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JP5180617B2 - 機能性シート - Google Patents

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Description

本発明は、機能性を有する粉体及び繊維状物を含む機能性シートに関する。
機能性を有する粉体を含む機能性シートを湿式抄造法により製造する技術が知られている。
例えば、消臭性能を有する粉体や、空気中の酸素と反応して発熱する被酸化性金属粉体を、繊維状物に担持させた機能性の機能性シートを製造する技術が知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、機能性シートを湿式抄造法により製造する場合、斑がなく、均一性の高いシートを得ることが、従来技術においては重要視されていた。
比較的厚みが厚く且つ強い不織布を製造する技術として、スパンレース法が知られている。しかし、スパンレース法は、高圧水により繊維を交絡させる製法であるため、水流により孔が開き、例えば、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品における、吸水性ポリマーを含む吸収性コアを被覆するシートとして用いた場合、そのシートの孔を通って吸水性ポリマーが漏れ出す恐れがある。
特開2006−307404号公報 特開2005−344274号公報
従って、本発明の第1の目的は、機能性を有する粉体を含み、該粉体が脱落しにくく、液の透過性が良好である機能性シートを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、機能性を有する粉体を含み、粉体の高坪量領域を有し、粉体による高機能性を効果的に発揮することができる機能性シートを提供することにある。
本発明は、機能性を有する粉体及び繊維状物を含み、平面方向に、繊維状物の坪量が他の領域より高い高坪量領域を有している機能性シートを提供することにより前記第1の目的を達成したものである(以下、第1発明というときは、この発明をいう)。
本発明は、機能性を有する粉体及び繊維状物を含むスラリー組成物から湿式抄造法によって得られる機能性シートであって、平面方向に、前記粉体の坪量が他の領域より高い高坪量領域を有している機能性シート(以下、第2発明というときは、この発明をいう)を提供することにより前記第2の目的を達成したものである(以下、第2発明というときは、この発明をいう)。
また、本発明は、液透過性の表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、前記吸収体は、繊維の集合体及び吸水性ポリマーを含む吸収性コアを具備し、前記の機能性シートが、該吸収性コアの少なくとも前記表面シート側の面を被覆している吸収性物品を提供するものである。
本発明(第1発明)の機能性シートは、機能性を有する粉体を含み、該粉体が脱落しにくく、液の透過性が良好である。
本発明(第2発明)の機能性シートは、機能性を有する粉体を含み、粉体の高坪量領域を有し、粉体による高機能性を効果的に発揮することができる。
本発明の吸収性物品は、液の透過性が良好である共に液戻り防止性にも優れており、機能性を有する粉体の機能性が効率良く発現される。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明(第1発明)の第1実施形態の機能性シート1を示す斜視図である。
第1実施形態の機能性シート1は、機能性を有する粉体及び繊維状物を含み、湿式抄造法により得られたシートである。
第1実施形態の機能性シート1は、機能性を有する粉体として、消臭性能を有する粉体を含んでいる。
消臭性能を有する粉体としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、酸化亜鉛、天然あるいは合成の各種アルミノ珪酸塩(セピオライト、セピオライト、ミズカナイト、ゼオライト)、カンクリナイト様鉱物等が挙げられる。
消臭性能を有する粉体としては、(a)抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、(b)架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られる消臭粒子、(c)ハイシリカゼオライトを用いることが好ましい。
本発明における機能性粉体は、得られた機能性シートの風合いや機能性を発現するための表面積を確保する観点から、平均粒径が200μm未満のものを用いることが好ましい。本発明のシートは乾式、湿式いずれの方法を用いることができるが、シートからの粉体の脱落を抑えるためには、パルプ繊維間の距離をより短くできる湿式抄紙法によって作成されることが好ましい。また、機能性粉体は親水性のものでも、疎水性のものでも用いることができるが、湿式抄紙法における乾燥工程への負荷を考慮すると、大量の水(おおむね自重の50倍以上)を吸水しないものが好ましい。
前記(a)の粉体の詳細については、特開2006―307404号公報に記載されている。なお、抄造成形体が、シート状であり、坪量50g/m2以下である場合には、金属置換カンクリナイト様鉱物はその平均粒子径は、粉体の脱落防止、シート表面の風合いの観点で、200μm以下、特に100μm以下、とりわけ1〜50μm以下であることが好ましい。一方、粉体の歩留まり、生産速度、また、得られた紙を吸収性物品に使用する場合においては、排泄液の透過性の観点から、金属置換カンクリナイト様鉱物の平均粒子径は、0.1μm以上、特に0.4μm以上、とりわけ1μm以上であることが好ましい。
平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用い、相対屈折率1.16にて測定する。金属置換カンクリナイト様鉱物は非晶質であっても結晶質であってもよい。含硫黄系悪臭の消臭能向上の観点からは結晶質であることが好ましい。金属置換カンクリナイト様鉱物は、その製造条件に応じて針状結晶、板状結晶、柱状結晶等の集合体として得られる。また、それらの結晶が集合して球状、テトラボッド状、塊状の集合体等を形成していてもよく、それらの二次凝集体でもよい。針状の形態とは、太さが500nm以下で、長さが太さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいう。板状の形態とは、厚さが300nm以下で、板径が厚さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいう。柱状の形態とは、太さが50nm以上で、長さが太さに対してアスペクト比で1.0以上2.0未満のものをいう。
金属置換カンクリナイト様鉱物としては、以下の組成式(1)で表されるものを用いることが好ましい。
sM(1)xOy・tM(2)2O・Al23・uSiO2・vRmQn・wH2O(1)
式中、M(1)は抗菌性を有する金属を表し、M(2)はNa、K及びHからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、RはNa、K、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上の原子団を表し、sは0<s≦3、tは0≦t≦3(但し、s+t=0.5〜3である)、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす。
式(1)中、M(1)は、含硫黄系悪臭に対する消臭能の高さから好ましくはAg、Zn又はCuであることが好ましく、特にAgであることが好ましい。M(1)は一種類でもよく或いは二種類以上の組み合わせでもよい。M(1)が二種類以上の組み合わせである場合、sM(1)xOyの項は、各元素に対応した項ごとに分けて記載される。たとえば、M(1)が、金属元素D及びD'からなる場合、sM(1)xOyは、s1Dx1Oy1・s2Dx2Oy2(ただし、x1+x2=x、y1+y2=y、s1+s2=sである)と表される。その他の項についても同様である。
M(2)は、高い消臭能の発現及び経済性の観点から、好ましくはNa及び/又はHである。Rは、M(2)と同様の観点から、好ましくはNa、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の金属元素であり、更に好ましくはNaである。Qは、粒子の形態制御の容易性の観点から、好ましくはCO3及び/又はNO3である。
