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JP5167900B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、並びに発泡体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、及び表面外観に優れた発泡体を製造可能な熱可塑性エラストマー組成物、並びに発泡体及びその製造方法に関する。
近年、自動車等の内装部品、外装部品、家電製品、又は情報機器等の振動及び騒音に対する緩衝材やソフトな触感部品等として、発泡成形品が多くの製品分野において使用されている。特に、成形し易く、かつ発泡も容易である原料として、熱可塑性エラストマー組成物が注目されている。このような熱可塑性エラストマー組成物として、動的架橋し得る熱可塑性エラストマー組成物を挙げることができる(例えば、特許文献1参照)。なお、この熱可塑性エラストマー組成物を用いて、発泡体が得られることが知られている。
しかし、かかる動的架橋し得る熱可塑性エラストマー組成物に含有される架橋ゴム成分を均一に発泡させることは困難であり、結晶性ポリオレフィンのみが均一に発泡し、全体としては不均質な発泡成形品になる。また、成形品の表面から発泡ガスが抜けるため、発泡倍率は低く、表面が平滑にならず、表面外観に劣る。また、非架橋型のものでは、得られる発泡体が架橋構造を有さないため、圧縮による永久歪みが大きい等の問題がある。
一方、その溶融張力が所定の値であるオレフィン系樹脂発泡体用組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。このオレフィン系樹脂発泡体用組成物によれば、柔軟性及びクッション性に優れた発泡体を得ることができるとされている。しかしながら、かかるオレフィン系樹脂発泡体用組成物であっても、その柔軟性、及び成形加工性については未だ改善の余地があった。また、より独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、及び柔軟性に優れた発泡体を得ることが可能な材料組成物を開発することが産業界から要望されている。
特開平6−73222号公報 特開2004−250529号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、軟化材保持性、及び表面外観に優れた発泡体を得ることが可能な、流動性、ゴム弾性、及び発泡性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
また、本発明の課題とするところは、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、軟化材保持性、及び表面外観に優れた発泡体、並びにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、分子量分布の狭い特定の油展エチレン系共重合体と、熱可塑性樹脂等とを含む混合物を動的に架橋することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す熱可塑性エラストマー組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法が提供される。
[1](A)下記(1)及び(2)の条件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、50〜150質量部の鉱物油系軟化材を含む油展エチレン系共重合体と、(B)(B−1)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂及び(B−2)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂組成物の少なくともいずれかと、を含む混合物を、(C)架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる、210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が5.0cN以上、JIS K6262に準拠して、70℃、22時間で測定した圧縮永久歪みが80%以下である熱可塑性エラストマー組成物。
(1):デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が、5.5〜9.0dl/gである。
(2):重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値が、3以下である。
[2]前記(A)油展エチレン系共重合体が、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、前記鉱物油系軟化材、及び溶媒を含む混合液から脱溶媒して得られるものである前記[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
]前記(B)(B−1)オレフィン樹脂及び(B−2)オレフィン樹脂組成物の少なくともいずれかの、210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上、JIS K6262に準拠して、70℃、22時間で測定した圧縮永久歪みが60%以下である前記[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
]前記(B−1)オレフィン樹脂が、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂とα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の少なくともいずれかである前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
]前記(B−2)オレフィン樹脂組成物が、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及びα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の少なくともいずれかと、水添ジエン系重合体と、を含む前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
]前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を発泡させることにより得られる発泡体。
]溶融させた前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物に不活性ガスを注入した後、発泡させることを含む発泡体の製造方法(以下、「第一の発泡体の製造方法」ともいう)。
]前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、化学発泡剤0.01〜20質量部を配合して化学発泡剤混合原料を得、得られた前記化学発泡剤混合原料を発泡させることを含む発泡体の製造方法(以下、「第二の発泡体の製造方法」ともいう)。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、及び表面外観に優れた発泡体を得ることが可能であり、かつ、流動性、ゴム弾性、軟化材保持性、及び発泡性に優れているといった効果を奏するものである。
本発明の発泡体は、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、軟化材保持性、及び表面外観に優れているといった効果を奏するものである。
本発明の第一及び第二の発泡体の製造方法によれば、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、軟化材保持性、及び表面外観に優れた発泡体を製造することができる。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。以下、単に本発明(本実施形態)の「発泡体の製造方法」というときは、第一の発泡体の製造方法と第二の発泡体の製造方法のいずれをも指し示す。
1.熱可塑性エラストマー組成物:
本発明熱可塑性エラストマー組成物の一実施形態は、(A)下記(1)及び(2)の条件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、50〜150質量部の鉱物油系軟化材を含む油展エチレン系共重合体(以下、「(A)成分」ともいう)と、(B)(B−1)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂及び(B−2)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂組成物の少なくともいずれか(以下、「(B)成分」ともいう)と、を含む混合物を、(C)架橋剤(以下、「(C)成分」ともいう)の存在下で動的に熱処理して得られる、210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力(以下、単に「溶融張力」ともいう)が5.0cN以上、JIS K6262に準拠して、70℃、22時間で測定した圧縮永久歪み(以下、単に「圧縮永久歪み」ともいう)が80%以下のものである。以下、その詳細について説明する。
(1):デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が、5.5〜9.0dl/gである。
(2):重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値が、3以下である。
((A)油展エチレン系共重合体)
(A)成分は、前記(1)及び(2)の条件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(以下、単に「エチレン系共重合体」ともいう)、及びこのエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、50〜150質量部の第一の鉱物油系軟化材を含む油展エチレン系共重合体である。
(A)成分は、変形回復性に乏しい分子鎖末端の個数が少ないため、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が向上する。また、(A)成分は、溶融粘度が高い超高分子量成分の含有量が少ないため、その他の成分(例えば、(B)成分)との分散性が良好となり、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度が向上する。また、(A)成分に含まれるエチレン系共重合体は、低分子量成分の含有量が少ないため、軟化材の保持性が高く、大量の鉱物油系軟化材を含有できる。従って、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、成形加工性が優れたものである。
(A)成分は、エチレン系共重合体、鉱物油系軟化材、及び溶媒を含む混合液から脱溶媒して得られるものであることが好ましい。このようにして得られる(A)成分は、エチレン系共重合体単独の場合に比べて、その粘度が低いため、その他の成分(例えば、(B)成分)との分散性が向上することに加え、鉱物油系軟化材がエチレン系共重合体に均一に分散するため、鉱物油系軟化材がブリードアウトし難いという利点がある。
(エチレン系共重合体)
