JP5152030B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
転写同時定着としては、感光体上の画像から記録媒体へ一次転写の際に転写同時定着する場合と、感光体上の画像を中間転写体に一次転写した後、記録媒体に二次転写する際に転写同時定着する場合がある。こうした転写同時定着は、工程数が削減されるため装置の簡素化が期待される。
このために、一次転写位置での温度を低減する各種の方式が提案されている。特許文献1には、中間転写体の熱容量を小さくして、十分な温度低下をもたらすことが記載されている。また、特許文献2では、中間転写体の表面を冷却することで、中間転写体と像保持体の対向部位における中間転写体表面の温度をトナーのガラス転移温度以下とすることが提案されている。
特許文献3には、少なくとも加熱装置による加熱領域を回転支持ドラムから離間配置するようにしたことを特徴とする画像記録装置が記載されている。また、特許文献4には、中間転写体上の像を加熱、加圧して、搬送される記録シート上に転写定着させる画像形成装置であって、第1と第2の中間転写体を相対的に圧接又は離間させる転写体接離手段を備えることを特徴とする画像形成装置が記載されている。特許文献5には、一次転写位置の直前を冷却する冷却手段を備えるとともに、一次転写後に加熱溶融された転写定着部材上の多色トナー像を二次転写して被転写材に転写定着する二次転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置が記載されている。
カラー画像の品質を向上させるために、特許文献6では搬送されたトナー像を記録媒体に密着させ、加熱しながら転写するとともに定着する転写・定着工程を含み、該記録媒体として、基材の少なくともトナー像を転写する面に熱可塑性の透明樹脂層を有し、該透明樹脂の軟化点(Tmp)が該トナーの軟化点(Tmt)に対して+10℃から−30℃の範囲にある記録媒体を用いることを特徴とする画像記録方法が開示されている。
特許文献7には、コアシェル構造を有する樹脂粒子を凝集して得られるトナーであって、コアとシェルを構成する樹脂がいずれも非結晶性樹脂であり、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度とが20℃以上異なり、シェルを構成する樹脂中に、酸性若しくは塩基性の極性基、又は、アルコール性水酸基を含有する静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献8には、コアシェル構造を有する樹脂粒子を凝集して得られる静電荷像現像用トナーであって、コアとシェルを構成する樹脂が重縮合樹脂を含み、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献10には、不揮発性を示す高粘度で高濃度の液体トナーを液体現像液として用い、かつ、静電潜像の形成される画像支持体と、該画像支持体に接触して画像支持体の露光部分あるいは未露光部分にトナー粒子を付着する現像手段と、前記画像支持体に付着するトナー粒子を、該画像支持体との間に生成される電界に応じて転写する中間転写体と、該中間転写体に当接しつつ回転して、印刷媒体を該中間転写体に加圧しながら搬送する加圧ローラとを備える湿式電子写真装置において、前記加圧ローラを、内部に熱源を有するヒートローラとして、中間転写体に付着されるトナー粒子を溶融するとともに、溶融された中間転写体のトナー粒子を印刷媒体に転写しかつ定着させるよう構成したことを特徴とする湿式電子写真装置が記載されている。
また、特許文献11には、回転駆動される像担持体にトナー像を形成し、該トナー像を、回転駆動されつつ像担持体に圧接した中間転写体に一次転写し、そのトナー像を、加圧回転体によって中間転写体に圧接された記録媒体に二次転写する画像形成装置において、記録媒体の厚さ及びその材質に応じて、中間転写体と加圧回転体とが圧接する圧力を変化させることを特徴とする画像形成装置が記載されている。
<1> 少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を中間転写体上に転写する第一の転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を加圧によりフィルム化するフィルム化工程と、フィルム化されたトナー像を被転写体表面に転写する第二の転写工程とを有することを特徴とする画像形成方法、
<2> 前記トナーのフローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度をT(10MPa)とし、前記トナーのフローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度をT(1MPa)としたとき、下記式(1)を満たす、<1>に記載の画像形成方法、
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1)
<3> 前記フィルム化工程が、トナー像のフローテスター溶融粘度が105Pa・s以下となるように加圧する工程である、<1>又は<2>に記載の画像形成方法、
<4> 前記トナーの結着樹脂が、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを有するコアシェル構造を有する、<1>〜<3>いずれか1つに記載の画像形成方法、
<5> 前記コアを構成する樹脂のガラス転移温度と、シェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上である、<4>に記載の画像形成方法、
<6> 前記トナーの結着樹脂が、ブロック構造を有する共重合体を含む、<1>〜<3>いずれか1つに記載の画像形成方法、
<7> 前記ブロック構造を有する共重合体が、結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを含むブロック共重合体を含む、<6>に記載の画像形成方法、
<8> 前記ブロック構造を有する共重合体が、高Tg樹脂と低Tg樹脂とのブロック共重合体を含む、<6>に記載の画像形成方法、
<9> 前記ブロック構造を有する共重合体がブロックA及びブロックBよりなるジブロック共重合体を含み、ブロックAのガラス転移温度Tg(A)が60℃以上であり、ブロックBのガラス転移温度Tg(B)が20℃以下である、<8>に記載の画像形成方法、
<10> 像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を中間転写体上に転写する第一の転写手段と、中間転写体上に転写された前記トナー像をフィルム化するフィルム化手段と、フィルム化された前記トナー像を被転写体表面に転写する第二の転写手段とを具備し、さらに、前記転写されたフィルム化されたトナー像を加圧して定着する加圧定着手段を有することを特徴とする画像形成装置。
<2>に記載の発明によれば、T(1MPa)−T(10MPa)が20℃未満又は120℃を超える場合に比して、中間転写体上のトナー像が加圧によって容易にフィルム化される。
<3>に記載の発明によれば、フィルム化する工程において、トナー像のフローテスター溶融粘度が105Pa・sより大きい場合に比して、光沢ムラの発生が抑制される。
<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より光沢ムラの発生が抑制される。
<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より光沢ムラの発生が抑制される。
<6>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より光沢ムラの発生が抑制される。
<7>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より光沢ムラの発生が抑制される。
<8>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より光沢ムラの発生が抑制される。
<9>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より光沢ムラの発生が抑制される。
<10>に記載の発明によれば、フィルム化手段を有していない場合に比して、高品質の画像が提供される。
本実施形態の画像形成方法は、少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を中間転写体上に転写する第一の転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を加圧によりフィルム化するフィルム化工程と、フィルム化されたトナー像を被転写体表面に転写する第二の転写工程とを有することを特徴とする。
また、本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を中間転写体上に転写する第一の転写手段と、中間転写体上に転写された前記トナー像をフィルム化するフィルム化手段と、フィルム化された前記トナー像を被転写体表面に転写する第二の転写手段とを具備し、さらに、前記転写されたフィルム化されたトナー像を加圧して定着する加圧定着手段を有することを特徴とする。
なお、以下の説明において、数値範囲を表す「a〜b」の記載は、特に断りのない限り、「a以上b以下」を表す。すなわち、端点であるa及びbを含む数値範囲を意味する。
本発明者ら以下のことを見出した。すなわち、ベタ画像部では、比較的高光沢となるが、中間調領域やハイライト領域では、万線やドットの構造が凸状に記録媒体から盛り上がっているため、入射光の散乱が大きくなる。その結果、人物画像のように濃度階調が比較的大きい画像を形成した場合に、高光沢領域と低光沢領域とが混在した画像となり、違和感を覚えることがある。さらに、こうした凹凸画像は、画像表面での乱反射の影響により色再現性が低下して鮮明性の低い画像となる。また、透明記録媒体上の表面凹凸画像は、OHPで投影する場合においても、透過光の散乱により、発色が低下する場合がある。
本実施形態においては、中間転写体上で、トナー像をフィルム化した後、記録媒体に転写定着することにより、画像濃度や画像面積率によらず、色再現性に優れ、色ムラの発生が抑制され、また、粒状性に優れる。さらに、直径が1mm〜3mm程度の微小な光沢の不均一性(光沢ムラ)も抑制され、画像光沢の均一性に優れた画像が得られる。
中間転写体上でのフィルム化の有無は以下のように判定可能である。すなわち、フィルム化したトナー像は、加圧後のトナー像をピンセットでつまむと、一体化した状態で分離することが可能である。
以上のフィルム化工程を経て転写定着された画像は、良好な発色であり、かつ、平滑で光沢に優れている。
以下、図1を参照してフィルム化工程及びフィルム化手段について説明する。
