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JP5158444B2 - 防眩フィルムの製造方法および防眩フィルム作製のための金型の製造方法 - Google Patents

防眩フィルムの製造方法および防眩フィルム作製のための金型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低ヘイズでありながら防眩特性に優れた防眩(アンチグレア)フィルムの製造方法、かかる防眩フィルムを得るための金属金型の製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置は、その表示面に外光が映り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、反射光を利用して表示を行う携帯電話などにおいては、従来から画像表示装置の表面に外光の映り込みを防止するフィルム層が設けられている。このフィルム層は、光学多層膜による干渉を利用した無反射処理が施されたフィルムからなるものと、表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理が施されたフィルムからなるものとに大別される。このうち、前者の無反射フィルムは、均一な光学膜厚の多層膜を形成する必要があるため、コスト高になる。これに対して後者の防眩フィルムは、比較的安価に製造することができるため、大型のパーソナルコンピュータやモニタなどの用途に広く用いられている。
このような防眩フィルムは従来から、たとえば微粒子を分散させた樹脂溶液を基材シート上に塗布し、塗布膜厚を調整して微粒子を塗布膜表面に露出させることでランダムな凹凸をシート上に形成する方法などによって製造されている。しかしながら、このような微粒子を分散させることにより製造された防眩フィルムは、樹脂溶液中の微粒子の分散状態や塗布状態などによって凹凸の配置や形状が左右されてしまうため、意図したとおりの凹凸を得ることが困難であり、ヘイズが低いものでは十分な防眩効果が得られないという問題があった。さらに、このような従来の防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合、散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる「白ちゃけ」が発生しやすいという問題があった。また、最近の画像表示装置の高精細化に伴って、画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見えにくくなる、いわゆる「ギラツキ」現象が発生しやすいという問題もあった。ギラツキを解消するために、バインダー樹脂と分散微粒子との間に屈折率差を設けて光を散乱させる試みもあるが、そのような防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した際には、微粒子とバインダー樹脂界面における光の散乱によって、コントラストが低下しやすいという問題もあった。
一方、微粒子を含有させずに、透明樹脂層の表面に形成された微細な凹凸だけで防眩性を発現させる試みもある。たとえば、特開2002−189106号公報(特許文献1)には、エンボス鋳型と透明樹脂フィルムとの間に電離放射線硬化性樹脂を挟んだ状態で当該電離放射線硬化性樹脂を硬化させることにより、三次元10点平均粗さおよび三次元粗さ基準面上における隣接する凸部どうしの平均距離が、それぞれ所定値を満足する微細な凹凸を形成させ、その凹凸が形成された電離放射線硬化性樹脂層を前記透明樹脂フィルム上に設けたかたちの防眩フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示される防眩フィルムによっても、十分な防眩効果、白ちゃけの抑制、高コントラスト、およびギラツキの抑制を達成することは難しかった。
また、表示装置の表示面に配置される防眩フィルムではなく、液晶表示装置の背面側に配置される光拡散層として、表面に微細な凹凸が形成されたフィルムを用いることも、たとえば特開平6−34961号公報(特許文献2)、特開2004−45471号公報(特許文献3)、特開2004−45472号公報(特許文献4)などに開示されている。このうち特許文献3、4には、フィルムの表面に凹凸を形成する手法として、凹凸を反転させた形状を有するエンボスロールに電離放射線硬化性樹脂液を充填し、充填された樹脂にロール凹版の回転方向に同期して走行する透明基材を接触させ、透明基材がロール凹版に接触しているときに、ロール凹版と透明基材との間にある樹脂を硬化させ、硬化と同時に硬化樹脂と透明基材とを密着させた後、硬化後の樹脂と透明基材との積層体をロール凹版から剥離する方法が開示されている。
しかしながらこのような特許文献3、4に開示された方法では、用いることのできる電離放射線硬化性樹脂液の組成が限られ、また溶媒で希釈して塗布したときのようなレベリングが期待できないことから、膜厚の均一性に課題があることが予想される。さらに、特許文献3、4に開示された方法では、エンボスロール凹版に直接樹脂液を充填する必要があることから、凹凸面の均一性を確保するためには、エンボスロール凹版に高い機械精度が要求され、エンボスロールの作製が難しいという課題があった。
次に、表面に凹凸を有するフィルムの作製に用いられるロールの作製方法としては、たとえば、上述した特許文献2には、金属などを用いて円筒体を作り、その表面に電子彫刻、エッチング、サンドブラストなどの手法により凹凸を形成する方法が開示されている。
また、特開2004−29240号公報(特許文献5)には、ビーズショット法によってエンボスロールを作製する方法が開示されており、特開2004−90187号公報(特許文献6)には、エンボスロールの表面に金属めっき層を形成する工程、金属めっき層の表面を鏡面研磨する工程、さらに必要に応じてピーニング処理をする工程を経て、エンボスロールを作製する方法が開示されている。
しかしながら、このようにエンボスロールの表面にブラスト処理を施したままの状態では、ブラスト粒子の粒径分布に起因する凹凸径の分布が生じるとともに、ブラストにより得られるくぼみの深さを制御することが困難であり、防眩機能に優れた凹凸の形状を再現性よく得ることに課題があった。
また、上述した特許文献1には、好ましくは鉄の表面にクロムめっきしたローラを用い、サンドブラスト法やビーズショット法により凹凸型面を形成することが記載されている。さらに、このように凹凸が形成された型面には、使用時の耐久性を向上させる目的で、クロムめっきなどを施してから使用することが好ましく、それにより硬膜化および腐食防止を図ることができる旨の記載もある。一方、上述した特許文献3、4のそれぞれの実施例には、鉄芯表面にクロムめっきし、#250の液体サンドブラスト処理をした後に、再度クロムめっき処理して、表面に微細な凹凸形状を形成することが記載されている。
しかしながら、このようなエンボスロールの作製法では、硬度の高いクロムめっきの上にブラストやショットを行うため、凹凸が形成されにくく、しかも形成された凹凸の形状を精密に制御することが困難であった。また、特開2004−29672号公報(特許文献7)にも記載されるとおり、クロムめっきは、下地となる材質およびその形状に依存して表面が荒れることが多く、ブラストにより形成された凹凸上にクロムめっきで生じた細かいクラックが形成されるため、どのような凹凸ができるかの設計が難しいという課題があった。さらに、クロムめっきで生じる細かいクラックがあるため、最終的に得られる防眩フィルムの散乱特性が好ましくない方向に変化するという課題もあった。さらには、エンボスロール母材表面の材質とめっき種の組み合わせにより、仕上がりのロール表面が多種多様に変化するため、必要とする表面凹凸形状を精度よく得るためには、適切なロール表面の材質と適切なめっき種を選択しなければならないという課題もあった。さらにまた、望む表面凹凸形状が得られたとしても、めっき種によっては使用時の耐久性が不十分となることもあった。
