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JP5107662B2 - フロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置 - Google Patents

フロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、建造物や構築物にスプレー又は注入発泡法により現場施工して硬質ポリウレタンフォーム層を形成する硬質ポリウレタンフォームの製造装置に関するものである。
保温を必要とする倉庫、畜舎、タンク設備などの建造物や構築物の屋根、壁面、床等を断熱すべき基体とし、その基体表面に断熱材として硬質ポリウレタンフォームを現場施工する技術として、スプレー発泡法が周知である。スプレー発泡法においては、オゾン層を破壊するフロン化合物に代えて、HFC化合物、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)を発泡剤として使用する技術が公知であるが、コスト的に高いものである。低コストの発泡剤として二酸化炭素を使用したスプレー発泡法も公知である(特許文献1、2など)。
ここで、発泡機から硬質ポリウレタンフォームを吐出する際に、当該発泡機の動作と、ボンベからのHFC−134aガスの供給とを連動化させる方法としては、フロスポンプの使用が挙げられる。即ち、両者の連動化は、発泡機に設けられているポリオール組成物の圧縮用シリンダーにフロスポンプのアームを連結させ、当該発泡機が硬質ポリウレタンフォームを吐出する際に、このシリンダーが動作することにより、フロスポンプを稼働させ、HFC−134aガスとポリオール組成物とを混合させていた。
しかし、例えば、発泡剤として二酸化炭素を用いる場合、当該二酸化炭素を供給する装置には、これを送り出す為のポンプが設置される。この為、二酸化炭素の供給と発泡機の動作との連動化の為に用いるフロスポンプの使用が不可能となり、発泡剤として二酸化炭素を用いる場合には、両者の連動化が困難になるという問題がある。
特開2002−327439号公報 特開2003−082050号公報
本発明の目的は、フロン代替品として圧縮又は液化された不活性ガスを発泡剤として使用し、高圧ガス保安法を遵守した設備の使用により、従来のフロスポンプを用いずに、不活性ガスの供給と発泡機の動作との連動化を可能にした、完全ノンフロン化のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置を提供することにある。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、フロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置について検討した。その結果、下記の方法を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係るフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置は、前記の課題を解決する為に、発泡剤として所定圧力に圧縮又は液化された不活性ガスを定量供給する発泡剤供給手段と、前記不活性ガスとポリオール組成物を混合させて発泡ポリオール組成物とした後、当該発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合して硬質ポリウレタンフォームを吐出する発泡手段とを備えるフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置であって、前記発泡剤供給手段は、不活性ガスの圧力を減圧調整する減圧弁と、不活性ガスの流量を調整するニードル弁を有し、前記発泡手段は、前記ポリオール組成物を圧縮して供給する為の圧縮用シリンダーを有しており、前記発泡手段と発泡剤供給手段との間には、前記不活性ガスの発泡手段への供給を調節する調節手段が設けられ、前記調節手段には、前記圧縮用シリンダーの動作を感知して当該調節手段を制御する制御手段が接続されていることを特徴とする。
発泡手段から硬質ポリウレタンフォームを吐出する際には、先ず、発泡剤としての不活性ガスとポリオール組成物とが混合されて発泡ポリオール組成物が生成される。このとき、ポリオール組成物は圧縮して供給されるが、前記ニードル弁を常時開状態にしておくと、ポリオール組成物の液圧よりも不活性ガス(発泡剤)のガス圧が大きくなる。この為、ポリオール組成物に不活性ガスが挿入される形で両者は混合される。その一方、硬質ポリウレタンフォームを吐出しない場合には、ポリオール組成物の液圧が不活性ガスのガス圧よりも大きくなる為、ポリオール組成物には不活性ガスが挿入されなくなり、両者の混合は停止される。即ち、ニードル弁を常時開状態にしておくことで、発泡剤供給手段と発泡手段との連動化が可能となっている。