sは、高い消臭能の発現及び経済性の観点から、好ましくは0<s≦2、更に好ましくは0<s≦1である。tは、金属置換カンクリナイト様鉱物の水分散液(後述の1重量%水分散液)のpHを良好に保つ観点から、好ましくは0≦t≦2、更に好ましくは0≦t≦1である。s+tは、好ましくは0.5〜1.8、更に好ましくは0.6〜1.5である。uは、高い消臭能の発現の観点から、好ましくは0.5≦u≦5、更に好ましくは0.5≦u≦4である。vは、粒子形態制御の容易性の観点から、好ましくは0<v≦1.5、更に好ましくは0<v≦1である。wは金属置換カンクリナイト様鉱物に含まれる水の含有率(モル比)であり、金属置換カンクリナイト様鉱物の存在形態、たとえば、粉末状、スラリー状などの形態によって変化する。xとy、及びmとnは、それぞれ、M(1)とOとの組み合わせにより、及びRとQとの組み合わせに応じて任意に決まる。
金属置換カンクリナイト様鉱物はその比表面積が、1m2/g以上70m2/g未満であることが好ましく、1〜65m2/gであることが更に好ましく、30〜65m2/gであることが一層好ましい。比表面積がこの範囲内であれば、抗菌性を有する金属を適度に固定又は担持させることができ、含硫黄系悪臭に対して優れた消臭能が発揮されるようになる。金属置換カンクリナイト様鉱物の比表面積は、例えば、後述するように、原料アルミノシリケート粒子(原料として用いられるアルミノシリケート粒子)を適度に酸処理することで、所定の範囲に調整することができる。比表面積は、フローソーブ2300型(島津製作所製)を使用して測定する。試料は0.1gとし、吸着ガスにN2/He=30/70(容積比)の混合ガスを用いる。
前記(b)の消臭粒子について説明する。
架橋性ビニルモノマーは、ビニル基を二つ以上有するモノマーである。架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジビニルベンゼンが好ましい。モノマー成分中の架橋性ビニルモノマーの割合が大きいほど、BET比表面積の大きい消臭粒子が得られる。従って、全モノマー成分中における架橋性ビニルモノマーの割合は、5重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、50重量%以上が更に好ましい。該割合の上限は、98重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。
ヘテロ芳香環を有するビニルモノマーは、ビニル基及びヘテロ芳香環を含む化合物であれば特に制限されない。ヘテロ芳香環とは、環状の有機化合物における環であって、構成要素として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などを含むものをいう。窒素原子を含むものとしては、ピリジン、ピロール、キノリン等の窒素原子を環に1個有するもの、イミダゾール、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール等の窒素原子を環に2個有するものが例示される。また、チオフェン、チアゾール等の硫黄原子を環に有するもの、フラン等の酸素を環に有するものが例示される。ヘテロ原子の有する孤立電子対が悪臭物質の吸着を高め、また、金属イオンの化学結合に関与するものと考えられる。これらの中でも、ピリジン、イミダゾール、ピリミジンが好ましい。ヘテロ芳香環を有するビニルモノマーとしては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリミジン等が挙げられ、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンが好ましい。
十分に悪臭成分を吸着させるため、また十分な量の金属塩を担持させるために、全モノマー成分中のヘテロ芳香環を有するビニルモノマーの割合は、十分に大きいことが好ましく、具体的には、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、4重量%以上が更に好ましい。また、消臭粒子のBET比表面積を大きくすることで吸収効果を高める場合には、全モノマー成分中のヘテロ芳香環を有するビニルモノマーの割合は、50重量%以下にすることが好ましく、30重量%以下にすることがより好ましい。
前記(b)の消臭粒子においては、モノマー成分として、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマー以外に、これらと共重合可能な他のモノマーを用いることができる。該他のモノマーとしては、例えば、芳香族系ビニルモノマー、不飽和酸エステル、不飽和酸等が挙げられる。芳香族系ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルベンジルクロライド等が例示され、不飽和酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が例示され、不飽和酸としては、(メタ)アクリル酸が例示される。また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等も用いることができる。これらの中では芳香族系ビニルモノマーが好適であり、特にスチレンが好ましい。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
前記(b)の消臭粒子のBET比表面積は、架橋性ビニルモノマーの割合や、重合に用いる有機溶剤の選定により任意に設定することができるが、大きいほど消臭効果が高い。高い物理消臭能を有する観点から、10m2/g以上であり、50m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上がさらに好ましい。BET比表面積の上限は特に限定されないが、800m2/g以下が好ましい。なおBET比表面積は、下記実施例に示すBET1点法により求めた値である。
前記(b)の消臭粒子の粒径は特に規定されず、これが用いられる用途に応じて適当なものを選定することができる。消臭粒子の粒径は1〜200μmであることが好ましく、特に10〜50μmであることが好ましい。前記(b)の消臭粒子は、水中油型懸濁重合法又は沈殿重合法により製造することが好ましい。
前記(c)の消臭粒子について説明する。
ハイシリカゼオライトに関しては、特開2007−44401号公報に記載されている。
ハイシリカゼオライトは、SiO2/Al23のモル比が30〜900、好ましくは100〜700、更に好ましくは200〜600のものである。
前記(c)の消臭粒子の粒径は1〜200μmであることが好ましく、特に10〜50μmであることが好ましい。
機能性を有する粉体は、一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維状物としては、湿式抄造可能なものが用いられ、例えば、特開2005−344274号公報の段落〔0019〕に列挙された各種のものを用いることができる。
各種の繊維の中でも、粉体の定着性、得られる機能性シートの柔軟性、液の透過・吸収性、製造コスト等の点から、木材パルプを用いることが好ましい。木材パルプの例としては、針葉樹晒しクラフトパルプ(以下、NBKPともいう)、広葉樹晒しクラフトパルプ(以下、LBKPともいう)、古紙パルプ等の木材パルプ、HBAやマーセル化パルプ、架橋パルプなどの嵩高性の化学処理パルプが挙げられる。各種の繊維は、一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。木材パルプを用いる場合、レーヨン、リヨセル、テンセル、ポリビニルアルコール、コットン等の親水性繊維や少量の熱可塑性繊維を混合することもできる。木材パルプは、使用する繊維状物中の80重量%以上を占めることが好ましく、90重量%以上を占めることがより好ましい。
繊維状物は、粉体の保持性や製造時における粉体の繊維状物への定着性を高め、得られた紙の風合いや、吸収性物品用途であれば排泄液の透過性の観点から、カナダ標準ろ水度(JIS P8121、以下、CSFともいう)が300以上mlであることが好ましく、より好ましくは 350〜700ml、更に好ましくは400〜550mlである。CSFが上記範囲であると、製造時における粉体の繊維材料への定着性、および得られる抄造成形体の強度が良好であり、また、抄紙時における水抜け性や、乾燥効率が良好で有り、生産性に優れる。CSFは、木材パルプの叩解状態をコントロールすることにより調整できる。
なお、粉体含有シートが、経血や軟便のような、高粘性の液の透過を必要とする場合は、
木材パルプとして、NBKPまたはLBKPと、HBAやマーセル化パルプ、架橋パルプなどの嵩高性の化学処理パルプを混合して用いることが好ましい。この場合、NBKPまたはLBKP/化学処理パルプの比率は、重量比で10/90〜60/40であって、排泄液の透過性の観点から、CSFは500〜900ml、更に好ましくは600〜800mlであることが好ましい。