エチレン系共重合体は、上記(1)及び(2)の条件を満たすものである。このようなエチレン系共重合体を含有させることによって、(A)成分は、変形回復性に乏しい分子鎖末端の個数が少なく、溶融粘度が高い超高分子量成分の含有量が少ないという利点がある。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得るためのα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、炭素数3〜12のα−オレフィンが更に好ましく、炭素数3〜8のα−オレフィンが特に好ましい。α−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができる。なかでも、工業的に入手が容易であるという観点から、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。なお、これらのα−オレフィンは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体中のエチレンに由来する構造単位の含有割合は、全構造単位に対して、50〜80質量%であることが好ましく、54〜75質量%であることが更に好ましく、60〜70質量%であることが特に好ましい。エチレンに由来する構造単位の含有割合が上記範囲内にあると、機械的強度と柔軟性とのバランスに優れるという利点がある。なお、エチレンに由来する構造単位の含有割合が50質量%未満であると、架橋効率が低下する傾向(特に、架橋剤として有機過酸化物を使用した場合)にあり、十分な機械的強度を得難くなる。一方、80質量%超であると、柔軟性が低下するおそれがある。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得るための非共役ポリエンの具体例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン等の環状ポリエン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−エチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン等の炭素数が6〜15の内部不飽和結合を有する鎖状ポリエン;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン等のα,ω−ジエンを挙げることができる。なかでも、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンが好ましく、5−エチリデン−2−ノルボルネンが特に好ましい。なお、これらの非共役ポリエンは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の非共役ポリエンに由来する構造単位の含有割合は、エチレン・α−オレフィン・非ポリエン共重合体のヨウ素価が0〜40となる量であることが好ましく、0〜30となる量であることが好ましい。このヨウ素価は、共重合体中の非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量の目安となる値であり、ヨウ素価が40超であると、混練の際、ゲル化を起こし易くなるため、押し出し等の成形工程で、いわゆる「ブツ」が発生するおそれがある。
エチレン系共重合体の、デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]は、5.5〜9.0dl/gであり、5.5〜8.5dl/gであることが好ましく、5.5〜8.0dl/gであることが更に好ましく、5.5〜7.5dl/gであることが特に好ましい。極限粘度[η]が5.5dl/g未満であると、ゴム弾性が低下する。一方、9.0dl/g超であると、粘度が高くなり過ぎて工業的生産性が低下する。なお、極限粘度[η]は、例えば、ウベローデ型粘度計を使用して測定することができる。
エチレン系共重合体の、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値は、3以下であり、2.8以下であることが好ましく、2.0〜2.7であることが更に好ましい。Mw/Mnの値が3超であると、ゴム弾性、軟化材保持性、及び、成形加工性が低下する。なお、「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定されるポリスチレン換算の値である。
エチレン系共重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのクロマトグラムにおける、ポリスチレンに換算した分子量10万以下の領域の面積割合は、3%以下であることが好ましく、0〜3%であることが更に好ましく、0〜2.5%であることが特に好ましい。上記面積割合が3%超であると、ゴム弾性、及び軟化材保持性が低下するおそれがある。
ここで、「ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのクロマトグラムにおける、ポリスチレンに換算した分子量10万以下の領域の面積割合」の算出方法を、図1を用いて具体的に説明する。図1は、エチレン系共重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって分析して得られるクロマトグラムを示す模式図である。まず、図1に示すクロマトグラムの溶出曲線1の積分値(溶出曲線1と横軸で囲まれた全面積(図1中、「S」と示す))を算出する。次に、ポリスチレンに換算した分子量10万の成分が溶出する時間(溶出時間)T1以降に検出される部分の積分値(面積(図1中、「S1」と示す))を算出する。次に、これらの値から、式:(S1/S)×100を算出して「ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのクロマトグラムにおける、ポリスチレンに換算した分子量10万以下の領域の面積割合」とする。
エチレン系共重合体は、例えば、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法等の方法を適宜選択して製造することができる。重合操作は、バッチ式でも連続式でもよい。また、溶液重合法又はスラリー重合法においては、反応媒体として、不活性炭化水素溶媒を使用することができる。不活性炭化水素溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。なお、これらの不活性炭化水素溶媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン系共重合体を製造する際に用いられる重合触媒の具体例としては、V、Ti、Zr、及びHfからなる群より選択される遷移金属の化合物と、有機金属化合物とからなるオレフィン重合触媒等を挙げることができる。なお、遷移金属の化合物及び有機金属化合物は、それぞれ、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなオレフィン重合触媒の具体例としては、メタロセン化合物及び有機アルミニウム化合物からなるメタロセン系触媒、メタロセン化合物及びメタロセン化合物と反応してイオン性錯体を形成するイオン性化合物とからなるメタロセン系触媒、並びにバナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー・ナッタ系触媒等を挙げることができる。なお、エチレン系共重合体の製造の際に、分子量調整剤として、水素ガスを用いることもできる。水素ガスの使用量は、触媒種、触媒量、重合温度、重合圧力等の重合条件、及び重合スケール、撹拌状態、チャージ方法等の重合プロセスによっても異なるが、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた溶液重合では、全単量体成分に対して、0.01〜20ppmであることが好ましく、0.1〜10ppmであることが更に好ましい。
(鉱物油系軟化材)
鉱物油系軟化材は、得られる熱可塑性エラストマー組成物に成形加工性や柔軟性を付与するとともに、製品外観を向上させるために用いられるものである。鉱物油系軟化材の具体例としては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等のものを挙げることができる。なかでも、エチレン系共重合体との相容性が高いために保持性に優れているとともに、耐候性に優れたパラフィン系又はナフテン系の鉱物油系軟化材が好ましい。
鉱物油系軟化材の使用量は、エチレン系共重合体100質量部に対して、50〜150質量部であり、80〜140質量部であることが好ましく、90〜130質量部であることが更に好ましい。鉱物油系軟化材の使用量が50質量部未満であると、柔軟性や成形加工性が低下する。一方、150質量部超であると、べたつきが発生して工業的な生産性が低下する。
(A)の形状は、ベール、クラム、ペレット等のいずれの形状でもよい。(A)成分は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性や弾性回復性を良好にするという観点から、非結晶又は低結晶性のものであることが好ましい。なお、結晶化度は密度に関係するため、結晶化度よりも簡便に測定できる密度で結晶化度を代用することが一般的に行われており、(A)成分の密度は0.89g/cm以下であることが好ましい。更に、エチレン系共重合体のX線回折測定による結晶化度は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることが更に好ましい。結晶化度が20%超であると、エチレン系共重合体の柔軟性が低下するおそれがある。
(A)成分の製造方法は、特に制限はないが、例えば、エチレン系共重合体、鉱物油系軟化材、及び溶媒を含む混合液を脱溶媒して製造することができる。具体的には、重合して得られたエチレン系共重合体溶液に所定量の鉱物油系軟化材を添加し、混練機で混練して得られた混練物を、スチームストリッピング法、フラッシュ法等の方法で脱溶媒する方法を挙げることができる。また、重合及び乾燥して得られたエチレン系共重合体を、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒、又はクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒等の良溶媒に均一に溶解させて得られた溶解液に所定量の第一の鉱物油系軟化材を添加し、混練機で混練して得られた混練物を、スチームストリッピング法、フラッシュ法等の方法で脱溶媒する方法を挙げることもできる。混練機としては、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、及びロール等の、ゴムの油展に用いられる通常の装置を使用することができる。
((B)(B−1)オレフィン樹脂及び/又は(B−2)オレフィン樹脂組成物)
(B)成分は、(B−1)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂(以下、「(B−1)成分」ともいう)と(B−2)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂組成物(以下、「(B−2)成分」ともいう)の少なくともいずれかである。
((B−1)オレフィン樹脂)
(B−1)成分の具体例としては、アミノアクリルアミド重合体、ポリオレフィン系結晶性樹脂及びその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリオレフィン系非晶性樹脂及びその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチレン、エチレン塩化ビニル重合体、エチレンビニルアルコール重合体及びそのアイオノマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、エチレンアクリル酸共重合体、ポリイソブチレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、塩素化ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ACS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン系結晶性樹脂、ポリオレフィン系非晶質樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系結晶性樹脂は、特に限定されないが、α−オレフィンを主成分とするα−オレフィン系結晶性樹脂が好ましく用いられる。即ち、前記オレフィン系結晶性樹脂全体を100モル%とした場合に、α−オレフィンを80モル%以上(より好ましくは90モル%以上)含有するものであることが好ましい。ポリオレフィン系結晶性樹脂は、α−オレフィンの単独重合体であっても、二種以上のα−オレフィンの共重合体であっても、α−オレフィンではない単量体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる二種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよい。
