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JP5197785B2 - 画像処理装置、撮像システム、画像処理システム - Google Patents

画像処理装置、撮像システム、画像処理システム Download PDF

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Description

本発明は、画像処理装置、撮像システム、および画像処理システムに関し、特に、デジタル画像による被写体観察を支援するための技術に関する。
近年、病理分野において、病理診断のツールである光学顕微鏡の代替として、プレパラートに載置された被検試料の撮像と画像のデジタル化によってディスプレイ上での病理診断を可能とするバーチャル・スライド・システムが注目を集めている。バーチャル・スライド・システムを用いた病理診断画像のデジタル化により、従来の被検試料の光学顕微鏡像をデジタルデータとして取り扱うことが可能となる。その結果、遠隔診断の迅速化、デジタル画像を用いた患者への説明、希少症例の共有化、教育・実習の効率化、などのメリットが得られると期待されている。
光学顕微鏡と同等程度の操作をバーチャル・スライド・システムで実現するためには、プレパラート上の被検試料全体をデジタル化する必要がある。被検試料全体のデジタル化により、バーチャル・スライド・システムで作成したデジタルデータをPCやワークステーション上で動作するビューワソフトで観察することができる。被検試料全体をデジタル化した場合の画素数は、通常、数億画素から数十億画素と非常に大きなデータ量となる。
バーチャル・スライド・システムで作成したデータ量は膨大であるが、それゆえ、ビューワで拡大・縮小処理を行うことでミクロ(細部拡大像)からマクロ(全体俯瞰像)まで観察することが可能となり、種々の利便性を提供する。必要な情報を予めすべて取得しておくことで、低倍画像から高倍画像までユーザーが求める解像度・倍率による即時の表示が可能となる。
様々な利便性を提供するバーチャル・スライド・システムであるが、従来の光学顕微鏡観察に対して使い勝手で及んでいない部分も依然として残っている。
その1つが奥行き方向(光学顕微鏡の光軸に沿った方向あるいはプレパラートの観察面に垂直な方向)の観察である。通常、医師は光学顕微鏡で観察する際には、ステージを光軸方向に微動させてプレパラート上の検体内の焦点位置を変えて、組織や細胞の立体構造を把握する。バーチャル・スライド・システムで同様の操作を行う場合には、ある焦点位置での画像を撮像した後、焦点位置を変更し(例えば、プレパラートが置かれたステージを光軸方向に移動させ)再度画像を取得する必要がある。
焦点位置を変えながら撮像を繰り返すことにより得られた複数枚の画像の取り扱い、表示の手法として以下の提案がされている。特許文献1では、焦点位置の異なる複数枚の画像をそれぞれ複数の部分領域に分割し、部分領域毎に深度合成を行うことにより、被写界深度の深いパンフォーカス画像を生成するシステムが開示されている。
特開2005−037902号公報
上述した特許文献1の方法によれば、画像全域について焦点の合った、ボケの少ない画
像が得られるため、1つの画像だけで被写体全体の様子を把握できるという利点がある。しかしながら、このようなパンフォーカス画像は、被写体全体を大まかに観察するのには有用であるものの、被写体の一部を詳細に観察したり、被写体の立体的な構造を把握したりする目的には適していない。多数の画像を深度合成したことにより、奥行き方向の情報(前後関係の情報)が失われてしまっているためである。
本発明はかかる問題に鑑みなされたものであり、デジタル画像を利用した被写体観察において、被写体の奥行き方向の詳細な観察を支援するための技術を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、を備え、前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、前記複数の観察用画像は、第1の観察用画像と該第1の観察用画像よりも被写界深度が深い第2の観察用画像を含み、前記第2の観察用画像のZ方向の合焦範囲が、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲を包含し、且つ、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲よりもZ方向の一方の側と他方の側とに拡大するように、前記第2の観察用画像が生成されることを特徴とする画像処理装置である。
本発明の第2態様は、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、前記Zスタック画像から合成処理の対象となる対象範囲をユーザーに指定させる範囲指定手段と、を備え、前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、且つ、前記範囲指定手段で指定された前記対象範囲の部分についてのみ、前記複数の観察用画像を生成し、前記Zスタック画像における前記対象範囲の部分に前記観察用画像をはめ込んだ画像を表示装置に表示する手段をさらに備えることを特徴とする画像処理装置である。
本発明の第3態様は、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、前記観察用画像を表示装置に表示する画像表示手段と、を備え、前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、前記画像表示手段は、被写界深度の深さが互いに異なる前記複数の観察用画像を空間的に並べて前記表示装置に表示することを特徴とする画像処理装置である。
本発明の第4態様は、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、を備え、前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、複数の画像を時分割で表示するモードと複数の画像を空間的に並べて表示するモードを含む複数の表示モードのうちから、使用する表示モードをユーザーに指定させるモード指定手段と、前記モード指定手段で指定された表示モードに従って、複数の観察用画像を表示装置に表示する手段と、をさらに備えることを特徴とする画像処理装置である。
本発明の第態様は、被写体の異なるZ方向位置を撮像することにより複数のZスタッ
ク画像を生成する顕微鏡装置と、前記顕微鏡装置から前記複数のZスタック画像を取得する前記画像処理装置と、を備える撮像システムである。
本発明の第態様は、被写体の異なるZ方向位置を撮像することにより得られた複数のZスタック画像を格納するサーバと、前記サーバから前記複数のZスタック画像を取得する前記画像処理装置と、を備える画像処理システムである。
本発明の第7態様は、コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、を有し、前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、前記複数の観察用画像は、第1の観察用画像と該第1の観察用画像よりも被写界深度が深い第2の観察用画像を含み、前記第2の観察用画像のZ方向の合焦範囲が、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲を包含し、且つ、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲よりもZ方向の一方の側と他方の側とに拡大するように、前記第2の観察用画像が生成されることを特徴とする画像処理方法である。
本発明の第8態様は、コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、前記Zスタック画像から合成処理の対象となる対象範囲をユーザーに指定させる範囲指定ステップと、を有し、前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、且つ、前記範囲指定ステップで指定された前記対象範囲の部分についてのみ、前記複数の観察用画像を生成し、コンピュータが、前記Zスタック画像における前記対象範囲の部分に前記観察用画像をはめ込んだ画像を表示装置に表示するステップをさらに有することを特徴とする画像処理方法である。
