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JP5170938B2 - 床材、及び床材表面を保護する方法 - Google Patents

床材、及び床材表面を保護する方法 Download PDF

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JP5170938B2 JP2004282491A JP2004282491A JP5170938B2 JP 5170938 B2 JP5170938 B2 JP 5170938B2 JP 2004282491 A JP2004282491 A JP 2004282491A JP 2004282491 A JP2004282491 A JP 2004282491A JP 5170938 B2 JP5170938 B2 JP 5170938B2
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Description

本発明は、住宅等の床材に耐水性等を付与するために適用される水性塗料に関する。
従来、床材としては、合板に木質化粧単板を貼り合わせて塗装したもの、合板と中密度繊維板(MDF)を積層した積層体の前記MDF面に木質系化粧単板を貼り合わせて塗装したもの等が知られている。また、木質化粧単板側から合板又はMDFに達する深さの溝加工、面取り加工等を施し、溝部及び面取り部を設けて意匠性を向上させたものも知られている。
しかしながら、無垢の自然木材を薄くスライスして得られる木質化粧単板は、木材資源の枯渇又は世界的な資源保護運動の高まりから木材価格が高騰すると共に材質も低下し、従来のような良質な木材が入手困難になっている。
このため、木質化粧単板に代えて木目柄等の美麗な印刷を施した化粧シートが用いられるようになっている。この代表的なものとしては、合板に化粧シートを貼着したもの、合板とMDFを積層した積層板の前記MDF面に化粧シートを貼着したものが用いられている。
ところが、前者には木質化粧単板を用いたときと同様に、耐キャスター性、耐衝撃性等が劣るという問題、溝部及び面取り部に毛羽立ちやササクレ等が生じて靴下又はストッキングの繊維がこれに引掛り伝線するという問題等がある。また、後者には、木質化粧単板を用いたときと同様に、前記MDFの耐水性が低いために水の侵入によりMDFが膨らみ、意匠性を損なうという問題がある。
これに対し、例えば、特許文献1には、合板/合成樹脂層(バッカー層)/化粧シートからなり、バッカー層として特定の降伏点荷重、引張り弾性率及び降伏伸び率を有する床材用化粧材が提案されている。この床材によれば、優れた耐キャスター性、耐衝撃性、耐水性等を得ることが可能となる。ここで、バッカー層は、床材に加わった衝撃を緩衝する役目を有し、床材に耐キャスター性、耐衝撃性等を付与し得るものである。バッカー層としては、一般に厚みが200μm以上の合成樹脂層が用いられる。
しかしながら、上記のような合成樹脂層を有する床材用化粧材を木材に積層して床材を構成した場合、必然的に合成樹脂層と積層される木材との熱膨張係数に差があるため、合成樹脂層及び木材の一方の熱膨張又は収縮が大きくなり、他方が追従できなくなると、床材にそりが発生する。熱膨張差を軽減するためには、合成樹脂層の厚みを薄くする対策が考えられるが、合成樹脂層を薄くすればそれだけ耐キャスター性、耐擦傷性等が低下するという問題が生じる。
特開2003−239517号公報
上記問題に関し、木質材料上に合成樹脂層(バッカー層)及び化粧シートを順に積層してなる床材であって、化粧シート側から木質材料に達する溝を設けることによって、当該合成樹脂層及び化粧シートが2以上の独立した区画に区分されている床材の開発が進められている。この場合、上記溝には木質材料を保護するためのコーティングが必要となる。
ところが、上記床材の場合は、木質材料とともに合成樹脂層も露出しているため、合成樹脂層も同時にコーティングされる。この場合、塗膜が合成樹脂層から剥離すると、木質材料上のコーティングも連続的に剥離するおそれがある。
従って、本発明は、木質材料及び合成樹脂の双方に有効な(密着性が高い)塗料を提供することを主な目的とする。
本発明者は、従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定組成を有する塗料が上記目的を達成できることを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の水性塗料に係る。
1. 木質材料上に1)厚さ200μm以上の非晶性ポリエチレンテレフタレートを含む合成樹脂製バッカー層と2)化粧シートとを順に積層してなる積層体からなり、当該合成樹脂製バッカー層及び木質材料の双方が露出した面に、アクリルウレタン系樹脂を含む水性組成物からなる水性塗料を用いた保護層が形成されており、且つ、前記合成樹脂製バッカー層及び木質材料の双方が露出した面は、前記化粧シート側から合成樹脂製バッカー層を貫通して木質材料に達する溝部及び面取り部分である、床材