しかし、その様な連動化のシステムであると、発泡手段が硬質ポリウレタンフォームの吐出を停止させても、ポリオール組成物の液圧が不活性ガスのガス圧よりも瞬時に大きくなることはなく、除々に昇圧していく。その為、吐出停止後も、ポリオール組成物の液圧が不活性ガスのガス圧を上回るまでの間、不活性ガスがポリオール組成物に挿入され続け、不活性ガスが過剰供給される結果、両者の混合比にバラツキが生じる。
前記構成において、圧縮用シリンダーはポリオール組成物を圧縮して供給するためのものであり、硬質ポリウレタンフォームが発泡手段から吐出されているときは動作している。一方、制御手段は、この圧縮用シリンダーの動作状態を感知して、不活性ガスの発泡剤供給手段への供給を調節する。これにより、発泡手段が硬質ポリウレタンフォームの吐出を停止した際には、瞬時に不活性ガスの供給を停止することができる。また、硬質ポリウレタンフォームの吐出時においても、ポリオール組成物の液圧に応じて不活性ガスの供給量を制御できるので、流量の安定化が図れる。即ち、前記構成であると、発泡手段の動作と発泡剤供給手段による不活性ガスの供給とを連動化させ、不活性ガスの発泡手段への供給を適時的に行うことが可能になる。
尚、前記構成のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置は、減圧弁を用いて上流側よりも低い圧力設定で不活性ガスが供給される様にする。更に、ニードル弁を用いて不活性ガスの流量を調整するので、脈動させることなく気体状態のままで定量供給することが可能になる。即ち、圧縮された不活性ガスを脈動することなく定量供給するので、施工開始直後から現場での安定したフロス発泡が可能であり、施工性を良好なものにできる。
更に、前記構成においては、圧縮又は液化された不活性ガスを発泡剤として使用しており、例えば液状の二酸化炭素を発泡剤として用いた場合の様に、ポリオール組成物との接触混合の際に、急激な体積膨張を伴うことがない。従って、発泡手段から発泡ポリオール組成物を吐出する際に、その内部での挙動の不安定化を抑制し、発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分との撹拌時の撹拌効率を大幅に向上できる。その結果、発泡ポリオール組成物の液温も低く抑えることができ、硬質ポリウレタンフォームの発泡の際の内部発熱温度の低減が図れる。
前記の構成において、前記制御手段はシーケンサーを有し、前記調節手段は開閉弁を有しており、前記発泡手段が硬質ポリウレタンフォームを吐出し、前記圧縮用シリンダーが動作している場合には、前記開閉弁を開状態とし、前記発泡手段が硬質ポリウレタンフォームを吐出せず、前記圧縮用シリンダーが静止している場合には、開閉弁を閉状態とする制御を行うことができる。
また、前記の構成において、前記制御手段は、前記圧縮用シリンダーの動作位置を検出するレーザーセンサーを有することが好ましい。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造装置について説明する。また以下では、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを例にして述べる。図1は、本実施の形態に係る硬質ポリウレタンフォームの製造装置の好適な実施形態を示した模式図である。図2は、前記硬質ポリウレタンフォームの製造装置における不活性ガスの発泡剤供給手段の好適な実施態様を示す模式図である。図3は、前記硬質ポリウレタンフォームの製造装置における発泡手段の好適な実施態様を示す模式図である。
先ず、図1に示すように、本実施の形態に係る製造装置は、発泡剤としての不活性ガスを定量供給する発泡剤供給装置(発泡剤供給手段)11と、硬質ポリウレタンフォームを吐出する発泡機(発泡手段)13と、前記発泡機13に対する不活性ガスの供給を制御する制御手段15と、発泡剤の供給を調節する調節手段16とを少なくとも備える。
前記発泡剤供給装置11は、図2(a)に示すように、液化炭酸ガスが貯蔵されているボンベ12と、不活性ガスの圧力を減圧調整する減圧弁22と、不活性ガスの流量を調整する第1ニードル弁19を備える。ボンベ12には液相まで伸びるサイフォン管は設けられておらず、気相から二酸化炭素ガスのみを取り出す。二酸化炭素ガスはボンベ12からバルブ21、配管23を通じて、二酸化炭素ガスの圧力を減じる減圧弁22に供給される。減圧弁22は、二酸化炭素ガスの上流側の圧力を6MPa〜6.5MPaとした場合、下流側の圧力を5.5MPa〜6MPaの範囲内になる様に減圧調整させる。第1ニードル弁19は、二酸化炭素ガスの流量を所定の流量に調整する機能を有する。減圧弁22と第1ニードル弁19の間には、二酸化炭素ガスの圧力を6MPa〜6.5MPaの範囲内で一定圧力となるよう調圧される保圧弁32、及び二酸化炭素ガスの流量を適時測定する高圧ガス用の流量計24が設けられている。また、第1ニードル弁19の下流側には、二酸化炭素ガスを適時的に供給することを可能にする遮断弁28、及び二酸化炭素ガスの逆流を防止する逆止弁29が順次設けられている。当該構成とすることにより、二酸化炭素ガスを無脈動にて定量的に供給することができる。前記減圧弁22から遮断弁28までは、二酸化炭素ガスが液化しないように加熱され、後述する温度範囲内に設定されていることが好ましい。また、遮断弁28としては、例えば、電気的にバルブの開閉を可能にする電磁弁が挙げられる。当該電磁弁の使用により、例えば、注入装置又はスプレー装置のガンの開閉に連動させて遮断弁28の開閉を適時的に行うことが可能になる。