本発明の第9態様は、コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、コンピュータが、前記観察用画像を表示装置に表示する画像表示ステップと、を有し、前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、前記画像表示ステップでは、被写界深度の深さが互いに異なる前記複数の観察用画像を空間的に並べて前記表示装置に表示することを特徴とする画像処理方法である。
本発明の第10態様は、コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、
コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、を有し、前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、コンピュータが、複数の画像を時分割で表示するモードと複数の画像を空間的に並べて表示するモードを含む複数の表示モードのうちから、使用する表示モードをユーザーに指定させるモード指定ステップと、コンピュータが、前記モード指定ステップで指定された表示モードに従って、複数の観察用画像を表示装置に表示するステップと、をさらに有することを特徴とする画像処理方法である。
本発明の第11態様は、前記画像処理方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
本発明によれば、デジタル画像を利用した被写体観察において、被写体の奥行き方向の詳細な観察を容易に行うことができる。
第1の実施形態における撮像システムの装置構成の全体図。 第1の実施形態における撮像装置の機能ブロック図。 深度合成の概念図。 焦点位置固定で被写界深度を変化させる処理の概念図。 第1と第2の実施形態における画像処理の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態における合成処理の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態における表示処理の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態における画像表示画面の例を示す図。 第1の実施形態における設定画面の例を示す図。 第2の実施形態における画像処理システムの装置構成の全体図。 被写界深度固定で焦点位置を変化させる処理の概念図。 第2の実施形態における合成処理の流れを示すフローチャート。 第2の実施形態における表示処理の流れを示すフローチャート。 第2の実施形態における設定画面の例を示す図。 第3の実施形態における画像取得の流れを示すフローチャート。 第3の実施形態における画像処理の流れを示すフローチャート。 第3の実施形態におけるモード指定画面の例を示す図。 第3の実施形態における並列表示モードの画像表示の例を示す図。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(システム構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像システムの装置構成の全体図である。
本実施形態における撮像システムは、撮像装置(顕微鏡装置)101、画像処理装置102、表示装置103から構成され、撮像対象となる検体(被写体)の二次元画像を取得し表示する機能を有するシステムである。撮像装置101と画像処理装置102の間は、専用もしくは汎用I/Fのケーブル104で接続され、画像処理装置102と表示装置103の間は、汎用のI/Fのケーブル105で接続される。
撮像装置101は、光軸方向に焦点位置の異なる複数枚の二次元画像を撮像し、デジタル画像を出力する機能を持つバーチャル・スライド装置である。二次元画像の取得にはCCDやCMOS等の固体撮像素子が用いられる。なお、バーチャル・スライド装置の代わりに、通常の光学顕微鏡の接眼部にデジタルカメラを取り付けたデジタル顕微鏡装置により、撮像装置101を構成することもできる。
画像処理装置102は、撮像装置101から取得した複数枚の原画像から、所望の焦点位置と被写界深度をもつ複数枚の観察用画像を生成し、表示装置103に表示することで、ユーザーによる顕微鏡観察を支援するための装置である。画像処理装置102は、主な機能として、複数の原画像を取得する画像取得機能、これらの原画像から観察用画像を生成する画像生成機能、および観察用画像を表示装置103に表示する画像表示機能を有している。画像処理装置102は、CPU(中央演算処理装置)、RAM、記憶装置、操作部、I/Fなどのハードウェア資源を備えた、汎用のコンピュータやワークステーションで構成される。記憶装置は、ハードディスクドライブなどの大容量情報記憶装置であり、後述する各処理を実現するためのプログラムやデータ、OS(オペレーティングシステム)などが格納されている。上述した各機能は、CPUが記憶装置からRAMに必要なプログラムおよびデータをロードし、当該プログラムを実行することにより実現されるものである。操作部は、キーボードやマウスなどにより構成され、操作者が各種の指示を入力するために利用される。表示装置103は、画像処理装置102が演算処理した結果である複数枚の二次元画像を表示するモニターであり、CRTや液晶ディスプレイ等により構成される。
図1の例では、撮像装置101と画像処理装置102と表示装置103の3つの装置により撮像システムが構成されているが、本発明の構成はこの構成に限定されるものではない。例えば、表示装置が一体化した画像処理装置を用いてもよいし、画像処理装置の機能を撮像装置に組み込んでもよい。また撮像装置、画像処理装置、表示装置の機能を1つの装置で実現することもできる。また逆に、画像処理装置等の機能を分割して複数の装置によって実現してもよい。
(撮像装置の構成)
図2は、撮像装置101の機能構成を示すブロック図である。
撮像装置101は、概略、照明ユニット201、ステージ202、ステージ制御ユニット205、結像光学系207、撮像ユニット210、現像処理ユニット216、プレ計測ユニット217、メイン制御系218、外部インターフェース219から構成される。
照明ユニット201は、ステージ202上に配置されたプレパラート206に対して均一に光を照射する手段であり、光源、照明光学系、および光源駆動の制御系から構成される。ステージ202は、ステージ制御ユニット205によって駆動制御され、XYZの三軸の移動が可能である。光軸方向はZ方向とする。プレパラート206は、観察対象となる組織の切片や塗抹した細胞をスライドグラス上に貼り付け、封入剤とともにカバーグラスの下に固定した部材である。
ステージ制御ユニット205は、駆動制御系203とステージ駆動機構204から構成される。駆動制御系203は、メイン制御系218の指示を受け、ステージ202の駆動制御を行う。ステージ202の移動方向、移動量などは、プレ計測ユニット217によって計測した検体の位置情報および厚み情報(距離情報)と、ユーザーからの指示とに基づいて決定される。ステージ駆動機構204は、駆動制御系203の指示に従い、ステージ202を駆動する。
結像光学系207は、プレパラート206の検体の光学像を撮像センサ208へ結像するためのレンズ群である。
撮像ユニット210は、撮像センサ208とアナログフロントエンド(AFE)209から構成される。撮像センサ208は、二次元の光学像を光電変換によって電気的な物理量へ変える一次元もしくは二次元のイメージセンサであり、例えば、CCDやCMOSが用いられる。一次元センサの場合、走査方向へスキャンすることで二次元画像が得られる。撮像センサ208からは、光の強度に応じた電圧値をもつ電気信号が出力される。撮像画像としてカラー画像が所望される場合は、例えば、Bayer配列のカラーフィルタが取り付けられた単板のイメージセンサを用いればよい。
AFE209は、撮像センサ208から出力されたアナログ信号をデジタル信号へ変換する回路である。AFE209は後述するH/Vドライバ、CDS、アンプ、AD変換器およびタイミングジェネレータによって構成される。H/Vドライバは、撮像センサ208を駆動するための垂直同期信号および水平同期信号を、センサ駆動に必要な電位に変換する。CDS(Correlated double sampling)は、固定パターンのノイズを除去する二重相関サンプリング回路である。アンプは、CDSでノイズ除去されたアナログ信号のゲインを調整するアナログアンプである。AD変換器は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。システム最終段での出力が8ビットの場合、後段の処理を考慮して、AD変換器はアナログ信号を10ビットから16ビット程度に量子化されたデジタルデータへ変換し、出力する。変換されたセンサ出力データはRAWデータと呼ばれる。RAWデータは後段の現像処理ユニット216で現像処理される。タイミングジェネレータは、撮像センサ208のタイミングおよび後段の現像処理ユニット216のタイミングを調整する信号を生成する。