. 水性組成物が、さらに硬化剤を含む上記項1記載の床材。
. 水性組成物が、さらにシリコンを含有する上記項1又は2記載の床材。
. 水性塗料が、エマルションの形態である上記項1〜のいずれかに記載の床材。
. 合成樹脂製バッカー層及び木質材料の双方が露出した面が、合成樹脂製バッカー層と木質材料が接する境界線を含む領域である上記項1〜のいずれかに記載の床材
. アクリルウレタン系樹脂を含む水性組成物からなる水性塗料により床材表面を保護する方法であって、
(1)床材が、請求項1〜のいずれかに記載の床材であり、
(2)当該合成樹脂製バッカー層が、単層又は2層以上の層構造を有し、
(3)a)単層の場合は当該単層又はb)2層以上の場合は当該合成樹脂層のうち少なくとも最上層が、非晶性ポリエチレンテレフタレートを含み、
(4)床材には、当該化粧シート側から合成樹脂製バッカー層を貫通して木質材料に達する溝が形成されており、
(5)当該溝及び面取り部分を当該水性塗料によりコーティングすること
を特徴とする方法。

以下、本発明の水性塗料について、詳細に説明する。
1.水性塗料
本発明の水性塗料は、樹脂成分としてアクリルウレタン系樹脂を含む。アクリルウレタン系樹脂としては特に限定されず、公知のもの又は市販品を使用できる。例えば、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との反応生成物、官能基を有するアクリル樹脂と官能基を有するウレタン樹脂とを架橋させることにより複合化したもの等が挙げられる。
本発明では、優れた耐水性、耐薬品性、耐擦傷性等とともに合成樹脂層(とりわけポリエステル系樹脂)との高い密着性が得られる点において、アクリルウレタン系樹脂が、ケト基含有アクリル樹脂とヒドラジド基含有ウレタン樹脂とを混合して得られたものであることが好ましい。かかる混合により、上記アクリル樹脂と上記ウレタン樹脂とがケト基及びヒドラジド基により架橋し、アクリル樹脂及びウレタン樹脂が複合化される。そして、この複合化された樹脂の水性エマルション(ウレタン/アクリル複合エマルション)では、かかる樹脂の粒子が、粒子内部にアクリル樹脂成分、粒子外部にウレタン樹脂成分が存在する複合粒子として分散する。このような複合エマルションとしては、市販品も使用できる。例えば、製品名「ボンコートCG−5000」(大日本インキ化学工業製)等を好適に使用できる。
上記ウレタン/アクリル複合エマルション中のアクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分との割合は限定的ではないが、両者の合計100重量%中、ウレタン樹脂成分は20〜40重量%とすることが好ましい。かかる範囲に設定することによって、合成樹脂との接着性をより高めることができる。
本発明塗料中におけるアクリルウレタン系樹脂の含有量は、樹脂の種類等に応じて適宜設定することができるが、一般的には5〜60重量%程度、特に20〜40重量%とすることが望ましい。樹脂含有量が上記範囲内であり、後記シリコンを含有する市販品の塗料としては、例えば、製品名「W−SF」(昭和インク工業所製)が好適である。
本発明では、アクリルウレタン樹脂に対して硬化剤を使用することにより架橋度を高めることもできる。例えば、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、アジリジン系硬化剤等が挙げられる。本発明では、特に低温架橋性能、耐候性、耐水性、ポットライフ等をより高めることができるという見地より、イソシアネート系硬化剤が好ましい。硬化剤の含有量は、使用する硬化剤の種類等にもよるが、通常はアクリルウレタン系樹脂100重量部に対して20〜70重量部程度とすればよい。
また、本発明塗料では、シリコンを含有させることが望ましい。シリコンの添加によって、より優れた消泡効果、撥水効果、レベリング性(プラスチックに対するヌレ性)等が得られる。シリコンの添加量は、本発明塗料中0.5〜5重量%とすればよい。
本発明の水性塗料では、公知の水性塗料に含まれている添加剤を配合することもできる。例えば、着色材(顔料、染料)、粘度調整剤、艶調整剤(体質顔料)等を使用することができる。
本発明塗料における溶媒としては主として水を用いるが、必要に応じて水溶性有機溶剤を併用することもできる。例えば、イソプロピルアルコール等のアルコール類のほか、グリコール類、グリコールエーテル類等も使用することができる。
本発明塗料の固形分含有量は、通常は5〜80重量%の範囲内において、用いる成分の種類等に応じて適宜決定すればよい。
本発明塗料は、溶液、エマルション等のいずれの形態であってもよいが、特にエマルションの形態であることが望ましい。
本発明の水性塗料は、アクリルウレタン系樹脂を含む水性組成物であり、木質材料のみならず、合成樹脂に対する接着性等も優れている。特に合成樹脂が非晶性ポリエチレンテレフタレート(いわゆるA−PET)に対しても優れた接着性を発揮することができる。
