以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
図1は、本発明における遊技機1の外観構成の一例を示す正面図である。図1には、XYZ三次元座標系を示しており、この座標系は他の図においても共通している。X軸は遊技機1に対して水平な左右横方向を示しており、Y軸は遊技機1に対して水平な前後方向を示している。またZ軸は遊技機1に対して垂直な上下縦方向(高さ方向)を示している。この遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。
図1に示すように、遊技機1は、遊技機本体1aの正面側に開閉可能に取り付けられた前枠部材3を備えている。前枠部材3は、その中央に透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有している。遊技者は、この透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から遊技機本体1aに取り付けられる遊技盤10を視認可能である。前枠部材3は、窓部2の下部右側に、遊技者が操作するハンドルレバー4を備えている。遊技者がこのハンドルレバー4を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で打ち出されるようになっている。
また前枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
図2は、本実施形態における遊技盤10の一例を示す正面図である。遊技盤10は、正面側に相当する遊技盤面10aに、外側レール11と内側レール12とで囲まれた遊技領域13を有している。この遊技領域13は、前枠部材3の透明ガラス板2aを介して遊技者が視認可能である。遊技者がハンドルレバー4を操作することによって打ち出される遊技球は、遊技領域13の左側に設けられた外側レール11と内側レール12の間の空隙から遊技領域13の上部に打ち出される。
遊技領域13の内側には、遊技盤10の略中央に位置するように液晶表示デバイスなどで構成された画像表示器8が設けられており、さらにその画像表示器8の周縁にはセンター役物などとも呼ばれる飾り枠体14が設けられている。画像表示器8は、演出のための各種の画像を表示するためのものであり、遊技の進行に伴い、例えば大当たり抽選の結果を、1〜9などの数字を付した複数の装飾図柄によって報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したり、或いは、リーチ演出として各種の動画像を表示したりする。飾り枠体14は画像表示器8の画面枠を規定している。この飾り枠体14には種々のランプや可動物などの演出用役物が配置されており、画像表示器8において表示される各種演出と連動した演出を行うように構成されている。
遊技領域13の内側において飾り枠体14の周囲には、多数の釘15、スルーゲート16(16a,16b)、風車17、普通入賞口18、第1始動口19、電動チューリップ20、第2始動口21、大入賞口22、大入賞口22を開閉する開閉扉23、アウト口24等の公知の部材が配置されている。
また遊技領域13の外側で遊技盤面10aの右下部には、複数のLED表示素子で構成される表示器25が設けられている。この表示器25は、遊技機1における各種抽選結果を表示したり、遊技機1の状態などを表示したりするものである。例えば、表示器25は、特別図柄の変動表示を行って大当たり抽選の結果に応じた特別図柄の表示を行ったり、普通図柄の変動表示を行って普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄の表示を行ったりする。また表示器25は、特別図柄の変動表示に関する保留数を表示したり、普通図柄の変動表示に関する保留数を表示したりすることもできるようになっている。
図2の例において、スルーゲート16は、遊技領域13の左右2箇所に設けられている。すなわち、画像表示器8の左側にスルーゲート16aが設けられており、画像表示器8の右側下方にスルーゲート16bが設けられている。これらスルーゲート16a,16bは、遊技機1において普通図柄抽選が行われる条件となるゲートであり、遊技球がこれらのゲートを通過すると普通図柄抽選が開始される。ここで普通図柄抽選とは、電動チューリップ20を開放するか否かを決定する抽選である。
普通入賞口18は飾り枠体14の左下部に少なくとも1つ設けられている。普通入賞口18は、遊技球が入球した場合、所定球数の賞球を払い出すための入賞口である。
第1始動口19は飾り枠体14の中央下方に設けられており、電動チューリップ20および第2始動口21は第1始動口19の更に下方に設けられている。電動チューリップ20は、第2始動口21への遊技球の入球を補助するための補助部材であり、左右に開閉する羽根部材を備えている。この電動チューリップ20が左右に開放していれば遊技球が第2始動口21に入球し易い状態となる。これに対し、電動チューリップ20が左右に開放していない閉鎖状態は、遊技球が第2始動口21に入球し難い状態となる。この電動チューリップ20は、遊技球がスルーゲート16a,16bを通過したことに伴って行われる普通図柄抽選に当選すると、左右の羽根部材が遊技状態に応じて所定時間および所定回数開放する。
第1始動口19および第2始動口21のそれぞれは、所定球数の賞球を払い出すための入賞口であると共に、遊技機1において大当たり抽選(大当たり判定)が行われる条件となる入賞口である。第1始動口19に遊技球が入球した場合には第1の大当たり判定が行われ、第2始動口21に遊技球が入球した場合には第2の大当たり判定が行われる。つまり、これら始動口19,21に遊技球が入球すると、遊技機1において大当たり乱数を含む各種乱数が遊技データとして取得され、その取得した遊技データに基づいて第1の大当たり判定又は第2の大当たり判定が行われる。そして遊技機1において大当たり判定が行われると、表示器25における特別図柄の変動表示が開始されると共に、画像表示器8において装飾図柄の変動表示が開始される。また画像表示器8においては装飾図柄の変動表示と共に、さまざまなキャラクタの出現などによる各種の予告演出なども表示される。
大入賞口22および開閉扉23は、遊技盤10に取り付けられる盤面部品である可変入賞口装置9に設けられている。この可変入賞口装置9は、飾り枠体14の右下に取り付けられる。開閉扉23は、大入賞口22を開閉するシャッタであり、通常は大入賞口22を閉鎖した状態となっている。遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを条件として行われる大当たり判定において大当たり又は小当たりに当選すると、開閉扉23は、遊技盤10の前後方向に沿って進退移動することにより、その当たりの種類に応じた大入賞口開放遊技において大入賞口22を開閉する。
アウト口24は、上記各入賞口のいずれにも入球しなかった遊技球を遊技領域13の最下部で回収して遊技機1の背面側に排出するための排出口である。