撮像センサ208としてCCDを用いる場合、上記AFE209は必須となるが、デジタル出力可能なCMOSイメージセンサの場合は、上記AFE209の機能をセンサに内包することになる。また、不図示ではあるが、撮像センサ208の制御を行う撮像制御部が存在し、撮像センサ208の動作制御や、シャッタースピード、フレームレートやROI(Region Of Interest)など動作タイミングの制御も合わせて行う
現像処理ユニット216は、黒補正部211、ホワイトバランス調整部212、デモザイキング処理部213、フィルタ処理部214、γ補正部215から構成される。黒補正部211は、RAWデータの各画素から、遮光時に得られた黒補正データを減算する処理を行う。ホワイトバランス調整部212は、照明ユニット201の光の色温度に応じて、RGB各色のゲインを調整することによって、望ましい白色を再現する処理を行う。具体的には、黒補正後のRAWデータに対しホワイトバランス補正用データが加算される。単色の画像を取り扱う場合はホワイトバランス調整処理は不要となる。
デモザイキング処理部213は、Bayer配列のRAWデータから、RGB各色の画像データを生成する処理を行う。デモザイキング処理部213は、RAWデータにおける周辺画素(同色の画素と他色の画素を含む)の値を補間することによって、注目画素のRGB各色の値を計算する。またデモザイキング処理部213は、欠陥画素の補正処理(補完処理)も実行する。なお、撮像センサ208がカラーフィルタを有しておらず、単色の画像が得られている場合、デモザイキング処理は不要となる。
フィルタ処理部214は、画像に含まれる高周波成分の抑制、ノイズ除去、解像感強調を実現するデジタルフィルタである。γ補正部215は、一般的な表示デバイスの階調表現特性に合わせて、画像に逆特性を付加する処理を実行したり、高輝度部の階調圧縮や暗部処理によって人間の視覚特性に合わせた階調変換を実行したりする。本実施形態では形態観察を目的とした画像取得のため、後段の合成処理や表示処理に適した階調変換が画像に施される。
一般的な現像処理機能としては、RGB信号をYCC等の輝度色差信号へ変換する色空間変換や大容量の画像データを圧縮する処理も含まれるが、本実施形態ではRGBデータを直接使用し、かつデータ圧縮を行わないものとする。
また、不図示ではあるが、結像光学系207を構成するレンズ群の影響によって撮像エリア内の周辺部の光量が落ちることを補正する周辺減光補正の機能を搭載しても良い。あるいは、結像光学系207で生じる各種収差の内、結像の位置ずれを補正する歪曲収差補正、色毎の像の大きさの違いを補正する倍率色収差補正など、各種光学系の補正処理機能を搭載しても良い。
プレ計測ユニット217は、プレパラート206上の検体の位置情報、所望の焦点位置までの距離情報、および検体厚みに起因する光量調整用のパラメータを算出するためのプレ計測を行うユニットである。本計測の前にプレ計測ユニット217によって情報を取得することで、無駄のない撮像を実施することが可能となる。また、複数枚の画像を撮像する際の撮像開始位置と終了位置および撮像間隔の指定もプレ計測ユニット217が生成する情報に基づいて行われる。
メイン制御系218は、これまで説明してきた各種ユニットの制御を行う機能である。メイン制御系218および現像処理ユニット216の機能は、CPUとROMとRAMを有する制御回路により実現される。すなわち、ROM内にプログラムおよびデータが格納されており、CPUがRAMをワークメモリとして使いプログラムを実行することで、メイン制御系218および現像処理ユニット216の機能が実現される。ROMには例えばEEPROMやフラッシュメモリなどのデバイスが用いられ、RAMには例えばDDR3などのDRAMデバイスが用いられる。
外部インターフェース219は、現像処理ユニット216によって生成されたRGBのカラー画像を画像処理装置102に送るためのインターフェースである。撮像装置101
と画像処理装置102とは、光通信のケーブルにより接続される。あるいは、USBやGigabitEthernet(登録商標)等のインターフェースが使用される。
本計測での撮像処理の流れを簡単に説明する。プレ計測により得られた情報に基づき、ステージ制御ユニット205が、ステージ202上の検体の位置決めを行い、検体に対する撮像の位置決めを行う。照明ユニット201から照射された光は、検体を透過し、結像光学系207によって撮像センサ208の撮像面に結像する。撮像センサ208の出力信号はAFE209によりデジタル画像(RAWデータ)に変換され、そのRAWデータは現像処理ユニット216によりRGBの二次元画像に変換される。このようにして得られた二次元画像は画像処理装置102へ送られる。
以上の構成および処理によって、ある焦点位置における検体の二次元画像を取得することができる。ステージ制御ユニット205によって光軸方向(Z方向)に焦点位置をシフトさせながら、上記の撮像処理を繰り返すことにより、焦点位置が異なる複数枚の二次元画像を取得することができる。ここでは、本計測の撮像処理で得られる各々の二次元画像をZスタック画像又は原画像と称す。
なお、本実施形態においては、単板方式のイメージセンサでカラー画像を取得する例を説明したが、RGB別の三つのイメージセンサによりカラー画像を取得する三板方式を用いてもよい。あるいは、一つのイメージセンサと三色の光源を用い、光源色を切り替えながら三回の撮像を行うことによってカラー画像を取得する三回撮像方式を用いてもよい。
(深度合成)
図3は、深度合成の概念図である。図3を用いて深度合成処理の概要を説明する。
画像501〜507は7枚のZスタック画像であり、3次元的に異なる空間位置に複数の観察対象が含まれる被写体に対して、焦点位置を光軸方向(Z方向)に順次変更しながら7回撮像を行うことで得られたものである。508〜510は取得された画像501中に含まれる観察対象を示す。観察対象508は画像503の焦点位置ではピントが合うが、画像501の焦点位置ではボケた像となる。そのため、画像501では観察対象508の構造把握は困難である。観察対象509は画像502の焦点位置でピントが合うが、画像501の焦点位置では若干ボケた像となる。画像501では観察対象509の構造把握は十分ではないものの、可能な状況にある。観察対象510は画像501の焦点位置でピントが合うため、画像501により構造把握が十分に行える。
図3において、黒で塗りつぶされた観察対象は合焦するもの、白抜きの観察対象は若干ボケるもの、破線で示した観察対象はボケるもの、をそれぞれ表している。すなわち、画像501、502、503、504、505、506、507において、観察対象510、511、512、513、514、515、516にそれぞれピントが合う。なお、図3に示す例では、観察対象510〜516は水平方向に位置が異なっているものとして説明する。
画像517は、画像501〜507における焦点の合った観察対象510〜516の領域をそれぞれ切り出し、それらの合焦領域を合成して得られた画像を示している。上記のように複数の画像の合焦領域をつなぎ合わせることにより、画像の全領域でピントの合った深度合成画像を取得することができる。このようにデジタル画像処理によって被写界深度の深い画像を生成する処理は焦点合成(フォーカス・スタッキング)とも呼ばれる。
(焦点固定で被写界深度を変化させる処理)
図4は、焦点位置を固定したまま被写界深度を変化させるという観察の仕方をバーチャ
ル・スライド装置にて実現するための方法を示す概念図である。図4を用いて本実施形態の特徴である深度合成処理の基本的な考え方を説明する。
焦点位置601〜607は図3における画像501〜507に対応するものであり、601から607へと同じピッチで焦点位置が光軸方向にシフトしている。以下、焦点位置604を基準(固定)にして深度合成を行う例を説明する。
608、617、619、621は深度合成処理が行われた後の被写界深度を示している。本例ではそれぞれのZスタック画像の被写界深度は608で示される範囲である。画像609は、焦点位置604のZスタック画像、すなわち深度合成が行われていない画像を示している。610〜616は、それぞれ、焦点位置601〜607で最も焦点の合う領域を示している。画像609では、領域613に焦点が合い、領域612、614は若干ボケ、それ以外の領域610、611、615、616は完全にボケている。