さらに、本発明塗料は、アクリルウレタン系樹脂とともに硬化剤を併用することによって、よりいっそう優れた接着性、耐水性等を達成できる。
2.水性塗料の使用
本発明の水性塗料は、少なくとも合成樹脂及び木質材料が積層されてなる積層体における当該合成樹脂及び木質材料の双方が露出した面を少なくとも保護するための塗料として好適に用いることができる。積層体としては、例えば、
(I)木質材料上に1)厚さ200μm以上の合成樹脂製バッカー層と2)化粧シートとを順に積層してなる積層体、
(II)木質材料上に合成樹脂層を有する化粧シートを積層してなる積層体
等が挙げられる。
上記(I)の積層体は、例えば、図1及び図2に例示されている。図1では、木質材料が図中1、合成樹脂製バッカー層が図中2、化粧シートが図中3で示されている。図2は図1に示された積層体をより具体化したものである。図2では、木質材料が図中21、合成樹脂製バッカー層が図中23、化粧シートが図中25〜32で示されている。
上記(II)の積層体は、例えば、図1及び図2に例示された積層体から合成樹脂製バッカー層を除いたものが該当する。この場合、化粧シートに合成樹脂層が含まれる必要があるが、例えば、図2における化粧シート中、接着剤層(図中29)及び透明性樹脂層(図中30)は合成樹脂層である。
このような積層体は、建築構造物の内外装(床材、壁面等)のほか、家具、家庭電機製品等の表面を装飾するために用いられる。本発明塗料は、これらに適用される積層体のいずれにも使用することができる。
特に、本発明塗料は床材用としても好適に用いられる。具体的には、木質材料上に1)厚さ200μm以上の合成樹脂製バッカー層と2)化粧シートとを順に積層してなる積層体からなり、A)当該化粧シート側から合成樹脂製バッカーを貫通して木質材料に達する溝、並びに、B)合成樹脂及び木質材料の双方が露出している面取り部分、の少なくとも1種が形成された床材において、当該溝に露出した面及び面取り部分をコーティングするために用いる塗料として有用である。かかる用途に用いる場合、合成樹脂及び木質材料の双方が露出した面又は部分は合成樹脂と木質材料とが接する境界線を含む領域であり、該領域にわたって塗膜形成されることになる。本発明塗料は、木質材料と合成樹脂のどちらに対しても密着性の高い塗膜を形成できるため、被塗布面の材料の相違に基づく剥離等の問題を危惧することなく塗膜を形成できる。また、該塗膜は耐水性(透水防止性)、耐候性、耐薬品性等が高いため、これらの性能を木質材料と合成樹脂のどちらの表面に対しても同時に付与できる。
なお、上記積層体において、溝及び面取り部の形成条件によっては、溝に露出した面及び面取り部分に木質基材が露呈せず合成樹脂のみが露呈する場合がある。このような場合に、勿論、本発明塗料は、合成樹脂のみが露出した面及び面取り部分に保護層を形成する用途に使用することもできる。即ち、木質材料上に1)厚さ200μm以上の合成樹脂製バッカー層と2)化粧シートとを順に積層してなる積層体からなり、A)当該化粧シート側から合成樹脂製バッカーに達する溝、並びに、B)合成樹脂が露出している面取り部分、の少なくとも1種が形成された床材において、当該溝に露出した面及び面取り部分にアクリルウレタン系樹脂を含む水性塗料からなる保護層を形成することができる。
また、木質材料上に合成樹脂層を有する化粧シートを積層してなる積層体からなり、A)当該化粧シート側から木質材料に達する溝、並びに、B)合成樹脂及び木質材料の双方が露出している面取り部分、の少なくとも1種が形成された床材において、当該溝に露出した面及び面取り部分をコーティングするために用いる塗料としても有用である。このように、本発明塗料は、床材において、合成樹脂及び木質材料の両者が露出した面又は部分をコーティングするための塗料として有用である。この場合にも、化粧シートに含まれる合成樹脂層及び木質基材の両方に対して、同時に良好な耐水性、耐候性、耐薬品性等を付与できる。
図1には、本発明塗料の対象の一つである床材の断面を示す。この床材は、木質材料1に合成樹脂製バッカー層2及び化粧シート3が順に積層された構成を有し、木質材料に達する溝部4が設けられている。図1に示すように、溝部4が設けられた後は、少なくとも木質材料と合成樹脂の双方が露出する。その露出部分に本発明塗料を塗布し、塗膜5の形成を行う。この塗膜により、木質材料及び合成樹脂の露出面が保護される。化粧シートの露出部も同様に塗膜が形成される。
本発明塗料の塗膜の形成方法は限定的でなく、刷毛、ローラー、スプレー等による塗布のほか、印刷等によって行ってもよい。特に、床材等においては、化粧シートの上から全面に本発明塗料を塗布等により付与した後、溝部以外に付着した余分な塗料を掻き取りローラー等により除去する方法が好ましい。
図1では、溝部はV字形状断面を有するが、その他にも凹状、U字形状等のいずれの形状であってもよい。また、溝又は面取り部を形成する方法自体は、公知の方法に従えばよく、例えば、テノーナー等の公知の装置により加工すればよい。