特開2000−284106号公報(特許文献8)には、基材にサンドブラスト加工を施した後、エッチング工程および/または薄膜の積層工程を施すことが記載されているが、サンドブラスト工程前に金属めっき層を設けることについては記載も示唆もされていない。また、特開2006−53371号公報(特許文献9)には基材を研磨し、サンドブラスト加工を施した後、無電解ニッケルめっきを施すことが記載されている。また、特開2007−187952号公報(特許文献10)には基材に銅めっきまたはニッケルめっきを施した後、研磨し、サンドブラスト加工を施した後、クロムめっきを施してエンボス版を作製することが記載されており、さらに、特開2007−237541号公報(特許文献11)には銅めっきまたはニッケルめっきを施した後、研磨し、サンドブラスト加工を施した後、エッチング工程または銅めっき工程を施した後にクロムめっきを施してエンボス版を作製することが記載されている。これらのサンドブラスト加工を用いる製法では表面凹凸形状を精密に制御された状態で形成することが難しいため、表面凹凸形状に50μm以上の周期を持つ比較的大きい凹凸形状も作製されてしまう。結果として、それらの大きい凹凸形状と画像表示装置の画素が干渉し、輝度分布が発生して見にくくなる、いわゆるギラツキが発生しやすいという問題があった。
特開2002−189106号公報 特開平6−34961号公報 特開2004−45471号公報 特開2004−45472号公報 特開2004−29240号公報 特開2004−90187号公報 特開2004−29672号公報 特開2000−284106号公報 特開2006−53371号公報 特開2007−187952号公報 特開2007−237541号公報
本発明は、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現する防眩フィルムの製造方法、ならびに、防眩フィルムを得るための金属金型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の防眩フィルムの製造方法は、ドット径の異なる複数種類のドットを多数ランダムに配置したパターンを用いた、透明支持体上に微細凹凸表面が形成されている防眩フィルムの製造方法であって、平均のドット径が6〜30μmであり、ドット径の変動係数が0.1〜0.5であり、かつ、パターンのエネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持たないことを特徴とする。
本発明の防眩フィルムの製造方法において、前記パターンを用いて金型を作製し、前記金型の凹凸面を透明支持体上に転写し、次いで凹凸面が転写された透明支持体を金型から剥がすことが好ましい。
本発明はまた、上述した金型を製造する方法であって、金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施す第1めっき工程と、第1めっき工程によってめっきが施された表面を研磨する研磨工程と、研磨された面に感光性樹脂膜を塗布形成する感光性樹脂膜塗布工程と、感光性樹脂膜上に前記パターンを露光する露光工程と、前記パターンが露光された感光性樹脂膜を現像する現像工程と、現像された感光性樹脂膜をマスクとして用いてエッチング処理を行い、研磨されためっき面に凹凸を形成するエッチング工程と、感光性樹脂膜を剥離する感光性樹脂膜剥離工程と、形成された凹凸面にクロムめっきを施す第2めっき工程とを含むことを特徴とする金型の製造方法についても提供する。
本発明の金型の製造方法は、前記感光性樹脂膜剥離工程と前記第2めっき工程の間に、形成された凹凸面をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程を含むことが、好ましい。
本発明の金型の製造方法はまた、クロムめっきを施した後、表面を研磨せず、そのままクロムめっき面を金型の凹凸面として用いることが、好ましい。
本発明の金型の製造方法はさらに、クロムめっきにより形成されたクロムめっき層が1〜10μmの厚みを有することが、好ましい。
本発明の防眩フィルムの製造方法および金型の製造方法によれば、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現する防眩フィルムを再現性よく製造することができる。
本発明の防眩フィルムの製造方法に用いられ得る好ましい一例のパターンを模式的に示す拡大図である。 ドット径の変動係数が0である場合のパターンを模式的に示す拡大図である。 パターンを表す関数g(x,y)もしくはt(x,y)が離散的に得られる、パターンの階調もしくは透過率が離散的に得られる状態を模式的に示す図である。 図1に示したパターンの画像データを、階調の二次元の離散関数g(x,y)で示したものである。 図4に示した階調の二次元離散関数g(x,y)を離散フーリエ変換して得られたエネルギースペクトルG2(fx,fy)を白と黒のグラデーションで示したものである。 図5に示したエネルギースペクトルG2(fx,fy)のfx=0における断面を示す図である。 本発明の金型の製造方法の前半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。 本発明の金型の製造方法の後半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。 第1エッチング工程においてサイドエッチングが進行する状態を模式的に示す図である。 第1エッチング工程によって形成された凹凸面が第2エッチング工程によって鈍る状態を模式的に示す図である。 比較例1の金型作製の際に使用したパターンより得られた画像データの階調を二次元関数で表した図である。 比較例2の金型作製の際に使用したパターンより得られた画像データの階調を二次元関数で表した図である。 比較例1および比較例2に使用したパターンのエネルギースペクトルのfx=0における断面を表した図である。
<防眩フィルムの製造方法>
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。本発明の防眩フィルムの製造方法は、特定の空間周波数分布を持つ微細な凹凸表面形状(微細凹凸表面)を精度よく形成するために、平均のドット径が6〜30μmであり、ドット径の変動係数が0.1〜0.5である複数種類のドット径を有するドットを、エネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持たないように多数ランダムに配置したパターンを用いて、透明支持体上に微細凹凸表面を形成することを特徴とする。ここで、「パターン」とは、防眩フィルムの微細凹凸表面を形成するための画像データや透光部と遮光部を有するマスクのことなどを意味する。
図1は、本発明の防眩フィルムの製造方法に用いられ得る好ましい一例のパターン(具体的には後述する実施例1で用いたパターン)を模式的に示す拡大図である。本発明では、黒色円形で示した領域1を「ドット」とし、ドットの直径を「ドット径」、パターン中の全ドットのドット径の平均値を「平均ドット径」とする。また、「ドット径の変動係数」とは、ドット径の標準偏差を平均ドット径で除したものを指す。図1に示したパターンの平均ドット径は18μmであり、ドット径の変動係数は0.22である。