617は608に比べ深い被写界深度を示している。合成画像618は、617の範囲に含まれる3枚のZスタック画像から深度合成処理が行われた結果である。合成画像618では、画像609に比べて焦点が合っている領域が増えており、領域612〜614の範囲で焦点が合っている。同様に、619、621に示すように合成処理に使用するZスタック画像の枚数を増やすにつれて、それぞれに対応する合成画像620、622では焦点の合っている領域が広がっていく。合成画像620では領域611〜615の範囲が、合成画像622では領域610〜616の範囲がそれぞれ焦点の合っている領域である。
上記のような画像609、618、620、622を作成し、これらの画像を自動若しくはユーザー操作により切り替えて表示すれば、焦点位置(この例では604)を固定したまま被写界深度を深くしたり浅くしたりする観察が実現できる。なお、図4の例では、焦点位置を中心にして上下に等しく被写界深度を拡大/縮小させているが、焦点位置の上側又は下側の被写界深度のみ拡大/縮小したり、上側と下側を異なる割合で拡大/縮小したりすることもできる。
(画像処理装置の動作)
次に、本実施形態における画像処理装置102の動作を、図5〜図9を用いて説明する。なお、以下に述べる処理は、特にことわりの無いかぎり、画像処理装置102のCPUがプログラムを実行することにより実現されるものである。
図5は、メイン処理のフローを示している。処理が開始されるとステップS701において、画像処理装置102が範囲指定画面を表示装置103に表示する。範囲指定画面では、深度合成処理の対象とする水平方向(XY方向)の範囲の指定が行われる。図8Aは、範囲指定画面の一例である。画像表示ウィンドウ1001の領域1002には、ある焦点位置で撮影されたZスタック画像の全体が表示される。ユーザーは、マウスのドラッグ若しくはキーボードからの数値入力などにより、対象範囲1003のXY方向の位置およびサイズを指定することができる。例えば、ユーザーが、領域1002に表示された検体画像の中で、深さ方向(Z方向)の詳細観察が必要と判断した部分を対象範囲1003に指定する、という使い方が想定される。画像全体について深さ方向の観察が必要な場合は、画像の全範囲を指定すればよい。なお、1004は操作終了ボタンを示しており、このボタン1004が押下されることにより画像表示ウィンドウ1001が閉じられる。
範囲指定が完了すると、ステップS702において、画像処理装置102は、必要な数の焦点位置におけるZスタック画像が撮像済みか否か判定する。撮像済みでない場合、画像処理装置102は、ステップS703において、撮像開始位置と終了位置、撮像ピッチ等の撮像パラメータを撮像装置101に送信し、撮像を要求する。ステップS704では
、撮像装置101が、指定された撮像パラメータに従って各焦点位置での撮像を行い、得られたZスタック画像を画像処理装置102に送信する。画像は画像処理装置102内の記憶装置に保存される。
次に、画像処理装置102は、深度合成処理の対象となる複数のZスタック画像を記憶装置から取得する(ステップS705)。また、画像処理装置102は、深度合成の設定画面を表示装置103に表示し、基準となる焦点位置および被写界深度の範囲等のパラメータ指定をユーザーに行わせる(ステップS706)。
図9は、設定画面の一例である。1101は、設定ウィンドウを示している。1102は、深度合成処理の基準位置となる焦点位置を設定するためのエディットボックスである。1103は、前記基準位置から上側の合成範囲ステップを設定するためのエディットボックスである。1104は、前記基準位置から下側の合成範囲ステップを設定するためのエディットボックスである。図9においては、上側の合成ステップが2、下側の合成ステップが1、基準位置が6、焦点位置の総数が9の場合の例を示している。深度合成処理時の被写界深度は、設定されたステップ値の整数倍で変化させる。つまり、図9の設定例では、最小合成範囲は位置4〜位置7、最大合成範囲は位置2〜位置8であり、2枚の深度合成画像が生成されることとなる。
1105は、基準位置および合成範囲をグラフィカルに表示する領域である。1102で指定された基準位置がわかるように、基準位置の線1106のみ、他の画像(焦点位置)を示す線に比べて太さ、長さ、色などを変えた強調表示が行われる。1107は被写界深度の最小範囲(最小合成範囲)を示し、1108は被写界深度の最大範囲(最大合成範囲)を示している。
1109は基準位置における画像を示している。この例では、焦点位置6の画像のうち、ステップS701で指定された対象範囲内の部分画像のみが表示されている。このように部分画像1109を表示することにより、ユーザーは、注目する観察対象が対象範囲内に含まれているかどうかや各観察対象のボケ具合を確認しながら、深度合成処理のパラメータを指定することが可能となる。1110は合成処理開始ボタンである。
なお、図9は設定画面の一具体例を示すものにすぎず、少なくとも基準位置と被写界深度の変化範囲を指定できさえすれば、どのような形式の設定画面を用いてもよい。例えば、エディットボックスではなくプルダウンリストやコンボボックスなどにより、基準位置やステップ値を選択できるようにしてもよい。また、1105のようなGUI上で、マウスのクリックにより基準位置や被写界深度の範囲を指定させる方法を用いてもよい。
設定入力後、ユーザーが合成処理開始ボタン1110を押下すると、画像処理装置102は設定ウィンドウ1101内で設定されたパラメータを確定し、ステップS707の合成処理を開始する。合成処理のフローについては、後ほど図6を参照して詳しく説明する。
ステップS708では、画像処理装置102が合成処理後の画像の表示方法をユーザーに指定させる。表示方法は、ユーザーがマウスやキーボード等を操作して表示画像を切り替える方法(ユーザー切替)と、所定の時間間隔で自動的に表示画像を切り替える方法(自動切替)とがあり、ユーザーはいずれかの方法を選択できる。なお、自動切替の場合の切り替えの時間間隔は、予め定められた固定値を用いてもよいし、ユーザーに指定させるようにしてもよい。ステップS709においては、画像処理装置102は、ステップS708で設定された表示方法にて、合成処理後の画像の表示処理を行う。この表示処理のフローについては、後ほど図7を参照して詳しく説明する。
なお、図5の例においては、深度合成処理の設定(ステップS706)は画像取得(ステップS705)より後に行われているが、例えば、深度合成処理の範囲指定(ステップS701)の直後に行ってもよい。また、図5の処理フローとは別にパラメータの設定を行っておき、画像処理装置102が記憶装置に保存されたパラメータを必要なタイミングで読み出すようにしてもよい。
(ステップS707:合成処理)
次に図6を用いてステップS707の合成処理フローの詳細を説明する。
画像処理装置102は、ステップS801において合成処理の対象となる画像群から任意の画像を選択する。続いて、画像処理装置102は、選択された画像を記憶装置から読み込み(ステップS802)、その画像を所定サイズのブロックに分割し(ステップS803)、分割したブロック毎にコントラストの度合いを示す値を算出する(ステップS804)。コントラスト検出処理の具体例としては、ブロック毎に離散コサイン変換を行って周波数成分を求め、周波数成分の中で高周波成分の総和を求め、コントラストの度合いを示す値として採用する方法が挙げられる。ステップS805では、画像処理装置102は、ステップS706で指定された最大合成範囲に含まれる画像全てに対して、コントラスト検出処理が実行されたか否かを判断する。コントラスト検出処理が終わっていない画像が残っている場合には、画像処理装置102は、未処理の画像を次に処理する画像として選択し(ステップS806)、ステップS802〜S804の処理を実行する。ステップS805において全ての画像に対してコントラスト検出処理が終了していると判断されると、処理はステップS807に移行する。
ステップS807〜S811は、被写界深度の異なる複数の合成画像を生成する処理である。例えば、図9の例では、被写界深度1107と1108の2枚の合成画像が生成されることとなる。
まずステップS807において、画像処理装置102は、最初に合成処理を行う被写界深度を決める。そして、画像処理装置102は、決定された被写界深度に含まれる複数の画像の中から、ブロック毎にコントラストが最も高い画像を選択し(ステップS808)、ブロック毎に選ばれた複数の部分画像を繋ぎ合せて1枚の合成画像を生成する(ステップS809)。ステップS810では、画像処理装置102は、指定された全ての被写界深度に対して合成処理が終了しているか否かを判断する。画像処理装置102は、合成処理が終了していない被写界深度が存在する場合には、ステップS808、S809の処理を繰り返す(ステップS810、S811)。
