以下、発明を実施するための形態(実施形態とも称する)について説明する。なお、説明は、以下の順序、すなわち、
1.第1実施形態(測距センサ対の配列角度が互いに異なり且つ互いにシフトされる例)、
2.第2実施形態(測距センサ対の双方の配置が変更される例)、
3.第3実施形態(測距センサ対が互いにシフトされる例)、
4.第4実施形態(測距センサ対の配列角度が互いに異なる例)、
5.変形例、
の順序で行う。
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1(1A)の外観構成を示す図である。ここで、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図である。この撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
図1に示すように、撮像装置1は、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴36ならびに鏡胴36の内部に設けられるレンズ群37(図3参照)及び絞り等によって構成される。レンズ群37(撮影光学系)には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズユニット3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
また、カメラ本体部2は、正面左端部に撮影者が把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えばリチウムイオン電池などの電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード90(図3参照)が着脱可能に収納されるようになっている。
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)の2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作が行われる。詳細には、撮像素子5(後述)を用いて被写体像(被写体の光像)に関する露光動作が行われ、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作が実行される。このように、撮像装置1は、レリーズボタン11が半押し状態S1にされると撮影準備指令が付与されたものとみなし、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると撮影指令が付与されたものとみなす。
図2において、カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓(接眼窓)10が設けられている。撮影者は、ファインダ窓10を覗くことによって、撮影レンズユニット3から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことができる。すなわち、光学ファインダを用いて構図決めを行うことが可能である。
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、背面モニタ12が設けられている。背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。
背面モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示すること、および再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示することなどが可能である。
背面モニタ12の左上部には電源スイッチ(メインスイッチ)81が設けられている。電源スイッチ81は2点スライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると、電源がオフになり、接点の右方の「ON」位置に設定すると、電源がオンになる。
背面モニタ12の右側には方向選択キー84が設けられている。この方向選択キー84は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下及び左下の4方向の押圧操作とが、それぞれ検出されるようになっている。なお、方向選択キー84は、上記8方向の押圧操作とは別に、中央部のプッシュボタンの押圧操作も検出されるようになっている。方向選択キー84は、各種の設定操作等に用いられる。
<1−2.機能ブロック>
つぎに、図3を参照しながら、撮像装置1の機能の概要について説明する。図3は、撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像装置1は、AFセンサモジュール20、操作部80、全体制御部101、フォーカス駆動制御部121、ミラー駆動制御部122、シャッタ駆動制御部123、およびデジタル信号処理回路53等を備える。
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザーの入力操作に応答して、全体制御部101が各種動作を実現する。
AFセンサモジュール(単にAFモジュールとも称する)20は、ミラー機構6を介して進入してきた光を用いて、位相差方式の合焦状態検出手法により被写体の合焦状態を検出することが可能である。AFモジュール20は、焦点位置検出装置とも称される。
全体制御部101は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU、メモリ、及びROM(例えばEEPROM)等を備える。全体制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能を実現する。
詳細には、全体制御部101は、読出制御部111およびAF制御部113等を有している。
読出制御部111は、撮像素子5で光電変換作用により生成された電荷を電気信号として撮像素子5から読み出す動作を制御する。読み出された電気信号は、画像信号として生成される。
AF制御部(合焦制御部)113は、AFセンサモジュール20およびフォーカス駆動制御部121等と協動して、フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御動作(AF動作)を行う。AF制御部113は、AFモジュール20による測距結果に基づき、フォーカス駆動制御部121を用いてAF動作を実現する。具体的には、AF制御部113は、AFモジュール20によって検出される合焦レンズ位置に基づいてAF動作を実行する。位相差方式のAFモジュール20を用いることによれば、非常に高速に合焦レンズ位置を求めることができる。
また、フォーカス駆動制御部121は、全体制御部101と協働して合焦制御動作を実現する。具体的には、フォーカス駆動制御部121は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM1を駆動する。これにより、撮影レンズユニット3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズは、駆動機構ME(図4)を用いて移動される。また、フォーカスレンズの位置は、撮影レンズユニット3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータが全体制御部101に送られる。このように、フォーカス駆動制御部121は、フォーカスレンズの光軸方向の動き等を制御する。
また、ミラー駆動制御部122は、ミラー機構6が光路から退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。ミラー駆動制御部122は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM2を駆動することによって、ミラーアップ状態とミラーダウン状態とを切り替える。
シャッタ駆動制御部123は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM3を駆動することによって、シャッタ4の開閉を制御する。
撮像素子(ここではCCDセンサ(単にCCDとも称する))5は、撮影レンズユニット3からの被写体の光像(被写体像)を光電変換作用により電気的信号に変換する受光素子であり、本撮影画像に係る画像信号(記録用の画像信号)を生成して取得する。
撮像素子5は、全体制御部101からの駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。また、撮像素子5は、全体制御部101からの読出制御信号に応答して、当該画像信号を信号処理部51へ出力する。
撮像素子5で取得された画像信号に対して信号処理部51により所定のアナログ信号処理が施されると、当該アナログ信号処理後の画像信号はA/D変換回路52によってデジタル画像データ(画像データ)に変換される。この画像データは、デジタル信号処理回路53に入力される。