防眩フィルムの微細凹凸表面は、ギラツキを抑制するという観点から、50μm以上の長周期成分を含まないことが好ましい。しかしながら、10μm以下の短周期成分のみを含む微細凹凸表面では優れた防眩性能が発現しない。よって、十分な防眩効果を発現しつつ、ギラツキが十分に防止されるためには、10〜50μmの周期を持つ表面形状を主成分として含む微細凹凸表面を形成することが好ましい。
本発明者らは、平均ドット径およびドット径の変動係数をそれぞれ上述した所定の範囲内となるようにした複数種類のドット径を有するドットを多数ランダムに配置したパターンを用いて、透明支持体上に微細な凹凸形状が形成されている防眩フィルムを作製することで、この防眩フィルムの微細凹凸表面が特定の空間周波数分布を示すようになり、十分な防眩効果を発現しつつ、ギラツキが十分に防止されることを見出した。防眩フィルムの微細凹凸表面を形成するためのパターンの平均ドット径が6μmを下回る場合には、得られる防眩フィルムに、防眩性を効果的に発現するための、周期が10μmより大きい微細凹凸表面が形成されないため好ましくない。また、平均ドット径が30μmを上回る場合には、得られる防眩フィルムに、周期が50μm以上である微細凹凸表面が形成されることとなり、結果として、高精細の画像表示装置の表面に配置したときにギラツキが発生することとなる。
微細凹凸表面を形成するためのパターンのドット径の変動係数が0.1を下回る場合には、ドットをランダムに配置しても、パターンは局所的な規則性を有することとなる。このようなパターンから得られる微細凹凸表面も局所的な規則性を有することなる。局所的な規則性を有する微細凹凸表面を持つ防眩フィルムは干渉色が観察され、視認性が低下するので好ましくない。また、ドット径の変動係数が0.5を上回る場合には、ドット径の大きいドットが多数存在することとなり、このようなパターンから得られる防眩フィルムには周期が50μm以上である微細凹凸表面が形成されやすくなり、結果として、高精細の画像表示装置の表面に配置したときにギラツキが発生することとなる。図2は、ドット径の変動係数が0である場合のパターンを模式的に示す拡大図である。図2に示す例では、局所的に規則配列している箇所が発生している。
次に、パターンのエネルギースペクトルについて説明する。パターンのエネルギースペクトルは、例えば画像データであれば、画像データを256階調のグレースケールに変換した後、画像データの階調を二次元関数g(x,y)で表し、得られた二次元関数g(x,y)をフーリエ変換して二次元関数G(fx,fy)を計算し、得られた二次元関数G(fx,fy)を二乗することによって求められる。また、透光部と遮光部を有するマスクであれば、透過率を二次元関数t(x,y)で表し、得られた二次元関数t(x,y)をフーリエ変換して二次元関数T(fx,fy)を計算し、得られた二次元関数T(fx,fy)を二乗することによって求められる。ここで、xおよびyは画像データ面内もしくはマスク面内の直交座標を表し、fxおよびfyはx方向の周波数およびy方向の周波数を表している。ここでフーリエ変換は式(1)で定義される。また、式(1)中のπは円周率、iは虚数単位であり、二次元関数h(x,y)はg(x,y)やt(x,y)を表しており、二次元関数H(fx,fy)はG(fx,fy)やT(fx,fy)を表している。
実際にパターンのエネルギースペクトルを求める際には、二次元関数g(x,y)やt(x,y)は関数形では得られず、離散的なデータ点の集合である離散関数として得られることが多い。図3は、パターンを表す関数g(x,y)もしくはt(x,y)が離散的に得られる、パターンの階調もしくは透過率が離散的に得られる状態を模式的に示す図である。図3に示すように、パターン面内の直交座標を(x,y)で表示し、パターン面3上にx軸方向にΔx毎に分割した線およびy軸方向にΔy毎に分割した線を破線で示すと、実際の測定では画像データの階調やマスクの透過率はパターン面3上の各破線の交点毎の離散的な値として得られる。
得られる値の数は計算範囲とΔxおよびΔyによって決まり、図3に示すようにx軸方向の計算範囲をX=MΔxとし、y軸方向の計算範囲をY=NΔyとすると、得られる値の数は(M+1)×(N+1)個である。
図3に示すようにパターン面3上の着目点Aの座標を(jΔx,kΔy)(ここでjは0以上M以下であり、kは0以上N以下である。)とすると、パターンが画像データである場合には着目点Aでの階調はg(jΔx,kΔy)と表すことができて、パターンがマスクである場合には着目点Aでの階調はt(jΔx,kΔy)と表すことができる。
ここで測定間隔ΔxおよびΔyは精度良くパターンの周波数分布を評価するためには、ΔxおよびΔyともに5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。また、計算範囲XおよびYは、パターンのエネルギースペクトルの分解能が0.01μm-1以下である必要があるため、XおよびYともに200μm以上とすることが好ましく、XおよびYともに500μm以上であることがより好ましい。
このように(M+1)×(N+1)個の値の集合として得られた離散関数g(x,y)もしくはt(x,y)と式(2)で定義される離散フーリエ変換によって離散関数G(fx,fy)もしくはT(fx,fy)が求まり、離散関数G(fx,fy)もしくはT(fx,fy)を二乗することによってエネルギースペクトルの離散関数G2(fx,fy)や離散関数T2(fx,fy)が求められる。ここで式(2)中のlは−(M+1)/2以上(M+1)/2以下の整数であり、mは−(N+1)/2以上(N+1)/2以下の整数である。また、ΔfxおよびΔfyはそれぞれx方向およびy方向の周波数間隔であり、式(3)および式(4)で定義される。
図4は、図1に示したパターンの画像データを、階調の二次元の離散関数g(x,y)で示したものである。図4に示したパターンである画像データは12800dpiの256階調で作成した。また、図4に示した二次元離散関数g(x,y)は512×512個の値を持ち、水平分解能ΔxおよびΔyはともに2μmである。
図5は、図4に示した階調の二次元離散関数g(x,y)を離散フーリエ変換して得られたエネルギースペクトルG2(fx,fy)を白と黒のグラデーションで示したものである。図5に示した離散関数G2(fx,fy)も512×512個の値を持ち、水平分解能ΔfxおよびΔfyは0.0010μm-1である。図4に示したように本発明の防眩フィルムを作製するために作成したパターンはランダムであるため、図5のエネルギースペクトルは原点を中心に対称となる。よって、パターンのエネルギースペクトルの極大値はエネルギースペクトルの原点を通る断面より求めることができる。図6は、図5に示したエネルギースペクトルG2(fx,fy)のfx=0における断面を示す図である。これより図4に示したパターンは空間周波数0.045μm-1に極大値を持つが、0μm-1より大きく0.04μm-1以下には極大値を持たないことが分かる。
防眩フィルムを作製するためのパターンのエネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持つ場合には、得られる防眩フィルムに周期が50μm以上である微細凹凸表面が形成されやすくなり、結果として、高精細の画像表示装置の表面に配置したときにギラツキが発生することとなる。