図1は本実施形態の画像形成方法におけるフィルム化工程におけるトナー像の挙動を示す模式図である。中間転写体10の表面に形成され、搬送されるトナー像12は加圧部15において加圧ロール20と密着される。加圧されたトナー像12はフィルム化したトナー像13となり、中間転写体10上に密着したトナー像となる。上記の加圧部15においては、トナー像10のフローテスター溶融粘度(FT溶融粘度)が105Pa・s以下になるように加圧することが好ましい。換言すれば、フィルム化工程は、トナー像のフローテスター溶融粘度が105Pa・s以下となるように加圧する工程であることが好ましい。FT溶融粘度が上記範囲内となるように加圧すると、転写・定着条件の煩雑な調整を行うことなく、優れた転写画像を形成しうるので好ましい。
加圧工程において、トナー像のFT溶融粘度が1×105Pa・s〜1×103Pa・sとなるように加圧することがより好ましく、0.8×105Pa・s〜5×103Pa・sとなるように加圧することがさらに好ましい。
フローテスター測定装置の開始温度を30℃とし、シリンダー圧力を、中間転写体上での仮想圧力相当の500kgf/cm2(49MPa)とし、昇温速度6℃/minで測定してゆく。40℃に到達した時の粘度をトナー像のFT溶融粘度とする。
本実施形態においては、トナー像のFT溶融粘度が105Pa・s以下となるように、加圧部15における印可圧力を選択することが好ましい。
前記劣化防止の観点から、中間転写体の温度は、30〜50℃であることが好ましく、35〜45℃であることがより好ましい。
また、本実施形態において、中間転写体を冷却する工程(中間転写体冷却工程)を有しないことが好ましい。中間転写体冷却工程を省略することにより、画像形成装置の小型化が期待され、さらに、冷却エネルギーを必要としない点から、より少ないエネルギーで画像が形成される点でも好ましい。
図1では、加圧部15は中間転写体10、トナー像12、加圧ロール20、及び、ロール22で構成され、そのニップ圧は1×103Pa〜1×1010Paであることが好ましく、1×104Pa〜1×109Paであることがより好ましく、5×104Pa〜1×108Paであることがさらに好ましい。
ニップ圧が1×103Pa以上であると、フィルム化が良好であり、中間転写体とフィルム化したトナー像との密着性が良好であるとともに、二次転写及び定着部での溶融トナーの記録媒体への浸透が良好であり、光沢ムラの発生が抑制されるので好ましい。また、1×1010Pa以下であると、中間転写体、記録媒体への応力が適切な範囲であり、しわの発生が抑制される。さらに、加圧部において必要な耐圧性を得るための機構・装置を複雑化することなく、所望のニップ圧が得られるので好ましい。
ニップ圧は、圧力測定フィルム、プレスケール(富士フイルム(株)製)により測定される。
図1では、加圧部において、加圧ロールを用いているが、本実施形態はこれに限定されず、中間転写体上のトナー像がフィルム化される圧力を印加可能であれば特に限定されない。
図2を参照しながら、上記のフィルム化工程及びフィルム化手段を含む、各工程及び各手段について説明する。
図2は本実施形態の画像形成方法に使用される画像形成装置の一例を示す構成図である。図2に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム型のカラー複写機であり、該カラー複写機は複数の画像形成ユニットUY(イエロー用ユニット)、UM(マゼンタ用ユニット)、UC(シアン用ユニット)、UB(ブラック用ユニット)を有し、各画像形成ユニットUY、UM、UC、UBを縦貫して中間転写体(中間転写ベルト)10が配設されている。中間転写体10は感光体30Y、30M、30C、30Bに接触して駆動されている。
その後、トレイ(不図示)からの記録媒体Pの送紙(送紙方向;矢印S)に伴い、加圧ロール37に圧接する、前記複数色のトナー像を保持した中間転写体10と記録媒体Pがタイミングを合わせて加圧ロール37とロール29の間を移動し、加圧されるとともに、トナーは記録媒体Pに浸透し、定着が行われる。
図1及び図2において、ロール22及び加圧ロール20は、非加熱であることが好ましいが、ロール22又は加圧ロール20を、内部に熱源を有する加熱ロールとしてもよい。また、耐熱性支持体の上に、通電発熱体を設け、表面を耐熱・耐摩耗性層で被覆した固定の発熱部材を用いて、加熱加圧してもよい。
図1において、二次転写部3では、中間転写体10と記録媒体Pとを密着させ、非加熱加圧又は加熱加圧により転写同時定着を行っている。なお、二次転写工程及び定着工程を別工程としてもよいが、本実施形態においては、転写同時定着とすることが好ましい。転写同時定着とすることにより、工程数が削減される点で好ましい。
二次転写工程では、剪断力を与えながら転写することが好ましい。中間転写体10の搬送速度と記録媒体Pの搬送速度との間に速度差を設けることで、剪断力が与えられる。なお、本実施形態において、剪断力を与える方法はこれに限定されるものではない。
前記の剪断力を与えることにより、フィルム化したトナー像の粘度がより急速に低下し、画像の粘着性が向上する。これにより、中間転写体とフィルム化したトナー像との付着力に比べて、記録媒体とフィルム化したトナー像との付着力が増加し、良好な転写性が得られ、この結果、高品質な転写画像が得られるので好ましい。
印加圧力を上記範囲内とすることにより、転写性が良好であり、また、フィルム化されたトナー像の記録媒体への定着性が良好であるので好ましい。
中間転写体10としては、中間転写ベルトが例示される。中間転写ベルトの材質としては、ヤング率2,000MPa以上の樹脂材料が好ましく用いられる。また、材質としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が好ましい。
フィルム化工程において、トナー像を挟んで対向する中間転写体と加圧ロールとの密着性を向上させるために、中間転写体のトナー像が形成される面(表面)には、弾性体層を設けることが好ましい。弾性体層は、中間転写体のトナー像が形成される面(表面)に設けることが好ましい。また、弾性体層上に、さらに離型層を有していてもよい。
弾性体層の硬度はゴム硬度10度〜80度であることが好ましく、20〜75度であることがより好ましく、30〜70であることがさらに好ましい。中間転写体表面の弾性体層のゴム硬度が10度以上であると、中間転写体の摩耗が生じにくいので好ましい。また、トナー像のフィルム化が容易であるので好ましい。一方、弾性体層のゴム強度が80度以下であると、トナーを包み込みやすく、微小な光沢ムラの発生が抑制されるので好ましい。ここで、ゴム強度は、JIS K 6301 A(スプリング式A型)に従って測定する。
また、弾性体層の厚みは10μm〜300μmであることが好ましく、20μm〜200μmであることがより好ましく、30μm〜150μmであることがさらに好ましい。弾性体層の厚さが10μm以上であると、トナーの包み込みが良好であり、光沢ムラの発生が抑制されるので好ましい。また、300μm以下であると、加圧部において、有効な印可圧力が得やすいので好ましい。
上述のように、フィルム化工程及び第二の転写工程において、トナー像をフィルム化、転写(又は転写同時定着)を行う際に、加圧ロールを使用することが好ましい。加圧ロールとしては、圧力が印加されれば特に限定されないが、金属ロール又は金属ロール上にシリコーンゴム等の耐熱弾性体層を形成したものが例示される。
38Y、38M、38C、38Bは第一の転写手段(一次転写手段)であり、図2では、38Y、38M、38C、38Bは転写コロトロンである。これら(38Y〜38B)は一次転写位置で中間転写ベルト10を挟んで、それぞれ感光体30Y、30M、30C、30Bに対向するように設置されている。本実施形態において、像保持体から中間転写体への第一の転写工程(一次転写工程)は、静電的に転写してもよく、また、加圧により転写してもよく、特に限定されないが、感光体へのダメージ防止の観点から、静電的に転写することが好ましい。
前記帯電工程、潜像形成工程、現像工程等の各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等の記載が参照される。
具体的には、本実施形態の画像形成方法は、像保持体から、第一の中間転写体に転写した後、さらに、第二の中間転写体に転写し、その後、記録媒体に転写定着する構成としてもよい。本実施型他において、記録媒体への最終転写前に、中間転写体上のトナー像がフィルム化されていればよい。すなわち、第一の中間転写体に形成されたトナー像をフィルム化した後、第二の中間転写体に転写し、その後、記録媒体に転写定着してもよく、また、第一の中間転写体に形成されたトナー像を、第二の中間転写体に転写し、第二の中間転写体上に形成されたトナー像をフィルム化した後、記録媒体に転写定着してもよく、特に限定されない。
なお、本実施形態において、図2に示すように、中間転写体を1つ有し、該中間転写体の被転写体として、記録媒体を使用することが好ましい。本実施形態の説明において、中間転写体の被転写体として記録媒体を使用する場合を中心に述べるが、画像形成装置が2以上の中間転写体を有する場合、当業者であればこれらの記載に基づいて適用可能である。
(静電荷像現像用トナー)
二次転写工程においては、トナー像への効率的な圧力伝達及び記録媒体へフィルム化したトナーを転写させ凹凸のない画像を形成する目的で、中間転写体と記録媒体の密着が重要であり、中間転写体と記録媒体との間に空気が入ると、空気のあるところとないところで圧力伝達性が変化し、トナー像が均一に転写・定着されず、転写・定着ムラが数mm直径程度の微小な光沢ムラとなることがある。記録媒体へフィル化したトナーを転写し表面を平滑にするためや、微小な光沢ムラを防止するために、本実施形態の画像形成方法においては、トナーのフローテスター印加圧力10MPa(100kg/cm2)において粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPa(10kg/cm2)において粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、下記式(1)を満たすことが好ましい。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1)
さらに上述したように、中間転写体上に保持されたトナー像がトナー像転写・定着位置(二次転写位置)に搬送されるまでに、トナー像を、FT溶融粘度で105Pa・s以下となるまで加圧してフィルム化することが特に好ましい。
なお、「20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃」という表記は、「20℃≦{T(1MPa)−T(10MPa)}≦120℃」と同義であり、「{T(1MPa)−T(10MPa)}の値が20℃以上、120℃以下」と同義である。
本実施形態においては、30℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦100℃であることがより好ましく、30℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦75℃であることがより好ましい。