デジタル信号処理回路53は、A/D変換回路52から入力される画像データに対してデジタル信号処理を行い、撮像画像に係る画像データを生成する。デジタル信号処理回路53は、黒レベル補正回路、ホワイトバランス(WB)回路、γ補正回路等を備え、各種のデジタル画像処理を施す。なお、デジタル信号処理回路53によって処理された画像信号(画像データ)は、画像メモリ55に格納される。画像メモリ55は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能な画像メモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有する。
本撮影時には、画像メモリ55に一時記憶される画像データは、全体制御部101において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、メモリカード90に記憶される。
<1−3.撮像装置の内部構成>
つぎに、図4を参照しながら、撮像装置1の内部構成について説明する。図4は、撮像装置1の内部を側方から見た概略図である。
撮像装置1のミラー機構6は、主ミラー(主反射面)61とサブミラー(副反射面)62とを有している。ミラー駆動機構(不図示)による駆動動作によって、光路からミラー機構6が退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)とが切り替えられる。
ミラーダウン状態(図4)においては、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62は、撮影レンズユニット3からの光束(被写体像)の光路(撮影光路)上に配置される。そして、当該光束は、主ミラー(主反射面)61でカメラ上部側に反射された後、カメラ本体部2の上部に配置されたペンタプリズム65によってさらに反射され、観察用光束としてファインダ窓10へと導かれる。また、主ミラー61の少なくとも一部は、ハーフミラーとして構成される。撮影レンズユニット3からの光束の一部は、主ミラー61のハーフミラー部分を通過した後、サブミラー(副反射面)62で反射され、カメラ本体部2の下部に配置されたAFモジュール20に導かれ、位相差方式のAF動作に利用される。なお、AFモジュール20に導かれる光束は、AF動作(詳細には測距動作)に用いられる光束であることから、測距用光束とも称される。
一方、ミラーアップ状態においては、主ミラー61およびサブミラー62は、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路から待避し、当該被写体像はシャッタ4および撮像素子5へ向けて進行する。そして、このミラーアップ状態においては、撮像素子5による本撮影画像の撮影動作が実行される。具体的には、シャッタ4の開放期間中に撮像素子5による露光動作が行われ、本撮影画像が取得される。
例えば、レリーズボタン11が全押し状態S2にされる前まで(すなわち構図決め時において)、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図4)。この際には、撮影レンズユニット3からの被写体像は、主ミラー61で上方に反射され、観察用光束としてペンタプリズム65およびファインダ窓10を通過して、撮影者の眼に到達する。この状態において、光学ビューファインダ(OVF)を用いた構図決め動作が行われる。また、サブミラー62で反射されAFモジュール20に入射した光束を用いて、位相差AF動作が実行される。具体的には、レリーズボタン11が半押し状態S1になったときに、撮影準備動作としてAF制御動作が行われる。
その後、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、ミラー機構6はミラーアップ状態となるように駆動され、露光動作が開始される。具体的には、撮影レンズユニット3からの光が、主ミラー61で反射されることなく進行して、シャッタ4の開放期間に合わせて撮像素子5に到達する。撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体の画像信号を生成する。このように、被写体からの光束(被写体像)が撮影レンズユニット3を通過して撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
<1−4.位相差AFの概要>
つぎに、位相差AFの原理について説明する。
図5〜図7は、位相差AFの原理を示す図である。図5は、合焦状態(ピントが合った状態)であり、図6は、ピント位置が前側にずれている状態(いわゆる前ピン状態)を示す図であり、図7は、ピント位置が後ろ側にずれている状態(いわゆる後ピン状態)を示す図である。
図5〜図7に示すように、AFモジュール20は、AFセンサ(測距センサとも称する)27とコンデンサレンズ22と絞りマスク25とセパレータレンズ26とを有している。AFセンサ27としては、例えば、所定方向(X方向あるいはY方向)に伸びる一対の受光素子アレイ(CCDラインセンサ等)が設けられる。なお、これらの図では、簡略化のため、複数のレンズで構成されるレンズ群37を単一のレンズLSで表現している。
まず、図5を参照する。図5に示すように、撮影レンズLSが合焦位置に存在する場合には、被写体上の或る点P1からの光は、撮影レンズLSを通過した後に点FPaに結像する。詳細には、点P1からの光は、撮影レンズLSの様々な部分を通過した後、再び点FPaに集まる。例えば、図5において、撮影レンズLSの光軸LXの下側を通過した光束LDと、撮影レンズLSの光軸LXの上側を通過した光束LUとは、いずれも点FPaに到達する。このとき、光束LDは、コンデンサレンズ22、絞りマスク25およびセパレータレンズ26をさらに通過して、AFセンサ27上の位置QA1に集光される。また、光束LUは、コンデンサレンズ22、絞りマスク25およびセパレータレンズ26をさらに通過して、AFセンサ27上の位置QB1に集光される。このように、セパレータレンズ26等によって、光束LD,LUは、互いに異なる位置QA1,QB1に分離して集光される。このとき、位置QA1と位置QB1との距離D1は、予め定められた距離(適正値)D0に一致する。
また、実際には、位置P1以外の点(位置P1の近傍の点)からの光も、同様にして、位置QA1および位置QB1の近傍に到達する。その結果、図8に示すように、位置QA1の周辺および位置QB1の周辺にそれぞれ像SA,SBが形成される。像SAは、撮影レンズLSの下側を通過して位置QA1付近に到達した被写体像であり、像SBは、撮影レンズLSの上側を通過して位置QB1付近に到達した被写体像である。図8においては、横軸はAFセンサ27上の所定方向における位置x(あるいはyなど)を表しており、縦軸は各位置x(あるいはyなど)における画素(受光素子)の画素値(階調値)Vを表している。
次に、図6に示すように、撮影レンズLSが前ピン位置に存在する場合には、或る点P1からの光は、撮影レンズLSを通過した後に点FPaよりも前側(被写体側)の位置FPbに結像する。このとき、図6において、撮影レンズLSの光軸LXの下側を通過した光束LDは、コンデンサレンズ22、絞りマスク25およびセパレータレンズ26をさらに通過して、位置QA2に集光される。また、撮影レンズLSの光軸の上側を通過した光束LUは、コンデンサレンズ22、絞りマスク25およびセパレータレンズ26をさらに通過して、位置QB2に集光される。このとき、位置QA2と位置QB2との距離D2は、予め定められた距離D0よりも小さくなる。
また、実際には、位置P1以外の点(位置P1の近傍の点)からの光も、同様にして、位置QA2および位置QB2の近傍に到達する。その結果、図9に示すように、位置QA2の周辺および位置QB2の周辺にそれぞれ像SA,SBが形成される。前ピン状態における像SA,SB(図9)は、合焦状態における像SA,SB(図8)と比較して、(図の白矢印の向きに)互いに近接した位置に形成される。
さらに、図7に示すように、撮影レンズLSが後ピン位置に存在する場合には、或る点P1からの光は、撮影レンズLSを通過した後に点FPaよりも後ろの位置FPcに結像する。このとき、図7において、撮影レンズLSの光軸LXの下側を通過した光束LDは、コンデンサレンズ22、絞りマスク25およびセパレータレンズ26をさらに通過して、位置QA3に集光される。また、撮影レンズLSの光軸LXの上側を通過した光束LUは、コンデンサレンズ22、絞りマスク25およびセパレータレンズ26をさらに通過して、位置QB3に集光される。このとき、位置QA3と位置QB3との距離D3は、予め定められた距離D0よりも大きくなる。
また、実際には、位置P1以外の点(位置P1の近傍の点)からの光も、同様にして、位置QA3および位置QB3の近傍に到達する。その結果、図10に示すように、位置QA3の周辺および位置’B3の周辺にそれぞれ像SA,SBが形成される。後ピン状態における像SA,SB(図10)は、合焦状態における像SA,SB(図8)と比較して、(図の白矢印の向きに)互いに離反した位置に形成される。
前ピン状態あるいは後ピン状態における合焦状態からのずれ量は、例えば、次のような相関演算を用いることによって求められる。具体的には、式(1)に示す関数F(h)の値を各変数hに対して求め、当該関数F(h)を最小化する値hを求めればよい。
