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JP5182519B2 - 遠心圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、過給機、ガスタービン、産業用空気設備等に用いられ、空気等のガスを遠心力を利用して圧縮する遠心圧縮機に関する。
近年、遠心圧縮機の作動域を拡大させるために種々の研究がなされており、作動域を拡大させた遠心圧縮機として特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
以下、先行技術に係る遠心圧縮機について図5を参照して説明する。
ここで、図5は、先行技術に係る遠心圧縮機の要部の模式的な側断面図である。なお、図面中、「F」は、前方向を指し、「R」は、後方向を指してある。
先行技術に係る遠心圧縮機101は、ケーシング103を備えており、このケーシング103は、内側に、シュラウド壁105を有している。また、ケーシング103のシュラウド壁105内には、インペラ107が回転可能に設けられており、このインペラ107は、軸心(インペラ107の軸心、換言すれば、ケーシング103の軸心)周りに回転可能なハブ109、及びこのハブ109の外周面に間隔を置いて設けられた複数枚(1枚のみ図示)のブレード111を備えている。ここで、各ブレード111の外縁は、ケーシング103のシュラウド壁105に沿うように延びている。
ケーシング103のシュラウド壁105の上流側周縁には、空気(ガスの一例)をインペラブ107側へ吸入する吸入口113が形成されており、ケーシング103のシュラウド壁105の下流側周縁には、圧縮した空気を排気する環状のディフューザ流路115(排気流路の1つ)が形成されている。また、ケーシング103のシュラウド壁105におけるブレード111の前縁位置よりも下流側(後側)には、逆流した空気を抽気可能な抽気穴117が形成されており、ケーシング103のシュラウド壁105におけるブレード111の前縁位置よりも上流側(前側)には、空気をインペラ107側へ流出可能な流出穴119が形成されている。そして、ケーシング103の内部には、抽気穴117側から流出穴119側へ空気の流れを許容する環状のトリートメントキャビティ121が形成されている。
従って、遠心圧縮機101を運転する場合には、例えばタービンホイール(図示省略)の回転等により複数枚のブレード111をハブ109と一体的に回転させ、換言すれば、インペラ107を回転させることにより、吸入口113からインペラ107側に吸入した空気を遠心力を利用して圧縮することができる。そして、圧縮した空気は、ディフューザ流路115から減速させて排気される。
遠心圧縮機101の運転中に、遠心圧縮機101の作動点がインペラ107の入口側の空気流量の少ないオフデザイン領域に移ると、インペラ107内において空気(インペラ107側へ吸入した空気の一部)の逆流が生じ、逆流した空気が抽気穴117から抽気され、トリートメントキャビティ121内に流入する。そして、トリートメントキャビティ121内に流入した空気は、抽気穴117側から流出穴119側へ流れて、流出穴119からインペラ107の入口側へ流出して、再びインペラ107側に吸入される。これにより、インペラ107側へ吸入した空気の一部を抽気穴117と流出穴119の間で循環させて、遠心圧縮機101の作動を安定させることができ、結果的に遠心圧縮機101の作動域を低流量側に拡大させることができる。
特開2006−342682号公報 特開2003−314496号公報
ところで、インペラ107内において空気の逆流が大きくなると、逆流した空気を抽気穴117から十分に抽気することができず、遠心圧縮機101の作動が不安定になって、遠心圧縮機101はサージングに至ることになる。そして、近年、遠心圧縮機101のサージングを十分に抑制して、遠心圧縮機101の作動域をより一層の拡大させるという要求が高まってきている。