上記床材における合成樹脂製バッカー層は、単層であってもよいし、2層以上からなる構成でもよい。2層以上とする場合、その積層方法は、例えば、押し出し法等の公知の方法によればよい。
上記床材における合成樹脂製バッカー層の材質は特に限定されない。例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート等が挙げられる。また、非晶性ポリエチレンテレフタレート(いわゆるA−PET)〔三菱化学(株):ノバクリアー(商品名)〕、PETG等も好適に用いることができる。この中でも、本発明塗料は、A−PETを含む層に好適に用いることができる。
特に、合成樹脂製バッカー層が、1層(単層)又は2層以上の層構造を有し、その最上層がA−PET、PEN及びPETGから選択された少なくとも1種を含む混合層であることが望ましい。即ち、単層の場合は当該単層、2層以上の場合は最も化粧層に近い層が上記混合層であることが必要である。この最上層は、接着剤層及び/又はプライマー層を介して化粧シートに積層される。本発明では、その最上層を上記混合層とすることによって、化粧シートとの接着性をより高めることが可能となる。単層の場合は、当該単層が混合層となる。
また、本発明シートにおいて、3層以上の層構造を有する場合は、少なくとも最上層及び最下層が、A−PET、PEN及びPETGから選択された少なくとも1種を含む混合層であることが望ましい。これにより、化粧シートとの接着性のみならず、合成樹脂製バッカー層と床材との接着性も高めることができる。最上層は、前記と同様、化粧シートに最も近い層である。最下層は、積層される木質材料に最も近い層(即ち、本発明シートの裏面を構成する層)をいう。
本発明の好ましい実施形態としては、例えば(1)当該合成樹脂製バッカー層が、3層からなる層構造を有し、(2)最上層及び最下層が、A−PET、PEN及びPETGから選択された少なくとも1種を含む混合層であり、かつ、芯層が、A−PETからなる層である床材用化粧シートが挙げられる。
上記混合層は、A−PET、PEN及びPETGから選択された少なくとも1種を含むものであるが、他の樹脂成分が含まれていてもよい。例えば、PBT、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂が挙げられる。本発明では、特にA−PETとPETG又はPENからなる2成分系の混合層とすることが好ましい。2成分系の場合でも、ポリエステル樹脂以外の他の添加剤は含まれていてもよい。
混合層中におけるA−PETとPETG又はPENの含有量は、各成分のグレード、本発明シートの使用条件等に応じて適宜設定することができる。本発明シートでは、上記2成分系において、A−PETとPETG又はPENとの合計100重量%中PETG又はPENが20〜80重量%程度、特に40〜60重量%とすることが望ましい。
合成樹脂製バッカー層の厚み(2層以上の場合は合計の厚み)は限定的ではないが、耐キャスター性、耐擦傷性等を考慮すれば、一般的には200〜500μm程度とすることが望ましい。2層以上の場合の各層の厚みは、各層の成分等に応じて適宜決定することができる。
上記床材における各層の積層方法は限定的でなく、接着剤等による接着、ラミネート等の各種の方法を採用できる。特に、合成樹脂製バッカー層と化粧シートとは、ウレタン系接着剤層及び/又はウレタン系プライマー層を介して積層されていることが望ましい。
床材に用いられる木質材料としては、特に限定されず、例えば杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、MDF等が挙げられる。
床材における化粧シートは、公知の化粧シートと同様に構成することができる。例えば、基材シート、柄インキ層、透明性樹脂層、表面保護層等を順に積層してなる化粧シートを用いることができる。特に、次の実施形態に示すような(床材用)化粧シートを好適に使用することができる。
図2は、床材の具体的な実施形態を示す層構成を示す。この床材は、合成樹脂製バッカー層23上に接着剤層24、プライマー層25、基材シート26、ベタインキ層27、柄インキ層28、接着剤層29、透明性樹脂層30、プライマー層(図示せず)及び表面保護層31が順に積層された構造を有する。表面保護層側からエンボス加工が施され、凹状のエンボス部32が付されている。一方、合成樹脂製バッカー層の裏面には、木質材料21が接着剤層22を介して積層されている。そして、この床材においては、化粧シート側より木質材料21に達し、木質材料中に先端がある溝20が設けられ、これによって合成樹脂製バッカー層が独立した区画片ごとに区分されている。この場合、化粧シートも、合成樹脂層と同様のパターンで区分されることになる。以下、化粧シートを構成する各層について説明する。
接着剤層は、公知又は市販の接着剤の中から、適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂のほか、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