なお、値VAiは光像SAの位置iにおける画素(受光素子)の画素値を表し、値VBjは光像SBの位置jにおける画素(受光素子)の画素値を表す(図8参照)。また、座標軸jは、座標軸iと同じ方向(図8の横方向)に設定されているが、座標軸iに対して距離D0右側にオフセットされて設定されている。値Nは、式(1)における差分総和の算出対象となる画素の数を表す。また、値hは、両光像SA,SBの相互間のずれ量を表す。当該値hは、合焦状態からのずれ量に相当する。
合焦状態においては、j=i、すなわちh=0のときに、関数F(h)は最小化される。また、理想的にはF(h)=0となる。
一方、前ピン状態あるいは後ピン状態においては、値hが0(ゼロ)以外の値のときに、関数F(h)が最小化される。値hの(正負の)符号は、後ピン状態であるか前ピン状態であるかを示しており、値hの絶対値は合焦状態からのずれの程度を示している。
この値hは、所定の変換テーブル等に基づいて、フォーカスレンズのデフォーカス量(フォーカスレンズの合焦レンズ位置からのずれ量およびずれ方向)に変換可能である。すなわち、値hはデフォーカス量と等価である。このようにして、2つの測距センサ(一対の測距センサ)で受光された被写体像の相対的な位置関係を検出することにより、フォーカスレンズの現在位置に関するデフォーカス量(合焦レンズ位置からのずれ量およびずれ方向)が検出される。
撮像装置1は、関数F(h)を最小化する値hを求め、さらに当該値hに対応するデフォーカス量を補償するようにフォーカスレンズを移動させることによって、フォーカスレンズを合焦位置に移動させることが可能である。
位相差AFは、以上のような原理に基づいて行われる。端的に言えば、一対のAFセンサ27の配列方向(離間方向)における2つの像(分割像)SA,SBの当該配列方向におけるずれを検出することによって、測距動作が行われる。AFセンサ27の離間方向は、各AFセンサ27内の受光素子列の配列方向でもある。一対のAFセンサ27は、その受光素子列の配列方向における各被写体像の階調変化を取得し、当該配列方向における各被写体像(各分割像)の階調変化に基づいて測距動作を行う。すなわち、一対のAFセンサ(測距センサ)27は、被写体像の所定方向(測距センサ27の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
<1−5.AFモジュールの構成概要>
つぎに、第1実施形態に係るAFモジュール20(20Aとも称する)の構成の概要について図11〜図16等を参照しながら説明する。図11は、撮影領域PR内での複数の測距ポイントPGおよび複数の焦点検出領域FRを示す図である。図12は、AFモジュール20Aの概略構成を示す分解斜視図である。図13は、絞りマスク225(225A)内における各開口の配置を示す図であり、図14はレンズアレイ226(226A)内の各セパレータレンズの配置を示す図である。また、図15は、センサチップ227(227A)内の各測距センサの配置を示す図である。さらに、図16は、AFモジュール20内での光の進路を示す上面図である。なお、各測距センサは、それぞれ、複数の受光素子(フォトダイオード等)を備えて構成される。例えば、各測距センサは、CCDラインセンサ(1次元CCDセンサ列)として構成される。
図11に示すように、この撮像装置1においては、撮影領域PR内において、複数の測距ポイントPGkが設定されている。ここでは、15個の測距ポイントPG1〜PG15が設定されている。このうち、測距ポイントPG3は、撮影領域PRの中央(詳細には、垂直方向にも水平方向にも中央)、すなわち撮影レンズの光軸を通る位置、に設けられている。
これらの測距ポイントPG1〜PG15のそれぞれに関して、当該測距ポイントを中心として水平方向に延びる(伸延する)焦点検出領域FR1〜FR15が設けられている。後述するように、これらの焦点検出領域FR1〜FR15における被写体像を利用して、当該撮影領域PRの水平方向における階調変化に敏感な測距動作が実現される。
また、3つの測距ポイントPG3,PG8,PG13に関しては、当該測距ポイントを中心として垂直方向に延びる焦点検出領域FR21,FR22,FR23も設けられている。後述するように、これらの焦点検出領域FR21,FR22,FR23における被写体像を利用して、当該撮影領域PRの垂直方向における階調変化に敏感な測距動作が実現される。3つの測距ポイントPG3,PG8,PG13は、垂直方向および水平方向の双方に関する測距動作が行われるポイント(クロス測距ポイントとも称される)である。
これらの焦点検出領域FR1〜FR15,FR21〜FR23のうち、焦点検出領域FR3,FR8,FR13は、基準直線LBに沿って設定されており、焦点検出領域FR21は、基準直線LAに沿って設定されている。なお、基準直線LBは、撮影領域PRを垂直方向(上下方向)に二等分する水平直線であり、基準直線LAは、撮影領域PRを水平方向(左右方向)に二等分する垂直直線である。換言すれば、基準直線LBは、撮影領域PRの中心を通り且つ水平方向に延びる直線であり、基準直線LAは、撮影領域PRの中心を通り且つ垂直方向に延びる直線である。
焦点検出領域FR3,FR8,FR13は、垂直方向における中央の被写体像に関する測距動作を実現することに利用され、焦点検出領域FR21は、水平方向における中央の被写体像に関する測距動作を実現することに利用される。
また、焦点検出領域FR1,FR2,FR4,FR5は、焦点検出領域FR3から垂直方向に離間して配置されており、焦点検出領域FR3に対して垂直方向にずれて配置されている。したがって、これらの焦点検出領域FR1,FR2,FR4,FR5は、垂直方向における中央位置からずれた位置の被写体像に関する測距動作の実現に利用される。
同様に、焦点検出領域FR6,FR7,FR9,FR10は、焦点検出領域FR8から垂直方向に離間して配置されており、焦点検出領域FR11,FR12,FR14,FR15は、焦点検出領域FR13から垂直方向に離間して配置されている。換言すれば、焦点検出領域FR6,FR7,FR9,FR10は、焦点検出領域FR8に対して垂直方向にずれて配置されており、焦点検出領域FR11,FR12,FR14,FR15は、焦点検出領域FR13に対して垂直方向にずれて配置されている。これらの焦点検出領域FR6,FR7,FR9,FR10,FR11,FR12,FR14,FR15も、垂直方向における中央位置からずれた位置の被写体像に関する測距動作の実現に利用される。なお、焦点検出領域FR6の基準直線LBからのずれ量は、焦点検出領域FR7の基準直線LBからのずれ量よりも大きく、焦点検出領域FR10の基準直線LBからのずれ量は、焦点検出領域FR9の基準直線LBからのずれ量よりも大きい。焦点検出領域FR11,FR12,FR14,FR15に関する基準直線LBに対する各ずれ量も同様の関係を有する。
また、焦点検出領域FR6〜FR10はそれぞれ焦点検出領域FR1〜FR5に対して水平方向(図11の右向き)に離間して配置されている。換言すれば、焦点検出領域FR6〜FR10は、水平方向における中央から水平方向にずれて配置されている。このように、焦点検出領域FR6,FR7,FR9,FR10は、中央の焦点検出領域FR3に対して、垂直方向にも水平方向にもずれて配置されている。焦点検出領域FR6,FR7,FR9,FR10は、垂直方向における中央位置からも水平方向における中央位置からもずれた位置の被写体像に関する測距動作の実現に利用される。
また、焦点検出領域FR11〜FR15はそれぞれ焦点検出領域FR1〜FR5に対して水平方向(図11の左向き)に離間して配置されている。したがって、焦点検出領域FR6,FR7,FR9,FR10は、中央の焦点検出領域FR3に対して、垂直方向にも水平方向にもずれて配置されている。焦点検出領域FR11,FR12,FR14,FR15は、垂直方向における中央位置からも水平方向における中央位置からもずれた位置の被写体像に関する測距動作の実現に利用される。
さらに、焦点検出領域FR22,FR23は、焦点検出領域FR21から水平方向に離間して配置されており、焦点検出領域FR21に対して水平方向にずれて配置されている。したがって、これらの焦点検出領域FR22,FR23は、水平方向における中央からずれた位置の被写体像に関する測距動作の実現に利用される。
図12に示すように、AFモジュール20Aは、視野マスク221とコンデンサレンズ222と絞りマスク225(225A)とレンズアレイ226(226A)とセンサチップ227(227A)とを備えている。なお、AFモジュール20は、サブミラー62(図4)で反射され当該AFモジュール20に入射してきた光をさらに反射するミラー等をも備えているが、ここでは簡単化のため、当該ミラー等を省略して説明する。
撮影レンズユニット3からの光は、サブミラー62で反射され、撮像素子5と光学的に等価な位置で結像した後、さらに進行して当該AFモジュール20に入射する。そして、当該入射光は、コンデンサレンズ222および絞りマスク225を通過し、レンズアレイ226で集光されてセンサチップ227に到達する。なお、レンズアレイ226のみならず、コンデンサレンズ222も集光作用を有している。サブミラー62で反射され撮像素子5と光学的に等価な位置で結像した後に再び広がろうとする光は、コンデンサレンズ222の集光作用により、センサチップ227上において、限定された範囲に集光される。
