JP5105766B2 - アルカリ蓄電池およびその製造方法ならびに組電池装置 - Google Patents
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Description
Ln(Yを含む希土類元素)、Mg、Ni、Co、Al、Mnを所定のモル比の割合で混合した後、この混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉で1100℃で10時間の熱処理を行って合金溶湯とした。この合金溶湯を公知の方法で鋳型に流し込み、冷却して、水素吸蔵合金のインゴットを作製した。この後、得られた水素吸蔵合金のインゴットを不活性雰囲気中で機械的に粉砕し、篩分けにより400メッシュ〜200メッシュの間に残る水素吸蔵合金粉末を選別した。レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定したところ、質量積分50%にあたる平均粒径は25μmであった。
る。この場合、合金主相の結晶構造がCe2Ni7構造を有し、少なくとも希土類元素、Ni,Mg,Alを含有する水素吸蔵合金a〜eのヒステリシス(Ln(Pa/Pd))は、0.05〜0.21で、CaCu5型結晶構造を主結晶相とする水素吸蔵合金fのヒステリシスの0.01より大きいことが分かる。
上述のようにして得られた水素吸蔵合金粉末(平均粒径は25μm)100質量部に対して、非水溶性結着剤としてのSBR(スチレンブタジエンラテックス)0.5質量部と適量の水(あるいは純水)とともに添加して混練混合し、負極活物質スラリーをそれぞれ作製した。ついで、これらの各負極活物質スラリーをパンチングメタル基板11の両面に塗布して負極活物質層12を形成した。その後、室温で乾燥させた後、厚みが0.25mmで、充填密度が5.0g/cm3になるように圧延し、表面積Y(cm2)が720cm2になるように切断して水素吸蔵合金負極10(a1,b1,c1,d1,e1,f1)をそれぞれ作製した。
多孔度が約85%の多孔性ニッケル焼結基板21を比重が1.75の硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液に浸漬して、多孔性ニッケル焼結基板21の細孔内にニッケル塩およびコバルト塩を保持させた。この後、この多孔性ニッケル焼結基板21を25質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液中に浸漬して、ニッケル塩およびコバルト塩をそれぞれ水酸化ニッケルおよび水酸化コバルトに転換させた。
ついで、ポリプロピレン製不織布からなるセパレータ30を用意した。この後、上述のようにして作製した水素吸蔵合金負極10とニッケル正極20とを用い、これらの間にセパレータ30を介在させて、これらを渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。得られた渦巻状電極群の下部に負極集電体13を抵抗溶接するとともに、渦巻状電極群の上部に正極集電体24を抵抗溶接して渦巻状電極体をそれぞれ作製した。ついで、鉄にニッケルメッキを施した有底円筒形の金属外装缶40内に渦巻状電極体を挿入した後、負極集電体13と金属外装缶40の底部をスポット溶接した。
(1)放電リザーブの測定
ついで、上述のように活性化された各電池A1,B1,C1,D1,E1,F1を用いて、以下のようにして負極の放電リザーブを求めた。この場合、電池を開放して電解液リッチな状態にし、この開放した電池中に参照極(Hg/HgO)を配置する。ついで、正極活物質が完全に放電状態となった後、25℃の温度雰囲において、1Itの放電電流で負極電位が参照極(Hg/HgO)に対して0.3Vになるまで放電させ、このときの放電時間から負極の1It放電時の容量を求めた。この後、10分間放電を休止した後、0.1Itの放電電流で負極電位が参照極(Hg/HgO)に対して0.3Vになるまで放電させ、このときの放電時間から負極の0.1It放電時の容量を求めた。得られた1It放電時の容量と0.1It放電時の容量の和を放電リザーブ量として求め、求めた放電リザーブ量を公称電池容量の比として算出して放電リザーブ((放電リザーブ量/公称電池容量)×100%)として表すと、表2に示す結果となった。
ついで、上述のように活性化された各電池A1,B1,C1,D1,E1,F1を用いて、25℃の温度雰囲で、1Itの充電電流でSOC(State Of Charge :充電深度)の50%まで充電した後、1時間休止した。ついで、5It→10It→15It→20It→25It→30Itの順で放電電流を増加させながら10秒間ずつ放電させた。この後、30分間休止させた後、5It→10It→15It→20It→25It→30Itの順で充電電流を増加させながら10秒間ずつ充電させ、30分間休止させるようにして行った。
2MPa≦Pa≦0.15MPa)で、かつ放出水素平衡圧Pdとのヒステリシス(Ln(Pa/Pd))が0.05〜0.15(0.05≦Ln(Pa/Pd)≦0.15)を満たす水素吸蔵合金a,b,c,dを用いた負極a1,b1,c1,d1を備える必要があるということができる。
ついで、公称電池容量X(Ah)に対する負極表面積Y(cm2)の割合(Y/X)(cm2/Ah)について検討した。そこで、水素吸蔵合金a(Ln0.89Mg0.11Ni3.2Co0.1Al0.2),水素吸蔵合金f(LnNi4.3Co0.6Al0.3Mn0.2)を用いて、表面積Y(cm2)が1020cm2になるように切断して水素吸蔵合金負極a2,f2をそれぞれ作製した。また、水素吸蔵合金a,fを用いて、表面積Y(cm2)が240cm2になるように切断して水素吸蔵合金負極a3,f3をそれぞれ作製した。
ついで、活性化開始電圧について検討した。そこで、上述のようにして作製した水素吸