(株)島津製作所製フローテスターCFT500Cを用い、開始温度40℃〜最大温度170℃、昇温速度3℃/min、予熱時間300sec、シリンダー圧力10kgf/cm2から100kgf/cm2まで可変とし、ダイL×D=1.0mm×1.0mmの条件で等速昇温した時の軟化状態を測定する。試料としては、トナーについてはトナーの樹脂のみを分取するのは困難であるため、トナー自体を秤量して用いる。プランジャー断面積は10cm2とする。測定方法は、等速昇温するに従い、試料は徐々に加熱され流出がはじまる。さらに昇温すると溶融状態となった試料が大きく流出し、プランジャー降下が停止し、1回の測定を終了する。各温度における流出量を40〜150℃まで3℃きざみで測定し、見かけ粘度η’(Pa・s)を得る。この際、フローテスター印加圧力1MPa(10kg/cm2)とフローテスター印加圧力10MPa(100kg/cm2)において、見かけ粘度η’(Pa・s)が1×104Pa・sとなる温度を求め、その差分を算出する。
このようにトナーに一定以上の圧力が印加された場合の流動性を付与し、それ以下の圧力においては、極めて固体的に振舞わせることにより、電子写真プロセスにおける熱圧力定着時以外の現像、転写、クリーニング工程などにおいては、高い信頼性が確保される。
また、高い信頼性を付与することにより、従来実現しがたかった3μm以下などの小径化したトナーの使用も可能になり、これによりトナー消費量の低減と高精細な画像が実現可能となり、高画質、信頼性、また、トナー消費量低減による経済性とが両立されるようになる。本実施形態においては、定着時圧力によるTgの異なるドメインからなるミクロ相分離樹脂の圧力可塑化効果を積極的に使用することによって、低温定着性と高信頼性とが両立されることを基本的な作用効果としている。
以下、コアシェル構造を有する樹脂粒子及びブロック構造を有する共重合体(ブロック共重合体)について説明する。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーに含まれる結着樹脂の80重量%以上が、バロプラスチックであることが好ましく、100重量%がバロプラスチックであることがより好ましい。
本実施形態において、トナーは、コアシェル構造を有する樹脂粒子を結着樹脂粒子として使用し、これを凝集して得られたトナーであることが好ましい。すなわち、そのトナー粒子中にコアシェル構造を有する樹脂粒子を複数含有するトナーであることが好ましい。前記コアシェル粒子は、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であることが好ましく、これにより、圧力に対し良好な可塑挙動を示す。
コアシェル粒子におけるコアを構成する樹脂とシェルを構成する樹脂とは、どちらが高Tg樹脂であってもよい。本実施形態においては、コア又はシェルのうちガラス転移温度の高い方を高Tg相、低い方を低Tg相ともいう。
高Tg相のTgが45℃以上であると、トナーとしての保管性に優れ、輸送時やプリンタなどの機内におけるケーキングや、連続プリント時などの感光体へのフィルミングが発生しにくく、また、画質欠陥も起こりにくいため好ましい。また、高Tg相のTgが80℃以下であると、定着時(特に厚紙定着時)の定着温度が適度であり、カールなど記録媒体へのダメージを生じにくいため好ましい。
また、低Tg相のTgは、高Tg相のTgより20℃以上低いことが好ましく、より好ましくは30℃以上低いことである。高Tg相と低Tg相のTg差が20℃以上であると、良好な圧力可塑挙動が示され、定着時(特に厚紙定着時)に必要とされる定着温度(最低定着温度)が低く、カールなど記録媒体へのダメージが抑制される。
また、トナー中に含まれるコアシェル粒子が複数個以上であることを確認する方法は、特に制限はなく、透過型電子顕微鏡にてトナーの断面観察を行う方法や、染色などによりコントラストを明瞭にして断面を走査型電子顕微鏡で観察する方法等が挙げられる。また、製造時のトナー粒径とコアシェル粒子の比、コアシェル粒子の使用量、製法等からトナー中に含まれるコアシェル粒子が2個以上であることが明らかである場合もある。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーのさらに好ましい形態としては、結着樹脂がブロック構造を有する共重合体(ブロック共重合体)を含む。前記ブロック共重合体としては、結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを含むブロック共重合体、又は、高いガラス転移温度を有する樹脂(本実施形態において、「高Tg樹脂」ともいう。)と低いガラス転移温度を有する樹脂(本実施形態において、「低Tg樹脂」ともいう。)とのブロック共重合体であることが好ましい。
また、ブロック共重合体が、結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを有するブロック共重合体である場合、上記の結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックの他に、ビニル系ブロック、他のブロックを有してもよい。
より具体的にはブロック共重合体を使用することにより、一定以上の加圧下での流動性が付与され、それ以下の圧力においては、極めて固体的に振る舞う。したがって、加圧定着時以外の現像、転写、クリーニング工程等における信頼性の向上が図られる。
特に、加圧により可塑化流動挙動が得られるため、中間転写体上での圧力印加に対する応答性が向上し、容易にフィルム化が可能になる。これまでは、高速定着が困難であり、定着速度を遅くしたり、高い加熱温度設定を行わないと困難であった転写同時定着も、低温度設定で行うことが可能である。
上記ブロック共重合体は、高Tg樹脂ブロックA及び低Tg樹脂ブロックBを含むブロック共重合体であることが好ましい。
上記ブロック共重合体においては、ブロックAのガラス転移温度Tg(A)が60℃以上であることが好ましく、70〜110℃であることがより好ましい。上記の範囲にあると、中間転写体上で容易にフィルム化されるので好ましい。
ブロックA及びブロックBがブロック共重合体全体に占める割合は、60重量%以上であることが好ましく、80〜100重量%であることがより好ましく、ブロック共重合体がブロックA及びブロックBよりなるジブロック共重合体であることがさらに好ましい。
またブロックAとブロックBとの比率としては、ブロックA及びブロックBの総量を100%としたとき、ブロックAが占める割合は25〜75重量%であることが好ましい。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーは、前記ブロック共重合体として、エチレン性不飽和化合物を重合させたブロックよりなるブロック共重合体を含むことが好ましい。これらブロック共重合体は種々のエチレン性不飽和化合物を重合させることにより得られる。
本実施形態においてエチレン性不飽和化合物はエチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する化合物であればよく、付加重合性の化合物であることが好ましく、アニオン重合性、カチオン重合性、ラジカル重合性、配位重合性のいずれでもよいが、中でもラジカル重合性のエチレン性不飽和化合物であることがより好ましい。
また、Tg(B)が20℃以下であるブロックBの作製に好ましく用いるエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、アクリル酸エステル類がより好ましく、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル類がさらに好ましく、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が特に好ましい。
これら、エチレン性不飽和化合物を重合させたブロックよりなるブロック共重合体の作製においては、種々のリビング重合法、例えばイオン重合法、リビングラジカル重合法など既存の手法が用いられるが、本実施形態においてはそのモノマーの組み合わせの容易さから、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
本実施形態において、ブロック共重合体として、結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを含むブロック共重合体を使用することも好ましい。
結晶性ポリエステルブロック(結晶性ポリエステル樹脂)及び非結晶性ポリエステルブロック(非結晶性ポリエステル樹脂)は、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸又はそれらのアルキルエステル、多価アルコール又はそれらのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸などの重縮合単量体を用い、水系媒体中での直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い作製される。
なお、前記の「結晶性ポリエステル」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを意味する。
一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
本実施形態に用いられるポリエステルにおいて、その重縮合性単量体として用いられる多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、グルタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、混合酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。
また、本実施形態に用いられるポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等が挙げられる。また、ジオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
これらのポリオールが水系媒体に難溶又は不溶である場合には、ポリオールが水系媒体に分散したモノマー滴中でエステル合成反応を進行してもよい。
また、本実施形態において、ポリエステルの重縮合性単量体として用いられるヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸などが挙げられる。
本実施形態に用いることができるポリエステルにおいては、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性ポリエステルや結晶性ポリエステルが容易に得られる。
結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記カルボン酸のうち、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物又は酸塩化物が挙げられる。
また、結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
また、カプロラクトンなど環状単量体を開環重合することにより得られる結晶性ポリエステルは、結晶融点が60℃近傍とトナーとして好適な領域にあるため好ましい。