上述したパターンを用いた微細凹凸表面を有する防眩フィルムは、印刷法、パターン露光法、エンボス法などによって製造することができる。たとえば、印刷法では、光硬化性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を用いたフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などによって、上述したパターンを透明支持体上に印刷して作製した後、乾燥、または、活性光線もしくは加熱により硬化させることによって、本発明の防眩フィルムを製造することができる。また、パターン露光法では光硬化性樹脂を透明支持体上に塗布した後、上述したパターンを用いたレーザによる直描露光や、上述したパターンを有するマスクを介しての全面露光により、パターン露光を行い、必要に応じて現像した後、活性光線もしくは加熱により硬化させることによって、本発明の防眩フィルムを製造することができる。さらにエンボス法では、上述したパターンを用いて微細凹凸表面を有する金型を製造し、製造された金型の凹凸面を透明支持体上に転写し、次いで凹凸面が転写された透明支持体を金型から剥がすことによって、本発明の防眩フィルムを製造することができる。ここで、本発明の防眩フィルムは、微細凹凸表面を精度よく、かつ、再現性よく製造する観点から、エンボス法によって製造されることが好ましい。
ここで、エンボスとしては、光硬化性樹脂を用いるUVエンボス法、熱可塑性樹脂を用いるホットエンボス法が例示され、中でも、生産性の観点から、UVエンボス法が好ましい。
UVエンボス法は、透明支持体の表面に光硬化性樹脂層を形成し、その光硬化性樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が光硬化性樹脂層に転写される方法である。具体的には、透明支持体上に紫外線硬化型樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化型樹脂を金型の凹凸面に密着させた状態で透明支持体側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、その後金型から、硬化後の紫外線硬化型樹脂層が形成された透明支持体を剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化型樹脂に転写する。
UVエンボス法を用いる場合、透明支持体としては、実質的に光学的に透明なフィルムであればよく、たとえばトリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の溶剤キャストフィルムや押出フィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。
またUVエンボス法を用いる場合における紫外線硬化型樹脂の種類は特に限定されないが、市販の適宜のものを用いることができる。また、紫外線硬化型樹脂に適宜選択された光開始剤を組み合わせて、紫外線より波長の長い可視光でも硬化が可能な樹脂を用いることも可能である。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能アクリレートをそれぞれ単独で、あるいはそれら2種以上を混合して用い、それと、イルガキュアー907(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)などの光重合開始剤とを混合したものを好適に用いることができる。
一方、ホットエンボス法は、熱可塑性樹脂で形成された透明支持体を加熱状態で金型に押し付け、金型の表面形状を透明支持体に転写する方法である。ホットエンボス法に用いる透明支持体としては、実質的に透明なものであればいかなるものであってもよく、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の溶剤キャストフィルムや押出フィルムなどを用いることができる。これらの透明樹脂フィルムはまた、上で説明したUVエンボス法における紫外線硬化型樹脂を塗工するための透明支持体としても好適に用いることができる。
<防眩フィルム作製用の金型の製造方法>
以下では、本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型を製造する方法について説明する。本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型の製造方法については、上述したパターンを用いた所定の表面形状が得られる方法であれば、特に制限されないが、微細凹凸表面を精度よく、かつ、再現性よく製造するために、〔1〕第1めっき工程と、〔2〕研磨工程と、〔3〕感光性樹脂膜塗布工程と、〔4〕露光工程と、〔5〕現像工程と、〔6〕第1エッチング工程と、〔7〕感光性樹脂膜剥離工程と、〔8〕第2めっき工程とを基本的に含むことが好ましい。図7は、本発明の金型の製造方法の前半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図7には各工程での金型の断面を模式的に示している。本発明の金型の製造方法は以下、図7を参照しながら、本発明の金型の製造方法の各工程について詳細に説明する。
〔1〕第1めっき工程
本発明の金型の製造方法ではまず、金型に用いる基材の表面に、銅めっきまたはニッケルめっきを施す。このように、金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施すことにより、後の第2めっき工程におけるクロムめっきの密着性や光沢性を向上させることができる。すなわち、背景技術として上述したように、鉄などの表面にクロムめっきを施した場合、あるいはクロムめっき表面にサンドブラスト法やビーズショット法などで凹凸を形成してから再度クロムめっきを施した場合には、表面が荒れやすく、細かいクラックが生じて、金型の表面の凹凸形状が制御しにくくなる。これに対して、まず、基材表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施しておくことにより、このような不都合をなくすことができる。これは、銅めっきまたはニッケルめっきは、被覆性が高く、また平滑化作用が強いことから、金型用基材の微小な凹凸や巣などを埋めて平坦で光沢のある表面を形成するためである。これらの銅めっきまたはニッケルめっきの特性によって、後述する第2めっき工程においてクロムめっきを施したとしても、基材に存在していた微小な凹凸や巣に起因すると思われるクロムめっき表面の荒れが解消され、また、銅めっきまたはニッケルめっきの被覆性の高さから、細かいクラックの発生が低減される。
第1めっき工程において用いられる銅またはニッケルとしては、それぞれの純金属であることができるほか、銅を主体とする合金、またはニッケルを主体とする合金であってもよく、したがって、本明細書でいう「銅」は、銅および銅合金を含む意味であり、また「ニッケル」は、ニッケルおよびニッケル合金を含む意味である。銅めっきおよびニッケルめっきは、それぞれ電解めっきで行っても無電解めっきで行ってもよいが、通常は電解めっきが採用される。
銅めっきまたはニッケルめっきを施す際には、めっき層が余り薄いと、下地表面の影響が排除しきれないことから、その厚みは50μm以上であるのが好ましい。めっき層厚みの上限は臨界的でないが、コストなどとのからみから、一般的には500μm程度までで十分である。
なお、本発明の金型の製造方法において、基材の形成に好適に用いられる金属材料としては、コストの観点からアルミニウム、鉄などが挙げられる。さらに取扱いの利便性から、軽量なアルミニウムがより好ましい。ここでいうアルミニウムや鉄も、それぞれ純金属であることができるほか、アルミニウムまたは鉄を主体とする合金であってもよい。
また、基材の形状は、当分野において従来より採用されている適宜の形状であれば特に制限されず、平板状であってもよいし、円柱状または円筒状のロールであってもよい。ロール状の基材を用いて金型を作製すれば、防眩フィルムを連続的なロール状で製造することができるという利点がある。
〔2〕研磨工程