次に遊技領域13における遊技球の通過ルートおよびそれらの通過ルートとハンドルレバー4の操作態様との関係について説明する。遊技者によるハンドルレバー4の操作によって遊技領域13の上部に打ち出された遊技球は、飾り枠体14の左右いずれか一方のルートを通る。すなわち、遊技球は、図2に示すように、ルートF1およびルートF2のいずれか一方のルートを通って、各種入賞口が設けられた遊技領域13を下方に向かって転動していく。遊技球が飾り枠体14の右側に形成されたルートF1を通って遊技領域13を下方に向かって転動していくことを「右打ち」といい、ルートF1を通るように遊技者がハンドルレバー4を操作する(回転させる)ことを「右打操作」という。これに対し、遊技球が飾り枠体14の左側に形成されたルートF2を通って遊技領域13を下方に転動していくことを「左打ち(非右打ち)」といい、ルートF2を通るように遊技者がハンドルレバー4を操作することを「左打操作(非右打操作)」という。
ハンドルレバー4の操作角度は所定角度範囲内に規制されており、その角度範囲内でハンドルレバー4を時計回りに略最大角度回転させた状態において「右打操作」状態となるように、発射ソレノイド等の遊技球発射機構の調整を行っている。
本実施形態の遊技盤10は、飾り枠体14、釘15、可変入賞口装置9、その他の様々な部材の配置構成により、ルートF2を通る遊技球が大入賞口22に入球する可能性が低くなっている。これに対し、ルートF1を通る遊技球は、大入賞口22に入球する可能性が高くなっている。そのため、遊技機1において大当たりが発生し、開閉扉23が大入賞口22を開閉するときに遊技球を大入賞口22に入球させるためには、遊技者は、ハンドルレバー4を最大角度回転させた右打操作状態とし、遊技球がルートF1を通過するように操作するようになる。
一方、ルートF2を通る遊技球は、第1始動口19に向かって転動していくように、多数の釘15や風車17などが配置されている。これに対し、ルートF1を通る遊技球は、第1始動口19に入球する可能性が低くなっている。つまり、本実施形態では、ルートF2を通過する遊技球は、第1始動口19に入球する可能性はあるが、ルートF1を通過する遊技球が第1始動口19に入球する可能性は極めて低くなるような盤面構成となっている。
電動チューリップ20および第2始動口21は、遊技領域13の中央下部に設けられており、ルートF1およびルートF2のいずれを通る場合でも、電動チューリップ20が左右に開放していれば遊技球が第2始動口21に入球する可能性があるのに対し、電動チューリップ20が閉鎖していれば遊技球が第2始動口21に入球する可能性は低くなるように設定されている。
第1始動口19又は第2始動口21に遊技球が入球すると、上述したように、遊技機1において大当たり抽選が行われる。この大当たり抽選において当選する当たりの種別として「大当たり」と「小当たり」の2種類の当たりがある。「大当たり」と「小当たり」のいずれの当たりに当選した場合でも、遊技機1は、大入賞口22を開放する大入賞口開放遊技(特別遊技状態)に移行する。ただし、その当たりの種類に応じて大入賞口開放遊技で大入賞口22が開閉する回数(ラウンド数)や、大入賞口22の1回あたりの開放時間が異なっている。つまり、大入賞口開放遊技には、大当たりに当選した場合の大当たり遊技と、小当たりに当選した場合の小当たり遊技とがある。また「大当たり」には、「長当たり」と「短当たり」の2種類の大当たりがあり、大当たり遊技には更に「長当たり」の場合の長当たり遊技と、「短当たり」の場合の短当たり遊技とがある。以下、さらに詳しく説明する。
「大当たり」の場合に「長当たり」が設定されると、その大入賞口開放遊技では、開閉扉23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が比較的長い時間(例えば30秒など)に設定される。そして「長当たり」の大入賞口開放遊技では、その1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口22を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。そのため、長当たり遊技に対応する大入賞口開放遊技では、開閉扉23が大入賞口22を開放している間に遊技球が大入賞口22に入球する可能性が高くなり、遊技者にとっては多くの賞球を獲得し得る遊技状態となる。
「大当たり」の場合で「短当たり」が設定されると、その大入賞口開放遊技では、開閉扉23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が比較的短い時間(例えば0.1秒など)に設定される。そして「短当たり」の大入賞口開放遊技では、その1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口22を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。この短当たり遊技に対応する大入賞口開放遊技では、開閉扉23が大入賞口22を開放する開放時間が遊技球の入球しにくい短い時間に設定されるため、大入賞口22が開放している間に遊技球が大入賞口22に入球する可能性は低く、遊技者にとっては多くの賞球を獲得することが困難な遊技状態となる。
一方、「小当たり」の場合、その大入賞口開放遊技では、「短当たり」の場合と同様に、開閉扉23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が比較的短い時間(例えば0.1秒など)に設定される。そしてその1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口22を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。したがって、小当たり遊技に対応する大入賞口開放遊技でも、「短当たり」の場合と同様に、大入賞口22の開放時間が遊技球の入球しにくい短い時間に設定されるので、大入賞口22の開放中に遊技球が大入賞口22に入球する可能性は低く、遊技者にとっては多くの賞球を獲得することが困難な遊技状態となる。
このように開閉扉23が大入賞口22を開閉する動作は、小当たり遊技の場合と短当たり遊技の場合とで、ほぼ同じ動作となっているので、遊技者は開閉扉23による大入賞口22の開閉動作からいずれの当たりに当選したのかを判別することが難しい動作態様となっている。
上記のように、本実施形態の遊技機1は、遊技盤10に設けられた第1始動口19及び第2始動口21に遊技球が入球したことを条件としてそれぞれの始動口に対応した大当たり判定を行い、大当たり又は小当たりに当選している場合にはその当たりの種類に応じて開閉扉23が大入賞口22を開放するように構成されている。