このような結晶性の重縮合樹脂としては、1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸とを反応して得られるポリエステル、シクロヘキサンジオールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを反応して得られるポリエステルが挙げられる。これらの中でも特に1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル、及び、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルがさらに好ましい。
また本実施形態において、非結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記の多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。なお、低級エステルとは、炭素数1〜8の脂肪族アルコールのエステルをいう。
また本実施形態における非結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、上記ポリオールのうち、特に、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール等を用いることが好ましい。
また非結晶樹脂としてヒドロキシカルボン酸の重縮合体を用いてもよい。ヒドロキシカルボン酸とは、分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基の両方をもつ化合物である。ヒドロキシカルボン酸としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ヒドロキシカルボン酸が例示されるが、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を使用することが好ましい。
具体的には、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、乳酸が例示される。これらの中でも乳酸を使用することが好ましい。
前記多価カルボン酸及びポリオールは、1種の重縮合樹脂を作製するために、それぞれ1種ずつを単独で用いても、一方が1種で他方が2種以上用いても、それぞれ2種以上ずつを用いてもよい。また、1種の重縮合樹脂を作製するためヒドロキシカルボン酸を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、多価カルボン酸やポリオールを併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DSC−20」(セイコーインスツル(株)製)によって測定され、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求められる。なお、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
ここで、非結晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば、「DSC−20」(セイコーインスツル(株)製)によって測定され、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
また、ブロック共重合体の融点は50〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。ブロック共重合体の融点が上記範囲内であると、厚紙などに対する定着性と帯電性、感光体へのフィルミング耐久性などが両立しやすくなるので好ましい。
なお、ブロック共重合体において、融点及びガラス転移温度が明確に観察されない場合がある。
本実施形態において、ブロック共重合体の重量平均分子量は、5,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。
また本実施形態に用いられるブロック共重合体は、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択、架橋剤の添加などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認される。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等が用いられる。
なお、溶媒及び測定温度は上記に記載した条件に限定されるものではなく、適当な条件に変更してもよい。
具体的には、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
さらに、ブロック共重合体を形成する工程が、結晶性ポリエステル及び非結晶性ポリエステルに、触媒として硫黄を含むブレンステッド酸触媒を添加し、150℃以下にて加熱することにより得られたものであることが好ましい。
反応温度は、70℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは、80℃以上140℃以下である。
反応温度が70℃以上であると、モノマーの溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の伸長が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造されるので好ましい。また、樹脂の着色や、生成したポリエステルの分解等を生じることがないので好ましい。
〔硫黄を含むブレンステッド酸触媒〕
硫黄を含むブレンステッド酸触媒としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、スルホン化高級脂肪酸、樹脂酸アルコール硫酸、及びこれらすべての塩化合物などが使用されるが、これに限定されない。またこれらの触媒は、構造中に官能基を有していてもよい。これらの触媒は必要に応じて複数を組み合わせてもよい。好ましく使用される硫黄を含むブレンステッド酸触媒としては、アルキルベンゼンスルホン酸が例示され、これらの中でも特にドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、しょうのうスルホン酸等が好ましい。
金属触媒としては以下のものを挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物、希土類金属触媒が挙げられる。
希土類含有触媒としては具体的には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド元素として、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効である。これらは、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、トリフラート構造を有するものが有効であり、前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF3)3が例示される。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることが好ましい。
また、ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。
触媒として金属触媒を使用する場合には、得られる樹脂中の触媒由来の金属含有量を100ppm以下とすることが好ましい。75ppm以下とすることがより好ましく、50ppm以下とすることがさらに好ましい。したがって、金属触媒は使用しないか、又は金属触媒を使用する場合であっても、極少量使用することが好ましい。
加水分解酵素型触媒としてはエステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。本実施形態における加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店、(1982)、等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等が挙げられる。
上記のエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率よくエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本実施形態においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが好ましい。
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等が挙げられる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが好ましい。
塩基性触媒としては、一般の有機塩基化合物、含窒素塩基性化合物、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラアルキル又はアリールホスホニウムヒドロキシドが挙げられるがこれに限定されない。有機塩基化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、含窒素塩基性化合物としては、トリエチルアミン、ジベンジルメチルアミン等のアミン類、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾールなど、さらにナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属類及びカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類の水酸化物、ハイドライド、アミドや、アルカリ、アルカリ土類金属と酸との塩、たとえば炭酸塩、燐酸塩、ほう酸塩、カルボン酸塩、フェノール性水酸基との塩が挙げられる。
また、アルコール性水酸基との化合物やアセチルアセトンとのキレート化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
硫黄を含まないブレンステッド酸触媒としては、各種脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、ナフテン酸、ニオブ酸が例示されるが、これらに限定されるものではない。
なお、前記の結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを含むブロック共重合体については、特開2007−114635号公報に記載のブロック共重合体を参照することができる。
本実施形態においては、静電荷像現像用トナーに必要に応じて、本実施形態の結果に影響を与えない範囲で公知の添加剤が、1種又は複数種組み合わせて配合される。例えば、難燃剤、難燃助剤、光沢剤、防水剤、撥水剤、磁性体、無機充填剤(表面改質剤)、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、充填剤、体質顔料、結着剤、帯電制御剤等である。これらの添加物は、静電荷像現像用トナーを製造するいずれの工程において配合してもよい。