上述の説明では、空間周波数に基づいてコントラストの度合いを算出する例を示したが、ステップS804の処理はこれに限るものではい。例えば、エッジ検出フィルタを用いてエッジ検出を行い、得られたエッジ成分をコントラストの度合いとしても良い。あるいは、ブロック内に含まれる輝度値の最大値および最小値を検出し、最大値と最小値の差をコントラストの度合いとしても良い。他にも、コントラスト検出に対しては、既知の様々な方法を適用することが可能である。
(ステップS709:表示処理)
次に図7を用いてステップS709の表示処理フローの詳細を説明する。
画像処理装置102は、まずステップS901において、最初に表示する画像を選択する。例えば、被写界深度が最も浅い画像、あるいは、被写界深度が最も深い画像が、最初に表示する画像として選択される。そして、画像処理装置102は、選択された画像を表
示装置103に表示し(ステップS902)、前述のステップS708で指定された表示方法の設定を読み込む(ステップS903)。なお、図7の例においては、表示方法の取得ステップS903はステップS902より後に行われているが、例えば、選択画像の表示ステップS902の前に表示方法の取得を行ってもよい。
ステップS904では、画像処理装置102は、指定された表示方法がユーザー切替(ユーザー操作による表示画像の切り替え)か自動切替かを判別し、ユーザー切替の場合はステップS905へ、自動切替の場合はステップS911へ処理を移行する。
(1)ユーザー切替
ステップS905では、画像処理装置102はユーザーによる操作が行われたか否かの判別を行う。操作が無いと判断された場合はステップS905にて待機状態となる。操作が行われたと判断された場合、画像処理装置102は、マウスによるホイール操作がされたか否かを判別する(ステップS906)。ホイール操作が行われたと判断された場合、画像処理装置102は、UP操作かDOWN操作かを判別し(ステップS907)、UP操作の場合は表示画像を被写界深度が一段階深い画像へ切り替える(ステップS908)。DOWN操作の場合、画像処理装置102は、表示画像を被写界深度が一段階浅い画像へと切り替える(ステップS909)。なお、ここではホイール操作に応答して被写界深度を一段階ずつ切り替える例を示したが、マウスホイールの所定時間あたりの回転量を検出し、回転量に応じて被写界深度の変化量を変えてもよい。
ステップS906にて、マウスホイール以外の操作がされたと判断された場合、画像処理装置102は、終了操作がされたか否かを判別する(ステップS910)。終了操作がされなかったと判別した場合、ステップ905へ進み待機状態となる。
(2)自動切替
ユーザー切替では、ユーザー操作にしたがって表示画像が切り替えられるのに対し、自動切替では、所定の時間間隔(tとする。)で自動的に表示画像が切り替わる。
ステップS911では、画像処理装置102は、現在の選択画像を表示(ステップS902)から、所定時間tが経過したかどうかを判断する。所定時間tが経過していないと判断された場合は、ステップS911にて待機状態となる。所定時間tが経過していたと判断された場合、画像処理装置102は、ステップS912にて、次に表示する被写界深度の画像を選択する。そして、ステップS902に戻り、表示画像が切り替わる。この表示切替は、ユーザーにより終了操作が行われるまで継続する(ステップS913)。
なお、画像の選択順としては、例えば、被写界深度が最も浅い画像から連続的に被写界深度が深い画像に切り替わっていくなどの方法がある。この場合、被写界深度が最も深い画像を表示して次に選択する画像が無くなった際には、最初に表示を行った被写界深度が最も浅い画像に戻るように、表示切替をループさせてもよい。あるいは、次に選択すべき被写界深度の画像が無くなった際には、切り替え順序を反転させることで、被写界深度が最も深い画像と最も浅い画像の間で表示切替を往復させてもよい。また、次に選択すべき被写界深度の画像が無くなった場合には表示の切り替えを中止して待機状態となり、マウスクリックなどのユーザーの指示により最初から同じ表示を開始する方法などもある。更に、最初に被写界深度が最も深い画像から連続的に被写界深度が浅くなる方向に連続的に表示画像を切り替えてもよい。他にも、さまざまな表示方法が適用可能である。
図8A〜図8Cは、被写界深度が異なる画像の表示例を示している。本実施形態では、範囲指定で用いた画像表示ウィンドウ1001を用いて画像の切り替え表示を行うことができる。図8Aは、被写界深度が最も浅い画像、すなわち図9の基準位置6における画像
の例である。図8Bは、被写界深度が一段階深い画像、すなわち焦点位置4〜7の4枚の画像から生成された合成画像の例である。図8Cは、被写界深度がさらに一段階深い画像、すなわち焦点位置2〜8の7枚の画像から生成された合成画像の例である。図8A、図8B、図8Cの順に、ピントの合っている観察対象が増えていることが分かる。なお、被写界深度が切り替わるのは、範囲指定された領域1003内の画像部分だけであり、それ以外の部分は基準位置6の画像のまま変化しない。
以上述べた構成によれば、ユーザーは、注目する部分に焦点を合わせたまま周囲の様子を変化させるといった観察を極めて容易に行うことができる。これにより、ユーザーは注目する部分(例えば、組織や細胞等)の2次元的な構造だけでなく3次元的な構造も容易に把握することが可能となる。また、被写界深度を変化させる範囲を指定する(絞り込む)ことができるため、高解像かつ大サイズの画像であっても高速な処理が可能となる。また、1つの表示画像の中で被写界深度の深い部分(領域1003)と浅い部分(領域1003以外の部分)を混在表示できることを利用すれば、従来の光学顕微鏡では不可能であった、3次元的観察と2次元的観察を組み合わせたユニークな観察手法も可能となる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、焦点位置を固定したまま被写界深度を変化させる観察方法を実現するための構成を示したが、第2の実施形態では、被写界深度を固定したまま焦点位置を変化させる観察方法を実現するための構成を示す。
(システム構成)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムの装置構成の全体図である。
本実施形態における画像処理システムは、画像サーバ1201、画像処理装置102、表示装置103から構成される。第1の実施形態では、画像処理装置102は撮像装置101から画像を取得したのに対し、本実施形態では、画像サーバ1201から画像を取得する点が異なる。画像サーバ1201と画像処理装置102の間は、ネットワーク1202を介して、汎用I/FのLANケーブル1203で接続される。画像サーバ1201はバーチャル・スライド装置により撮像されたZスタック画像を保存する大容量の記憶装置を備えたコンピュータである。画像処理装置102および表示装置103は第1の実施形態のものと同様である。
図10の例では、画像サーバ1201と画像処理装置102と表示装置103の3つの装置により画像処理システムが構成されているが、本発明の構成はこの構成に限定されるものではない。例えば、表示装置が一体化した画像処理装置を用いてもよいし、画像処理装置の機能を画像サーバに組み込んでもよい。また画像サーバ、画像処理装置、表示装置の機能を1つの装置で実現することもできる。また逆に、画像サーバや画像処理装置の機能を分割して複数の装置によって実現してもよい。
(被写界深度固定で焦点位置を変化させる処理)
図11は、被写界深度を固定したまま焦点位置(実際は深度合成の基準位置)を変化させるという観察の仕方をバーチャル・スライド装置にて実現するための方法を示す概念図である。図11を用いて本実施形態の特徴である深度合成処理の基本的な考え方を説明する。
焦点位置1301〜1307は図3における画像501〜507に対応するものであり、1301から1307へと同じピッチで焦点位置が光軸方向にシフトしている。以下、深度合成処理によって3枚分の画像に相当する被写界深度をもつ合成画像を生成する例を
説明する。
画像1309は基準位置を1302、被写界深度を1308とした場合の深度合成処理により生成された合成画像である。画像1309では、1313、1314、1315の3つの領域において焦点が合っている。