図3は、遊技盤10の背面側に取り付けられる遊技機1の制御機構を示すブロック図である。遊技盤10の背面側には、遊技機1の主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板200とが設けられている。サブ制御基板200は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、ランプ制御基板150等で構成されている。尚、図3では遊技球発射機能の図示を省略している。
メイン制御基板100は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。このメイン制御基板100には、遊技球が第1始動口19に入球したことを検知する第1始動口スイッチ31、遊技球が第2始動口21に入球したことを検知する第2始動口スイッチ32、電動チューリップ20を開閉駆動する電チューソレノイド33、遊技球がスルーゲート16を通過したことを検知するゲートスイッチ34、遊技球が普通入賞口18に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ35、遊技球が大入賞口22に入球したことを検知する大入賞口スイッチ36、開閉扉23を開閉駆動する大入賞口ソレノイド37、普通図柄表示器25a、普通図柄保留表示器25b、第1特別図柄表示器25c、第1特別図柄保留表示器25d、第2特別図柄表示器25eおよび第2特別図柄保留表示器25fが接続されている。尚、ゲートスイッチ34は、2つのスルーゲート16a,16bのそれぞれに設けられており、各スルーゲート16a,16bを遊技球が通過したことを個別に検知する。
普通図柄表示器25a、普通図柄保留表示器25b、第1特別図柄表示器25c、第1特別図柄保留表示器25d、第2特別図柄表示器25eおよび第2特別図柄保留表示器25fは、表示器25に含まれる表示器である。ここで、普通図柄表示器25aは普通図柄の変動表示を行って普通図柄の抽選結果を表示する表示器である。普通図柄保留表示器25bは、普通図柄の変動表示の保留数を表示する表示器である。第1特別図柄表示器25cは、第1始動口19に遊技球が入球することによって行われる第1の大当たり判定の結果に基づき、第1特別図柄の変動表示を行った後に第1の大当たりの判定の結果を表示する表示器である。第1特別図柄保留表示器25dは、第1特別図柄の変動表示の保留数を表示する表示器である。第2特別図柄表示器25eは、第2始動口21に遊技球が入球することによって行われる第2の大当たり判定の結果に基づき、第2特別図柄の変動表示を行った後に第2の大当たりの判定の結果を表示する表示器である。第2特別図柄保留表示器25fは、第2特別図柄の変動表示の保留数を表示する表示器である。
メイン制御基板100は、第1始動口スイッチ31、第1始動口スイッチ32、普通入賞口スイッチ35および大入賞口スイッチ36のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、払出制御基板120に対して賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技盤10の背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されており、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、入球した入賞口に応じて所定球数の払い出しを行う。
またメイン制御基板100は、上述の普通図柄の抽選や大当たり抽選(大当たり判定)を行うように構成されている。例えば遊技球がスルーゲート16a,16bを通過したことをゲートスイッチ34が検知すると、電動チューリップ20を開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド33を所定時間及び所定回数駆動させて電動チューリップ20を開放させる。また遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを第1始動口スイッチ31又は第2始動口スイッチ32が検知すると、その入球した始動口に応じて大当たり判定を行い、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を開始すると共に、その抽選結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。また遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを検知したとき、その始動口に対応する特別図柄が既に変動表示中である場合は、その入球に伴う特別図柄の変動表示を保留する。そして第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれか一方を当選図柄で停止させた場合には、その当たり種別に対応した大入賞口開放遊技へと移行させ、大入賞口ソレノイド37を駆動して開閉扉23を動作させると共に、その当たり種別に応じてサブ制御基板200の各部を制御する。
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えており、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて具体的な演出内容を決定し、画像制御基板140とランプ制御基板150とを制御する。例えば、メイン制御基板100から変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板130は、画像表示器8に表示する装飾図柄の変動パターンを決定して装飾図柄の変動表示を開始する。そしてメイン制御基板100から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板130は、メイン制御基板100における大当たり判定の結果に対応した停止図柄で装飾図柄の変動を停止させる。
画像制御基板140は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、VRAM144とを備えており、演出制御基板130からの指定に基づいて画像表示器8およびスピーカ5を制御することにより、画像表示器8におえる装飾図柄の変動表示を行うと共に、リーチ演出などの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器8に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器8に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。
ランプ制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて上述した枠ランプ6などを含む各種ランプ97を点灯させると共に、演出用役物などを駆動するための役物駆動部98を制御するように構成されている。