コンデンサレンズ222は、コンデンサレンズ群、具体的には3つのコンデンサレンズ222a,222b,222cを備えて構成される。中央のコンデンサレンズ222cは、撮影レンズユニット3(撮影光学系)からの光束のうち、当該光束の中心軸(光軸)LXを中心とする中央領域の光束を集光する。一方、左右両側のコンデンサレンズ222a,222bは、当該光軸LXに対して水平方向にずれて(すなわち偏心して)配置されており、光軸LXから離れた部分の光束を集光する。
絞りマスク225とレンズアレイ226とセンサチップ227とは、それぞれ、板状部材として形成されているとともに、撮影レンズユニット3からの光束の光軸LXに対して垂直に配置されている。
絞りマスク225は複数の開口を有し、レンズアレイ226は複数のセパレータレンズを有する。また、センサチップ227は、複数対の測距センサを有する。次述するように、絞りマスク225の各開口とレンズアレイ226の各セパレータレンズとセンサチップ227の各測距センサとは、それぞれ対応する位置に設けられる。
つぎに、図13〜図15を参照しながら、絞りマスク225、レンズアレイ226およびセンサチップ227の構成等について説明する。
コンデンサレンズ222の中央に配置されたコンデンサレンズ222c(図12)を通過した光束は、絞りマスク225(図13)の中央部分へと到達する。絞りマスク225の中央部分には、4つの開口A11,A12,A21,A22が設けられている。また、レンズアレイ226(図14)の中央部分には、4つのセパレータレンズB11,B12,B21,B22が設けられている。さらに、センサチップ227(図15)の中央部分には、4つの測距センサ群C11,C12,C21,C22が設けられている。4つの開口A11,A12,A21,A22と、4つのセパレータレンズB11,B12,B21,B22と、4つの測距センサ群C11,C12,C21,C22とは、それぞれ、対応する位置に設けられる。なお、測距センサ群C11,C12は一対の測距センサ群C10を構成し、測距センサ群C21,C22は一対の測距センサ群C20を構成する。各一対の測距センサ群C10,C20は、それぞれ、画面内の中央付近の被写体に関する測距用のセンサ対を有している。
コンデンサレンズ222cを通過し更に開口A11(図13)を通過した光は、セパレータレンズB11(図14)により集光され、測距センサ群C11(図15)に到達する。測距センサ群C11は、複数(ここでは5個)の測距センサC111〜C115(図15)を有している。各測距センサC111〜C115は、それぞれ、各測距ポイントPG1〜PG5(図11)に対応する被写体上の各位置からの光を受光する。詳細には、各測距センサC111〜C115は、それぞれ、焦点検出領域FR1〜FR5の被写体像に関する光束を受光する。
また、コンデンサレンズ222cを通過し更に開口A12を通過した光は、セパレータレンズB12により集光され、測距センサ群C12に到達する。測距センサ群C12は、複数(ここでは5個)の測距センサC121〜C125(図16)を有している。各測距センサC121〜C125は、それぞれ、各測距ポイントPG1〜PG5(図11)に対応する被写体上の各位置からの光を受光する。詳細には、各測距センサC121〜C125は、それぞれ、焦点検出領域FR1〜FR5の被写体像に関する光束を受光する。
そして、この一対の測距センサ群C11,C12に到達した光束によって、上述のような原理による位相差方式の測距動作を行うことが可能である。
例えば、焦点検出領域FR3に関する光束は分割され、各分割光は、一対の測距センサC113,C123によって受光される。そして、一対の測距センサC113,C123に到達した光束によって、測距ポイントPG3に関する測距動作が実行される。
同様に、焦点検出領域FR1に関する光束は分割され、各分割光は、一対の測距センサC111,C121によって受光される。そして、一対の測距センサC111,C121に到達した光束によって、測距ポイントPG1に関する測距動作が実行される。
また、焦点検出領域FR2に関する光束は分割され、各分割光は、一対の測距センサC112,C122によって受光される。一対の測距センサC112,C122に到達した光束によって、測距ポイントPG2に関する測距動作が実行される。
焦点検出領域FR4,FR5に関する光束についても同様である。
このように、一対の測距センサC11k,C12k(k=1,2,...,5)に到達した光束によって、測距ポイントPGkに関する測距動作が実行される。なお、一対の測距センサ群C11,C12は、被写体像の水平方向(測距センサ群C11,C12の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
同様に、コンデンサレンズ222cを通過し更に開口A21を通過した光は、セパレータレンズB21により集光され、測距センサ群C21に到達する。また、コンデンサレンズ222cを通過し更に開口A22を通過した光は、セパレータレンズB22により集光され、測距センサ群C22に到達する。ここでは、測距センサ群C21は単一の測距センサC211を有しており、測距センサ群C22は単一の測距センサC221を有しているものとする。そして、当該測距センサC211,C221は、それぞれ、焦点検出領域FR21の被写体像に関する分割光束を受光する。そして、この一対の測距センサC211,C221に到達した光束によっても、上述のような原理による位相差方式の測距動作を行うことが可能である。なお、一対の測距センサC211,C221は、被写体像の垂直方向(測距センサC211,C221の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
さらに、この実施形態においては、左右のコンデンサレンズ222a,222bを通過した光束は、それぞれ、絞りマスク225の左右両側に到達する。
図13に示すように、絞りマスク225の右側部分には、4つの開口A31,A32,A41,A42が設けられており、絞りマスク225の左側部分には、4つの開口A51,A52,A61,A62が設けられている。また、図14に示すように、レンズアレイ226の右側部分には、4つのセパレータレンズB31,B32,B41,B42が設けられており、レンズアレイ226の左側部分には、4つのセパレータレンズB51,B52,B61,B62が設けられている。さらに、また、図15に示すように、センサチップ227の右側部分には、4つの測距センサ群C31,C32,C41,C42が設けられており、センサチップ227の左側部分には、4つの測距センサ群C51,C52,C61,C62が設けられている。
右側の4つの開口A31,A32,A41,A42と、4つのセパレータレンズB31,B32,B41,B42と、4つの測距センサ群C31,C32,C41,C42とは、それぞれ、対応する位置に設けられる。同様に、左側の4つの開口A51,A52,A61,A62と、4つのセパレータレンズB51,B52,B61,B62と、4つの測距センサ群C51,C52,C61,C62とは、それぞれ、対応する位置に設けられる。
なお、測距センサ群C31,C32は一対の測距センサ群C30を構成し、測距センサ群C51,C52は一対の測距センサ群C50を構成する。また、測距センサ群C41,C42は一対の測距センサ群C40を構成し、測距センサ群C61,C62は一対の測距センサ群C60を構成する。各一対の測距センサ群C30,C50,C40,C60は、それぞれ、画面内の中央から離れた位置の被写体に関する測距用のセンサ対を有している。
図12の手前側のコンデンサレンズ222aを通過し更に開口A31を通過した光は、セパレータレンズB31により集光され、測距センサ群C31に到達する。また、コンデンサレンズ222aを通過し更に開口A32を通過した光は、セパレータレンズB32により集光され、測距センサ群C32に到達する。そして、この一対の測距センサ群C31,C32に到達した光束によっても、上述のような原理による位相差方式の測距動作が行われる。なお、一対の測距センサ群C31,C32は、被写体像の水平方向(測距センサ群C31,C32の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
また、コンデンサレンズ222aを通過し更に開口A41を通過した光は、セパレータレンズB41により集光され、測距センサ群C41に到達する。また、コンデンサレンズ222aを通過し更に開口A42を通過した光は、セパレータレンズB42により集光され、測距センサ群C42に到達する。そして、この一対の測距センサ群C41,C42に到達した光束によっても、上述のような原理による位相差方式の測距動作を行うことが可能である。なお、一対の測距センサ群C41,C42は、被写体像の垂直方向(測距センサ群C41,C42の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