画像1317は基準位置を1303、被写界深度を1316とした場合の深度合成処理により生成された合成画像である。画像1317は、画像1309と被写界深度は同じであるが、基準となる焦点位置が異なる。その結果、画像1317と画像1309とでは、焦点が合っている領域の位置が変化する。画像1317では、画像1309において焦点が合っていた領域1315では焦点があっておらず、代わりに画像1309において焦点が合っていなかった領域1312において焦点が合っている。
画像1319は基準位置を1304、被写界深度を1318とした場合の深度合成処理により生成された合成画像である。また、画像1321は基準位置を1305、被写界深度を1320とした場合の深度合成処理により生成された合成画像である。画像1319では、焦点の合っている領域は1311〜1313であり、画像1321では、焦点の合っている領域は1310〜1312である。
このような合成画像1309、1317、1319、1321を作成し、これらの画像を自動若しくはユーザー操作により切り替えて表示すれば、オリジナル画像よりも深い被写界深度で、焦点位置を変化させながらの観察が実現できる。
顕微鏡装置は被写界深度が浅く、焦点位置から光軸方向に少しずれただけでもボケてしまうため、注目する領域が深さ方向にある程度の広がりをもつ場合には観察が困難となる。この点、上記方法により被写界深度を所望の深度に拡大することにより、1枚の表示画像だけで、注目する領域全体に焦点が合った状態での観察が可能になる。また、焦点位置を光軸方向に移動させながら順次閲覧する際にも、被写界深度が浅いと焦点位置を少し変化させるだけでも被写体がすぐにボケてしまうため、深さ方向に隣接する画像間の関連が失われやすい。この点、上記方法によれば、合成画像同士の被写界深度の範囲が重なりを有するため、画像切替にともなう合焦状態の変化が緩やかになり、深さ方向に隣接する画像間の関連が把握しやすくなる。更に、被写界深度を所望の深度に限定して拡大させることにより、注目する被写体の周囲ではボケが残ることになる。注目する被写体の周辺のボケを残すことで奥行き感を得ることが可能になり、注目する被写体の立体感を感じながら画像を閲覧することが可能になる。
なお、図11における例では、合成処理時に使用される画像数(被写界深度の範囲に含まれる画像数)と、焦点の合っている領域とが同数の3である例を示した。しかし、一般的にはこの数は一致するとは限らず、焦点の合っている領域の数は基準位置毎に変化する。また、図11においては隣り合う領域に移動するように、焦点の合っている領域が変化してゆく例を示したが、実際の結果はこれに限るものではない。例えば、被写体の状態、撮像時の焦点位置、あるいは設定する被写界深度に応じて焦点の合っている領域の状況は異なる。
(画像処理装置の動作)
本実施形態における画像処理装置102の動作を、図12〜図14を用いて説明する。なお、メイン処理のフローは、第1の実施形態で述べた図5のものと同様である。ただし、本実施形態では、図5におけるステップS702の判定は画像サーバ1201中に撮像された画像が存在するか否かの判定となる。また、ステップS704の保存先は画像サーバ1201となる。以下、第1の実施形態と異なる処理について詳しく説明する。
(S706:深度合成処理の設定)
図14は本実施形態における深度合成処理のパラメータを設定するための設定画面の一例である。
1601は、設定ウィンドウを示している。1602は、基準位置から上側の深度合成範囲を設定するためのエディットボックスである。1603は、基準位置から下側の深度合成範囲を設定するためのエディットボックスである。1604は、確認用に表示する画像(1608〜1610)の基準位置を設定するためのエディットボックスである。図14においては、上側の合成範囲が1、下側の合成範囲が2、画像確認用の基準位置が3の場合の例を示している。この場合、基準位置の画像を含む4枚の画像から合成画像が生成されることになる。
1605は、1602〜1604で指定された内容をグラフィカルに表示する領域である。画像確認用の基準位置が容易にわかるように、その基準位置の線1606のみ、他の画像(焦点位置)を示す線に比べて太さ、長さ、色などを変えた強調表示が行われる。1607は、焦点位置3を基準としたときの被写界深度の範囲を示している。
確認用に表示される画像1608、1609、1610は、それぞれ、焦点位置2、3、5における画像である。ステップS701で指定された範囲内の領域が表示されている。このように確認用の画像を表示することにより、注目する被写体全体に焦点が合うかどうかを確認しながら、合成範囲を指定することが可能となる。
なお、図14は設定画面の一具体例を示すものにすぎず、少なくとも合成範囲を指定できさえすれば、どのような形式の設定画面を用いてもよい。例えば、エディットボックスではなくプルダウンリストやコンボボックスなどにより、合成範囲等を選択できるようにしてもよい。また、1605のようなGUI上で、マウスのクリックにより合成範囲等を指定させる方法を用いてもよい。
設定入力後、ユーザーが合成処理開始ボタン1610を押下すると、画像処理装置102は設定ウィンドウ1601内で設定されたパラメータを確定し、ステップS707の合成処理を開始する。
(ステップS707:合成処理)
図12は図11に示す合成処理のフローを示すものであり、本実施形態におけるステップS707の詳細な内容を示している。図12は第1の実施形態における合成処理の詳細フローである図6に対応するものであり、同様の項目には同じ符号を付し説明は省略する。
ステップS801からステップS806までの処理は、第1の実施形態と同様に進められる。画像処理装置102は、ステップS1401において最初に合成処理を行う焦点位置(基準位置)を決めると、第1の実施形態と同様の方法で合成画像を生成する(ステップS808、S809)。ステップS1402では、画像処理装置102は、指定された全ての焦点位置に対して合成処理が終了しているか否かを判断し、未処理の焦点位置が存在する場合には、ステップS808、S809の処理を繰り返す(ステップS1403)。
なお、前述の説明ではステップS1402において、全ての焦点位置に対し合成処理を行うようにしている。しかし、全ての焦点位置に対して合成処理を行うようにした場合、焦点位置の上限あるいは下限において合成処理に必要な画像が不足し、指定した被写界深
度の範囲で合成処理が出来ない場合がある。そこで、指定された被写界深度の範囲で合成処理を行う事が可能な焦点位置の画像に対してのみ合成処理を行うようにしてもよい。あるいは、合成処理を行う焦点位置の範囲をユーザーに指定させる等さまざまな方法が適用可能である。
(ステップS709:表示処理)
図13は、本実施形態における画像の表示処理の詳細フローである。図13は第1の実施形態における画像の表示処理の詳細フローである図7に対応するものであり、同様の項目には同じ符号を付し説明は省略する。
画像処理装置102は、まずステップS1501において、最初に表示する画像を選択する。例えば、全体画像の焦点位置に最も近い画像、あるいは、全体画像の焦点位置から最も遠い画像が、最初に表示する画像として選択される。その後、第1の実施形態と同じように選択画像が表示され、指定された表示方法に従ってユーザー切替または自動切替が実行される。ユーザー切替においては、第1の実施形態ではマウスホイールのUP/DOWNで被写界深度を拡大/縮小したのに対し、本実施形態では、UPで基準位置を上に移動し(ステップS1502)、DOWNで基準位置を下に移動する(ステップS1503)。また、自動切替においては、第1の実施形態では被写界深度を切り替えたのに対し、本実施形態では基準位置を上もしくは下に順に移動する(ステップS1504)。それ以外の処理については、第1の実施形態のものと同様である。
以上述べた構成によれば、複数の焦点位置において所望の被写界深度で深度合成を行うことで得た複数の合成画像を観察することが可能となる。ユーザーは、被写界深度の範囲を拡大した複数の合成画像を観察することができ、複数のオリジナル画像(Zスタック画像)をそのまま観察する場合と比べ、検体の深さ方向(Z方向)の構造を容易に把握することが可能となる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態の画像処理装置102の特徴の一つは、上述の実施形態において説明した合成方法を選択的に実行して合成画像を取得可能であることである。また本実施形態の画像処理装置102の特徴の一つは、上述の実施形態において説明した表示方法、および後述する他の表示方法を選択的に実行することである。以下、これらの点を中心に説明する。
図15は本実施形態における画像取得の流れを示すフローである。画像処理装置102は、ステップS1701において、ユーザーに画像取得モードを選択させる。画像の取得先としては、画像処理装置102内のローカルの記憶装置、画像サーバ1201、撮像装置101のいずれかを選択可能である。