ポリオレフィン系結晶性樹脂を構成するα−オレフィンとしては、炭素数2以上のα−オレフィンを用いることが好ましく、炭素数2〜12のα−オレフィンを用いることが更に好ましい。
α−オレフィンとしては、エチレン、プロペン(以下、「プロピレン」という)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等の炭素数2〜12のα−オレフィンを挙げることができる。これらのα−オレフィンは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィン系結晶性樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。ただし、結晶性を有するために、ランダム共重合体では、α−オレフィンを除く構成単位の合計含有割合を、ランダム共重合体全体を100モル%とした場合に、15モル%以下(より好ましくは10モル%以下)とすることが好ましい。また、ブロック共重合体では、α−オレフィンを除く構成単位の合計含有割合を、ブロック共重合体全体を100モル%とした場合に、40モル%以下(より好ましくは20モル%以下)とすることが好ましい。
一方、ポリオレフィン系非晶質樹脂は、特に限定されないが、α−オレフィンを主成分とするα−オレフィン系非晶質樹脂が好ましく用いられる。即ち、ポリオレフィン系非晶質樹脂全体を100モル%とした場合に、α−オレフィンを50モル%以上(より好ましくは60モル%以上)含有するものであることが好ましい。ポリオレフィン系非晶質樹脂は、α−オレフィンの単独重合体であっても、二種以上のα−オレフィンの共重合体であっても、α−オレフィンではない単量体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる二種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよい。
ポリオレフィン系非晶質樹脂を構成するα−オレフィンとしては、炭素数3以上のα−オレフィンを用いることが好ましく、前記ポリオレフィン系結晶性樹脂における例示と同様な、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いることが更に好ましい。
ポリオレフィン系非晶質樹脂としては、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ−1−ブテン等の単独重合体や、プロピレン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)との共重合体、1−ブテン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)との共重合体等を挙げることができる。
ポリオレフィン系非晶質樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。但し、ブロック共重合体の場合、主成分となる(前記共重合体ではプロピレン、1−ブテン)α−オレフィン単位は、アタクチック構造で結合している必要がある。また、前記ポリオレフィン系非晶質樹脂が、炭素数3以上のα−オレフィンとエチレンとの共重合体である場合、共重合体全体を100モル%とすると、α−オレフィンの含有割合は、50モル%以上(より好ましくは60〜100モル%)であることが好ましい。
(B−1)成分は、210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン脂でる。また、(B−1)成分の溶融張力は、5.0cN以上であることが更に好ましく、8.0cN以上であることが特に好ましい。(B−1)成分の溶融張力が3.0cN未満であると、この(B−1)成分を含有する熱可塑性エラストマー組成物の溶融張力が5.0cN未満となる場合がある。この熱可塑性エラストマー組成物を発泡させた場合には、発泡倍率が低く、独立した気泡が形成され難く、また、形成される気泡の形状が均一になり難い。従って、その溶融張力が所定の数値以上である(B−1)成分を含有させることにより、高発泡倍率で、独立気泡性が高く、発泡気泡形状が均一である発泡体を得ることが可能となる。
また、(B−1)成分の圧縮永久歪みは、60%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましい。(B−1)成分の圧縮永久歪みが60%超であると、この(B−1)成分を含有する熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性及びゴム弾性が低下する傾向にある。従って、その圧縮永久歪みが所定の数値以上である(B−1)成分を含有させることにより、ゴム弾性、及び柔軟性に優れた発泡体を得ることが可能となる。
((B−2)オレフィン樹脂組成物)
(B−2)成分に含まれるオレフィン樹脂は、前述の(B−1)成分における例示と同様な、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂とα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の少なくともいずれかを好適例として挙げることができる。また、(B−2)成分は、これらの熱可塑性樹脂と、水添ジエン系重合体とを含むものであることが好ましい。
(B−2)成分に含まれることのある水添ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構成単位を含むジエン系共重合体の水素添加物であれば特に限定されない。従って、水添ジエン系重合体の具体例としては、(I)共役ジエン化合物に由来する構成単位のみを含む重合体の水素添加物、(II)共役ジエン化合物に由来する構成単位、及びこの共役ジエン化合物と重合可能な化合物(例えば、ビニル芳香族化合物等)に由来する構成単位を含む共重合体等の水素添加物等を挙げることができる。
(水添ジエン系重合体)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、水添ジエン系重合体を含有させることが好ましい。水添ジエン系重合体としては、共役ジエン重合を水素添加したものであればよいが、共役ジエンと芳香族ビニル化合物単とのランダム共重合体を水素添加したもの、及び以下に示す(i)〜(v)の重合体ブロックからなる群より選択される二以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体を水素添加したものが好ましい。
(i)芳香族ビニル化合物が80質量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック
(ii)共役ジエンが80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック
(iii)1,2−及び3,4−結合含量の合計が25質量%未満の共役ジエン重合体ブロック
(iv)1,2−及び3,4−結合含量の合計が25〜90質量%の共役ジエン重合体ブロック
(v)芳香族ビニル化合物と共役ジエンのランダム共重合体ブロック
上記(v)のランダム共重合体ブロックにおいては、芳香族ビニル化合物含量が連続的に一分子中で変化するいわゆるテーパータイプも含まれてよい。また、上記「(i)〜(v)の重合体ブロックからなる群より選択される二以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体」のブロック構造の例としては、以下に示すもの等を挙げることができる。
(i)−(ii)、(i)−(iii)、(i)−(iv)、(i)−(v)、(iii)−(iv)、(iii)−(v)、[(i)−(ii)]−Y、[(i)−(iii)]−Y、[(i)−(iv)]−Y、[(i)−(v)]−Y、[(iii)−(iv)]−Y、[(iii)−(v)]−Y、(i)−(ii)−(iii)、(i)−(ii)−(v)、(i)−(ii)−(i)、(i)−(iii)−(i)、(i)−(iv)−(i)、(i)−(iv)−(iii)、(iii)−(iv)−(iii)、(i)−(v)−(i)、[(i)−(ii)−(iii)]−Y、[(i)−(ii)−(v)]−Y、[(i)−(ii)−(i)]−Y、[(i)−(iii)−(i)]−Y、[(i)−(iv)−(i)]−Y、[(i)−(iv)−(iii)]−Y、[(i)−(v)−(i)]−Y、(i)−(ii)−(i)−(ii)、(ii)−(i)−(ii)−(i)、(i)−(iii)−(i)−(iii)、(iii)−(i)−(iii)−(i)、[(i)−(ii)−(ii)−(ii)]−Y、(i)−(ii)−(i)−(ii)−(i)、[(i)−(ii)−(i)−(ii)−(i)]−Y、[(ii)−(i)]−Y、[(iii)−(i)]−Y、[(iv)−(i)]−Y、[(v)−(i)]−Y、(ii)−(i)−(ii)−(iii)、(ii)−(i)−(ii)−(v)、(ii)−(i)−(ii)−(i)、(ii)−(i)−(iii)−(i)、(iii)−(i)−(iv)−(i)、(iii)−(i)−(iv)−(iii)、(iii)−(i)−(v)−(i)、[(iii)−(i)−(ii)−(iii)]−Y、[(iv)−(i)−(ii)−(v)]−Y、[(iv)−(i)−(ii)−(i)]−Y、[(iv)−(i)−(iii)−(i)]−Y、[(iv)−(i)−(iv)−(i)]−Y、[(iv)−(i)−(iv)−(iii)]−Y、[(iv)−(i)−(v)−(i)]−Y、(iv)−(i)−(ii)−(i)−(ii)、(iv)−(ii)−(i)−(ii)−(i)、(iv)−(i)−(iii)−(i)−(iii)、(iv)−(iii)−(i)−(iii)−(i)、[(iv)−(i)−(ii)−(i)−(ii)]−Y、(iv)−(i)−(ii)−(i)−(i)−(i)、[(iv)−(i)−(ii)−(i)−(ii)−(i)]−Y
但し、上記のブロック構造中、x≧2であり、Yはカップリング剤の残基である。なお、ブロック共重合体をペレット形状にする場合は、(i)の重合体ブロックと(iii)の重合体ブロックの少なくともいずれかが、外側のブロック成分として含まれていることが好ましい。
上記ブロック共重合体がカップリング剤の残基を含む変性ブロック共重合体である場合において、カップリング剤としては、例えば、ハロゲン化合物、エポキシ化合物、カルボニル化合物、ポリビニル化合物等を挙げることができる。より具体的には、例えば、メチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、ジブロモエタン、エポキシ化大豆油、ジビニルベンゼン、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、テトラクロロゲルマニウム、ビス(トリクロロシリル)エタン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、ジメチルテレフタル酸、ジエチルテレフタル酸、ポリイソシアネート等を挙げることができる。