同様に、左側のコンデンサレンズ222bを通過し更に開口A51を通過した光は、セパレータレンズB51により集光され、測距センサ群C51に到達する。また、コンデンサレンズ222bを通過し更に開口A52を通過した光は、セパレータレンズB52により集光され、測距センサ群C52に到達する。そして、この一対の測距センサ群C51,C52に到達した光束によっても、上述のような原理による位相差方式の測距動作を行うことが可能である。なお、一対の測距センサ群C51,C52は、被写体像の水平方向(測距センサ群C51,C52の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
また、コンデンサレンズ222bを通過し更に開口A61を通過した光は、セパレータレンズB61により集光され、測距センサ群C61に到達する。また、コンデンサレンズ222bを通過し更に開口A62を通過した光は、セパレータレンズB62により集光され、測距センサ群C62に到達する。そして、この一対の測距センサ群C61,C62に到達した光束によっても、上述のような原理による位相差方式の測距動作を行うことが可能である。なお、一対の測距センサ群C61,C62は、被写体像の垂直方向(測距センサ群C41,C42の配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
このような各一対の測距センサ群C30,C40,C50,C60によれば、画面内における中央以外の部分の被写体に関するデフォーカス量(測距結果)をも取得することができる。
以上のように、このAFモジュール20によれば、画面内の複数のフォーカスポイントに対応する被写体距離を得ること、すなわち、被写体の複数部分に関する測距動作を行うことができる。また、複数の異なる測距結果が得られる場合には、当該複数の測距結果に基づいて適切なAF動作を実現することができる。例えば、撮像装置1から最も近い位置に存在する被写体を合焦状態とするようなAF制御(「最近優先」制御とも称する)を行うようにすればよい。これによれば、画面内の様々な位置の被写体に適切に合焦させることが可能である。
<1−6.軸外の焦点検出領域に関する測距>
つぎに、軸外領域(撮影レンズユニット3の光軸LXから外れた領域)における測距について詳細に明する。この撮像装置1におけるAFモジュール20等は、左右対称の構造を有している。以下では、右側の軸外領域に関して説明するが、左側の軸外領域に関しても同様である。
図17は、図11の右側部分の焦点検出領域FR6〜FR10等を示す図であり、図18は、図15の右側部分の測距センサ群C31,C32等を示す図である。図11に示すように、焦点検出領域FR6〜FR10は、撮影領域PRの中心から水平方向右向きに外れた位置に設定されている。なお、図11の撮影領域PR内の焦点検出領域FRにおける水平方向の被写体像は、理想的には図15のセンサチップ227において水平方向に分離されることから、撮影領域PRにおける水平方向は、センサチップ227における水平方向に対応する。同様に、撮影領域PR内の焦点検出領域FRにおける垂直方向の被写体像は、理想的にはセンサチップ227において垂直方向に分離されることから、撮影領域PRにおける垂直方向は、センサチップ227における垂直方向に対応する。また、被写体像は、撮影レンズによる結像点より先(前方側)においては、上下方向と左右方向との双方に反転して進行するが、図示の都合上、図11(図17)と図15(図18)とでは、垂直方向にのみ被写体像が(上下に)反転する。
上述したように、一対の測距センサ群C31,C32に到達した光束によって、位相差方式の測距動作を行うことが可能である。
例えば、焦点検出領域FR8に関する光束は分割され、各分割光は、一対の測距センサC313,C323によって受光される。そして、一対の測距センサC313,C323に到達した光束によって、測距ポイントPG8に関する測距動作が実行される。
同様に、焦点検出領域FR7に関する光束は分割され、各分割光は、一対の測距センサC312,C322によって受光される。そして、一対の測距センサC312,C322に到達した光束によって、測距ポイントPG7に関する測距動作が実行される。
また、焦点検出領域FR6に関する光束は分割され、各分割光は、一対の測距センサC311,C321によって受光される。一対の測距センサC311,C321に到達した光束によって、測距ポイントPG6に関する測距動作が実行される。
焦点検出領域FR9,FR10に関する光束についても同様である。
このように、一対の測距センサC31k,C32k(k=1,2,...,5)に到達した光束によって、測距ポイントPG6〜PG10に関する測距動作が実行される。なお、各一対の測距センサC31k,C32kは、被写体像の水平方向(各一対の測距センサC31k,C32kの配列方向)における階調変化に敏感な測距動作を実現する。
ここで、図16の上面図をも参照しながら、図17の焦点検出領域FR6〜FR10内の光の進路について説明する。
焦点検出領域FR8内の光軸LX側の点PT61(図17)に関する光束は、図16に示すように、結像面MP内の点PM61で一旦結像され、視野マスク221の開口部およびコンデンサレンズ222aを通過する。その後、点PT61に関する当該光束の一部は、絞りマスク225の開口部A31とレンズアレイ226のセパレータレンズB31とを通過し、センサチップ227の測距センサC311内の点Q61a(図18)に到達する。また、点PT61に関する当該光束の他の一部は、絞りマスク225の開口部A32とレンズアレイ226のセパレータレンズB32とを通過し、センサチップ227の測距センサC321内の点Q61b(図18)に到達する。
このように、点PT61(図17)に関する光束は、測距センサC311内の点Q61aと測距センサC321内の点Q61bとに分離されて到達する。
また、焦点検出領域FR8内の光軸LXから離れている側の点PT65(図17)に関する光束も、図16に示すように、結像面MP内の点PM65で一旦結像され、視野マスク221の開口部およびコンデンサレンズ222aを通過する。その後、点PT65に関する当該光束の一部は、絞りマスク225の開口部A31とレンズアレイ226のセパレータレンズB31とを通過し、センサチップ227の測距センサC311内の点Q65aに到達する。また、点PT65に関する当該光束の他の一部は、絞りマスク225の開口部A32とレンズアレイ226のセパレータレンズB32とを通過し、センサチップ227の測距センサC321内の点Q65bに到達する。
このように、点PT65(図17)に関する光束は、測距センサC311内の点Q65aと測距センサC321内の点Q65bとに分離されて到達する。
同様に、焦点検出領域FR8内における点PT61と点PT65との間の各点に関する光束も、測距センサC311内における点Q61aと点Q65aとの間の点と、測距センサC321内における点Q61bと点Q65bとの間の点とに分離されて到達する。
このようにして、焦点検出領域FR8内の各点は、それぞれ、測距センサC311内の対応点と、測距センサC321内の対応点とに分離されて到達する。そして、測距センサC311における光像と測距センサC321における光像とのずれに基づいて、合焦レンズ位置が求められる。なお、図16に示すように、測距センサC311内に到達する光束と測距センサC321内に到達する光束とは、いずれも、コンデンサレンズ222aの光軸AX1よりも下側(同じ側)を通過する。換言すれば、当該両光束は、光軸AX1と光軸LXとを含む平面内において、光軸AX1に対して外側(光軸LXの側とは逆の側)を通過する。
つぎに、測距センサ群C31,C32の配置について詳細に説明する。
図18に示すように、一対の測距センサC313,C323は、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されている。詳細には、測距センサC313,C323は、いずれも、直線LCに沿って配置されている。ここで、直線LCは、センサチップ227の中央(詳細にはセンサチップ227と光軸LXとの交点)から、センサ配置面において水平方向に延びる直線である。
また、一対の測距センサC312,C322も、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されている。ただし、一対の測距センサC312,C322の配置態様は、一対の測距センサC313,C323の配置態様と異なっている。
詳細には、測距センサC312は、測距センサC313から図18の下向きに距離D2離れた位置において、測距センサC313に対して平行に(直線LCに対しても平行に)配置されている。一方、測距センサC322は、図18の上下方向(垂直方向)において測距センサC323から図18の下向きに距離(D2+d2)離れた位置に配置されている。換言すれば、測距センサC322は、垂直方向において測距センサC312よりも図18の下向きに距離d2シフトして配置されている。さらに、測距センサC322は、測距センサC313、C323,C312および直線LCに対して時計回りに所定角度θ2回転されて配置されている。