ローカルの記憶装置が選択された場合には(ステップS1702のYes)、画像処理装置102は、自装置内の記憶装置から必要な画像を取得し、処理を終了する(ステップS1703)。画像サーバ1201が選択された場合には(ステップS1704のYes)、画像処理装置102は、ネットワークを介して画像サーバ1201から必要な画像を取得し、処理を終了する(ステップS1705)。撮像装置101が選択された場合には(ステップS1704のNo)、画像処理装置102は撮像のパラメータ及びリクエストを撮像装置101に送信して撮像を行わせ、その結果得られた画像を取得する(ステップS1706)。
なお、画像取得方法は図15に示す内容に限定されるものではない。例えば、画像取得先の選択肢は、画像処理装置102、画像サーバ1201、撮像装置101のうちの2つ
でもよい。あるいは、専用線で接続されたストレージ、メモリカード等の記録媒体、他のコンピュータ、他のバーチャル・スライド・システムなど、画像取得先の選択肢をさらに増やすこともできる。
次に、本実施形態における処理フローを、図16を用いて説明する。なお、前述した図5の処理フローの内容と同様の項目には同じ符号を付し、説明は省略する。
ステップS701からS705までは前述の実施形態と同様に処理が実行される。そして、ステップS1801において、画像処理装置102は、図17Aに示す合成処理モード指定画面1901を表示し、ユーザーに合成処理モードを選択させる。合成処理モードとしては、第1の実施形態で述べた焦点位置固定モード1902と第2の実施形態で述べた被写界深度固定モード1903のいずれかを選択可能である。
ステップS1802では、ステップS1801の選択結果に応じて処理の分岐が行われ、焦点位置固定モードが選択された場合にはステップS1803へ移行する。画像処理装置102は図9の設定画面を表示して焦点位置固定モード用の深度合成処理の設定をユーザーに行わせ(ステップS1803)、次いで焦点位置固定の合成処理を実行する(ステップS1804)。一方、被写界深度固定モードが選択された場合、画像処理装置102は図14の設定画面を表示して被写界深度固定モード用の深度合成処理の設定をユーザーに行わせ(ステップS1805)、次いで被写界深度固定の合成処理を実行する(ステップS1806)。
次に、ステップS1807において、画像処理装置102は、図17Bに示す表示モード指定画面2001を表示し、ユーザーに表示モードを指定させる。表示モードとしては、1枚表示モード2002と並列表示モード2003のいずれかを選択可能である。
1枚表示モードが選択された場合には(ステップS1808のYes)、画像処理装置102は、図8A〜図8Cに示すように、複数の合成画像を1枚ずつ時分割で順番に切り替えながら表示する(ステップS1809)。一方、並列表示モードが選択された場合には(ステップS1808のNo)、画像処理装置102は、並列表示モードにより表示を行う(ステップS1810)。
図18はステップS1810において実行される並列表示モードの画面例である。画像表示ウィンドウ2101の中に、複数の合成画像2102〜2109が空間的に並べて表示されている。なお、並列表示モードの表示方法は図18の例に限定されるものではない。例えば、全ての画像ではなく、一部の複数の画像を画像表示ウィンドウに並べて表示し、マウスなどによるスクロール操作で表示画像を順次切り替えるようにしてもよい。その他、並列表示モードにおいては少なくとも2枚以上の画像が同時に異なる位置に表示され、ユーザーが複数の画像を比較可能な表示方法であればどのような方法であってもよい。
合成処理モードの選択方法は上述の方法以外でも良い。例えば、画像処理装置102が、プログラム起動時等に図17Aの画面を表示して合成処理モードをユーザーに選択させ、選択結果を保存しておいたものをステップS1802で読み込むようにしてもよい。更に、図17Aに示すようなモード選択のみを行うウィンドウを設けるのではなく、図9および図14に示す合成処理設定画面に合成処理モードを選択するUIを設けても良い。
同様に、表示モードの選択方法についても上述の方法以外でも良い。例えば、画像処理装置102が、プログラム起動時等に図17Bの画面を表示して表示モードをユーザーに選択させ、選択結果を保存しておいたものをステップS1808で読み込むようにしてもよい。更に、図17Bに示すようなモード選択のみを行うウィンドウを設けるのではなく
、図8、および図18の画像表示画面に表示モードを選択するUIを設けても良い。
本実施形態では、合成処理モードおよび表示モードを双方変更可能な例を示したが、これに限るものではなく、いずれか一方のみ変更可能な構成であっても構わない。また、合成処理モードの選択に関しては、他の画像処理への切り替えのための選択肢が含まれていても構わない。同様に、表示モードの選択に関しては、他の表示モードへの切り替えのための選択肢が含まれていても構わない。他の表示モードの例としては、例えば深度合成処理を行っていないオリジナル画像(Zスタック画像)のみの表示モード等が挙げられる。あるいは、深度合成処理後の画像と深度合成処理を行っていない画像の両方を比較可能に表示するモード等が挙げられる。深度合成処理後の画像と深度合成処理を行っていない画像を比較可能に表示する表示モードも設けることにより、深度合成処理により他の画像から切り出され合成された領域の撮像時の状態を把握することが可能となる。そのため、明瞭な状態と奥行き感のある状態を両方比較しながら画像を閲覧することが可能となる。
以上説明した構成により、複数の焦点位置における撮像結果を所望の方法で合成処理させることが可能となる。また、前記合成処理結果を所望の方法で表示させることが可能になる。その結果、ユーザーは、合成処理モードおよび表示モードを選択的に切り換えることにより、被写体の撮像結果に応じて最適な合成処理結果および表示結果を得ることが可能となる。
[その他の実施形態]
上述した実施形態は本発明の一具体例を示すものにすぎず、本発明の構成はそれらの具体例に限定されるものではない。
例えば、第1と第2の実施形態ではユーザー切替と自動切替を選択可能としたが、どちらか一方の表示方法のみであってもよい。また、ユーザー切替と自動切替を組み合わせても良い。また、範囲指定を行わず、図8Aの1002に表示されている領域全体に対して合成処理を施して合成処理後の画像を表示するようにしても良い。更に、切り替えながら表示する画像は合成処理後の画像のみならず、合成処理前の各焦点位置における画像(Zスタック画像)を含むようにしても良い。この場合、合成処理結果の画像のみを表示するモード、合成処理前の画像のみを表示するモード、合成処理結果の画像および合成処理前の画像全てを表示するモードを選択できるようにしても良い。
また上記実施形態では、被写界深度の変化範囲や基準位置などのパラメータを閲覧前に指定させるフローを示したが、これに限るものではい。例えば事前に設定したパラメータを保存しておき、範囲指定(1003)がされた時点もしくはプログラム起動時に、保存されていたパラメータが読み込まれるようにしてもよい。このようにすることで、図9や図14に示す設定画面を表示させる必要が無くなり、図8Aの画像表示画面のみの操作で所望の画像観察が可能となる。
また、第1と第2の実施形態では、焦点位置と被写界深度のいずれか一方を固定し、他方を変化させる処理を例示した。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、焦点位置および被写界深度の両方を変化させた合成画像を生成し、それらの合成画像を切替表示できるようにしてもよい。この場合、焦点固定・被写界深度可変モード、被写界深度固定・焦点可変モード、焦点可変・被写界深度可変モードの3つのモードが選択可能である。
さらには、第1から第3の実施形態で説明してきた構成をお互いに組み合わせることもできる。例えば、第1の実施形態のシステム構成において第2の実施形態の画像合成処理および画像表示処理を行うこともできるし、逆に第2の実施形態のシステム構成において
第1の実施形態の画像合成処理および画像表示処理を行うこともできる。その他、上記各実施形態における様々な技術を適宜組み合わせることで得られる構成も本発明の範疇に属するものである。
また、上記実施形態では、画像の切り替えをマウスのホイール操作によって指示したが、トラックパッド、トラックボール、ジョイスティックなどのポインティングデバイスによるスクロール操作でも同じように指示することができる。また、キーボードの所定のキー(上下キーやページUP/DOWNキーなど)を用いて同じように指示することも可能である。