なお、本実施形態においてトナーを作製するにあたり、重縮合樹脂粒子を水系媒体中で重縮合する際に、予め着色剤やワックスなどの定着助剤、その他帯電助剤など通常トナーに必要な成分を水系媒体中に予め混合し、重縮合とともに重縮合樹脂粒子中に配合させることも可能である。
本実施形態に用いられる着色剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウォチュングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもでき、また、その他の微粒子成分とともに混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%添加することが好ましい。
前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)を100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性が確保される。
なお、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。
本実施形態で用いられる離型剤の具体例としては、例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などが挙げられる。
これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で好ましい。
なお、得られた離型剤粒子分散液の粒径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から好ましい。
磁性体としては、具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。
本実施形態において水系媒体中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
重縮合、顔料分散、樹脂粒子製造や分散、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散のため手段としては、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用される。
難燃剤、難燃助剤としては、すでに汎用されている臭素系難燃剤や、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウムが例示されるがこれに限定されるものではない。
さらに本実施形態のトナーは、流動性付与やクリーニング性向上等の目的で無機粒子を混合、又は、樹脂粒子表面へ添加して用いることが好ましい。
本実施形態に用いられる無機粒子は、好ましくは一次粒径が5nm〜2μmであり、より好ましくは5nm〜500nmである。またBET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。トナーに混合される割合は0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜2.0重量%である。
このような無機粒子としては例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが好ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上日本アエロジル(株)製)、タラックス500(タルコ社製)等が挙げられる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用される。
本実施形態において、トナーの累積体積平均粒径D50vは好ましくは3.0〜9.0μmの範囲であり、より好ましくは3.0〜5.0μmの範囲である。D50vが3.0μm以上であると、付着力が適度であり、現像性に優れるため好ましい。また、D50vが9.0μm以下であると、画像の解像性が良好であるため好ましい。
また、本実施形態において、トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30以下であると解像性が良好で、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥が起こりにくいため好ましい。
本実施形態のトナーの累積体積平均粒径D50vや平均粒度分布指標は、例えば、コールターカウンターTAII(ベックマン−コールター社製)、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16P、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50P、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P)1/2として算出される。
SF1={(ML)2/A}×(π/4)×100
式中、MLはトナー粒子の最大長を示し、Aは粒子の投影面積を表す。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーは、いずれの方法によっても製造してもよいが、下記の方法によって製造することが好ましい。
<凝集合一法>
本実施形態において、結着樹脂が結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを含むブロック共重合体を含む場合、及び、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含むコアシェル構造を有する場合には、静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の製造方法は、少なくとも結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを有するブロック共重合体を含む樹脂粒子(以下、「ブロック共重合体樹脂粒子」、又は、単に「樹脂粒子」ともいう。)、又は、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含むコアシェル構造を有する樹脂粒子(以下、「コアシェル樹脂粒子」、又は、単に「樹脂粒子」ともいう。)、並びに、離型剤粒子を含む分散液中で前記樹脂粒子及び前記離型剤粒子を凝集して凝集粒子を得る工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、及び、前記凝集粒子を加熱して融合合一する工程(以下、「融合合一工程」ともいう。)を含む静電荷像現像トナーの製造方法(凝集合一法ともいう。)であることが好ましい。
樹脂粒子分散液は、界面活性剤や、高分子分散剤、無機分散剤などの添加物を含んでいてもよく、上記の乳化分散の際に必要に応じて界面活性剤や高分子分散剤、無機分散剤などが水系媒体中に添加される。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。
カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
また高分子分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、無機分散剤としては、炭酸カルシウムなどが例示されるが、これらはなんら本実施形態を制限するものではない。
さらに、通常、水系媒体中での単量体エマルジョン粒子のOstwald Ripning現象を防ぐためにしばしば、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、ヘキサデカンに代表される高級脂肪族炭化水素類が安定助剤として配合される。
また、例えば、凝集工程において、ブロック共重合体を含む樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を予め凝集し、第一の凝集粒子形成後、さらにブロック共重合体を含む樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加して第一の粒子表面に第二のシェル層を形成することも可能である。この例示においては着色剤分散液を別に調整しているが当然、本実施形態におけるブロック共重合体に予め着色剤が配合されてもよい。
なお、上記のブロック共重合体樹脂粒子分散液の代わりに、コアシェル樹脂粒子分散液を使用してもよい。
重合開始剤としては、公知の重合開始剤が使用され、具体的には、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドロクロライド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、特に制限はなく、具体的には炭素原子と硫黄原子との共有結合を有する化合物が好ましく、例えば、チオール類が好ましく挙げられる。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーは、前記の凝集合一法に代えて、溶解懸濁法により製造してもよい。
溶解懸濁法は、有機溶剤中に少なくとも結着樹脂、着色剤を含むトナー成分を溶解又は分散させて油相を調製する油相調製工程と、該油相成分を水相中で懸濁造粒する造粒工程と、溶媒を除去する溶媒除去工程とを有する静電潜像現像用トナーの製造方法である。
溶解懸濁法では、まず、上記の少なくとも結着樹脂、着色剤を含むトナー成分を有機溶剤中に溶解又は分散させて油相を調製する。使用できる有機溶剤は、結着樹脂の種類に依存するが、一般に、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエーテル、テトラヒドロフラン等のアルコール又はエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン類が用いられる。これらの溶媒は、結着樹脂を溶解させる必要があるが、着色剤、その他の添加剤は溶解しなくてもよい。油相に用いる結着樹脂、着色剤等のトナー成分と溶剤の重量比は、造粒のし易さ、又は、最終的なトナー収率の点で、10/90から80/20が好ましい。
単独で、又は、これら無機の分散安定剤と併用して用いてもよい有機の分散安定剤としては、具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン等)、アルブミン、カゼイン等の蛋白質類、コロジオン、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースのアルキルエステル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、合成高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩)等が挙げられる。これらの有機分散安定剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を混合して用いてもよい。分散安定剤は、水相の主要媒体に対して0.001重量部以上5重量部以下の範囲で用いるのが好ましい。