前記流量計24としては特に限定されず、例えば、バイパスキャピラリ加熱形の熱式質量流量計等を使用することができる。熱式質量流量には、二酸化炭素ガスが流れるガス流路と、主流路から分岐したバイパス流路としてのキャピラリ管が設けられている。また、キャピラリ管の上流側と下流側にはサーモレジスタが設けられている。前記サーモレジスタに電流が流れて両サーモレジスタが加熱された状態で、前記キャピラリ管内に二酸化炭素ガスが流れた際に生ずる抵抗値の変化が、第1ニードル弁19を駆動制御するための制御回路部のブリッジ回路によって取り出され、増幅回路を介して出力された電気信号に基づいて前記主流路に対するキャピラリ管の分流比から総流量が検知される。この検出値を、予め流量値が設定された設定器からの設定信号と比較制御回路にて比較することにより、主流路内を設定値流量の二酸化炭素ガスが流れるように、第1ニードル弁19の開度が駆動制御される。
尚、減圧弁22と保圧弁32との間の配管は、U字配管35に置き換えてもよい。U字配管35は、減圧弁22により二酸化炭素ガスを減圧した結果、二酸化炭素ガスが断熱膨張し液化した場合には、保圧弁32に液化二酸化炭素が流入するのを防止することができる。
発泡剤供給装置11から吐出された二酸化炭素は、配管27中において完全に気化し、気体状態(超臨界状態、亜臨界状態、液体状態のいずれでもない。)で送り出される。配管27には、発泡手段への二酸化炭素ガスの供給を調節する調節手段16が設けられている。調節手段16は、安全弁33、開閉弁としての電磁弁17、第2ニードル弁20及び逆止弁34が順次設けられた構成である。配管27では冷却は行われない。
前記発泡機13は、図3に示すように、ポリオール組成物貯蔵装置14と、ポリイソシアネート成分を貯蔵するポリイソシアネート貯蔵装置41とを備えている。配管27を介して発泡剤供給装置11から定量供給される二酸化炭素ガスは、発泡機13においてポリオール組成物31と混合される。図3において、二酸化炭素ガスはP点で3方コックにより流路を切り換えてポリオール組成物31と混合可能に構成されている。
本発明に於いて、二酸化炭素ガスの供給が発泡機13の動作と連動して適時的に行われることを可能にする為、図1に示す制御手段15が設けられている。当該制御手段15は、前記電磁弁17の開閉動作を制御する。
制御手段15は、電磁弁17の開閉動作を直接制御するシーケンサー18と、発泡機13に設けられている圧縮用シリンダーの動作を検知するレーザーセンサー25とを備える。シーケンサー18は、レーザーセンサー25が圧縮用シリンダーの動作を検知した場合、電磁弁17を開状態とする。また、圧縮用シリンダー33の静止を検知した場合は、電磁弁17を閉状態とする。
図4(a)に、発泡機13に於ける圧縮用シリンダー近傍の様子を示す。同図(a)に示す圧縮用シリンダー33は、ポリオール組成物を圧縮して供給する為のものである。この圧縮用シリンダー33には、その延在方向と平行となる様に、プレート36が設けられている。当該プレート36のレーザーセンサー25側の表面には、図4(b)に示すように、白地に等間隔で黒線が設けられている。各黒線の距離としては特に限定されず、例えば2〜6mmの範囲内であることが好ましい。プレート36の長さLは特に限定されず、例えば、300mmに設定される。また、圧縮用シリンダー33とプレート36との距離dは特に限定されず、例えば、50mmに設定される。また、レーザーセンサー25とプレート36の距離Dは特に限定されず、例えば、10mmに設定される。
レーザーセンサー25による圧縮用シリンダー33の動作の検知は、次の通りである。即ち、発泡機13が硬質ポリウレタンフォームを吐出している状態では、ポリオール組成物31を発泡剤である不活性ガスと混合させる為に、ポリオール組成物貯蔵装置14からポリオール組成物31が供給される。このとき、ポリオール組成物31は所定の圧力に圧縮して供給されるため、圧縮用シリンダー33が図4(a)中の矢印で示す左右方向に往復動作を行う。この圧縮用シリンダー33の往復動作に連動して、当該シリンダー33に固定されたプレート36も矢印で示す左右方向に往復動作をする。このとき、レーザーセンサー25からはレーザー光がプレート36表面に照射され、当該プレート36により反射されたレーザー光の受光量の変化を検知する。受光量の変化は、プレート36の表面に一定間隔で設けられた黒線が設けられており、かつ、このプレート36が左右方向に往復動作することで生じる。
電磁弁17が開状態となって発泡機13に供給される二酸化炭素ガスが配管26Aを介して供給される場合、合流点Aにおいて二酸化炭素ガスとポリオール組成物31が混合されて発泡ポリオール組成物が形成され、温度調節装置37を通過して所定温度に調節された発泡ポリオール組成物が配管39を通じて注入装置(又はスプレー装置)に送られる。合流点Aの下流位置には、スタティックミキサーなどの混合装置を設けてもよい。