第1実施形態の機能性シート1は、図1に示すように、平面方向に、繊維状物の坪量が異なる2つの領域2,3を有している。図1中、符号2で示す領域が、2つの領域2,3のうち、繊維状物の坪量が高い方の領域(高坪量領域、以下、第1領域2ともいう)あり、符号3で示す領域が、2つの領域2,3のうち、繊維状物の坪量が低い方の領域(他の領域、以下、第2領域3ともいう)である。
第1実施形態の機能性シート1における第1及び第2領域2,3は、図1に示すように、機能性シート1の平面方向に、多数の第1領域2が分散した状態に分布しており、それらの第1領域2以外の部分が、第2領域3となっている。第1領域2は、機能性シート1の略全体に分布している。すなわち、第2領域3が連続相となり、第1領域2が分散相となっている。
また、個々の第1領域2は、互いに分散している形状として、個々の形態が針状、水玉状、楕円状、矩形、星状など、様々な形状を取ることができる。あるいは、互いに連続する形状、例えばメッシュ形状、ハニカム形状などをとってもよい逆に第2領域3が分散相となり、第1領域2が連続相となってもよい。その場合、また、第2領域3は、前記第1領域2と同様の形状を取る。
第1領域2と第2領域3の繊維状物の坪量の差は、第1領域2/第2領域3の比率が重量比で100/50〜100/95、特に100/60〜100/85であることが好ましい。
〔繊維状物の坪量の測定方法〕
まず、機能性シートの坪量(繊維状物と粉体の混合した状態)を以下の方法で測定し、後述の方法で測定した粉体の坪量を差し引くことにより、繊維状物の坪量を算出する。機能性シートの坪量は、以下に示した方法のうち、測定のしやすい方法を選んで測定する。
A:第1の方法、例えば第1実施形態のように第1領域2、第2領域3のうちどちらかが分散相であり、他方が連続相となるような形態に用いる。ここでは、第1領域が分散相、第2領域3が連続相である場合を例にとって記載する。
初めに、25℃65%RHの恒温室で12時間以上調湿したサンプルを、100mm×100mmに切断し、重量を測定する(W1)。次に、サンプルの裏面から蛍光灯をあてて、光の陰影を利用して、第1領域2と第2領域3を区別する。すなわち、坪量の高い第1領域2のほうが透過する光の量が少なくなるため、2値化処理して第1領域2の面積s1と第2領域3の面積s2を算出する。5%以上陰影が強い領域を第1領域2とする。
次に、連続相を成す第2領域3を任意の形状で複数個切り出し、各小片の面積を画像解析処理ソフト(Image−Pro plus,Media Cybernetics社)を用いて面積を算出する。この時、面積の総和Sが50cm2を超えるまで、サンプリングを繰り返す。得られた小片の総重量をW2測定し、面積の総和Sで除して、第2領域3の坪量を算出する。
これら操作によって得られた測定値を用いて、下記式に則って、第1領域2の坪量を算出する。
全体の坪量=(第1領域2の坪量)×(第1領域2の面積)/(第1領域の面積+第2領域の面積)+(第2領域3の坪量)×(第2領域3の面積)/(第1領域の面積+第2領域の面積)より、(第1領域2の坪量)={全体の坪量−(第2領域3の坪量)×(第2領域3の面積)/(第1領域の面積+第2領域の面積)}×(第1領域の面積+第2領域の面積)/(第1領域2の面積)
ここで、第1領域の面積+第2領域の面積=100cm2
B:第2の方法、例えば第2、3実施形態のように第1領域2と第2領域3が、特定の領域に連続して存在するような形態に用いる。
サンプルは25℃65%RHの恒温室で12時間以上調湿したサンプルを用いる。各領域を適当な形状に切り出し、重量を測定し面積で除して坪量を算出した。この時、面積の総和Sが50cm2を超えるまで、サンプリングを繰り返す。サンプリングは、正方形や長方形に切り出すことを基本とするが、試料の制約上困難な場合に不定形となってしまった場合の面積は、画像解析処理ソフト(Image−Pro plus,Media Cybernetics社)を用いて算出する。
機能性シート1は、第1領域2における厚みが、第2領域3における厚みよりも厚くなっている。
第1領域2と第2領域3との厚みの差の絶対値(第1領域2の厚み−第2領域3の厚みの差の絶対値)は、0.1〜0.5mm、特に0.15〜0.4mmであることが好ましく、第1領域2と第2領域3との厚みの比(第1領域2の厚み/第2領域3の厚み)は、100/20〜100/95、特に100/50〜100/80であることが好ましい。また、機能性シート1は、第1領域2における厚みが、0.2〜1.5mmであることが好ましく、機能性シート1は、第2領域3における厚みが、0.1〜1.0mmであることが好ましい。
〔厚みの測定方法〕
100×100mmに切断したサンプルを用いて、高速・高精度CCDレーザー変位形を設置した高精度形状測定システムKS−1100(キーエンス社)を用いて測定を行った。測定ピッチは5μm、移動速度を10cm/sとした。
また、機能性シート1は、第1領域2における機能性シートの密度が、第2領域3における機能性シートの密度よりも高くなっている。
第1領域2における機能性シートの密度と第2領域3における機能性シートの密度の比(第1領域2における密度/第1領域12における密度)は、100/25〜100/95、特に100/50〜100/95であることが好ましい。
〔機能性シートの密度の測定方法〕
上述した方法により測定した機能性シートの坪量と上述した方法により測定した第1及び第2領域における厚みとから下記式により求める。 第1(第2)領域の密度(g/cm3 )=第1(第2)領域の坪量(g/m2)/第1(第2)領域の厚み(cm)×10―4
第1実施形態の機能性シート1は、第1領域2における粉体の坪量が、第2領域3における粉体の坪量よりも高くなっている。
第1領域2と第2領域3との粉体の坪量の比(第1領域2の粉体の坪量/第2領域3の粉体の坪量)は、100/50〜100/95、特に100/60〜100/85であることが好ましい。また、機能性シート1は、第1領域2における粉体の坪量が、0.1〜10g/m2 であることが好ましく、機能性シート1は、第2領域3における粉体の坪量が、0.2〜5g/m2であることが好ましい。
〔粉体の坪量の測定方法〕
粉体の坪量は、以下の方法のうち適宜選択して行う。
方法1:機器分析を用いる方法(粉体が金属を含む場合)
例えば、粉体が金属を含むものであれば、紙の蛍光X線やICP発光分析を用いて粉体の存在量を求めることができる。別途、紙の中の粉体の組成を元素分析等によって求めることで、含まれる粉体の組成あるいは金属種を同定し、粉体あるいは金属の存在量と、蛍光X線でX線散乱強度の関係から、ICP発光分析であれば吸光度の関係から、検量線を作成しておく。
方法2:電子顕微鏡による画像を利用する方法
紙の断面構造を電子顕微鏡で観察し、得られた画像を、画像解析処理ソフト(Image−Pro plus,Media Cybernetics社)を用いて処理し、画像毎に粒子の占める面積(即ち、個々の粒子の断面積の総和)を算出する。測定は5点の平均とする。
方法3:灰分(第1領域2と第2領域3が個別に分離可能なほど大きい領域、おおむね5mm四方以上ある場合であって、機能性物質が無機物質である場合)予め、第1領域2と第2領域3を別々にサンプリングし面積ならびに重量W1の総和を求めておく。に準じて を測定し、粉体の坪量を算出する。
るつぼ内にサンプル約1gを取り、800℃の電気炉中で2時間焼いて、繊維を燃やす。その後、25℃、相対湿度65%の環境下で24時間以上放置した後重量W2を測定し、初期重量W1との差を求めて、面積で除して坪量を算出した。
尚、機能性シート1においては、第1領域2及び第2領域3の何れにも、吸水性ポリマーが容易に通り抜けるような孔が開いていない。吸水性ポリマーが容易に通り抜けるような孔とは、例えば、下記の細孔分布の測定方法において、100μmを越える細孔の割合が10%以下、より好ましくは50μmを越える細孔の割合が10%以下、最も好ましくは20μmを越える細孔の割合が10%以下である。吸水性ポリマーが容易に通り抜けるような孔が開いていない点において、機能性シート1は、スパンレースのように、単に水流で孔をあけて繊維を掻きわけることで紙に坪量差ができているものと相違する。
〔細孔分布の測定方法〕
多孔質材料自動細孔測定システム、パームポロシメーター(Porous Materials.Inc)CFP−1200−AEXL−ESAを用いて測定を行った。測定は3点行った。