この中でも、本発明では、耐熱性等をより高めることができるという点でウレタン系樹脂接着剤が好ましい。ウレタン系樹脂接着剤は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする2液硬化型ウレタン樹脂が挙げられる。
上記ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するものである。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。
また、上記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用いることもできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体等が挙げられる。
なお、必要に応じ、接着面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を施すこともできる。
接着方法としては、用いる接着剤の種類等に応じて公知の方法に従って実施すればよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を用い、溶融押出(エクストルージョンコート法)で絵柄層上に塗工する方法、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂にイソシアネート、アミン等の架橋剤、メチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、アザビスイソブチロニトリル等の重合開始剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の重合促進剤等を必要により添加した接着剤を塗工し、ドライラミネートする方法を採用できる。また、本発明では、熱圧着できる接着剤を使用し、熱圧着によって絵柄層と透明性樹脂層とを積層してもよい。
なお、本発明では、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
接着剤層の厚さは、透明性保護層、使用する接着剤の種類等に応じて異なるが、通常は0.1〜30μm程度とすればよい。
プライマー層は、基材シート又は透明性樹脂層の表面の接着性を高めるためのものである。これに用いる樹脂としてはエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独もしくは混合して塗料組成物、又は、インキ組成物とし、ロールコート法、グラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
基材シートは、薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等の繊維からなる織布や不織布、あるいは、ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シートなどの1種又は2種以上の積層体を用いることができ、その厚さとしては概ね20〜300μmが適当である。また、上記した化粧シート用の基材シートは適宜、顔料等を添加して着色してもよいし、必要な面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。
絵柄層は、柄インキ層及びベタインキ層から構成される。これらは、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の周知の印刷法でインキを用いて形成することができる。柄インキ層としては、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄であり、ベタインキ層としては、隠蔽性を有する着色インキでベタ印刷したものである。この実施形態では、柄インキ層及びベタインキ層の両方が設けられるが、いずれか一方の構成であってもよい。
絵柄層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができる。本発明では、環境問題、被印刷面との接着性等を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上混合したものである。なお、ワイピングインキについても、上記で説明した絵柄層に用いるインキと同じインキで形成することができる。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば限定されない。透明性樹脂層としては、例えば熱可塑性樹脂により形成されたものを好適に使用することができる。
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、PET、PBT、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、本発明では、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