続く研磨工程では、上述した第1めっき工程にて銅めっきまたはニッケルめっきが施された基材表面を研磨する。当該工程を経て、基材表面は、鏡面に近い状態に研磨されることが好ましい。これは、基材となる金属板や金属ロールは、所望の精度にするために、切削や研削などの機械加工が施されていることが多く、それにより基材表面に加工目が残っており、銅めっきまたはニッケルめっきが施された状態でも、それらの加工目が残ることがあるし、また、めっきした状態で、表面が完全に平滑になるとは限らないためである。
すなわち、このような深い加工目などが残った表面に後述する工程を施したとしても、各工程を施した後に形成される凹凸よりも加工目などの凹凸の方が深いことがあり、加工目などの影響が残る可能性があり、そのような金型を用いて防眩フィルムを製造した場合には、光学特性に予期できない影響を及ぼすことがある。図7(a)には、平板状の金型用基材7が、第1めっき工程において銅めっきまたはニッケルめっきをその表面に施され(当該工程で形成した銅めっきまたはニッケルめっきの層については図示せず)、さらに研磨工程によって鏡面研磨された表面8を有するようにされた状態を模式的に示している。
銅めっきまたはニッケルめっきが施された基材表面を研磨する方法については特に制限されるものではなく、機械研磨法、電解研磨法、化学研磨法のいずれも使用できる。機械研磨法としては、超仕上げ法、ラッピング、流体研磨法、バフ研磨法などが例示される。研磨後の表面粗度は、JIS B 0601の規定に準拠した中心線平均粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。研磨後の中心線平均粗さRaが0.1μmより大きいと、最終的な金型表面の凹凸形状に研磨後の表面粗度の影響が残る可能性があるので好ましくない。また、中心線平均粗さRaの下限については特に制限されず、加工時間や加工コストの観点から、おのずと限界があるので、特に指定する必要性はない。
〔3〕感光性樹脂膜塗布工程
続く感光性樹脂膜塗布工程では、上述した研磨工程によって鏡面研磨を施した基材7の表面8に、感光性樹脂を溶媒に溶解した溶液として塗布し、加熱・乾燥することにより、感光性樹脂膜を形成する。図7(b)には、基材7の表面8に感光性樹脂膜9が形成された状態を模式的に示している。
感光性樹脂としては従来公知の感光性樹脂を用いることができる。たとえば、感光部分が硬化する性質をもったネガ型の感光性樹脂としては分子中にアクリル基またはメタアクリル基を有するアクリル酸エステルの単量体やプレポリマー、ビスアジドとジエンゴムとの混合物、ポリビニルシンナマート系化合物などを用いることができる。また、現像により感光部分が溶出し、未感光部分だけが残る性質をもったポジ型の感光性樹脂としてはフェノール樹脂系やノボラック樹脂系などを用いることができる。また、感光性樹脂には、必要に応じて、増感剤、現像促進剤、密着性改質剤、塗布性改良剤などの各種添加剤を配合してもよい。
これらの感光性樹脂を基材7の表面8に塗布する際には、良好な塗膜を形成するために、適当な溶媒に希釈して塗布することが好ましく、セロソルブ系溶媒、プロピレングリコール系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、高極性溶媒などを使用することができる。
感光性樹脂溶液を塗布する方法としては、メニスカスコート、ファウンティンコート、ディップコート、回転塗布、ロール塗布、ワイヤーバー塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布などの公知の方法を用いることができる。塗布膜の厚さは乾燥後で1〜6μmの範囲とすることが好ましい。
〔4〕露光工程
続く露光工程では、前記したエネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下には極大値を持たないパターンを上述した感光性樹脂膜塗布工程で形成された感光性樹脂膜9上に露光する。露光工程に用いる光源は塗布された感光性樹脂の感光波長や感度等に合わせて適宜選択すればよく、たとえば、高圧水銀灯のg線(波長:436nm)、高圧水銀灯のh線(波長:405nm)、高圧水銀灯のi線(波長:365nm)、半導体レーザ(波長:830nm、532nm、488nm、405nmなど)、YAGレーザ(波長:1064nm)、KrFエキシマーレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマーレーザ(波長:193nm)、F2エキシマーレーザ(波長:157nm)等を用いることができる。
本発明の金型の製造方法において表面凹凸形状を精度良く形成するためには、露光工程において、上述したパターンを感光性樹脂膜上に精密に制御された状態で露光することが好ましい。本発明の金型の製造方法においては、上述したパターンを感光性樹脂膜上に精度よく露光するために、コンピュータ上でパターンを画像データとして作成し、その画像データに基づいたパターンを、コンピュータ制御されたレーザヘッドから発するレーザ光によって描画することが好ましい。レーザー描画を行うに際しては印刷版作成用のレーザー描画装置を使用することができる。このようなレーザー描画装置としては、たとえばLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)などが挙げられる。
図7(c)には、感光性樹脂膜9にパターンが露光された状態を模式的に示している。感光性樹脂膜をネガ型の感光性樹脂で形成した場合には、露光された領域10は露光によって樹脂の架橋反応が進行し、後述する現像液に対する溶解性が低下する。よって、現像工程において露光されていない領域11が現像液によって溶解され、露光された領域10のみ基材表面上に残りマスクとなる。一方、感光性樹脂膜をポジ型の感光性樹脂で形成した場合には、露光された領域10は露光によって樹脂の結合が切断され、後述する現像液に対する溶解性が増加する。よって、現像工程において露光された領域10が現像液によって溶解され、露光されていない領域11のみ基材表面上に残りマスクとなる。
〔5〕現像工程
続く現像工程においては、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光されていない領域11は現像液によって溶解され、露光された領域10のみ金型用基材上に残存し、続く第1エッチング工程においてマスクとして作用する。一方、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光された領域10のみ現像液によって溶解され、露光されていない領域11が金型用基材上に残存して、続く第1エッチング工程におけるマスクとして作用する。
現像工程に用いる現像液については従来公知のものを使用することができる。たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミンなどの第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジンなどの環状アミン類などのアルカリ性水溶液、キシレン、トルエンなどの有機溶剤などを挙げることができる。
現像工程における現像方法については特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法を用いることができる。
図7(d)には、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いて、現像処理を行った状態を模式的に示している。図7(c)において露光されていない領域11が現像液によって溶解され、露光された領域10のみ基材表面上に残りマスク12となる。図7(e)には、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いて、現像処理を行った状態を模式的に示している。図7(c)において露光された領域10が現像液によって溶解され、露光されていない領域11のみ基材表面上に残りマスク12となる。