このように遊技機1は、メイン制御基板100によって各部の動作が制御されるようになっている。またメイン制御基板100は、遊技機1の遊技状態を制御する。例えば、第1特別図柄又は第2特別図柄が大当たり又は小当たりに当選した場合、遊技機1の遊技状態を大入賞口開放遊技へと移行させると共に、大入賞口開放遊技後の遊技状態をその当たりの種類に応じて制御する。
図4は、遊技機1における遊技状態の移行を示す状態遷移図である。この遊技機1には、主として、通常遊技状態ST1、大入賞口開放遊技状態ST2、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4、及び、潜伏確変遊技状態ST5の5つの遊技状態がある。このうち、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4、及び、潜伏確変遊技状態ST5の4つの遊技状態は、第1始動口19又は第2始動口21に遊技球を入球させることによって大当たり抽選を行いながら遊技を進行させる遊技状態である。このような遊技状態では、遊技機1における大当たり抽選で大当たりに当選する確率状態として、例えば1/300程度の所定の確率で大当たりに当選する通常確率状態と、その通常確率状態よりも大当たりに当選する確率が高くなる高確率状態との2つの状態がある。図例では、通常遊技状態ST1と時短遊技状態ST3とが通常確率状態となっており、確変遊技状態ST4と潜伏確変遊技状態ST5とが高確率状態となっている。
一方、大入賞口開放遊技状態ST2は、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4、及び、潜伏確変遊技状態ST5のそれぞれにおいて大当たり又は小当たりに当選した場合にそれらの遊技状態から移行し、開閉扉23が大入賞口22を開閉する遊技状態である。
遊技機1に電源が投入されると、遊技機1は通常遊技状態ST1として起動する。この通常遊技状態ST1では、大当たり抽選で大当たりに当選する確率は通常確率である。そのため、遊技者はハンドルレバー4を回転操作して第1始動口19又は第2始動口21に遊技球を入球させ、大当たりになることを期待しながら遊技を行う。この通常遊技状態ST1では、遊技球がスルーゲート16a又は16bを通過することにより普通図柄の抽選が行われると、普通図柄の変動時間は比較的長い時間(例えば29秒)に設定される。また普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ20を開放させる開放時間は比較的短い時間(例えば0.2秒)に設定される。そのため、通常遊技状態ST1では、普通図柄の変動時間が長く、しかも普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20が開放した場合でもその開放時間が短いので、遊技球が第2始動口21に入球する可能性は低くなっている。それ故、遊技機1が通常遊技状態ST1であるとき、遊技者はハンドルレバー4の操作角度を調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF2(左打)に導き、第1始動口19に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。
通常遊技状態ST1において第1始動口19又は第2始動口21に遊技球が入球して大当たり又は小当たりに当選すると、図4の矢印A1で示すように遊技機1は大入賞口開放遊技状態ST2へと移行する。この大入賞口開放遊技状態ST2には、上述したように、小当たりに当選した場合の小当たり遊技と、大当たりに当選した場合の大当たり遊技とがある。また大当たり遊技には、長当たり遊技と短当たり遊技とがある。これらのうち、遊技者が多くの賞球を得られる遊技は長当たり遊技のみである。他の遊技(小当たり遊技及び短当たり遊技)では多くの賞球を得ることは難しく、賞球数が0個の可能性もある。このような大入賞口開放遊技状態ST2では、遊技領域13の右下部に設けられた大入賞口22が開放されるため、遊技者はハンドルレバー4の操作角度を略最大角度に調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF1(右打)に導き、大入賞口22に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。ただし、小当たり遊技及び短当たり遊技の場合は、必ずしも遊技者が右打ち操作を行うとは限らない。
メイン制御基板100は、大入賞口開放遊技状態ST2が終了した後、遊技状態を、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4及び潜伏確変遊技状態ST5のいずれかに移行させる。具体的に説明すると、小当たり遊技が行われた場合、その大入賞口開放遊技状態ST2が終了すると、それ以前の遊技状態に移行させる。例えば、通常遊技状態ST1において小当たりに当選した場合、それに伴う小当たり遊技が終了すると、矢印A2で示すように大入賞口開放遊技状態ST2から通常遊技状態ST1へと移行させる。これに対し、大当たり遊技が行われた場合、その大入賞口開放遊技状態ST2が終了すると、メイン制御基板100は、その大当たりの種類に応じて大当たり遊技の終了後、矢印A3,A4,A5に示すように、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4及び潜伏確変遊技状態ST5のいずれかに移行させる。
時短遊技状態ST3では、遊技球がスルーゲート16a又は16bを通過することにより普通図柄の抽選が行われると、普通図柄の変動時間は比較的短い時間(例えば3秒)に設定される。また普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ20を開放させる開放時間は比較的長い時間(例えば3.5秒)に設定される。そのため、時短遊技状態ST3では、普通図柄の変動時間が短く、しかも普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20が開放されると、比較的長時間その開放状態が継続されるので、遊技球が第2始動口21に入球し易くなる。つまり、時短遊技状態ST3では、電動チューリップ20の開閉動作によって遊技球が第2始動口21に頻繁に入球するように補助される。したがって、時短遊技状態ST3では、遊技者はハンドルレバー4の操作角度を調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF1(右打)又はルートF2(左打)に導き、スルーゲート16a又は16bに通過させることで、電動チューリップ20を頻繁に開放させ、第2始動口21に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。この場合、開放した電動チューリップ20に補助されて遊技球が頻繁に第2始動口21に入球するので、遊技者は、持ち玉である遊技球をあまり減らすことなく、遊技を行うことができる。ただし、上述したように時短遊技状態ST3では、第1特別図柄及び第2特別図柄で大当たりに当選する確率は通常確率となっている。