また、配管26Bを使用する場合、合流点Bにおいて二酸化炭素ガスとポリオール組成物31が混合されて発泡ポリオール組成物が生成される。この場合、ポリオール組成物31は温度調節装置37を通過して所定温度に調節された後に合流点Bにおいて二酸化炭素と混合されて発泡ポリオール組成物となり、配管39を通じて注入装置等に送られる。配管39を通じて供給される発泡ポリオール組成物は、注入装置等によりポリイソシアネート成分と吐出、混合して基体に吹き付けることによりフロス法硬質ポリウレタンフォームが形成される。
尚、発泡ポリオール組成物はポリイソシアネート成分との混合前に加熱して所定温度に調整する。加熱は二酸化炭素との混合前のポリオール組成物31を例えばB位置で行ってもよく、二酸化炭素と混合した発泡ポリオール組成物の状態でA位置で行ってもよい。スプレー発泡時の安定性が優れている点で、二酸化炭素と混合した発泡ポリオール組成物をA位置で加熱することがより好ましい。発泡ポリオール組成物の温度は50℃以下、30℃以上であることが好ましい。
ボンベ12に於ける液化炭酸ガスの充填圧力は、4〜6MPaであることが好ましい。また、ボンベ12に於ける液化炭酸ガスの温度は、6〜22℃であることが好ましい。
ボンベ12のバルブ21から遮断弁28までの二酸化炭素ガスの圧力は、気体状態が維持されていればよく、ボンベ12の充填圧力を考慮すると4〜7MPaであることが好ましく、4.5〜6.5MPaであることがより好ましい。また、減圧弁22から遮断弁28までの間での加熱温度は、20〜45℃であることが好ましく、30〜40℃であることがより好ましい。
配管27中の二酸化炭素ガスの圧力は、上述のように3〜5MPaであることが好ましく、3.5〜4.5MPaであることがより好ましい。温度は、完全に気化する温度であり、圧力に応じて調整するものであるが、14〜30℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。遮断弁28から合流点Aまでの配管27中の二酸化炭素ガスの圧力と温度は、発泡ポリオール組成物中に二酸化炭素ガスの微細気泡が形成されるように設定する。遮断弁28としては、例えばケイヒン製の電磁弁等を使用することができる。
前記ポリイソシアネート成分は、温度調節装置43を通過して所定温度に調節され、配管42を通じて供給される。前記発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分との混合は、例えば、現場発泡の場合は特に中圧吐出(5〜7MPa程度)の攪拌混合で行われることが好ましい。また、撹拌混合としては、ヘリカル回転式、ピン付き回転式等の撹拌混合が挙げられる。本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造時には、中圧発泡機等を使用して、工場生産や現場発泡を行うことが可能である。
本発明の製造方法により製造する硬質ポリウレタンフォームないしポリイソシアヌレートフォーム(断熱材として)の密度は、50〜110kg/mであることが好ましく、55〜90kg/mであることがより好ましい。係る密度を達成するための炭酸ガスの供給量は、発泡原液組成物(発泡ポリオール組成物+ポリイソシアネート成分)中、0.3〜1.5重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%である。
本発明において、発泡剤として使用する不活性ガス(気体)としては、所定圧力に圧縮されたもの、又は液化された不活性ガスを気体状にしたものが用いられる。所定圧力に圧縮された不活性ガスとしては、窒素、希ガス等が挙げられる。また、液化された不活性ガスを気体状にしたものとしては、例えば、二酸化炭素ガス等が挙げられる。また、希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンが挙げられる。例示した各不活性ガスは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。前記に例示した不活性ガスのうち、本発明では、熱伝導率が比較的低く、取り扱いが容易な点から二酸化炭素ガスが好ましい。尚、本発明の不活性ガスに於いてはフロンが除かれる。本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ノンフロンフロス発泡を可能にするものである。
不活性ガスの圧力は、ポリオール組成物の液圧が3.5〜6MPaの場合に、ポリオール組成物との混合直前に於いて、4〜6.5MPaであることが好ましい。圧力を6.5MPa以下にすることにより、ホースから発泡ポリオール組成物を吐出する際の勢いが大きくなり過ぎるのを防止し、良好な作業性を確保することができる。その一方、不活性ガスの圧力を4MPa以上にすることにより、撹拌性の低下を防止し、正常な発泡を維持することができる。