〔6〕第1エッチング工程
続く第1エッチング工程では、上述した現像工程後に金型用基材表面上に残存した感光性樹脂膜をマスクとして用いて、主にマスクの無い箇所の金型用基材をエッチングする。図8は、本発明の金型の製造方法の後半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図8(a)には第1エッチング工程によって、主にマスクの無い箇所13の金型用基材7がエッチングされる状態を模式的に示している。マスク12の下部の金型用基材7は金型用基材表面からはエッチングされないが、エッチングの進行とともにマスクの無い領域13からのエッチングが進行する。よって、マスク12とマスクの無い領域13の境界付近では、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされる。このようなマスク12とマスクの無い領域13の境界付近において、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされることを、以下ではサイドエッチングと呼ぶ。図9にはサイドエッチングの進行を模式的に示した。図9の点線14はエッチングの進行とともに変化する金型用基材の表面を段階に示している。
第1エッチング工程におけるエッチング処理は、通常、塩化第二鉄(FeCl3)液、塩化第二銅(CuCl2)液、アルカリエッチング液(Cu(NH34Cl2)などを用いて、金属表面を腐食させることによって行われるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。エッチング処理を施した際の金型用基材に形成される凹形状は、下地金属の種類、感光性樹脂膜の種類およびエッチング手法などによって異なるため、一概にはいえないが、エッチング量が10μm以下である場合には、エッチング液に触れている金属表面から略等方的にエッチングされる。ここでいうエッチング量とは、エッチングにより削られる基材の厚みである。
第1エッチング工程におけるエッチング量は好ましくは1〜50μmである。エッチング量が1μm未満である場合には、金属表面に凹凸形状がほとんど形成されずに、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。また、エッチング量が50μmを超える場合には、金属表面に形成される凹凸形状の高低差が大きくなり、得られた金型を使用して作製した防眩フィルムが白ちゃけることとなるため好ましくない。第1エッチング工程におけるエッチング処理は1回のエッチング処理によって行ってもよいし、エッチング処理を2回以上に分けて行ってもよい。ここでエッチング処理を2回以上に分けて行う場合には、2回以上のエッチング処理におけるエッチング量の合計が1〜50μmであることが好ましい。
〔7〕感光性樹脂膜剥離工程
続く感光性樹脂膜剥離工程では、第1エッチング工程でマスクとして使用した残存する感光性樹脂膜を完全に溶解し除去する。感光性樹脂膜剥離工程では剥離液を用いて感光性樹脂膜を溶解する。剥離液としては、上述した現像液と同様のものを用いることができて、pH、温度、濃度および浸漬時間などを変化させることによって、ネガ型の感光性樹脂膜を用いた場合には露光部の、ポジ型の感光性樹脂膜を用いた場合には非露光部の感光性樹脂膜を完全に溶解して除去する。感光性樹脂膜剥離工程における剥離方法についても特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法を用いることができる。
図8(b)は、感光性樹脂膜剥離工程によって、第1エッチング工程でマスクとして使用した感光性樹脂膜を完全に溶解し除去した状態を模式的に示している。感光性樹脂膜によるマスク12とエッチングによって、第1の表面凹凸形状15が金型用基材表面に形成される。
〔8〕第2めっき工程
続いて、クロムめっきを施すことによって、表面の凹凸形状を鈍らせる。図8(c)には、上述したように第1エッチング工程のエッチング処理によって形成された表面凹凸形状にクロムめっき層16を形成し、表面17を鈍らせた状態が示されている。
本発明では、平板やロールなどの表面に、光沢があって、硬度が高く、摩擦係数が小さく、良好な離型性を与え得るクロムめっきを採用する。クロムめっきの種類は特に制限されないが、いわゆる光沢クロムめっきや装飾用クロムめっきなどと呼ばれる、良好な光沢を発現するクロムめっきを用いることが好ましい。クロムめっきは通常、電解によって行われ、そのめっき浴としては、無水クロム酸(CrO3)と少量の硫酸を含む水溶液が用いられる。電流密度と電解時間を調節することにより、クロムめっきの厚みを制御することができる。
上述した特開2002−189106号公報、特開2004−45472号公報、特開2004−90187号公報などには、クロムめっきを採用することが開示されているが、金型のめっき前の下地とクロムめっきの種類によっては、めっき後に表面が荒れたり、クロムめっきによる微小なクラックが多数発生したりすることが多く、その結果、作製される防眩フィルムの光学特性が好ましくない方向へと進む。めっき表面が荒れた状態の金型は、防眩フィルムの製造用に適していない。何故ならば、一般的にざらつきを消すためにクロムめっき後にめっき表面を研磨することが行われているが、後述するように、本発明ではめっき後の表面の研磨が好ましくないからである。本発明では、下地金属に銅めっきまたはニッケルめっきを施すことにより、クロムめっきで生じ易いこのような不都合を解消している。
なお、第2めっき工程において、クロムめっき以外のめっきを施すことは好ましくない。何故なら、クロム以外のめっきでは、硬度や耐摩耗性が低くなるため、金型としての耐久性が低下し、使用中に凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりする。そのような金型から得られた防眩フィルムでは、十分な防眩機能が得られにくい可能性が高く、また、フィルム上に欠陥が発生する可能性も高くなる。
また、上述した特開2004−90187号公報などに開示されているようにめっき後の表面を研磨することも、やはり本発明では好ましくない。研磨することにより、最表面に平坦な部分が生じるため、光学特性の悪化を招く可能性があること、また、形状の制御因子が増えるため、再現性のよい形状制御が困難になることなどの理由による。
このように本発明では、クロムめっきを施した後、表面を研磨せず、そのままクロムめっき面を金型の凹凸面として用いることが好ましい。微細表面凹凸形状が形成された表面にクロムめっきを施すことにより、凹凸形状が鈍らせられるとともに、その表面硬度が高められた金型が得られるためである。この際の凹凸の鈍り具合は、下地金属の種類、第1エッチング工程より得られた凹凸のサイズと深さ、まためっきの種類や厚みなどによって異なるため、一概にはいえないが、鈍り具合を制御するうえで最も大きな因子は、やはりめっき厚みである。クロムめっきの厚みが薄いと、クロムめっき加工前に得られた凹凸の表面形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、めっき厚みが厚すぎると、生産性が悪くなるうえに、ノジュールと呼ばれる突起状のめっき欠陥が発生してしまうため好ましくない。そこで、クロムめっきの厚みは1〜10μmの範囲内であるのが好ましく、3〜6μmの範囲内であるのがより好ましい。