このような時短遊技状態ST3は、第1特別図柄表示器25c及び第2特別図柄表示器25eにおける特別図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)行われるまで継続する。そして特別図柄の変動表示回数が所定回数になると、メイン制御基板100は、遊技機1の遊技状態を時短遊技状態ST3から通常遊技状態ST1へと移行させる(図6の矢印A6)。遊技状態が時短遊技状態ST3から通常遊技状態ST1へと移行すると、電動チューリップ20の開放間隔が長くなり、しかも1回当たりの開放時間が短くなるので、遊技球を頻繁に第2始動口21に入球させることが難しい状態となる。
尚、時短遊技状態ST3において第1特別図柄又は第2特別図柄が大当たり又は小当たりに当選すると、図6の矢印A7で示すように、メイン制御基板100は、時短遊技状態ST3からそれに対応した大入賞口開放遊技状態ST2へと移行させる。
確変遊技状態ST4では、遊技球がスルーゲート16a又は16bを通過することにより普通図柄の抽選が行われると、普通図柄の変動時間は比較的短い時間(例えば3秒)に設定される。また普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ20を開放させる開放時間は比較的長い時間(例えば3.5秒)に設定される。そのため、確変遊技状態ST4では、時短遊技状態ST3と同様に、普通図柄の変動時間が短く、しかも普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20が開放されると、遊技球が第2始動口21に入球し易くなる。つまり、確変遊技状態ST4においても、電動チューリップ20の開閉動作によって遊技球が第2始動口21に頻繁に入球するように補助される。したがって、確変遊技状態ST4では、遊技者はハンドルレバー4の操作角度を調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF1(右打)又はルートF2(左打)に導き、スルーゲート16a又は16bに頻繁に通過させることで、電動チューリップ20を頻繁に開放させ、第2始動口21に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。この場合、開放した電動チューリップ20に補助されて遊技球が頻繁に第2始動口21に入球するので、遊技者は、持ち玉である遊技球をあまり減らすことなく、遊技を行うことができる。また確変遊技状態ST4では、上述したように、第1特別図柄及び第2特別図柄で大当たりに当選する確率が通常確率よりも高い高確率状態となっている。
このような確変遊技状態ST4は、例えば第1特別図柄又は第2特別図柄で次回の大当たりが発生するまで継続する。そのため、大入賞口開放遊技後の遊技状態が確変遊技状態ST4に移行すると、遊技者は、次回の大当たり当選まで持ち玉である遊技球をあまり減らすことなく、遊技を行うことができる。特に確変遊技状態ST4は、大当たりの当選確率が高確率状態であるため、遊技者の持ち玉をあまり減らすことなく、しかも比較的早期に次回の大当たりに当選する可能性の高い遊技状態となっている。
そして確変遊技状態ST4において第1特別図柄又は第2特別図柄が大当たり又は小当たりに当選すると、図6の矢印A8で示すように、メイン制御基板100は、確変遊技状態ST4からそれに対応した大入賞口開放遊技状態ST2へと移行させる。
潜伏確変遊技状態ST5では、上述したように、次回の大当たりに当選する確率が通常確率よりも高い高確率状態となるが、それ以外の遊技状態は通常遊技状態ST1と同様である。
ここで確変遊技状態ST4と潜伏確変遊技状態ST5との違いについて説明する。遊技機1の遊技状態が確変遊技状態ST4に移行すると、その確変遊技状態ST4では遊技機1において大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動したことを報知する演出が行われる。そのため、確変遊技状態ST4に移行した場合は、遊技者が大当たり抽選における当選確率が高確率状態に移行したことを容易に把握することができる遊技状態となる。また確変遊技状態ST4では、上述したように電動チューリップ20が頻繁に開放されるので、遊技者は持ち玉をあまり減らすことなく遊技を進行させていくことができる。これに対し、遊技機1の遊技状態が潜伏確変遊技状態ST5に移行すると、その潜伏確変遊技状態ST5では遊技機1において大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動したことは、通常、遊技者に対して報知されない。そのため、潜伏確変遊技状態ST5に移行した場合は、遊技機1の遊技状態そのものは外見上、通常遊技状態ST1と何ら変わるところがないので、遊技者が潜伏確変遊技状態ST5に移行したことを明確には把握することができない遊技状態となる。また潜伏確変遊技状態ST5では、電動チューリップ20が頻繁に開放しないので、遊技者の持ち玉は遊技を進行させることに伴って減少する。尚、潜伏確変遊技状態ST5では、遊技者は、通常遊技状態ST1と同様、ハンドルレバー4の操作角度を調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF2(左打)に導き、第1始動口19に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。
このような潜伏確変遊技状態ST5は、例えば第1特別図柄又は第2特別図柄で次回の大当たりが発生するまで継続する。そのため、大入賞口開放遊技後の遊技状態が潜伏確変遊技状態ST5に移行すると、遊技者は、次回の大当たり当選まで持ち玉を減少させながら遊技を行うことになる。ただし、上述したように潜伏確変遊技状態ST5では、大当たりの当選確率が通常確率状態よりも高い高確率状態となっているため、遊技者にとっては、通常遊技状態ST1で遊技を進行する場合よりも比較的早期に次回の大当たりに当選する可能性の高い遊技状態となっている。
そして潜伏確変遊技状態ST5において第1特別図柄又は第2特別図柄が大当たり又は小当たりに当選すると、図6の矢印A9で示すように、メイン制御基板100は、潜伏確変遊技状態ST5からそれに対応した大入賞口開放遊技状態ST2へと移行させる。
次に、大入賞口開放遊技状態ST2において動作する可変入賞口装置9について説明する。図5および図6は、遊技盤10に取り付けられる可変入賞口装置9を拡大して示す斜視図であり、図5は開閉扉23が大入賞口22を閉鎖した状態を、図6は開閉扉23が大入賞口22を開放した状態を示している。