具体的には、アニオン界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等が使用できる。カチオン活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等が使用できる。非イオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が使用される。これらの分散安定補助剤は、単独で用いてもまた二種類以上を混合して用いてもよい。分散安定補助剤は、水相の主要媒体に対して0.001重量部以上5重量部以下の範囲で用いるのが好ましい。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーは静電荷像現像剤として使用される。この静電荷像現像剤は、静電荷像現像用トナーを含有することのほかは特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像用トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
示差走査熱量計(DSC)により測定を行った。具体的には、(株)島津製作所製、DSC50を使用して測定した。測定条件は以下の通りとした。
試料:3〜15mg、好ましくは5〜10mg
測定法:試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。
温度曲線:昇温I(20℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
降温I(180℃〜10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
上記温度曲線において昇温IIで測定される吸熱曲線から、ガラス転移温度を測定した。ここで、ガラス転移温度とは、吸熱ピークの曲線の微分値が極大となる温度の中で、最低の温度における曲線の接線とベースラインとの交点の温度をいう。融点は、昇温Iにおける融解吸収ピークの最大値とした。
分散液中の粒子の中心径は、(株)堀場製作所製、LA920を使用して測定した。また、得られたトナーのD50v及びGSDvは、コールターカウンターTAII(ベックマン−コールター社製)、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器で測定した。
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
テレフタル酸 175重量部
ビスフェノールA 1エチレンオキサイド付加物 310重量部
(両末端換算2モル付加物)
ジブチル錫オキサイド 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下150℃で5時間重縮合を実施した後、180℃に温度を上げてさらに2時間重合を加え、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
GPCによる重量平均分子量は4,500、ガラス転移温度(オンセット)は60℃であった。
セバシン酸 85重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下100℃で6時間重縮合を実施したところ、均一透明な結晶性ポリエステルオリゴマーを得た。
GPCによる重量平均分子量は5,000、結晶融点は60℃であった。
また、GPCによる重量平均分子量は10,000であった。
その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続しながら95℃まで加熱してブロック共重合体樹脂の乳化分散液を得た。樹脂粒子の中心径が250nm、固形分量が20%の樹脂粒子分散液(1)を得た。
サイアン顔料(C.I.Pigment Blue15:3) 50重量部
(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン)
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%のサイアン着色剤粒子分散液(1)を得た。
ドデシル硫酸 30重量部
イオン交換水 852重量部
上記成分を混合し、ドデシル硫酸水溶液を調製した。
パルミチン酸 188重量部
ペンタエリスリトール 25重量部
上記成分を混合し、250℃に加熱し融解した後、上記のドデシル硫酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で15分乳化後、乳化物を撹拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径が200nm、融点が72℃、固形分量が20%の離型剤粒子分散液(1)を得た。
樹脂粒子分散液(1) 315重量部(樹脂63重量部)
着色剤粒子分散液(1) 40重量部(顔料8.6重量部)
離型剤粒子分散液(W1) 43重量部(離型剤8.6重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を105重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(1)を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50vが5.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.26であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
上記トナー粒子50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー(1)を得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製、Mw75,000)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤(1)を調製した。
島津フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、150℃、100℃であり、50℃の温度差が観測された。
中間転写体としては、PI(ポリイミド)のフィルムの基層(ベースフィルム)上に厚さ180μmであり、ゴム硬度40度の弾性体層が設けられた中間転写ベルトを使用した。
転写用紙として富士ゼロックス(株)指定の厚紙コート紙であるミラーコートプラチナ紙(256g/m2)を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べた。
このとき、フィルム化工程におけるニップ圧は5.0×107Paとした。また、二次転写におけるニップ圧は1×105Pa以上とした。また、本実施例において、二次転写における中間転写ロールのプロセススピードは180mm/secであるのに対し、記録媒体(転写用紙)の搬送スピードを177mm/secとし、二次転写同時定着において、剪断力が発生するようにした。
a.ヒートレス定着性(室温定着)
二次転写同時・定着時に僅かにロールを加熱し、ヒートレス定着性の評価を実施した。
定着画像をガーゼ布で摺擦して、定着像の欠損が発生しない加熱ロールの最低温度とした。
〔定着評価基準〕
40℃以下 ◎:特に良好
50℃以下 ○:良好
80℃以下 △:やや良好(許容できるレベル)
80℃を超える ×:悪い(許容できない)
◎〜△を合格とした
上記方法にて形成されたトナー画像の画像光沢、発色性、粒状性及び、色ムラの評価を行った。
画像光沢、発色性、粒状性、色ムラの評価は、入力画像面積率0〜100%について、10%きざみで2×2cmのC(シアン)のパッチを出力し、目視により画像光沢の均一性、発色性、粒状性、色ムラを下記基準により判定することで行った。画像は低濃度部から高濃度部までの広い範囲で評価し、特に転写に起因した光沢ムラに注意を払い評価した。
〔画像評価基準〕
◎:特に良好
○:良好
△:やや良好(許容できるレベル)
×:悪い(許容できない)
◎〜△を合格とした。
実験室条件下(23℃、55%RH)での入力画像面積率10%の和文を原稿とし、画像の5万枚の連続プリント試験を行い、以下のように判定した。
○:初期の良好な画質を最後まで維持した
△:若干の画質劣化がみられた
×:明らかな画質劣化が発生した
○以上を合格とした。
用紙カールは、上述のプリント試験を行い、以下のように評価を行った。
○:カール発生ほとんどなし
△:カール発生若干あるが、経時で回復
×:回復しないカールが著しく発生
○以上を合格とした。
2×2cmのソリッドパッチ画像を作成し、中間転写体上で加圧後の画像をピンセットでつまみ、一体化した状態で分離することが可能か判断した。
○:一体となって分離可能
△:画像が途中で切れ分離困難
×:剥離することができない
○以上を合格とした。
フィルム化工程におけるトナー像のフローテスター溶融粘度は以下の方法で測定した。すなわち、フローテスター測定装置の開始温度を30℃とし、シリンダー圧力を、中間転写体上での仮想圧力相当の500kgf/cm2とし、昇温速度6℃/minで測定した。40℃に到達した時の粘度をトナー像のFT溶融粘度とした。
<トナー粒子(2)の調製>
以下の樹脂を作製した。
シクロヘキサンジカルボン酸 180重量部
ビスフェノールA 1モルプロピレンオキサイド付加物 320重量部
(両末端換算2モル付加物)
ジブチル錫オキサイド 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下150℃で4時間重縮合を実施したあと、185℃に温度を上げてさらに2時間重合を加え、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
GPCによる重量平均分子量は4,500、ガラス転移温度(オンセット)は55℃であった。
ジオクチル酸錫 0.2重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下95℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な結晶性ポリエステルオリゴマーを得た。
GPCによる重量平均分子量は8,000、結晶融点は60℃であった。
また、GPCによる重量平均分子量は12,000であった。
C.I.ピグメントブルー15.3 4重量部
ワックス分散液(体積平均径=0.5μm、固形分濃度=20重量%)50重量部
(パラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋(株)製)の酢酸エチル分散液)
酢酸エチル 80重量部
以上の成分をボールミルで10時間混合して分散した後、均一になるまでよく撹拌して、油相液を作製した。
一方、
炭酸カルシウム 60重量部
水 40重量部
以上の成分をボールミルで10時間分散処理した後、得られた炭酸カルシウム分散液7重量部とカルボキシメチルセルロースナトリウムの2%水溶液100重量部とをウルトラタラックス(IKA社製)に入れて、5分間混合して、水相液を作製した。