水添ジエン系重合体のミクロ構造、即ち、1,2−及び3,4−結合の含量は、ルイス塩基を炭化水素溶媒とともに用いることにより制御することができる。かかるルイス塩基としては、例えば、エーテル及びアミン等を挙げることができる。より具体的には、(1)ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、ブチルエーテル、高級エーテル、テトラヒドロフルフリルメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ビス(テトラヒドロフルフリル)ホルマール、2,2−ビス(2−テトラヒドロフルフリル)プロパン、またエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、及びプロピレングリコールエチルプロピルエーテル等のポリアルキレングリコールのエーテル誘導体等、並びに(2)テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、及びトリブチルアミン等の第3級アミン等を挙げることができる。
水添ジエン系重合体が、水添変性ジエン系重合体である場合に、この水添変性ジエン系重合体の水添前重合体である変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系重合体にアルコキシシラン化合物を反応させて得ることができる。好ましくは、共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシラン化合物を反応させ、重合体末端に極性基が結合させることにより、変性共役ジエン系重合体を得ることができる。かかる方法により、従来の方法と比べて、極性樹脂やフィラーとの親和性に優れるとともに、耐熱性、耐衝撃性、強度、接着性に優れた水添変性ジエン系重合体を得ることができる。反応させるアルコキシシラン化合物の量については特に限定はなく、必要に応じて適切な量を添加することができるが、通常は、共役ジエン系重合体に対して10モル%以上、好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。変性剤の分子量にもよるが、共役ジエン系重合体に対し0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上である。かかる範囲とすることにより、最終的に得られる水添変性ジエン系重合体に対して、極性樹脂やフィラーとの親和性を十分に付与することができるので好ましい。
水添変性ジエン系重合体の製造するに際して用いられる、上記「アルコキシシラン化合物」としては、共役ジエン系重合体に反応させて変性させることができる限り、その構造には限定はないが、通常は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物が用いられる。
(4−m−n)Si(OR (1)
前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はオルガノシロキシ基を示し、Rが複数ある場合は、それぞれのRは同じ基でも異なる基でもよい。Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Rが複数ある場合は、それぞれのRは同じ基でも異なる基でもよい。Xは、N原子、O原子、及びSi原子のうちの少なくとも一つを含む、極性基を有する置換基を示す。なお、Xが複数ある場合は、それぞれのXは同じ基でも異なる基でもよく、それぞれのXは独立の置換基でも環状構造を形成していてもよい。mは1、2、又は3であり、nは0、1、2、又は3である。mとnの和は1〜4である。
前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリペンチロキシシラン、エチルトリネオペンチロキシシラン、エチルトリヘキシロキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、及びジフェニルジブトキシシラン等の脂肪族炭化水素系アルコキシシラン化合物;メチルトリフェノキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、及びジフェニルジフェノキシシラン等の芳香族炭化水素系アルコキシシラン化合物等を挙げることができる。
また、極性基であるXにN原子を含む前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、N,N−ジ(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジ(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ジ(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ジ(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び1−トリメチルシリル−2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン等の加水分解により保護基を取ると1級アミンとなる化合物;N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノエチルトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノエチルトリエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノエチルジメチルエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノエチルジメチルメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノエチルメチルジエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノエチルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、及び3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン等の2級アミン又は加水分解により保護基を取ると2級アミンとなる化合物;N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビスメチルアミノエチルジメチルエトキシシラン、N,N−ビスメチルアミノエチルジメチルメトキシシラン、N,N−ビスメチルアミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N−ビスメチルアミノエチルメチルジメトキシシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、及び2−ピペリジノエチルトリメトキシシラン等の3級アミン等を挙げることができる。
また、極性基であるXにO原子を含む前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルフェノキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシフェノキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン等を挙げることができる。
更に、極性基であるXにSi原子を含む前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の例としては、トリメチルシロキシトリフェノキシシラン、トリメチルシロキシトリメトキシシラン、トリメチルシロキシトリエトキシシラン、トリメチルシロキシトリブトキシシラン、及び1,1,3,3−テトラメチル−1−フェノキシジシロキサン等を挙げることができる。
これらのうちで、芳香族炭化水素系アルコキシシラン化合物、及び極性基を有するXを含有するアルコキシシラン化合物が、変性反応、水添反応、及び物性改良の点から好ましく、更に、極性基を有するXを含有するアルコキシシラン化合物が好ましい。また、極性基を有するXを含有するアルコキシシラン化合物の中でも、N原子を含有するものが物性改良の点から好ましく、特に、トリメチルシリル基等の保護を外すことによって1級又は2級アミンとなる、保護された1級又は2級アミノ基を有するものが好ましく、特に保護された1級アミノ基を有するものが好ましい。
水添ジエン系重合体は、共役ジエン系重合体を部分的又は選択的に水素添加することによって得ることができる。この水素添加の方法、反応条件については特に限定はなく、通常は、20〜150℃、0.1〜10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で実施される。水添率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、又は反応時間等を変えることにより任意に選定することができる。水添率は通常、不飽和部である共役ジエンに基づく脂肪族二重結合の10%以上、耐熱性や耐候性を向上させるために、好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは95%以上である。
使用可能な水添触媒は、元素周期表Ib、IVb、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属のいずれかを含む化合物であり、例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、Pt原子を含む化合物である。より具体的な水添触媒としては、例えば、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等のメタロセン系化合物、Pd、Ni、Pt、Rh、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒、Ni、Co等の金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒、Ru、Rh等の有機金属化合物等を挙げることができる。なお、これらの水添触媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、Ti、Zr、Hf、Co、又はNiを含むメタロセン化合物は、不活性有機溶媒中、均一系で水添反応できる点で好ましく、更に、Ti、Zr、又はHfを含むメタロセン化合物が好ましく、特にチタノセン化合物とアルキルリチウムとを反応させた水添触媒は、安価で工業的に特に有用な触媒であるので好ましい。具体的な例として、例えば、特開平1ー275605号公報、特開平5−271326号公報、特開平5−271325号公報、特開平5−222115号公報、特開平11−292924号公報、特開2000−37632号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭63−5401号公報、特開昭62−218403号公報、特開平7−90017号公報、特公昭43−19960号公報、特公昭47−40473号公報に記載の水添触媒を挙げることができる。
水素添加後、必要に応じて触媒の残渣を除去し、又はフェノール系又はアミン系の老化防止剤を添加した後、水添ジエン系重合体溶液から水添ジエン系重合体を単離する。水添ジエン系重合体の単離は、例えば、水添ジエン系重合体溶液にアセトン又はアルコール等を加えて沈殿させる方法、水添ジエン系重合体溶液を熱湯中に撹拌下投入し、溶媒を蒸留除去する方法等により行うことができる。以上の手順により、耐熱性、耐衝撃性、強度、接着性成形加工性の改質に優れた水添ジエン系重合体を得ることができる。
なお、水添ジエン系重合体としては、以下の市販品を用いることができる。例えば、クラレ社製の商品名「セプトン」、商品名「ハイブラー」等、旭化成社製の商品名「タフテック」等、JSR社製の商品名「ダイナロン」等、クレイトンポリマーズ社製の商品名「クレイトン」等を用いることができる。