蔵合金負極a1を用いて電池を作製し、注液後に放置時の電圧がピーク電圧の90%に達した時点で、上述同様な活性化処理(1Itの充電々流でSOCの120%まで充電、1時間休止、70℃の温度雰囲で24時間放置(熟成)、45℃の温度雰囲で1Itの放電々流で電池電圧が0.3Vになるまで放電させ、このような充電→休止→熟成→放電のサイクルを2サイクル繰り返す処理)を行ったものを電池A4とした。また、注液後に放置時の電圧がピーク電圧の100%に達した時点で、上述同様な活性化処理を行ったものを電池A5とした。ついで、これらの電池A4,A5を用いて、上述と同様に、放電リザーブ(%)、アシスト出力(A)、回生出力(A)を求めると、下記の表4に示すような結果が得られた。なお、表4には、電池A1の結果も併せて示している。
ついで、高温サイクル特性について検討した。そこで、電池A1(合金aでY/X=120(cm2/Ah)で活性化開始電圧が60%の負極a1を用いたもの)、電池B1(合金bでY/X=120(cm2/Ah)で活性化開始電圧が60%の負極b1を用いたもの)、電池F1(合金fでY/X=120(cm2/Ah)で活性化開始電圧が60%の負極f1を用いたもの)を用い、これらの電池A1,B1,F1の高温サイクル寿命を以下のようにして求めると、下記の表5に示すような結果が得られた。
ついで、高温貯蔵特性について検討した。そこで、電池A1(合金aでY/X=120(cm2/Ah)で活性化開始電圧がピーク電圧の60%の負極a1を用いたもの)、電池A2(合金aでY/X=170(cm2/Ah)で活性化開始電圧がピーク電圧の60%の負極a2を用いたもの)、電池F1(合金fでY/X=120(cm2/Ah)で活性化開始電圧がピーク電圧の60%の負極f1を用いたもの)を用い、電池F2(合金fでY/X=170(cm2/Ah)で活性化開始電圧がピーク電圧の60%の負極f2を用いたもの)を用い、これらの電池A1,A2,F1,F2の高温貯蔵特性を以下のようにして求めると、下記の表6に示すような結果が得られた。なお、下記の表6には、合金aでY/X=120(cm2/Ah)で、活性化開始電圧がピーク電圧の60%で活性化処理を2回行った負極a6を用いた電池A6の結果も併せて示している。
ついで、自己放電特性について検討した。そこで、電池A2(合金aでY/X=170(cm2/Ah)で活性化開始電圧がピーク電圧の60%の負極a2を用いたもの)、電池F2(合金fでY/X=170(cm2/Ah)で活性化開始電圧がピーク電圧の60%の負極f2を用いたもの)を用い、これらの電池A2,F2の自己放電特性を以下のようにして求めると、下記の表8に示すような結果が得られた。
ついで、上述のように構成される単電池を複数個組み合わせて、アシスト出力(放電特性)および回生出力(回生特性)を向上させるとともに、高温サイクル寿命、高温貯蔵特性を向上させることができる組電池装置を図8に基づいて以下に説明する。ここで、図8に示すように、本発明の組電池装置100は、電源101と、上述したニッケル−水素蓄電池からなる単電池が8個直列接続された電池モジュールを30個直列接続して形成された組電池102とを備えている。
Claims (6)
- コバルト化合物が含有された水酸化ニッケルを正極活物質とするニッケル正極と、水素吸蔵合金を負極活物質とする水素吸蔵合金負極と、アルカリ電解液からなる発電要素を外装缶内に備えたアルカリ蓄電池であって、
公称電池容量X(Ah)に対する前記水素吸蔵合金負極の表面積Y(cm2)の割合Y
/Xが120cm2/Ah(Y/X=120cm2/Ah)以上であるとともに、
前記水素吸蔵合金は合金主相の結晶構造がCe2Ni7構造を有し、かつ少なくとも希土類元素、ニッケル、マグネシウム、アルミニウムを含有し、
前記水素吸蔵合金の40℃での水素吸蔵量(H/M(原子比))が0.5のときの吸蔵水素平衡圧(Pa)が0.02MPa以上で0.15MPa以下(0.02MPa≦Pa≦0.15MPa)で、放出水素平衡圧(Pd)とのヒステリシス(Ln(Pa/Pd))が0.05以上で0.15以下(0.05≦Ln(Pa/Pd)≦0.15)であることを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 前記水素吸蔵合金は前記希土類元素以外は、標準電極電位が−0.8Vよりも卑な遷移元素を含まないことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
- 初期充放電による活性化(コンディショニング)後の前記水素吸蔵合金負極に形成されている放電リザーブH(Ah)の公称電池容量X(Ah)に対する割合H/X(%)が30%以上、50%以下(30%≦H/X≦50%)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルカリ蓄電池。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池の製造方法であって、
前記アルカリ電解液を前記外装缶内に注液した後、電池電圧が放電時ピーク電圧の90%に達する前に充放電を行う充放電工程を備えていることを特徴とするアルカリ蓄電池の製造方法。 - 複数個のアルカリ蓄電池が直列接続された電池モジュールを備えた組電池装置であって、
前記電池モジュールは請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池の複数個
が直列接続されて形成されているとともに、
前記組電池装置は少なくともタイマー手段と電圧検出手段と充電制御手段と放電制御手段とマイクロコンピュータとを備えていて、
前記タイマー手段が充電後の予め設定された所定の経過時間を報知すると前記放電制御手段は予め定められた所定の放電量を放電させるようになされていることを特徴とする組電池装置。 - 前記電圧検出手段が満充電状態の電池電圧の80%に達したことを検出すると、前記充電制御手段は充電を開始するようになされていることを特徴とする請求項5に記載の組電池装置。
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