透明性樹脂層は、必要に応じて着色されていてもよい。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、前記の着色半透明層で挙げられた顔料又は染料を使用することができる。これらは、1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。
透明性樹脂層には、必要に応じて充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
表面保護層は、化粧シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂ないし電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂を用いて形成するのが適当である。特に、表面硬度が硬く、生産性に優れるという点で電離放射線硬化型樹脂を用いることがより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記樹脂には、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加され、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加され、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加される。
上記熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、上記した熱硬化型樹脂を溶液とし、この溶液をロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布法で塗布し、乾燥し、硬化させる方法が挙げられる。上記溶液の塗布量としては、固形分で概ね5〜30μmが適当であり、好ましくは15〜25μmとすればよい。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こして3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。電離放射線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、例えば、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、特に紫外線、電子線等を用いることが望ましい。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度の波長域を使用することができる。また、電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。用いる電子線としては、一般に100〜1000keV程度、好ましくは100〜300keVのものを使用することができる。電子線の照射量は、通常2〜15Mrad程度とすればよい。
電離放射線硬化型樹脂は、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、複数種混合して用いることができる。なお、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速いため、高速度、短時間で効率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト等が挙げられる。カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用いることができる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度とすればよい。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂を溶液とし、この溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布すればよい。この場合の溶液の塗布量としては、固形分として概ね5〜30μmとすればよく、より好ましくは15〜25μmとすればよい。
また、電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層31に、より一層耐擦傷性、耐摩耗性を付与する場合には、必要に応じて無機充填材を配合することができる。例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の使用量は限定的ではないが、通常は電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜80重量部程度とすればよい。