(B−2)成分に含有される、オレフィン樹脂と水添ジエン系重合体の質量比は、オレフィン樹脂/水添ジエン系重合体=99/1〜20/80であることが好ましく、オレフィン樹脂/水添ジエン系重合体=98/2〜30/70であることが更に好ましく、オレフィン樹脂/水添ジエン系重合体=97/3〜40/60であることが特に好ましい。オレフィン樹脂の含有割合が20質量%未満、水添ジエン系重合体の含有割合が80質量%超であると、得られる(B−2)成分の成形加工性が悪化する傾向にある。一方、オレフィン樹脂の含有割合が99質量%超、水添ジエン系重合体の含有割合が1質量%未満であると、得られる(B−2)成分の柔軟性及びゴム弾性が低下する傾向にあり、圧縮永久歪みが60%超となる傾向にある。
(B−2)成分は、210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂組成物でる。また、(B−2)成分の溶融張力は、5.0cN以上であることが更に好ましく、8.0cN以上であることが特に好ましい。(B−2)成分の溶融張力が3.0cN未満であると、この(B−2)成分を含有する熱可塑性エラストマー組成物の溶融張力が5.0cN未満となる場合がある。この熱可塑性エラストマー組成物を発泡させた場合には、発泡倍率が低く、独立した気泡が形成され難く、また、形成される気泡の形状が均一になり難い。従って、その溶融張力が所定の数値以上である(B−2)成分を含有させることにより、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一である発泡体を得ることが可能となる。
また、(B−2)成分の圧縮永久歪みは、60%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましい。(B−2)成分の圧縮永久歪みが60%超であると、この(B−2)成分を含有する熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性及びゴム弾性が低下する傾向にある。一方、圧縮永久歪みが80%超であると、発泡させた場合に、得られる発泡体のゴム弾性、及び柔軟性が劣る傾向にある。従って、その圧縮永久歪みが所定の数値以上である(B−2)成分を含有させることにより、ゴム弾性、及び柔軟性に優れた発泡体を得ることが可能となる。
なお、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物には、(B−1)成分と(B−2)成分を、それぞれ一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
((A)成分と(B)成分の割合)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含有される、(A)成分と(B)成分の質量比は、(A)/(B)=95/5〜20/80であることが好ましく、(A)/(B)=90/10〜20/80であることが更に好ましく、(A)/(B)=90/10〜30/70であることが特に好ましい。(A)成分が20質量%未満、(B)成分が80質量%超であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性及びゴム弾性が低下する傾向にある。従って、(A)成分が20質量%以上、(B)成分が80質量%以下の熱可塑性エラストマー組成物を用いることにより、ゴム弾性、及び柔軟性に優れた発泡体を得ることが可能となる。一方、(A)成分が95質量%超、(B)成分が5質量%未満であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の相構造(モルホロジー)が、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の特徴である良好な海島構造(熱可塑性樹脂が海(マトリックス)、架橋したゴムの粒子が島(ドメイン))になり難く、流動性及び成形加工性が低下する傾向にある。
(熱可塑性エラストマー組成物)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(A)成分と(B)成分を含む混合物が、(C)架橋剤(以下、「(C)成分」ともいう)の存在下に動的に熱処理されてなるものである。ここで、「動的に熱処理」するとは、剪断力を加えること、及び加熱することの両方を行うことをいう。そして、このような動的な熱処理によって得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、具体的には、(B)成分を海相とし、この海相中に、(A)成分の粒子が島相として分散している、いわゆる海島構造を構成している。
一方、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(A)成分と、(B−3)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN未満の、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及び/又はα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂(以下、「(B−3)成分」ともいう)とを含む混合物が、(C)成分の存在下に動的に熱処理された後に、(B−1)成分及び/又は(B−2)成分が添加されてなるものであることも好ましい。即ち、このような動的な熱処理によって得られる熱可塑性エラストマー組成物は、具体的には、(B−3)成分を海相とし、この海相中に、(A)成分の粒子が島相として分散した海島構造を構成しており、後から添加された(B−1)成分及び/又は(B−2)成分が更に含有されているものである。
((C)架橋剤)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、動的熱処理されてなるものである。その動的熱処理に際して用いられる(C)成分の種類は、特に限定されない。但し、(B−1)成分と(B−2)成分の少なくともいずれかの融点以上の温度、又は(B−3)成分の融点以上の温度における動的熱処理により、少なくとも(A)成分を架橋し得る化合物であることが好ましい。
(C)成分の具体例としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール、ポリアミン、トリアジン化合物、金属石鹸等を挙げることができる。なかでも、有機過酸化物、フェノール樹脂が好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
有機過酸化物としては、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−イソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、p−メンタンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ(t−ブチルパーオキシ)パーベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。なかでも、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドが好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(2)で表されるp−置換フェノール系化合物、o−置換フェノール・アルデヒド縮合物、m−置換フェノール・アルデヒド縮合物、臭素化アルキルフェノール・アルデヒド縮合物等を挙げることができる。なかでも、p−置換フェノール系化合物が好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005167900
前記一般式(2)中、Xはヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はハロゲン原子を示し、Rは炭素数1〜15の飽和炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。なお、p−置換フェノール系化合物は、アルカリ触媒の存在下における、p−置換フェノールとアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合反応により得ることができる。
フェノール樹脂の市販品としては、商品名「タッキロール201」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「PR−4507」(群栄化学工業社製)、商品名「ST137X」(ローム&ハース社製)、商品名「スミライトレジンPR−22193」(住友デュレズ社製)、商品名「タマノル531」(荒川化学工業社製)、商品名「SP1059」、商品名「SP1045」、商品名「SP1055」、商品名「SP1056」(以上、スケネクタディ社製)、商品名「CRM−0803」(昭和ユニオン合成社製)を挙げることができる。なかでも、「タッキロール201」が好ましく使用される。
(C)成分の使用量は、熱可塑性エラストマー組成物を製造するための混合物に含まれる(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜15質量部とすることが更に好ましく、1〜10質量部とすることが特に好ましい。
(C)成分として有機過酸化物を使用する場合において、この有機過酸化物の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることが更に好ましい。有機過酸化物の使用量が10質量部超であると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が低下し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が低下する傾向にある。一方、有機過酸化物の使用量が0.05質量部未満であると、架橋度が不足し、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性及び機械的強度が低下する傾向にある。
また、(C)成分としてフェノール樹脂を使用する場合において、このフェノール樹脂の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.2〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることが更に好ましい。フェノール樹脂の使用量が10質量部超であると、成形加工性が低下する傾向にある。一方、フェノール樹脂の使用量が0.2未満であると、架橋度が不足し、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性及び機械的強度が低下する傾向にある。
(C)成分とともに、架橋助剤と架橋促進剤の少なくともいずれかを用いると、架橋反応を穏やかに行うことができ、均一な架橋を形成することができるために好ましい。(C)成分として有機過酸化物を用いる場合には、架橋助剤として、硫黄、硫黄化合物(粉末硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、表面処理硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等)、オキシム化合物(p−キノンオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム等)、多官能性モノマー類(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−トルイレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等)等を用いることが好ましい。なかでも、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジビニルベンゼンが好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドは、架橋剤としての作用を示すものであるため、架橋剤として単独で使用することもできる。