不活性ガスの流量は、例えば不活性ガスがCOの場合、ポリオール組成物との混合直前に於いて、20〜70g/minであることが好ましく、30〜50g/minであることがより好ましい。不活性ガスの流量が20g/min未満であると、充分な発泡ができないため、良好な発泡体が得られない。その一方、70g/minを越えると、フォーム密度が低下し、フォーム物性に影響を与えるため好ましくない。尚、前記不活性ガスの流量は、ポリオール組成物が2〜4kg/分(1〜1.75wt%/ポリオールwt%)の場合に対応する。
また発泡剤としては、水を併用することが好ましい。水の使用量は特に限定されないが、ポリオール組成物100重量部に対して、0.5〜3.5重量部が好ましく、1〜2.5重量部がより好ましい。水の使用量が0.5重量部未満であると、ポリイソシアネート成分と反応して発生する炭酸ガスの生成量が少なくなり、得られる発泡合成樹脂の軽量化が図られない場合がある。その一方、使用量が3.5重量部を超えると、ポリオール組成物との混合により反応して発生するCOガスが多くなり、極端な密度の低下、及びポリウレタンフォーム物性の強度特性面の低下が生じる場合がある。
本発明において使用するポリオール組成物は、ポリオール化合物、触媒、整泡剤を含み、必要に応じて架橋剤、難燃剤等のポリウレタンフォームの分野における公知の添加剤を含有する。ポリオール組成物に発泡剤である圧縮された不活性ガスを混合して発泡ポリオール組成物が形成される。
不活性ガスと接触する際のポリオール組成物の液温は、30〜50℃であることが好ましく、35〜40℃であることがより好ましい。50℃を超えると内部発熱温度が上昇し、硬質ポリウレタンフォームが焼ける場合がある。また、液温を30℃未満であると、発泡スピード(反応性)の極端な遅延化や原液粘度の上昇による撹拌効率低下等により施工性不良となる場合がある。尚、液温を30〜40℃にすることにより、硬質ポリウレタンフォームの発泡の際の内部発熱温度を15〜20℃程度低減することができる。
ポリオール化合物としては、硬質ポリウレタンフォームないしイソシアヌレートフォーム用のポリオール化合物として公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物を限定なく使用することができる。ポリエーテルポリオール化合物としては、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂肪族アミンポリオール、芳香族アミンポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール等が公知であり、使用可能である。ポリオール化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。併用するポリオール化合物は、単独の開始剤を使用して製造したものを混合してもよく、開始剤を混合して製造したものであってもよい。
脂肪族ポリエーテルポリオールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類、ペンタエリスリトール等の4官能アルコール類、ソルビトール、シュークロース等5官能以上の多価アルコール類から選択される少なくとも1種の低分子量多価アルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加させたポリオール化合物である。
脂肪族ポリエーテルポリオールの水酸基価は、2官能、3官能のポリオール化合物については50〜600mgKOH/gであることが好ましく、4官能以上のポリオール化合物については300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
脂肪族アミンポリオールとしては、アルキレンジアミン系ポリオールや、アルカノールアミン系ポリオールが例示される。これらのポリオール化合物は、アルキレンジアミンやアルカノールアミンを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルの少なくとも1種を開環付加させた末端水酸基の多官能ポリオール化合物である。アルキレンジアミンとしては、公知の化合物が限定なく使用できる。具体的にはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミン等の炭素数が2〜8のアルキレンジアミンの使用が好適である。これらの中でも、炭素数の小さなアルキレンジアミンの使用がより好ましく、特にエチレンジアミン、プロピレンジアミンを開始剤としたポリオール化合物の使用が好ましい。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが例示される。アルキレンジアミンを開始剤としたポリオール化合物の官能基数は4であり、アルカノールアミンを開始剤としたポリオール化合物の官能基数は3であり、これらの混合物では官能基数は3〜4となる。脂肪族アミンポリオールの水酸基価は、300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