そこで、本発明は、前述の課題を解決することができる、新規な構成の遠心圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の特徴は、ガスを遠心力を利用して圧縮する遠心圧縮機において、内側にシュラウド壁を有したケーシングと、前記ケーシングの前記シュラウド壁内に回転可能に設けられ、軸心周りに回転可能なハブ、及び前記ハブの外周面に周方向に間隔を置いて設けられかつ外縁が前記ケーシングの前記シュラウド壁に沿うように延びた複数枚のブレードを備えたインペラと、を具備し、前記ケーシングの前記シュラウド壁の上流側周縁にガスを前記インペラ側へ吸入(給気)する吸入口(給気口)が形成され、前記ケーシングの前記シュラウド壁の下流側周縁に圧縮したガスを排気する排気流路が形成され、前記ケーシングの前記シュラウド壁における前記ブレードの前縁位置よりも下流側に逆流したガスを抽気可能な環状の抽気溝が形成され、前記ケーシングの前記シュラウド壁における前記ブレードの前縁位置よりも上流側にガスを前記インペラの入口側へ流出可能な流出穴が形成され、前記ケーシングの内部に前記抽気溝側から前記流出穴側へガスの流れ(流通)を許容する環状のトリートメントキャビティが形成され、前記抽気溝の開口下流端の内径が開口上流端の内径よりも大きくなるように前記ケーシングの前記シュラウド壁に環状のシュラウド段差面が形成され、前記ブレードの外縁に前記シュラウド段差面に対応したブレード段差面が形成されていることを要旨とする。
ここで、特許請求の範囲及び明細書において、「上流側」とは、主流のガスの流れ方向から見て上流側のことであって、「下流側」とは、主流のガスの流れ方向から見て下流側のことである。また、「複数枚のブレード」は、軸長の異なる複数種のブレードからなるものであってもよく、この場合には、「前記ブレードの前縁位置」とは、最も軸長の長いブレードの前縁位置のことであって、「前記ブレードの外縁」とは、最も軸長の長いブレードの外縁のこである。更に、「流出穴」とは、流出溝を含む意であって、「開口下流端」とは、開口部の下流端のことであって、「開口上流端」とは、開口部の上流端のことである。
本発明の第1の特徴によると、前記遠心圧縮機を運転する場合には、複数枚の前記ブレードを前記ハブと一体的に回転させ、換言すれば、前記インペラを回転させることにより、前記吸入口から前記インペラ側に吸入したガスを遠心力を利用して圧縮することができる。そして、圧縮したガスは、前記排気流路から排気される。
前記遠心圧縮機の運転中に、前記遠心圧縮機の作動点が前記インペラの入口側のガス流量の少ないオフデザイン領域に移ると、前記インペラ内においてガス(インペラ側へ吸入したガスの一部)の逆流が生じる。そして、逆流したガスは、前記抽気溝から抽気され、前記トリートメントキャビティ内において前記抽気溝側から前記流出穴側へ流れて、前記流出穴から前記インペラの入口側へ流出して、再び前記インペラ7側に吸入される。これにより、インペラ側へ吸入した空気の一部を前記抽気溝と前記流出穴の間で循環させて、前記遠心圧縮機の作動を安定させることができる。
ここで、前記抽気溝の開口下流端の内径が開口上流端の内径よりも大きくなるように前記ケーシングの前記シュラウド壁に環状の前記シュラウド段差面が形成され、前記ブレードの外縁に前記シュラウド段差面に対応した前記ブレード段差面が形成されているため、前記ブレードの正圧面側から負圧面側に相対的に流れる所謂クリアランスフローを抑制しつつ、前記インペラ内におけるガスの逆流が大きくなっても、前記シュラウド段差面によって逆流したガスをせき止めて、前記抽気溝から十分に抽気することができる。
本発明によれば、前記ブレードの正圧面側から負圧面側に相対的に流れるクリアランスフローを抑制しつつ、前記インペラ内におけるガスの逆流が大きくなっても、前記抽気溝から十分に抽気することができるため、前記遠心圧縮機の効率(圧縮機効率)の維持を図りつつ、前記遠心圧縮機のサージングを十分に抑制して、前記遠心圧縮機の作動域をより一層拡大させることができる。
本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の模式的な側断面図である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の要部の模式的な側断面図である。 図3(a)は、図2における矢視部IIIの拡大図、図3(b)(c)は、別態様のブレード段差を示す図である。 圧縮機性能を示す図である。 先行技術に係る遠心圧縮機の要部の模式的な側断面図である。
本発明の実施形態について図1から図4を参照して説明する。なお、図面中、「F」は、前方向を指し、「R」は、後方向を指してある。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る遠心圧縮機1は、過給機に用いられ、遠心力を利用して空気(ガスの一例)を圧縮するものである。そして、本発明の実施形態に係る遠心圧縮機1の具体的な構成は、以下のようになる。
遠心圧縮機1は、ケーシング3を備えており、このケーシング3は、内側に、シュラウド壁5を有している。また、ケーシング3は、別のケーシング(図示省略)に一体的に取付られている。
