JP5155053B2 - 樹脂発泡成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一対の成形型を寸開するとは、樹脂発泡成形品を成形する拡張後のキャビティが形成される範囲内で成形型を少し開くことを意味する。一対の成形型を寸開することには、いずれか一方の成形型のみ移動させて両成形型を離間させること、両方の成形型を移動させて離間させること、の両方が含まれる。
成形型の開閉方向には、寸開時の可動型の移動方向と、その反対方向となる型締め時の可動型の移動方向とが含まれる。
請求項2に係る発明では、さらに安定した端末形状を有する樹脂発泡成形品を提供することができる。
請求項3に係る発明では、より安定した端末形状を有する樹脂発泡成形品の製造方法を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る樹脂発泡成形品1を採用した自動車の内装の要部を示す側面図、図2は樹脂発泡成形品1の断面図、図3はドアトリムに用いられる樹脂発泡成形品1を延出部50の延出方向D4から見て示す側面図、図4,6−9は樹脂発泡成形品製造装置100を示す図である。
図1に示す自動車AU1は、座席SE1,SE2の側方にドアAU2,AU3やピラーAU4,AU5,AU6等が設けられている。ドアAU2,AU3には、樹脂クリップ等でドアトリムAU12,AU13が内装材として取り付けられる。ピラーAU4,AU5,AU6には、樹脂クリップ等でピラートリムAU14,AU15,AU16が内装材として取り付けられる。これらの内装材AU12〜AU16には、樹脂成形品、表皮材を積層した樹脂成形品、等が用いられる。上記樹脂発泡成形品1は、これらの樹脂成形品に採用可能である。
樹脂発泡成形品1の端末部30には、接続部40と延出部50と屈曲部60とが形成されている。接続部40は、樹脂発泡成形品1の周縁22に沿った溝状の部位とされている。延出部50は、接続部40のスキン層M11を起点として成形型110の開閉方向D1へ延出している。ここで、開閉方向D1は、可動型130が寸開するときに移動する方向(寸開方向D2)と、成形型110が型締めされるときに可動型130が移動する方向(型締め方向D3)との両方が含まれる。屈曲部60は、接続部40を挟んで延出部50とは反対の位置で接続部40のスキン層M11を起点として延出部50の延出方向D4へ屈曲している。接続部40と延出部50と屈曲部60は、樹脂発泡成形品1の全周にわたって設けられてもよいし、樹脂発泡成形品の周縁22の一部にのみ設けられてもよい。
さらに、延出部50が屈曲部60よりも開閉方向D1へ長く延出し、樹脂発泡成形品1の端末部30に段差L6が形成されている。この段差により、延出部50の延出方向が屈曲部60に傾き難くなっており、接続部40のスキン層M11を起点とした延出部50の延出方向のばらつきが少なくなっている。
次に、本実施形態に係る樹脂発泡成形品1の製造方法を説明する。
樹脂発泡成形品1を成形するのに適する成形装置としては公知のインラインスクリュー式の射出成形機を用いることが可能であり、その形態(堅型、横型)や駆動方式(油圧式、電動式等)は問わない。
図4は、樹脂発泡成形品1を成形するための樹脂発泡成形品製造装置100の一例を示している。同装置100は、コアバック成形により樹脂発泡成形品1を製造する発泡射出成形機とされ、キャビティCA1,CA10を形成する型開き可能な成形型110、樹脂発泡成形品1を発泡成形するための樹脂成形材料を拡張前キャビティCA1に射出(充填)する射出機140、固定型130の駆動や射出機140の動作を制御する図示しない制御装置、を備えている。
図7に示すように、拡張前キャビティCA1の端末部CA4に基部CA5とキャビティ延出部CA6とが段状に設けられている。キャビティ延出部CA6は、基部CA5から成形型110の寸開長さL3よりも長く延出して内部に発泡セルM22が形成される厚みL11とされている。
上記熱可塑性樹脂には、オレフィン系樹脂やオレフィン系熱可塑性エラストマー等を用いることができ、単独重合体でも、2種以上のモノマーを共重合させた共重合体でも、オレフィンと不飽和カルボン酸とを共重合させた共重合体でも、これらの組み合わせでもよく、具体的には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリスチレン、これらの組み合わせ、これらの樹脂にゴム成分を配合した改質樹脂、等を用いることができる。熱可塑性樹脂を含む樹脂成形材料は、通常、熱可塑性の樹脂成形材料となる。この樹脂成形材料の融点は、例えば100〜350℃とされる。
キャビティ端末部の基部CA5の厚みL12(図7参照)は、0.3〜18mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。樹脂発泡成形品の屈曲部60の厚みは、ほぼL12となる。キャビティフランジ部CA3の厚みL13=L11+L12は、例えば、0.6〜25mm(より好ましくは2〜15mm)とされる。樹脂発泡成形品のフランジ部20の厚みは、ほぼL13となる。
型締め後、溶融状態の樹脂成形材料M1を、例えば、射出圧20〜200MPa、射出時間1〜10秒でゲート142から射出して拡張前キャビティCA1に充填する(図5のタイミングt2〜t3)。射出圧、射出時間は、射出する樹脂成形材料の量、すなわち、樹脂発泡成形品の大きさによって増減する。