101:撮像装置、102:画像処理装置、103:表示装置、1201:画像サーバ

Claims (12)

  1. 被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、
    前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、を備え、
    前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、
    前記複数の観察用画像は、第1の観察用画像と該第1の観察用画像よりも被写界深度が深い第2の観察用画像を含み、
    前記第2の観察用画像のZ方向の合焦範囲が、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲を包含し、且つ、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲よりもZ方向の一方の側と他方の側とに拡大するように、前記第2の観察用画像が生成される
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記第2の観察用画像のZ方向の合焦範囲が、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲に対してZ方向の一方の側と他方の側とに等しく拡大するように、前記第2の観察用画像が生成される
    ことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  3. 被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、
    前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、
    前記Zスタック画像から合成処理の対象となる対象範囲をユーザーに指定させる範囲指定手段と、を備え、
    前記画像生成手段は、
    前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、且つ、
    前記範囲指定手段で指定された前記対象範囲の部分についてのみ、前記複数の観察用画
    像を生成し、
    前記Zスタック画像における前記対象範囲の部分に前記観察用画像をはめ込んだ画像を表示装置に表示する手段をさらに備える
    ことを特徴とする画像処理装置。
  4. 被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、
    前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、
    前記観察用画像を表示装置に表示する画像表示手段と、を備え、
    前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、
    前記画像表示手段は、被写界深度の深さが互いに異なる前記複数の観察用画像を空間的に並べて前記表示装置に表示する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  5. 被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得手段と、
    前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成手段と、を備え、
    前記画像生成手段は、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、
    複数の画像を時分割表示するモードと複数の画像を空間的に並べて表示するモードを含む複数の表示モードのうちから、使用する表示モードをユーザーに指定させるモード指定手段と、
    前記モード指定手段で指定された表示モードに従って、複数の観察用画像を表示装置に表示する手段と、をさらに備える
    ことを特徴とする画像処理装置。
  6. 被写体の異なるZ方向位置を撮像することにより複数のZスタック画像を生成する顕微鏡装置と、
    前記顕微鏡装置から前記複数のZスタック画像を取得する、請求項1〜のいずれかに記載の画像処理装置と、を備える
    ことを特徴とする撮像システム。
  7. 被写体の異なるZ方向位置を撮像することにより得られた複数のZスタック画像を格納するサーバと、
    前記サーバから前記複数のZスタック画像を取得する、請求項1〜のいずれかに記載の画像処理装置と、を備える
    ことを特徴とする画像処理システム。
  8. コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、
    コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、を有し、
    前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、
    前記複数の観察用画像は、第1の観察用画像と該第1の観察用画像よりも被写界深度が深い第2の観察用画像を含み、
    前記第2の観察用画像のZ方向の合焦範囲が、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲を包含し、且つ、前記第1の観察用画像のZ方向の合焦範囲よりもZ方向の一方の側と他方の側とに拡大するように、前記第2の観察用画像が生成される
    ことを特徴とする画像処理方法。
  9. コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、
    コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、
    前記Zスタック画像から合成処理の対象となる対象範囲をユーザーに指定させる範囲指定ステップと、を有し、
    前記画像生成ステップでは、
    前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、且つ、
    前記範囲指定ステップで指定された前記対象範囲の部分についてのみ、前記複数の観察用画像を生成し、
    コンピュータが、前記Zスタック画像における前記対象範囲の部分に前記観察用画像をはめ込んだ画像を表示装置に表示するステップをさらに有する
    ことを特徴とする画像処理方法。
  10. コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、
    コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、
    コンピュータが、前記観察用画像を表示装置に表示する画像表示ステップと、を有し、
    前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、
    前記画像表示ステップでは、被写界深度の深さが互いに異なる前記複数の観察用画像を空間的に並べて前記表示装置に表示する
    ことを特徴とする画像処理方法。
  11. コンピュータが、被写体の異なるZ方向位置を顕微鏡装置で撮像することにより得られた複数のZスタック画像を取得する画像取得ステップと、
    コンピュータが、前記複数のZスタック画像から複数の観察用画像を生成する画像生成ステップと、を有し、
    前記画像生成ステップでは、前記複数のZスタック画像のうちの2枚以上のZスタック画像を深度合成することで1枚の観察用画像を生成する合成処理を複数回実行することによって、被写界深度の深さが互いに異なる複数の観察用画像を生成し、
    コンピュータが、複数の画像を時分割で表示するモードと複数の画像を空間的に並べて表示するモードを含む複数の表示モードのうちから、使用する表示モードをユーザーに指定させるモード指定ステップと、
    コンピュータが、前記モード指定ステップで指定された表示モードに従って、複数の観察用画像を表示装置に表示するステップと、をさらに有する
    ことを特徴とする画像処理方法。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の画像処理方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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