ケーシング3のシュラウド壁5内には、インペラ7が回転可能に設けられている。具体的には、ケーシング3のシュラウド壁5内には、ハブ9が設けられており、このハブ9の外周面は、ケーシング3の軸方向(換言すれば、インペラ7の軸方向)から徐々にケーシング3の径方向(換言すれば、インペラ7の径方向)の外側へ向かって延びている。また、ハブ9は、別のケーシングに回転可能に設けられたロータ軸11の一端部(前端部)に締付ナット13を介して一体的に連結されてあって、インペラ7の軸心(換言すれば、ケーシング3の軸心)周りに回転可能である。更に、ハブ9の外周面には、複数枚(1枚のみ図示)の長ブレード(フルブレード)15及び複数枚(1枚のみ図示)の短ブレード(スプリッタブレード)17が周方向に間隔を置いて交互に設けられている。ここで、長ブレード15の前縁は、短ブレード17の前縁よりも上流側(前側)に位置してあって、長ブレード15の外縁及び短ブレード17の外縁は、ケーシング3のシュラウド壁5に沿うように延びている。なお、軸長の異なる2種類のブレード15,17を用いる代わりに、軸長の同じブレードを用いても構わない。
ケーシング3のシュラウド壁5の上流側周縁(インペラ7の入口側周縁)には、空気をインペラ7側へ吸入(給気)する吸入口(給気口)19が形成されており、ケーシング3のシュラウド壁5の下流側周縁(インペラ7の出口側周縁)には、圧縮した空気を減速させて排気する環状のディフューザ流路21(排気流路の1つ)が形成されている。また、ケーシング3の内部におけるディフューザ流路21の周縁側には、圧縮した空気を排気する渦巻き状のスクロール流路23(排気流路の1つ)が形成されている。そして、ケーシング3の適宜位置には、圧縮した空気を吐出する吐出口25が形成されており、この吐出口25は、スクロール流路23及びディフューザ流路21に連通してあって、内燃機関の吸気マニホールド(図示省略)に接続可能である。
ケーシング3のシュラウド壁5における長ブレード15の前縁位置よりも下流側(後側)であってブレード17の前縁位置よりも上流側には、逆流した空気を抽気可能な環状の抽気溝27が形成されている。また、ケーシング3のシュラウド壁5における長ブレード15の前縁位置よりも上流側には、空気をインペラ7側へ流出可能な1つ又は複数(1つのみ図示)の流出穴29が周方向に沿って形成されている。そして、ケーシング3の内部には、抽気溝27側から流出穴29側へ空気の流れ(流通)を許容する環状のトリートメントキャビティ31が形成されている。更に、ケーシング3のシュラウド壁5におけるインペラ7と流出穴29の間には、絞り部33が形成されており、この絞り部33は、下流側へ向かって内径を徐々に縮径してある。
図2及び図3(a)に示すように、抽気溝27の開口下流端(開口部の下流端)27aの内径が開口上流端(開口部の上流端)27bの内径よりも大きくなるように、ケーシング3のシュラウド壁5には、環状のシュラウド段差面35が形成されている。また、各長ブレード15の外縁に、シュラウド段差面35に対応したブレード段差面37が形成されている。ここで、ブレード段差面37の段差量(段差高さ)mは、シュラウド段差面35の段差量kと同じであって、ブレード段差面37は、シュラウド段差面35に近接している。
なお、ブレード段差面37は、図3(b)に示すように、ケーシング3の軸方向(図3において左右方向)における抽気溝27の開口下流端27aと開口上流端27bとの間に位置していれば、シュラウド段差面35に近接しなくても構わない。また、ブレード段差面37は、図3(a)(b)に示すように、ケーシング3の軸方向(図3において左右方向)における抽気溝27の開口下流端27aと開口上流端27bとの間に位置する代わりに、図3(c)に示すように、ケーシング3の軸方向における抽気溝27の開口下流端27aの位置と同じ位置に位置するようにしても構わない。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
遠心圧縮機1を運転する場合には、例えばタービンホイール(図示省略)の回転によりロータ軸11を回転させることにより、複数枚のブレード15,17をハブ9と一体的に回転させ、換言すれば、インペラ7を回転させる。これにより、吸入口19からインペラ7側に吸入した空気を遠心力を利用して圧縮することができる。そして、圧縮した空気は、ディフューザ流路21及びスクロール流路23から排気され、吐出口25を経由して内燃機関の吸気マニホールドに送られる。