寸開後、拡張後キャビティCA10内の樹脂成形材料M1を固化させるため、例えば20〜90秒間、型120,130を寸開位置PO2で保持する(図5のタイミングt5〜t6)。このとき、発泡層M20の樹脂成形材料M1が冷却されて固化し、樹脂発泡成形品1の成形が完了する。最後に、可動型130を図4に示す型開き位置PO3まで寸開方向D2へ移動させ(図5のタイミングt6〜t7)、樹脂発泡成形品1を取り出すことにより、一連の製造サイクルが終了する。
さらに、より安定した端末形状を得るためにスキン層を厚くするのではないため、樹脂成形材料の射出時間や、スキン層の形成時間や、樹脂成形材料の冷却時間は、従来とほぼ同じ時間でよい。すなわち、樹脂発泡成形品の製造サイクルの時間は従来とほぼ同じ時間でよく、樹脂発泡成形品の製造効率がほとんど低下しない。
本樹脂発泡成形品は、単独あるいは表皮材等と組み合わせて自動車用内装材等に使用することができる。本樹脂発泡成形品は、上述したドアトリム等以外にも、サンバイザ等にも適用することができる。
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、上型130を固定型とし、下型120を可動型とすることができる。この場合、キャビティ延出部の延出方向は寸開方向となるが、上述した実施形態と同様の樹脂発泡成形品を形成することができる。
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
樹脂成形材料として、ポリプロピレンを用いた。
射出成形機として公知のインラインスクリュー式の射出成形機を用い、スクリューのL/D比を20とした。拡張前キャビティの一般部の厚みL1を1.5mm、拡張後キャビティの一般部の厚みを3.0mm、寸開長さL3を1.5mm、キャビティ延出部の延出長さを2.0mm、キャビティ延出部の厚みL11を1.3mm、キャビティ端末部の基部(屈曲部)の厚みL12を1.7mm、キャビティフランジ部の厚みL13を3.0mm、金型の成形面の温度を60℃、樹脂成形材料の射出時間(タイミングt2〜t3)を5秒、射出後のスキン層形成時間(タイミングt3〜t4)を5秒、寸開速度を50mm/秒、寸開後の冷却時間(タイミングt5〜t6)を60秒とした。
従って、本実施例の製造方法により、より安定した端末形状を有する樹脂発泡成形品が形成されることが確認された。
10…本体部、
20…フランジ部、22…周縁、
30…端末部、40…接続部、50…延出部、60…屈曲部、
100…樹脂発泡成形品製造装置、
110…成形型、
120…固定型、122…基底部、124…段部、125…摺動面、
130…可動型、132…型駆動機構、
140…射出機、142…ゲート、
CA1…拡張前キャビティ、CA2…表面部分、CA3…キャビティフランジ部、
CA4…キャビティ端末部、CA5…基部、CA6…キャビティ延出部、
CA10…拡張後キャビティ、
D1…開閉方向、D2…寸開方向、D3…型締め方向、D4…延出方向、
M1…樹脂成形材料、
M10…スキン層、M11…接続部のスキン層、M12…延出部のスキン層、
M13…屈曲部のスキン層、
M20…発泡層、M21…発泡セル、M22…延出部の発泡セル、
M23…屈曲部の発泡セル、
PO1…型締め位置、PO2…寸開位置、PO3…型開き位置
Claims (3)
- 一対の成形型に形成される拡張前キャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を充填した後に前記一対の成形型を寸開して成形された、表面にスキン層を有する樹脂発泡成形品であって、
該樹脂発泡成形品の端末部に、該樹脂発泡成形品の周縁に沿った溝状の接続部と、該接続部のスキン層を起点として前記成形型の開閉方向へ延出した延出部と、前記接続部を挟んで前記延出部とは反対の位置で前記接続部のスキン層を起点として前記延出部の延出方向へ屈曲した屈曲部とが形成され、前記延出部の内部に発泡セルが形成され、前記延出部が前記屈曲部よりも前記開閉方向へ長く延出して前記端末部に段差が形成されている、樹脂発泡成形品。 - 本樹脂発泡成形品の周縁に前記延出部の延出方向へ曲げられて先端が前記端末部とされたフランジ部が形成され、前記延出部及び前記屈曲部が前記フランジ部の先端に形成されている、請求項1に記載の樹脂発泡成形品。
- 一対の成形型に形成される拡張前キャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を充填した後に前記一対の成形型を寸開して、表面にスキン層を有する樹脂発泡成形品を成形する樹脂発泡成形品の製造方法であって、
前記拡張前キャビティの端末部に、基部と、該基部から前記成形型の寸開長さよりも長く延出して内部に発泡セルが形成される厚みのキャビティ延出部と、を段状に設けておき、該拡張前キャビティに前記樹脂成形材料を充填して該拡張前キャビティの表面部分に前記スキン層を形成し、該一対の成形型を寸開して、前記キャビティ延出部の内部の前記樹脂成形材料に前記発泡セルを形成させ前記基部の部分の前記スキン層を前記キャビティ延出部の延出方向へ屈曲させながら前記樹脂発泡成形品の端末部に段差を形成することを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。
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