第1実施形態の機能性シート1は、消臭性能を有する粉体を、繊維状物が高坪量の第1領域2に含んでおり、繊維状物に粉体が強く拘束されているため粉体が脱落しにくく、また繊維状物が低坪量の第2領域3を有するため、第2領域3を通じて液が透過し易い。
また、第2領域3により良好な液透過性が得られる一方、坪量が高く厚い第1領域2に圧力が集中することで液の透過性が高い第2領域3に直接圧力が掛かるのを緩和する作用があり、例えば、吸収性物品の表面シートと吸収性コアとの間に配して使用した場合、吸収性コアに吸収された液が肌当接面に戻ること(ウエットバック)も効果的に防止することができる。
また、機能性シート1は、吸収性物品以外の用途に用いた場合、例えば、掃除シートとして使用した場合においても、ぬれた水を吸い取って吐き出さない、すなわち拭き残しが少なくなる性能が期待できる。
また、機能性シート1は、紙全体が対称面に接触することがないので、湿潤状態においてもシートの張り付きによる摩擦の増加がない(お掃除シートの場合等)。また、点接触となるので、圧力が紙全体に掛かることなく圧力を緩和できたり、易剥離性となる等の利点もある。
また、第1実施形態の機能性シート1は、消臭性能を有する粉体を、繊維状物が高坪量の第1領域2に、第2領域3における粉体の坪量よりも高く含ませている。消臭性能を高めるためには、できるだけすばやく液を透過させることが必要であり、厚みや坪量等が均一な紙に比べると、本発明のように厚みや坪量等が不均一の紙のほうが液の透過性に優れている。この場合、機能性シートの吸収量は繊維状物が多い第1領域2のほうが高くなるため、効果的に消臭性能を発現するためには粉体の坪量が高いほうが好ましい。一方で、第2領域3は繊維状物が少ないので、より液の透過性が高く、かつ、機能性シートの吸収量が少ないので、消臭剤は少なくてもよい。
第1実施形態の機能性シート1は、例えば、前記粉体、前記繊維状物及び水を含むスラリー組成物を原料として、湿式抄造法により製造するに際し、スラリー組成物中に下記特定の高分子凝集剤を配合することにより製造することができる。特に、前記粉体、前記繊維状物及び水を攪拌機を用いて混合して中間スラリーを製造し、次いで、該中間スラリーを希釈する工程において下記特定の高分子凝集剤を配合することがより好ましい。希釈の途中に代えて希釈後に配合することもできる。
下記特定の高分子凝集剤を配合することにより、バット(抄き槽)内の原料スラリー中に、多量の繊維が凝集した巨大フロックを形成でき、その巨大フロックが抄き網上に堆積した部分が第1領域2となる。
より、斑を顕在化させる製造方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。
上記CSFの調整には、パルプスラリー全体を同時に叩解して調整してもよいが、
複数の叩解度のパルプを混合して調整してもよい。すなわち、CSFが300ml未満、好ましくは100〜300mlになるように、極端に叩解を高めたパルプスラリーAと、殆ど叩解を施さず、CSFを500〜900ml、好ましくは600〜800mlであることパルプスラリーBを適宜混合して調整することができる。この場合、叩解度を高めた、すなわちCSFの値が低いパルプは互いに絡み合い、凝集し易くなるため、斑のあるシートを得ることができる。
別の作成法としては、パルプに加えて、レーヨンやコットンなどの親水性長繊維(繊維長として、5〜30mm程度)を適宜混合することにより、斑を形成することができる。
あるいは、スラリー濃度を高めることによって、水中でのパルプ繊維、機能性粉体、同士の凝集を促進させることができる。この場合のスラリー濃度は、目的とする機能性シートの坪量、抄紙速度などによって変化するが、0.2〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%に調整して行う。なお、坪量の低い、10〜50g/m2のシートを、生産性を加味して、50〜100m/min程度の抄紙速度で製造する場合は、スラリー濃度は0.1〜
0.2重量%にて行うことが好適である。
あるいは、中アニオン性の高分子凝集剤を用いるのであれば、使用量を上限に近い点に設定する、強アニオン性高分子凝集剤(コロイド等量値で−5より低いもの)、キトサン(アミノ化セルロース)やカチオン化セルロース、カチオン化グアーガムなどの粒子または粉体状の凝集剤を適宜併用する方法などが挙げられる。
前記特定の高分子凝集剤は、アニオン系高分子化合物であり、分子量1000万以上の中アニオン性の凝集剤が好ましい。
中アニオン性高分子凝集剤とは、コロイド等量値で−2.0〜−5であるものをいう。コロイド等量の測定は以下のとおりである。
50ppm水溶液(純水で希釈)に希釈した中アニオン性高分子化合物を100mlメスシリンダーに採取して200mlビーカーに移す。回転子を入れて攪拌しながら2N水酸化ナトリウム溶液(和光純薬工業(株)製)0.5mlをホールピペットで加
えた後、N/200メチルグリコールキトサン溶液(和光純薬工業(株)製)5mlをホ
ールピペットで加える。トルイジンブルー指示薬(和光純薬工業(株)製)を2〜3滴入
れ、N/400ポリビニルアルコール硫酸カリウム溶液(和光純薬工業(株)製)で滴定
する。青色が赤紫色に変わり数秒経っても赤紫色が消えない点を終点とする。同様に純水にて空試験を行う(ブランク)。
コロイド当量値(meq/g)= {中アニオン性高分子化合物の測定値(ml)−空試験の滴定量(ml)}/2
好ましい中アニオン性高分子凝集剤としては、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アクリルアミド−2−アクリルアミド―2―メチルプロパンスルホン酸共重合体等が挙げられる。
中アニオン性高分子凝集剤は、一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中アニオン性高分子凝集剤は、分子量が1000万以上であり、好ましくは1300万〜 2100万、より好ましくは1500万〜1900万である。
尚、従来、紙や合成紙を湿式抄造により形成する場合に汎用されている凝集剤の分子量は、5万〜100万程度が一般的である。例えば、特許文献2の実施例1で用いているアニオン性凝集剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム,第一工業製薬株式会社製,商品名「HE1500F」)の分子量も33万程度である。
高分子凝集剤の使用量は、吸水性ポリマーの脱落の防止と、機能性粉体の種類と添加量によって適宜に決定することができ、特に制限されないが、例えば、繊維状物の重量に対して0.001重量%以上であることが粉体定着率の点から好ましく、繊維状物の重量に対して1.0重量%以下であることがシートの地合の点から好ましい。より好ましくは、繊維状物の重量に対して0.01〜0.5重量%である。
尚、スラリー組成物を調整する際には、必要に応じて、サイズ剤、着色剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の、抄紙の際に通常用いられる添加物を添加することもできる。
紙力剤としては、乾燥強度を増強させるための乾燥紙力増強剤と乾燥した紙が再びぬれたときの湿潤紙力を高めるための湿潤紙力増強剤、表面の毛羽立ちや繊維の脱落を抑える表面紙力増強剤が挙げられる。
湿潤紙力剤としては、例えばポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド、でんぷん、尿素ホルムアミド樹脂、メラミンホルムアミド樹脂、ジアルデヒドでんぷん、グリオキサール変性ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂等を用いることができる。
また、乾燥紙力増強剤としては、カチオン化でんぷん、カチオン系ポリアクリルアミド、アニオン系ポリアクリルアミド、ジアルデヒドでんぷん、植物ガム等を用いることができる。
湿潤紙力剤を配合することで、得られる抄造成形体に高い湿潤強度を付与することができる。湿潤強度を高めることは、抄造成形体を例えば使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成材料として用いる場合に、尿等によって該抄造成形体が濡れても破断しづらくなるという観点から有利である。従って、本発明の抄造成形体を加工機に組み込んで製品を製造する場合にもトラブルが一層発生しづらくなる。湿潤紙力剤は、一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述のスラリー組成物を原料として湿式抄造するには、例えば連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いることができる。また手漉きによるバッチ方式を用いてもよい。前記のスラリー組成物と、該スラリー組成物と異なる組成の組成物とを用いた多層抄き合わせによって機能性シートを成形することもできる。また、前記のスラリー組成物を抄造して得られた機能性シートどうしを多層に貼り合わせたり、該機能性シートに前記のスラリー組成物と異なる組成を有する組成物から得られた繊維シートを貼り合わせることによって、多層の繊維シートを成形することもできる。