このように、一対の測距センサC312,C322は、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されるとともに、垂直方向における位置が互いに異なるように配置されている。また、一対の測距センサC312,C322は、当該センサ配置面にて、その配置角度(水平方向に対する角度)が互いに異なるように配置されている。
同様に、一対の測距センサC311,C321も、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されるとともに、一対の測距センサC313,C323の配置態様と異なる配置態様で配置されている。
詳細には、測距センサC311は、測距センサC313から図18の下向きに距離D1(>D2)離れた位置において、測距センサC313に対して平行に(直線LCに対しても平行に)配置されている。一方、測距センサC321は、図18の上下方向(垂直方向)において測距センサC323から図18の下向きに距離(D1+d1)離れた位置に配置されている。換言すれば、測距センサC321は、垂直方向において測距センサC311よりも図18の下向きに距離d1シフトして配置されている。また、測距センサC321は、測距センサC313、C323,C311および直線LCに対して所定角度θ1回転されて配置されている。ここで、距離D1は距離D2よりも大きく、且つ、距離d1は距離d2よりも大きい。また、角度θ1は角度θ2よりも大きい。
このように、一対の測距センサC311,C321は、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されるとともに、垂直方向における位置が互いに異なるように配置されている。また、一対の測距センサC311,C321は、当該センサ配置面にて、その配置角度が互いに異なるように配置されている。
さらに同様にして、その他の複数の測距センサ対(C314,C324),(C315,C325)も、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されている。特に、測距センサ対(C314,C324)は、センサチップ227のセンサ配置面にて、垂直方向における位置が互いに異なり且つその配置角度が互いに異なるように配置されている。同様に、測距センサ対(C315,C325)は、センサチップ227のセンサ配置面にて、垂直方向における位置が互いに異なり且つその配置角度が互いに異なるように配置されている。なお、測距センサ対(C314,C324)の配置と測距センサ対(C312,C322)の配置とは、直線LCに関して線対称の関係を有している。同様に、測距センサ対(C315,C325)の配置と測距センサ対(C311,C321)の配置とは、直線LCに関して線対称の関係を有している。
また、図19は、測距センサC321内の受光素子列の配置状況等を示す図である。図19にも示すように、測距センサC321の受光素子列の配列方向は、測距センサC321の受光素子列の配列方向とは異なっている。測距センサC321の受光素子列は、直線LCに平行に配置されるのではなく、直線LCに対して時計回りに角度θ1回転して配置されている。すなわち、測距センサC321の受光素子列の配列方向は、測距センサC311の配列方向と異なっている。
詳細には、測距センサC321内の複数の受光素子REのそれぞれが、測距センサC311内の複数の受光素子に対して角度θ1を有する状態で傾斜するとともに、直線LCに対して角度θ1傾斜した直線に沿って配置されている。図19では、各受光素子REが細長矩形形状で示されている。
その他の測距センサC322等についても同様である。
ここにおいて、図18のように各測距センサを配置することによれば、次述するような収差の影響を低減することが可能である。以下では、これについて説明する。
図20は、コンデンサレンズ222を通過する前の光像を示す概念図であり、図21は、コンデンサレンズ222を通過しセンサチップ227に到達した光像を示す概念図である。これらの図は、図20における格子状の直線上の点が、図21に示すような曲線上の点に射影されることを示している。このように、コンデンサレンズ222は歪曲収差(ディストーション)を生じさせる。ここでは、いわゆる「糸巻き型」の歪曲収差が生じている様子が示されている。
仮に、図18の配置を採用せずに、比較例に係る図29の配置を採用する場合を想定すると、次のような問題が生じる。すなわち、上述のような歪曲収差に起因して、焦点検出領域FRi内の像がセンサチップ227の測距センサに正しく到達しないために、当該焦点検出領域FRに関する正しい光像を得ることができず、AF精度が低下するという問題が生じる。
例えば、焦点検出領域FR6内の直線LE6(図11参照)上の点からの光は、上述の歪曲収差の影響により、図29に示すように曲線LF6,LG6上にそれぞれ到達する。しかしながら、例えば、図29の配置に係る測距センサC321は、曲線LG6からずれている。これは、焦点検出領域FR6内の像が測距センサC321に正しく到達しないことを示している。この場合、焦点検出領域FR6に関する正しい光像を測距センサC321によって得ることができないため、焦点検出領域FR6に関するAF精度が低下する。
一方、上記実施形態の配置(図18参照)によれば、図22に示すように、測距センサC321は、曲線LG6に沿って(詳細には曲線LG6に沿う角度で)配置されており、曲線LG6上に存在する。そのため、焦点検出領域FR6内の像は測距センサC321に正しく到達することが可能である。したがって、FR6内の直線LE6上の点からの光は測距センサC321によって正しく受光される。これにより、上述の歪曲収差の影響を排除ないし抑制して、AF精度の低下を抑制することが可能である。なお、図22は、図18の配置に対して曲線LF6,LG6を重畳して示す図である。
以上のように、焦点検出領域FR6内における直線LE6上の光束は、コンデンサレンズ222aによって歪曲され、センサチップ227のセンサ配置面において曲線(歪曲曲線とも称する)LF6,LG6上に到達する。また、測距センサ対(C311,C321)のうち、測距センサC321は、センサチップ227のセンサ配置面にて、当該歪曲曲線LG6上に(詳細には当該曲線LG6に沿って)配置されている。また、測距センサC311は、センサチップ227のセンサ配置面にて、当該歪曲曲線LF6上に(詳細には当該曲線LG6にほぼ沿って)配置されている。そのため、測距センサ対(C311,C321)は、互いに対応する像を正しく受光することができるので、上述の歪曲収差の影響を排除ないし抑制して、AF精度の低下を抑制することが可能である。
また、図18の配置においては、測距センサC321の配置角度θ1は測距センサC322の配置角度θ2よりも大きい。換言すれば、測距センサ対(C311,C321)における相互間角度θ1は、測距センサ対(C312,C322)における相互間角度θ2よりも大きい。このように、測距センサ群C32内の各測距センサは、直線LCから離れるにつれて、直線LCに対して比較的大きな配置角度で配置されることが好ましい。換言すれば、各測距センサ対は、直線LCから離れるにつれて、比較的大きな相互間角度を伴って配置されることが好ましい。これによれば、歪曲収差の影響をより適切に低減することができる。
また、図18の配置においては、測距センサC321のシフト量d1は測距センサC322のシフト量d2よりも大きい。換言すれば、測距センサ対(C311,C321)に関する垂直方向における相互間の位置ずれ量d1は、測距センサ対(C312,C322)に関する垂直方向における相互間の位置ずれ量d2よりも大きい。このように、測距センサ群C32内の各測距センサは、直線LCから離れるにつれて、比較的大きなシフト量を伴って配置されることが好ましい。換言すれば、各測距センサ対は、直線LCから離れるにつれて、比較的大きな相互間の位置ずれ量を伴って配置されることが好ましい。これによれば、歪曲収差の影響をより適切に低減することができる。
なお、図18(,図22)の配置では、直線LF6に対する測距センサC311のずれ量(位置のずれ量および角度のずれ量)が比較的小さい状況を想定している。ただし、図18のような配置はこのような状況に適用可能であるだけでなく、当該状況以外にも適用可能である。例えば、後述するように、測距センサC311の直線LF6に対するずれ量が比較的大きい場合にも、図18のような配置は有用である。
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、測距センサ群C32の配置が図29の比較例とは異なる一方で、測距センサ群C31の配置は図29の比較例と同様である場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、測距センサ群C31の配置をも測距センサ群C32の配置に準じて変更するようにしてもよい。第2実施形態においては、このような変形例について説明する。
このような第2実施形態によれば、測距センサ群C32だけでなく測距センサ群C31の配置も変更されるため、各焦点検出領域FR6〜FR10からの光像をさらに正確に測距センサ群C31で受光することが可能になる。したがって、対応する焦点検出領域FRの所定方向における被写体像に基づいて、正確なAF動作を実行することが可能である。