可変入賞口装置9には、凹状に形成された大入賞口22が形成されている。この大入賞口22は、図6に示すように、遊技盤10の盤面から前方に張り出した左右の側壁(側端部)45,46によって区成された入賞球転動領域22aと、入賞球転動領域22aへの入口22bとによって構成される。入賞球転動領域22aへの入口22bは、図6において破線で示すように、入賞球転動領域22aを構成する左右の側壁45,46の上端部を含む面内に形成され、入賞球転動領域22aの上部に位置している。遊技球がこの入口22bを通って入賞球転動領域22aに入球すると、その遊技球は大入賞口22への入賞球となる。
また可変入賞口装置9は、図5および図6に示すように、大入賞口22の入賞球転動領域22aの上部において遊技盤10の前後方向に沿って進退移動することにより入賞球転動領域22aへの入口22bを開閉する平板状の開閉扉23を備えている。この平板状の開閉扉23は、遊技盤10の遊技盤面10aに対してほぼ直角となる状態に保持される。
本実施形態の可変入賞口装置9は、遊技盤10の右下部に取り付けられており、アウト口24の右側に位置している。そのため、可変入賞口装置9は、大入賞口22に入球しなかった遊技球をアウト口24が位置する左側に向けて転動させるように構成される。具体的には、平板状の開閉扉23は、左端部が右端部よりも下降した傾斜状態に設けられており、その傾斜状態のままで前後方向に進退する。また大入賞口22を構成する入賞球転動領域22aの左側の側壁45の上面は、大入賞口22に入球しなかった遊技球をアウト口24に向けて左方へ転動させるために左側に下降傾斜した転動路42となっている。さらに入賞球転動領域22aの右側の側壁46の上面は、大入賞口22に入球しなかった遊技球を右方へ転動させるために右側に下降傾斜した転動路41となっている。この転動路41を右方に転動して落下する遊技球は、大入賞口22の下方に設けられる転動路43に導かれる。この転動路43は、装飾板44の背面側を通って、遊技球をアウト口24に向けて左方へ転動させるために左側に下降傾斜している。尚、この転動路43の下部に、上述した表示器25が設けられている。
このような可変入賞口装置9は、遊技機1の遊技状態が、通常遊技ST1、時短遊技ST3、確変遊技ST4又は潜伏確変遊技ST5であるとき、図5に示すように開閉扉23が大入賞口22を構成する入賞球転動領域22aの上部に進出して入賞球転動領域22aへの入口22bを閉鎖した状態となっている。そして遊技機1が大入賞口開放遊技ST2に移行すると、可変入賞口装置9は、メイン制御基板100によって駆動され、図6に示すように開閉扉23が入賞球転動領域22aへの入口22bを開放することにより大入賞口22が開放された状態となる。大入賞口開放遊技ST2では、上述したように開閉扉23が大入賞口22を開閉する動作を所定回数行う。
図7は、開閉扉23が、大入賞口22、すなわち入賞球転動領域22aへの入口22b、を開閉することによる遊技球Bの挙動の一例を示す正面図であり、図7(a)は開閉扉23が大入賞口22を閉鎖した状態を、図7(b)は大入賞口22を開放した状態を示している。本実施形態では、可変入賞口装置9は、遊技盤10の右下部に設けられている。そのため、遊技者がハンドルレバー4を右打ち操作を行っている状態のとき、遊技球BはルートF1を通って可変入賞口装置9の右上の辺りに流入する。
このとき、図7(a)に示すように開閉扉23が大入賞口22を閉鎖した状態となっていると、遊技球Bは、入賞球転動領域22aに入球しないので大入賞口22への入賞とはならず、開閉扉23の上面傾斜に沿って左方へと転動していく。そして転動路42を左方へ転動していき、遊技球Bはアウト口24へと導かれる。また、この他にも、転動路41から転動路43に落下し、転動路43を左方へ転動していき、アウト口24へと導かれることもある。
一方、図7(b)に示すように開閉扉23が大入賞口22を開放した状態のとき、遊技球Bは、開放された入口22bを通って入賞球転動領域22aに入球し、大入賞口22への入賞となる。この遊技球Bは、入賞球転動領域22aの奥部に設けられた排出口から遊技盤10の背面側に排出されるときに大入賞口スイッチ36により大入賞口22への入賞球として検知される。
図8は、開閉扉23の駆動機構を示す図である。図8(a),(b)に示すように、開閉扉23の駆動機構は、大入賞口ソレノイド37と、回動部材51と、可動アーム53とによって構成される。尚、図8(a)は、大入賞口22を閉鎖した状態を示しており、図8(b)は大入賞口22を開放した状態を示している。
開閉扉23は、メイン制御基板100によって大入賞口ソレノイド37が駆動されることにより、遊技盤10の背面方向(+Y方向)にスライド移動する。大入賞口ソレノイド37は、左右横方向に沿って進退するプランジャ37aを備えている。このプランジャ37aは、メイン制御基板100によって駆動されていないときには、大入賞口ソレノイド37の内部に設けられたバネなどの付勢手段によって+X方向に進出した状態となっている。このとき、開閉扉23は、図8(a)に示すように遊技盤10の前面方向(−Y方向)に進出し、大入賞口22を閉鎖した状態となっている。
大入賞口ソレノイド37がメイン制御基板100によって駆動されると、プランジャ37aは付勢手段の付勢力に抗して大入賞口ソレノイド37の内側に引き込まれ、−X方向に移動する。これにより、開閉扉23は、図8(b)に示すように遊技盤10の背面方向(+Y方向)に移動し、大入賞口22を開放する。
プランジャ37aの先端部には、円盤状の係止部37bが設けられている。この係止部37bは、Y軸と平行な回転軸51a回りに回動する回動部材51と係合している。回動部材51は、プランジャ37aが大入賞口ソレノイド37の内側に引き込まれると、それに伴って回転軸51aを中心に反時計回りに所定角度回転する。この回動部材51には、回転軸51aから所定半径離れた位置に断面コ字状の保持部52が設けられている。この保持部52は、回動部材51が回転軸51a回りに回転すると、それに伴って回転する。このような保持部52の回転動作は、保持部52の高さ位置を変化させる。
可動アーム53は、X軸に平行な所定の回転軸53aを中心に回動可能である。可動アーム53の上端部は、開閉扉23に設けられた孔59に挿入された状態となっている。開閉扉23の孔59の周囲は、鉛直方向に立設する周壁が設けられており、可動アーム53の上端部はその周壁に対して押圧力を作用させることによって開閉扉23を前後方向に移動させる。すなわち、可動アーム53は回転軸53a回りに回動することによって開閉扉23をY軸に沿って前後方向へ移動させる。
この可動アーム53は、回転軸53aから所定半径離れた位置に、回動部材51の保持部52によって保持されたピン54を有している。このピン54は、回動部材51が回転軸51a回りに回転して保持部52の高さ位置が変化することに伴って上下動する。この上下動は、可動アーム53を回転軸53a回りに回転させる。このように、可動アーム53は、大入賞口ソレノイド37が駆動されると、図8(b)に示すように、回転軸53a回りに回転して開閉扉23を+Y方向へ移動させ、大入賞口22を開放する。また大入賞口ソレノイド37が駆動されない状態になると、付勢手段によってプランジャ37aが+X方向に移動して元の状態に復帰するので、それに伴い、可動アーム53は、図8(a)に示すように、回転軸53a回りに回転して開閉扉23を−Y方向へ移動させ、大入賞口22を閉鎖する。