当該第2めっき工程で形成されるクロムめっき層は、ビッカース硬度が800以上となるように形成されていることが好ましく、1000以上となるように形成されていることがより好ましい。クロムめっき層のビッカース硬度が800未満である場合には、金型使用時の耐久性が低下するうえに、クロムめっきで硬度が低下することはめっき処理時にめっき浴組成、電解条件などに異常が発生している可能性が高く、欠陥の発生状況についても好ましくない影響を与える可能性が高いためである。
また、本発明の防眩フィルムを作製するための、金型の製造方法においては上述した〔7〕感光性樹脂膜剥離工程と〔8〕第2めっき工程との間に、第1エッチング工程によって形成された凹凸面をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程を含むことが好ましい。第2エッチング工程では、感光性樹脂膜をマスクとして用いた第1エッチング工程によって形成された第1の表面凹凸形状15を、エッチング処理によって鈍らせる。この第2エッチング処理によって、第1エッチング処理によって形成された第1の表面凹凸形状15における表面傾斜が急峻な部分がなくなり、得られた金型を用いて製造された防眩フィルムの光学特性が好ましい方向へと変化する。図10には、第2エッチング処理によって、基材7の第1の表面凹凸形状15が鈍化し、表面傾斜が急峻な部分が鈍らされ、緩やかな表面傾斜を有する第2の表面凹凸形状18が形成された状態が示されている。
第2エッチング工程のエッチング処理も、第1エッチング工程と同様に、通常、塩化第二鉄(FeCl3)液、塩化第二銅(CuCl2)液、アルカリエッチング液(Cu(NH34Cl2)などを用い、表面を腐食させることによって行われるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。エッチング処理を施した後の凹凸の鈍り具合は、下地金属の種類、エッチング手法、および第1エッチング工程により得られた凹凸のサイズと深さなどによって異なるため、一概にはいえないが、鈍り具合を制御する上で最も大きな因子は、エッチング量である。ここでいうエッチング量も、第1エッチング工程と同様に、エッチングにより削られる基材の厚みである。エッチング量が小さいと、第1エッチング工程により得られた凹凸の表面形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、エッチング量が大きすぎると、凹凸形状がほとんどなくなってしまい、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。そこで、エッチング量は1〜50μmの範囲内であることが好ましく、4〜20μmの範囲内であることがより好ましい。第2エッチング工程におけるエッチング処理についても、第1エッチング工程と同様に、1回のエッチング処理によって行ってもよいし、エッチング処理を2回以上に分けて行ってもよい。ここでエッチング処理を2回以上に分けて行う場合には、2回以上のエッチング処理におけるエッチング量の合計が1〜50μmであることが好ましい。
本発明の防眩フィルムの製造方法により得られた防眩フィルムは、微細凹凸表面を精度よく制御されて形成されるため、十分な防眩性を発現し、かつ、白ちゃけが発生せず、画像表示装置の表面に配置した際にもギラツキが発生せず、高いコントラストを示すものとなる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り重量基準である。また、以下の例における金型または防眩フィルムの評価方法は、次のとおりである。
〔1〕防眩フィルム作製用のパターンの評価
作成したパターンデータを12800dpiで256階調のグレースケールの画像データとし、階調を二次元の離散関数g(x,y)で表した。得られた二次元離散関数g(x,y)を離散フーリエ変換して、二次元関数G(fx,fy)を求めた。二次元関数G(fx,fy)を二乗してエネルギースペクトルの二次元関数G2(fx,fy)を計算し、fx=0の断面曲線であるG2(0,fy)より、空間周波数が0μm-1より大きく、かつ、絶対値が最も小さい空間周波数の極大値を求めた。計算に用いたパターンの水平分解能はΔxおよびΔyともに2μmとした。また、計算範囲は1000μm×1000μmとした。
〔2〕防眩フィルムの光学特性の測定
(ヘイズ)
防眩フィルムのヘイズは、JIS K 7136に規定される方法で測定した。具体的には、この規格に準拠したヘイズメータHM−150型(村上色彩技術研究所製)を用いてヘイズを測定した。防眩フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。一般的にヘイズが大きくなると、画像表示装置に適用したときに画像が暗くなり、その結果、正面コントラストが低下しやすくなる。それ故に、ヘイズは低い方が好ましい。
〔3〕防眩フィルムの防眩性能の評価
(映り込み、白ちゃけの目視評価)
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無、白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込み、白ちゃけおよび質感は、それぞれ1から3の3段階で次の基準により評価した。
映り込み 1:映り込みが観察されない。
2:映り込みが少し観察される。
3:映り込みが明瞭に観察される。
白ちゃけ 1:白ちゃけが観察されない。
2:白ちゃけが少し観察される。
3:白ちゃけが明瞭に観察される。
(ギラツキの評価)
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、市販の液晶テレビ(LC−32GH3(シャープ(株)製)から表裏両面の偏光板を剥離した。それらオリジナル偏光板の代わりに、背面側および表示面側とも、偏光板スミカラン SRDB31E(住友化学(株)製)を、それぞれの吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、以下の各例に示す防眩フィルムを凹凸面が表面となるように粘着剤を介して貼合した。この状態で、サンプルから約30cm離れた位置から、目視観察することにより、ギラツキの程度を7段階で官能評価した。レベル1はギラツキが全く認められない状態、レベル7はひどくギラツキが観察される状態に該当し、レベル3はごくわずかにギラツキが観察される状態である。
<実施例1>
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき表面に感光性樹脂を塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成した。ついで、図4に示すパターンを繰り返し並べたパターンを感光性樹脂膜上にレーザ光によって露光し、現像した。レーザ光による露光、および現像はLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)を用いて行った。感光性樹脂膜にはポジ型の感光性樹脂を使用した。
その後、塩化第二銅液で第1のエッチング処理を行った。その際のエッチング量は7μmとなるように設定した。第1のエッチング処理後のロールから感光性樹脂膜を除去し、再度、塩化第二銅液で第2のエッチング処理を行った。その際のエッチング量は18μmとなるように設定した。その後、クロムめっき加工を行い、金型Aを作製した。このとき、クロムめっき厚みが4μmとなるように設定した。