図23は、第2実施形態に係るセンサチップ227(227B)の一部を示す図である。
図23に示すように、この第2実施形態においても、測距センサ群C32は、第1実施形態と同様に配置されている。
一方、測距センサ群C31の配置が第1実施形態と相違する。具体的には、測距センサ群C31内の各測距センサC311,C312,C314,C315も、それぞれ、直線LCに対して傾斜して配置されている。
例えば、測距センサC312は、曲線LF7上において当該曲線LF7に沿うように配置されており、測距センサC322は、曲線LG7上において当該曲線LG7に沿うように配置される。
詳細には、測距センサC312は、図23の上下方向(垂直方向)において測距センサC313から図18の下向きに距離D12シフトした位置に配置されている。また、測距センサC322は、図23の上下方向(垂直方向)において測距センサC323から下向きに距離(D12+d22)シフトした位置に配置されている。換言すれば、測距センサC322は、垂直方向において測距センサC312よりも図23の下向きに距離d22離れて配置されている。ここで、距離D11は距離D12よりも大きく、且つ、距離d21は距離d22よりも大きい。
また、測距センサC312は、測距センサC313および直線LCに対して角度θ12回転されて配置されており、測距センサC322は、測距センサC313および直線LCに対して角度θ22回転されて配置されている。ここで、角度θ22は角度θ12よりも大きい。
このように、一対の測距センサC312,C322は、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されるとともに、その配置角度が互いに異なるように配置されている。また、一対の測距センサC312,C322は、当該センサ配置面にて、垂直方向における位置が互いに異なるように配置されている。
このような配置によれば、焦点検出領域FR7内における直線LE7上の光束は、コンデンサレンズ222aによって歪曲され、センサチップ227のセンサ配置面において曲線(歪曲曲線とも称する)LF7,LG7上に到達する。また、測距センサ対(C312,C322)は、センサチップ227のセンサ配置面にて、当該歪曲曲線LF7,LG7に沿って配置されている。そのため、測距センサ対(C312,C322)は、互いに対応する像を正しく受光することができるので、上述の歪曲収差の影響を排除ないし抑制して、AF精度の低下を抑制することが可能である。
また特に、この第2実施形態においては、測距センサC312は、曲線LF7上において当該曲線LF7に沿うように配置されているため、焦点検出領域FR7内の直線LE7上の点からの光は、測距センサC312にさらに正しく到達して受光される。換言すれば、測距センサC312は、直線LE7と同一方向の光像の変化を正確に取得することができる。測距センサC322についても同様であり、測距センサC322は、直線LE7と同一方向の光像の変化を正確に取得することができる。したがって、測距センサ対(C312,C322)を用いることにより、直線LE7と同一方向の光像を用いて、正確なAF動作を実行することが可能である。
また、他の一対の測距センサC311,C321についても同様である。
測距センサC311は、曲線LF6上において当該曲線LF6に沿うように配置される。なお、この第2実施形態においては、曲線LF6が、第1実施形態における当該曲線LF6よりも大きく曲がっている状況を想定している。
詳細には、測距センサC311は、図23の上下方向(垂直方向)において測距センサC313から図18の下向きに距離D11シフトした位置に配置されている。また、測距センサC321は、図23の上下方向(垂直方向)において測距センサC323から下向きに距離(D11+d21)シフトした位置に配置されている。換言すれば、測距センサC321は、垂直方向において測距センサC311よりも図23の下向きに距離d21離れて配置されている。
また、測距センサC311は、測距センサC313および直線LCに対して角度θ11回転されて配置されており、測距センサC321は、測距センサC313および直線LCに対して角度θ21回転されて配置されている。ここで、角度θ21は角度θ11よりも大きい。
このように、一対の測距センサC311,C321は、センサチップ227のセンサ配置面にて、水平方向において互いに離間して配置されるとともに、その配置角度が互いに異なるように配置されている。また、一対の測距センサC311,C321は、当該センサ配置面にて、垂直方向における位置が互いに異なるように配置されている。
このような配置によれば、焦点検出領域FR6内における直線LE6上の光束は、コンデンサレンズ222aによって歪曲され、センサチップ227のセンサ配置面において曲線(歪曲曲線とも称する)LF6,LG6上に到達する。また、測距センサ対(C311,C321)は、センサチップ227のセンサ配置面にて、当該歪曲曲線LF6,LG6に沿って配置されている。そのため、測距センサ対(C311,C321)は、互いに対応する像を正しく受光することができるので、上述の歪曲収差の影響を排除ないし抑制して、AF精度の低下を抑制することが可能である。
特に、この第2実施形態においては、測距センサC311は、曲線LF6上において当該曲線LF6に沿うように配置されている。したがって、焦点検出領域FR6内の直線LE6上の点からの光は、測距センサC311にさらに正しく到達して受光される。換言すれば、測距センサC311は、焦点検出領域FR6内における直線LE6と同一方向の光像の変化を正確に取得することができる。測距センサC321についても同様である。したがって、測距センサ対(C311,C321)を用いることにより、直線LE6と同一方向の光像を用いて、正確なAF動作を実行することが可能である。
また、図23の配置において、測距センサC321の配置角度θ21は測距センサC322の配置角度θ22よりも大きい。このように、測距センサ群C32内の各測距センサ対は、直線LCから離れるにつれて、直線LCに対して比較的大きな配置角度で配置されることが好ましい。これによれば、歪曲収差の影響をより適切に低減することができる。同様に、測距センサC311の配置角度θ11は測距センサC312の配置角度θ12よりも大きい。このように、測距センサ群C31内の各測距センサは、直線LCから離れるにつれて、直線LCに対して比較的大きな配置角度で配置されることが好ましい。これによれば、歪曲収差の影響をさらに適切に低減することができる。
また、測距センサ対(C311,C321)における相互間角度(θ21−θ11)は、測距センサ対(C312,C322)における相互間角度(θ22−θ12)よりも大きい。このように、測距センサ群C31内の各測距センサは、直線LCから離れるにつれて、比較的大きな相互間角度を伴って配置されることが好ましい。これによれば、歪曲収差の影響をさらに適切に低減することができる。
なお、その他の複数の測距センサ対(C314,C324),(C315,C325)に関しても同様である。測距センサ対(C314,C324)の配置と測距センサ対(C312,C322)の配置とは、直線LCに関して線対称の関係を有している。また、測距センサ対(C315,C325)の配置と測距センサ対(C311,C321)の配置とは、直線LCに関して線対称の関係を有している。このような測距センサ対(C314,C324),(C315,C325)によれば、図23における上述の測距センサ対(C312,C322),(C311,C321)と同様の効果を得ることができる。
<3.第3実施形態>
上記第1実施形態においては、一対の測距センサC311,C312に関して、その配置角度が互いに異なるとともに、垂直方向における位置も互いに異なる場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、例えば、一対の測距センサ測距センサC311,C312に関して、その配置角度は互いに同じである一方で、垂直方向における位置が互いに異なるようにしてもよい。この第3実施形態においては、このような変形例について説明する。
図24は、第3実施形態に係るセンサチップ227(227C)の一部を示す図である。
図24に示すように、この第3実施形態においては、測距センサ群C31は、第1実施形態と同様に配置されている。一方、測距センサ群C32の配置が第1実施形態と相違する。
具体的には、図22と比較すると判るように、測距センサ群C31内の各測距センサC311〜C315のみならず、測距センサ群C32内の各測距センサC321〜C325も、それぞれ、直線LCに対して平行に配置されている。なお、測距センサ群C31内の各測距センサC311〜C315も、それぞれ、直線LCに対して平行に配置されている。換言すれば、各測距センサ対に関して、その配置角度は同一である。
ただし、各測距センサ対の垂直方向における位置は、それぞれ、互いに異なっている。
例えば、測距センサC311は、図24の上下方向(垂直方向)において測距センサC313から図24の下向きに距離D1シフトした位置に配置されている。また、測距センサC321は、図24の上下方向(垂直方向)において測距センサC323から下向きに距離(D1+d4)シフトした位置に配置されている。換言すれば、測距センサC321は、垂直方向において測距センサC311よりも図24の下向きに距離d4離れて配置されている。