抄造後の機能性シートは、抄造後の保形性の点や、機械的強度を維持する点から、含水率が70重量%以下、特に60重量%以下となるまで脱水させることが好ましい。脱水方法は例えば、吸引による脱水のほか、加圧空気を吹き付けて脱水する方法、加圧ロールや加圧板で加圧して脱水する方法等が挙げられる。
機能性シートは、これを積極的に乾燥させて水分を分離することにより、長期の保存安定性を高めることができる。機能性シートを乾燥させることは、乾燥後の繊維状物への粉体の担持力を高めてその脱落を抑える点等からも好ましい。機能性シートの乾燥方法は、機能性シートの厚さ、乾燥前の機能性シートの処理方法、乾燥前の含水率、乾燥後の含水率等に応じて適宜選択することができる。例えば、加熱構造体(発熱体)との接触、加熱空気や蒸気(過熱蒸気)の吹き付け、真空乾燥、電磁波加熱、通電加熱等が挙げられる。また、前述の脱水方法と組み合わせて両者を同時に実施することもできる。
次に、第2〜第5実施形態の機能性シート1A〜1Dについて説明する。
第2〜第5実施形態については、第1実施形態の機能性シート1と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、第1実施形態の機能性シート1についての説明が適宜適用される。
第2〜第5実施形態の機能性シートは、平面方向に、坪量の異なる2つの領域3,4を有し、それらの領域3,4それぞれに、更に坪量が相異なる領域1,2を含んでいる。
機能性シート1A〜1Dも、上述した機能性シート1と同様に、平面方向に、繊維状物の坪量が異なる2つの領域4,5、即ち、繊維状物の坪量が高い第3領域4と、繊維状物の坪量が低い第4領域5を有している。さらに、各領域4,5それぞれは、上述した機能性シート1と同様に、繊維状物の坪量が高い第1領域2(高坪量領域)と、繊維状物の坪量が低い第2領域3(他の領域)を有している。
第2実施形態の機能性シート1Aにおいては、図2(a)に示すように、第3及び第4領域4,5が、それぞれ平面方向の一方向(X方向)に延びるように形成されており、それらの第3及び第4領域4,5が、該一方向に交差する方向(Y方向)に交互に形成されている。第3領域4の幅W1及び第4領域5の幅W2は、それぞれ、1mm〜100mm、特に5mm〜50mmであることが好ましい。
第3領域4の幅W1、第4領域5の幅W2の組み合わせは、吸収性物品の寸法や物品にかかる外力、排泄物の種類によって変更する。例えば乳幼児用や大人用のおむつであればサイズ、大人用の尿取りパッドであれば設定吸収量によって適宜選択する。生理用のナプキンや低月例用のおむつにおいては、経血や軟便といった高粘性液を吸収しなければならないため、第3領域2の領域はできるだけ大きくすることが好ましい。
第3領域4内における第1領域2と第2領域3との混在状態、及び第4領域5内における第1領域2と第2領域3との混在状態は、それぞれ、第1実施形態の機能性シート1Aにおける第1及び第2領域と同様とすることができる。第3、第4実施形態の機能性シート1B,1Cにおける第1及び第2領域についても同様である。
第3、第4実施形態の機能性シート1B,1Cは、図2(b)、(c)に示すように、第3領域4のブロックが長手方向と幅方向に互いに間隔をおいて配置されている。図2(b)は第4領域5が長手方向直線状であるが、図2(c)は第3領域4が千鳥状に配されている。
幅方向、2つの第3領域4の間隔Wb1は、1mm〜100mm、特に5mm〜50mmであることが好ましい。長手方向、2つの第3領域4の間隔Wb2は、10mm〜100mm、特に20mm〜50mmであることが好ましい。また、第3領域4の幅Wb3は、10mm〜100mm、特に20mm〜50mmであることが好ましく、第3領域4の長さWb4は、10mm〜100mm、特に20mm〜50mmであることが好ましい。
第5実施形態の機能性シート1Dは、図2(d)に示すように、第3領域4が千鳥格子状に配されている。
第3領域4(格子の畝に相当する部分)の幅Wd1は、5mm〜50mm、特に10mm〜30mmであることが好ましい。また、互いの第3領域4の間隔Wd2、Wd3は、10mm〜100mm、特に20mm〜50mmであることが好ましい。Wd2とWd3は、互いに異なっていても同じ寸法でもよい。また、第3領域4(格子の畝に相当する部分)の部分は間欠(図示せず)になっていてもよい。また、第3領域4と第4領域5が逆の構造、すなわち第4領域5が格子の畝に相当する部分を形成していてもよい。
第2〜第5実施形態の機能性シート1A〜1Dは、前記粉体、前記繊維状物及び水を含むスラリー組成物を原料として、湿式抄造法により機能性シートを製造するに際し、各種抄紙機の抄き網に、目の細かい部分と目の粗い部分とを有するものを用いることにより製造することができる。この場合、第1実施形態の機能性シート1の好ましい製造方法で用いた特定の高分子凝集剤に代えて、従来汎用されている凝集剤を用いることができる。また、スラリー組成物の調整方法も特に制限されない。スラリー組成物を調整する際には、必要に応じて、サイズ剤、着色剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の抄紙の際に通常用いられる添加物を添加することができ、また、抄紙機としては、連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いることができる。また手漉きによるバッチ方式を用いることもできる。
本発明の機能性シートは、用途に応じて適宜の大きさに切断してシート状のまま各種用途に用いることもでき、また、小さく切り刻んでだり、加工により他の形状に変形させて用いることもできる。
本発明の機能性シートは、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、吸収性パッドなどの吸収性物品の構成材料、壁紙、シーツ、押入シート、箪笥シート、下駄箱シート、マット、靴インソール、マスク、フィルター類、ラッピング食品の中敷シートなどとして使用することができる。機能性シートを、吸収性物品の構成材料として用いる場合には、該シートを、例えば表面シートと吸収体との間、該吸収体内、又は該吸収体と裏面シートとの間に配することができる。また、該シートで、綿状パルプや吸水性ポリマー等の吸収性素材を被覆して吸収体となし、該吸収体を吸収性物品に用いることもできる。表面シートは、吸収性物品の使用時に使用者の肌に対向する側に配されるものであり、一般に液透過性である。吸収体は、表面シートと裏面シートとの間に配されるものであり、一般に液保持性である。裏面シートは、吸収体を挟んで、表面シートと反対の側、つまり使用者の肌から遠い側に配されるものであり、一般に撥水性ないし液不透過性である。
次に、第2発明の好ましい実施形態を本発明の第6実施形態として説明するが、第6実施形態については、第1発明の第1〜5実施形態の機能性シートと異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、第1〜5実施形態の機能性シートについての説明が適宜適用される。
第6実施形態の機能性シートは、機能性を有する粉体及び繊維状物を含むスラリー組成物から湿式抄造法によって得られる機能性シートであって、平面方向に、前記粉体の坪量が他の領域より高い高坪量領域を有している。
第2実施形態の機能性シートは、例えば、予め凝集させた粉体を、第1実施形態の抄紙ライン中に追加投入することによって製造することができる。第1実施形態と同様に、前記粉体、前記繊維状物及び水を、攪拌機を用いて混合して中間スラリーを製造し、次いで、該中間スラリーを希釈する工程において、予め凝集させた粉体スラリーを投入、特定の高分子凝集剤を添加することによって、粉体の凝集物が混在した機能性シートを得る。粉体の凝集を破壊しないために、凝集させた粉体スラリーは中間スラリー希釈後に配合することが好ましい。粉体の凝集には、例えば、粉体の電荷と相反する電荷を持つ凝集剤を用いる方法がある。
第1実施形態の機能性シートではアニオン性の高分子凝集剤を好ましい凝集剤として例示したが、第6実施形態の機能性シートの製造においては、粉体の電荷がアニオン性であればカチオン性凝集剤を使用することが好ましく、粉体の電荷がカチオン性であればアニオン性凝集剤を使用することが好ましい。