上記のように、可変入賞口装置9は、開閉扉23が大入賞口22を閉鎖するとき、大入賞口ソレノイド37の駆動力ではなく、大入賞口ソレノイド37の内部に設けられたバネなどの付勢手段による付勢力によって開閉扉23が遊技盤10の正面側(−Y方向)へ移動するようになっている。
次に開閉扉23の先端部23aについて説明する。上記のように開閉扉23を前後方向にスライド移動させることによって大入賞口22を開閉する場合、例えば開閉扉23の先端部を鉛直壁面で構成すると、開閉扉23が大入賞口22を閉鎖するときに開閉扉23の先端部と透明ガラス板2aとの間に遊技球を挟み込んでしまう可能性が高くなる。そのため、本実施形態では、開閉扉23と透明ガラス板2aとの間に遊技球を挟み込んでしまう可能性を低くするために、開閉扉23の先端部23aを鋭利な形状にしている。
図9は、開閉扉23の先端部23aの構造を示す拡大断面図である。図9に示すように開閉扉23の先端部23aは、1点だけが前方に突出した形状となっており、その先端部23aの下部には法線斜め下向きのテーパ面23bが形成されている。開閉扉23の先端部23aを、このような形状にすることにより、開閉扉23が大入賞口22を閉鎖するときに開閉扉23と透明ガラス板2aとの間で遊技球を挟み込んでしまう可能性のある部分は、その先端部23aの一点のみであるので、遊技球の挟み込みが生じる可能性が低減する。
ただし、開閉扉23の先端部23aを上記のような形状にしても、先端部23aの一点で遊技球を挟み込んでしまう可能性がある。このとき、大入賞口22を閉鎖するために開閉扉23に作用する付勢力が強いと、遊技球は正面側と背面側の対称な2点が開閉扉23の先端部23aと透明ガラス板2aとの間で挟持された状態となって安定してしまい、大入賞口22に落下しなくなって開閉扉23が大入賞口22を閉鎖できない可能性がある。これを防止するため、本実施形態では、大入賞口22を閉鎖するための開閉扉23に作用する付勢手段の付勢力をなるべく小さくするようにしている。具体的には、万一、先端部23aの一点と透明ガラス板2aとの間で遊技球を挟み込んでしまった場合でも、開閉扉23が遊技球を押圧する力よりも、遊技球に作用する重力が大きくなり、遊技球が自重で挟み込まれた状態から離脱して落下していくように付勢手段による付勢力が弱い力に設定されている。これにより、開閉扉23の先端部23aと透明ガラス板2aとの間で遊技球の前後2点を挟み込んでしまうような事態が生じても、遊技球に作用する重力によって遊技球はその挟み込まれた状態から離脱して大入賞口22に落下するようになる。その結果、開閉扉23は大入賞口22を良好に閉鎖することができる。
一方、開閉扉23を閉鎖するときの付勢力を上記のように小さくした場合でも、遊技球が大入賞口22の側壁45,46と接触した状態で、開閉扉23の先端部23aが透明ガラス板2aとの間で遊技球を挟み込んでしまうと、遊技球はその周囲の3点で挟持された状態となって安定してしまう可能性がある。特に本実施形態の場合には、遊技球は大入賞口22に対して右上から左側に向かって落下又は転動してくるので、入賞球転動領域22aの左端部において、側壁45の上端部と、開閉扉23の先端部23aと、その正面側に位置する透明ガラス板2aとの間で遊技球の周囲の3点を挟み込んでしまう可能性がある。このような場合、上述したように開閉扉23の付勢力を小さく設定していても、3点による遊技球の支持力が遊技球に作用する重力よりも強くなってしまう可能性があり、遊技球が落下せずに、開閉扉23を正常に閉鎖できない事態が生じ得る。そこで本実施形態では、そのような事態が生じることを良好に防止するため、大入賞口22の左側の構造を次のような構造としている。
図10は、可変入賞口装置9の装飾板44やその他の部材を取り去った状態を示す斜視図であり、図11はその正面図である。この可変入賞口装置9は、開閉扉23が閉鎖した状態のとき、入賞球転動領域22aの左側において、側壁45と開閉扉23とが互いに接合しているのではなく、それらの間に一定の空隙47を設けている。すなわち、開閉扉23において前方に突き出した先端部23aの左側の側端部23cが入賞球転動領域22aを構成する側壁45の上端よりも高い位置に設けられている。このような空隙47を設けることによって、遊技球の3点を挟み込んでしまう可能性を低減することが可能である。以下、さらに詳しく説明する。
図12は、入賞球転動領域22aの左端部を拡大して示す正面図である。開閉扉23の先端部23aの側端部23cは、上下縦方向(Z軸方向)に関し、図12に示すように、入賞球転動領域22aを構成する側壁45の上端部45aよりも所定高さHだけ高い位置に支持されている。ここで、所定高さHは、遊技球の半径以上であって、直径未満の高さである。一般的には遊技球の半径は5.5mmであるため、5.5mm≦H<11mmとなる。
また、開閉扉23の先端部23aの側端部23cは、左右横方向(X軸方向)に関し、図12に示すように、側壁45の上端部45aよりも所定幅Wだけ大入賞口22の入賞球転動領域22aの内側の位置に設けられる。ここで、所定幅Wは、遊技球の半径未満である。そのため、一般には0<W<5.5mmとなる。
このような配置構成とすることにより、遊技球が入賞球転動領域22aの側壁45と接触した状態で、開閉扉23の先端部23a(又は側端部23c)が透明ガラス板2aとの間で遊技球を挟み込んでしまうような状況が生じる場合でも、開閉扉23の先端部23aは、遊技球の上半球部の背面側に接触する。そのため、開閉扉23に作用する付勢力は、遊技球の上半球部の背面側を押圧し、遊技球に対して少なくとも下向きに移動させる力を生じさせる。
図13は、遊技球Bが入賞球転動領域22aの側壁45の上端部45aと、開閉扉23の先端部23aの側端部23cと、透明ガラス板2aとの間で挟み込まれる場合の一例を示す図である。例えば図13(a)に示すように、遊技球Bの最下点P1がX軸方向に関して開閉扉23の先端部23aの側端部23cと同じ位置にある状態で、遊技球Bの1点が側壁45の上端部45aと接触しているとき、開閉扉23が前方方向(−Y方向)に移動してくると、遊技球Bの周囲3点が、側壁45の上端部45aと、開閉扉23の先端部23aの側端部23cと、透明ガラス板2aとの間に挟まれる。このとき、開閉扉23の先端部23aの側端部23cは、遊技球Bの上半球部の背面側を前方に向かって押し出す(図13(b)参照)。この前方に向かって押し出す力は、遊技球Bを下向きに移動させるように作用し、重力と合成されて比較的大きな下向きの力が発生する。