遠心圧縮機1の運転中に、遠心圧縮機1の作動点がインペラ7の入口側の空気流量の少ないオフデザイン領域に移ると、インペラ7内において空気(インペラ7側へ吸入した空気の一部)の逆流が生じ、逆流した空気が抽気溝27から抽気され、トリートメントキャビティ31内に流入する。そして、トリートメントキャビティ31内に流入した空気は、抽気溝27側から流出穴29側へ流れて、流出穴29からインペラ7の入口側へ流出して、再びインペラ7側に吸入される。これにより、インペラ107側へ吸入した空気の一部を抽気溝27と流出穴29の間で循環させて、遠心圧縮機1の作動を安定させることができる。
ここで、抽気溝27の開口下流端27aの内径が開口上流端27bの内径よりも大きくなるように、ケーシング3のシュラウド壁5に環状のシュラウド段差面35が形成され、各長ブレード15の外縁にシュラウド段差面35に対応したブレード段差面37が形成されているため、各長ブレード15の正圧面側から負圧面側に相対的に流れる所謂クリアランスフローを抑制しつつ、インペラ7内における空気の逆流が大きくなっても、シュラウド段差面35によって逆流した空気をせき止めて、抽気溝27から十分に抽気することができる。
また、ケーシング3のシュラウド壁5におけるインペラ7と流出穴29の間に絞り部33が形成されているため、流出穴29から空気がインペラ7の入口側へ流出しても、縮流による整流作用を発揮させて、インペラ7の入口側におけるエネルギー損失を低減することができる。
従って、本発明の実施形態によれば、各長ブレード15の正圧面側から負圧面側に相対的に流れるクリアランスフローを抑制しかつインペラ7の入口側におけるエネルギー損失を低減しつつ、インペラ7内における空気の逆流が大きくなっても、抽気溝27から十分に抽気することができるため、遠心圧縮機1の効率(圧縮機効率)の向上を図りつつ、遠心圧縮機1のサージングを十分に抑制して、図4に示すように、遠心圧縮機1のサージ限界(サージライン)を低流量側に移行させて、遠心圧縮機1の作動域をより一層拡大させることができる。なお、図4中において、Na,Nb,Ncは、遠心圧縮機1の回転数であって、Na>Nb>Ncの関係になっている。
本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
1 遠心圧縮機
5 シュラウド壁
7 インペラ
9 ハブ
15 長ブレード
17 短ブレード
19 吸入口
21 ディフューザ流路
23 スクロール流路
25 吐出口
27 抽気溝
27a 開口下流端
27b 開口上流端
29 流出穴
31 トリートメントキャビティ
33 絞り部
35 シュラウド段差面
37 ブレード段差面

Claims (3)

  1. ガスを遠心力を利用して圧縮する遠心圧縮機において、
    内側にシュラウド壁を有したケーシングと、
    前記ケーシングの前記シュラウド壁内に回転可能に設けられ、軸心周りに回転可能なハブ、及び前記ハブの外周面に周方向に間隔を置いて設けられかつ外縁が前記ケーシングの前記シュラウド壁に沿うように延びた複数枚のブレードを備えたインペラと、を具備し、
    前記ケーシングの前記シュラウド壁の上流側周縁にガスを前記インペラ側へ吸入する吸入口が形成され、前記ケーシングの前記シュラウド壁の下流側周縁に圧縮したガスを排気する排気流路が形成され、
    前記ケーシングの前記シュラウド壁における前記ブレードの前縁位置よりも下流側に逆流したガスを抽気可能な環状の抽気溝が形成され、前記ケーシングの前記シュラウド壁における前記ブレードの前縁位置よりも上流側にガスを前記インペラの入口側へ流出可能な流出穴が形成され、前記ケーシングの内部に前記抽気溝側から前記流出穴側へガスの流れを許容する環状のトリートメントキャビティが形成され、
    前記抽気溝の開口下流端の内径が開口上流端の内径よりも大きくなるように前記ケーシングの前記シュラウド壁に環状のシュラウド段差面が形成され、前記ブレードの外縁に前記シュラウド段差面に対応したブレード段差面が形成されていることを特徴とする遠心圧縮機。
  2. ブレード段差面の段差量は、前記シュラウド段差面の段差量と同じであって、前記ブレード段差面は、前記ケーシングの軸方向における前記抽気溝の開口下流端と開口上流端との間、又は前記軸方向における前記抽気溝の開口下流端の位置と同じ位置に位置していることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
  3. 前記ケーシングのシュラウド壁における前記インペラと前記流出穴の間に下流側へ向かって内径を徐々に縮径した絞り部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠心圧縮機。
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