芳香族ポリエーテルポリオールは、ヒドロキノン、ビスフェノールA、キシリレングリコール等の芳香族化合物を開始剤として、上記の脂肪族ポリエーテルポリオールなどと同様にして製造する。芳香族ポリエーテルポリオールの水酸基価は300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
芳香族アミンポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルの少なくとも1種を開環付加させた末端水酸基の多官能ポリエーテルポリオール化合物である。開始剤としては、公知の芳香族ジアミンを限定なく使用することができる。具体的には2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が例示される。これらの中でも得られる硬質ポリウレタンフォームの断熱性と強度などの特性が優れている点でトルエンジアミン(2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン又はこれらの混合物)の使用が特に好ましい。芳香族アミンポリオールの官能基数は4であり、水酸基価は300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
ポリエステルポリオールは、グリコールと芳香族ジカルボン酸から構成される。グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−ないし1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量150〜500のポリオキシエチレングリコールが例示される。また芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が例示される。このようなエステルポリオールは、従来一般的に使用されている芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールやジエチレングリコールから構成されるエステルポリオールと同様な製造方法にて製造可能である。
必要に応じて本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物を構成する架橋剤としては、ポリウレタンの技術分野において使用される低分子量多価アルコールが使用可能である。具体的には、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン等が例示される。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造に際しては、上記成分の他に、当業者に周知の触媒、難燃剤、着色剤、酸化防止剤等が使用可能である。
触媒としては、N−アルキルポリアルキレンポリアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(ポリキャット−8)、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、イミダゾール誘導体を使用することが好ましい。また、ポリウレタン分子の構造において難燃性向上に寄与するイソシアヌレート結合を形成する触媒の使用も好ましく、例えば酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩触媒、第4級アンモニウム塩触媒が例示できる。
本発明においては、さらに難燃剤を添加することも好ましい態様であり、好適な難燃剤としては、有機リン酸エステル類が例示される。有機リン酸エステル類は、可塑剤としての作用も有し、従って硬質ポリウレタンフォームの脆性改良の効果も奏することから、好適な添加剤である。またポリオール組成物の粘度低下効果も有する。かかる有機リン酸エステル類としては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が使用可能である。
<硬質ポリウレタンフォーム製造例>
(実施例1〜3)
市販の硬質ポリウレタンフォーム原液(ソフラン−R、ポリオール182−100LC1、イソシアネートS−220NC:東洋ゴム工業製)を使用し、図1〜4に示したフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置を使用して現場発泡法によりフロス法硬質ポリウレタンフォームを作製した。発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分は同じ温度に調整して使用した。また、発泡剤供給装置11における減圧弁22から遮断弁28までを約30〜40℃となる様に加熱して、二酸化炭素ガスの固体化を防止した。尚、表1中のCOガス温度は、発泡剤供給装置11の出口における温度である。COガス流量は、流量計24で測定した値を示す。COガス圧は、ポリオール組成物との混合直前における値を示す。また、二酸化炭素ガスとポリオール組成物の混合位置はAとした。