このとき、遊技球Bの最下点P1が側壁45よりも入賞球転動領域22aの内側に位置していれば、遊技球Bは、図13(a)において矢印D1で示すように入賞球転動領域22aに向かって移動していく。そして遊技球Bが矢印D1に向かって移動していくことに伴い、開閉扉23はさらに前方向(−Y方向)へと進出していく。そして遊技球Bが入賞球転動領域22aに向かって落下していくと、開閉扉23は、入賞球転動領域22aへの入口22bを完全に閉鎖することができ、その結果、大入賞口22を正常に閉鎖することができる。
一方、遊技球Bの最下点P1が側壁45の上端部45aに位置する場合、開閉扉23の側端部23cが遊技球Bの上半球部の背面側を前方に向かって押し出しても遊技球Bは下向きに移動することができない。このような場合、開閉扉23に作用する付勢力は、遊技球の上半球部の背面側を押圧し、遊技球Bを左方向に移動させる力を生じさせる。
図14は、遊技球Bが入賞球転動領域22aの側壁45の上端部45aと、開閉扉23の先端部23aの側端部23cと、透明ガラス板2aとの間で挟み込まれる場合の別の例を示す図である。例えば図14(a)に示すように、遊技球Bの最下点P1がX軸方向に関して側壁45の上端部45aと同じ位置にある状態で、開閉扉23が前方方向(−Y方向)に移動してくると、遊技球Bの周囲3点が、側壁45の上端部45aと、開閉扉23の先端部23aの側端部23cと、透明ガラス板2aとの間で挟まれる。このとき、開閉扉23の先端部23aの側端部23cは、遊技球Bの上半球部の背面側の右寄りの位置を前方に向かって押し出す(図14(b)参照)。この前方に向かって押し出す力は、図14(a)に示すように遊技球Bの背面側において遊技球Bの最下点P1よりも右側の位置に作用しているため、遊技球Bを左向きに移動させるように作用する。
そのため、遊技球Bは、図14(a)において矢印D2で示すように転動路42に沿って左方向へ移動していく。そして遊技球Bが矢印D2に向かって移動していくことに伴い、開閉扉23はさらに前方向(−Y方向)へと進出していく。そして遊技球Bが転動路42を転動していくようになると、開閉扉23は、入賞球転動領域22aへの入口22bを完全に閉鎖することができ、その結果、大入賞口22を正常に閉鎖することができる。
このように本実施形態の可変入賞口装置9は、開閉扉23が大入賞口22を閉鎖するとき、開閉扉23の先端部23aと、大入賞口22の側壁45と、透明ガラス板2aとの3点で遊技球Bを挟み込んでしまうような状況になっても、その状態で遊技球Bを安定させることなく、大入賞口22の入賞球転動領域22aへと導いたり、或いは、転動路42へと導いたりすることが可能である。そのため、遊技球Bが咬み合って開閉扉23を正常に閉鎖できなくなるという事態が生じることを良好に防止できる。その結果、開閉扉23は、大入賞口開放遊技ST2の各ラウンドが終了する度に、大入賞口22を正常に閉鎖することができると共に、大入賞口開放遊技ST2が終了したときにも大入賞口22を正常に閉鎖することができる。
以上のように本実施形態の可変入賞口装置9は、遊技盤10の盤面前方に張り出した左右側壁45,46によって区成される入賞球転動領域22aを有し、その入賞球転動領域の上部を開放することによって遊技球を入賞球転動領域22aに入球させるための入口22bを形成すると共に、遊技盤10の前後方向に沿って進退移動する平板状の開閉扉23により入賞球転動領域22aへの入口22bを開閉する構成である。そして本実施形態では、特に、開閉扉23の側端部23cを、上下縦方向に関して入賞球転動領域22aの側壁45の上端よりも遊技球の半径以高い位置に設け、左右横方向に関して入賞球転動領域22aの側壁45の上端よりも入賞球転動領域22aの内側に設けた構成である。このような構成により、開閉扉23が透明ガラス板2aとの間で遊技球Bを挟み込むような状態になっても、その状態で遊技球Bを安定させずに遊技球Bを移動させることが可能になる。その結果、開閉扉23が大入賞口22を正常に閉鎖できるようになる。
ただし、本実施形態の可変入賞口装置9では、開閉扉23の先端部23aの側端部23cと、入賞球転動領域22aを構成する側壁45の上端部45aとの間の所定高さHを、遊技球の直径未満(例えば11mm未満)とすることが好ましい。これにより、開閉扉23が大入賞口22を開放していないにもかかわらず、空隙47を介して遊技球が大入賞口22に入賞してしまうことを防止することができる。
また開閉扉23の側端部23cが大入賞口22の入賞球転動領域22aの内側となる所定幅Wを、遊技球の半径未満(例えば5.5mm未満)とすることが好ましい。所定幅Wがこれよりも大きいと、開閉扉23が大入賞口22を閉鎖している状態であっても、入賞球転動領域22aの側壁45と、開閉扉23の側端部23cとの間に遊技球が嵌り込む可能性があるが、所定幅Wを遊技球の半径未満とすることによってそのような遊技球の嵌り込みを防止することができるようになる。
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば上記実施形態では、遊技盤10に可変入賞口装置9が取り付けられ、その可変入賞口装置9に対して大入賞口22と開閉扉23とが設けられる構成例を説明した。しかし、これに限られるものではなく、大入賞口22と開閉扉23とがそれぞれ別の盤面部品として遊技盤10に取り付けられるものであっても構わない。
また上記実施形態では、大入賞口22の入賞球転動領域22aが左右側壁45,46によって区成された領域である場合を例示した。しかし、入賞球転動領域22aは、必ずしも側壁45,46によって区成されるとは限らない。そのため、入賞球転動領域22aを区成する部材は壁に限られず、単なるリブやポールなどであっても良い。また遊技領域13に設けられる釘によって入賞球転動領域22aが区成されていても良い。すなわち、入賞球転動領域22aはその左右側端部によって区成された領域となれば、どのような部材によって区成されたものであっても構わない。
また上記実施形態では、入賞球転動領域22aの左側のみに空隙47を設けて遊技球の挟み込みを防止する例を説明した。これは、本実施形態において可変入賞口装置9が遊技盤10の右下部に取り付けられ、遊技者によって右打ち操作された遊技球が大入賞口22に対して右上から左方に向かって進入してくることに鑑みてなされたものである。すなわち、遊技球が大入賞口22に対して常に右上から左方に向かって進入してくる場合、大入賞口22の左側で遊技球の挟み込みが頻発する可能性があり、これを防止するために、上記実施形態では入賞球転動領域22aの左側のみに空隙47が設けられている。しかし、これに限られるものではなく、大入賞口22の左右両側に空隙47を設けて左右両側での遊技球の挟み込みを防止するようにしても良い。
また上記実施形態では、可変入賞口装置9が遊技盤10の右下部に取り付けられる場合を例示したが、これに限られるものでもない。例えば遊技盤10の中央下部に設けられても良いし、飾り枠体14の上部に設けられも良い。またその他の位置に可変入賞口装置9が取り付けられても構わない。
また上記実施形態では、可変入賞口装置9に大入賞口22が設けられる場合を例示したが、可変入賞口装置9に設けられる入賞口は必ずしも大入賞口に限られるものではなく、他の入賞口であっても構わない。