剤(例えば炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤であり、例えばネオベンタン、ヘキサン、ヘプタン)、有機バインダ(例えばメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース)、溶媒(水)等を混合したものである。このスラリーをドクターブレード法により薄く成形するグリーンシート製造装置31を図4に示す。
次に、この電極部材11に樹脂部12を形成して電極シート4とする方法について説明する。
図6に示すように、射出成形装置51の可動型52と固定型53との間に、電極シート4を形成可能な大きさのキャビティ54を形成しておく。そして、このキャビティ54に複数の電極部材11を並べた後、型締めして、電極部材11を可動型52と固定型53とにより挟持する。このとき、両型52・53によって電極部材11がわずかに圧縮されるように挟持する。次いで、図7に示すように、電極部材11の回りに形成される隙間に樹脂55を射出すると、その樹脂55が電極部材11の間を埋めるとともにその回りを囲んで樹脂部12を形成する。
さらに、両シート部材19とも三次元網目構造の骨格部18の周囲に空孔部17を有する構成であるから、集電部16における両シート部材19の接合面においては両シート部材19の三次元網目構造の骨格部18が相互に食い込んで複雑にからみあっており、強固に接合される。
試験片として、三次元網目構造の骨格部からなるシート部材を基材とし、その気孔率の異なるもの2種類を用意した。また、この基材に積層される積層材として、三次元網目構造の骨格部からなるシート部材と、金属板とを用意した。三次元網目構造の骨格部からなるシート部材はいずれも厚さが0.3mmであり、金属板は厚さが0.1mmである。表1では三次元網目構造の骨格部からなるシート部材を発泡金属と称する。
これら5種類の試験片を幅10mm×長さ110mmとし、図8に示すように、基材Aの側を外径110mmの円筒Bに巻き付けたときに積層材Cが剥離した部分の長さLを測定した。その結果は表2の通りであった。
また、空孔部17が入り込んで三次元網目構造をなす骨格部18を有する導電性多孔質体13を樹脂部12と一体に形成して電極シート4としていることから、導電性多孔質体13の周縁部においては、樹脂部12の樹脂が導電性多孔質体13の周縁部付近の空孔部17内に入り込んだ状態となって強固に接合される。特に、前述したように導電性多孔質体13をインサート部品として射出成形することによって樹脂部12を形成しているから、その射出圧によって導電性多孔質体13の空孔部17内に効果的に樹脂を侵入させることができる。この場合、集電部16においても、押しつぶされてはいるが扁平な空孔部17が存在しているため、該空孔部17に樹脂を入り込ませることができ、強固な接合強度を確保することができる。
また、導電性多孔質体は、その集電部を二枚のシート部材を押しつぶして構成したが、3枚以上のシート部材を押しつぶして構成してもよい。
そして、これらのシート部材19・61を重ね合わせて例えば0.3mmの厚さに押しつぶすことにより、例えば、本体部15の部分の気孔率が80%、集電部16の部分の気孔率が47%のものに仕上げられる。
この気孔率が厚さ方向に異なるシート部材63を製造するには、図14に示すように二つのホッパー33・64を有するグリーンシート製造装置65が使用される。その一方のホッパー33には発泡剤を混合したスラリー32が貯留され、他方のホッパー64には発泡剤を含まない金属粉末と有機バインダ、溶媒等からなるスラリー66が貯留される。そして、この発泡剤を含まないスラリー66をキャリアシート34上に供給しながらドクターブレード67によって薄くシート状に成形し、その上に、もう一方のホッパー33から発泡剤入りのスラリー32を供給してシート状に重ね合わせる。この二層状態のスラリーシート68を加熱処理することにより、上層のみが発泡したグリーンシート69が形成される。このグリーンシート69を焼結することにより、図15に示すように、上層が空孔部17を有する三次元網目構造の骨格部18からなる発泡金属層で、下層が緻密焼結層62となったシート部材63が形成される。
この導電性多孔質体13は、集電部16の外面の緻密焼結層62が通常の焼結部材であり、金属密度が高いので、電気的特性に優れ、リード線の溶接も強固に接続することができる。しかも、本体部15を構成するシート部材19との接合面は発泡金属層であるので、両シート部材19・63の三次元網目構造の骨格部どうしが複雑にからみ合って強固に接合されるものである。
この構成とすることにより、集電部16が外側にはみ出した構造となり、外部との電気接続を容易にすることができる。
このように集電部16であっても空孔部17を有していることから、その空孔部17に樹脂を含浸させて一体化することができるので、樹脂部12を射出成形だけでなく、他の方法によっても容易に形成することができる。
なお、図1の例では、電極シートを平面配置型の燃料電池に適用した例を示したが、セルを厚さ方向に積み上げたスタック型の燃料電池に適用してもよい。
また、導電性多孔質体の空孔部は、前記実施形態では、グリーンシートを形成するためのスラリーに発泡剤を混合しておき、これを発泡させることにより形成したが、これに限ることはなく、焼結時の熱で消失するビーズ状物をスラリーに混入しておき、そのビーズ状物を消失させて形成する方法によるものでもよいし、スポンジ状の基体にスラリーを塗布して、焼結したときにスポンジ状の基体を消失させて形成する方法によるもの等も可能である。
Claims (4)
- 固体高分子の電解質膜と、該電解質膜の両面に重ねられる電極シートとを備える燃料電池であって、
前記電極シートは、三次元網目構造をなす骨格部を有するシート部材によって構成した導電性多孔質体と、該導電性多孔質体の片面に形成され前記電解質層に接触させられる触媒層と、前記導電性多孔質体の外周縁の少なくとも一部に面方向に延びて一体に形成された樹脂部とから構成され、
前記導電性多孔質体は、その一部に他の部分より密度が高く形成された集電部が形成され、
前記樹脂部と導電性多孔質体との接合部には、導電性多孔質体の前記骨格部内の空孔部に樹脂が入り込んでおり、
これら電解質膜と両側の電極シートとにより構成される複数の単位セルのうち、少なくとも一部が前記導電性多孔質体の集電部から電解質膜を貫通する導電部材を介して直列に接続されていることを特徴とする燃料電池。 - 前記集電部は、複数のシート部材の積層構造とされるとともに、該集電部における各シート部材の骨格部内の空孔部が他の部分の空孔部よりもつぶされて扁平に形成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記集電部におけるシート部材は、その表面層に前記空孔部を有しない緻密焼結層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池。
- 前記集電部の気孔率が40%以上60%未満であり、他の部分の気孔率が60%以上98%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池。
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