(比較例1)
比較例1に於いては、図1に示す調節手段16及び制御手段15を使用せず、発泡剤供給装置11を配管27により直接発泡機13に接続した製造装置を使用した。またニードル弁は常時開状態に、ポリオール組成物の液圧と二酸化炭素ガスのガス圧との圧力差により、発泡剤供給装置と発泡機との連動化を図った。尚、表1中のCOガス温度は、無脈動定流ポンプの出口における温度である。COガスの流量は、無脈動定流ポンプを通過した直後の値を示す。COガスの気圧は、ポリオール組成物との混合直前における値を示す。また、二酸化炭素とポリオール組成物の混合位置はAとした。
<評価>
(圧縮強度)
JIS K 7220に準拠して測定した。
(施工性)
注入発泡時に施工開始当初から所定の施工が行えるか否かを目視で評価した。
<評価結果>
実験条件と評価結果を表1に示す。この評価結果より本発明の注入発泡法によれば、発泡剤供給手段と発泡機とのシーケンサー管理により完全連動化が図れ、ポリオール組成物の液圧の変動に応じて二酸化炭素ガスの供給を適時的に行うことができた。その結果、二酸化炭素ガスの安定した供給が可能となり、ポリオール組成物との混合比のバラツキを低減し、良好な施工性にて所定の特性を有する硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができた。これに対し、ポリオール組成物の液圧と二酸化炭素ガスのガス圧との圧力差により発泡剤供給装置と発泡機との連動化を図った比較例では、発泡機の動作停止後も二酸化炭素ガスが約5秒間ポリオール組成物に対し挿入を続けた。その結果、ポリオール組成物との混合比にバラツキが生じ、施工性が低下した。
Figure 0005107662
本発明の実施の一形態に係る硬質ポリウレタンフォームの製造装置の好適な実施形態を示した模式図である。 前記硬質ポリウレタンフォームの製造装置における不活性ガスの発泡剤供給装置の好適な実施態様を示す模式図である。 前記硬質ポリウレタンフォームの製造装置における発泡機の好適な実施態様を示す模式図である。 同図(a)は発泡機13に於ける圧縮用シリンダー近傍の様子を示す説明図であり、同図(b)は圧縮用シリンダーに固定されるプレートを模式的に示す概略図である。
符号の説明
11 発泡剤供給装置
12 ボンベ
13 発泡機
14 ポリオール組成物貯蔵装置
15 制御手段
16 調節手段
17 電磁弁
18 シーケンサー
19 第1ニードル弁
20 第2ニードル弁
21 バルブ
22 減圧弁
23 配管
24 流量計
25 レーザーセンサー
26 配管
27 配管
28 遮断弁
29 逆止弁
30 圧縮用シリンダー
31 ポリオール組成物
32 保圧弁
33 安全弁
34 逆止弁
35 U字配管
36 プレート
37 温度調節装置
39 配管
41 ポリイソシアネート貯蔵装置
42 配管
43 温度調節装置

Claims (3)

  1. 発泡剤として所定圧力に圧縮された不活性ガス、又は液化された不活性ガスを気体状にした不活性ガス気体状態のままで定量供給する発泡剤供給手段と、
    前記不活性ガスとポリオール組成物を混合させて発泡ポリオール組成物とした後、当該発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合して硬質ポリウレタンフォームを吐出する発泡手段とを備えるフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置であって、
    前記発泡剤供給手段は、不活性ガスの圧力を減圧調整する減圧弁と、不活性ガスの流量を調整するニードル弁を有し、
    前記発泡手段は、前記ポリオール組成物を圧縮して供給する為の圧縮用シリンダーを有しており、
    前記発泡手段と発泡剤供給手段との間には、前記不活性ガスの発泡手段への供給を調節する調節手段が設けられ、
    前記調節手段には、前記圧縮用シリンダーの動作を感知して当該調節手段を制御する制御手段が接続されていることを特徴とするフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置。
  2. 前記制御手段はシーケンサーを有し、前記調節手段は開閉弁を有しており、
    前記発泡手段が硬質ポリウレタンフォームを吐出し、前記圧縮用シリンダーが動作している場合には、前記開閉弁を開状態とし、
    前記発泡手段が硬質ポリウレタンフォームを吐出せず、前記圧縮用シリンダーが静止している場合には、開閉弁を閉状態とする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置。
  3. 前記制御手段は、前記圧縮用シリンダーの動作位置を検出するレーザーセンサーを有することを特徴とする請求項2に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造装置。
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