この水相液に、上記の油相液100重量部を加えて、ウルトラタラックスで6分間混合し、その後、得られた分散液を40℃の湯浴中で加熱して、溶媒を除去した。次いで、6N塩酸10重量部を加えて30分間撹拌し、ろ過し、水洗し、炭酸カルシウムを除去した後、pH10に調整したNaOH水溶液10重量部を加え、10分間撹拌した。その後、ろ過、水洗、乾燥して平均粒径(D50v)5.4μm、GSDv1.30の固形トナーを得た。SEM写真を見たところ、形状がほぼ球形をしていることが確認された。
実施例1と同様に、トナーの評価を行った。結果を表1に示す。
<2−メチル−2−[N−(tert−ブチル)−N−(1−ジエトキシホスホリル−2,2−ジメチルプロピル)−アミノキシ]−プロピオン酸(MBPAP)の合成>
窒素パージしたガラス容器に500部の脱ガスしたトルエンと35.9部のCuBrと、15.9部の銅粉末、86.7部のN,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンとを導入し、撹拌しながら580部の脱ガスしたトルエンと42.1部の2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸と78.9部のN−tert−ブチル−N−(1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピル)ニトロキシドを導入し90分間室温にて撹拌した。その後、反応媒体をろ過し、さらにトルエンろ過物をNH4Cl飽和水溶液で2回洗浄した。得られた固体をペンタンで洗浄し、真空乾燥を行い2−メチル−2−[N−(tert−ブチル)−N−(1−ジエトキシホスホリル−2,2−ジメチルプロピル)−アミノキシ]−プロピオン酸(MBPAP)を得た。
調製したMBPAPの質量分析法で求めたモル質量は381.44g/mol(C17H36NO6P)であり、目的物であることを確認した。
パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP0190、融点70℃) 50部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 5部
イオン交換水 200部
以上を混合し、95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、平均粒径が200nmである離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液(2)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
シアン顔料(Pigment Blue 15:3) 1,000部
(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン)
アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンR) 150部
イオン交換水 9,000部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤粒子分散液(2)を調製した。着色剤粒子分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
還流冷却管、窒素導入管、撹拌拌機を取り付けたガラス容器にスチレンモノマー(St)200部とMBPAPを14.8部を添加し、窒素気流下80℃にてよく混合し、温度を110℃に上昇させスチレンの重合を行った。分子量をGPCにて随時測定し、スチレンの数平均分子量が5,100になった時点で、重量減量法にて残留スチレン量を測定し重合率(転化率)を求めたところ99.5%であった。その後、ブチルアクリレート(BA)212部を添加し130℃にて重合を継続し、ブチルアクリレートでの鎖延長を行った。ブチルアクリレートブロックの数平均分子量数が5,400、初めに重合したスチレン鎖との合計が数平均分子量で20,500になったところで室温まで冷却した。重合物をTHF225部に溶解して取り出し、メタノールに滴下してブロックポリマーを再沈殿させた後、沈殿物をろ過、さらにメタノールで洗浄を繰り返した後、40℃にて真空乾燥を行いスチレンとブチルアクリレートのブロック共重合樹脂を得た。
上記ブロック共重合樹脂400部にソルビタンセスキオレートを8.0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部を溶解したメチルエチルケトン(MEK)120部を添加し、還流冷却管、撹拌機、イオン交換水滴下装置、加熱装置の付いた反応器に投入後、65℃にてよく混合した。その後、65℃にて1時間加熱混合を行った後1,000部のイオン交換水を1部/minの速度で滴下し、ブロック共重合樹脂の転相乳化を行った。さらに転相乳化物を冷却し、エバポレーターを用い、60℃減圧下において、乳化液からMEKを除去し樹脂粒子分散液(2)を得た。
得られた樹脂粒子分散液(2)中の樹脂粒子の体積平均粒径は250nm、固形分濃度42.5%であった。
樹脂粒子分散液(2) 565部(固形分240部)
着色剤粒子分散液(2) 22.87部(固形分5.3部)
離型剤粒子分散液(2) 50部(固形分10部)
上記原料の内、樹脂粒子分散液(2)158部(固形分67部)を残して、上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、UltraTurrax(IKA社製)により8,000rpmで剪断力を加えながら30分間分散混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14部を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.2〜4.5の範囲に制御した。必要に応じて、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行った。その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し加熱し、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させ、体積平均粒径が5.0μmになった時点で、先に取り分けた樹脂粒子分散液(2)158部を徐々に後添加し、温度を50℃まで昇温させ、粒径を6.1μmとした。さらにpHを7.5に上げた後、98℃まで昇温させ98℃で6時間保持した後、pHを6.5まで徐々に下げた後、加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後凍結乾燥機で乾燥しトナー粒子(3)を得た。
コールターマルチサイザーT−II型(アパーチャー径:50μm;ベックマン−コールター社製)を用いてトナー粒子(3)の体積平均粒径を測定した結果、粒径が5.8μm、体積平均粒径分布が1.22であった。また、形状係数SF1は135であった。
得られたトナー粒子(3)100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル(株)製、AEROSIL R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、静電荷像現像用トナー(3)を得た。
一方、フェライト粒子(パウダーテック(株)製、EFC50B、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン(株)製、分子量95,000)1部とを、トルエン500部とともに加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分粒することにより、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。
このフェライトキャリアと、上記静電荷像現像用トナー(3)とを混合し、トナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤(3)を作製した。
また、実施例1と同様に、トナーの評価を行った。結果を表1に示す
<樹脂粒子分散液(3)の作製>
〔重縮合樹脂(H1)の作製〕
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部
ビスフェノールA 2モルエチレンオキサイド付加物 320重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で12時間重縮合を実施したところ、均一透明なポリエステル樹脂(重縮合樹脂(H1))を得た。GPCによる重量平均分子量は14,000、ガラス転移温度は54℃であった。
トルエンスルホン酸 0.36重量部
1,6−ヘキサンジオール 80重量部
1,10−デカメチレンジカルボン酸(ドデカン二酸) 115重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で8時間重縮合を実施したところ、均一白色ポリエステル樹脂(重縮合樹脂(L1))を得た。GPCによる重量平均分子量は20,000、ガラス転移温度は−58℃であった。
重縮合樹脂(H1) 100重量部
重縮合樹脂(L1) 100重量部
上記材料を撹拌機を備えたリアクターに投入し、120℃で30分溶解、混合した後、95℃に加熱したイオン交換水800重量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0重量部、1N NaOH水溶液を1.0重量部溶解した中和用水溶液をフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス内で10分振とうした後、室温水にてリアクターを冷却した。これにより粒子のメジアン径径が200nm、固形分量が20重量%のコアシェル樹脂粒子分散液(3)を得た。
透過型電子顕微鏡にて包埋後、四酸化ルテニウム染色を行った樹脂粒子の断面観察を行うと、コアシェル状の構造がみられ、かつ、コア相に結晶状である低Tg樹脂が存在することが観察された。
〔着色剤粒子分散液(3)の調製〕
シアン顔料 50重量部
(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン C.I.Pigment Blue 15:3)
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バスにより10分間分散し、メジアン径190nm、固形分量21.5%のシアン着色剤粒子分散液(3)を得た。
着色剤粒子分散液(3)の調製において、シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(DIC(株)製、C.I.Pigment Red 122)を用いた以外は、着色剤粒子分散液(3)と同様に調製して、メジアン径165nm、固形分量21.5%のマゼンタ着色剤粒子分散液(4)を得た。
〔離型剤粒子分散液(3)の調製〕
ドデシル硫酸 30重量部
イオン交換水 852重量部
上記の成分を混合し、ドデシル硫酸水溶液を調製した。
パルミチン酸 188重量部
ペンタエリスリトール 25重量部