光硬化性樹脂組成物GRANDIC 806T(大日本インキ化学工業(株)製)を酢酸エチルにて溶解して、50重量%濃度の溶液とし、さらに、光重合開始剤であるルシリンTPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を、硬化性樹脂成分100重量部あたり5重量部添加して塗布液を調製した。厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に、この塗布液を乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後のフィルムを、先に得られた金型Aの凹凸面に、光硬化性樹脂組成物層が金型側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態でTACフィルム側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cm2となるように照射して、光硬化性樹脂組成物層を硬化させた。この後、TACフィルムを硬化樹脂ごと金型から剥離して、表面に凹凸を有する硬化樹脂とTACフィルムとの積層体からなる、透明な防眩フィルムAを作製した。
<比較例1>
レーザ光によって露光するパターンとして図11に示すパターン(平均のドット径:22μm、ドット径の変動係数:0、エネルギースペクトル:0.037μm-1に極大値を有する。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして金型Bを得た。得られた金型Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムBを作製した。
<比較例2>
レーザ光によって露光するパターンとして図12に示すパターン(平均のドット径:36μm、ドット径の変動係数:0、エネルギースペクトル:0.019μm-1に極大値を有する。)を用い、第1のエッチング処理のエッチング量は10μmとなるように設定し、第2のエッチング処理のエッチング量は30μmとなるように設定したこと以外は実施例1と同様にして金型Cを得た。得られた金型Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムCを作製した。
<比較例3>
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.05MPa(ゲージ圧、以下同じ)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つき銅めっきアルミニウムロールにクロムめっき加工を行い、金属金型Dを作製した。このとき、クロムめっき厚みが6μmとなるように設定した。得られた金型Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムEを作製した。
<比較例4>
直径300mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面を鏡面研磨し、研磨されたアルミ面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa(ゲージ圧、以下同じ)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つきアルミロールに対し、無電解ニッケルめっき加工を行い、金型Fを作製した。このとき、無電解ニッケルめっき厚みが15μmとなるように設定した。得られた金型Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムEを作製した。
結果を表1に示す。
また、比較例1および比較例2に用いたパターンのエネルギースペクトルのfx=0における断面を図13に示した。図13より防眩フィルムBおよびCの作製に使用したパターンのエネルギースペクトルは空間周波数が0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持つことが分かる。
表1に示す結果から、本発明の要件を全て満たす製造方法によって作製された防眩フィルムAは、ギラツキが発生せず、十分な防眩性を示し、白ちゃけも発生しなかった。また、ヘイズも低いため、画像表示装置に配置した際にもコントラストの低下を引き起こすことが無い。ドット径の変動係数が本発明の要件を満たさず、エネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持つパターンより作製された防眩フィルムBは、十分な防眩性を示し、白ちゃけも発生しなかったがギラツキが発生していた。また、平均ドット径およびドット径の変動係数が本発明の要件を満たさず、エネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持つパターンより作製された防眩フィルムCは、十分な防眩性を示し、白ちゃけも発生しなかったがギラツキが発生していた。また、所定のパターンを用いずに作成した防眩フィルムDおよびEは、十分な防眩性とギラツキの抑制を両立することが出来なかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ドット、3 パターン面、7 金型用基材、8 研磨工程によって研磨された基材の表面、9 感光性樹脂膜、10 露光工程において露光された感光性樹脂膜、11 露光工程において露光されない感光性樹脂膜、12 マスクとして作用する感光性樹脂膜、13 マスクの無い箇所、14 エッチングによって段階的に形成される表面、15 第1エッチング工程後の基材表面(第1の表面凹凸形状)、16 クロムめっき層、17 クロムめっきの表面、18 第2エッチング工程後の基材表面(第2の表面凹凸形状)。

Claims (6)

  1. ドット径の異なる複数種類のドットを多数ランダムに配置したパターンを用いた、透明支持体上に微細凹凸表面が形成されている防眩フィルムの製造方法であって、
    平均のドット径が6〜30μmであり、ドット径の変動係数が0.1〜0.5であり、かつ、パターンのエネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持たないことを特徴とする防眩フィルムの製造方法。
  2. 前記パターンを用いて金型を作製し、前記金型の凹凸面を透明支持体上に転写し、次いで凹凸面が転写された透明支持体を金型から剥がすことを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルムの製造方法。
  3. 請求項2に記載の金型を製造する方法であって、
    金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施す第1めっき工程と、
    第1めっき工程によってめっきが施された表面を研磨する研磨工程と、
    研磨された面に感光性樹脂膜を塗布形成する感光性樹脂膜塗布工程と、
    感光性樹脂膜上に前記パターンを露光する露光工程と、
    前記パターンが露光された感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
    現像された感光性樹脂膜をマスクとして用いてエッチング処理を行い、研磨されためっき面に凹凸を形成するエッチング工程と、
    感光性樹脂膜を剥離する感光性樹脂膜剥離工程と、
    形成された凹凸面にクロムめっきを施す第2めっき工程とを含むことを特徴とする金型の製造方法。
  4. 前記感光性樹脂膜剥離工程と前記第2めっき工程の間に、形成された凹凸面をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の金型の製造方法。
  5. クロムめっきを施した後、表面を研磨せず、そのままクロムめっき面を金型の凹凸面として用いる、請求項3または4に記載の金型の製造方法。
  6. クロムめっきにより形成されたクロムめっき層が1〜10μmの厚みを有する、請求項3〜5のいずれかに記載の金型の製造方法。
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