第6実施形態の機能性シートのように、粉体の坪量が高い領域を平面方向に分散させて配置した場合、粉体の有する機能、例えば消臭粒子の消臭性能の発現において好ましい効果が発揮される。
繊維と粉体の親疎水性が相反する場合、例えば、繊維にパルプを用いて疎水性粉体を組み合わせる場合、あるいは、繊維に合成パルプ(疎水性の合成繊維からなる短繊維)を用いる一方、粉体に親水性の材料を用いる場合、吸収性と機能性(例えば消臭性能)を発現する部位を分離することができる。すなわち、疎水部での液残りが抑えられ、ドライ感を付与することができる。
消臭を例にすれば、繊維が親水性である場合は吸収が繊維部(他の領域)で行われ、消臭剤存在部(高坪量領域)は液残りが少なく、また、液体で浸漬されて消臭剤の吸着サイトが失活するのを抑え、消臭性能を発現する(気-固での吸着、一部液-固での吸着)ことができる。一方、繊維が疎水性であれば、繊維部での液残りが押さえられ、親水性である粉体存在部で吸収と消臭(液-固での吸着)が可能である。上記の合成パルプとしては、例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を素材とするものが好適に用いられる。合成パルプは、その平均繊維長が0.9〜1.5mm程度であることが、木材パルプ等の天然パルプと同様に取り扱えるようになる点から好ましい。なお、粉体の高坪量領域を消臭剤存在部、また、他の領域を繊維部と便宜的に称したが、両領域ともに粉体及び繊維状物が存在している。
第6実施形態の機能性シートにおいては、粉体が1次あるいは凝集した粒子として繊維表面に付着して存在し、機能性シート内および表面に粉体のみの連続する層(長さ方向あるいは平面方向に連続的に存在しない)を形成していない。一方、予め繊維集合体であるシートを作成した後あるいは作成中に機能性粉体を散布した場合は、一般的に粉体を複数の繊維集合体ではさむ構造をなし、機能性シートの厚み方向に繊維集合体層−粉体層−繊維集合体層からなる層構造を形成している。この構造の違いに起因して、第6実施形態の機能性シートは、液体の浸透性に優れ、かつ、粉体と液体の接触が効率よく行われるために、高い機能性を発現することができる。
第2発明においては、材料の選択をすることによって、高坪量領域と他の領域による機能分けを行うことも可能であり、必要に応じて、一つのシート平面内に複数の機能を設定することもできる。
次に、本発明の吸収性物品のいくつかの実施形態について説明する。
図3は、本発明の吸収性物品の第1実施形態としての軽失禁パッド(吸収性物品)10を示す断面図である。図3に示す吸収性パッド10は、液透過性の表面シート11、防漏性の裏面シート12及びこれら両シート間に介在された吸収体13を具備している。
吸収体13は、繊維の集合体及び吸水性ポリマーを含む吸収性コア14を具備し、該吸収性コア14の表裏両面が、液透過性の被覆シート15,16により被覆されている。そして、吸収性コア14の表裏両面を被覆する被覆シート15,16のうち、少なくとも吸収性コア14の表面シート11側の面を被覆する被覆シート15が、本発明に係る機能性シートから構成されている。また、吸収性コア14の表面シート11側の面には、概ね吸収性パッド10の長手方向に延びるように溝14a,14aが形成されている。吸収性パッド(吸収性物品)10の長手方向は、着用時に着用者の前後方向と一致する方向である。
軽失禁パッド10における、表面シート11、裏面シート12及び吸収性コア14としては、この種の物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。吸収性コア14は、パルプ繊維からなる繊維集合体に吸水性ポリマーを保持させたももの等を用いることができる。吸収性コア14の裏面シート12側の面を被覆する被覆シート16は、本発明に係る機能性シートから構成されていても良いし、従来汎用されている、粉体を担持しない薄葉紙等から構成されていても良い。
尚、軽失禁パッド10は、失禁対策用に下着の内面に配して使用されるものである。
第1実施形態の軽失禁パッド10おいては、図4に示すように、吸収性コア14の表面シート11側の面を被覆する被覆シート15が、第1及び第2領域2,3を有する第1実施形態の機能性シート1から構成されている。
第1実施形態の軽失禁パッド10によれば、表面シート11を通過した液が、繊維状物が低坪量の第2領域3を通って、素早く吸収性コア14に移動すると共に、液戻りの際には、繊維状物が高坪量の第1領域2に液が集中して第1領域2中に捕捉される。そのため、肌当接面に液が戻ること(ウエットバック)による不快感等を効果的に防止することができる。また、第1領域2には、繊維状物に加えて粉体も集中しているため、該第1領域2に液が集中することにより、尿等の吸収した液の臭いを効率的に消臭することもできる。
また、第1実施形態の軽失禁パッド10においては、図4に示すように、機能性シート1の第2領域3が、吸収性コア14に形成された前記溝14a,14aと重なっている。そのため、第2領域3を透過した液が効率的に前記溝14a,14aを伝って、製品長手方向に拡散される効果を有する。そのため、吸収体全体が効率的に使用可能となり、液の吸収速度や吸収量の向上や、液戻りの低減が期待できる。
尚、第1実施形態の軽失禁パッド10における機能性シート1に代えて、上述した他の実施形態の機能性シート1A〜1D等を用いることもできる。
第2実施形態の軽失禁パッド10Aは、図5に示すように、表面シート11が、肌当接面(着用時に着用者の肌側に向けられる面)に凹凸を有している。また、吸収性コア14の表面シート11側の面を被覆する被覆シート15が、上述した第2実施形態の機能性シート1Aから構成されている。
また、機能性シート1の第4領域5が、該表面シート11の凹凸の凹部11aと重なっている。他方、機能性シート1の第3領域4が、該表面シート11の凹凸の凸部11bと重なっている。また、軽失禁パッド10Aの表面シート11側の面には、第1実施形態の溝14a,14aのような溝が形成されていない。
凹凸を有する表面シート11としては、各種公知のものを用いることができ、畝溝構造の凹凸を有するもの(例えば、特開平6−330443号公報、特開平7−119012号公報等に記載のもの)、長手方向及び幅方向に独立した凸部が多数形成されているもの(例えば、特開2004−154249号公報号公報、特開2004−166849号公報等に記載のもの)等を用いることができる。
機能性シート1の第4領域5が、該表面シート11の凹凸の凹部11aと重なっている程度は、少なくとも50%を超え、望ましくは70%を超えること好ましい。
ここで、機能性シート1の第4領域5と、表面シート11の凹凸の凹部11aとの重なりの程度の評価方法は以下のとおりである。
吸収性物品に予め245Paの加重を12時間掛けて、しわ等がない状態にした後測定を行う。吸収性物品の長さ方向全長を5等分した位置、計4箇所で、吸収性物品を厚さ方向に切断する。アクリル板に重りを載せ、2,45Paの圧力が掛かるように調整し、断面形状を観察して求める。4点の平均をとって、20%以上測定値が触れた場合はそのデータを削除し、別のサンプルを追加した。同様に幅方向を5等分し、同様の測定を行う。長さ方向、幅方向いずれか大きいほうの値を測定結果とする。
第2実施形態の軽失禁パッド10Aによれば、吸収性パッド10と同様に、肌当接面に液が戻ること(ウエットバック)による不快感等を効果的に防止することができ、また、尿等の吸収した液の臭いを効率的に消臭することができる。
また、第2実施形態の軽失禁パッド10においては、図5に示すように、機能性シート1の第4領域5が、該表面シート11の凹凸の凹部11aと重なっているため、第4領域5が低坪量であることと表面シート11の凹部11aによる効果とが相俟って第4領域5からの液の引き込み性に一層優れている。また、応力が凸部に集中することで、圧力下における液の吸収性や液戻り性が一層向上する。更に、液が第3領域4に集中することで、吸収した液の隠蔽性にも優れている。
第3実施形態の軽失禁パッド10Bにおいては、図6に示すように、吸収性コア14の長手方向の両側縁部14a(一方の側縁部のみ図示)それぞれが、上述した第2実施形態の機能性シート1Aから構成された被覆シート15によって被覆されている。具体的には、機能性シート1Aから構成された一枚の被覆シート15が、吸収性コア14の表裏両面を覆っており、吸収性コア14の長手方向の両側縁部14b(一方の側縁部のみ図示)も、該被覆シート15により被覆されている。
そして、機能性シート1Aは、繊維状物が低坪量の第4領域5が、吸収性コア14の長手方向の両側縁部14b(一方の側縁部のみ図示)に位置している。