各層の積層は、通常の手順で実施すればよい。例えば、着色した基材シート26の一方の面にインキ層27、28を順に印刷により形成し、さらに前記絵柄層28上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤で形成した接着剤層29を介して透明性樹脂層30を公知のドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、透明性樹脂層30の全面にプライマー層を設け、その上に表面保護層31を形成すればよい。
そして、必要に応じて表面保護層31側からエンボス加工を施すことにより凹凸模様32を形成することができる。凹凸模様は、加熱プレスやヘアライン加工などにより形成することができる。前記凹凸模様としては、例えば導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
木質材料上に上記合成樹脂製バッカー層と化粧シートとを順に積層することにより、床材とすることができる。木質材料への積層方法は限定的でなく、例えば、接着剤により合成樹脂製バッカー層を木質材料に貼着する方法等を採用できる。接着剤は、基材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。合成樹脂製バッカー層への化粧シートの積層方法も限定的ではなく、例えば、接着剤により合成樹脂製バッカー層と化粧シートを貼着する方法を採用することができる。化粧シートの貼着面に予めプライマー層を形成しておけば、容易に貼着することができる。木質材料上に合成樹脂層を有する化粧シートを積層してなる床材を形成する場合には、上記形成方法から合成樹脂製バッカー層の貼着を除く工程において形成できる。
本発明の水性塗料は、アクリルウレタン系樹脂を含む水性組成物であり、木質材料のみならず、合成樹脂に対する接着性等も優れている。特に合成樹脂がA−PETに対しても優れた接着性を発揮することができる。
さらに、本発明塗料は、アクリルウレタン系樹脂とともに硬化剤を併用することによって、よりいっそう優れた接着性、耐水性等を達成できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
製造例1
水性塗料の調製
アクリルウレタン系樹脂(製品名「ボンコートCG−5000」大日本インキ化学工業、ウレタン/アクリル複合エマルション)及び(製品名「W−SF」昭和インク工業所)約30重量%(樹脂分)、着色顔料約9重量%、体質顔料(シリカ)約6重量%、シリコン2重量%、イソプロピルアルコール4重量%及び水49重量%となるように各成分を配合し、混合した。一方、硬化剤としてイソシアヌレート系ポリイソシアネートを水と1:1(重量比)で混合し、これを前記混合物100重量部に対して20重量部混合した。これによって水性エマルションからなる水性着色塗料を得た。
製造例2
床材の作製
最初に、化粧シートを作製した。
(1)化粧シートの作製
両面コロナ放電処理した60μ厚さの着色ポリプロピレンフィルムの一方の面にウレタンセルロース系樹脂(ウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により固形分2g/m2となるように塗工し、裏面プライマー層を形成した。他方の面にはアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により固形分2g/m2となるように塗工し、印刷用プライマー層を形成した。
次いで、アクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をバインダーとする印刷インキを用いてグラビア印刷によりベタインキ層及び柄インキ層を順次形成し、木目及び抽象模様のインキ層を形成した。
次に、ウレタン系接着剤を絵柄層上に塗工した後、その上からプロピレン系樹脂を厚さ80μmとなるようにTダイ押し出し機で加熱溶融押し出しして透明性樹脂層を形成した。
上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗工して表面保護層用プライマー層を形成した。
表面保護層用プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で固形分15g/m2となるように塗工し、乾燥した後、未硬化の電子放射線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させて電子放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成した。
続いて、表面保護層側から版深50μmの木目導管状エンボス版又は木肌・抽象調エンボス版でエンボス加工を施して木目導管状又は木肌・抽象調の凹凸模様を形成した化粧シートを得た。
(2)合成樹脂製バッカー層の作製
A−PETを芯層とし、その両面にA−PET60重量%及びPEN40重量%の混合樹脂層が混合樹脂層/芯層/混合樹脂層=1/14/1の厚み比となるように、Tダイ押し出し機にて共押し出し法により厚さ0.4mmの合成樹脂シート(合成樹脂製バッカー層)を得た。