上記の成分を混合し、250℃に加熱し融解した後、上記のドデシル硫酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で15分乳化後、乳化物を撹拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子のメジアン径が200nm、融点が72℃、固形分量が20%の離型剤粒子分散液(3)を得た。
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 2重量部
イオン交換水 800重量部
カルナバワックス 200重量部
以上の成分を混合し、100℃に加熱し融解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で15分間乳化した後、さらにゴーリンホモジナイザーを用いて100℃にて乳化を行った。
これにより粒子のメジアン径が170nm、融点が83℃、固形分量が20%の離型剤粒子分散液(4)を得た。
樹脂粒子分散液(3) 168重量部(樹脂42重量部)
着色剤粒子分散液(4) 40重量部(着色剤8.6重量部)
離型剤粒子分散液(4) 43重量部(離型剤8.6重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(3)を84重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までのあいだ、水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.0以下とならない様にした。95℃で、3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(4)を得た。
このトナー粒子(4)の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50vが6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は129のポテト形状であった。
上記トナー粒子(4)50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して静電荷像現像剤(4)を調製した。
実施例1と同様に島津フローテスターCFT−500A型を使用して、10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度を測定したところ、それぞれ140℃、70℃であり、70℃の温度差が観測された。
実施例1と同様に、トナーの評価を行った。結果を表1に示す
実施例1で樹脂微粒子分散液として以下の樹脂粒子分散液(4)を用いた以外はすべて実施例1と同様にトナーを作製し評価した。
<樹脂粒子分散液(4)の作製(スチレン−ブチルメタクリレート系、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)>
丸型ガラスフラスコ中に、300重量部のイオン交換水と1.5重量部のTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、(株)シグマ製)を入れ、20分間、窒素バブリングを実施し、撹拌しながら65℃まで昇温した。n−ブチルメタクリレートモノマー40重量部とを加え、さらに20分間撹拌を行った。開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)0.5重量部を予め、10重量部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー50重量部と、n−ブチルアクリレートモノマー25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2重量部及び0.8重量部のドデカンチオールを0.5重量部のTTABを溶解したイオン交換水100重量部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。温度を70℃に昇温、さらに2時間保持して、重合を完了した。
重量平均分子量Mwは19,000、平均粒径は280nm、固形分量が25重量%の樹脂粒子分散液(4)を得た。
樹脂を40℃で風乾後、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でTg挙動を分析すると、25℃付近にポリブチルメタクリレートによるガラス転移が観測され、また42℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体からなると考えられる共重合体によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:17℃)。
また、実施例1と同様に、トナーの評価を行った。結果を表1に示す
<樹脂粒子分散液(5)の調製>
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部
ビスフェノールA 1エチレンオキサイド付加物 310重量部
(両末端換算2モル付加物)
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下155℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
GPCによる重量平均分子量は10,000、ガラス転移温度(オンセット)は54℃であった。
カプロラクトン 90重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.2重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下95℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な結晶性ポリエステルオリゴマーを得た。
GPCによる重量平均分子量は8,000、結晶融点は60℃であった。
また、GPCによる重量平均分子量は10,000であった。
その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続しながら90℃まで加熱してブロック共重合体樹脂の乳化分散液を得た。樹脂粒子の中心径が220nm、固形分量が20%の樹脂粒子分散液(5)を得た。
樹脂粒子分散液(5) 315重量部(樹脂63重量部)
着色剤粒子分散液(1) 40重量部(顔料8.6重量部)
離型剤粒子分散液(1) 40重量部(離型剤8.6重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(5)を105重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(6)を得た。
上記トナー粒子(6)50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製、Mw75,000)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤(2)を調製した。
実施例1において、中間転写後のフィルム化工程を省略した以外は実施例1と同様にして画像を形成し、評価を行った。
実施例1において、中間転写後のフィルム化工程を160℃の加熱により行った以外は実施例1と同様に画像を形成し、評価を行った。結果を表2に示す。連続評価を実施してゆくと、中間転写体と感光体が強固に付着した。
10 中間転写体
12 トナー像
13 フィルム化したトナー像
15 加圧部
20 加圧ロール
22 ロール
27、28、29 ロール
30Y、30M、30C、30B 感光体
32Y、32M、32C、32B 帯電機(帯電手段)
34 走査装置(露光手段)
36Y、36M、36C、36B 現像機(現像手段)
38Y、38M、38C、38B 転写機(第一の転写手段)
37 加圧ロール
100 画像形成装置
UY、UM、UC、UB 画像形成ユニット
P 記録媒体
Claims (7)
- 少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を中間転写体上に転写する第一の転写工程と、
中間転写体上に転写されたトナー像を加圧によりフィルム化するフィルム化工程と、
フィルム化されたトナー像を被転写体表面に転写する第二の転写工程とを有し、
前記トナーの結着樹脂が、高Tg樹脂ブロックAと低Tg樹脂ブロックBとのブロック共重合体を含み、
前記高Tg樹脂ブロックA及び前記低Tg樹脂ブロックBが、エチレン性不飽和化合物を重合させたブロックであり、
前記高Tg樹脂ブロックAのガラス転移温度Tg(A)が60℃以上であり、低Tg樹脂ブロックBのガラス転移温度Tg(B)が20℃以下であり、
前記第二の転写工程が剪断力を与えながら転写する工程であることを特徴とする画像形成方法。 - 前記トナーのフローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度をT(10MPa)とし、前記トナーのフローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度をT(1MPa)としたとき、下記式(1)を満たす、請求項1に記載の画像形成方法。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1) - 前記フィルム化工程が、トナー像のフローテスター溶融粘度が105Pa・s以下となるように加圧する工程である、請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記高Tg樹脂ブロックAの作製に用いられるエチレン性不飽和化合物がスチレン類であり、前記低Tg樹脂ブロックBの作製に用いられるエチレン性不飽和化合物が(メタ)アクリル酸エステル類である、請求項1〜3いずれか1つに記載の画像形成方法。
- 前記剪断力は、中間転写体の搬送速度と被転写体の搬送速度との間に速度差を設けることで与えられる、請求項1〜4いずれか1つに記載の画像形成方法。
- 前記フィルム化工程において中間転写体を加熱しない、請求項1〜5いずれか1つに記載の画像形成方法。
- 像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を中間転写体上に転写する第一の転写手段と、
中間転写体上に転写された前記トナー像をフィルム化するフィルム化手段と、
フィルム化された前記トナー像を被転写体表面に転写する第二の転写手段とを具備し、さらに、
前記転写されたフィルム化されたトナー像を加圧して定着する加圧定着手段を有し、
前記トナーの結着樹脂が、高Tg樹脂ブロックAと低Tg樹脂ブロックBとのブロック共重合体を含み、
前記高Tg樹脂ブロックA及び前記低Tg樹脂ブロックBが、エチレン性不飽和化合物を重合させたブロックであり、
前記高Tg樹脂ブロックAのガラス転移温度Tg(A)が60℃以上であり、低Tg樹脂ブロックBのガラス転移温度Tg(B)が20℃以下であり、
前記第二の転写手段が剪断力を与えながら転写する手段であることを特徴とする
画像形成装置。
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