(C)成分として有機過酸化物を使用する場合における、架橋助剤の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、0.2〜5質量部とすることが更に好ましい。架橋助剤の使用量が10質量部超であると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が低下し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が低下する傾向にある。
(C)成分としてフェノール樹脂を用いる場合には、架橋促進剤として、金属ハロゲン化物(塩化第一スズ、塩化第二鉄等)、有機ハロゲン化物(塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴム、クロロプレンゴム等)等を用いると、架橋速度を調節することができるために好ましい。また、架橋促進剤の他に、酸化亜鉛等の金属酸化物やステアリン酸等の分散剤を使用することが更に望ましい。
(その他の軟化材)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、前述の鉱物油系軟化材以外の軟化材を更に含有させることが好ましい。軟化材を含有させることにより、加工性、柔軟性を向上させることができる。軟化材としては、ゴム製品に一般的に用いられる軟化材を好適に用いることができる。
軟化材の具体例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル化合物;マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、液状ポリイソプレン、液状ポリブテン、液状エチレン・α−オレフィン系共重合等を挙げることができる。なかでも、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油、液状ポリイソプレン、液状ポリブテン、液状エチレン・α−オレフィン系共重合が好ましく、パラフィン系鉱物油、液状ポリイソプレン、液状ポリブテン、液状エチレン・α−オレフィン系共重合が更に好ましい。
軟化材の含有割合は、(A)成分100質量部に対して、0〜200質量部であることが好ましく、0〜150質量部であることが更に好ましく、0〜100質量部であることが特に好ましい。軟化材の含有割合が、(A)成分100質量部に対して200質量部超であると、(B)成分との混練時に分散不良を起こす場合がある。
(造核剤)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、造核剤を更に含有させることができる。含有させることのできる造核剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、ゼオライト、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の無機化合物の粉末を挙げることができる。これらの造核剤を含有させることにより、セル径を容易に調整することができ、適度な柔軟性等を有する発泡体を得ることができる。造核剤の粒径は特に限定されないが、0.1〜50μmであることが好ましく、0.3〜50μmであることが更に好ましい。造核剤の粒径が0.1μm未満であると、造核剤としての効果が得られ難くなり、セル径が大きくなる傾向にある。一方、造核剤の粒径が50μm超であると、セルが粗大、かつ少数となり、発泡体が柔軟になり過ぎ、クッション性に劣る傾向にある。なお、造核剤の平均粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定法により測定することができる。一方、造核剤の種類を選択することで、発泡体に機能付与をすることができる。例えば、造核剤を金属水和物とすることで発泡体に難燃性を、カーボン材料とすることで導電性を付与することができる。
造核剤の含有割合は、熱可塑性エラストマー組成物に含まれる重合体成分の全量を100質量部とした場合に、0〜200質量部であることが好ましく、0.01〜150質量部であることが更に好ましく、0.1〜100質量部であることが特に好ましい。なお、造核剤は、例えば、ポリプロピレン系樹脂等を用いてマスターバッチとして成形機に添加することも好ましい。
(添加剤)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を含有させることができる。含有させることのできる添加剤としては、例えば、滑剤、老化防止剤、熱安定剤、HALS等の耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、銅害防止剤等の安定剤、防菌剤、防黴剤、分散剤、難燃剤、粘着付与剤、酸化チタン、カーボンブラック及び有機顔料等の着色剤、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、木粉等の充填剤又はこれらの混合物等を挙げることができる。
上記の添加剤の中で、成形加工時の取り扱い性を向上(成形加工温度の低下、成形加工機への粘着や、発泡体どうしの粘着防止)させるため滑剤を添加することが好ましい。滑剤の具体例としては、ステアリン酸、ベヘニン酸等の炭素数18〜30の脂肪酸;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド脂等の炭素数18〜30の肪酸アミド;ステアリン酸、ベヘニン酸等の炭素数18〜30の脂肪酸と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との脂肪酸金属石鹸;からなる群より選択される少なくとも一の脂肪酸系滑剤を挙げることができる。滑剤の含有割合は、熱可塑性エラストマー組成物に含まれる重合体成分の全量を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることが更に好ましく、1〜5質量部であることが特に好ましい。滑剤の使用量が10質量部超であると、発泡性が低下する傾向にある。一方、滑剤の使用量が0.1質量部未満であると、添加効果が見られない傾向にある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の溶融張力は、5.0cN以上、好ましくは7.0cN以上、更に好ましくは8.0cN以上である。熱可塑性エラストマー組成物の溶融張力が5.0cN未満であると、発泡させた場合に、発泡倍率が低く、独立した気泡が形成され難く、また、形成される気泡の形状が均一になり難い。従って、その溶融張力が所定の数値以上である熱可塑性エラストマー組成物を用いることにより、高発泡倍率で、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一である発泡体を得ることが可能となる。
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みは、80%以下、好ましくは70%以下である。熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが80%超であると、発泡させた場合に、得られる発泡体のゴム弾性、及び柔軟性が劣る。従って、その圧縮永久歪みが所定の数値以上である熱可塑性エラストマー組成物を用いることにより、ゴム弾性、及び柔軟性に優れた発泡体を得ることが可能となる。
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造方法:
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、(A)成分と(B−1)成分及び/又は(B−2)成分を含有する混合物に(C)架橋剤を加え、動的に熱処理することにより、製造することができる
動的に熱処理される混合物を調製するに際しては、(A)成分、(B−1)成分及び/又は(B−2)成分、並びに(B−3)成分は、そのまま用いてもよいし、それぞれ同一又は異なる添加剤等を含む組成物として調製したものを用いてもよい。(A)成分の形状は、ベール状、クラム状、ペレット状、粉体状(ベール状ゴム又はクラム状ゴムの粉砕品を含む)のいずれであってもよい。また、形状の異なる複数の(A)成分を組み合わせて用いてもよい。
「動的に熱処理する」ために用いる装置としては、溶融混練装置等を好適例として挙げることができる。この溶融混練装置による処理は、連続式及びバッチ式のいずれの方式でもよい。溶融混練装置の具体例としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機、加圧ニーダー等を挙げることができる。これらのうち、経済性、処理効率等の観点から、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機等の連続式の溶融混練装置を用いることが好ましい。また、型式が同一の又は異なる連続式の溶融混練装置を二台以上組み合わせて用いてもよい。
二軸押出機のL/D比(スクリュー有効長さLと外径Dとの比)は、30以上であることが好ましく、36〜60であることが更に好ましい。また、二軸押出機としては、例えば、二本のスクリューが噛み合うもの、噛み合わないもの等の任意の二軸押出機を使用することができるが、二本のスクリューの回転方向が同一方向でスクリューが噛み合うものがより好ましい。このような二軸押出機としては、例えば、商品名「PCM」(池貝社製)、商品名「KTX」(神戸製鋼所社製)、商品名「TEX」(日本製鋼所社製)、商品名「TEM」(東芝機械社製)、商品名「ZSK」(ワーナー社製)等を挙げることができる。
連続式混練機のL/D比(スクリュー有効長さLと外径Dとの比)は、5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。このような連続式混練機としては、商品名「ミクストロンKTX・LCM・NCM」(神戸製鋼所社製)、商品名「CIM・CMP」(日本製鋼所社製)等を挙げることができる。
動的に熱処理するに際しての処理温度は、120〜350℃とすることが好ましく、150〜290℃とすることが更に好ましい。処理時間は、20秒間〜320分間とすることが好ましく、30秒間〜25分間とすることが更に好ましい。また、負荷する剪断力は、ずり速度で10〜20000/secとすることが好ましく、100〜10000/secとすることが更に好ましい。
3.発泡体:
次に、本発明の発泡体の一実施形態について説明する。本実施形態の発泡体は、前述のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物を発泡させることにより得られるものである。従って、本実施形態の発泡体は、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一である。また、ゴム弾性、柔軟性、及び表面外観に優れたものである。
本発明の発泡体は、後述の如く、不活性ガス又は化学発泡剤を用いて発泡させることにより得られるものである。但し、不活性ガスを用いて発泡させた発泡体は、化学発泡剤を用いて発泡させた発泡体と比較して、発泡剤残渣がないために臭気がなく、また、リサイクル性及びクッション感に優れている。
本発明の発泡体の内部に形成される気泡の平均径(平均セル径)は、1〜200μmであることが好ましく、3〜150μmであることが更に好ましい。この範囲を外れると、クッション感が低下する傾向にある。なお、気泡の平均セル径は、発泡体の断面の拡大鏡写真より求めた値である。