このような配置によれば、測距センサ対(C311,C321)は、センサチップ227のセンサ配置面にて、歪曲曲線LF6,LG6に沿ってはいないが当該歪曲曲線LF6,LG6上に配置されている。そのため、測距センサ対(C311,C321)は、互いに対応する像を正しく受光することができるので、上述の歪曲収差の影響を排除ないし抑制して、AF精度の低下を抑制することが可能である。
その他の測距センサ対(C312,C322),(C314,C324),(C315,C325)についても同様である。
<4.第4実施形態>
上記第1実施形態においては、一対の測距センサC311,C312に関して、その配置角度が互いに異なるとともに、垂直方向における位置も互いに異なる場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、例えば、一対の測距センサ測距センサC311,C312に関して、センサ配置面内での垂直方向における位置が互いに同じである一方で、その配置角度が互いに異なるようにしてもよい。この第4実施形態においては、このような変形例について説明する。
図25は、第4実施形態に係るセンサチップ227(227D)の一部を示す図である。
図25に示すように、この第4実施形態においては、測距センサ群C31は、第1実施形態と同様に配置されている。一方、測距センサ群C32の配置が第1実施形態と相違する。
具体的には、測距センサC321は、測距センサC311に対して水平方向(直線LCに平行な方向)に離間されて当該測距センサC311と同じ角度で配置された状態から、その左端位置を中心に時計回りに所定角度θ1回転されて配置されている。測距センサC321の左端は、測距センサC311と同様に、図25の上下方向(垂直方向)において測距センサC313(,C323)から図25の下向きに距離D1離れた位置に配置されている。このように、測距センサC321と測距センサC311との両者は、当該両者の一端側位置(左端側位置)が同じであり、且つ、当該両者の配置角度が互いに異なるように配置されている。
このような配置によれば、測距センサ対(C311,C321)は、センサチップ227のセンサ配置面にて、歪曲曲線LF6,LG6に沿って配置されている。そのため、測距センサ対(C311,C321)は、互いに対応する像を正しく受光することができるので、上述の歪曲収差の影響を排除ないし抑制して、AF精度の低下を抑制することが可能である。なお、このような配置は、測距センサC321付近における歪曲曲線LG6の直線L1に対するズレ量が比較的小さいときに特に有用である。ここで、直線L1は、直線LCから図25の下向きに距離D1シフトした直線である。
その他の測距センサ対(C312,C322),(C314,C324),(C315,C325)についても同様である。
なお、ここでは、センサ配置面内での垂直方向において、測距センサC321の左端位置が測距センサC311と同じである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、測距センサC321と測距センサC311との両者が、垂直方向における当該両者の平均位置が同じであり、且つ、当該両者の配置角度が互いに異なるように配置されてもよい。
<5.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではなく、様々な改変が行われ得る。
たとえば、上記第1実施形態等においては、測距センサC321内の受光素子列が図19のように配置されることによって、測距センサC321の配置角度を変更する場合を例示したが、これに限定されない。
具体的には、図26に示すように測距センサC321内の受光素子列を配置するようにしてもよい。図26と図19とを比較すると、測距センサC321内の複数の受光素子のそれぞれが、直線LCに対して所定角度傾斜θ1傾斜した直線(ないし曲線LG6)に沿って配置されている点では共通している。ただし、図26においては、測距センサC321内の複数の受光素子のそれぞれが、測距センサC311内の複数の受光素子と同じ傾斜角度(垂直方向に対してゼロ)を有する状態で配置されている。そして、測距センサC321内の複数の受光素子REのそれぞれが、曲線LG6に沿うように少しずつその垂直位置をずらしながら配置されている。このように測距センサC321内の各受光素子REを配置することによっても、測距センサC321の配置角度を変更することができる。他の測距センサ(C322等)についても同様である。
あるいは、図27に示すような遮光部SR1,SR2を測距センサC321内の受光素子列に対して設けるようにしてもよい。図27においては、測距センサC321内の複数の受光素子のそれぞれは、測距センサC311内の複数の受光素子と同じ傾斜角度(垂直方向に対してゼロ)を有する状態で配置されている。具体的には、当該受光素子列は、水平方向に配列されており、各受光素子の垂直方向位置も互いに同じである。ただし、測距センサC321内の各受光素子REの受光領域の一部を覆う遮光部SR(SR1,SR2)が各受光素子REの上側と下側とにそれぞれ配置されている。遮光部SRは、例えば半導体製造工程においてアルミニウム層などとして形成される。そして、各受光素子REにおいて上側遮光部SR1と下側遮光部SR2との間に位置する中間部分CRが、測距センサC321の受光部として機能する。この中間部分CRは、測距センサC321内の受光素子列において、遮光部SR1,SR2で覆われていない受光領域である。
図27では、この中間部分CRが水平方向に対して斜行するように、遮光部SRが配置されている。具体的には、水平方向に(左から右へ)配列される受光素子列において、上側遮光部SR1と下側遮光部SR2とがそれぞれの垂直位置を同じ向き(例えば下側に)に徐々にずらしていくように配置される。これにより、当該中間部分CRは、直線LCに対して所定角度傾斜θ1傾斜した直線(ないし曲線LG6)に沿うように配置される。このように測距センサC321内の受光素子列に対して遮光部を設けることによっても、測距センサC321の配置角度を調整することができる。他の測距センサ(C322等)についても同様である。
また、上記第1実施形態(図18,図22)においては、測距センサC311は、歪曲曲線LF6にほぼ沿って配置されている状況を想定したが、これに限定されない。例えば、測距センサC321の配置角度θ1が、次の値θdに実質的に等しい状況においても、上記と同様の効果を得ることができる。ここで、値θdは、測距センサC311付近での曲線LF6の近似直線の傾きと測距センサC321付近での曲線LG6の近似直線の傾きとの差を表す。換言すれば、値θdは、曲線LF6の近似直線と曲線LG6の近似直線との相対角度である。
このような変形例において、仮に、測距センサC311付近における曲線LF6の近似直線の傾きが比較的大きい状況を想定する。そのような状況においては、直線LE6上の光は測距センサC311に正確には到達せず、直線LE6に対して若干傾斜した直線LH6(不図示)上の光が測距センサC311に到達する。ただし、このような状況においても、配置角度θ1が値θdに等しいときには、測距センサC311と測距センサC321とはいずれも被写体における同一部分の同一方向に関する光像の変化を正しく取得することができる。すなわち、測距センサC311と測距センサC321とは、それぞれ、直線LH6上の光像を受光する。したがって、AFの方向に若干のずれが生じるが、正確なAF動作が実現される。
また、上記各実施形態においては、コンデンサレンズ222によって糸巻き型の歪曲収差が生じている場合を例示したが、これに限定されない。例えば、樽型の歪曲収差(図28参照)が生じている場合に上記の思想を適用するようにしてもよい。なお、樽型の歪曲収差が生じている場合には、対応する測距センサの配置角度等を上記各実施形態とは逆向きに変更するようにすればよい。例えば、測距センサC311に対して水平方向に所定距離離間した状態の測距センサC321(図22参照)を、(図22とは逆に、)「上向き」に所定距離(例えばd1)シフトし且つ「反時計回り」に所定角度(例えばθ1)回転させて配置すればよい。
また、上記各実施形態においては、撮影光学系からの光像の光軸LXに対して水平方向にずれた光軸を有するコンデンサレンズ222a(222b)を通過する分割光に関して、上記の思想を適用する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、光軸LXを中心軸とするコンデンサレンズ222cを通過する分割光に関して上記の思想を適用するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、AF制御部113がAFモジュール20の外部に設けられる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、AFモジュール20(焦点位置検出装置)が、AF制御部113と同様の制御部を内蔵するようにしてもよい。