第3実施形態の軽失禁パッド10Bによれば、吸収性コア14の表面シート11側の面が、機能性シート1Aからなる被覆シート15に覆われているため、第1実施形態の吸収性パッド10と同様に、肌当接面に液が戻ること(ウエットバック)による不快感等を効果的に防止することができ、また、尿等の吸収した液の臭いを効率的に消臭することができる。
また、第3実施形態の軽失禁パッド10Bにおいては、図6に示すように、機能性シート1Bの第4領域5が、吸収性コア14の側縁部14bを覆う部分に位置するため、吸収体13の幅方向の端部の柔軟性を向上させることができる。
尚、第3実施形態の軽失禁パッド10Bのように、吸収性コア14の長手方向の両側縁部を、該各側縁部に第4領域5が位置するように、機能性シート1Aにより覆わせるのに代えて、吸収性コア14の長手方向の両端部を、該各端部に第4領域5が位置するように、機能性シート1や1Aにより覆わせることもできる。
第4実施形態の吸収性物品においては、図7に示すように、吸収性物品(使い捨ておむつ)の一部が第3領域4である。第3領域4は、吸収性コアの表面シート側の面を被覆する機能性シート全面に形成されていなくてもよく、少なくとも一部、例えば排尿ポイント付近(ベビー用おむつであれば、おおむねおむつの長手方向中心線の前後部分)に形成されている。
第3領域4は第4領域5に比べて液透過性に優れるため、吸収性物品においてはスポット吸収性を付与することができる。吸収性物品に組み込まれて使用されるときの側部漏れを防止する観点から、吸収体の幅方向における第3領域4の幅W’は、吸収体の全幅W(図3参照)の20〜95%、特に50〜85%であることが好ましい。また、吸収体の長手方向における第3領域5L’(図7参照)は、吸収体の全長Lの20〜75%、特に30〜75%であることが好ましい。
第5実施形態の吸収性物品においては、図8に示すように、軽失禁パッドの一部、より具体的には、着用者の液排泄部に対向配置される液排泄部対向部に、第3領域4が位置している。第3領域4は、吸収性コアの表面シート側の面を被覆する機能性シートの全面に形成されていなくてもよく、少なくとも一部に形成されている。
第3領域4は第4領域5に比べて液透過性に優れるため、吸収性物品においてはスポット吸収性を付与することができる。
本発明は上記実施形態に制限されず、種々変更可能である。
本発明の機能性シートは、消臭性能を有する粉体を担持した機能性シート以外に、例えば、以下に示す各種機能性を有する粉体を含むものであっても良い。
例えば、被酸化性金属からなる粉体を含む発熱性能を有する機能性シートや、二酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの組み合わせ等の光触媒及びゼオライト、アルミナ、活性白土又はこれらの組み合わせ等の無機吸着剤等の粉体を用いた、光触媒機能を有する機能性シート、ゼオライト等の粉体を用いた、石油やアルコールの分離・分解用の機能性シート、マグネタイト等の磁性粉体からなる粉体を用いた機能性シート、酸化鉄からなる粉体を用いた、還元作用によって水素を発生する機能性シート、イオン交換樹脂からなる粉体を含いた、各種酵素の担体となる機能性シート、アパタイト等の粉体を用いた、生体複合材料用の機能性シート、炭酸カルシウム等の研磨剤からなる粉体を用いた、研磨機能を有する機能性シート等であっても良い。
また、本発明に係る機能性シートは、図7に示すように、2枚重ねて高吸収シートとして用いることもできる。2枚重ねることにより、複数の機能性シートの凹凸部が互いに空間を作りあうことによって、機能性シート内の吸水量に加えて、機能性シートの界面での吸水量が加わることによって、高吸水性シートを得ることができる。
本発明の吸収性物品は、軽失禁ライナーに代えて、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
〔消臭粒子の合成例〕
消臭粒子(銀担持ポリマー)を、以下に示す水中油型懸濁重合法により得た。
ヘプタン296gにモノマー(ジビニルベンゼン/2−ビニルピリジン=75/25)592.7g及び2,2’―アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65B、和光純薬工業(株)製)11.0gを溶解させ、これにポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−30、日本合成化学工業(株)製)15.6gを溶かした1600gの水溶液を加えて重合槽に仕込んだ。モノマー混合物と有機溶剤の溶解度パラメータはそれぞれ9.37、7.40であり、その差は1.97であった。ホモジナイザーを用いて、5000rpmで10分間撹拌することで乳化し、これを128rpmの撹拌条件下、60℃で6時間加熱することで重合した。これに1−ブタノールを750g加えた後、減圧乾燥を行い、水と有機溶剤を除いた。このようにして得られた粒子100gに対し、水263g、イソプロパノール23g、酢酸銀0.5g、クエン酸1.0gを加え、室温で1時間撹拌し、担持処理を行った。これを濾過し、乾燥することによって消臭粒子を得た。消臭粒子の体積平均径は23.5μmであった。得られた消臭粒子のBET比表面積は、234m2/gであった。体積平均径及びBET比表面積は次の方法で測定した。
体積平均径:消臭粒子をヘキサンに分散させた状態でコールターカウンター(Coulter Corporation製)により測定した。
BET比表面積:フローソーブ2300(島津製作所製)を用いてBET1点法により求めた。吸着ガスは、窒素30体積%、ヘリウム70体積%のガスを用いた。試料の前処理として、120℃で10分間、吸着ガスの流通を行った。その後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求めた。試料の質量で除して比表面積を求めた。
銀イオン含有率:硝酸銀又は酢酸銀を担持した消臭粒子中の銀イオン含有率は、モノクロ励起EDX蛍光X線を用いて測定した。
〔手漉き抄紙機でのシート化〕
上記のようにして得た消臭粒子をそれぞれ用いて、該消臭粒子を担持した粉体含有シート(以下、粒子付着シートともいう)を製造した(実施例1,2,比較例1,2)。
〔実施例1〕
針葉樹クラフトパルプ100重量部に、水5000重量部を十分混合し、パルプスラリーを得た(スラリー中におけるパルプ濃度は2%)。パルプは叩解によってそのCSFが550mlに調整した。さらに、合成例によって合成した消臭粒子(銀担持ポリマー)1重量部を加えて攪拌した。得られたスラリーの希釈を行い、希釈工程中に湿潤紙力剤(WS4024 星光PMC社製)を添加した後、高分子化合物(PAM−P、住友精化社製、中アニオン性アクリルアミドアクリルアミド−アクリル酸共重合体、平均分子量1700万)添加して0.15%スラリー原料を得た。湿潤紙力剤濃度はパルプに対して0.5%、高分子化合物濃度はパルプに対して0.025%であった。このスラリーを原料として手漉き抄紙機(300mm×300mm)を用いて抄紙を行い、粒子付着シートを得た。その坪量は20g/m2であった。得られた粒子付着シート(機能性シート)は、繊維状物の坪量が高い第1領域2と同坪量が低い第2領域3を有し、第1領域2の坪量が18g/m2、第2領域3の坪量が13g/m2であった。
粒子付着シート中の銀を定量(銀イオン含有率を測定し、第1領域2、第2領域3を含め、粒子付着シートの単位重量あたりの消臭粒子の存在量を算出)することによって算出した、仕込み量に対する粒子付着シート中の消臭粒子の存在比率は、88%であった。
次に、吸収体として、開繊したフラッフパルプ100重量部と吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合したものを積繊して、合計坪量200g/m2の積繊体を得た。積繊体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した上記粒子付着シートで包みこんだ。この時、得られた吸収体は、幅70mm、長さ210mmに切断して使用した。得られた吸収体を用いて、花王(株)製軽失禁パッド(フリーデイデオドラントライナー中量用)の吸収体を除く他の材料を用い、該軽失禁ライナーと同様構造の軽失禁ライナーを作成した。
〔実施例2〕
実施例1の配合を用いて、300×300mmの手漉き抄紙機の金網上に、全幅にわたって、幅20mm、間隔30mmで目止めを施し(合計4組)、実施例1で用いた原料を用いて手漉きを行った。得られた紙は坪量15g/m2の帯状の紙であった。この帯状の紙に、目止めをせずに抄紙した坪量20g/m2紙を重ね、第3領域5の坪量は35g/m2、第4領域6の坪量は20g/m2の粒子付着シートを得た。