本発明の発泡体は、独立気泡性が高く発泡気泡形状が均一であるとともに、ゴム弾性、柔軟性、及び表面外観に優れたものである。従って、本発明の発泡体は、例えば、インスツルメントパネルやグローブボックス等の自動車内装部品、ウェザーストリップ等の自動車外装部品、弱電部品、電化製品用防振材、その他の工業部品、建材、スポーツ用品等として好適である。
4.発泡体の製造方法:
(第一の発泡体の製造方法)
次に、本発明の第一の発泡体の製造方法の一実施形態について説明する。本実施形態の第一の発泡体の製造方法は、溶融させた、前述のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物に不活性ガスを注入した後、発泡することを含む製造方法である。
本発明の第一の発泡体の製造方法では、先ず、溶融状態の熱可塑性エラストマー組成物に、不活性ガスを注入する。不活性ガスとしては、気体、又は超臨界流体が好適に用いられる。
超臨界流体としては、二酸化炭素や、窒素を超臨界状態としたものを使用することが好ましい。例えば、二酸化炭素であれば、温度31℃以上、圧力7.3MPa以上とすることにより、超臨界状態とすることができる。二酸化炭素は、比較的低い温度、圧力で超臨界状態となり、また溶融状態の熱可塑性エラストマー組成物中への含浸速度が速い。さらに、高濃度の混入が可能なために、発泡成形に適しており、微細な気泡を得ることができる。気体としては、二酸化炭素、窒素、空気等を使用することが好ましい。
本発明の第一の発泡体の製造方法は、前記熱可塑性エラストマー組成物を用いて発泡成形できる方法であれば特に限定されず、バッチ法、連続法のいずれの方法で行っても良い。具体的な製造方法としては、押出成型、射出成型、プレス成型等を挙げることができる。
気体又は超臨界流体を、溶融状態の熱可塑性エラストマー組成物に注入して均一に混合すると、見掛け粘度が低下するために、流動性が向上する。更に、気体や超臨界流体を用いて熱可塑性エラストマー組成物を発泡させると、発泡倍率を高くすることができる。また、得られる発泡体の平均セル径をコントロールし易い。また、得られる発泡体のクッション感のコントロールもし易い。更に、気体又は超臨界流体を使用すると、得られる発泡体の平均セル径を小さくすることが可能となる。
通常の気体を用いた場合には、超臨界流体を用いた場合に比べて、発泡倍率を上げることが困難である。但し、通常の気体を用いると、安価な設備により発泡体を製造することが可能である。
(第二の発泡体の製造方法)
次に、本発明の第二の発泡体の製造方法の一実施形態について説明する。本実施形態の第二の発泡体の製造方法は、前述のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、化学発泡剤0.01〜20質量部を配合して化学発泡剤混合原料を得、得られた化学発泡剤混合原料を発泡させることを含む製造方法である。
本発明の第二の発泡体の製造方法では、先ず、熱可塑性エラストマー組成物に対して化学発泡剤を配合して化学発泡剤混合原料を得る。化学発泡剤は、樹脂材料の発泡成形に通常用いられるものであれば、特に限定されない。熱分解型発泡剤、揮発型発泡剤、中空粒子型発泡剤等が挙げられ、発泡体作製方法により適宜選択して用いることができる。これらの化学発泡剤は、一種単独又は二種以上を混合して使用してもよい。具体的には、商品名「ビニホールAC#3」(永和化成工業社製)、商品名「ポリスレンEE205」(永和化成工業社製)、商品名「EXPANCEL−092(DU)−120」(エクスパンセル社製)等を挙げることができる。
化学発泡剤の配合量は、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、0.01〜20質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.1〜15質量部とする。化学発泡剤の配合量が、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.01未満であると、少なすぎるために十分な発泡倍率の発泡体を得ることが困難になる。一方、化学発泡剤の配合量を、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対し20質量部超とすると、表面外観が劣るために好ましくない。
次に、得られた化学発泡剤混合原料を発泡させる。発泡方法は特に限定されないが、押出発泡、射出発泡等の方法により、好適に発泡させることができる。これにより、本実施形態の発泡体を製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[諸特性の評価]:ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を使用して、メルトフローレート(MFR)、及び溶融張力の測定を行った。また、射出成形機(型式「J−110AD」、日本製鋼所社製)を使用し、熱可塑性エラストマー組成物を射出成形することによって、120mm×120mm×2mmの寸法の試験片を得、得られた試験片を使用して、硬度(デュロA)及び圧縮永久歪みの測定を行った。
[極限粘度[η]]:ウベローデ型粘度計を使用して、エチレン系共重合体の135℃のデカリン溶媒中における極限粘度[η](dl/g)を測定した。
[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「PL−GPC220」、ポリマーラボラトリー社製)を使用して、エチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出した。なお、カラムは、ポリマーラボラトリー社製の商品名「MIXED−B」、移動相はオルトジクロロベンゼン、温度は135℃、濃度は0.1%、検知器は示差屈折計を使用した。
[ポリスチレンに換算した分子量10万以下の領域の面積割合]:前述の「重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)」の方法で得られたクロマトグラムから算出した。なお、表1中、「面積割合(%)」と示す。
[硬度(デュロA)]:JIS K6253に準拠して測定し、柔軟性の指標とした。
[メルトフローレート(MFR)]:JIS K7210に準拠して、230℃、98N荷重の条件下で測定し、流動性の指標とした。
[圧縮永久歪み]:JIS K6262に準拠して、70℃、22時間で測定し、ゴム弾性の指標とした。
[溶融張力]:メルトテンションテスターII型(東洋精機製作所社製)を使用し、下記の条件で溶融張力を測定した。
測定温度:210℃
オリフィス径:2mmφ
押出速度:10.0mm/min
引取速度:2.0m/min
[発泡倍率]:熱可塑性エラストマー組成物の、発泡前の比重と発泡後の比重をそれぞれ測定し、下記式(3)に従って算出した。
発泡倍率=発泡前比重/発泡後比重 (3)
[発泡性]:発泡倍率を算出し、以下に示す基準に従って評価した。
◎:発泡倍率5倍以上
○:発泡倍率1.5倍以上、5倍未満
×:発泡倍率1.5倍未満
[発泡体表面]:表面外観を目視にて評価した。
[発泡セル状態]:拡大鏡を使用して発泡体の拡大写真(×100)を撮影し、以下に示す基準に従って目視にて評価した。
○:発泡セルが均一な独立気泡であり、発泡性が良好
×:発泡セルが不均一または連続気泡であり、発泡性が劣る
[オイルブリード性]:発泡体を、100℃、72時間の条件で放置した後、発泡体の表面の外観変化を目視にて観察して、軟化材保持性を下記の2段階で評価した。
○:鉱物油系軟化材のブリードが観察されず、軟化材保持性が良好
×:鉱物油系軟化材のブリードが観察され、軟化材保持性が劣る
[1]油展エチレン系共重合体の製造:
(製造例1)
窒素置換した内容積10リットルのステンレス鋼製のオートクレーブを使用し、重合温度を22℃に保持し、1MPaの圧力下で連続的に共重合反応を行った。なお、共重合反応に際しては、オートクレーブの下部の供給口から、毎時65Lの速度でヘキサンを連続的に供給するとともに、エチレン、プロピレン、及び5−エチリデン−2−ノルボルネンを、それぞれ毎時0.80Nm、2.0L、及び0.11Lの速度で連続的に供給した。同時に、エチルアルミニウムセスキクロライドと三塩化バナジウムを、それぞれ毎時13.585g、及び0.384gの速度で連続的に供給するとともに、分子量調節剤としての水素を、毎時0.4NLの速度で連続的に供給した。共重合反応によって得られた共重合ポリマーを貯蔵機内に移し、この共重合ポリマー100部に対して、鉱物油系軟化材(商品名「ダイアナプロセスPW90」、出光興産社製)120部を添加し、撹拌した後、スチームストリッピングすることにより、目的とする油展エチレン系共重合体(a−1)を析出させた。
得られた油展エチレン系共重合体(a−1)の極限粘度[η]は6.7dl/gであり、Mw/Mnは2.4であり、ポリスチレンに換算した分子量10万以下の領域の面積割合は0.5%であった。また、得られた油展エチレン系共重合体(a−1)に含まれる、エチレンに由来する構造単位、プロピレンに由来する構造単位、及び5−エチリデン−2−ノルボルネンに由来する構造単位のそれぞれの割合は、全構造単位100%に対して、67%、26.5%、及び、6.5%であった。
(合成例2、4、5)
表1に示す含有割合となるように、エチレン、プロピレン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチルアルミニウムセスキクロライド、及び三塩化バナジウムの使用量、水素の供給量、並びに重合温度を調整するとともに、表1に示す量の鉱物油系軟化材を配合したこと以外は、前述の合成例1と同様にして油展エチレン系共重合体(a−2)、(a−4)、及び(a−5)を製造した。製造した油展エチレン系共重合体(a−2)、(a−4)、及び(a−5)の評価結果を表1に示す。
(合成例3)
エチレン、プロピレン、及び5−エチリデン−2−ノルボルネンを、それぞれ毎時0.75Nm、1.4L、及び0.10Lの速度で連続的に供給すること、三塩化バナジウムを毎時1.216gの速度で連続的に供給すること、水素を毎時0.06NLの速度で連続的に供給すること、重合温度を30℃に保持して共重合すること、及び鉱物油系軟化材の配合量を100部としたこと以外は、前述の合成例1と同様にして油展エチレン系共重合体(a−3)を製造した。製造した油展エチレン系共重合体の極限粘度[η]は4.7であり、Mw/Mnは3.7であり、ポリスチレンに換算した分子量10万以下の領域の面積割合は3.2%であった。
Figure 0005167900
[2]熱可塑性エラストマー組成物の製造:
(実施例1)
油展エチレン系共重合体(a−1)35部、オレフィン樹脂(b−1)55部、鉱物油系軟化材(d)10部、及び老化防止剤(e)0.1部を、予め160℃に加熱した加圧型ニーダー(容量10リットル、モリヤマ社製)に投入した。オレフィン樹脂(b−1)が溶融して各成分が均一に分散するまで、40rpm(ずり速度200/sec)で15分間混練することにより、溶融状態の混練物を得た。得られた溶融状態の混練物を、フィーダールーダー(モリヤマ社製)を使用してペレット化した。ペレット化した混練物100.1部、架橋剤(c−1)0.6部、及び架橋助剤(c−2)0.5部をヘンシェルミキサーに投入し、30秒間混合した。その後、二軸押出機(同方向完全噛み合い型スクリュー、スクリューフライト部の長さ(L)とスクリュー直径(D)との比(L)/(D)=33.5、商品名「PCM45」、池貝社製)を使用し、180℃、滞留時間1分30秒、300rpm、ずり速度400/secの処理時間で動的熱処理を行いながら押し出して、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物(I)を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物(I)のMFRは18g/10minであり、溶融張力は15cNであった。また、得られたペレット状の熱可塑性エラストマー組成物(I)を用いて作製した試験片について測定した、硬度(デュロA)は100であり、圧縮永久歪みは58%であった。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