(3)合成樹脂製バッカー層と化粧シートとの積層
化粧シートの裏面プライマー層にさらにウレタン系接着剤層を介在させて合成樹脂製バッカー層をドライラミネート法により積層した。
(4)床材の作製
前記(3)で作製した積層体の合成樹脂製バッカー層側の面にラワン合板(厚み12mm)を水溶性エマルション系接着剤により積層し、所定の寸法(300mm×1800mm)に裁断した後、テノーナーを用いて四辺の実(サネ)加工を行い、さらに化粧シート側からラワン合板に達する深さのV字型溝(条溝部)を床材平面からみた長尺方向及び短尺方向に形成した。また、床材平面からみた長尺方向の側面部に面取り部を形成した。
実施例1
製造例1で得られた水性塗料を用い、製造例2の床材のV字型溝と面取り部の全面に塗布するとともにワイピング処理することにより条溝部及び面取り部に塗布層を形成した。
比較例1
水性塗料として市販の水性ウレタン塗料を使用したほかは、実施例1と同様に塗布層の形成を行った。
試験例1
実施例及び比較例で形成された塗布層について、1)耐水性、2)耐湿熱性、3)耐シンナー性、4)耐酸性、5)耐アルカリ性、6)セロテープ(登録商標)の密着性試験、7)耐候性、8)耐アンモニア性試験についてそれぞれ調べた。その結果、実施例1はすべての項目において合格したのに対し、比較例1ではすべての項目において不合格であった。
なお、各試験方法は、次のようにして実施した。
1)耐水性:カップ透水試験を行った。試験体に144時間水滴を接触させ、水滴除去後に試験体の外観変化の有無を確認した。外観変化の認められないものを合格とした。
2)耐湿熱性:JAS湿熱試験を実施した。試験体を水平に固定した後、試験体表面に沸騰水を滴下し、その上に0.5Lの沸騰水を入れた1L容量のアルミニウム容器を20分間放置した後、乾燥した布で摩擦し、そのまま24時間放置した。24時間経過後の外観変化の有無を確認した。外観変化が認められないものを合格とした。
3)耐シンナー性:試験体の溝部表面にシンナーを滴下した後4時間放置後の外観変化の有無を確認した。外観変化が認められないものを合格とした。
4)耐酸性:試験体の溝部表面に10%塩酸水溶液を滴下した後4時間放置後の外観変化の有無を確認した。外観変化が認められないものを合格とした。
5)耐アルカリ性:試験体の溝部表面に10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下した後4時間放置後の外観変化の有無を確認した。外観変化が認められないものを合格とした。
6)セロテープ(登録商標)の密着性試験:セロテープ(ニチバン製)を塗膜に圧着し、垂直方向に剥がし、ほとんど剥がれないものものを合格とした。
7)耐候性:サンシャインフェードメーター500時間照射した後、外観変化の有無を観察した。外観変化が認められないものを合格とした。
8)耐アンモニア性試験:試験体の溝部表面に18%アンモニア水溶液(擬似ペット尿)を滴下した後、24時間放置後の外観変化の有無を確認した。外観変化が認められないものを合格とした。
本発明塗料の対象とする床材の断面構造を示す図である。 床材の実施形態の一例を示す断面図である。

Claims (6)

  1. 木質材料上に1)厚さ200μm以上の非晶性ポリエチレンテレフタレートを含む合成樹脂製バッカー層と2)化粧シートとを順に積層してなる積層体からなり、当該合成樹脂製バッカー層及び木質材料の双方が露出した面に、アクリルウレタン系樹脂を含む水性組成物からなる水性塗料を用いた保護層が形成されており、且つ、前記合成樹脂製バッカー層及び木質材料の双方が露出した面は、前記化粧シート側から合成樹脂製バッカー層を貫通して木質材料に達する溝部及び面取り部分である、床材。
  2. 水性組成物が、さらに硬化剤を含む請求項1記載の床材。
  3. 水性組成物が、さらにシリコンを含有する請求項1又は2記載の床材。
  4. 水性塗料が、エマルションの形態である請求項1〜のいずれかに記載の床材。
  5. 合成樹脂製バッカー層及び木質材料の双方が露出した面が、合成樹脂製バッカー層と木質材料が接する境界線を含む領域である請求項1〜のいずれかに記載の床材。
  6. アクリルウレタン系樹脂を含む水性組成物からなる水性塗料により床材表面を保護する方法であって、
    (1)床材が、請求項1〜のいずれかに記載の床材であり、
    (2)当該合成樹脂製バッカー層が、単層又は2層以上の層構造を有し、
    (3)a)単層の場合は当該単層又はb)2層以上の場合は当該合成樹脂層のうち少なくとも最上層が、非晶性ポリエチレンテレフタレートを含み、
    (4)床材には、当該化粧シート側から合成樹脂製バッカー層を貫通して木質材料に達する溝が形成されており、
    (5)当該溝及び面取り部分を当該水性塗料によりコーティングすること
    を特徴とする方法。
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