吸収体として、開繊したフラッフパルプ100重量部と吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合したものを積繊して、幅70mmで合計坪量200g/m2の積繊体を得た。積繊体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した上記粒子付着シートで包みこんだ。この時、粒子付着シートの第4領域6が吸収体中央部に来るようにした。得られた吸収体は長さ210mmに切断して使用した。
得られた吸収体を用いて、実施例1と同様に軽失禁ライナーを作成した。
〔実施例3〕
実施例2の積繊体の肌側面中央部に、幅30mmで長手方向連続の溝が形成できるようにエンボス処理を行った。得られた積繊体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した上記粒子付着シートで包みこんだ。この時、上記粒子付着シートの第4領域3が吸収体中央部の溝部に来るようにした。吸収体は長さ210mmに切断して使用した。得られた吸収体を用いて、実施例1と同様に軽失禁ライナーを作成した。
〔比較例1〕
針葉樹クラフトパルプ100重量部に、水5000重量部を十分混合し、パルプスラリーを得た(スラリー中におけるパルプ濃度は2%)。パルプは叩解によってそのCSFが550mlに調整した。さらに、合成例によって合成した消臭粒子(銀担持ポリマー)2重量部、水および湿潤紙力剤(WS4024 星光PMC社製)、分散剤としPEO(住友精化社製、ポリエチレンオキサイド)を添加して0.15%スラリー原料を得た。湿潤紙力剤濃度はパルプに対して0.5%、分散剤はパルプに対して0.025%であった。このスラリーを原料として手漉き抄紙機(300mm×300mm)を用いて抄紙を行い、全面ほぼ均一な粒子付着シートを得た。その坪量は20g/m2であった。仕込み量に対する粒子付着シート中の消臭粒子の存在比率は、40%であった。なお、比較例1では、実施例1〜3と同等の消臭性能を得るため、2倍の消臭粒子の配合量(仕込み量)を用いた。
得られた粒子付着シートで実施例1の吸収体を包み、以降実施例1と同様にして吸収体を得た。得られた吸収体を用いて、実施例1と同様に軽失禁ライナーを作成した。
〔比較例2〕
比較例1の均一なシートに替えて、レーヨン/ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維をカード機を用いてウエブを作成後、スパンレース処理して坪量40g/m2の不織布を得た。得られた不織布はスパンレース処理をした痕跡として、直径0.5mm程度の多数の孔が開いている。得られたスパンレース不織布で実施例1の吸収体を包み、以降実施例1と同様にして吸収体を得た。レーヨンは1.7dtex、38mmのものを、PET繊維は2.3dtex、51mmのものを用いた。得られた吸収体を用いて、実施例1と同様に軽失禁ライナーを作成した。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得た吸収体について、吸収性能及び液戻り防止性を評価するため、以下に示す方法により吸収容量及び液戻り量を測定した。
これ以降、性能に関る測定はn=3で測定し平均値を測定値とした。
〔液戻り性〕
上述の吸収性能を評価したものと同様に試験サンプルを作成した。
吸収体長手方向中央部、幅方向中央部に内径35mmの円筒を置き、生理食塩水30gを高さ10mmになるように液を維持しながら注入した。円筒最下部には製品全体を覆える大きさでアクリル板が備えられている(厚さ5mm、長さ250mm、幅100mm)。この時、吸収に要した時間を測定した。吸収開始から10分後に、再度30gを注入、吸収時間を測定し、合計60gの生理食塩水を吸収させた。なお、吸収時間の評価としては2回目の吸収に要した時間を評価値とし、時間が短いのほど性能が良好であることを示している。
予め、ろ紙(アドヴァンテックNo.5A)を100mm×100mmに切断し、30枚重ねにしたものを準備し(重量測定W1)、2回目の注入開始後10分後に、注入点を中心として吸収体上に載せ、厚さ5mm、100mm×100mmのアクリル板を介して、3.5kPaの圧力を掛け、2分後にろ紙の重量を測定し(W2)、次式のようにして、液戻り量を算出した。
液戻り量(g)=最初のろ紙の重量(W1)−加圧後のろ紙の重量(W2)
測定した吸収速度及び液戻り量を、下記評価基準により3段階評価し、その結果を表1に示した。
〔評価基準〕
吸収時間
○:15秒以下
△:15秒を超え30秒未満
×:30秒以上
液戻り量
○:0.3g未満
△:0.3g以上0.5g未満
×:0.5g以上
〔機能性シートの吸収性ポリマー脱落防止性評価〕
吸収性ポリマー10g(サインダイヤポリマー製IM930)を振とう機(レッチェ社製、AS200型)を用いてふるい分けを行った。使用したふるいはJIS Z 8801で規定された東京スクリーン社製の標準ふるいであり、目開き850、600、500、355、300、250、150のものを用いた。この時、目開き850μmのふるいと目開き600μmのふるいの間に、各種シートを挟みこんだ。振とうの条件は、50Hz、振幅0.5mm、10分間で行った。シートを通過した吸収性ポリマーの総量を脱落量とした。測定は3回行い、平均値を求めた。
脱落量を下記評価基準により3段階評価し、その結果を表1に示した。
〔評価基準〕
脱落量
○:50mg未満
△:50mg以上100mg未満
×:100mg以上
〔消臭能の評価方法〕
成人男性5名の尿を各100ml混合した人尿500mlを調整する。前述のようにして得られた各モデル吸収性物品に人尿30gを吸収させ、容積1.2リットルの密閉容器(タイトボックスNo.3:蝶プラ工業株式会社製)中に素早く入れて気密状態にした。60分後に該容器の蓋を開け、容器中の臭いを5名のモニターに評価させた。その評価基準は以下の通りである。5人の評価の平均を算出し、その値を臭気強度の官能値として表1に示した。官能値は、その値が小さいほど臭気が弱いことを意味する。なお、使用した人尿は、実施例及び比較例で全て同じものを用いた。
〔評価基準〕
3.0;尿特有の匂いを強く感じる
2.0;尿特有の匂いを感じる
1.0;匂いを感じるが、尿臭の匂いとは感じられない
0.0;匂いがしない
Figure 0005180617
本発明の機能性シートの一実施形態を示す斜視図である。 本発明の機能性シートの他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の吸収性物品の一実施形態である軽失禁パッドの幅方向に沿う断面(一部)を模式的に示す断面図である。 図3に示す吸収性物品の一部を拡大して示す拡大断面図である。 本発明の吸収性物品の他の実施形態である軽失禁パッドの幅方向に沿う断面(一部)を模式的に示す断面図である。 本発明の吸収性物品の他の実施形態である軽失禁パッドの幅方向に沿う断面(一部)を模式的に示す断面図である。 本発明の吸収性物品の更に他の実施形態である使い捨ておむつを示す斜視図である。 本発明の吸収性物品の更に他の実施形態である軽失禁パッドを示す斜視図である。 本発明の吸収性シートの使用形態の一例を示す断面図である。
符号の説明
1,1A〜1D 機能性シート
2 第1領域(繊維状物の坪量が高い領域)
3 第2領域(繊維状物の坪量が高い領域)
10,10A〜10B 軽失禁パッド(吸収性物品)
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14 吸収性コア
15 被覆シート
16 被覆シート

Claims (5)

  1. 機能性を有する粉体及び繊維状物を含むスラリー組成物から湿式抄造法によって得られる機能性シートであって、
    平面方向に、前記粉体の坪量が他の領域より高い高坪量領域を有している機能性シート。
  2. 前記粉体が消臭性能を有する請求項1記載の機能性シート。
  3. 液透過性の表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、前記吸収体は、繊維の集合体及び吸水性ポリマーを含む吸収性コアを具備し、請求項1又は2記載の機能性シートが、該吸収性コアの少なくとも前記表面シート側の面を被覆している、吸収性物品。
  4. 前記吸収性コアが、前記表面シート側の面に溝を有し、前記機能性シートの前記高坪量領域と前記他の領域のうち、前記他の領域が、該溝と重なっている、請求項記載の吸収性物品。
  5. 前記表面シートが、肌当接面に凹凸を有し、前記高坪量領域と前記他の領域のうち、前記他の領域が、該表面シートの凹凸の凹部と重なっている、請求項記載の吸収性物品。
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