表2に示す配合処方としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物((II)〜(VII))を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について測定した各種物性値、及びこれらを用いて作製した試験片について測定した各種物性値を表2に示す。なお、比較例3では、用いた油展エチレン系共重合体(a−5)に含まれるエチレン系共重合体の極限粘度[η]の値が小さ過ぎるために鉱物油系軟化材が分離してしまい、熱可塑性エラストマー組成物を作製することが不可能であった。
なお、熱可塑性エラストマー組成物の製造に際して用いた各成分の詳細を以下に示す。
オレフィン樹脂(b−1):結晶性ポリプロピレン、商品名「ニューストレン SH9000」、日本ポリプロ社製、密度=0.90g/cm、MFR(温度230℃、荷重21.2N)=0.3g/10分、溶融張力(温度210℃、引取速度2.0m/min)=20.0cN、溶融張力(温度230℃)=20.0cN
オレフィン樹脂(b−−1):結晶性ポリプロピレン、商品名「ノバテック FA3EB」、日本ポリプロ社製、密度=0.90g/cm、MFR(温度230℃、荷重21.2N)=10.5g/10分、溶融張力(温度210℃、引取速度2.0m/min)=1.3cN
オレフィン樹脂(b−−2):結晶性線状低密度ポリエチレン、商品名「ノバテック UF423」、日本ポリエチレン社製、密度=0.925g/cm、MFR(温度230℃、荷重21.2N)=0.8g/10分、溶融張力(温度210℃、引取速度2.0m/min)=2.9cN
オレフィン樹脂組成物(b−2):結晶性線状低密度ポリエチレン含量=50%、水添ジエン系共重合体含量=50%、密度=0.918g/cm、MFR(温度230℃、荷重21.2N)=2.5g/10分、圧縮永久歪み=39%、溶融張力(温度210℃、引取速度2.0m/min)=8.0cN
架橋剤(c−1):5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、商品名「パーヘキサ25B−40」、日本油脂社製
架橋助剤(c−2):ジビニルベンゼン、新日鉄化学社製、純度:81%
鉱物油系軟化材(d):商品名「ダイアナプロセスオイルPW90」、出光興産社製、流動点=−15℃、動粘度(40℃)=95.54cSt
老化防止剤(e):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャルティケミカルズ社製
Figure 0005167900
(考察)
表2に示す結果から、実施例1〜4の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例1〜4の熱可塑性エラストマー組成物に比して、溶融張力と圧縮永久歪みとのバランスに優れていることを確認することができる。
[3]発泡体の製造:
(1)超臨界流体発泡
[方法A]:20kgの熱可塑性エラストマー組成物を、下記の条件で作動する超臨界流体供給装置付きタンデム型押出発泡成形装置のホッパから投入し、押出発泡させることにより発泡体を得た。
第1成形機:ホッパ投入量20kg、回転数70rpm、ヒータ温度(シリンダ内温度)240℃、シリンダ内圧力15MPa
超臨界流体:二酸化炭素、超臨界流体供給量(超臨界流体濃度):3質量%
第2成形機:回転数10rpm、ヒータ温度(シリンダ内温度)最上流側180℃、最下流側152℃、シリンダ内圧力8MPa
ダイ:ダイ温度152℃、圧力差8MPa
(2)化学発泡
[方法A]:熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、湿潤剤1質量部、及び化学発泡剤を添加して撹拌混合し、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチを、直径40mmの単軸押出機(田辺プラスチック社製、L/D=28、幅20mm、高さ1.5mmの口金T−ダイ、発泡温度220℃、回転数20rpm、フルフライトスクリュー)に入れ、押出発泡させることにより発泡体を得た。
[方法B]:熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、湿潤剤1質量部、及び化学発泡剤を添加して撹拌混合し、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチを、射出成型機(型式「IS−90B」、東芝機械社製、平板金型=長さ100mm、幅100mm、高さ3.5〜6.5mm、発泡温度220℃)に入れ、射出成形発泡させることにより発泡体を得た。
[方法C]:熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、160℃に設定した電熱ロール(関西ロール株式会社製)を用いて化学発泡剤を添加するとともにシート状に成形し、化学発泡剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなるシートを得た。得られたシートを、10cm×10cm、厚さ0.5cmの金型に入れ、220℃の電熱プレス成形機で10分加熱加圧して金型発泡させることにより発泡体を得た。
(実施例5)
熱可塑性エラストマー組成物(I)を使用し、超臨界流体発泡[方法A]に従って発泡させることにより、発泡体(実施例5)を得た。得られた発泡体の発泡倍率は「14倍」、発泡性は「◎」、発泡体表面は「平滑」、発泡セル状態は「○」、オイルブリード性は「○」であった。
(実施例6〜13、比較例5〜7)
表2に示すそれぞれの熱可塑性エラストマー組成物を使用するとともに、表3に示す発泡方法に従って発泡させることにより、発泡体(実施例6〜13、比較例5〜7)を得た。得られた発泡体の発泡性、発泡体表面、発泡セル状態、及びオイルブリード性の評価結果を表3に示す。
なお、発泡体の製造に際して用いた発泡剤の詳細を以下に示す。
化学発泡剤(f−1):熱分解型発泡剤、商品名「ビニホールAC#3」(永和化成工業社製、熱分解温度:208℃)
化学発泡剤(f−2):熱分解型発泡剤、商品名「ポリスレンEE206」(永和化成工業社製、熱分解温度:200℃)
化学発泡剤(f−3):中空粒子型発泡剤、商品名「EXPANCEL−092(DU)−120」(エクスパンセル社製、最大熱膨張温度:180℃)
Figure 0005167900
(考察)
表3に示す結果から、実施例6〜13の発泡体は、比較例5〜7の発泡体に比して、発泡倍率が高く、発泡セル状態が均一であるとともに表面が平滑で表面外観に優れ、軟化材保持性に優れたものであることが明らかである。一方、比較例5の発泡体は、油展エチレン系共重合体に含まれるエチレン系共重合体の極限粘度[η]の値、及びMw/Mnの値が本発明の範囲外であるため、実施例6の発泡体に比して、軟化材保持性に劣るものである。また、比較例6の発泡体は、油展エチレン系共重合体に含まれるエチレン系共重合体のMw/Mnの値が本発明の範囲外であるため、実施例6の発泡体に比して、軟化材保持性に劣るものである。更に、比較例7の発泡体は、熱可塑性エラストマー組成物の溶融張力の値が本発明の範囲外であるため、発泡セル状態が不均一であるとともに表面が荒れており、表面外観に劣るものであった。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を発泡させることにより得られる発泡体は、ゴム弾性、柔軟性、及び表面外観に優れたものであり、例えば、インスツルメントパネルやグローブボックス等の自動車内装部品、ウェザーストリップ等の自動車外装部品、弱電部品、電化製品用防振材、その他の工業部品、建材、スポーツ用品等として好適である。
エチレン系共重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって分析して得られるクロマトグラムを示す模式図である。
符号の説明
1:溶出曲線、T1:ポリスチレンに換算した分子量10万の成分が溶出する時間、S1:溶出時間T1以降に検出される部分の面積、S:溶出曲線1と横軸で囲まれた全面積

Claims (8)

  1. (A)下記(1)及び(2)の条件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、50〜150質量部の鉱物油系軟化材を含む油展エチレン系共重合体と、
    (B)(B−1)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂及び(B−2)210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上のオレフィン樹脂組成物の少なくともいずれかと、を含む混合物を、
    (C)架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる、
    210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が5.0cN以上、JIS K6262に準拠して、70℃、22時間で測定した圧縮永久歪みが80%以下である熱可塑性エラストマー組成物。
    (1):デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が、5.5〜9.0dl/gである。
    (2):重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値が、3以下である。
  2. 前記(A)油展エチレン系共重合体が、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、前記鉱物油系軟化材、及び溶媒を含む混合液から脱溶媒して得られるものである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記(B)(B−1)オレフィン樹脂及び(B−2)オレフィン樹脂組成物の少なくともいずれかの、210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力が3.0cN以上、JIS K6262に準拠して、70℃、22時間で測定した圧縮永久歪みが60%以下である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記(B−1)オレフィン樹脂が、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂とα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の少なくともいずれかである請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記(B−2)オレフィン樹脂組成物が、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及びα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の少なくともいずれかと、水添ジエン系重合体と、を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を発泡させることにより得られる発泡体。
  7. 溶融させた請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物に不活性ガスを注入した後、発泡させることを含む発泡体の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、化学発泡剤0.01〜20質量部を配合して化学発泡剤混合原料を得、得られた前記化学発泡剤混合原料を発泡させることを含む発泡体の製造方法。
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